半人半竜のヒーローアカデミア 作:十希
はじめに
皆様、いつも本作品をお読み頂き、誠にありがとうございます!
最近、あまりの暑さに心が折れそうな作者です。寒いのは全然ばっちこいなんですが、暑いのだけはどうしても…みなさんの夏対策教えてください…
このままだと干からびそうです。
お気に入りしてくれた下記の方
tuyosi1981 恭輝 三幽月 眠れる羊 右京左京 アカカザリ かきこ
本当にありがとうございます!
また、いつも誤字報告してくださる方ありがとうございます!
感想や評価もお待ちしてます!
それでは本編をお楽しみ下さい!
『必殺技!!!!』
『学校っぽくてそれでいてヒーローっぽいのキタァァ!!』
まぁ、切島と芦戸が叫び出す気持ちもわかる。
確かに必殺技と言えばヒーローらしいって言う意見は多い。オールマイトもテキサススマッシュとかユナイテッドステーツオブスマッシュとかたくさんあるもんね。
『必殺!コレスナワチ必勝の型!技の事ナリ!』
『その身に染み付かせた技は他の追随を許さない。先頭とはいかに自分の得意を相手に押し付けるか!』
そう言ったセメントスは俺を見る。なんで?
『君らも知ってるだろうが、期末テストの破竜君なんかはまさにそうだ。2人のプロヒーローを相手に自身が勝っているステージに苦手な方を引き摺り出す。それをできる生徒は強い。』
『褒められてるよ。』
隣に座る耳郎が話しかけてくる。
『嬉しいけど、俺が目指す強さはまだまだ遠いからな。もっともっと強くならなきゃいけない』
『相変わらず厳しいね』
俺らが話している間にも先生達の話は続く。
『技は己を象徴する!今日日必殺技を持たないプロヒーローは絶滅危惧種よ!』
『詳しい話は実演を交え、合理的に話したい。コスチュームに着替え、体育館γに集合だ!』
『『『 はい!!! 』』』
俺達はコスチュームに着替えて体育館γに集まる。
『ここは体育館γ。トレーニングの台所ランド。略してTDLだ!』
『『『 TDLは色々とマズそうだ! 』』』
『いや、世界的な規模のアレと同じじゃないですか。USJの時も思いましたけど、名称変更した方がいいですって。』
俺の指摘にミッドナイトがニヤリと返す。
『破竜君、問題は問題にしない限り問題にはならないのよ?』
『ヒーロー科教師のセリフとは思えませんね…』
『ここは俺考案の施設。生徒一人一人に合わせた地形や物を用意できる。台所とはそう言う意味さ。』
『なーるほ『質問をお許し下さい!』』
上鳴の言葉を遮って飯田が挙手する。
『何故仮免の免許の取得に必殺技が必要なのでしょうか!意図をお聞かせください!』
『順を追って話すから落ち着け。』
飯田を落ち着かせて相澤先生は続ける。
『ヒーローとは事件、事故、天災、人災、あらゆるトラブルから人々を救い出すのが仕事だ。取得試験では当然その適性を見られることになる。情報力、判断力、機動力、戦闘力。他にもコミュニケーション能力、魅力、統率力など幅広い適性を毎年違う形で審査する。』
なるほど…その中でも今後必要になるのが
『それは戦闘力。これからのヒーローにとって極めて重視される内容でもあります。備えあれば憂いなし!技の有無は合否に大きく影響する! 』
『技の有無ね…』
俺の脳裏にロードの顔が浮かぶ。アイツには俺の会心撃もオーラスマッシュも通じなかった。俺には必要なんだ…それを超える最強の必殺技が…
『状況に左右されずに安定行動を取れればそれは高い戦闘力を有していることになる。』
『技ハ必ズシモ攻撃技デアル必要ハナイ。例エバ飯田クンノ"レシプロバースト"』
『!』
『一時的ナ超速移動ハソレ自体が相手ノ脅威ニナル為、必殺技ト呼ブニ値スル。』
『あれ必殺技だったのか…!』
レシプロバースト…確かにあのスピードは厄介だ。速度だけならドラゴンウォリアーをも上回るからな。
『なるほど…自分の中にこれさえあれば勝てるって型をつくろうって話か!』
『そ!先日活躍したシンリンカムイのウルシ鎖牢なんかもそうね!何かする前に縛るってやつ。』
『中断された合宿での個性伸ばし訓練はこの必殺技を作り上げるプロセスに過ぎない。』
相澤先生が一拍置くとセメントスは個性を使ってコンクリートの形状を操作。エクトプラズムは俺らの人数分、分散して上空に飛び立つ。
『つまりこれから後期始業開始まで…残り10日間あまりの夏休みは個性を伸ばしつつ必殺技を編み出す…圧縮訓練とする!』
『僕だけの必殺技…』
『負けてられるか…!』
『炎と氷…それぞれの必殺技…』
『ケッ!』
『尚、個性の伸びや技の性質に合わせてコスチュームの改良も並行して考えていくように。Puls ultraの精神で乗り越えろ。準備はいいか?』
『ワクワクしてきた!!!』
圧縮訓練開始!!!!!!!!!
尾白
『尾ガアルカラコウ動クダロウトイウ動キダ。根本ノ立ち回りカラ見直シテ行コウ。』
『ッ、はい!(つまり普通ってことね…トホホ)』
芦戸
『必殺!こう…手から酸を……ドバァァ!って感じでどうでしょうか!?』
『ソウイウ方向性デアレバ、指デ噴射口ヲ作リ、絞ルヨウニ…ソウ…。』
エクトプラズムのアドバイス通りに酸を放出すると
ピュー!!!
『うわ!飛距離伸びた!!』
『酸ノ放射二焦点ヲ当テテ伸バシテイクカ?』
『みんなやってんな…』
『コラ、ドコヲミテイル?』
『っと、すみません!』
『マズハ、カカッテキナサイ。ホンキデネ!』
『っし…そんじゃ行くぜ…?』
パワー・グロース・シャープ
『竜変身!!』
竜変身した破竜は超スピードで飛び込んで現時点で自身が出せる最強の必殺技をぶつける!
『喰らえ!オーラスマッシュ!!!!』
DOGOOOOOM!!!!
その一撃でエクトプラズムの分身は跡形もなく砕かれてしまう。
『凄え……』
『アイツ、必殺技たくさん持ってるからな…』
『会心撃と…』
『オーラスマッシュ……』
『通常状態なら属性を引き出した技だってたくさんあるしよ…』
『アイツ、この授業受ける必要なくね?』
そんな外野の声を無視して俺はエクトプラズムに呼びかける。
『すみません!もう一体出してもらえますか?』
『モチロンダ。』
そう言うと俺の目の前に再度エクトプラズム(分身)が現れた。
『キミハ自分ノ必殺技ヲ沢山持ッテイルヨウダガ、ナニカ気二ナル事ハアルカ?』
『これじゃ…ダメなんです。』
『ダメ…トハ?』
『神野で戦ったアイツはこれでさえ、あっさり受け止められちまった。みんなを守る為にもっと強い力が必要なんです。』
『ナニカイメージハアルノカ?』
『…………いくつかあります。』
『キカセテクレ』
俺はぼんやりと浮かぶ必殺技のイメージを話す。
『前提として俺がよく使う竜変身。ドラゴンウォリアーには2つ必殺技があります。会心撃とオーラスマッシュ。ですが、それ以外はありません。通常状態及び他の竜変身で使える属性攻撃は一切使えない。』
『ナルホド、ツマリソノ属性攻撃ヲ人型ノ状態デモ使エルヨウニシタイト言ウワケカ。』
さすが…話が早くて助かるよ。
『はい。正確に言えばその属性攻撃をもっと使いこなす事が目標です。今はただ炎を放出する。雷を起こす。氷を発現させるといった極めて単純な使い方しかしてませんから。場合によっては通常状態の戦闘にも幅が広がります。』
エクトプラズムはふむふむと頷く。
『二つ目。これはあくまで切り札的要素ですけど、集中力をもっと全開にして能力向上できないかと思っています。』
『集中力ヲ?』
『火事場の馬鹿力って言うんですかね…あれは体が危機的状況に陥った時に普段抑えられているリミッターが解除されてパフォーマンス向上になりますよね?それに近い事をできないかと思ってます。』
『ナルホド…マダアルカネ?』
『はい。最後は現時点最強技のオーラスマッシュです。この技を使ってる時、俺は2回だけ不思議な感覚に襲われたことがあります。』
『不思議ナ感覚?』
『1回目は雄英体育祭でやった爆豪との決勝戦。2回目はI・アイランドで敵のボスであるウォルフラムの超巨大金属を打ち破った時。同じオーラスマッシュだったはずなのにまるで別の技のような感覚に襲われました。』
『具体的ニハドンナ感覚ダ?』
『簡単に言うと…俺自身が龍になって貫いたような感覚です。』
『ン?竜変身ヲシテイル時ハ竜デハナイノカ?』
『言い方が難しいですね…あくまで前に挙げた2つの技は体の脱力だったり、体を纏う竜のエネルギーを拳に集中したりしています。でも、その時の感覚は全く違う。まるで巨大な龍に俺自身がなって貫いてるって…感じなんですけど…』
なんともいえない俺の感覚にもエクトプラズムはうんうんと頷きながら答えを返す。
『アクマデ私ノ想像ダガ、ソノ技ハオーラスマッシュノ派生ノヨウナモノダトオモウ。体ガ龍ノヨウニナルトイウイメージガアルナラ現段階デハソレヲ突キ詰メルシカナイダロウ。アマリ力ニナレナクテスマナイ。』
『いえ、自分も焦りすぎていたのかもしれません。まずは頭の中にあるイメージを形にする所からはじめていきます!』
今後の方向性を固めると、エクトプラズムは分身を2体生み出して1対3の状況を作り出す。
『…サッキヤッテミテ思ッタガ、キミハジッセン式ノホウガムイテイルヨウダ。ココカラ厳シクイクゾ!』
俺はドラゴンウォリアーに変身してニヤリと笑う。
『望むところだってーの!来い!!!』
しばらくすると
『おー、やってるねみんな!』
『オールマイト?』
『私が呼ばれてもいないのに特に用事がなかったのできてみた!』
『いや、療養してくださいよ。後期に備えて』
『おいおいつれないな!必殺技の授業だろ!?そんなの見たいに決まっているんだよ。私も教師なんでね——…』
その視線は緑谷と破竜の姿を捉える。
『(緑谷少年は必殺技の習得に苦労しているようだ…
逆に破竜少年は必殺技の練度を高める方に注力しているようだ。)』
すると、
BOOOOM!!!
『久々に暴れるとスッキリすらァ!エクトプラズムが死んだ!もう一体頼む!』
『彼はすごいな…』
『えぇ…もっと強くなりますよあれは…』
その時、彼らの頭上からエクトプラズムの分身の一体が吹き飛ばされてきた。
『な、なんだ!?』
『破竜か…』
1体を吹き飛ばした俺は深呼吸をして息を整える。
『すー………ふぅー。』
『ヤルジャナイカ。』
『まだまだこんなもんじゃねぇ!』
俺を捉えようとするエクトプラズムの動きを見ながら攻撃を加えていく。
『ヌゥン!』
ブンッ!
『おせぇ!!!』
バギャッ!
『グオッ!』
『だありゃあ!!!!』
DOGOOM!!!
もう2体の分身ごと吹き飛ばして3対1の実戦形式に勝利する。まだだ…もっと早く動ける。もっと…もっとだ!!!
『彼はまた…一段と強くなったね。』
『はい。神野の報告書を見ましたが、プロヒーロー2人を追い詰めた脳無との戦闘、そしてAFOに匹敵する最凶の敵ロード。奴らに完全敗北こそしたがその戦いで得た経験を糧に強くなろうとする姿は全員に見習って欲しい部分です。』
『爆豪くんも破竜くんも張り切ってる!』
『アイツらもう技のビジョンたくさんあるんだろうな』
『入学時から技名つけてたもんね!』
『オイラだってガキの頃から暖めてたグレープラッシュっていう技あんぜ!』
『つーか、誰でも一度は考えるだろ!俺、
『電撃ソード……』
上鳴と峰田の会話を聞いて俺の頭の中にある考えが浮かんだ。それは思いつきもしなかった子供のような考え方。その姿を見てエクトプラズムが話しかける。
『ドウシタ?』
『いえ…何か浮かんだ気がしたんです。必殺技になり得るかもしれないヒントが!!』
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
そのまま授業が終わり、廊下を歩いていると上鳴と耳郎が同時に話しかけてくる。
『なぁ、破竜。』『ねぇ、破竜。』
『ん?どうした2人とも』
『ちょっと相談乗ってくんね(くれない)?』
2人からの相談?なんだろう…
『あ、上鳴からでいいよ。』
『お、悪りぃな!んでさ、相談なんだけどお前って必殺技考える時ってどうしてる?』
必殺技? あぁ…なるほど
『………悩んでんのか?』
『そうなんだよなぁ…俺の個性ってさ、雷じゃん?そのせいでどうしても周りを巻き込んじまう。相手だけに雷をぶつけるなんて芸当できないのに、そんな中で必殺技って言ったってさ…』
俺はそれを聞いてクスリと笑う。すると、上鳴は泣きながら俺の胸元を掴んで叫び出す。ちょっと痛いよ。
『うわぁぁ!!!お前は良いよな!何個も必殺技の候補があってよ!俺なんて一つ考えるので精一杯なのに笑うことないだろ!』
『違うよ。さっき、自分でほとんど答え言ってたのに気づかないのが上鳴らしいなって思っただけ。』
『……へ?』
上鳴の言う通り、ただ雷を放電したら周りに影響が出る。でも、もしその雷に
今の技術でそれができないはずがない。
『さっき言った事、もう一回よく考えてみるこった。』
そう言って耳郎に向き直る。
『耳郎も同じ?』
『うん。ウチのイヤホン=ジャックは索敵能力ならアンタにも負けない自信がある。』
『だろうね、俺も助けられてるし。』
『だけど、どうしても前線に出た時に戦闘能力がないせいで足手纏いになっちゃう。それをカバーする為の必殺技を身に付けたいけど格闘戦とか自信ないし…』
確かに耳郎のイヤホン=ジャックを戦闘に生かすってなると突き刺して爆音を流したりがメインになる。けど、それをする為には相手にイヤホン部分を刺せる距離まで移動する必要がある。接近戦が得意な奴らはその距離を容易に殺す。耳郎みたいに接近戦に自信がないなら尚のこと近づかない方がいい。
その時、俺の頭の中にある人物が浮かんだ。
それはI・アイランドで俺を苦しめた男。
最後まで諦めずに戦った敵で…俺の友達。
『耳郎はさ、鳴瀬のこと覚えてる?』
『鳴瀬って…I・アイランドでアンタと戦ったアイツだよね?それがどうかしたの?』
『鳴瀬の個性"蓄音"の使用方法自体は耳郎と似てる。爆音を効かせる方法はなにも
俺のその言葉に耳郎はハッ!とする。
『……それってさ』
『俺に言えるのはここまでだよ。』
耳郎は少し考え込むと…
『破竜、ごめん!ウチ、パワーローダーの所行ってくる!』
『お、おい!待てよ!俺も行くから!!』
そう言って耳郎、上鳴は走り去ってしまった。俺はその場に俺以外に誰もいない事を確認して壁の向こう側で気配を殺していた人物に声をかける。
『……盗み聞きですか?』
『気づいていたのかい?』
そう言って出てきたのはオールマイトだった。
『まぁ、最初からいたのは気づいてました。俺に何か用事ですか?』
『君が必殺技の件で悩んでいないかと思って来てみたんだけどね、どうやら杞憂だったみたいだ。』
『あはは…確かに悩んでますけど、とりあえずは自分で考えてみたいんです。わざわざありがとうございます。』
『そうかい…それとは別にさっきの耳郎少女と上鳴少年へのアドバイスは非常に的確だったよ。』
『そんなことないですよ。アイツらなら自分で答えを見つけてました。まぁ、自分の必殺技のイメージは上鳴のおかげで見えてきたから役に立てて良かったです。』
『へぇ〜、どんなイメージか聞いてもいいかい?』
『内緒です。完成させるまで待っててください。』
そして3日が経過したある日の夕方
訓練室で俺は自分の必殺技候補の一つを訓練する為に炎や氷、雷を発現させていると同じく訓練中だった常闇がこっちに歩いてきた。
『破竜、少し良いか?』
『ん?珍しいね。常闇から俺に話しかけてくるなんて。なんか相談事?』
『それもある。だが、本命は別だ。』
『どう言うことだ?』
『……俺と戦ってくれないか?』
『え…なんで?』
『少し試したい事がある。格闘戦に優れたお前相手なら効果を実感しやすいと思ってな。』
『模擬戦ってことね。それ自体はいいんだけど俺達2人以外に監督者いないとダメなんじゃね?』
あまり考えたくはないが、力加減ミスってどっちかが怪我するなんてことがあったらおしまいだ。
『それなら心配無用!私がきた!!!』
『『 オールマイト!? 』』
最近どこにでも現れるな…この人。
『私が審判を務めてあげよう!2人とも思う存分やると良いさ!』
『破竜、頼めるか?』
『わーった。このままでいいぜ…来いよ。』
俺は木刀を抜いて切先を常闇に向ける。常闇はいつも通りマントを羽織った黒い格好のままだ。
『……どうした?こねぇなら俺からいくぞ!』
パワージーンを10倍に解放した俺は地を蹴って常闇に接近!その勢いのまま木刀を振り下ろす!
『……纏え!
『アイヨッ!』
ガギィンッ!!!!!
甲高い音がその場に響く。その原因は俺の木刀を受け止めた常闇。たが、いつもとは違いその体は黒影を纏っていた。
『何だこりゃ…?』
『黒影を纏う事で弱点である近接、フィジカル面をカバー。名付けて…
俺はバックステップして距離を取る。よく考えてる。
全開じゃないとはいえ、10倍の力の一撃を弾くか…
『面白れぇ……ついてこいよ!』
俺は左右のフットワークを活かし、縦横無尽に動き回って黒影の死角を探すが見事に対応されていた。
『行けるぞ!黒影!』
『カテルゼフミカゲ!』
『おいおい…マジで厄介じゃねぇか!』
『イマダッ!』
その瞬間、黒影は腕を伸ばして俺を壁に叩きつける!
『カッハ…ペッ、やるじゃんか。』
黒影を纏った常闇の必殺技『深淵暗躯』
想像以上に厄介だ。まだ未完成だが…やるか。
『つえぇな…常闇。良いもん見せてくれたお礼に未完成だけど、俺の新しい必殺技を見せてやる。』
『フッ、見せてもらおうか…』
『ふぅ…ッ!』
俺は木刀を持っている右手に雷を放出させるとバチバチという稲妻の音が辺りに鳴り響く!
『な、なんだ……』
『ぐ…がァァァァァ!!!!』
辺りに広がりそうになる雷を少しずつ…少しずつ収束させ、木刀周りだけを稲妻が包むように制御する。
上鳴の言葉からヒントを貰った。これは色々な属性を操れるジーンを持つ俺だからこそできる必殺技。
『
構えた木刀から稲妻の音がバチバチと鳴り響く。
『あれが…破竜少年の新しい必殺技…』
上手くいった…
当初の予定はドラゴンウォリアーの拳にこれを纏わせたかった。けど、どうやってもできなかった。その代わりに通常状態でこれができるようになれば、今まで以上に戦闘の幅は広がる!
パワーを10倍まで引き上げ、解放する!
『行くぜ…常闇ィ!!』
スッ……バギャッ!!!!
『クッ…速い…!…が黒影は反応してるぞ!』
『ウケトメテヤルゼ!』
稲妻の一撃を纏った木刀を黒影は受け止めるが…
『ギャアアアア!痺レルゥゥゥゥゥ!!』
『何ッ!?』
『黒影の高い反応速度が仇になったな!どんな攻撃も受け止めれば良いってもんじゃないんだぜ!?』
いくら稲妻を纏った攻撃だろうが黒影なら一瞬怯むだけですぐに復活するはずだ。でも、その一瞬でいい。
なぜなら…
俺の速度に常闇自身は着いて来れない。
トンッ…
『ッ!!』
『俺の勝ちだな?常闇』
木刀を突きつけ、勝利宣言を告げる。
『ハァ…参った。俺の負けだ。』
『クヤシイィィィィ!!』
常闇は素直に負けを認め、黒影は模擬戦とはいえ負けた事に対して強い悔しさを滲ませていた。
『(常闇少年の深淵暗躯…強力な技だが、やはり強敵と戦ってきた破竜少年との経験の差が出るか…)
うん、3人とも良かったよ!怪我はないかい?』
俺はパワージーンと属性付与を解除、常闇も深淵暗躯を解除し、お互いにニュートラルな状態になる。
『俺は問題ありませんよ。』
『同じく。』
『チョットシビレタケドヘイキ!』
『ごめんな、黒影。』
『イイッテコトヨ!』
常闇から出た黒影を撫でていると
『破竜、戦ってみてどうだった?お前の率直な感想を聞きたい。』
『俺の?オールマイトの方がいいんじゃ…』
そう言って視線を向けるが直接戦ってみた人の意見の方が参考になるさ。と言われてしまう。
『なら、本当に思ったこと言うよ?…強かった。俺の10倍のパワーも受け止められたし、黒影の全方位ガードをどうやって掻い潜ろうか悩まされた。』
『ヤッタゼ!』
『けど…』
『?』
『常闇本人の戦闘技術が追いついていない。』
『…………』
俺の厳しい一言を常闇は黙って聞いている。
『確かに今の常闇は深淵暗躯で強いパワーを手に入れた。でも、それだけ。どうやって当てるかを考えてないように感じた。』
『それがさっきの敗因だと?』
『あぁ。どんだけ強い力でも相手に当たらなきゃ何にも意味ないだろ?それに今回は敢えて一撃で行動不能にしたけど、相手の手数が常闇より多かったら何もできなくなっちまうぞ?黒影も便利だけど無敵じゃねぇからな。』
『なら、敢えて聞こう。どうすればいい?相手に必ず当てる為には…』
『それはさ…』
そう言って接近戦のコツを常闇に伝授する破竜をオールマイトは黙って見つめる。
『(君は謙遜しているがやはり教える才能があると思うよ。上鳴少年も常闇少年も耳郎少女も君を頼りにしている。案外、将来は先生になっていたりしてな。)』
未だ話を続ける2人を見て、オールマイトは内心でそう呟く。
さらにその翌日。
オールマイトは訓練を続けるA組生徒のもとに顔を出しに来ていた。
『進捗どうだい?相澤くん。』
『また来たんですか?ぼちぼちですよ。ようやくスタイルを定めた者もいれば複数の必殺技を習得しようとしている者もいます。』
その視線の先には2人の生徒。
『(掌全体じゃなく…一点に集中し起爆。
新技!
BOOOTHON!!!!
その一撃は容易くコンクリートの壁を貫いた。
『ハッハー!できたァ!』
『相変わらず凄いセンスしてるな。彼』
『あいつだけじゃないですよ。』
その隣にいる破竜に視線を移す。
『ふぅ…
ゴォォォォ!!!
『火炎撃!!!』
木刀を振るった先から炎が衝撃波のように飛んでいき、コンクリートの壁の一部を燃やし尽くす。
『よっし!これで4つ目成功だな!』
その姿を見て相澤は語る。
『破竜は通常状態の戦闘術に磨きをかけながら、切り札である新たな竜変身の体得にも勤しんでます。』
『……彼もまだまだ強くなるだろうな。』
ガラッ…
爆豪が貫いたコンクリートの残骸がオールマイトに向かって落ちていく。
『お、おい!上!』
『馬っ…!』
『やっべぇ!』
俺が木刀を振り翳そうとした瞬間、
緑の影が上空に飛び出す。
『SMASH!!!!!』
緑谷はオールマイトに落ちそうになったコンクリートを粉々にした。つーか今の…
『足でやったのか?』
『うん!これが僕の新しい戦闘方法。
フルカウル。シュートスタイル!!』
拳が不安なら足ってわけね。俺の武器属性付与も緑谷のシュートスタイルもそうだが、必殺技っていうよりも戦闘スタイルの幅を広げるものになってるな。
『大丈夫ですか?オールマイト!』
『あぁ!それと爆豪少年すまなかったね!』
オールマイトは上にいた爆豪に声をかける。爆豪は緑谷を一瞥すると
『ケッ!…気ィつけろやオールマイト!!』
『相変わらず口が悪いね。大丈夫でしたか?』
『君にも心配をかけた、すまなかったね。ところで破竜少年の必殺技候補はそれだけだったのかい?』
『ん?いえ、他にも二つほど考えてましたが…』
『やはりこの短期間ではどうしようもできないかい?』
『一つはもう少し時間をかければなんとか…問題なのはオーラスマッシュの方です。何にも手掛かりが…』
俺が頭を悩ませていると
『私から一つアドバイスだ。』
『アドバイス…ですか?』
すると、オールマイトは手をグググと握って弾けさせるような仕草を見せてきた。
『溜めて…放つだ。』
そういうとオールマイトはその場から離れてしまった。
『溜めて…放つ……か。』
オールマイトからのアドバイスを俺なりに噛み砕いていると入り口あたりで声が聞こえる。
『そこまでだA組!午後からはB組がこのTDLを使わせてもらうぞ!』
『B組?』
『タイミング悪くね?』
『イレイザー、さっさと退くがいい』
『時間までまだ10分ある。相変わらず時間の使い方がなっちゃいないな。』
『そうですよ。それに10分あるならまだ俺達の時間です。この時間すら勿体無いんでとりあえず退出してもらって良いですか?』
すると拳藤と小大が前に出てきた。
『あはは…ごめんね、破竜。物間とブラド先生がいくって聞かなくて…。』
『ん…』
『いや、2人が謝る必要はねぇんだけど…』
『ちょっといいかい?拳藤と小大。僕はコイツに言いたいことがたくさんあるんだよね!』
後ろから物間が出てきた。めんどくさい奴が来たな
『知ってる!?仮免試験って半数が落ちるんだってね!君達A組全員落ちてよ!』
『そんなふうに言われてはい落ちますって言うと思うのか?バカかお前。』
『相変わらず破竜は物間に対して口悪りぃな〜』
『まぁ、アイツの自業自得だしね。』
『…まぁ、彼の言うことももっともだ。同じ試験である以上、俺達は蠱毒。潰し合う運命にある。』
『だからA組とB組は別会場で申し込みをしてある。』
なるほど…
同校同士での潰し合いを避けるためか。
物間はそれを聞いてホッとした顔を浮かべる。
『俺達はそもそも仮免の修得課程を前倒ししてる…俺らよりも訓練期間が長い他校の奴らを相手にするっていうのも厄介だな。』
『確かにね。私達B組は落ちないように頑張るけど、アンタらA組も落ちないように頑張りなよ?』
『あぁ、わかってる。』
『そう言うことだ。互いに切磋琢磨するのは勝手だが、本来戦うべき相手を見誤るなよ。』
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
その日の夜。
ハイツアライアンスの談話室
『フヘエエエ、毎日大変だよぉ…』
『圧縮訓練の名は伊達じゃないね!』
『あと1週間もないですわ』
『ヤオモモはどう?必殺技!』
『やりたいことはあるのですが、まだ体がついてこないので少しでも個性を伸ばす必要がありますわ。』
女子達は一階に集まって駄弁っていた。
『お茶子ちゃんは?』
『……………』
『お茶子ちゃん?』
『うへぇっ!』
麗日は疲れなのかどうかわかんないけど1人ぼーっとしていた。全員が麗日の事を心配するが
『な、なんか最近ムダに心がざわつくんよね…』
『『 恋だ!!! 』』
その一言から芦戸と葉隠は先程の疲れはどこへやらとばかりに騒ぎ出す。麗日も恥ずかしいのか手をブンブンと振って最終的には個性で体を浮かして2人の魔の手から逃げ惑う。
『ゲロっちまいな?自白した方が楽になるんだよ?』
『あら…そういう響香ちゃんは破竜ちゃんとどうなのかしら?』
『え…?』
『聞いたよー!破竜くんが耳郎ちゃんのお家に来て一緒にご飯食べてたって話!』
『だ…誰からその話…!』
『上鳴ちゃんよ。』
『あんのバ上鳴…!!!』
『まぁ!もうご家族にご紹介するほどの仲なんですの?』
『ち…ちがっ…///』
『あらあら…ケロケロ』
『う、麗日…助けて!』
『そんなんちゃうもん…////』
『話を聞けェ!』
麗日、耳郎を標的にした恋愛話は日付が変わるまで行われた。その代償に次の日の授業を寝ぼけ眼で受けるA組女子達はみんな仲良く相澤先生から雷を落とされる結果になった。
そしてあっという間に仮免の日はやってきた!!!
あとがきです。
またまた10,000文字を超えて打ちました。少しオリジナル部分が増えるとどうしても説明部分が多くなっちゃって大変ですね。
破竜くんは必殺技の候補が3つくらいあるみたいですね!そのうちの一つは今回のお話で説明した武器属性付与。破竜くんが本作で言っていた通り、これは必殺技というより戦闘スタイルの幅を広げるものでしかありません。ですが、これが後々に活きてくる…予定です。
下記に今回未完成ながらも形にできた必殺技を書いておきます!
必殺技
武器属性付与(エンチャント・ウェポン)
各属性ジーンを木刀に纏わせ、炎を衝撃波のように飛ばしたり、木刀に触れた相手を痺れさせたりする事ができる。ジーンの力をただ放出するよりも木刀を経由する事で繊細に狙うべき相手に照準を絞って戦える。だが、その練度は本人曰くまだまだのレベル。
フレイム → 火炎撃(炎を飛ばして燃やす)
アイス → 夢氷撃(氷に触れた場所を一時的に凍らせる)
サンダー → 雷鳴撃(雷で相手を痺れさせる)
ウィンド → 烈風撃(風で相手を切り裂く)
皆様の感想やお気に入り、評価が執筆意欲をさらに高めてくれます。これからも頑張るのでお付き合いください!
ではでは、次話もお楽しみに!
次回予告
『アイツは夜嵐イナサ』
『なんだ…やけに俺と轟を見てくるけど…』
『ただただ乗り越えていくだけさ。』
『君…犯罪者なんだって?よくここに来れたね。』
次回!
半人半竜のヒーローアカデミア
『仮免試験開始!』
『さて…行くか!!』
更に向こうへ!Plus ultra!!!
小話的な事は必要か?
-
必要
-
不要
-
プロフィール紹介だけ
-
小話だけ