半人半竜のヒーローアカデミア 作:十希
はじめに
皆様、いつも本作品をお読み頂き、誠にありがとうございます!
今回も何とか書き上げることができました!中々、仮免編から話が進まずに申し訳なさ全開ですが、これからの展開もある程度作れてきたのでお楽しみに!
お気に入りしてくれた下記の方
正宗03698 ルシエル 黒白 久遠 YouPON ZEROSU Tasiin アトレティさんま ヴォルガノス幽華 赤月@ アナンヌキ ピノス
評価して頂いた方
水夏
本当にありがとうございます!
それでは本編をお楽しみ下さい!
『破竜!こっちに人がいる音がする!』
上空にいる俺に聞こえる様に耳郎が大きな声で呼ぶ。
『索敵能力ならA組でもトップクラスだな…』
『凄いよ!響香ちゃん!』
『耳郎ありがと!』
耳郎にお礼を言って俺は1人、空から全体を把握しながら各自への指示を考えていた。
地上と空中からの視点。
俺が空中からの視点で大まかな位置を。
地上のイヤホンジャックでより正確な位置を。
これで満遍なく救助者の位置を把握することができた。
さて…1人でも多くの人を助けるか!
『峰田!とりあえずもぎもぎで崩れそうな瓦礫を固めていけ!常闇と黒影は固めきれない所のカバーに入りつつ、場合によっては救助者の足になってもらう!頼んだぞ!』
『オイラの出番だァァ!!!』
『承った』
『マカサレタゼ!』
峰田はもぎもぎを手に携えながら救護を待っている人達の元へ走り出し、常闇と黒影も峰田を追いかけるように走り出す。
『青山!お前はネビルレーザーで暗い所を照らしつつ、他校生の救助応援に向かえ!キラメク時は黒影との位置関係も把握しとけよ!』
『ウィ⭐︎!』
青山はネビルレーザーで明かりがとれない他校生と協力しつつ、瓦礫に埋まっている人を助け出していく。
『芦戸は酸を使って倒壊したビルの残骸を溶かしつつ、救助者を誘導しやすいように道を作ってくれ!溶かす時は周りの瓦礫に影響がないようにしろ!』
『了解だよ!!』
芦戸は慎重に行動しつつも素早く的確な動きで瓦礫を溶かしていき、避難誘導がしやすいように道を作り始める。
『耳郎はイヤホンジャックで全体の動きを把握しつつ、必要に応じて他校への情報伝達も頼む!手が回らない所は俺も手伝う!』
『任せてよ!』
耳郎はイヤホンジャックの索敵を全開にして、些細な音すら逃さないように全神経を集中し始める。
さて…こんなとこか。各自に指示を出し終えた俺に他校の生徒が話しかけてくる。
『すまない!この瓦礫をどうにかできないか!?パワー系の個性持ちはいるが、数が多すぎて1人では抱えきれない!』
視線を向けるとそこには瓦礫に埋まっている人を助けようとしている他校の人達。だが、崩れた瓦礫が奇跡的なバランスを保っているせいで迂闊に動かすことができずに途方に暮れていた様子だった。
『了解!俺も行きます!』
俺はパワーを10倍に解放して瓦礫をどかしつつ、アイスジーンの力でバランスを保っていた瓦礫の代わりに氷結を作り出す!
『これでどうですか?』
『完璧だ!!』
他校生の人達と協力して瓦礫の中に埋もれていた怪我人の救出に成功した。
『(ここにいる雄英は今年一年生だけと聞いていたが、随分と優秀だな。特にあの黒と青が混ざった髪色の生徒。現在動いているメンバーへの的確な指揮能力と個性の練度は勿論、他校生と躊躇なく協力して少しでも多くの人間を助けようとするその精神性…なるほど。確かにいいものを持っている。だが…そろそろ動き出す彼らを相手にどうするのかな?)』
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『怪我人の振るいわけに応急処置、救援隊が来るまでのわずかな時間、その代わりをヒーローが務め、そして円滑な橋渡しができるように努めておく。調子はどうだ?』
『初動はまァ、至らない者も多かったですが、今はHUCの方々のアドバイスのおかげか想定していたよりは減点対象は少ないですね。概ねいいんじゃないでしょうか?』
『市井の人々を守る為、ヒーローには総合的な動きが求められる…すなわち救護、そして…』
BOOOOOOOM!!!!
『対敵…全てを並行処理できるかな?』
『(ギャングオルカ…神野区の敵連合掃討作戦においてオールマイト、エンデヴァー、ベストジーニスト、リューキュウ達と並び指名を受けたトップヒーローの一角…彼は強いぞ)』
救助に当たっていた破竜チームは…
『な、なにがあったの!?』
『これ爆発音…まさか敵が?』
『簡単には取らせてくれないようだ…』
『ハードル高すぎだろ!こんなの!』
芦戸、耳郎、常闇、峰田が突然の状況に思考が停止しかける。同様にこの試験を見守っていたイレイザーヘッドとMs.ジョークもこの試験難度を見て顔が青ざめる。
『救助に敵対処…プロでも高難度の案件。仮免でここまでやるかよ…』
『流石にこれは難しすぎる…』
この演習の設定は強力な敵による大規模破壊。
そしてこの爆発音…
『ハッ…ボーナスステージはまだ早いじゃねぇの?』
破竜は遠くに現れたギャングオルカ率いる敵連合(仮)を見て、戦闘の方向性を視野に入れた考えを巡らせる!
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俺は頭をフル回転させて現状の中で最も最適な方法を考える。救助は最優先…だけど、敵もなんとかしなきゃいけない。
その為には…
『みんな!』
『破竜!?』
みんなが俺に注目したのを見届けて俺はニコリと笑って余裕そうな表情を見せる。
『アイツらは俺が止める!
『えっ…待って!アンタあそこに行くつもり!?』
『あぁ、さっきチラッと見えたけど率いているのはギャングオルカ。そこに多数の敵連合だ。なら、広域に戦闘展開できる竜変身で戦う!』
『広域に戦闘展開できる竜変身って確か…トライゴン?だったよね。炎と氷と雷を同時に使役できる…』
『そういうこと。』
『でもさ……ん?ちょっと待って、アンタさっき1人を除いてって言ったよね?』
『そうだけど…』
『誰を連れてくつもり?』
俺はその場にいるA組を見渡す。一通り全員を見た後に俺は視線を下に向けて、その場で
『え…ま、まさか…オ、オイラかよ!?』
『峰田、悪い!俺と一緒についてきてくれ!』
『ふざけんなよォォォ!!あんな敵だらけの中に戦闘能力皆無のオイラ連れていってどうすんだ!常闇とか連れてけよ!』
峰田の嘆きに周りのみんなも確かに…と納得する。峰田の個性は破竜、爆豪、轟、緑谷、常闇といった戦闘の得意なメンバーと比べて何歩も見劣りしてしまう。峰田の意見は至極当然のものだと思っているが、破竜だけは違った。
『悪いけど、そうもいかないんだ。』
『アンタの事だからなんか理由があるんだよね?』
耳郎の目はしっかりと理由を話せと語っていた。
『いくつかあるんだけど…そもそもの話、あの場所に出てきた敵が全部とは限らないだろ?』
俺の意見に全員がハッとする。確かに常闇や芦戸、青山を連れて行った方が戦力的には問題ない。
だが、仮にあの場以外からも敵が現れた場合は?
そうなった時、この中で主戦力として戦えるメンバーが誰もいなくなればこの場が敵に蹂躙されるのは目に見えてる。
『どの距離からでも戦える常闇は勿論、近接と中距離をこなせる芦戸、ネビルレーザーの遠距離砲で戦える青山、イヤホンジャックで索敵をしながら冷静に周りを見れて指揮も取れる耳郎、誰一人この場から離すわけにはいかない。』
『じゃあ、オイラ役立たずって事じゃんかァ!』
『人の話は最後まで聞け。確かに戦闘って面じゃ峰田の個性は劣るかもしれない。でもな、その戦闘を終わらせるためには峰田の個性が必要なんだ。』
『?』
俺の発言に全員が疑問を感じていると先ほど爆発音が生じた場所から轟音と炎、そして風が巻き起こるのが見えた。
炎と風…轟と夜嵐か!
『時間がない…耳郎!』
『うん、わかった…その代わり、避難が終わったらすぐにアンタらに合流するからね!』
『あぁ…!俺がいない間は耳郎が指揮をとってくれ。行くぞ峰田!』
『いやァァァ!!助けてェェェ!!!!』
俺は峰田を抱き抱えて敵が現れた場所に飛んでいくと峰田は泣きながら俺に話しかけてくる。
『ぐ、具体的にどうするんだよォ!そもそも、なんでこの戦いを止めるためにオイラの個性が必要なんだ!?』
『悪い、説明が途中だったな。正直に言う…俺や緑谷、爆豪や轟がいくら敵を倒した所で拘束しなきゃ何にも意味がない。そういう意味じゃ峰田の個性は敵確保って一面には最適なんだ。』
これからの時代…恐らく戦闘系に特化した奴が重宝される世界になるだろう。だが、それと同時に相手を無効化する拘束力を持った個性もまた重宝される。
『だから俺は峰田を選んだ。頼む…この場を乗り切る為に峰田の力を貸してくれ!』
『破竜……あぁー!!!もうそこまで言われたらオイラもやるしかねぇよ!お前の作戦何だって実行してやんよ!早く教えてくれ!』
空を飛んで俺と峰田はギャングオルカ率いる敵連合(仮)のもとまで向かっていく。
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破竜と峰田の2人が移動している最中、ギャングオルカと対峙していた轟、夜嵐の2人は敵を目の前にしてありえない失態を犯していた。
『おまえは救護所の避難を手伝ったらどうだ?個性的にもそっちの方が適任だろ。』
『ムムム』
『来る…!』
轟が炎を放出すると同時に上空から夜嵐の個性:旋風で巻き起こった風が炎を相殺してしまう。
『む…?』
『どこ撃ってんだ?』
『なァァんで炎だ!熱で風が浮くんだよ!』
『氷はさっき防がれた…お前が合わせにきたんじゃねぇのか!俺の炎も風で浮かされた!』
『あんたが手柄を渡さないよう合わせてたんだ!』
『………………………………』
2人の言い争いをみていたギャングオルカの目がどんどんどんどん鋭くなっていく。
『は?誰がそんなことするか』
『するね!アンタは…エンデヴァーの息子だ!』
『さっきから…何なんだよお前…!俺と親父は関係ねぇだ…ぐっ!』
言い争いに集中していた轟の右半身をセメントガンが撃ち抜いた。それに伴って轟は右半身を上手く動かす事が出来なくなってしまう。
『見ていられないな…敵の目の前でケンカとはな。』
『関係あるね!俺にとってヒーローってのは熱さだ!熱い心が人の心に希望や勇気!感動を与える!伝える!でもエンデヴァーは…アンタの親父は違った。その目からはただの冷たい怒りしか伝わってこなかった!』
そう…あの破竜真人のように……
『同じだと…ふざけるな!俺はアイツじゃねぇ!』
ダメだ…試験に集中しろ…!
破竜にも言われたろ!気にするなって。
あいつはまっすぐ向いてるのに…俺は…!!
轟はごちゃごちゃと頭の中で混ざっていく不愉快な感情を振り払う為に頭をブンブンと振る。
『あっちゃー……』
『俺はアンタら親子のヒーローだけはどうしても認めるわけにはいかないんスよ!以上!』
『くっ…うるせぇっていってんだろ!』
その瞬間、同じタイミングで繰り出した轟の炎と夜嵐の旋風がお互いの炎と風を浮かしあい、進路がギャングオルカから逸れていく…
その先にはギャングオルカの個性でダウンさせられていた真堂の姿。
『ん…マズイ!』
『炎が…!!!』
すると、その場に間一髪飛び込んだ緑谷がギリギリのタイミングで真堂の救出に成功する!
『緑谷…』
『アンタは雄英の…』
『何を……やってんだよ!!!!!』
緑谷の一喝で何とか2人の争いは一旦止まるが、ヒーローにあるまじきその行動は会場の全職員及び試験員に見られており、大多数の人間がこう思っていた。
————もうあの2人はダメだと
『さて…いつまでもお前らに構っているわけにはいかない。とりあえずは』
『くっ…!』
『邪魔な風からだな』
『やらせねぇっス…』
ベチャッ
『!?』
キィィィィン!!!!
『がっ…』
『着弾!!シャチョーと我々の連携プレイっすよ!』
『受験者全員、ガチゴチに固めてやる!』
『おい!』
『次はお前だ…自分の自業自得を恨め。』
キィィィィン!!!!
『ぐぉッ!』
ドサッ…
ギャングオルカは超音波で轟と夜嵐の2人を倒すとその目は目の前に立ち塞がる緑谷を見据えていた。
『次はお前だな、緑谷。』
『させない…僕が止め『そこを退け!』』
バゴッ!!!!
真堂の個性で地面を叩き割り、ギャングオルカとその他のメンバーの動きを阻害するが…
『甘い…その程度で俺たちが止まると思うのか?』
『舐めすぎだぜ!俺たちの事!』
『くそっ…緑谷だったな!俺はまだ体の末端が痺れて上手く個性を使いきれない!傷病者の避難が終わるまで何とか耐えきれ!』
『はい!』
『たった1人で止められると思っていたのか?舐めるのも大概にしろよ…緑谷!』
足を踏み出そうとしたその瞬間、ギャングオルカの周りに風と炎が巻き起こる!
『これは…!?』
視線を移した先には地面に倒れている轟と夜嵐の炎と風の檻でギャングオルカを閉じ込めていた!
『轟くん!』
『緑谷!ギャングオルカは俺達が何とか閉じ込める!お前は周りの奴らを何とかしてくれ!』
『うん!』
ギャングオルカは緑谷が自分以外の敵を狙いを定めて動き出すのを見届けながら轟と夜嵐を見つめる。
『(炎と風の合体技…威力・精度ともに減退しているが、辛うじて個性はコントロールできているようだ。夜嵐はその中でも繊細なコントロールで風を、轟は炎でくべる事で夜嵐のサポート…。先程の愚行が消えるわけではない。だが……)悪くないな…!』
『マズイ…シャチョーが炎の渦に閉じ込められた!シャチっぽいシャチョーは乾燥に滅法弱い!けど…』
『確かにいいアイデアだ。並の敵では泣いて許しを乞うだろうが…この程度でどうにか出来るほど…プロヒーローは甘くないぞ!!』
『くそ…俺の旋風は良くても…!
『…悔しいが、俺の炎が弱い!』
『終わりにさせてもらうぞ!』
ギャングオルカが炎の檻を突破しようとした瞬間、
『
ゴォォォォォォォォ!!!!
突如、上空から放たれた火炎流が更なる熱気を生み出し、炎の渦を更に強化する!
『なん…っスか!この炎は!』
『この咆哮は……』
『貴様までここに来るとはな…』
3人が上空を見つめるとそこにはトライゴンに竜変身していた破竜とその背中に乗っている峰田がいた。
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『破竜、いたぞ!アイツら!』
『
俺は峰田を乗せたまま地面に降り立つとすぐさま竜変身を解除し、炎の渦の中にいるギャングオルカと対峙する。
『この炎は貴様のものか…?』
『まぁな…』
『アンタは…破竜真人!』
『破竜…すまねぇ。俺が余計なことに気を取られてたせいで…』
轟はそう言って地面に顔を伏せる。それと同時に夜嵐の顔もほんの少しだけ色を失う。恐らく言い争いをした結果、この現状に繋がっているのだと推察する。
『反省は後だ。2人とも起き上がれないだろうからそのままでいろ。俺が…いや、俺達がこの場をなんとかする。』
すると夜嵐が倒れながらも俺に視線を向ける。
『俺は…アンタに助けてもらう必要なんか…ないんスよ!変な同情で助けられるのなんて屈辱だ…!さっさとどっかにいけよ!』
『は…?』
なんだそれ…と真っ先に浮かんだのは怒りの感情。そして自分に負けて一次試験を突破できなかった聖愛学園の朧気さんと初見さんの泣いた顔。
あの人達は悔しさを感じながらも俺に合格して欲しいと言った…俺らは突破できなかった人の代わりにここに立って試験をしている…それなのに…
なんなんだよそれ!!!!!!!
『さっきから…ごちゃごちゃとうるせぇ!』
『ッ…!?』
『くっ…破竜…』
『俺達は一次試験を突破できなかった人達の代わりにここに立ってるんだぞ!?そんなくだらない感情持つくらいならこの場に立つな!』
破竜の怒声がその場に響き渡る!
『それに…ヒーローが誰かを助けるのに理由なんかいらねぇんだよ!バカ野郎!』
『あ……』
破竜が咄嗟にかけた何気ない一言。その言葉は夜嵐の脳裏にとあるヒーロー達の姿を思い浮かばせた。
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夜嵐side
俺にとってヒーローってのは熱さだった。目の前のピンチに全身全霊をかけて挑むその姿。熱狂した!
でも…そんな中で俺が誰よりも熱中した人達がいた。熱くて燃え上がるヒーローの鑑のような存在が…
『事件発生からまだ間もないのにもう捕まえたぞ!』
そんな声が周りに響いたある日のことだった。両親に連れられて買い物をしていた日、たまたま起きた事件現場に遭遇した時にその人達はいた。
『スッゲェ!!!なぁなぁ!なんでアンタらはヒーローやってるんだ!?』
まだ10にも満たない子供の無邪気な質問。特に深い理由はない。俺は目の前で敵を逮捕した2人組のヒーローに気がついたらそう言葉を投げかけていた。
『イ、イナサ!失礼だろ!す、すみません、ウチの子が…』
『いや、構いませんよ。』
『そーそー、気にしないで!』
そう言ってそのヒーロー達は俺の目の前まで来て話しかけてくれた。
『君、なんでヒーローやってるか…だったよね?』
『うんうん!』
『僕はね、キミが思ってるよりもとっても弱い』
『えっ!?でも…そんな風には見えない…』
『あはは…ありがと!でも、僕は例え弱くても自分の手が届く所にいる人くらいは助けてあげられる人になりたいんだ。』
『なんで?』
『なんでって、勝手に体が動いちゃうから!』
その言葉に周りにいた人達はズコッと転びかけた。
『アンタさ…子供相手にその答えはバカすぎない?慣れないことするからそんなことになるんでしょ。』
『む…本当にわからないんだからそんなこと言わないでよ。君ならなんて答えるのさ?』
『ふふーん!そんなの簡単だよ。』
髪色が特徴的な女の人は俺の目線に合わせて力強く宣言した。
『ウチらが助けたいと思ってるからさ。それに誰かを助けるのに理由なんていらないだろ?』
『君だってほとんど変わらないじゃん!』
『なにを〜!あ、コラ!待てー!!!』
その場でわちゃわちゃとし始めた2人のヒーローが言った何気ない言葉。俺はその言葉を噛み締めていた。
『わぁ…!!!』
そうだ…思い出した。ずっと忘れていた…
あれ以降、名前を一切聞かなくなった事…なによりエンデヴァーの対応に心が傷つけられた事ですっかり頭の中から消えてしまっていた…。
俺が憧れたヒーロー。
フォーマーとメタライズ…2人の事を。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
夜嵐は破竜を見つめる。
似ている…
黒と青が混じった特徴的な髪色だけではない。
フォーマーに似た端正な顔立ち。
メタライズに似た少し砕けた口調と口癖。
そして何気なく発した言葉に込められた強い意志。
『アンタは…もしかして…あのヒーローの…』
期待と共に吐いた言葉を夜嵐は寸前で呑み込む。
確かに似てはいる。だが、夜嵐は破竜の目の中に映る
今は関係のない話だと思考を放り投げて意識を目の前で燃え続ける炎の檻に戻す。
『黙って聞いていれば…随分上からものを言ってくれるな…!!』
破竜の言葉に怒りを覚えたギャングオルカは渦巻いていた炎と風の渦を少しずつ収束させていく!
ギンッ!
『この状況を覆すほどの自信がある上でその発言をしているんだろうな…破竜真人!』
『……じゃなきゃここにはいない。緑谷!』
『…破竜くん!?』
『1分…いや、30秒でいい!ギャングオルカの注意を引きつけられるか?』
『何か作戦があるの…?』
『あぁ…峰田!さっきの作戦通りに頼んだぞ!』
『やってやんよ!!!』
すると、峰田は両腕を頭の近くに構えていつでももぎもぎを発射できる体制に入る。
『わかった…信じるよ!破竜くん!峰田くん!』
緑谷がギャングオルカに単身向かっていくのを見届けて俺は深呼吸を行い、ジーンの力を少しずつ引き出していく。
『すぅ…見せてやる…俺の…新たな竜変身を!』
破竜の心を怒りと憎悪の感情が渦巻くが、
強い精神力でそれらを抑え込む!
『(トランス・ダーク……俺に力を貸せ!)』
竜変身!!!
キィィィィィィィィィィン!!!
『キッシャァァァァァ!!』
破竜が竜変身をする時に現れる見慣れた黒い渦。それを切り裂き、その場に現れたのはとぐろを巻いた青黒い蛇のような姿。
闇の力を司る異質なドラゴン。その名は…
ティアマト!!!!!
『グルォォォォァォァ!』
『宙に浮いてる!?』
『これが破竜の新しい力…?』
『これが奴の個性、竜変身か…凄まじい威圧感だな。あのリューキュウやレイが認めるだけはあるが、それでどうにかできると本当に思っているのか!?』
『あなたの相手は僕です!』
SMASH!!!!
緑谷の蹴りがギャングオルカの右腕に直撃する!
『緑谷…!』
『破竜くんと峰田くんの邪魔はさせない!』
『破竜〜!こっちに来てくれー!!!』
峰田は…そこか!
破竜は地面を滑空しながら、峰田を回収して再度上空に移動する!
そのまま移動した2人はギャングオルカ…ではなく、救護者達を襲おうとしていた敵連合の元に移動する!
『お、おい!なんか来たぞ!?』
『あれはシャチョーが言ってたドラゴンに変身する奴だ!だが、セメントガンでガチガチにしてやればいい!』
『早く照準を合わせろ!』
移動中…
『なぁ、破竜。オイラは何をすればいい?』
峰田は真剣な表情で俺を見つめる。その顔には先程までの弱気な雰囲気は見当たらず、目の前にいる人を助け出すヒーローの目をしていた。
普段からその顔ができてれば女の子にモテそうだなって思ったのは内緒。
『…俺が新しい竜変身の力でギャングオルカ以外の敵の自由を奪う。その隙にもぎもぎで腕でもいいし、足でもいい。倒れている奴らにヒットさせてくれ。』
『……オイラがいなくてもお前の力で自由奪えるなら問題ないんじゃ…』
『いや…そうもいかない。この力は制御が難しいんだ。長い時間の拘束をするならそれ相応に力を解放する必要があるけど、そんな事したら命を奪う可能性だって出てくる。例え敵でも無闇に命は奪えない。』
『だからオイラの個性が…。タ、タイミングは!?』
『俺がブレスを吐いた瞬間だ。その時に吼えるからタイミング見逃すなよ?』
『任せとけ!やってやんよ!』
『破竜!頼んだ!!!』
俺は目の前にいる多数の敵達に標準を合わせて
ティアマト必殺の一撃を繰り出す!
『
ギュオォォォォォォン!!
敵連合達の周りを闇が包み込む!!
『な…なんだこれ………』
『気のせいかな…体が重い…!!』
『というか…なんか幻覚が見える…!!』
視線を凝らして闇の中を見つめる彼らの前に恐怖の存在が姿を現す!
『ヒッ…が、ガイコツ!!』
『な、なんでこんなところに!?』
『く、来るなぁ!!!』
闇に包まれた敵連合達から恐怖の叫びが聞こえ、全員がバタバタと地面に倒れていく。ただ側から見ている人間にはなぜ倒れたのか全く理解できていなかった。
『す、すげぇ…これが…』
『
ティアマトの固有必殺技『ダークブレス』。ダークジーンに溜め込まれた憎悪は生きる人間の活力を奪う。本当に強い精神力を持った人間相手には殺す気で使わないと効果が薄いけど…
この場には最適な一撃だ!!!
『
『ッ、待ってたぜ!喰らえッ!オイラの必殺技!スーパーグレープラァァァッシュ!!!』
峰田が上空からもぎもぎを倒れて動けなくなっていく敵連合に向かって投げ込んでいくとそれらは手や足だけでなく、セメントガンの銃口にも入る事でどんどん使用不可にしていく。
ギャングオルカと緑谷はその状況を見てようやく気づいた。
『まさか…奴らの狙いは…』
『2人の狙いはギャングオルカじゃない…周りの敵連合を無力化していく事で数の優位と戦況をひっくり返そうとしてたんだ!』
緑谷の推測は当たっていた。現状、問題なのはボスのギャングオルカではなく、彼と共に現れた多数の敵。救助を優先に動くヒーローにとって圧倒的な力以上に警戒するのは単純な数の暴力。
だからこそ狙わせてもらった。広範囲攻撃ができる轟と夜嵐の2人がダウンしている以上、戦況を変えるにはこれしかない。
『……やられたな。』
この状況では俺が奴らをなんとかしないことには完全に孤立無援。だが、そんな悠長なことをしていれば避難民は完全に誘導され、俺達は援軍に来たヒーローに囲まれてしまう。
ギャングオルカは地面に伏せている轟と夜嵐、自身を相手とる緑谷、そして他のサイドキック達を無力化していく破竜と峰田の5人を交互に見つめる。
『(夜嵐と轟の風と炎の合体技…緑谷の超パワーによる粘りの継戦…破竜と峰田の連携プレイの無力化と拘束…誰が欠けてもこの状況は作り出せなかったが強いて言えば…)』
緑谷の攻撃をいなしつつ、ギャングオルカは内心で破竜と峰田の2人を最優先で無力化しなかったことを悔いていた。
『破竜…オイラそろそろ……』
俺が視線を向けると峰田の頭から血が流れていた。個性伸ばし訓練で限界が来ても投げられるようにはなったがこれ以上、峰田を酷使するわけにはいかないか。
すると…
『2人ともお待たせ!』
『破竜、峰田…加勢する!』
『僕も参戦するよ⭐︎!』
『やっほー!!!』
耳郎、常闇、青山、芦戸の4人が戦線に復帰してきた。無事に避難は完了したみたいだな!
俺は竜変身を解除して峰田を背負いながら地面に降り立つ。
『みんな、待ってた!』
『遅くなってごめん!こっちの避難は完全に終わったから後はここを守り切るだけだよ!』
そう言った耳郎を見て俺は驚きを隠せなかった。あの数の避難民をこの短い時間で避難させるなんて…
『…やっぱあの場を耳郎に任せて正解だった。』
『え?』
『ありがとな。』
『あ…うん!』
『それと悪いが峰田を頼む…俺は緑谷とギャングオルカを止めてくるから少しだけここの指揮任せるよ?』
『任せて!』
峰田を耳郎に任せて俺はパワーを10倍に開放しつつ、高速移動してギャングオルカと緑谷の間に割って入る!
『破竜くん!』
『こっからは俺も参戦させてもらうぞ!』
バキャッ!!!
ギャングオルカの左腕に強烈な蹴りを放つが、地面を大きく後退しながらも止められてしまう。
『破竜…貴様の作戦でこちらの襲撃はめちゃくちゃだ。ここでその借りを少しでも返させてもらうぞ!』
ギャングオルカは超音波で破竜を気絶させにいく!
キイィィィン!!!
『ッ…!!まっず!!!』
咄嗟に耳を塞ぐ事でかろうじて防ぐがその瞬間、足を掴まれてしまい逃げられなくなってしまう。
『チッ…緑谷!』
『破竜くんから離れて下さい!』
SMASH!!!!
『ぐぉっ!!』
破竜に意識を取られた一瞬の隙に緑谷の蹴りで顔面を蹴り上げられたギャングオルカは破竜の拘束が緩んでしまう。
『ッ…緑谷離れろ!また炎の渦に閉じ込める!』
木刀を背中から抜刀しながら後方に飛んでフレイムジーンの力を引き出す!
『火炎撃!!!!』
ゴォォォォォォォォォ!!!
咄嗟の連携プレイでギャングオルカを再度炎の渦の中に閉じ込めると…
ビーー!!!!!!!!
『えー、只今を持ちまして全てのHUCが危険区域から救助されました。誠に勝手ではありますが、これにて仮免試験全日程終了となります!!』
その場に試験終了の合図が鳴り響いた。
あとがきです。
ようやく終わった二次試験!
破竜君は無事に合格できるのか!
何故、イナサは破竜の事を嫌っていたのか…
破竜君にとって、両親の存在とは一体なんなのか。
ほんの少しでも次で触れていけばと思ってます!
さて、新たな竜形態についても下記に記載します!
変身形態
1.ティアマト
トランスジーンとダークジーンを併用する事で使える竜変身。外見はとぐろを巻いた青黒い蛇のような姿が特徴的。能力の全体的な総合力が高く、搦手も使える万能型ドラゴン。特に拘束やダークジーンの特徴でもある相手の活力を奪う力に長けている。固有技は『ダークブレス』『ゲノサイドブレス』。
技
1.ダークブレス
ティアマト状態で使用できる技の一つ。相手を闇の渦で包み込み、生きる活力を奪う。その際には目の前に骸骨の幻影が見えるのが特徴。強い精神力を持つ相手には効果が薄いが、精神力が弱い相手には絶大な効果を発揮し、あっという間に行動不能にできる。ただし、制御もその分難しくやり過ぎれば命を簡単に奪えてしまう危険な技。
2.ゲノサイドブレス
未使用の技。範囲を指定し、その中にいる相手に向かって威圧感を伴う波をぶつける技。ぶつけられた人間は強い脱力感と痛みが体全体に襲いかかる非常に危険な技。破竜も基本的には使いたくない。
皆様の感想や評価など、お待ちしてます!
これからも頑張るのでお付き合いください!
ではでは、次話もお楽しみに!
次回予告
『アンタに聞きたいことがあるんス。』
『それってどういう…』
『おい!聞こえねぇだろ…静かにしろって』
『今日の夜、時間あるか?』
次回!
半人半竜のヒーローアカデミア
『仮免試験終了!そして……』
『聞きたいこと教えるよ。俺の過去について』
更に向こうへ!Plus ultra!!!