半人半竜のヒーローアカデミア   作:十希

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はじめに


皆様、いつも本作品をお読み頂き、誠にありがとうございます!

ようやく秋も深まってきていい感じの天候になってきました。作者は変わらず暑がりなので一人半袖で過ごしてます。会社で季節感バグってるの確実に君のせいだからねって真顔で言われたときの事、忘れてませんよ。


お気に入りしてくれた下記の方

素来夢 832 guren 駄日 SHUN0503 ガイヤ1105 山本十郎左衛門 ちゃとらんらん ys9029

本当にありがとうございます!




それでは本編をお楽しみ下さい!





『No.1にもっとも近い男!』

 

 

 

体育館γ

 

 

 

通形先輩に先導され、俺達は全員が体育館γに集合し、各々が屈伸や体を伸ばして準備する。そんな中、瀬呂が

 

『あの…マジすか?』

 

『マジなんだよね!』

 

余裕そうな笑みを浮かべながら通形さんがそう答えると、壁に頭をくっつけていた天喰先輩が話し出す。

 

『ミリオ、やめた方がいい。形式的にこういう具合で"とても有意義です"と語るだけでいい。』

 

『いや、遠…』

 

峰田のいう事も最もなんだが、天喰先輩の言い方に何か棘があるように感じてしまう。それだけだと、まるで俺達に期待なんかしていないように感じてしまう。

 

『俺個人としては直接手合わせしてもらえるなら嬉しい限りです。なにせ雄英高校でもトップに君臨するBIG3の一人に相手してもらえるんですから。』

 

俺の言い分に何人かが頷く。

 

『……うん。君はそう思うかもしれない。でも、周りはそうじゃない。君みたいに上昇志向に満ち満ちている人もいればそうじゃない人もいる。ここで心が折れて立ち直れなくなる子がでるのは良くないんだ。』

 

『…………………………』

 

天喰先輩なりに俺達のことを考えてくれた発言に俺は何も言えなくなってしまう。

 

『あ、聞いて!知ってる!昔、挫折してヒーロー諦めて問題起こしちゃった子がいるんだよね。知ってた?通形、ちゃんと考えてやんないと辛いよー。これは辛いよ。あ、動く動く』

 

『やめてください…』

 

波動先輩も通形先輩のやり方にあまり納得していないようだ。まぁ、芦戸のツノを触りながら言ってるせいかあまり深く入ってこないが。

 

そんな先輩達の言い分に待ったをかけたのは常闇と切島の二人。

 

『ちょっと待ってください。俺達はハンデありとは言え、プロヒーローと戦っている。』

 

『それに(ヴィラン)との戦闘も経験してる!そんな心配されるほど、俺ら雑魚に見えますか!?』

 

『うん、いつどっからきてもいいよ!1番手は誰かな?』

 

『勿論俺が…『僕が行きます!』』

 

へぇ…珍しい。いつもなら先陣を切るのは切島か爆豪の役目だ。だが、そんな思い込みを払拭するように緑谷が名乗り出る。

 

『おぉー!問題児くん!おいで!』

 

戦闘体制に入った通形さんを見て俺は()()()まで下がって様子を伺うと、近くにいた耳郎がこちらを見て話しかける。

 

『ねぇ、なんでアンタまでこっちに来てんの?まさかとは思うけど、ウチのこと心配して来たとかだったら…悪いけど、大きなお世話だよ。』

 

そう言った耳郎の目には強い圧力がこめられていた。

 

『気を悪くしたんならすまねぇ。ここにきたのにはちゃんとした理由がある。あの人の戦闘スタイルが見ておきたくてな。』

 

『いや、なら前にいた方がより見やすいでしょ。』

 

『普通に考えればそうだけど、俺の考えは違う。もし俺があの人の立場ならこの人数を一気に無効化する為にまずは最後尾から狙う。ここにいるのは最前線にいるのと同じなんだ。』

 

『……わかった。』

 

納得したのか耳郎はイヤホンジャックを構える。俺もパワージーンの力を20倍まで引き出すと同時に周りを赤いオーラが包み込む。

 

『近接隊は一気に周りを囲んじまおうぜ!そんじゃ先輩…ご指導

 

宜しくお願いしまっす!!!!

 

 

 

 

 

 

 

ハラ……

 

 

 

 

 

 

 

 

通形先輩の服がいきなりずり落ち、見事な全裸になってしまう。あまりの状況に隣にいた耳郎は叫びながら顔を真っ赤にする。

 

『うわぁぁぁぁ!!!』

 

『見ちゃダメ。』

 

耳郎の目線から全裸の男を隠しながら俺は考える。なんでいきなり服が…脱ぐそぶりすらなかったところから見れば個性の発動に伴って落ちたのか?

 

『うわぁぁぁ!ごめんね!調整が難しくて…』

 

すると、緑谷はその一瞬の隙に高速の飛び込み蹴りを喰らわせるが…

 

 

 

 

 

 

スカ

 

 

 

 

 

『な…すり抜けた!?』

 

『ど、どうなってんの!?』

 

『ははっ、顔面かよ!』

 

 

 

THOOM!!

 

GLOOP!!

 

 

近接隊の追撃が通形先輩に襲いかかるが、それすらもすり抜けられ、次の瞬間にはその場から消えてしまっていた。

 

 

『いないぞ!?』

 

 

みんなが周りをキョロキョロする中、俺は音一つ聞き逃さないように精神を集中させる。

 

『どこに…?』

 

『静かに………………』

 

出てくるとしたら最後列…俺と耳郎の近くに来るはず…

感覚を研ぎ澄ませ!感じた瞬間に即時反応しろ!

 

『まず…『そこだッ!!』いきなり見抜くかよ!!』

 

予測通り俺達の真後ろに出てきた通形先輩は真っ先に耳郎に狙いを定める。俺は咄嗟に耳郎の間に入って蹴りを喰らわせるが…

 

 

ブンッ!!!!

 

 

『なッ…これもかよ!!!』

 

『いい反応だったけど、まだまだ甘いねー!!』

 

 

 

ドゴォン!

 

 

 

『がっ…は…!!!!』

 

『そぉぉれー!!!!!!』

 

 

 

 

DOGOOOOOM!!!!

 

 

 

 

 

鳩尾に通形の強烈な一撃を受けた破竜は近接隊の後ろにあるコンクリートの中まで吹っ飛ばされてしまう。

 

『破竜!?』

 

『よそ見してる暇ないよ!』

 

『ワープした!?すり抜けるだけじゃなくてワープってどんな強個性だよ!』

 

『(ミリオの個性は決して羨ましがれるものじゃない。ひがむべきはその"技術"だよ一年坊)』

 

そこからの通形は早かった。遠距離中距離型の個性持ちを抵抗する間も無く、瞬く間に無力化してしまう。

 

 

 

『POWERRRRRR!!!!!』

 

 

 

『嘘…だろ…信じられねぇ…』

 

驚愕する轟の横で相澤先生が

 

『お前らいい機会だからしっかりもんでもらえ。その人、通形ミリオは俺が知る中でもっともNo.1に近い男だぞ?…プロも含めてな。』

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

『一瞬で半数がやられた…しかもその内の一人は破竜だぞ…。あれがNo.1に最も近い男。』

 

『お前は行かなくていいのか?No.1に興味がないわけじゃないだろ?』

 

『俺はまだ仮免とってないんで。』

 

丸くなりやがって…さて、残りは近接主体が多いな。この中で一矢報いる事ができる可能性があるのは…

 

『何したかさっぱりわかんねぇ!すり抜けるだけじゃなくてワープとかもうそれ無敵じゃねぇっすか!』

 

『ははっ!よせやい!』

 

『(無敵か…その一言で君らのレベルが推し量れる。そんな簡単な言葉でミリオの努力を片付けてしまうようじゃ、一矢報いることも…)』

 

『なにかからくりがあるはずだ!すりぬけの応用でワープしてるのか…ワープの応用ですりぬけてるのか…ただ、直接攻撃されてる時点でカウンター狙い!わからないことは多いけどわかる中で仮説を立てて勝ち筋を探って行こう!』

 

『おぉー!さすが緑谷!』

 

『へぇ…なら、探ってみなよ!』

 

 

 

 

 

スン

 

 

 

 

 

『沈んだ!』

 

落ち着け…さっき、破竜くんは初見の攻撃なのにほとんど完璧に対応した。つまり、出てくる場所を予測していた。さっき出てきたのは最後尾。位置的には僕の…

 

『真後ろだ!!!!』

 

『おぉー!君も読み切った!』

 

『貰った!!』

 

『だけど、甘いんだよね!必殺ブラインドタッチ目潰し!』

 

『うっ!』

 

通形はすり抜ける目潰しを緑谷に仕掛ける事で一瞬だけ視界を奪うと、その隙に鳩尾に強烈な一撃を加える!

 

『ごっほ……』

 

『大体みんなそうやってカウンターを画策するよね!なら、それの対応策も考えるってもんさ!』

 

『緑谷君!?』

 

 

 

 

ドドドドドドドドドド!!

 

 

 

 

 

『ねぇ、通形強くなったよね!ねぇ!』

 

『ミリオは昔から強いよ。でも、本当悪い癖だよ。そろそろ加減を覚えたほうがいい。』

 

 

 

『POWERRRRRR!!!!!』

 

 

 

『全員終わりか?』

 

『よっし!それじゃあ…集め…』

 

 

 

 

DOGOOOOOM!!!

 

 

 

 

『!?』

 

『………………ふー。』

 

瓦礫を吹き飛ばしながら破竜が復帰してくる。歩きながらコキコキと首を鳴らし、ダメージの有無を確認していたようだ。

 

『へぇ…タフだね。結構本気で殴ったんだけど』

 

『ぺっ!結構効かされちまった。』

 

20倍の力を使ったのに一瞬意識を失いそうになった。脳無でも複数個性持ちでもないのにこの筋力は凄い。

 

『みんな倒れてるけど…どうする?』

 

そう言って視線を移すと、誰も立ち上がれなさそうだった。まぁ…好都合っちゃ好都合か。

 

『もちろん続けます。ただ、一対一でやらせてもらう。覚悟しろよ…俺も本気で行く!』

 

『……さっきまでは本気じゃなかったってこと?随分となめられちゃったなー!俺もちょっと本気で行こっかな!』

 

『ふぅ…竜変身!!』

 

ドラゴンウォリアに変身した破竜と通形が正対する。周りのメンバー達はお腹を抑えつつ、巻き込まれないように端に移動する。

 

 

 

 

 

 

スン

 

 

 

 

 

 

『また消えた!!』

 

『………させるか!!!』

 

破竜は地面を踏みつけ、周囲の瓦礫を浮かせるとそれらを通形がいた方向に大きく蹴り飛ばす!細かく砕かれた瓦礫はマシンガンのように襲いかかっていく!

 

確かにこの人の透過?は厄介だが、不規則に飛んでくる物体の動きまで読み切れるかな!

 

『(へぇ…あの一瞬でこれを思いついたんだ。確かに高速で飛来する物体を避ける事は出来てもそれらが及ばす衝撃や瓦礫の重なりまで見切るのは()()は難しい。でも…)その考えはちょっと甘いんじゃないかな!?』

 

だが、その考えすら通形には読まれており全て躱しきって通形はそのまま破竜に突進して無防備になっている鳩尾に再度一撃を入れようとするが

 

 

 

 

パシッ!!!

 

 

 

 

『!?』

 

『やっぱ来るならここだよな!』

 

掴んだ腕を引くようにして蹴りを入れ込むが、再度透過されてしまい、一撃は虚空を切り裂いた。

 

『ミリオの個性に…対応した?』

 

『すごーい!!!』

 

俺が鳩尾を狙いにくると踏んであえて無防備にしてたのか。1手先じゃなく、2手、3手って先読みしてくる戦い方…嫌いじゃない。

 

『へぇ…やるね!』

 

『不意打ち気味の攻撃をそんな完璧に躱された上での賞賛を素直に受け取れる気はしませんね。』

 

この人…思考の速さがとんでもない。さっきのガードからの不意打ちはさすがに受けると思ったが、それすら読まれてたのか?

 

『さぁ、どうする?俺に一撃でも入れられたら結構面白いと思うよ!』

 

『……しょうがない。ここで使うのは多少気が引けますけど…こんなやられっぱなしで終われるほど、俺はまだ大人じゃないんでね。』

 

『……何をする気かな?』

 

『……1分。今の俺ができる時間はそれが限界です。だけど…気をつけてくださいね通形先輩。』

 

そう言って破竜は深く腰を下げ、集中力を最大まで高めて目の前に立つ通形に見据える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『こっから先…俺の全ての能力は急上昇する。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ピンと張り詰めた空気が場を支配する。

 

 

 

 

 

『破竜の奴…特に変わった雰囲気はないが…』

 

『いや…………………………さっきまでと』

 

『うん…………………雰囲気が全然違う。』

 

『…いいね!俺相手に一発当ててみなよ!』

 

『………………………………………………』

 

轟は気付かなかったが、天喰・波動・通形・相澤の4人は破竜の明確な変化を感じ取っていた。

 

『すぅ……!』

 

 

 

トン…と踏み出した足で地面を蹴り飛ばす!!!

 

 

 

 

バキャッ!!!!!

 

 

 

 

『『『  速いッ!!!! 』』』

 

 

 

『うぉりゃあ!!!!』

 

『くっ…!』

 

破竜の初撃を透過させた通形だったが

 

『だだだだだだだだ!!!!』

 

 

ブンッ!ブンッ!ブンッ!ブンッ!

 

 

『はや…いけど、まだ対応可能な範囲なんだよね!』

 

速度が上がった破竜の連続攻撃を通形は先ほどと変わらず捌いていくが、その中である事に気づいた。

 

『(待て…少しずつ速度が上がってきた…!それに…攻撃の軌道がさっきよりも読みづらいせいで…)』

 

通形の顔に一筋の冷や汗が流れる。

 

『(みんなはさっき、ワープに透過を併せ持つ無敵の個性だって褒めてたけど俺はそうは思わない。)』

 

 透過させる個性…確かに強力だ。だけど、さっきから見ていて2つ気づいたことがあった。

 

 1つ目は透過する場所は通形先輩の思考力に委ねられているのではないかという事。簡単に言えば、俺の蹴りを避ける為にこの部分を透過させようと認識してから発動するという事。

 2つ目は全身を透過させれば誰も触れられない完全無欠な防御形態なのにそれをしていないという事は地面にいる間はもしくは攻撃する瞬間だけはどこかが実体化している…いや、()()()()()しなきゃいけない!

 

 

 

つまり…無敵なんてのはまやかしに過ぎない!

 

 

 

『俺との攻防が追いつかない速度で、軌道が読めない変幻自在の攻撃ならどこかで必ず隙が生まれるはずだ!!!』

 

俺は顔面、胴体、脚、腕、あらゆるところを狙いに行く!透過された所で別の場所を超高速で狙いに行く流れるような変幻自在の攻撃、腕や足を掴もうものなら透過する前に俺が一撃を加えるまでだ!

 

『まさか…こんな封じ方をしてくるなんてね!』

 

『……ここだッ!!』

 

パシッ!

 

『うおッ!!!』

 

咄嗟の足払いに通形は反応できずに体制を崩してしまう。

 

『当たった!?』

 

『まッずい!!』

 

『喰らえェェェェ!!!』

 

完璧に隙を見せた通形へ破竜は渾身の一撃を繰り出すために一歩踏み込んで拳を突き出すが…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ズキン………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その拳は通形に届かなかった。

 

『ッ……かっっっはぁ!!!』

 

突如、その場にばたりと倒れてしまう破竜。

 

『……だ、大丈夫かい!?』

 

『ゼェ…ゼェ…ッ、も…もう無理。』

 

 

 

頭がオーバーヒートしそうだ………。

 

 

 

『時間制限系の技か…』

 

『でも、あのミリオ相手に…一撃当てた。』

 

『凄い凄い!!』

 

『すげえってしか言えねぇ…。』

 

その場で2人の勝負を見ていた天喰・波動・相澤・轟の4人は現No.1候補をギリギリまで追い詰めた破竜の凄さに驚愕していた。

 

その張本人である破竜はいまだ地面に背中をつけたまま起き上がることができずにいた。

 

くっそ…1分どころじゃない。45秒…それが今の俺の限界だ。これ以上やったら脳が処理落ちして燃え尽きそうになる…。

 

フラフラする破竜に通形は手を差し伸べる。

 

『立てるかい?』

 

『ありがとうございます……一撃当てるのでさえ精一杯だなんてやっぱ雄英のNo.1は伊達じゃないですね。』

 

『あはは!ありがとう!でも、俺も攻撃を喰らうなんて本当に久しぶりだった。君のおかげでまた課題が見つかったよ!本当に有難う!』

 

爽やかな笑顔で俺にお礼を伝える通形先輩。

 

『とりあえず…服着ましょうか?』

 

『あぁ!!そうだね!』

 

そそくさと服を着替える通形先輩を横目に俺はしばらく熱を持った頭を冷やしていた。

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

『と、まぁ、こんな感じなんだよね!』

 

 

 

『『『 いや、破竜以外わけもわからず腹パンされただけなんですけど…』』』

 

 

『いや、そもそも俺も一発喰らってる。』

 

最初の一撃を無かったことにしないでくれ。なんだったら俺も結構痛かったんだから。

 

『俺の"個性"強かった?』

 

そう質問を投げかけた通形先輩に切島、葉隠、芦戸を筆頭にしたメンバーが文句を垂れていた。確かにすり抜けにワープの個性。普通に考えれば轟のようなハイブリッド型の個性だと思ってしまう。

 

すると、通形先輩は俺の目を見て

 

『うんうん、それじゃ君はどうだったかな?』

 

全員の視線が俺に集まる。どうだったか…一言で言えば強いで済むんだが、この人はそれを求めていないように思えた。

 

『確かに強かった…ですけど、個人的には個性そのものというよりそれを使ってる通形先輩が強いという認識ですね。』

 

『へぇ、なんで?』

 

『確かにいきなり消えては現れるワープの仕組みはわからないですけど、その他のすり抜けるという部分については基本的に一貫しています。俺は通形先輩のその強さは思考力や判断力があるからこそ活きるものだと思ってます。』

 

どこを透過させるのかを瞬時に決める判断力、相手の動きを先読みする思考力、それらは決して個性の強さによって得られるものじゃない。

 

所謂、後天的に身につけた強さ。

 

だからこそ、俺はこの人自体が強いと言った。

 

『そっか!それをわかってくれただけでもこの模擬戦をやった意味があるってもんさ!』

 

そう言って通形先輩は話し出した。自身の個性(透過)について。初めは全員がただの強い個性だと認識していたが、話が進むにつれて全員の表情が青ざめていく。

 

簡単に言えば

 

・透過中はあらゆるものをすり抜ける。その最中に個性を解除すると質量を持ったものは重なり合えないという性質上、地面に弾き出される。その時の角度やポーズによって弾き先を狙う事ができるという事。

・その反面、あらゆるものをすり抜けるという事は音や光、酸素すら取り込めず、落下の感覚のみがあるという事。その為、何かをするにしても一つ一つの工程に膨大な思考が必要だと言う事。

 

それを聞いて俺はゾッとした。どこかの工程一つでも間違えれば自滅する個性。それをここまでの強個性に育て上げた通形先輩とその師匠でもあるインターン先のプロヒーローに…

 

『長くなったけど俺が伝えたかったのはコレが理由!直接手合わせしてみて君達も実感したよね!インターン先では俺達はお客じゃなく一人のサイドキック。同列として扱われる!それはとても恐ろしいよ!時には人の死にも立ち合う。でも、それらは全てが一線級の経験!俺はインターンで得た経験を糧にトップに上り詰めた!ので、怖くてもやるべきだと思うよ!一年生!』

 

 

 

ゾクリと俺の体が震えた。今までとは違う力を身につけられるかもしれない高揚感と実際にそれを身につけて雄英のNo.1にまで上り詰めた先輩を見つめる。

 

 

まだまだ俺は強くなれる。

 

 

そう思えたのが嬉しかったのか破竜の顔は初めて雄英に来た時と同様、不敵な笑みを浮かべていた。

 

 

『ありがとうございました!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

無事に授業が終わったBIG3の3人は自身のクラスに戻るまでの間、先程の授業について歩きながら話し合っていた。

 

『無駄に怪我させるのかと思ってたの知らなかったでしょ!でも結果的に全員怪我無しで終われて良かったね!』

 

『いやぁ!しかし危なかったんだよねちんちんで『誰か気になる子いた!?』』

 

『波動さん、せめて最後まで聞いてあげて』

 

うーんと考え込む通形。

 

『……最後列の人間から倒していく。俺の対敵基本戦術だ。件の問題児くん。俺の初手を分析して予測を立てた行動だった。"サー"が好きそうだ!!』

 

『破竜くんは?』

 

『確かに…本気で行くって宣言した後の彼は実際の所、かなり凄かった。最終的にはミリオ相手に一撃当ててたし。』

 

『そうだね!彼も問題児くん同様に……いや、分析力だけなら彼よりは下かな。考えがたまたま俺と似てたから初手は予測されたって感じだろうね。』

 

意外にも冷静な評価を述べる通形。

 

『ただ、あの時間制限系の技…あれには正直驚かされた。パワーは知らないけど、スピードと思考力が尋常じゃないくらい上がってた。タイムリミットのおかげで俺の勝ちにはなったけど…あの時間内だけなら対策しきれなかったかもね。』

 

その場にいた二人は驚きを隠せなかった。通形は現在雄英高校のNo.1。そんな相手にここまで言わしめる破竜の強さに。

 

『さすが、あの二人が認めるだけあるなぁ〜』

 

『そっか、波動さんのインターン先の2人とも彼は交流があるんだっけ?』

 

『そうそう!今回もウチに来てくれるのかな!?どうかな!?私すごい楽しみなんだよね!』

 

『その為にまずはインターンが実施されるのを期待するしかないんだよね!』

 

『イレイザーヘッドにお願いしてみよーっと!』

 

『可哀想だからやめてあげて。』

 

3人はそれ以外も含めた総評を彼らだけで話していく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

その日の夕方

 

 

 

『実際、どうなんだろうねインターンって…一年はまだ様子見って言ってたけど。』

 

『通形先輩のビリッケツからトップってのはなんかロマンあるよねー!』

 

『とりあえずは相澤先生のGOサイン待ちですわ。』

 

ハイツアライアンスの談話室で女子達が駄弁っている中、耳郎は少しそわそわしていた。

 

『はぁ……』

 

『耳郎さん?どうかしましたか?』

 

『へっ?あ、いや…別に何でもないよ。』

 

『破竜ちゃんの事かしら?』

 

『な、何であいつが出てくるのさ!』

 

『響香ちゃんが自分以外の事で悩むと言ったら破竜ちゃんが必ず関わってくると思ってたけど、見当違いだったかしら?』

 

梅雨ちゃんの鋭い指摘に隠しきれないなぁと判断した耳郎は観念して話し出す。

 

『……うん。アイツの事で少し。』

 

『なになに!?遂に付き合っちゃったとか!?』

 

『そ、そんなんじゃないよ!その…今日の事でさ、アイツが通形先輩と渡り合った後、少し頭抑えてたのが気になって。』

 

『あー、確かに凄かったもんね。』

 

『私も気になってましたわ。』

 

全員の脳裏に先程の事が思い浮かぶ。現No.1ヒーロー候補の一人に短時間とはいえ渡り合った破竜。だが、耳郎が気にしていていたのはその後の破竜の挙動だった。

 

『なんか無理してたのかな…って。さっきも今日は休むって言ってすぐに部屋戻って行ったし。』

 

『うーん…それじゃあさ!お見舞いしに行こうよ!』

 

そう言ったのは葉隠だった。

 

『いや、流石に迷惑じゃない?』

 

『まだ20時だよ!サッといって確認し終わったら帰れば迷惑じゃないよ!』

 

うん。そう…だよね。確認に行くだけなら…

 

『行こっか。』

 

『それじゃ!破竜くんの部屋にlet's go!!』

 

 

 

ゾロゾロと移動し始めた女子は破竜の部屋の前に着く。

 

 

 

『じゃあ、響香ちゃん開けて!』

 

『ウチがっ!?』

 

『仲良いから大丈夫!』

 

『それじゃあ…』

 

 

耳郎がインターホンを鳴らすと

 

 

『だれ〜…?』

 

寝ぼけ気味の破竜の声が中から聞こえる。

 

『その…ウチ!じ、耳郎だけどさ!』

 

『えっ、耳郎!?どうしたの?こんな時間に』

 

『その…体調気になってさ!さっき休むって言ってて…ちょっと気になったんだけど平気?』

 

『あー、ごめん心配かけて。俺なら平気だから大丈夫。』

 

ドア越しではあるが、元気そうな破竜の声に全員が安堵する。

 

『そっか…ごめんね!こんな遅くに!ゆっくり休んで』

 

『あんがとー』

 

それから破竜の返答はなかったが、女子達は話し方もトーンも何もなかったことを確認して、各々が部屋に戻る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、女子たちは誰も気づかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

()()()()()なら意地でも顔を出して安心させようとしたはずだったことに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『はぁ…はぁ…はぁ…クソ…頭が痛え…この技はマジの切り札にしないとやばいかもな…』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ポタッ…ポタッ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう呟いた破竜の額には大量の汗が流れていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 







あとがきです。


まさかの通形戦で一話が終わってしまった。もうちょっと早めに進めたほうがいいかな?でも描写はなるべくしっかり描きたい…悩みどころですね。

破竜くんが使った技の詳細は今後明かしていく予定です!ただ、45秒使っただけで一日響くほどの頭痛と体力消耗。あれ、もしかして結構リスキーな技の可能性…

ここでさらっとアンケートとっておきます。それは耳郎ちゃんをインターン編に参加させるべきかどうかですね。

ここだけは本当に悩んでます。

皆さんの見たい展開をアンケートとめんどくさくなければ感想にさらっとコメントしてください。





皆様の感想や評価など、お待ちしてます!
これからも頑張るのでお付き合いください!


ではでは、次話もお楽しみに!




次回予告




『…とんだ大物連れてきたな…トゥワイス。』

『ククク……お子ちゃまが生意気言うのは100年はえーんじゃねぇのか?』

『私に話って何かな?』



『リューキュウさん、今いいですか?』




次回!
半人半竜のヒーローアカデミア





『日々精進!更なる強さを求めて』





『破竜くん(ちゃん)!お願いがあるんだけど!』








更に向こうへ!Plus ultra!!!

耳郎ちゃんをインターン編に参加させるべきかどうか!

  • 参加させなきゃ許さない
  • 無理に参加させなくてもいいよー
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