対巨大生物対処局特殊戦術課   作:火薬好き

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第六話

≪たった今、技術派遣としてアメリカへ赴かれていた方々が空港に到着しました≫

 

「うへー。アメリカかぁ・・・どんなだったんだろうね。掲示板とかは紛争のせいで閲覧できなくなって情報すらわからずじまい」

 

「アメリカは正直かなりの数の紛争に介入し、結果的にかなりの被害を出してしまった。そのうえでドミネーター適正がどれだけ見つかったか、でしょうか?」

 

「課長、幕僚監部がなぜドミネーター適正があるのに通常戦闘には参加していない。おかげで今回の作戦時に戦闘に参加したことでメディアが大騒ぎですよ」

 

「だろうねぇ・・・ま、上は上で示さにゃならんってことぐらいか」

 

「しかしなぜ自衛隊が現在東京に展開されているのですか?」

 

「そりゃぁ、帰ってきた連中がアメリカの情報を持っている。そして欲しがっているバカがいるってこと」

 

「内外どっちだ?」

 

「完全に海の先さね」

 

対巨大生物対処局局長室

 

「ご苦労だった。三期生の諸君。時差や気温変化での体調変化に気を付けて休養するといい」

 

「了解」

 

そういって派遣されていた三期生は局長室を出た。

 

「親父、いるか?」

 

「雅道。無事で何よりだ」

 

「親父も元気そうで何より・・・とはいかないね」

 

「あぁ。大量のデータの解析。その上、よくもまぁうまく仕入れたもんだ」

 

「一応、支給品ってことでカートリッジを貰ったんでね。で、どっち?」

 

「仮分析だが・・・確実に日本とは別の変化をしているな。それも型すら違うとみていい」

 

「うわぁ・・・これ、予見してた子がいるよね」

 

「あぁ。だがカートリッジが手に入らなかったときはどうするつもりだったんだ?」

 

「なーんか、戦闘に紛れて酒瓶の中に撃ってみろってさ」

 

「酒・・・アルコールか。確かに電気以外で生きれる住処だからな。なーんで未成年が酒にたどり着いたんだか・・・」

 

「絶対初代二代の局長が付き合わせたからでしょ」

 

「まったくだ。で、今後はどうする?」

 

「あの子がいる特戦課に希望届を出すよ」

 

「・・・一応、止めておけと言っておく」

 

「?なんか変わったとか?特に東京防衛とかで」

 

「いや・・・絶対お前がこき使われることが確定しているからな」

 

そう雑賀譲二は一枚の紙をひらひらと見せた。それは配属希望書で希望先は特戦課。完全にスカウト気分であった。

 

「うわぁ・・・こき使われるだけで盾にはされない。そうだろ?」

 

「まぁな。あと個人的にアドバイスだ」

 

「何?」

 

「自分をどう呼ばせるかと課長の呼び方を考えておけ」

 

「どういうこと?」

 

「アイツは呼び方にリミッターを付けている。在りし日の情を思い出さないようにするために・・・」

 

「・・・やっぱり、釣り合ってないね」

 

「ま、気楽にな。それから先に死ぬんじゃねぇぞ」

 

「わかってら」

 

そういって雑賀雅道、雑賀譲二の息子は五課を出て行った。

 

「あれ・・・?」

 

で、特戦課に挨拶しようとドアのロックを解除しようとするもエラーが出てドアが開かず、透明なドアの向かい側で特戦課のメンバーが不審者を見る目で見ていた。指をさされてようやく気付いた凪島が珍しくダッシュでドアを解除しに行った。当然、他のメンバーは疑問符を浮かべていた。

 

「はいはいっと」

 

「お、凪島クン。息災で何よりだ」

 

「雅道さんもご無事で何より。親父さんに顔見せた?」

 

「もちろん。で、なんで頑なに入れようとしてくれないの?」

 

「あぁ・・・ココ、配属されないと入れないんだよ。基本的に」

 

「マジ?」

 

「だから飲んだくれが使ってるとこでちょっと・・・あれ、希望書持ってないってことは、来ないわけ?」

 

「あ、見本貰ってくるの忘れた。親父のとこでも話せる?」

 

「・・・多分、大丈夫じゃない?」

 

「というかいいの?課長が空けちゃって」

 

「とっつぁん、頼んだ」

 

「あぁ。雅道。元気そうで良かった」

 

「征陸さんもね」

 

そうやり取りが終わった後、二人は移動した。

 

「何者なんです?」

 

「研究五課の雑賀の息子だ。で、アメリカに行っていた三期生のリーダー」

 

「で、課長はいつ目つけてたんです?」

 

「確実に行く前にコンタクトをとってるだろうな」

 

「どうやって?東京防衛より前、つまり課長は一人の兵士なはず」

 

「そこは・・・俺も本気でわからん」

 

「課長、歩くブラックボックスだったりして」

 

「縢、わかった上で言ってるな?」

 

「凪島・・・はいないか。征陸。これを」

 

「局長?」

 

「アメリカからもたらされたデータだ。戦術には目を通したが、日本じゃ使えん規模だ。だが、事例や敵の行動など使える部分もあるだろ。分析しておけ」

 

「了解」

 

そう言って狭間は征陸にデバイスを手渡した。

 

研究五課

 

「どうです先生。分析の方は?」

 

「おい、バカ息子。コレ忘れて行ってどうすんだ」

 

「ゴメンゴメン」

 

「凪島。予想通り完全な型違いの代物に変化している」

 

「こっちで増産は?」

 

「可能だ。原種は日本産だが、アメリカで変種。その上さらに面白い変化を遂げている。これは確実にお前さんの予想外だぞ」

 

「・・・へぇ。なるほどね。こっちの方は?」

 

「増産できるが、予算のことや三種類もカートリッジを使うとなると複雑化させるか、一々切り替えるか・・・変種をB種、日本のA種とアメリカのB種をかけ合わせたら生まれたC種。機会があればB種とC種の黒個体への有効性実証を要請する」

 

「了解。んじゃ俺のドミネーターに突っ込んどいて」

 

「通常の方か?」

 

「そそ」

 

「ブレードの方はどうする?」

 

淡々と会話を続けるも、凪島は高速で端末を動かして三期生からの情報を見ていた。

 

「まだそのままで。で、雅道さん。あっちのドミネーターの図面まではわからなかったわけか」

 

「流石に軍事機密レベルだからね。でもちょっとぼやいてくれたよ。無駄が多すぎるって」

 

「だから適正無視が可能なレベルの量を量産したわけか」

 

「だけど、懸念事項が一つ」

 

「大統領か」

 

「そう。今の大統領は完全な自国民主義者。紛争で流れ着いた傭兵・難民への抑圧。うちらにはあからさまじゃなかったけど、前の大統領は何かと食事会を直々に手配してくれたけど、変わってからは軍がやっていたよ」

 

「まだ、アメリカは都市防衛は起きてないか。ゲートの潰し方・・・よくもまぁ環境団体を封じ込めたな」

 

「まったくだよ。潰せるだけ潰して、後は油の樽転がして内部を焼いてその後一気にコンクリで固めた。その後は音沙汰無しだから反論できないってことさね」

 

「よくもまぁ、官民問わず、機材や重機を集められたものだ。・・・ゲートに関しては完全に記述すらないな。軍はどう見ているかは?」

 

「そこは複雑でね。流石に内部に入ろうとすることはなかったけど、疑問視しているってとこか」

 

「大臣が書いた論文については?」

 

「支持はしているけど、鵜吞みにはしてないね」

 

「あっちで実戦はどのくらい?」

 

「大抵の作戦には参加したよ。だけど、軍の火砲も違うし、ドミネーターの数も違う。全く別次元の戦いだろうね」

 

「ならこっちは子供の遊戯会に見えるかもね」

 

「・・・やっぱ一期生がいないのがキツイってとこ?」

 

「・・・色んな意味で」

 

「こっちも書き終わった。後は事務に提出すればいいんだっけ?」

 

「あぁ。すぐに受理されるだろ。待ってるよ」

 

「あいよ。じゃぁ言ってくる」

 

そう言って雅道は書類を提出しに事務へ向かった。

 

「・・・アメリカはゲートの真実にたどり着くと思うか?」

 

「どうだろね。巨大生物を生物として見て、一応最初に有効打を見つけた日本を非難していない以上、今は大丈夫だろ。ただ、コンクリを使ったことはちと厄介だ」

 

「巨大蟻を構成する物質は土・岩石に含まれている成分に非常に類似して、その土地の土などの細菌もちらほら見える。となると、ゲートを潰せてない以上、コンクリが変化をもたらす可能性があるわけか」

 

「あえて日本じゃ使ってなかったけど、アメリカはまだデコンポーザーが無い。となると、後々面倒ごとが起きそうだ」

 

「そして、終われば暗黒時代に巻き戻る、か。皮肉ってレベルじゃないな」

 

「全くだ。俺も自分の課に戻ります」

 

「あぁ。息子を頼む」

 

「了解です」

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