半人半竜のヒーローアカデミア 作:十希
はじめに
皆様、いつも本作品をお読み頂き、誠にありがとうございます!今回は過去最高の9891文字!長い!長すぎる!でもどうしても纏められない!
そして、ついに本作のお気に入りが100件を突破しました!いつもお読みいただき、ありがとうございます
UAも10000に届きそうなのでこれからも頑張って執筆していきます!
お気に入りに登録してくれた下記の方
九澄清矢 猫丸 空良 サッポロポテトjs なかじww 揺紅 霙友紀
誠にありがとうございます!
それでは本編をお楽しみ下さい!
騎馬戦終了後
『それじゃ1時間程、昼休憩挟んで午後の部だぜ!
じゃあな!よし、イレイザーヘッド飯行こうぜ!』
『お断りだ。俺は寝る』
『ツレねぇなぁ…』
『本戦に出れなくて悔しいわ。三奈ちゃん、私の分まで全力で頑張ってケロ』
『梅雨ちゃん…うん。もちろん頑張るけど、私が本当に実力でこの場に立てているのかわかんなくて…』
『芦戸、あまり深く気にするな。』
『破竜君?』『破竜ちゃん?』
『どういう結果であれ、選ばれたメンバーはあの場で戦う権利を得ている。悩んでそれを不意にするのは選ばれなかったアイツらに失礼だ。俺らにできるのは全力を尽くす事。それだけだ』
『相変わらず、真っ直ぐね。破竜ちゃん』
『…うん!私も全力で頑張るよ!ありがと破竜君!』
『当たった時は容赦しねぇけどな』
『こっちこそ!負けないよ!』
『飯田君のあのスピード凄かったね!』
『あれは誤った使用法だからな…』
『ウチなら避けれる自信ないや…………』
『響香ちゃんの索敵も凄かったよ!最初の爆豪君の奇襲に気付いたとことか!』
『アイツの存在は目立つからね…』
そんな会話を交わしながら俺らは食堂へ向かう。ここでしっかり英気を養って本戦でも俺が勝つ。食堂につき、いつも通り生姜焼き定食を頼んで耳郎とご飯を食べていると
『破竜、少しいいか?』
『んぐっ…?心操、どうした?』
『その前に口拭きなよ…タレついてるよ』
そう言うと耳郎はティッシュで俺の口元を拭く。
『お、ありがと耳郎』
『少し聞きたいことがあってな。良ければ一緒に飯を食おうと思ったんだが…お取り込み中だったか?』
『俺は問題ないけど………』
と耳郎にチラッと目線を向けると
『ウチの事なら気にしないで?ヤオモモ達にも誘われてたし、席近いから一緒に食べてくる。ご飯終わったらこっちにきてよ。』
『わかった。悪いな耳郎』
そう言って俺は心操と2人で場所を移す。
『んで?何聞きたいんだ?』
『お前はあの時、俺に力に善悪はない。誰がどう扱うかと言ったな?』
『あぁ、言った。』
『俺の気のせいじゃなければいいが、あの言葉にはとても重みがあったと感じている。良ければお前のことを教えて欲しい。言いたくなければ別に構わないが……』
A組のみんなはなんでかわかんないけど、俺の過去に触れてくる人はいなかった。でも心操は知りたいタイプなんだな。少しだけならいいか…
『詳しくは言えない。けど、この言葉に俺は救われたんだ。俺はこの力を誰かを守る為に使うと決めた。最初にそう思ったのは耳郎だろうな。入学試験の時にアイツを助ける為に初めて人前で竜変身したのがきっかけだったから。』
『お前はこの力を恨んだりしなかったのか?』
『恨んだ時期はあったよ。でも今はこの力があるから守れる人がいる。心操もそう思えればいいなと俺は思ってるよ』
破竜…やっぱ鋭いよな。俺の心の中を見透かして来るようなそんな不思議な感じがする。
『そうか。ありがとう、有意義な時間だった。』
そう言って心操は普通科の所に戻ろうとする。
『こちらこそだ。心操…』
『ん?なんだ破竜。』
『………負けるなよ』
『……………もう負けるつもりはない』
そういって今後こそ心操は戻っていく。さて、そろそろ俺も耳郎達のところに戻ろうかな。少し歩くと耳郎達がいたが…
『お待たせ。耳郎』
『あ…破竜ごめん!ウチら少し用事あるから先に会場に戻ってて!!ホントごめん!』
そういうや否や、耳郎はクラスメイト達と共に走り去っていった。まぁ…しょうがないかと考えていると轟が話しかけてきた。
『破竜…少しいいか?』
今度は轟か…随分と賑やかな昼休みだな……
轟曰く、誰にも聞かれたくない話という事で誰もいない1年A組の教室内に移動する。
『悪いな。忙しい中、呼び止めて。』
『気にしなくていい。どうせ暇だったし』
『そうか……』
そう言うと轟は黙ってしまう。俺からも特に話す事はなく、ただただ静寂だけがその場を支配する。しばらくして轟は信じられない事を言い出す。
『お前は自分の生まれを呪った事はあるか?』
『はぁ…??』
どう言う事だ?俺の過去の事を轟が知るはずがない。そう考えればこの質問は轟自身の事…
『なんでそんな事を聞く?』
『俺の親父のことを知ってるか?』
『轟の親父…
確かNo.2ヒーローのエンデヴァーだったな。』
『そうだ。俺の親父はクソ野郎だ』
そこから先、聞いた事は驚きの連続だった。
轟自身の生まれ、家族との確執、母親との離別。
父親からの期待と呪い、轟なりの父親への復讐を。
『なんで俺に話した?』
『俺はアイツのやり方を…お母さんだけの力でも勝てることを証明する為に戦っている。破竜、お前は強い。だけど俺には負けられない理由がある。だからお前には負けない。負けるわけにはいかない。そう言いたかっただけだ。』
そう言って轟は踵を返して戻ろうとする。
『待て、轟』『なんだ?破竜』
俺にこいつの気持ちはわからない。わからないけど
『お前、本当にそれで良いのか?』
その瞬間、轟の周囲が凍てつく。
『どういう意味だ…!!!!!!!』
『言葉通りさ。お前は父親との確執から炎を使うのを頑なに拒んでいる。それを咎めるつもりはない。理解はできるから。でもさ…お前がどんだけ否定してもそれはお前の力なんだ。父親でも母親のものでもないお前だけの力なのに、それが復讐にしか使われないなんて寂しいだろ……』
『…………………………何がわかる…お前に』
『俺はお前じゃねぇからわかんねぇよ』
そう言って俺は轟の横を通りすぎて会場に戻る。
『………お前に………何がわかる……………』
そう呟いた様な気がして後ろを振り返ると
轟はもういなかった。
ふぅ…ギリギリ。思いのほか長くなっちゃったな。
『予選落ちの皆へ朗報だ!あくまで体育祭!ちゃんと全員参加のレクリエーションも用意してるぜ!アメリカから本場のチアも来て…なんだありゃ?』
『みんな何してんの?』
『どーしたA組!?どんなサービスだそりゃ!』
疑問に思った俺が声を上げるのと同時にプレゼント・マイクの声が響く。その視線の先には何故かチア衣装を着たA組女子達がいた。
まさか……さっき言ってた準備ってこれか?
明らかにみんな知らなかった!って顔してるし…誰か犯人がいるはず…そこにはニコニコした笑顔でポーズしていた峰田と上鳴の姿が。
『オメェらかよ、犯人』
『峰田さん!上鳴さん!騙しましたわね!?何故こうも峰田さんの策略にハマってしまうの私は……』
八百万は真面目だからな…しょうがない。
確かに驚いたけど、全員見事に似合ってるな。あれ…そういえば耳郎がいない。クラス全員着てるなら耳郎もいるはずなんだが…
『あ!響香ちゃん隠れないで!!!』
『ホ、ホントに無理ぃぃ…似合わないって!』
『ダメだよ!私達も恥ずかしいのに響香ちゃんだけ逃げるの反則!それに破竜君にも見せてあげたら!?』
『何言ってんの麗日!?』
ギャーギャー言いながらも物陰から出てきたのはチアの衣装を着て手にポンポンを持っていた耳郎の姿。恥ずかしいのか顔もプラグも真っ赤に染まっていた。
『あ、破竜くん!』『破竜ちゃんよ』『ちょっ!ホントに呼ばないで!恥ずかしいから!』
麗日と梅雨ちゃんに呼ばれる。
うわぁ…目のやり場に困る。
『『 ねえ!耳郎ちゃん似合うと思わない!? 』』
そう言って俺を耳郎の目の前まで連れていく。なんなんだこの…嬉しいけど複雑なこの感じ…
『は、破竜?似合ってないからあんま見ないで…///』
『そ、その凄く似合ってる…俺は可愛いと思うよ…//』
ヤバい、ストレートに言っちゃった。
『んな…// へ、変な事言うなバカ…//
でも、お世辞でも嬉しいよ………ありがとう』
『お世辞じゃねぇんだけどな……』ボソッ
『ん?なんか言った?』『なんでもない』
そんな周りが見てるだけでもお腹が一杯になりそうな…恥ずかしくなるようなやりとりを見ていた峰田は
『なぁんでオイラには春が来ないんダァァァ!!!!このイケメン鈍感ドラゴン野郎が!目の前でラブコメやってんじゃねぇぞ!!』
ひでぇ言い草。全国放送されてんのに…
いや…その前に
『つーか、オメェらが女子達騙してる時点で大問題なんだよ!大馬鹿野郎どもが!全国放送のテレビの前で公開説教してやる!そこに座れ!!!』
その後、試合の組み合わせ抽選会までの間、ステージ横の端の方でA組女子達を騙した峰田と上鳴を延々と説教する破竜の姿が全国放送された。
『さぁ!レクリエーションが終わったら最終種目!4チーム総勢16名からなるトーナメント形式!一対一のガチバトルよ!』
ようやくか。この馬鹿共の説教はここまでにしよう。
『トーナメントかぁ〜…毎年テレビで見てた舞台に遂に私が立つんだあ…』
『ん?去年、トーナメントだっけ?』
『形式は違ったりするけど例年サシで競ってる。去年はチャンバラしてたはずだけど…』
『俺の木刀がダメなったのそれのせいじゃ…』
俺が密かにショックを受けていると
『それじゃ組み合わせ決めを行うわよ!組が決まったらレクリエーションが終わり次第、順次試合を開始します!まずは一位の破竜チームから!』
指示に従い、俺達は順番にくじを引く。
『抽選の結果、試合は次のとおり行います!』
第一試合 緑谷VS心操
『緑谷…あいつか…』
『轟君からハチマキを奪った…油断できない!』
第二試合 轟VS瀬呂
『瀬呂か……』
『轟かよ!!でも負けねぇぜ!』
第三試合 破竜VS尾白
『まさかいきなりとはね……』
『俺の相手は…お前かよ……』
第四試合 飯田VS発目
『発目さん?確かサポート科の…』
『おやおやー!!あなたが飯田さんですね!実は…』
第五試合 耳郎VS常闇
『常闇が相手…アイツと戦うまで負けてたまるか!』
『誰が相手でも全力を尽くすのみ』
第六試合 八百万VS上鳴
『上鳴さん、負けませんわ!』
『へっ!俺だって同じだ!負けねぇよ!』
第七試合 芦戸VS切島
『切島となんてね…同中だけど手加減しないよ!』
『俺の台詞だ!手加減なんてしたら承知しねぇぞ!』
第八試合 爆豪VS麗日
『あぁ""ん"!?麗日?』
『ひぇー…爆豪君か…』
『よーし、それじゃあトーナメントの事はひとまず置いといて、楽しんでこーぜ!!let's レクリエーション!』
レクリエーションが始まると同時に俺は観客席から外れたところで1人で尾白との対戦について考え込む。
尾白は尻尾の攻撃も勿論だが、格闘技術が全体的に高い。近接戦で分が悪くなった時のこと考えとかないとな。とは言え、考えすぎてもダメか。少し寝よう。そう言って俺は目を閉じる。
『…お………ぃ……………お……き……ろ…………』
なんだ?この声は……
俺が目を開けると周りは見渡す限りの闇が広がりながらも俺の周りだけ光の柱で囲われている様な不思議な空間にいた。そしてそこには丸い形をした様々な色のものが目の前に現れた。
『なんだ…こりゃ…って、いや…コイツら』
俺は一瞬、コイツらがなんなのかわからずに警戒するが、すぐに警戒を緩める。すると塊の中の一つが話しかけて来る。
『ようやく起きたか?我らの主よ』
『…………なんの用だ?俺のジーン達』
そう、コイツらは俺が普段使うジーン達だ。何となく知覚はしていた。でも、話すのは今回が初めてだ。今までこんなことなかったのに…
そう思っているとたくさんの声が聞こえてくる。
『運命が捻じ曲がってきた。本来交わるはずのない2つの魂が引き合う様に…』
『あぁ?いきなり何言ってんだ。わけわかんねぇ』
『戦いが迫っているぞ?主にとって大きな戦いが』
『体育祭の事か?今、集中してんだから邪魔すんな』
そんな中、圧倒的な存在感を持つ声が俺に
『強くなれ、破竜真人。主が望むなら我らは力を貸そう。世界を滅ぼせる竜の力を』
『いらねぇよ、バカが』
『なら、何を望む?主の願いは何だ?』
願い?んなもん、決まってる。
『俺の望みは…俺の目の前で助けを求める人達を守り、救える力だ。世界を滅ぼす力なんていらない。その為に俺は強くなってんだ。』
そういうとジーン達はまるでお前ならそう言うだろうなと言わんばかりに笑い出している様な雰囲気になった。なんかイラっとすんな!
『そうか…主の想像通り、竜変身にはまだ先がある。それこそ主の知らない力が…いつかその力に主が飲まれぬよう、我らは中からできる限り助けてやろう』
『はぁ!?お、おい!待てよ!いきなり現れて何なんだよ!テメェら!よくわかんねぇこと吹き込んで消えてくな!お……い待て……って…』
そのまま空間が崩れる音がする。
『待てっつってんだろ!!テメェら!!!』
『『うわ!?びっくりした!!!』』
目の前には耳郎と八百万がいた。
『耳郎に八百万?どうした?』
『アンタがそこで寝てたから声かけようと思って…もしかしてなんかあったの?』
『…………いや気のせいだ。気にすんなよ』
そう言って俺は2人と観客席に戻る。さっきのやつが何だろうと今すべきことは変わらない。体育祭で全員下して優勝する。それだけだ。
観客席に戻ってきた俺らは第一試合の緑谷VS心操の予想をする事になった。
『破竜は一回戦、どうなると思う?』
『個性さえ発動すればほぼ心操の勝ちだ』
『ほぼってどういう事?』
『相手は意外性と分析の緑谷だぞ?何が起こっても不思議じゃない。それこそ洗脳を弾き返す可能性も…』
『流石に弾き返したら驚きだよ………』
『一回戦!
成績の割になんだその顔
1年A組 ヒーロー科 緑谷出久!
VS
騎馬戦で活躍を見せた普通科の星
1年C組 普通科 心操人使!』
ルールは相手を場外に落とすか行動不能にする、もしくは降参させれば勝ちのガチンコバトル。命に関わる場合は観客席の教師陣が止めに入るらしいが…
『そんじゃ第一試合、READY START!』
開始と同時に緑谷は先手必勝とばかりに駆け抜けるが、心操の口元が動いたのが見えた。
『緑谷…かかったな』『うん…』
『そのまま後ろを向いてステージを出ろ』
緑谷はそのままステージ外に向かって歩き出す。
こんなもんか…俺を倒すんじゃなかったのか?
そう思っていると…
『? アイツ…どこを見ている?』『え?』
緑谷はステージ出入り口に目が釘付けになっている様に感じる。でもそこには誰もいない。何だってこんな時に…次の瞬間!緑谷の左手が突然凄まじい勢いで空気を弾き、暴風が巻き起こる!
土煙が晴れたその場所には、ラインギリギリで踏みとどまった緑谷の姿があった…
『緑谷!!踏みとどまった!!?』
観客席の熱量が一気に最高潮に達する。
『アンタの言った通りになったね……』
『にしても予想外すぎる。なんつー無茶を……』
ステージ上では緑谷がここぞとばかりに攻勢をかける。心操は緑谷の格闘技術とコンビネーションになす術もなくやられていく。
『心操……』
俺は知らないうちに彼の名前を呼んでいた。たった一度同じチームになっただけだが、負けてほしくない…
『はぁ…はぁ…はぁ……』
くそ…強い…洗脳が解かれるなんて想定外だ…なんとしてでも勝ちたい…でも…周りは俺が勝つ事なんて一ミリも…ふと観客席を見ると破竜が俺を見ていた。その目は負けるなと言わんばかりの強い瞳だった。
『緑谷だったな………』『………………………』
『答えなくて良い。俺はお前に必ず勝つ!俺がヒーローを目指しても良いと…俺が嫌いになったこの力を…俺の力を認めてくれた奴の為にも負けたくない!』
『心操君………それは僕も同じだ!』
そう言うと心操は雄叫びを上げながら緑谷に接近する。その姿はまるで勝つことを諦めないヒーローの様だった。
だけど、現実は非情だ。心操渾身の一撃は緑谷に捕まれ、背負い投げで地面に叩きつけられてしまう……
薄れゆく意識の中で心操は緑谷に呟く。
『俺は……ヒーローになるんだ……ヒーローになって…アイツの隣で……一緒にヒーローを…………』
そのまま、心操は気絶してしまう。
『強かった…でも負けるわけにはいかないんだ!』
『心操君!戦闘続行不可能!緑谷くん二回戦進出!』
うぉぉぉぉぉ!!!と観客席が盛り上がる。初っ端からハラハラする試合を見せられたA組の面々はホッと安心したような表情で緑谷に声援を送っていた。
『負けちゃったね、心操。』
『あぁ。でも、アイツの戦いはアイツ自身が憧れていたヒーローそのものだった。いつかヒーロー科に来るの期待して待ってるよ』
そんなことを話していると
『破竜、先に行ってるぞ?』
尾白は緊張を隠せない表情をしながらも俺にそう伝えて先に控え室に向かった。
『あぁ…俺もそろそろ行こうかな』
まぁ、何事も早い方がいいだろうと判断して席を立つ。すると俺の頬を耳郎がプラグでつんつんとつつく。どうしたの?と聞くと笑みを浮かべて一言。
『破竜…応援してる。負けんなよ?』
「!? フッ…おう。負けねぇよ』
そう返して俺は控室へと向かった。
『ふー………思ったよりも緊張すんな』
もうじき出番が来る…
どうやら瀬呂と轟の戦いは一瞬で決着がついたらしく、思っていたよりも早く出番が回ってきてしまった。さっき聞こえた『ドンマイ』コールってなんだったんだろうか…
『すぅ……ふぅ………。よし、いくか』
大きく深呼吸をしてからステージに出る。向かいには尾白が既に臨戦体制で俺のことを待っていた。
『待たせたか?』
『いや、問題ない。負けないぞ』
『こっちのセリフだっつーの』
軽くやり取りを交わして試合開始の合図を待つ。
『さあステージを乾かして次の対決!
首席合格は伊達じゃない!?
体育祭でも圧倒的な存在感を見せるドラゴンボーイ!
1年A組 ヒーロー科 破竜真人!
VS
地味ながら誠実で大人な対応にギャップ萌え多数!?
尻尾を使った格闘戦は見応え抜群のテイルマン!
同じく1年A組 ヒーロー科 尾白猿夫!』
…………俺の紹介も大概だけど、尾白の紹介に関しては本人に事前に確認を取るべきでは?と場違いな事を思ってしまう。念の為、尾白を見てみるとなんとも言えない表情をしていた。可哀想に。
『それじゃあ始めるぜ。
第三試合 READY START!!!!』
試合開始の合図と同時にお互いに駆け出すと
俺は拳を尾白は尻尾をど真ん中でぶつけ合う!
『ッッッ!!やっぱかてぇ…』
『危なかった。やはり格闘戦も強い!』
尾白は体を回転させながら尻尾で薙ぎ払うが、俺は尾白の尻尾を紙一重で躱しつつ、攻撃を加える!拳で脚で軽いダメージこそ入るがどうしても完璧な一撃を加えさせてくれない。急所のガードがうめぇ…
『随分と余裕だな!破竜!』
そう言うと尾白は尻尾を起点に空中に回転して
『尾空旋舞!』
『ッッ!あぶねぇ!』
俺は咄嗟にバク転を繰り返して避難しつつ、攻撃の隙にサマーソルトキックで尾白を後退させる。竜変身した状態での空中戦なら問題ねぇが、地上戦なら引き出しの数が違う。流石だ。
俺と尾白は距離を保って対峙し、お互いの出方を待つ。すると俺達のハイレベルな格闘戦を観た観客達がうぉぉぉぉぉぉ!!と歓声を上げる!
チッ…本当に厄介だ。
『どうした?格闘戦は終わりか?』
尾白が珍しく煽ってくる。多少手荒になるが許せ!
『今のは様子見でしかねぇぞ?こっからだ!』
そう言って俺は風の力を引き出しつつ、尾白に迫る!さっきよりも上昇したスピードで迫る拳と脚の連撃を尾白は喰らいながらも何とか捌いていくが、徐々に押し込まれていく。
『どうした!?オメェの力はこんな程度か!!』
『くっ……これで決めるしかない!』
尾白は攻撃の嵐を躱しつつ、後退する。俺はそれを見てチャンスだと思って全力の蹴りを放つ!
『うぉぉぉぉぉ!!!』バシン!!
俺の全力の蹴りを尾白は尻尾で弾きつつ、その勢いで空中へ!そしてその勢いのまま尻尾を振り下ろす!
『終わりだ破竜!尾空烈断!!!!』
が…………………
『お前ならそうすると思ったよ』
その瞬間、空で雷光が光る
『ババル!!!!!!!』ドォォォン!!
『ぐっ……あぁ………』
無防備な空中で稲妻を喰らった尾白は
そのまま地上に倒れてしまう。
『すぅ…ふぅ……俺の勝ちだ。尾白』
『尾白君!戦闘続行不可能!破竜くん二回戦進出!』
その声と同時に会場が沸き立つ。尾白はいまだ雷の影響なのか起きることができない。俺はそんな尾白にあえて声を掛けず、そのまま控え室に戻る。
その道中、曲がり角で誰かにぶつかる。
ドンッ!!
『あ、すみません!』
そう言って視線を上に向けると、そこには燃え盛るひげを蓄えたガタイの良い男。そして現時点でオールマイトに次ぐ日本屈指のヒーロー。
『アンタは……エンデヴァー……』
『ん?すまないな。余所見をしていた。貴様は確か……破竜だったか。今年首席の…クラスではアレが世話になっている』
見た感じは普通の人だ.。対応も。でも俺は何か…
目の前のこの人から異様な雰囲気を感じとる。
轟から聞いた話のせいだろうな。
『先程の戦い見ていたぞ。順調にいけば準決勝で焦凍と当たるが、その程度ではアレの相手にはならん。アレは俺の最高傑作だ。精々、アレの成長の為の糧になってくれ』
そう言って俺の横を通り過ぎるが…
『ハッ!確かに手は抜いてねぇし、本気で尾白とはぶつかったさ。だがな、アレが全力だとでも?オールマイト先生と違って随分と結論を出すのがはえーんだな。No.2さん?』
『貴様………焼き殺されたいのか?』
そう言うとエンデヴァーの周囲の炎が燃え上がる。いやいや、ちょっと熱いんですけど……
『最初に仕掛けてきたのはアンタだ。いい歳した大人がガキの戯言にマジになんなよ。アンタが何かするってんなら俺も抵抗するけど』
『『 ……………………………………』』
俺らはお互い睨み合うと、エンデヴァー側から空気を少しだけ緩めてきた。尊大な態度は変わらないまま
『まぁいい。アレに無様に負けるの見ていてやる。』
『そうか…なら、しっかり見届けて帰る事だな。アンタのお気に入りが俺に負ける様をよ。』
そう言って今度こそ、俺は控え室に向かう。
『みんなただいま……って何だコレ?』
『一回戦突破おめでとう。コレについてはウチらもよくわかんないよ…一つ言えるのは飯田が可哀想ってことくらい』
ステージを見るとそこには
『この対ヴィラン用網射出銃は、簡単操作でホラ! 暴れまわるヴィラン相手でもお手軽に拘束することが出来ます!これは…』
『いったい何なんだ!これは!!!!!!!!!』
観客席からでも確認できる程の飯田の絶叫と憤慨した表情、マイクを使って自身のベイビーことサポートアイテムの紹介を全力で行う…今後確実に絡みたくない人が雄英体育祭をテレビの通販番組に変えていた。
『はぁ………………なんか疲れる』
『奇遇だね、ウチも』
まさかだと思うが飯田の奴、試合開始からコレやってんの?と聞くと耳郎からそうだよ…と諦めの口調で回答が返って来る。
『破竜、ウチそろそろ控え室に行って来る』
そうか…もうすぐ試合だからな。
『さっきの言葉、返しておくよ。
応援してる。負けんなよ?耳郎』
『うん…がんばる!』
そう言って耳郎は控え室に向かった。
耳郎の相手は常闇。近接戦に持ち込みたい耳郎と近づけさせたくない常闇。ぶっちゃけ黒影がズルイな。1人で2人相手にしてるようなもんなんだから。耳郎には苦しい戦いになるだろうが頑張ってほしい。
しばらく、通販番組もとい発目さんのサポートアイテム紹介タイムを見届けているともう思い残すことはないと言って自主的にステージを降りて退場してしまった。
これには流石の飯田も『嫌いだぁあ君ー!!』と叫ぶしかなく、なんとも締まりのない四回戦目となった。
???サイド
テレビには雄英体育祭の三回戦目が映っている。そこには破竜と尾白の格闘戦を始め、最終的な勝負の明暗を分けたシーンを何度も確認している男がいた。
『やっぱりコイツ…そうかそうか……ククッ』
その男は破竜の姿を見て何度も笑っている……がその顔は笑顔ではあるものの、まるで憎悪を剥き出しにした異常な表情だった。
『ここにいたのかい、???』
『あん?アンタまで何でここにきた?』
『君が興味を持っている破竜真人とやらが気になってね。どんな個性なんだい??』
『節操のねぇ野郎だ。先に言うがコイツの個性は例えアンタでも奪えないぞ?いや、奪っても意味がないが正しいけど』
『ん?どう言うことだい?何か知ってるのかい?』
『教えてやらねぇよ、バカが』
そう言って???はその場を離れる。
薄暗い廊下を歩きながら彼は呟く。
『面白いじゃん、破竜真人。だが、まだ俺には遠く及ばねぇ。くくく…はっはっはっは!!でも早く会いたいナァ……』
闇は目に見えない所で膨張を続ける。破竜も…いや、他の誰も気づかない所で最悪の悪意は彼に牙を剥く為にひたすらにその刃を研ぎ澄ます。
いつか起こる最悪の戦いの時に。
あとがきです
今回は一回戦の半分まで行いました!次話で何とか二回戦目もしくは準決勝…いや、決勝まで書きたいけど…うん、無理ですね。とりあえず頑張ります。
それと皆様、アンケートのご協力を頂き、誠にありがとうございました!その結果は下記の通りになります。
必要:34件 不要:4件
となりましたので、映画の話も時系列を合わせながら執筆していきたいと思います!映画とはいえ、その中では破竜君の過去にも多少触れていきたいと考えています!矛盾が出ないように頑張らなければ…
※特にまだ考えていない人
それともう一つ。この雄英体育祭をが終わった後には職場体験があるのですが、そこのヒーロー事務所先をどうするか考えています。こちらもアンケートを出しますのでご回答頂ければ幸いです!選択肢の他を選んだ方はどのヒーローがいいか感想等で頂ければ幸いです!
次回予告
『アイツの隣を歩く為にもここで負けるわけにはいかないんだ…だから負けたくない…』
『全力で来い!』
『兄の為にも負けられない!』
『俺はどうすればいいんだ…俺は…』
次回!
半人半竜のヒーローアカデミア
『瞬き厳禁!?刹那の攻防!』
『飯田…これがお前の弱点だ。』
更に向こうへ!Plus ultra!!!
破竜君の職場体験先はどこがいいですか?原作キャラ達の所か私が作ったオリジナルのキャラの所か!
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轟と一緒にエンデヴァー
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常闇と一緒にホークス
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爆豪と一緒にベストジーニスト
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緑谷と一緒にグラントリノ
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飯田と一緒にマニュアル
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切島と一緒にフォースカインド
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八百万と一緒にウワバミ
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耳郎と一緒にデステゴロ
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峰田と一緒にmt.レディ
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麗日と一緒にガンヘッド
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梅雨ちゃんと一緒にセルキー
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他(リュウーキュウ等)
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オリジナルヒーロー