対巨大生物対処局特殊戦術課   作:火薬好き

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閑話 其の二

特戦課

 

「そういえば五期生との顔合わせは一応ここでも済んでいるが、どうも壁を張ってるようにしか見えん」

 

「やっぱここは凪っちが実際どういう経験をして、どういう人物かを手っ取り早く知ってもらった方がいいんじゃない?ただでさえ大規模作戦前って空気だし。話せる間に話した方がいいと思うね」

 

「・・・生憎というかこういった手合いはどうすればいいのかわからん」

 

「っていうのが我らが課長の弱音その一。一応外に対しては上下の区別をつけて話してはいるけど、実際は年相応。その上戦闘全振りでこういった手合いは全く経験なし」

 

「その上課長は当時は下で随分といい意味で可愛がられていたからな。かといってそれは経験を積んだ老練な人間だからこそできる芸当。若人には無理ってもんさ」

 

「というわけで、特戦課全員で食堂に行くとしますか」

 

「食堂?」

 

「こと食事が絡めば多少は課長も素を見せるほど隙ができる。その上食事なら辛い内容だけど思い出話、経験談とかを語ってくれるからね」

 

「はぁ・・・そういうのは先達に任せるとするよ」

 

「んじゃ許可も下りたし全員食堂へレッツゴー」

 

珍しく主導権を手放して逆に縢が主導して食堂での遅れた五期生の歓迎会と親睦会となった。

 

「ま、当然酒は禁止。何せ未成年が少々いるからな。一人でも飲んでいればアルハラとかで難癖付けられるからな。で、課長はどこに?」

 

「あぁ、既に注文が多いから時間がかかってるだけ。お、帰ってきた」

 

席に戻ってきた凪島の右手にはラーメンとチャーハンと餃子の定食。左には牛のひつまぶしに吸い物の定食の二つだった。

 

「・・・その量を食べられるので?」

 

「まだまだ増えるよぉ。って、常森さんはどこに?」

 

「・・・どうやら課長と同じく健啖家のようだ」

 

戻ってきた常森もまた右手にラーメンの定食。左にはサンドイッチのセットを携えていた。

 

「さて課長。景気のいい挨拶を頼むぜ」

 

「・・・はぁ。とりあえず、ただの戦闘無しの実地演習だけの経験でよく・・・いや、各々が胸を張れるほどの健闘をした。その事実は揺るがないし俺の権限でその記録は残す。そして何より誰もケガすらなく戻ってきたことに感謝する。今後もまた厳しい戦いになるだろうが、初陣であれだけの健闘が可能であるならば今後もまた戦果を積み立てれるだろう。皆の今後の活躍と日本の勝利を祈り、乾杯!!」

 

「乾杯!!」

 

そうして親睦会が始まった。ほかの職員たちは不思議そうに見ている。中には決起集会などと陰口を叩くものもいたが、そんなことなど気にせず、親睦会は進んでいく。

 

「課長。ダイレクトにいいでしょうか?」

 

「ん~なんだ?」

 

「・・・課室や戦闘の時とは違ってかなり砕けている様子。それで、課長の知識、発想の源泉を良ければ後学のためにお聞きしたいのですが」

 

「ん~特に源泉とかそういうたいそうなもんじゃない。悪い言い方だが、他の人間が捨てた可能性を立証、裏付けを行って可能性を理由にあらゆる対処ができるように準備しているから今二繋がっている。知識は幼少のころから種類を問わず読み漁っていた。何分紛争というわけのわからない時代。当時はどう終わらせるかを主題に考えていたが、まさかこんな結果に繋がるとはね」

 

そういって一気にラーメンをすすり餃子やチャーハンを口に放り込む。

 

「僕からもいいでしょう・・・か?」

 

「うん、バッチコイ」

 

「課長の動き・・・やはりゲームとかを参考に?」

 

「完全100%って訳じゃないけど、参考にはしているよ。一応キャラクターを操って戦うゲームはキャラのモデルに人間と同じ骨格・・・ボーンが入ってる。なら必要な身体能力さえあれば物理的な動きは可能だ。その上でゲーマーでもあったわけだから色んな動きが入ってる。後は練習して実践で試して、成功しているのさ」

 

「・・・課長に視線が集まってますが、課長と同じレベルの量を常森さんも食べられてますね」

 

「むぐっ!?あはは・・・やっぱ食ってなんぼ、というか食べることが私の楽しみですから」

 

「しっかし、最初は鋭すぎる課長への態度も随分と柔らかくなったもんだ」

 

「えぇ・・・と、自分でもわからないんです。もしかしたら、課長の戦力を見て、中傷をされても近接課程という評価を頂いている。そうなれば私が間違っていたとすぐにわかります。ですが・・・」

 

「未成年がこの立場にいることは許せないってか。なら発想の転換だ」

 

「発想の転換?」

 

「俺たちは一芸特化だ。だがお嬢ちゃんの戦力評価、指揮及び分析能力はAAクラス。ともなれば課長とは違った発想が可能だ。今後実績を積み上げていけば、覚悟さえあれば嬢ちゃんが思っている不条理を変えることができるってことさ」

 

「ま、とりあえず、凪っち。話してくれるのはいいけど、麺伸びちゃうよ」

 

「あぁ、そうだな」

 

そういって凪島はラーメンを吸い込むように食べた。そしてほぼ持ってきた食事は食べ終わっていた。

 

「さーて次は何にしようかな」

 

「・・・まだ食べられるのか?」

 

「課長が食堂に来ない理由は、知っての通り課長は自炊勢。だから自分で作った分だけを食べる。でも食堂となれば食べれるだけ作ってもらえる。だからある意味タガが外れている状態・・・常森さんも第波?」

 

「えぇ。食べれるときに食べておかないとッてやつです」

 

「ならグルメを求めるなら課長に直接聞いた方がいい。そうすれば共通の話題を共有する。これで先のわだかまりも解けるだろうよ」

 

「ありがとうございます」

 

「相変わらず読めないと言ったら失礼だな。いつもはチャラけているのに、人の本質を見るっていう才能は突出しているな」

 

「まぁね。今まで気楽にしていた分、真逆の人間も見てきた。ちょっと危ないけど、そういう俺の信条を嫌う人間はすぐに詰め寄ってくる。だけど、その時になぜそう思うのか、そしてどう相手は考えるのかがわかる絶好の機会。だからこそ、信念は変われどこういった感じで振舞ってるのさ」

 

「英雄思想はもう抱いてないのか?」

 

「英雄事件を知って、英雄になったところで非難は大なり小なりある。ギノさんたちを見ればすぐにわかる。なら俺は目立たない程度で課長にできないところをサポートする。言い方は悪いけど、戦う場所は危険中の危険だけど、すぐ近くにはそれを簡単にひっくり返せる人がいる。課長も言った通り戦闘に全振りで人付き合いは下手ってレベルじゃないって自白しているからね。こういうのは先達の務めってやつさ」

 

「暇があったら何を聞いたか教えてくれ」

 

「りょうかーい。ってまたいろいろ持ってきたな」

 

「ホットドックやさっきとは違うサンドイッチとかの軽食。それから急激な食事の刺激を和らげるための吸い物か」

 

「それも丁寧に何分割かしてもらっている」

 

「食べたければ食べな。これこそ同じ釜の飯を食うってやつさね」

 

そういった凪島の顔はそっぽを向いていた。

 

「んじゃお言葉に甘えて頂きまっせ」

 

「しっかし常森さん。食堂でこれだけ食べるのなら自炊に切り替えた方がいいよ。結構金銭的に違うからね」

 

「うーん、でも私たちって外出の制限とかありますし、縢さんは食材の調達はどうされてるんですか?」

 

「それはね・・・」

 

「一体・・・」

 

「単純に課長は幹部の分類。だから課長に申請すれば食材程度の買い出しの外出ならすぐに許可が下りる。その上幹部って立場を利用して、普通の店じゃ扱ってないような調味料などの買い付けもしてくれる」

 

「だから毎週月曜と金曜はテンションが高いわけだ」

 

「そゆこと。もちろん、常森さんが頼めばしてくれるっしょ?」

 

「食事は大切だ。生きるために必要なだけでなく、危害が発生しない娯楽の一つだ。当然その沼に浸かっているのであれば適度に浸してて引き上げるってのもいいかもな」

 

「タレじゃないんだから・・・ま、後は常森さんの能力次第だね。協力的だけど、食材を粗末にすると怒る面倒なタイプだから」

 

「・・・頼まれていた香辛料あたりの注文は取り消しておくか」

 

「ジョーク、ジョークだってば」

 

「ま、娯楽はそれぞれだけど、食事にこだわるのが一番だというのが俺の経験則だ。事実食事を通して皆と話せるわけだからな」

 

「やはり、不思議な方ですね」

 

「・・・さて、そろそろ撤収だな」

 

「ん?どしたのさ」

 

「一番面倒な手合いが近づいているんでね」

 

そうして各々が食器を片付けて食堂を出ようとしたのと同じタイミングで狭間がやってきた。

 

「なんだ。もう終わりか?」

 

「今回はウチの課の親睦会でしたので。下手に局のトップが入ったらただの会食になりますからね」

 

「・・・酒は飲まないからさぁ・・・」

 

「それは成人として当然です」

 

「・・・まぁ、何もなければ一番だが、また大きな作戦でも成功したなら、準備はしておく」

 

「了解。んじゃ戻ろうか」

 

戦場で理解を示し、親睦会で多少内情を吐露した。こうやって特戦課の絆は深まっていく。

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