対巨大生物対処局特殊戦術課   作:火薬好き

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第四話

防衛大臣主導の幕僚監部との対巨大生物対処局の雲取山大空洞対策への協議会開催日

 

≪たった今、嘉納防衛大臣を乗せた車が防衛省から対巨大生物対処局へ移動を開始しました≫

 

どこの放送局でも防衛大臣が移動して会議に臨むという報道が続いていた。

 

「まーじでくるんすね」

 

「まぁ、唯一国民投票で選ばれる大臣。いわば完全に国民が選んだ防衛の総大将。動くのは当然だが・・・」

 

征陸の言葉と同時に視線が一気に凪島に向けられる。

 

「・・・こういう時って口笛がメジャーだど、生憎こればっかりは練習してもできんのだよ」

 

「ジョークが言えるってことはもうゲート含めて対応できる勝算ができてるわけか?」

 

「でかいゲートを発見できたおかげで予定より早くデコンポーザーのカートリッジの追加生産完了と正式配備許可が下りた・・・けど既存より大きいからまぁ、不明ってことだな」

 

「だが課長と狡噛が突っ込むとしても、この落盤予想範囲の広さだとまず敵の殲滅が成功しないと意味がないわけか」

 

「とりあえず、落盤前に仕掛けたいところだ」

 

「洞窟内に突っ込むと?」

 

「正直、あのゲートを公にすることが厄介でな」

 

「厄介?」

 

「まぁ・・・ね。一応、ゲートさえ破壊すりゃ実際問題今以上に敵は増えない。強襲がベストだ」

 

「出張れるのは課長とコウ君だけ。どうせ突っ込むならできるだけ数増やした方がいいんじゃない?」

 

「増やせばそれだけ餌が来たと反応されて・・・起きる・・・はず」

 

「雛河さんが正解。実際俺が潜っても反応しなかったのはそれが理由だろうからな」

 

「だがデコンポーザーは発射に時間がかかる。その間に目覚められたら厄介だぞ」

 

「一応、退却時に時限式のレーダーを設置して、動くまで計測したけど、間に合うとみて大丈夫だ」

 

「外が騒がしい。そろそろ来たようだな」

 

「つっても防衛省とウチって少し離れているだけ、一回角を曲がればすぐ。分けた理由は納得するけど、こういう時のアピール用って邪推しちゃうね」

 

「いるか?」

 

「いますよー」

 

そんな呑気の会話で狭間が入ってくる。

 

「やけに余裕だな」

 

「ま、皮肉だけど発見のおかげで予定の完全繰り上げが叶ったんだし、戦力も揃ってますから」

 

「そうか。というか早くこい。一応、映像や音声が唯一記録が許可される場所だ。さっさと会場入りするぞ」

 

「へいへい」

 

そういって軽い雰囲気の凪島を狭間が引っ張り出して連れて行った。

 

「・・・やっぱ不思議だよね」

 

「普通の会社でさえ上下の区別があるというに、課長は全く気にしない・・・気を払っていない」

 

「流石に、会場の時は黙ってるさ。ただ、どう若さを消すかだな。さて、どこに賭ける」

 

「とっつぁんが賭けって・・・いいの?」

 

「親父・・・勝手に資産賭けんな」

 

「いや、ただ単に余興だ。本気にすんなよ・・・」

 

「俺は帽子を深く被るに一票だな」

 

「・・・私は髪に細工するかと」

 

「六合塚が乗ってくるとは意外だな。俺も帽子に一票」

 

「俺も帽子にだな」

 

先達たちが余興にふけっているのに呆れている五期生たち。ただ一人だけ、縢だけが余裕綽綽だった。

 

「・・・これ、俺の一人勝ちだね」

 

「え?」

 

「俺は何も細工せずそのまま出るに全部。何なら今日の飲み代も賭けていいね」

 

「おいおい・・・あ゛」

 

「ここの中じゃとっつぁんが一番付き合いが長いというのに余裕を見せたね」

 

「なら、俺も細工なしに一票だな。あ、俺は掛け金はなしだ」

 

「お、先生」

 

やってきたのは雑賀。研究課五課の課長である。

 

「暇なのか?」

 

「暇ではないさ。ただ一段落したところ。一応、様子を見に来たが、局長に連れていかれたか」

 

「まぁな」

 

「しっかしメディアの介入となると御前会議だ。変に曲解されるのだけは避けたいところだろうよ」

 

「一応、課長の調査は入るとみるか?」

 

「そもそも役職は言わずに黙ってみてるだけだろ。下手に音声でも取られればそっちから漏れる可能性もあるからな。実際は空洞内の情報を公に開示するのと大臣がこっちに来る理由づくりだな」

 

「・・・なんかあるのか?」

 

「まぁ、大臣はここの初代局長だ。付き合いはあるからな。と、大臣も入ったか」

 

『これより幕僚監部と対巨大生物対処局の雲取山大空洞対策協議に入ります』

 

『まずは局長。戦力的に勝てるか?』

 

『もちろん。無くては我らの存在意義すらが怪しまれますので』

 

『幕僚監部よりまずは。大空洞の全貌は不明。幕僚監部としては予想範囲地点を爆破し空爆からの攻撃開始が第一案。第二案は敵の戦力供給源と目されるゲートの破壊を主目標とする特殊部隊を編成し突入。その後敵を挑発し安全な防衛ラインで迎撃及び殲滅を提案します』

 

『対巨大生物対処局からはすでに奇襲に必要な戦力の抽出及び待機済み。指令が出ればいつでも始めることができますとだけ』

 

「・・・マジで細工なしで座ってるな」

 

「確か外で歩くときは課長は帽子被ってただろ?」

 

「そもそもウチの課長の正体すら知られてないんですから小細工すらいらないって訳」

 

「というより座っている位置が事務官の位置。完全に参加しているわけではないから注目されないと」

 

「そーゆーこと」

 

『特殊部隊か・・・まぁ、潜入終了まで戦闘が無かったことから少数での奇襲は可能と報告は受けているが・・・』

 

『既に特殊装備課程を修了とし、現場からもそう判断を受けています』

 

「これ、狡噛も入っているのか?」

 

「・・・まったく話は聞いてないぞ」

 

「多分、この程度でビビるなら、いつまでたっても親父を超えられないって言われることになるな」

 

「だろうな」

 

『狭間局長。やはり先の潜入者が実行部隊と?』

 

『えぇ』

 

「おや、外れたか?」

 

『ですが流石に目標は通常より規模が大きい。よって予備部隊も投入予定です』

 

「やっぱ・・・最悪、俺らも入ってる?」

 

「まさか・・・」

 

『特戦課から提案された電磁パルス防壁の建設状況はどうなっている?』

 

『既に八割方完成。予定通り各地点の入り口及び落盤予測規模周囲に三重に建設中です』

 

『よし。稼働が確認出来たらこっちから仕掛けるぞ。夜に動かれても厄介だからな。それから航空偵察及び対空戦闘を想定した航空部隊も用意していてくれ』

 

『了解。作戦終了まで厳重に整備を徹底させておきます』

 

『よし、あとは事前会議で詰めていた通りに進められるな。最終調整は防衛省で聞く。小さいな相談であれば進めておいてくれ。俺は少し古巣を眺めてくる』

 

そういって加納は会議場を出た。そして少ししてから凪島の位置に事務官と思われる人物が訪れて交代した。

 

「あからさますぎないか?」

 

「征陸、どっちかだ?」

 

「課長の方だ。わざわざ局長の背後に座っている必要もないだろうに」

 

「後々の伏線だろ。空ぶってくれるのが一番だがな」

 

「・・・だろうな」

 

「うわぁ・・・こっちも意味深な会話だぁ・・・」

 

対巨大生物対処局某所

 

「わざわざすまんな」

 

「来ていただいたのはこちらですよ」

 

「・・・外に騒がれるとうるさい。で、結局想定通りだな。だがゲートの存在は下手にかぎつけられると厄介だぞ」

 

「とはいえ、現状アメリカ以外は突入すらできないはず。できたのであれば大々的に公開されているはずですから」

 

「事情を知っているこちらからすれば例の国共が発表しそうなものだが」

 

「・・・飼い犬に手を嚙まれたんでしょうよ」

 

「東京との違いはどう見る?」

 

「首都に近いか否か。というより仕込んだ場所が浅かったとみるべきでしょう」

 

「海はイージスで代用できるとしても、山・・・富士は面倒だぞ」

 

「富士だけでなく火山一帯はは完全にこちらも手を付けれてないのですし溶岩石からの変化も考えれば完全に想定外ですよ」

 

「この事態を予想した本人でもか?」

 

「隠しなしで本気で想定できません」

 

「あの時の冗談が本当になるなんてな」

 

「こちらも飲み込みが早くて助かりましたよ」

 

「論文はこっちが最終的にもらっちまったが、いいのか?」

 

「自分の性分をご存じでしょうに」

 

「流石にまだ上も動かんだろうし、吹っ掛けるなよ」

 

「えぇ。この程度では、ね」

 

「東北は完全に人の手から離れているから調査は楽だが、都市部は下水道頼り。後手に回るしかないのが腹が立つが・・・本気の皮肉で第三勢力と化したおかげで紛争が静まったというか続けていたら滅亡待ったなしか」

 

「それと、入国規制もしっかりと・・・と言いたいですが管轄外ですからねぇ」

 

「原因装置が不明な現状、規制は無理。変に規制すれば逆探される厄介なものを生み出してくれたもんだよ。だが原因がわからん」

 

「当初は紛争敵対勢力の民衆への攻撃手段。ただどこも有効な声明を発表していない以上、打ち込んだ後、自国の実験地区で予想外の進化でもされたんでしょうね」

 

「打ち込んだ規模以上にも増える可能性か?」

 

「ゲートがゲートを生み出して輸送しない限りは問題ないはずですが、楽観視もできない」

 

「その上俺が外れたら完全に対策・・・隠ぺいは無理だな。知ってるのは制服組の上層部のみ。あとは狭間と、雑賀か。東京のアレは出てないのはどう見る?」

 

「地質で変質・・・というより洞窟の形状からすればゲート自体にも種類があるかと」

 

「サンプルはないが・・・日本とは別の地域でも同じようなと言ったらおかしいが、突然変異は考えられるか?」

 

「さぁ・・・アメリカに派遣した三期生の報告のみで探る手段もなく、情報がこちらに開示されるのもデータが実際に受け渡しされるまで完全な通信禁止が条件でしたからね」

 

「アメリカを取り込んだら欧州か?」

 

「・・・欧州は、アメリカに花を持たせてもいいかと。実際こちらはただでさえ戦力不足なわけですから」

 

「だな・・・やけにノックがうるさいな。流石に騙しきれんか」

 

「でしょうね」

 

「頼ってばかりですまん。その上終わった後のフォローすらできん施設になっちまった」

 

「完全に攻撃的な軍のイメージを見せないためです。当然の処置かと」

 

「・・・ホント、罠張ってもらって助かったぞ。凪島」

 

そういって加納は部屋を出た。そして凪島も少ししてから部屋を出た。

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