半人半竜のヒーローアカデミア   作:十希

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はじめに


皆様、いつも本作品をお読み頂き、誠にありがとうございます!

投稿が遅くなってすみません。何とか書き上げる事ができました。なぜかわかりませんが、ここに来て体調不良が続いてます。でも、頑張ります。



お気に入りしてくれた下記の方


バンドリ 女媧 こうこ 創風


本当にありがとうございます!


また、いつも誤字報告してくださる方ありがとうございます!
感想や評価もぜひお待ちしてます!


それでは本編をお楽しみ下さい!



『怒りと憎しみの超覚醒…全てを破壊する力』

 

 

『主よ!くそっ…ダメだ。完全に飲まれている…』

 

『ねぇ…主はどうなっちゃったの!?ねぇってば!』

 

パワーの呼びかけに反応しない破竜を見て、ウィンドが涙目で他のジーン達に話しかける。

 

『俺らだって想定外だ!まさかこのタイミングで

『トランス』と『ダーク』の力が覚醒するなんて…』

 

破竜の内側にいるジーン達は憎悪に身を焦がす主に何度も何度も呼びかけるが本人からの反応は一切ない。

 

『それにしても…これが主だとでも言うのか?今、心の中を占めているのは曇りない殺意だけだ…。』

 

『それほどあの2人が大事だったってことだろ。にしても、あのロードとかいう奴…』

 

『あぁ、残念だが、どう足掻いても現時点の主はアイツに勝てない。それほどに力の差がある…。』

 

パワーが全員の意見を纏めるとアイスが憂いを帯びた声で語る。

 

『皮肉なものね…。私は主に怒りと憎しみなんて味わって欲しくなかったのに奇しくもそれが主の求める力を目覚めさせるきっかけになるなんて…』

 

ジーン達はそれを聞いて全員がだんまりしてしまう。

 

『とりあえず!我らはこれ以上、主が力を全開放しないように留めることだけを考えろ!このタイミングで完全解放して暴走なんかされたら……世界が滅ぶぞ!!!』

 

 

『『『『  わかってる!!! 』』』』

 

 

ジーン達は破竜から溢れ出る力への渇望と憎悪を抑えようと奔走する!

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

廃倉庫の裏に隠れている耳郎、八百万、轟の3人には破竜の突然の変化に全員が戸惑っていた。

 

『この状況は流石にまずいですわ…』

 

『プロヒーローが2人瀕死ってだけでもやばいが…』

 

『破竜どうしちゃったの…』

 

耳郎達が見つめる先には瀕死のレイとリューキュウを見て、怒りに震える破竜の姿。今まで怒ったのを見た事がないわけではない。ないわけではないが、その時と今の様子があまりにも違いすぎるのだ。

 

まるで…憎悪に身を委ねたような。どちらかといえばヒーローではなく、敵に近しい雰囲気になりつつあると感じていた。

 

ブチギレている破竜は構えながらいつでも襲い掛かれる体制になっていた。そんな破竜の目の前にいるロードはニヤニヤとしながらも驚きの表情で見つめる。

 

『面白いやつだ。怒りと憎しみが奥底で眠っていた力を引き出してきたのか…』

 

あぁ"ぁぁぁぁ!!!!!

 

『そうだ!コイツらをバラバラにすればもっと力が引き出されるかもしれな『がぁぁ"ぁぁぁ!!』!?』

 

 

 

 

DOGOOOOOOOM!!!!!

 

 

 

破竜を更に苦しめようと考えていたロードは突如として力と速度が上がった拳を受け止めきれずに吹っ飛ばされてしまう。破竜は2人のそばに降り立って改めて2人を確認する。

 

 

レイニイサン…リューキュウサン……!!

 

 

その姿は普段とは違い、少しずつ体全体が青黒くなっており、目は赤く染まっていた。言葉もカタコトになり、ただ2人の名前をつぶやくばかりで、その姿はもはや人と呼べないほどのものになっていた。

 

 

BOOOOOOM!!!

 

 

『いいじゃねぇか…ククク…ははははは!!』

 

ギリッ…がぁぁぁぁ!!!!!

 

その笑い声が気に食わないのか破竜は再度接近してロードに肉薄する。

 

『ハッ!多少強くなった程度で俺を殺せるかよ!』

 

がぁぁぁぁぁ!!!!

 

2人は高速で拳を打ち合いながら、上空を高速飛行する。先ほどまでとは違い、何とか戦いの形にはなっていたが…

 

『それでも…俺にはまだ遠いな!!!』

 

 

ドゴッ!!!

 

 

『ぐぁぁっ!!!!』

 

『しねぇ!!!!!』

 

 

 

DOGOOOOOOM!!!

 

 

 

 

ダブルスレッジハンマーで地面に叩きつけられた破竜は砂煙を吹き飛ばして上空にいるロードを睨みつける。

 

ハァ…ハァ……ハァ…………

 

息を切らす破竜の頭の中に知らない声が聞こえてくる。

 

『(力を貸してやろうか?)』

 

ハァ…ハァ………ハァ…………!!

 

力が……欲しい……奴を殺せる力が……………!

 

『(なら、全てを俺に委ねろ。そうすれば今のお前の願いを叶えるための力を貸してやろう。)』

 

破竜の頭の中にイメージが浮かんでくる。それはジーン達と話した時のあの暗い世界。だが、唯一違うのはあの時とは違って自身が下に落ちそうになっているのをジーン達が引っ張り上げようとしている。

 

『(委ねろ…破竜真人)』

 

真下の暗闇から俺を呼ぶ声がする…。

 

『(失ってからでは遅いぞ?今度はお前やこの2人だけじゃない。耳郎や轟、緑谷や他のクラスメイト、先生すらお前が躊躇したせいで失うことになる。)』

 

俺の脳裏にA組のクラスメイト達、みんなの顔が浮かぶ。俺が手を伸ばすと、その後ろからロードの腕が伸びて全てをガラスのように打ち砕いてしまった。

 

『(ソユナコトハサセナイ…オレガ……!)』

 

『ダメだ!!!主!!!』

 

『そこに行ったらアナタは!!!』

 

『戻ってきてくれ!!!』

 

『そんなジーンのいう事を聞くな!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヤツヲコロス

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リュウヘンシン

 

破竜はジーン達の制止を振り切って闇の中から自身を呼ぶジーンの力を解放する!

 

 

 

 

『っぐ…がァァァァァァ!!!!』

 

 

 

 

キィィィィィィィィィィィィィィン!!!

 

 

 

 

光が破竜を包み込むと、その光は一つの柱となって神野一帯を明るく照らし出す。

 

『なんなの……この光…』

 

『夜のはずなのに…』

 

『太陽が周りを照らしてるみたいだ…』

 

後ろで見ていた耳郎達はその光がまるで太陽のように明るいものだと感じていたが、前線で戦っている3人だけは違う感想を抱いていた。

 

『これは…………………』

 

『あれは……破竜少年!だ、だが…いつもの竜変身とはまるで違う…。』

 

『ロードと同じ個性だとは聞いていたけど、完全に同じ個性というわけではなさそうだね…。』

 

ロード、オールマイト、オール・フォー・ワンは今までとは明確に違う破竜の竜変身の変化を感じ取っていた。

 

辺りを照らす眩しいほどの光が少しずつ収束していくと、その光の中に竜の影が見えてくる。

 

『おいおい……マジかこれ』

 

ロードは光の中から現れたソレを見て、初めて動揺を見せる。そこにいたのは青黒い体躯に真っ赤な瞳が特徴的な大型のドラゴンだった。

 

 

 

『ギャァァァァァァァァァ!!!!』

 

 

その咆哮は神野の一帯にいる全ての人間を威圧する。

 

『なにッ…これ……!!!』

 

『叫んだだけなのに…これほどのッ…!!』

 

『あれが……破竜だって言うのか…?』

 

オールマイトは破竜のその姿を見て5年前に破竜と修行した時のことを思い出していた。

 

『(破竜少年。君の個性制御の暴走はほぼないと言ってもいい。あれは竜の力を引き出す程の強い感情を押さえつける精神力が無かったから顕現したものだからね。今の君なら大型へ変身しても精神力で押さえつけることができる。) これが…竜変身の先の力なのか…!これほどの力を引き出す強すぎる感情が破竜少年の精神力の殻をあっさりと突き破ってしまった…!』

 

『これはすごいねぇ…まるでロードのようじゃないか。とてもヒーローとは思えないほどの殺意だ。』

 

各々がその姿を見て驚愕する中、

ロードだけは違った。

 

『カイザードラゴンか…?まさか、怒りと憎しみでここまでの力を…ククク。いいじゃねぇか!!』

 

皇帝竜の名を冠する竜変身。カイザードラゴンに変身した破竜は自身の中から溢れ出る感情に飲み込まれてしまっていた。

 

『(あ…が…。なんだこれ…。ずっと頭の中に殺意しか……。違う。殺意だけじゃねぇ…。全部を…………目に映るもの全てを壊そうとする意志が…意志だけがッ!!俺の…体も…心も…支配するッ!!)』

 

『あァん?』

 

 

『グルォォォォォォォ!!!!』

 

 

破竜の口に高密度の核エネルギーが溜まっていく。

 

『破竜少年ダメだ!そんなものここで撃ったら…!』

 

『(だめ…だ…体が…いう事…効いてくれない!』)

グゥ…グルァァァァァ!!!!!(カイザー……ブレス!!!!!)

 

 

ゴオオオオオオオオオオ!!!

 

 

破竜の意志とは無関係に全てを消し去る竜の咆哮がロードめがけて放出される!その破壊的とも言える一撃をロードは真っ向から受け止める!

 

『うぐおッ…!!ぐぐぐぐぐ………』

 

 

ズサッ……

 

 

『バカな……この俺が…押されて……!!』

 

グルォォォォォォォォォォォ!!!

 

『やべぇッ!!!!』

 

 

 

 

 

DOGOOOOOOOOM!!!!

 

 

 

 

 

破竜のカイザーブレスは格上のロードを飲み込む威力を見せるが、その威力の凄まじさ故の弊害も同時に生んでいた。

 

『(……俺が…やった………のか……これを)』

 

狼狽する破竜の目の前には塵となった神野の街並み。

その一角がたった一度の竜の咆哮が全てを

奪ってしまった。

 

『うそ…』

 

『あんなのが街に直撃したら……』

 

『この辺り一帯が消えるぞ……』

 

『…凄い個性だ。僕も欲しくなっちゃうなぁ。』

 

『破竜少年……』

 

『(欲しかったんだろう…?みんなを守れる力が)』

 

破竜の頭の中にまた声が聞こえた。

 

『(が…ぁ…また……こい……つ…。だ…めだ…意識が…このジーン…に飲まれて…いく…』

 

『(お前は俺を使えるほどの器はなかったってことだ。面白そうだから力を貸してやったっていうのに…)』

 

『(うる…せぇ!!!)』

 

必死で抵抗する俺の足を何かが掴んで闇の中へ引き摺り込んでいく。光すら届かない真っ暗な世界へ。

 

『(もうだめだ…何も考えられない…。ただ目の前のものを壊すことしか…目の前の奴を殺す事しか…)』

 

『(安心しろ、次に目覚めた時に全てが終わっている…。周りがどうなってるかは知らないがな。)』

 

『(くそ……飯田…緑谷……轟……耳郎…)』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ごめん……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ぐぎゃあぁぁぁぁぁぁ!!!!』

 

叫び続ける破竜は再度、全てを消し去る竜の咆哮(カイザーブレス)を放つ為に口を開けて核エネルギーを口元に集約させる。

 

『待て!ロードはまだどこにいるかわからないんだぞ!?まさかロードごとこの一帯を吹き飛ばす気か!?』

 

オールマイトは相対していたオール・フォー・ワンの事を一旦捨て置き、焦った表情で破竜の下に駆けつける。

 

 

グルァァァァァァァァ!!!!!

 

 

だが、一歩遅くその咆哮はオールマイトに向かって放たれた。

 

 

『くっ、デトロイト…スマッシュ!!!!

 

 

 

BOOOOOOOOOOOM!!!

 

 

カイザーブレスとデトロイトスマッシュが激突するが、オールマイトの一撃がカイザーブレスを上空に逸らす。

 

『破竜少年!!!!!!!!!』

 

『ギャァァァァァァァァ!!!!』

 

オールマイトは破竜に何度も何度も呼びかけるが、帰ってくるのは咆哮と共に飛んでくる攻撃だけだった。

 

『ダメだ…完全に理性がなくなっている。このままではロードを完全に殺すまでこの周辺の被害も関係なしに暴れ回ってしまう…。どうすればいい…どうすればッ…!』

 

流石のオールマイトも暴走する破竜をどうやって鎮めればいいのか…良い案が浮かばずに途方に暮れていると…

 

『オールマイト!!!』

 

後方から自身を呼ぶ声がする。視線をそちらに移すとこちらに走ってくる耳郎がいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

耳郎side

 

 

 

『もう限界です!!逃げましょう耳郎さん!この状態じゃ私達にできることは何もありません!』

 

『悔しいが…同感だ。早く逃げるぞ!』

 

『ッ…』

 

八百万と轟の意見に耳郎は理解こそしているものの内心では納得できていなかった。ここまで来て、また破竜を見捨てて逃げるような事はしたくなかった。すると、先程の一撃を再度放とうとしていた破竜にオールマイトが迫っていた。

 

 

『『『 オールマイト!? 』』』

 

 

『(……ん………じ……う…)』

 

『えっ…?』

 

今の何…破竜の声が聞こえた気が…

 

『(ごめん…俺が弱いせいで…みんな…耳郎…)』

 

自身にしか聞き取れないほどの微かな声。自身の隣にいた八百万や轟には聞こえていないようだった。

 

 

 

アイツが助けを求めてる…

 

 

 

『ごめん…2人とも!!!』

 

『耳郎さん!?』

 

『耳郎!?』

 

2人が制止する声を振り切って耳郎はその場から破竜に向かって走り出しながらオールマイトの名を呼ぶ。

 

『オールマイト!!!』

 

『耳郎少女!?』

 

『ウチが…アイツを助けます!!!』

 

『だ、ダメだッ!危険すぎる!早くここから逃げるんだ!!!今の破竜少年は理性も何もないただの竜になってしまって『違うよ!!』ッ!?』

 

『アイツはずっと謝ってる!こうなってごめんって!俺が弱いせいでごめんって!……アイツは今、堕ちかけてる最中なんだ!誰かが救けないと…ううん!今度はウチがアイツを救ってみせるッ!!!』

 

そう言って自身の横を走り去った耳郎を見てオールマイトは安易な結論を出した自分を責めていた。

 

『(私はなんて愚かなんだろう…破竜少年はまだ完全に覚醒していないのに関わらずもうダメだと決めつけてしまった…。今の私に彼を救えるかどうかはわからないが、耳郎少女なら…)』

 

『破竜ゥゥゥゥゥ!!!』

 

ギャ…がァァァァァァァ!!!!

 

破竜は全てを消し去る竜の咆哮(カイザーブレス)を放つ為に口を開けて核エネルギーを口元に集約させる。耳郎はそれを見て一瞬だけ足が竦むが、いつの間にか隣を走っていたNo.1ヒーローが耳郎を鼓舞する。

 

『耳郎少女!破竜少年を元に戻せる可能性があるのは君だけだ!私が全力でサポートする!だから、彼を連れ戻してきてくれ!』

 

『ッ…はい!!!!』

 

耳郎はオールマイトと共に全速力で破竜の元へ向かう!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ねぇ…破竜?ウチはアンタに比べて力は弱いし、頭だってアンタよりも良くない。おまけにアンタが攫われた事実に打ちひしがれて引きこもっちゃうくらい心も弱い。

 

それでもさ、アンタを全力で助けたいって思ってるよ。あの時、2人で交わした誓いは決して嘘じゃない。

 

アンタが背中を任せてもらえるくらい強くなる。今のウチじゃいつになるかわかんないくらい遠い約束だけど、もし、アンタを助けることができたら…

 

 

 

ほんの少しくらい近づけたって思ってもイイよね?

 

 

 

『グルォォォォォォォォォォォ!!!』

 

『デトロイト…スマァァァッシュ!!』

 

 

 

DOOOGOOOOOOOOOOOOM!!!!!

 

 

 

 

カイザーブレスを弾き飛ばしてオールマイトと破竜の間に道ができる!

 

『今だッ!耳郎少女!!!!!!』

 

『戻ってきて…ねぇ…破竜!!!!!!』

 

耳郎は自身のプラグを破竜に突き刺して自身の心音を流し込む!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『何にも見えない…深い闇の底。俺は…どうなっちまったんだ…?』

 

破竜は闇の中をただひたすらに彷徨っていた。

 

『竜変身の暴走…俺の心の弱さ…そうか、その結果がこれだっていうのか…』

 

そう言った破竜の周りからたくさんの声が聞こえてくる。それらは全てが『殺せ』や『壊せ』と破竜を責め立てるように彷徨っていた。

 

『でも…、もう……いい』

 

そう言って膝を抱え込んで浮遊する力に身を任せる。

 

レイ兄さんやリューキュウさんを傷つけられて…ジーンの声に導かれるままに力を解放して…街を壊してしまった。

 

このまま…堕ちていって何も考えたくない…自暴自棄になって全てから目を背けようとした時だった

 

は………り……ゅ……う…!!

 

『………え?』

 

一瞬だが、誰かの声が聞こえた気がした。

 

『誰…?』

 

『は……り…ゅ……う!!』

 

 

 

気のせいかもしれない…。

 

 

 

それでも確かに…今までとはちがう声がした。優しくて…明るくて……俺の好きな人の……大好きな声。

 

 

 

『戻って…きて!!破竜!!!!』

 

 

『!!』

 

 

グイッ!!

 

 

その声と共に誰かが俺を闇から引っ張り上げてくれた。いつもの空間に戻ってきた俺の目の前に現れたのは見た事のないジーンだった。これは…俺をここに連れてきたジーンじゃないな。

 

『お前…誰だ?』

 

『酷いね…君をそこから救い出してあげたのにその言い草は。』

 

『俺を…?』

 

『君の感情の呼応に連れられた形でトランスとダークの力が覚醒したでしょ?その時に私の力も一緒に引きずられる形で覚醒しかかってたんだよ。この私、ライトがね!』

 

『ライト……お前がか?』

 

ライトはそうだよと答えて続きを話す。

 

『それと耳郎響香ちゃん?だっけ。その子の声で闇に身を委ねようとしていた君は一瞬だけ意識を取り戻すことができた。私はそれを無理やり引っ張り上げただけに過ぎないから。』

 

やっぱりあの声は耳郎だったんだ…。また…、助けてもらっちゃったな。

 

『でもね、私は君にすこーし失望してるんだよ?』

 

そう言ってライトは俺を責める。

 

『君は竜変身の力をアイツを殺す為()()に使おうとした。その結果がこれだよ。』

 

『……………………………』

 

『アイツをどうするのかは君の自由だよ。でもね、前にパワーに言われたでしょ?力を求めれば力に飲まれる。何の為に力を使うのか。ゆめゆめ忘れないことだって。君はあの時、パワーになんて言ったの?』

 

覚えてる…そんな事も忘れるくらいにロードへの憎悪が全てを支配してしまった。

 

『俺は……みんなを守る為に力を求めてる…』

 

『うん。知ってると思うけど、竜変身は沢山の人を救える力にもなるし、沢山の人を殺せる力にもなり得る。ロードはそれを破壊する為に使ってるけど、私は君にまで同じ道を歩んでほしくない。オールマイトにも言われたでしょ?力に善悪はない。君がどう使うか次第だって。』

 

俺がどう使うか次第…か。結局、俺はこの言葉の意味を本当の意味で理解していなかったのかもしれない。だからこそ…

 

『あぁ…もう失望させる使い方はしないし、改めて誓うよ。俺はこの力をみんなを守る為に使う。』

 

『……次は助けないからね。さ、早く戻って!』

 

『うん…ありがとう』

 

空間が崩れる音が聞こえてくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

『お願い…戻って。破竜……』

 

耳郎はイヤホンジャックで自身の心音を破竜に流し続けていると、周りが少しずつ変化していることに気づいた。それは自身と破竜の周りを光の柱が包み込んでいたという事だった。

 

『これって……』

 

『破竜さん?』

 

『破竜?』

 

『破竜少年……!』

 

眩い光があたりを一瞬だけ照らす。

 

『う…眩し…ッ!!』

 

『………ただいま、耳郎。』

 

『……えっ?』

 

光が止んだ先には先程まで暴走していたカイザードラゴンではなく、いつもの破竜がそこに佇んでいた。

 

『は…破竜なの……?』

 

『うん…心配かけてごめん。』

 

『……バカッ!!どんだけ心配したと…!!』

 

耳郎はその場で涙を流して泣き出してしまった。俺はそんな耳郎の頭を撫でながら感謝を告げる。

 

『……何にも見えない闇の中で自暴自棄になって逃げようとした俺を耳郎の声が引き戻してくれた。助けてくれてありがとう』

 

耳郎にお礼を伝えているとオールマイトが俺と耳郎に話しかけてくる。

 

『2人とも早くここから逃げるんだ!レイとリューキュウはかろうじてまだ生きている!病院に早く連れて行けば助かる!』

 

『『 ッ、はいっ! 』』

 

そう言って動き出そうとした俺達だったが、瓦礫を吹き飛ばしてロードが戻ってきた。コイツ…生きてたのか。

 

『流石の俺もさっきの一撃は驚いた…。ん?なぜ…カイザードラゴンの変身が解けている?』

 

『耳郎や俺のジーン達が助けてくれた。もう…暴走なんかしてたまるか。』

 

ロードはそう言った俺の横にいる耳郎に視線を移す。

 

『お前……いや違う。似てるが、あの女じゃない。メタライズは俺が殺したはずだ。』

 

『メタライズ…?』

 

『気にすんな耳郎…早く俺の後ろに。』

 

そう言って耳郎を守るように立ち塞がる。どうする…こいつがまた戦闘を始めたら今の俺じゃとてもじゃないが敵わない。だが逃げるにしても…そう思案していた俺にロードが信じられない宣言をする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『……残念だが、今日はここまでだ。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それは戦闘の終わりを告げるものだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





あとがきです。


やっとここを書くことができました。新たに目覚めたジーン、そして破竜君を闇に誘ったジーン、そして暴走する竜変身。

そして、あの日と同じように自暴自棄になりかけた彼を救ってくれたのは耳郎さんでした。

ヒロインは大事。いや、本当に!!


さて、下記に今回の話で出てきたジーン、技、竜変身について書いておきます!


新たなジーン

1.トランス

ロードによる怒りによって引き出された力。ジーン自体を1段階進化させる力を持っており、他のジーンと組み合わせて使う事で真価を発揮する。

2.ダーク

ロードによる憎悪によって引き出された力。相手の生命力を奪う闇の力を秘めている。使い方によっては相手を殺す力になり得るが、その特性を利用して弱体化や拘束といった使い方も可能。

3.ライト

トランスとダークの発現に伴って覚醒した力。光に関する能力なら、なんでも再現可能。また、聖なる力で暴走する心を制御する役割を持つ。


変身形態

1.カイザードラゴン(暴走)

ロードへの怒りと憎悪、そしてあるジーンの呼びかけに答える形で強制発動した竜変身。皇帝の名を冠するだけあってその力は圧倒的格上のはずのロードにさえ通用する。だが、感情の呼応で無理やり引き出した力の為、現時点の破竜では制御が全くできず、一度変身したら全てを壊すまで止まることはない。本作では内側からライトが。外側から耳郎が止める事でなんとか変身解除することに成功した。



1.カイザーブレス

カイザードラゴン状態で使用できる必殺技の一つ。口元で核エネルギーを溜め込み、一気に放出する竜の咆哮。その威力はオールマイトのデトロイトスマッシュレベルでなければ弾き返すことすらできない。



本作のお気に入り、感想、評価等、いつもありがとうございます!次話もお楽しみに!




次回予告




『あの力を完全に引き出したお前を殺す』

『俺はお前を許さねぇ。次は必ず…』

『こ、怖かった……』





『だから…負けないんだよ…!!』




次回!
半人半竜のヒーローアカデミア





『始まりの終わり。終わりの始まり。』





『次は君の…いや、君達の番だ…!』








更に向こうへ!Plus ultra!!!

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