半人半竜のヒーローアカデミア 作:十希
はじめに
皆様、いつも本作品をお読み頂き、誠にありがとうございます!
また1ヶ月近くも遅れてしまった…
何とかペースを上げたい所です。
その間もたくさんの方の本作のお気に入り登録や評価ありがとうございます!
お気に入りしてくれた下記の方
ゼロファイアー 天ノ狐憑 白神アカネ コバハト 音ゲー初心者 丹砂 冷凍焼き蜜柑 tomick 琥珀大福 【快楽】ティキ・ミック ライダーライダー 柳瀬川 ハチロウタロウ 燕人 dimensionbreak ダンマツ 刀藤綺凛 toica
評価して頂いた方
ゼノ
本当にありがとうございます!
それでは本編をお楽しみ下さい!
『これが……レイの過去よ。』
『……………………』
誰も…言葉を発せなかった。あの普段のレイの様子からは想像がつかないほど凄惨な過去に…
その静寂を切ったのは破竜だった。
『リューキュウさんの後悔っていうのは…?』
『あの時の私はドラグーンヒーローとして、他のヒーローとチームアップを組んでいたわ。他ヒーローの協力もあってなんとかアイツらを追い詰めてたけど、彼らは一瞬の隙をついて逃走した。でもね、普段の私なら空を飛べば彼らの逃走経路なんて丸見えよ。けど、その日は…』
『激しい雨で視界が悪かった…と?』
『結論を言えばそう。でも…』
一息吐いてリューキュウは目の前にいる破竜の瞳を見つめる。そして過去の自分を行動を懺悔するかのように強い口調で話し出した。
『そんなのは理由にならない!もし、私があの時、激しい雨なんかに左右されずに1秒でも早く彼らを見つけることができていたら!!すぐにその現場に駆けつけることができていたなら!!!私の弱さが…未熟さが……関係のない人を巻き込んだ!!!!レイの家族を殺したのは私のせいみたいなものよッ!!!』
『ッ……!!』
ビリビリとその場に広がる怒りの感情。それに当てられてしまったのか耳郎や麗日、梅雨ちゃんも黙りこくってしまう。
破竜はそんな感情を真正面から受けながらリューキュウさんを見つめる。その姿はNo.9の強いヒーローではなく、1人の人間としての後悔が強く滲み出ていた。
『レイ兄さんは…リューキュウさんが関わってる事知ってるんですか?』
『おそらく…知ってる。でも、直接この話を2人でしたことはないわ。私もレイも…この事に触れるのが恐ろしいのよ。今まで築いてきたものが全部崩れそうな気がして…』
『すみません…言いづらい事を。』
『気にしてないわ。寧ろごめんなさい、私の後悔話に付き合わせちゃって。時間も時間だし、今日はもう終わりよ。次の仕事がある日はまた連絡するから、それまでは学生の本分をしっかりと全うする事。いいわね?』
『『『 了解!!! 』』』
その言葉を最後に俺達は事務所を出て、雄英高校の最寄駅まで歩いて行く。無言がその場を支配する中、俺はレイ兄さんの過去、リューキュウさんの後悔を自分なりに整理する。
たぶん、レイ兄さんはこの件を俺達に関わらせるつもりがない。じゃなきゃあの場にいた俺達を突き放すような言い方はしない。あの人は自分だけで解決するつもりだ…この重すぎる問題を。
そして…
リューキュウさんはそんなレイ兄さんの復讐を止める事が出来ない。いや、止める権利がない。家族を失わせてしまう原因を作った人間に復讐はやめろなんて言われても説得力がないから…。
このままだとレイ兄さんは奴らと対峙して…自分の命が尽きるまで復讐を続ける。
でも、それで良いのか?と俺の心が問いかける。
仮にだ…仮に復讐が成功したとしても…その手に残るのは行き場を失ったどうしようもないほどに燃え盛る怒りの炎だけ。
『(そんな事……レイ兄さんの家族は望まない。)』
俺はレイ兄さんの父親や弟の死に際に立ち会ったわけじゃない。なんなら会ったこともない人達だ。
けれど…
『(もし、あの人達が今の俺と同じ立場にいるなら…必ず同じことを考えるはずだ。その為には…)』
俺がとある決心を固めると、隣を歩いていた耳郎が
あのさ…と切り出す。
『ウチらに…出来る事ってないのかな…』
『『 響香ちゃん… 』』
『あんな話聞いてさ、「はいわかりました」なんて事言えない…。どんな小さな事でもいい。何か…』
『……強くなるしかねぇ。』
『破竜?』
『破竜ちゃん?』
『破竜くん?』
3人が一斉に俺の方を見る。
『闇商人が言ってたんだ。メンツを潰されたアイツらは必ず復讐に来ると。恐らく標的は闇市をぶち壊したレイ兄さんと…俺だ。』
実際、あの闇市は未完成品とは言え、個性を破壊する薬という名目を謳うことでそれなりの闇商人達が集まっていた。奴らからすれば金儲けや名前を売る絶好の場所だったにも関わらず、それをぶち壊した俺とレイ兄さんの事は何がなんでも殺しておきたい。放っておくというのは闇の人間としてのメンツが許さないだろう。
『ってことは…』
『必ず近いうちに俺達はそいつらと対峙することになる。なら、チャンスはあるはずだ。今回の薬を捌いてたアイツらも…敵連合も…死穢八斎會とかいう組織も…全員を逮捕するチャンスが!』
3人の表情が変わった。俺が何を言いたいのかわかったみたいだな。
『その為にも強くなるんだ。その時が来た時に足手纏いにならないように!あの2人の重荷を一緒に背負えるように!』
俺は拳を握りしめる。リューキュウさんとレイ兄さんが抱える心の闇。そんなもん俺がぶち壊してやる!
俺を助けてくれた恩人たちの為に。
『破竜、アンタの時間がある時でいい。ウチの訓練に付き合ってくれない?』
『私もお願い!破竜くん!』
『ケロ!私もお願い破竜ちゃん!!』
『……勿論だ。だが先に言っとく。強くなりてぇなら俺は厳しく訓練するし、優しさなんか見せねぇぞ?
その覚悟……あるよな?』
俺の脅しともとれる発言に3人はそんなのわかりきった上で頼んでる!と退く意思を見せなかった。
『わかった。今日は色々あってもう疲れてるだろうし、訓練は明日からにしよう。』
そう言って再度ハイツアライアンスまでの道を歩く。先ほどまでの暗い空気はもうそこにはなく、ただ前を向いて歩く4人の姿があった。
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闇市の摘発から2日後の午前中
雄英高校1年A組 教室内
『あれ…破竜くんと耳郎ちゃんは?』
『そう言えば来てないね…』
『飯田、なんか聞いてる?』
『いや!特には聞いてないぞ!』
葉隠、尾白、芦戸、飯田の4人はその場に来ていない2人のクラスメイトの席に視線を向ける。
『おい、お前らもうチャイム鳴ってるぞ』
相澤先生の到着に伴い、ささっと席に着くメンバー達。二人のことに触れるかと思ったが、相澤先生はいつも通り今日の授業内容を伝えていく。
そんな空気に耐えられなくなったのか飯田が手を挙げた。
『相澤先生!質問宜しいでしょうか!?』
『……なんだ飯田。』
『破竜くんと耳郎くんがここにきていないのは何か理由があるのでしょうか?』
『あぁ…、言うの忘れてた。アイツらは今日、午前中だけ公欠だ。午後には来る。』
『お二人だけですか?リューキュウ事務所のインターンには麗日さんと蛙吹さんも行っていたはずですのに…』
『確かになー、麗日と梅雨ちゃんはいるのになんでアイツらだけ?なんか知ってる?2人とも』
『んー…なんて言えばいいのか。』
『ちょっとこの場では言いづらいわ。それと百ちゃん、私の事は梅雨ちゃんと呼んで?』
『ふぅ、アイツらはインターン関係だ。詳細については本人達から聞くのが1番だが、気になる奴は休み時間にニュース見ろ。ある程度は情報が載ってる。さぁ、1時間目が始まるからさっさと準備しろ。』
その頃、破竜と耳郎は…
『びっくりしたよね、いきなり連絡きたから。』
『まぁ、昨日の今日にも関わらず相澤先生が融通効かせてくれたのは本当に助かったよ。こういうのは早いほうがいいからな。』
俺と耳郎の2人は相澤先生に許可をとった上で午前中の授業を欠席していた。
その理由は……
ガチャ
『失礼します。』
『わざわざごめんね2人とも。一昨日君達が保護した女の子の件で進捗があったから直接報告したくてね。』
あの闇市で奴隷扱いされていた女の子の近況を確認する為、警察病院に来ていたからだった。当人である女の子は別室にいる為、ここには俺と耳郎、引き渡した警察の人しかいない。
『いえ…、とは言っても午前中の時間しか許可をもらえなかったのでできれば早めに進めてもらえると助かります。』
『わかった。なら結論から言うけど4年前、あの女の子のご家族は全員亡くなっている。そこに関わっていたのはあの闇市を取り仕切っていた敵。ミクバ、バリオ、サントの3人だった。』
『レイさんの…』
ここにも関わってきてんのか…
『それと動機についても色々と調べたが、理由らしい理由がない。恐らく、何の理由もなく殺したんだろう。それこそ、目が合ったからとかムカついたからなんていう程度の低い理由が1番ぴったりハマるくらいに…』
『ッ、マジでさ…ふざけてんね…!』
『……同感だ』
短絡的な理由で人の命を躊躇なく奪う奴らの非道さに破竜と耳郎の顔がどんどん厳しくなっていく。
『それで…どうするんですか?家族がいないという事であれば彼女の引取先は必然的に親族になる。連絡は取れてるんですか?』
『あぁ。実は彼女の親戚は本島から離れた南の島の田舎にいるらしくてね。事情を話したら快く受け入れてくれたよ。』
警察官はそう言うものの、俺と耳郎はある言葉が引っかかってその警察官に問いかけた。
『あの…一つお伺いしたいんですけど』
『そのご親族の方は個性理解はある方ですか?』
『なに?』
破竜はあの日から抱いていた彼女への違和感を伝える。
『あの子…傍目じゃわかりづらいけど若干、異形の個性が入ってますよね?背中の方に。』
『気づいていたのかい?』
『俺と耳郎は保護した時に気づきました。それで、どうなんですか?田舎じゃ今でも異形個性への差別が酷いと聞きます。そんな所に親族がいるとは言え、たった1人放り込んで辛い目に合わないかが何よりも心配です。』
『破竜……』
破竜は自身の経験からその女の子の行く末を心配するが、
『そこについては問題ない…としか言えない。その島には高齢ではあるが在住しているプロヒーローもいるし、そのご親族も彼女の個性について理解がある。島の中にも異形の個性持ちや無個性の人、普通の個性が混ざり合っているが皆がお互いを尊重して、生活してる。』
『ほんと…ですね?』
『誓って』
『わかりました。なら、お願いがあります。俺には親族の連絡先を、先方には俺の連絡先を伝えてください。何かあった時、彼女が助けを呼べるように。』
『信頼されてないのと捉えるけど?』
『ただの保険です。他意はありません。』
『…わかった。君の言うことももっともだし、それについてはこちらで手続きを進めよう。その間、君達は女の子に会ってくるといい。』
『お気遣いありがとうございます。』
そう言って俺と耳郎は部屋を出て女の子がいる別室に向かう。
『やっぱ耳郎は気づいてたんだね?あの子の個性に。』
『うん。ていうか、さすがに気づくよ。シャツで隠れてたけどあの子の個性、羽って言うのかな?そんな感じの感触が抱きしめた時にあったから。』
そんな事を話しているとあっという間に部屋の前についた。
コンコン
『は、はい…?』
『ごめんね?入るよ。』
そう言って中に入るとご飯を食べ終わった女の子がこちらを驚いた表情で見つめていた。
『あ、あの時の…お兄さんとお姉さん。』
『急にきてごめんね。』
『あれから、体調は大丈夫?』
なるべく優しく話しかけながら破竜と耳郎は用意されていた椅子に座ると女の子はシーツを掴んで俯いた。
『あ、あの…そ、その………』
『ゆっくりでいいよ。』
『ん…っ、あ、あの時は助けてくれて…あ、ありがとう』
拙いながらも俺と耳郎の目を見て感謝を伝えるその子を見て耳郎はほんの少し顔を赤らめて女の子から恥ずかしそうに視線を逸らす。
『…な、なんかこうやって直接お礼言われるのって凄く嬉しいけど恥ずかしいね…。』
『まぁ…ね。そういえば君の名前…まだ聞いてなかったね。名前教えてもらってもいい?』
『
『新凪ちゃんよろしくね!そうだ破竜、ウチらも自己紹介しないとさ。』
『それもそっか。俺は破竜真人。』
『ウチは耳郎響香だよ。』
『破竜さんに耳郎さん?』
俺はコクリと頷くと女の子は何度か俺達の名前を呼んだ後、自分の事を話してくれた。
現在は11歳である事、両親は既に亡くなっている事、その後、アイツらに捕まって人身売買にかけられた事、そのせいで学校に一年以上通えていなかった事、そして…自分の個性の事。
『私の個性ね…、飛翼っていうの。背中に生えてる柔らかい翼をほんのちょっとだけ操ることができるの。』
【吹風新凪 個性:飛翼 背中から生えている柔らかい翼を飛ばしたり、操ったりすことができる。だが、羽自体は柔らかい為、殺傷能力はなく、操れる数も範囲も自分の周囲が限界だぜ!】
『飛翼…素敵な個性じゃんね。』
『あぁ。』
俺達2人の言葉を聞いて新凪ちゃんはパァァと顔が明るくなった。本人じゃないから家庭環境は知らないが、いままでこの個性を素敵とか褒めてくれる年上の人はあまりいなかったんだろうな。
そこからしばらく、新凪ちゃんのマシンガントークが炸裂している中、再度コンコンと部屋をノックする音が聞こえた。
『はい?』
『楽しそうにしているところ、すまないね』
部屋に入ってきたのは先ほどの警察官の人だった。
『どうかしましたか?』
『君達の時間もないし手短に言うよ。先程、親戚の方とも話ができて吹風ちゃんを引き取ってくれることになったそうだ。君の要望も受けてくれるそうだから後で連絡先教えてくれるかい?』
『勿論です。』
『うん。それと吹風ちゃんは1週間後には親戚のところに行く手筈になっているから。』
1週間後…ちょうど学校がある時だ。見送りしたかったけどこればっかりはしょうがないか…。
露骨に顔に出てた俺の頬を耳郎のイヤホンジャックがつついた。
『残念だってもろに顔に出てるよ。』
『まぁな…そういう耳郎だって顔に出てるよ。やっぱ心配か?』
『ったりまえじゃん。』
すると新凪ちゃんは俺達に大丈夫!と声を掛けてきた。
『そ、その…破竜お兄さんと耳郎お姉さんとは2度と会えないわけじゃないし…わ、私が大きくなったら会いにいく!それに……』
一瞬だけ俯いた新凪ちゃんは顔をバッと上げて俺と耳郎の瞳を見つめた。
『私もいつかヒーローになるもん!破竜お兄さんや耳郎お姉さんみたいなカッコよくて優しいヒーローになれるように頑張る!』
その決意表明に俺と耳郎は一瞬だけぽかんとした表情を晒してしまうが、すぐに笑顔を浮かべて俺は新凪ちゃんの頭を撫で、耳郎はぶるぷる震えていたその手を握る。
『待ってるね!』
『何かあったらいつでも連絡して。必ず助けになるから。』
『うん!』
そう約束して俺達は警察官の方に連絡先を伝え、病室を後にする。
警察官の人が律儀に呼んでくれたタクシーに乗り込み学校に戻ろうとすると耳郎があっ!と急に大声を出した。
『どしたの?そんな大きい声出して。』
『考えてみたらウチら新凪ちゃんどこ行くか聞いてなくない!?』
『あ……』
時既に遅し。タクシーは雄英高校までの道を高速で戻ってしまっている為、破竜は頭を抱えながら先程の警察官に連絡を入れた。
新凪ちゃんの親戚のいる島を教えてください…と
あんなに仲良くなったのに聞いてなかったのかい?と半ば呆れ気味に返ってきた返信に記載されていた島の名前は…
那歩島
破竜や耳郎達、雄英高校1年A組はこの島で新たな強敵と出会う事になるが…それはまだ先の話だ。
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午後 雄英高校1年A組
『今日の授業はこれで終わりだ。さ、解散。』
相澤先生のその一言で何人かが机の上に身を投げ出した。
『マジで大変だったぁ…』
『上鳴ちゃんは破竜ちゃんと響香ちゃんがいなかったから当てられた時大変だったわね。』
『ホントだよォ!お前ら2人して午前中サボってさ!俺も連れてってよ!』
恨めしそうにボヤいた上鳴の視線の先には彼のノートを見て午前中の授業内容をサラサラと書き写していた破竜と耳郎の姿。
『うっせ、サボりじゃねぇよ。てか、上鳴のノート酷すぎだろ。要点全然絞ってないせいでごちゃごちゃしててマジで見辛い。』
『ほんと見せてもらう相手間違えた。』
『2人とも酷くない!?俺なりに頑張ったんだけど!? てかさ!お前らこのニュースみた!?』
ギャーギャーと喚いていた上鳴はスマホの画面を操作してある画面を俺達に見せてきた。
話題の振り幅がジェットコースター並みに激しいなぁ…と呆れ気味に視線を向けると
・新米サイドキック!
・リューキュウ事務所に新たな
・リューキュウ事務所No.2チームが闇市を摘発!
3つのニュースがネット記事になっていた。それを見て爆豪は歯をギリギリと鳴らしていた。歯が頑丈なのはわかってるけど、いつか折れるよ?
『凄いじゃん!!!』
『……嬉しいけど』
『まだまだ強くならなきゃだわ。』
麗日と梅雨ちゃんはニュースになった事を喜びつつも気を引き締めていた。レイ兄さんの親仇…俺や耳郎と同様にそいつらと近いうちに対峙する可能性を考えたら喜んでばかりもいられないんだろうな。
『切島は初日から市民背負って敵確保貢献かよ…めっちゃ有名になるんじゃね!?』
『破竜と耳郎は闇市の摘発貢献か…。2人とも名前載って有名になるんじゃない?』
『闇の風上にも置けない所業を行う敵達を確保か…。闇に身を置き、闇を愛する者として礼を言う。』
瀬呂、尾白、常闇をはじめ全員がネットニュースに群がる中、葉隠がある事に気づいた。
『あれ、でもこの記事…破竜くんの名前だけ載ってない…?』
え!?と全員が改めて闇市摘発のネットニュースを読み込む。そこにはメインで敵を確保したレイ。そしてそのサポートを行ったサイドキックと索敵で非常に重要な役目を果たしたイヤホンジャックの名前しか掲載されておらず、リュウの名前については何も触れられていなかった。
『は、はぁ!?どういう事!?あれは破竜とレイさんがいたから成功したようなもんでしょ!?』
『……………』
ネットニュースに対して憤りを見せる耳郎を横目に俺はニュースに目を通す。
わかりきってた事だ。神野で俺は個性暴走事件の元犯罪者っていう事実が世に出てる。そんな人間がヒーローとして貢献したなんて書けば、あの時のマスコミの報道に疑問を感じる人間が少なからず出てくるだろう。保身の為に、俺の名前を出さないなんて十分に考えられた話だ。
『ま、俺は元犯罪者だからな。こういうのには載らない方がいいさ。』
『で、でもさ…』
『みんなが知ってくれてればそれでいいよ。別に人気者になる為にヒーローしてるんじゃないし…なによりこの闇市をぶっ潰した事で救われた人がいる。それで十分だよ。悪い、俺、ちょっと飲み物買ってくる。』
そう言ってスタスタとその場を離れて行った破竜を見つめるA組メンバー。
『やっぱ…やるせねぇよな。どんだけ頑張って活躍しても世間からは認められないままヒーロー活動するのって。』
『実際どうだったんですか?耳郎さん。』
砂藤が破竜の現状を憂う横で八百万は一緒に任務に当たっていた耳郎に詳細を確認する。
『……レイさんだけじゃもしかしたら逃してたかもしれないよ。アイツのおかげで新凪ちゃんは救われたのに。』
『……新凪ちゃんって?』
『今回の任務先で奴隷扱いされてて破竜とレイさんが救い出した子だよ。さっき会ってきた。』
『なるほど…しっかし、お前らも大変だったよな。いきなり闇深い所見せられて…しかも敵との正面戦闘までしてるなんて。』
上鳴の言葉に何人かが同意する。
『うん…。それなのに、その最前線に立ってたあいつにかけられる賞賛の声は何もない。ねぇ、、上鳴。ウチはさ…やっぱ悔しいよ。』
『………………………』
そう呟いた耳郎の本音に誰も言葉を返す事は出来なかった。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
そして数日後
『お!緑谷ァ!!おはよ!!おまえも今日行くんだ!?キグーだな!』
『しばらく呼ばれなくってやっと今日だよ…』
『あれー!?おはよ!二人も今日!?』
『奇遇ね!』
『麗日に梅雨ちゃん!』
たまたまエントランスで鉢合わせた切島、緑谷、麗日、蛙吹の4人。更に…再度扉が開いた先には破竜と耳郎の2人も遅れて出てきた。
『ん?何やってんだお前ら。』
『みんなも今日インターン?』
『おうよ!2人も今日インターンか?』
『そーゆーこと。レイ兄さんからは特にコスチューム持ってくる必要はないって言われたけど何すんだろうな。』
『まぁ…レイさんはあんま無駄な事言わない方だからなんか理由あるんでしょ。』
『そうだよな。』
にしたってコスチューム不要っていうのはどうなんだ?今までみたいにパトロールとかそう言ったものじゃないってことなのか?
疑問を持ちながらも俺達は全員、
各々が指示された集合場所に向かうが…
駅の入口
『あれ…今日はみんなこっちなの?切島は関西だろ?』
『集合がこっちみたいでよ…』
電車の中
『皆おんなじ駅なんだ…』
『先輩と現地集合なのよ。』
『へー、偶然が重なることってあるんだね。』
いや、これはどう考えても…
路地
『方向も同じ…曲がる角も同じ…』
『ねぇ、破竜これってさ…』
『緑谷はまだ現実逃避してるけど恐らくは…』
現実逃避する緑谷を横目にスタスタと先に進むと
とあるビルの前
『お!』
『わぁ!』
『……………………』
『ビッグ3もお揃いで……』
ここまで来たら理由は一つ。前にレイ兄さんとリューキュウさんが言ってた他とチームアップを組む予定の案件か…
ガチャリとドアを開けた先にいたのは多数のプロヒーロー達が既に何かを話し合っていた様子だった。しかも…
『グラントリノ!?』
『おぉ…小僧か。』
『相澤先生!?』
『先生が何でここに…?』
『お前ら…』
メンツも粒揃いだ。神野で会ったグラントリノだけじゃなく…相澤先生まで。
俺は会場に視線を向けると壁の奥側に寄りかかって目を瞑っていた人物を発見する。
『レイ兄さん、お疲れ様です。』
『レイさん、お疲れ様です。』
『ん…リュウにイヤホンジャックか。今日何やるか想像ついてるか?』
俺は首を横に振る。耳郎も概ね同じ反応だ。
『なんとなくしか。』
『だろうよ。詳細はあの人達が説明してくれるが、お前らも決して無関係じゃねぇ。しっかり話聞いとけよ。』
指をクイッと向けた先にいた人達に視線を向ける。そこにいたのは眼鏡をかけた人とムカデの人、そして割と露出が危なさそうな人の3人。
『あなた方に提供して頂いた情報のおかげで調査が大幅に進みました。死穢八斎會という小さな組織が何を企んでいるのかを知り得た情報の共有と共に協議を行わせて頂きます!』
あとがきです。
リューキュウさんの後悔は20歳になった頃の話、ドラグーンヒーローとして少しずつ芽が出始めたあたりくらいだと仮定してます。
実はヒロアカ読んでからリューキュウさんの自分の力不足で人を救えなかったという部分が個人的にずっと気になってたんですよね。そこで自分の話に詰め込んじゃえばいいじゃないか精神で勝手に設定付け足して入れ込んでみましたがどうですかね…
ま、まぁいろんな後悔あるよね。人間なんだもの。
良ければ皆様のご感想、面白かったなーと思って頂けたらお気に入りやまだの方は評価など、お待ちしてます!
ではでは、次話もお楽しみに!
次回予告
『… 個性を壊す"クスリ"!』
『治崎ってヤローは……』
『ミクバ・バリオ・サント。奴らも…』
『俺が見ておく…するなら正規の活躍をしろ』
次回!
半人半竜のヒーローアカデミア
『嫌な話』
『私は…彼もOFAの後継者に相応しかったように思います。』
更に向こうへ!Plus ultra!!!