半人半竜のヒーローアカデミア   作:十希

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はじめに


皆様、いつも本作品をお読み頂き、誠にありがとうございます!

投稿日時を明日にしていたことに気づかずこんな中途半端な時間になってしまった…

思ったよりも早く書けたので投稿します。
皆様から頂く感想、本当に力になってます!

いつもいつもありがとうございます!


お気に入りしてくれた下記の方


くおん ヴェルフォート 小説スキー kynnya Fate 0216 シェル00000 図書館好きのぶどう サイガ02 龍邪


本当にありがとうございます!


それでは本編をお楽しみ下さい!





『仮免試験終了!そして……』

 

 

 

『えー、只今を持ちまして全てのHUCが危険区域から救助されました。誠に勝手ではありますが、これにて仮免試験全日程終了となります!!』

 

 

 

 

 

『終わった!?』

 

『みたいだな…ってか、わー!大丈夫ですかギャングオルカさん!』

 

炎の渦に取り残されているギャングオルカをみて俺はアイスのジーンの力で炎を溶かそうとするが

 

『問題ない…』

 

 

ギュオン!!!!!!!!!

 

 

水を浴びたギャングオルカは個性の力で俺の火炎撃で作った炎の渦をあっさりと消滅させてしまった。

 

『マジか…そんなあっさり?』

 

『この程度の炎でどうにかなるわけないだろう。』

 

そう言ってスタスタと歩いて行くギャングオルカ。

 

 俺の炎単体じゃ完全に拘束するにはダメっぽかったな。轟と夜嵐が協力して漸く多少閉じ込められる程度。

 俺も炎と風の複数操作で同じことできねぇかな…

 

うーん…と悩み出した破竜を見つめるギャングオルカの元にダークブレスともぎもぎの拘束から解放されたサイドキック達が集まる。

 

『すみません、シャチョー。仕事できませんでした…』

 

『いや…謝る必要はない。寧ろ、こちらの落ち度だ。奴らをそっちにいかせてしまったのが失敗だったな。』

 

『やっぱ()()()()()()()()()のせいですか?』

 

『………………………………』

 

いや、拘束用プロテクターがなかったとしても轟と夜嵐の炎と風の檻、あれは簡単には抜けられなかった。それほど見事な一撃だった。それに自身の超パワーと乾燥の奇襲をついた緑谷の分析力と胆力。そして…

 

その視線は破竜を捉えた。

 

その場その場に適した確実な戦略とそれを実行する個性練度、周りの味方の個性を活かす戦い方。

 

『フフ…全く面白いものだな。』

 

 

 

 

そして合格発表を待つ為に会場から出ると

 

『どうかな…やれることはやったけど…どう見てたかはわかんないし…』

 

『こういう時間いっちばんヤダ…』

 

『わかるよぉ…』

 

『人事を尽くしたならきっと大丈夫ですわ。』

 

八百万、耳郎、麗日、峰田の4人が話しているすぐ側で黙っている轟を見つめる俺と緑谷。

 

『ね、ねぇ…轟く…』

 

『緑谷、よせ。』

 

『でもさ…』

 

『今は…そっとしといてやろう。』

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

再度試験会場に集まった俺達はステージに立った目良さんの話を聞いていた。

 

『皆さん、長い事お疲れ様でした。これより発表を行いますが、その前に一言。採点方式についてです。我々、ヒーロー公安委員会とHUCの皆さんによる二重の()()()()であなた方を見させてもらいました。つまり…危機的状況でどれだけ間違いのない行動を取れたかを審査しています。』

 

『緊張するね…破竜』

 

『あぁ…』

 

『もうどぉしよぉ…!!』

 

『上鳴うるさい』

 

『なんで俺にはそんな冷たいの耳郎さん!』

 

『静かにして』

 

隣でわちゃわちゃする2人を尻目に俺は先程の目良さんが発した減点方式という発言に違和感を感じていた。

 

『とりあえず合格点の方は五十音順に並んでいます。先程の言葉も踏まえて確認してください。』

 

すると、スクリーンに合格者の一覧が映し出される。

 

『か、か、か、か、』

 

『耳郎…響香は…っ』

 

『俺の名前は……』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

は行の所に視線を映していくと…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『あ、あった。』

 

葉隠の下。破竜真人の名前が記載されていた。

 

『よかった…ウチもあったよ!破竜!』

 

そう言って俺にパァンとハイタッチしてくる耳郎。余程嬉しいのか普段中々見せない満面の笑みだ。

 

『緑谷あった!!!!』

 

『峰田実あったぜぇ!』

 

『あるぞ!』

 

『コエー!!!』

 

『麗日ァ!』

 

『フッ…』

 

『よかったァ…』

 

『メルスィ…!』

 

『あったぜ!』

 

『ッ!』

 

『わー!!!』

 

点滴穿石(てんてきせんせき)ですわ!』

 

『ケロッ!』

 

『やったー!!!』

 

『っしぇーい!!』

 

『あったけど…』

 

緑谷、峰田、飯田、瀬呂、麗日、常闇、尾白、青山、砂藤、口田、芦戸、八百万、梅雨ちゃん、葉隠、上鳴、切島は合格したみたいだが…

 

『ねェ!!!!!!!』

 

『………………………』

 

轟と爆豪の2人だけがA組の不合格者になってしまった。

 

『轟!』

 

『!』

 

士傑の夜嵐がこちらに歩いてきた。轟の目の前に立つと勢いよく頭を地面に向けて土下座する。

 

『ごめん!アンタが合格逃したのは俺のせいだ!俺の心の狭さのせいでごめん!!!』

 

全力で謝る夜嵐を黙って見つめる轟

 

『元々、俺が蒔いた種だしよせよ。お前が直球でぶつけてくれたおかげで気づけたこともあるから』

 

『え、轟と爆豪落ちたの!?』

 

『A組スリートップのうち、2人が落ちてんのかよ!』

 

『まぁ、言葉改めよ!お肉先輩も言ってたしよ!お前の場合、原因明らかだから!』

 

『ウルセェ…黙れ!殺すぞ…!!!』

 

『両者ともトップクラスであるがゆえに自分本位な部分が仇となったわけである。ヒエラルキー崩れたり!』

 

 

 

スッ…

 

 

 

 

飯田が峰田を轟から引き剥がした瞬間に拳骨を峰田の頭にお見舞いする。

 

 

ゴンッ!!!!

 

 

『いっツゥ!!』

 

『峰田。普段なら見逃すかもしれねぇが、タイミング考えろ。今のだけは流石に許せねぇぞ?』

 

『轟くん…』

 

『轟さん…』

 

空気が沈んだ俺達の元にヒーロー公安委員会とHUCの人達がつけた二次試験の採点が配られた。

 

『俺の点数は……93点か』

 

コメントを読み込んでみると

 

 

破竜真人

 

・自チームだけでなく全体への指揮及び敵連合を足止めする戦略、他校とのコミュニケーション能力の高さ、個性練度の高さ、どれをとっても文句のつけようがなく、現時点で特筆して直すべきところはない。

 

・強いていえば竜変身時の無力化の際に確実に周りに人がいないかどうかを確認してから行う注意力の部分。逃げ遅れた一般人がいる場合、巻き込む可能性があるので索敵能力の高いヒーローとのチームアップが必要である。ただ、あの場面においては仕方のない事なのであくまで今後の為の課題として。場合によっては今回のように臨機応変に行う事。

 

『ね、破竜。アンタは何点だった?』

 

『ん?俺は93点だったよ。』

 

『メッチャ高得点じゃん!ヤオモモクラス!?』

 

『とはいっても…直すべきところはあるからな。』

 

『さすがですね破竜さん。』

 

『つっても八百万は94点だろ?負けてるのは正直悔しいかもな。ちなみに耳郎は何点だったの?』

 

『この流れで言えるわけないじゃん!』

 

『そ、そっか…』

 

『ボーダーラインは50点。減点方式で採点しています。どの行動で何点引かれたかは下記に記載してますのでご確認下さい。』

 

『……やっぱ変だな。』

 

『何が?』

 

『何がですか?』

 

『いや、轟と夜嵐だよ。』

 

減点方式ならなぜ最後まで轟と夜嵐を試験させたんだ?言っちゃ悪いが、あの2人の行動はあの場では全くもって適切じゃなかった。なのにも関わらず最後まで見るって事は何かあるのか…?

 

すると目良さんは続ける。

 

 オールマイトという犯罪の抑止力がなくなった事でこれから先必ず心のブレーキを踏み外す者が増え、社会が騒乱の渦に巻き込まれる事。

 そして俺達がその中で規範になっていかなければいけない事。

 

そして…不合格になってしまった爆豪、轟、夜嵐の3人に向けて

 

『不合格となってしまった皆さん。点数が足りなかったからとしょげている場合ではありません!君達にもまだチャンスは残っています。3ヶ月の特別講習受講の後、特別テストで結果を出せば貴方達にも仮免許を発行致します!』

 

『あァ!?』『っ!』『!?』

 

救済措置って形か…つってもこれからの季節は学業との両立で忙しくなるだろう。目良さんは4月に再受験する形を念の為確認するが、この3人にはそんな選択肢はねぇだろうな。

 

 

 

『当然!!! 宜しくお願いします!!』

 

 

 

『良かったね!轟くん!』

 

『あぁ…』

 

『やめとけよ…取らんでいいよ!楽にいこ?』

 

『轟』

 

『破竜?』

 

『……待ってるから、早く来いよ。』

 

轟は笑って

 

『……すぐ……追いつく』

 

 

 

 

 

こうしてようやく……

 

仮免試験終了!!!!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ねぇ…あれどうしたの?』

 

『多分嬉しいんだと思うよ。』

 

『俺ももちろん嬉しいけどよ、あそこまで喜ばれてるの見ると俺の喜びが薄いもんだって感じちまうよ。』

 

俺達の視線の先には涙を流しながらヒーローライセンスを見つめる緑谷の姿。まぁ、嬉しい気持ちはわかるけども…

 

『なぁ、イレイザー!せっかくの機会だし、今後合同での練習もやらないか?』

 

『あぁ…いいなそれ。』

 

『傑物学園の人と合同練習か…いいね。』

 

確かにあの人達の個性の使い方は勉強になるからな。

そんな中こちらに話しかけてくる声が…

 

『ねぇ、少しいいかい?』

 

『アンタは…』

 

『真堂さん?』

 

俺達の目の前に現れたのは試験前に試すような真似をしてきた傑物学園の真堂さんだった。

 

『……何の用?』

 

『耳郎…大丈夫。』

 

『歓迎されてないのは知ってるけどそんな顔されちゃあね。破竜君に一言謝っとこうと思ってさ。あの時はキツイ言い方をしてごめんね。』

 

そう言って頭を下げようとした真堂さんを制する。

 

『あぁ、それならご心配なく。試験前のアレは俺を試すつもりで言ったんですよね?』

 

『へぇ…気づいてたのかい?』

 

『演技があまりにも下手でしたからね。』

 

『ははっ、言うねぇ…。ま、俺が言いたかったのはそれだけさ。次は合同練習する時にでも会おうよ。その時までには実力だけじゃなく演技力も磨いといてあげる。』

 

『……楽しみにしてます。』

 

そう言って俺から離れていく真堂さんを見送っていると轟と話していた夜嵐がこちらに向かって歩いてくる。

 

『轟の方はいいのか?』

 

『さっき謝ったから問題ないっス。』

 

俺が真堂さんと話していた間に2人の間である程度の関係値は築けたみたいだな。だが、俺にとっては肝心なことが解決していない。

 

それはなぜ夜嵐が俺の事を敵視していたのかだ。

 

『アンタに一つ聞きたいことがあるんス』

 

『俺に?』

 

その一言でバスに向かおうとA組のメンバーは立ち止まる。夜嵐が破竜に聞きたい事というのが内容的に非常に気になるからだった。

 

『まぁ…いいけど、何聞きたいの?』

 

『……俺には昔、憧れたヒーローがいるんス。熱くて真っ直ぐでヒーローの鑑のような人達が。』

 

『……なんでそれを俺に?』

 

何を言いたいんだ?憧れたヒーロー?俺はオールマイトに憧れたから夜嵐もそのパターンかな?それなら俺よりも緑谷の方がいいぞ…と答えようとした時、夜嵐の言葉で俺の表情から色が消えた。

 

『破竜、アンタはフォーマーとメタライズ。2人のプロヒーローの息子なんじゃないスか?』

 

『は……?』

 

『え!?』

 

『プロヒーローの息子!?』

 

『破竜が!?』

 

その事実にA組のメンバーは驚きを隠せなかった。轟と飯田以外にもプロヒーローを家系に持つ人間がいた事に。

 

夜嵐は更に続ける。

 

『最近、全然世の中に出てきたって話を聞かなくて…息子のアンタなら何か知ってるって思ったんスけど、あの2人は今なにして…』

 

『いねぇよ』

 

『え……?』

 

自分でもビックリするくらい冷たい声が出た。

 

『もう…生きてねぇよ。6年前に死んだからな』

 

『な…ッ!!』

 

すると夜嵐は俺の肩を掴んでグワングワンと揺らし出す。その顔にはそんな事実信じてたまるかという現実逃避の気持ちが見え透いていた。

 

『な、なんで!?あんな強いヒーローが死ぬなんて!』

 

『悪いけど事実だ。それと…もういいか?俺はあの人達のことなんか話したくねぇんだ。息子を見捨てた奴らの事なんか…』

 

 そう言った破竜の目を夜嵐は見つめる。そこには自身が嫌う目…誰かに対する強い憎悪が破竜の瞳に宿っていた。

 だからこそ聞きたくなってしまった。なぜその内に宿る憎悪を両親に向けているのかを…

 

『……なんでそんな目ができるんスか?』

 

『あ"?』

 

『さっきまでのアンタはあの2人と本当にそっくりだった。強い意志で周りの人間を助ける…まさに俺が憧れたヒーローだった。けど、今のアンタの目は…強い憎悪を宿してる。しかも、その矛先は自分の両親。俺にはそれが不思議でしょうがないんス。』

 

『だから…俺に執拗に絡んできてたのか…』

 

納得した。コイツは良くも悪くも馬鹿正直で繊細で…真っ直ぐな奴だ。自分の目で見た事実が正しいと思っているタイプのな。

 

破竜と夜嵐のやりとりをその場にいたA組全員が聞いていた。それは神野事件で世に解き放たれた彼が隠し続けていた過去に繋がるものだと感じ、皆も聞き耳を立てていた。

 

そんな中、破竜はポツリと呟く。

 

『夜嵐、お前に一つだけ教えといてやる。確かにアイツらはお前の言う通りヒーローとしては憧れられる存在だったんだろう…。だが、それはあくまで()()()()()()()()()()に過ぎない。』

 

『ッ!』

 

夜嵐は本能的に一歩後退りする。理由は明白。目の前にいる破竜から発せられる強い怒りに体が反応してしまったから。

 

『何も知らないくせに勝手にあのクソ両親のことを美化して俺に説教垂れてんじゃねぇ。』

 

『待つっス!まだ話は…!!』

 

スッと差し出した手で俺は夜嵐を制す。

 

『悪い…これ以上は話したくない。』

 

これで話は終わりだと強引に打ち切り、スタスタとその場から立ち去る。重い空気がその場を支配する中、夜嵐はその場に残っていたA組全員に再度頭を下げる。

 

『すんませんでした…でも俺やっぱ気になって!』

 

『……夜嵐、戻るぞ』

 

『で、でも…』

 

渋る夜嵐を士傑高校の面々が連れていく。

 

『先程の反応からして彼にとって簡単に触れられたくないものなのだろう…雄英の人達に任せるのが1番いいさ。』

 

すると、毛原もA組の面々に頭を下げる。

 

『な、なに!?』

 

『こちらから焚き付けておきながら後始末を君達に任せて本当に申し訳ない。だが、君達の反応からして1()()()()()()ご両親が亡くなっている事すら知らなかったようだ。』

 

『1人を除いてって…』

 

『……………………』

 

『響香ちゃん…?』

 

視線の先には目を伏せていた耳郎の姿。

 

『余計なお世話かも知れないが…彼が抱えているものはとても大きなものだと感じる。君達が助けてやってくれ。では…』

 

そう言って士傑高校のメンバーはその場から立ち去ってしまう。残されたA組は誰一人として言葉を発することができなかった。

 

『……………………………』

 

『おい、お前ら帰るぞ。』

 

ようやく動けたのは相澤先生の声がその場に響いた時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

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敵連合side

 

 

 

 

 

 

 

士傑高校のケミィ?はたった1人で路地裏を歩いていると手元の携帯が鳴り響いた。ベチャ…べチャと何かを踏みつける音と共に電話に出ると

 

『やっと繋がった…どこにいってたんだよ…

 

 

 

 

 

トガ!!!』

 

 

 

その姿は敵連合のトガヒミコへ変わる。

 

 

『素敵な遊びをしてました!』

 

『定期連絡は怠るなって言っただろ!1人が捕まったら全員が危なくなるんだからな!』

 

『大丈夫なんです!私は今まで誰にも見つからずに生きてきたので…それに有益でした。弔くんが喜ぶよ。手に入れました出久くんの血。』

 

トガヒミコ:個性『変身』

他者の血を摂取する事で他者の姿に変身できる。

 

『そりゃ、よかった!ヒーローたちに見つかる前に早くこっちに…『その前に…』!?』

 

トガヒミコとコンプレスのやり取りに突然、ロードの声色が乱入する。

 

『俺の頼みはやってくれたんだろうな?』

 

『あ…、えっと…忘れちゃいました⭐︎』

 

『んだと…?潜入するならそれくらい調べてこいと俺はお前に要求したはずだが?』

 

『しょうがないじゃないですか、忘れちゃったんですから。それに私が興味あるのは出久くんだけなのです♡』

 

『…イカレ女が』

 

『……なんですかその言い方。刺しますよ?』

 

『あ…?ククッ…冗談もほどほどにしてけよ。テメェ如きがこの俺を?実力差もわからないガキはこれだから困る。』

 

『わかりました…戻ったら即刺します。』

 

『……舐めてんじゃねぇぞ。俺がその気なら1秒でテメェなんぞ木っ端微塵にできる。戻ってきたら試してやるよ。』

 

『まァ、待て。』

 

電話越しに真っ向から反抗するトガヒミコにロードが殺害予告をしそうになる所を死柄木がストップをかける。

 

『弔くん?』

 

『死柄木…テメェが俺に命令できる立場か?』

 

『……トガはこれからの敵連合に必要だ。ロード、今回の件は見逃せ。』

 

『………………殺す。』

 

 

バキバキと体が変化していくロードに死柄木は更に続ける。

 

 

『お前は先生から俺達のサポートを頼まれたんだろ?もう一度言う。これも失敗の一つって事で見逃せ。』

 

 

 

 

ロードの脳裏に神野の時の事が蘇る。

 

 

『ロード…君の目的は知ってる。その上での頼みなんだけどね。弔や敵連合の事を任せてもいいかい?』

 

『あ"ぁ?この俺に子守をしろってか?』

 

『君の事だからなんだかんだやってくれるだろう?それに弔はこれから変わっていく。君も彼のその先が気になるだろう?』

 

『………………………………』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ふん……いいだろう。あの欲しがり野郎の最後の頼みだ。俺もアイツには多少の礼がある…俺の目的の次くらいにはお前らのことも勘定に入れてやるよ。』

 

そういうとロードは竜変身を解除し、自身に付き従う脳無と共に奥の部屋にスタスタと歩いてしまう。

 

『ごめんね弔くん。』

 

『気にするな。それで報告を頼む。』

 

 

彼らが知らない所で敵連合も動き出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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ハイツアライアンス A組棟

 

 

 

仮免試験が終了した1年A組は家であるハイツアライアンスに戻ってきたが…

 

『………………………………』

 

『………………………………』

 

『………………………………』

 

誰も話し出せず、ずっと重い空気が流れていた。

 

それはソファーに座っていた破竜の様子が仮免終了時からずっと変わらないままだった事から誰も彼の過去について追求できる雰囲気ではなかった。

 

『………………………………』

 

気まずい…まぁ、俺のせいっちゃせいなんだけど、ここにいたらみんなも気使うだろうし…

 

『なぁ…』

 

『『『 は、はい!! 』』』

 

『そんな驚くなよ。俺、部屋に戻るわ。』

 

『あ…待っ』

 

『じゃあな』

 

耳郎が呼び止める前にその場から立ち去った破竜がいなくなると、全員がぐでーと力なくソファーや椅子にもたれかかる。

 

『空気悪すぎない!?』

 

芦戸が嘆くと各々が話し出す。

 

『しょうがないだろう。あんな雰囲気を纏っている以上、今日は無理に聞き出さない方が得策だ。』

 

『でも、ほっといたらまたなぁなぁになっちゃうよ?』

 

『そもそもタイミングがねぇからなぁ…』

 

尾白、葉隠、砂藤のいうことも最もだった。A組のメンバーは基本的に全員優しいが故に神野事件後から今にかけて誰も追求する事はできなかった。

 

そんな中、上鳴が思い出したかのように話出す。

 

『そういやさ…』

 

『?』

 

『耳郎って破竜の両親が亡くなってる事なんで知ってたんだ?』

 

『確かに…だってあれだけの反応するって事は破竜くんから話し出すとは到底思えないもんね。』

 

『教えてくれるか、耳郎くん…』

 

『…………わかった。でも、ウチが知ってる事なんてそんな大した事じゃないよ?』

 

全員の視線が自分に向いているのを理解して、耳郎はわかる範囲のことを話し始める。

 

始まりは雄英体育祭が終わった日まで遡る事。

上鳴と峰田が主催した打ち上げの時、破竜が歌ったとある曲に気持ちがこもりすぎていた事から何か思うところがあったのか?

 

と何気なく質問を投げた事。

 

『そしたらアイツはこう答えたよ。俺には両親との思い出がないって。』

 

『………………………………』

 

『もういない人達だからって…冷たく言い放ったアイツの顔が今でも凄く印象に残ってる。』

 

『その事なんだけど、さっきの夜嵐くんが言った名前を聞いて思い出したんだ。』

 

緑谷は携帯を操作してあるページを開く。そこに映っていたのは破竜に似た男の人と彼と同じ特徴的な髪色をした女の人のヒーローコンビ。

 

『フォーマーとメタライズ。6年前に大規模災害から人々を救って亡くなった無名のヒーローって言われてる人達だった。』

 

その写真を見て瀬呂と麗日が

 

『男の人、破竜にそっくりじゃねぇか…』

 

『それだけじゃない…。女の人の髪色なんてもろ破竜くんや』

 

その場にいた全員が破竜の過去について少しずつ迫っていく中、ある人物が手を挙げた。

 

『皆、ここまでにしよう。』

 

『障子くん…?』

 

『破竜本人から話されてもいないのに勝手に詮索するのは野暮だ。それに人には触れられたくない過去というのがある。聞くなら本人から聞くのが1番いいのではないかと俺は思う…』

 

『私もそう思うわ…』

 

『私もそう思います…』

 

障子の意見に蛙吹、八百万が同意する。破竜が話さなかったという事は本人にとって触れられたくない過去…そして両親の名前を聞いただけであれだけ取り乱すという事は彼にとってその存在がいかに彼の心にのしかかっている重みなのか…

 

『障子君の意見は尤もだ。だが、今日はもう遅い!各自疲れているだろうし、彼の事は後日話そう。』

 

『そうだよな…また明日話そうぜ…』

 

飯田と切島の一言でその場にいた全員は各自の部屋に戻り出す中、耳郎は1人決心する。

 

『…………それでもウチはアイツの事が知りたい』

 

その足は人知れず破竜の部屋に向かっていた。

 

『僕も戻ろう…』

 

『おい、デク。』

 

『っ!か、かっちゃん?』

 

『後で表でろ。テメェの"個性"の話だ』

 

同時にもう一つの話も動き出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

破竜ルーム

 

 

『ふぅ…疲れたなホントに。』

 

俺は自分の部屋で今日の事を1人で思い返していた。

 

まさか、夜嵐の奴があのクソ両親との面識があるとは思わなかった。まぁ、話の流れ的には1ファンとしてって感じだが…

 

つーか、俺とアイツらが似てるって冗談じゃねぇ。アイツらと俺は違う人間だ。あんな…自分の子供を見捨ててヒーロー活動だけに従事するような奴らと一緒にされたくなんかないね。

 

すると

 

 

コンコン

 

 

と部屋のドアを叩く音が聞こえる。

 

『ん…誰?』

 

『破竜、ごめん。ウチだけど…』

 

『耳郎!?』

 

な、なんで男子棟に?

 

『少し話せる?』

 

『……わかった。入ってきていいよ。』

 

『ありがと』

 

そう言うと耳郎はドアを開けて俺の部屋に入ってくる。こんな夜遅くになんの用事だ?

 

『どうしたの?なんか相談?』

 

俺がそう聞くと耳郎はすぐには何も答えなかったが、暫くすると意を決して俺に聞きたかったであろう事を聞く。

 

『………アンタの事教えて。』

 

『ん?』

 

『アンタの事教えてって言ったの。ウチらに隠してきた事全部…。もう…そのせいでアンタだけがずっとずっと辛い思いするの…嫌だ。』

 

『あ……』

 

そう言った耳郎の目はほんの少しだけ潤んでいた。

 

『………………………………』

 

その場に静寂が流れる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もういいか………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『わかった。』

 

『え…』

 

『聞きたいこと教えるよ。俺の過去について。』

 

そう答えた俺の顔を驚いた顔で見つめる。

 

『いいの…?』

 

『うん。このあと時間あるか?』

 

『あ、あるけど……』

 

『場所を移そう。一階の談話室なら長話になっても平気だろうし』

 

『……行こっか。』

 

そう言って俺と耳郎の2人は自室を出て談話室まで歩き出す。だが、2人とも気づかなかった。

 

 

 

カチャ……

 

 

 

『あれは……破竜と』

 

『耳郎……?』

 

ドアを閉めた音で両隣の部屋から轟と砂藤が出てきていたことに。

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

 

耳郎が自室に上着を取りに行っている間、一足先に談話室に着くと珍しい2人組がエントランスのドアに手をかけ、外に出ようとしていた。

 

『…テメェは…ドラゴン野郎』

 

『は、破竜くん!?』

 

『何やってんだお前ら?』

 

なんでこんな時間まで起きてるんだ?というよりもこの2人が連れ立って行動してるなんて期末テスト以来だな。あの時はほぼ強引という感じだったが、今はそう見えない。

 

『こ、これはその……』

 

『テメェには関係ねぇ。さっさと消えろ。』

 

『相変わらず口の悪い…そういうところが悪くて仮免試験に落ちたんじゃないの?』

 

『ウルセェ、ほっとけよ』

 

相変わらずの俺と爆豪のやりとりを緑谷がハラハラしながら見守る。

 

『んで、外行くの?』

 

『だったらなんだよ。』

 

『別に…止めやしないけど、問題は起こすなよ。多分相澤先生は起きてるけど、あの人は俺達の今後のカリキュラム組んだりする為に起きてるのに問題行動なんか起こしたら忙殺されて過労死するぞ?』

 

『善処してやる。着いてこい、デク。』

 

『う、うん…』

 

そう言うと2人は玄関を開けて外に向かう。アイツ…まさかな。

 

すると、上着を着た耳郎がこちらに歩いてくる。

 

『破竜、お待たせ。』

 

『うん。そこのソファーに座って喋ろっか…』

 

破竜と耳郎がソファーに座るのと同時に談話室の端の方では2人と緑谷、爆豪を除いたA組全員が隠れながら聞き耳を立てていた。

 

『轟と砂藤から連絡来た時は驚いたよ。破竜と耳郎の雰囲気がおかしいって言うから来てみれば…』

 

『破竜の抱える闇…俺も気になるな。』

 

『ようやくわかるんやね…破竜くんの過去。』

 

『でもなんで響香ちゃんだけに?』

 

『ていうか、ちょっと…狭くない!?』

 

『しょうがねぇだろ…!全員で聞きにきたんだからさ!』

 

『全員静かにするんだ!』

 

『飯田が1番うるさい!』

 

『おい!聞こえねぇだろ…静かにしろって!』

 

『ば、バレますから皆様静かに…!』

 

『ん?……おい、そろそろ話し出すぞ…』

 

障子の一言で全員静まり返る。そんな中、破竜は静かに語り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

己の過去について。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 







あとがきです。



仮免が終わり、この章も終盤!

辛さを1人で抱え込みがちな破竜くんを心配して涙を浮かべる耳郎さんに答える形で彼はついに己の過去を伝える決心をします。

彼が抱える両親への憎悪はなんなのか。
彼の内面にA組のメンバーがようやく一歩踏み込みます。




皆様の感想や評価など、お待ちしてます!
これからも頑張るのでお付き合いください!


ではでは、次話もお楽しみに!




次回予告




『俺の両親はロードに殺された。』

『そんなの…!!』

『お前が俺を気にかけて助けてくれたように今度は俺がお前を助ける。』



『バカ…ばっか…だな。ホント……』




次回!
半人半竜のヒーローアカデミア





『明かされる過去…』





『何か言い訳はあるか?お前ら…』








更に向こうへ!Plus ultra!!!
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