半人半竜のヒーローアカデミア 作:十希
はじめに
皆様、いつも本作品をお読み頂き、誠にありがとうございます!
たくさんのお気に入りや登録や感想も嬉しいです!
また遅くなってすみません!
今回も何とか書き上げる事ができました。
僕が投稿していない間もお気に入りしてくれる方々がいて本当に嬉しく思います!
それでは本編をお楽しみ下さい!
破竜と耳郎の2人のコンビネーションに危機感を覚えたバリオとサントは個性:合体馬「スタリオン」に合体し、油断も隙も見せずに2人と対峙していた。
『覚悟はできたか。貴様らだけは……生きてここから返さんぞ!!』
『気をつけろ!こいつさっきと全然違う!』
『…ッ、うん。わかってる。』
アンタが問答無用でウォリアになったって事は…そうしないと相手にならないほどの強敵ってこと。
だったら…!!
『先制攻撃! ハートビートウォール!! 』
BOOOOM!!!
『ウォォォォォォォ!!!』
音波の壁がスタリオンに迫るが、それを避ける事もせずにクロスガードで真正面から受け止め、掻き消してしまった!
『嘘でしょ!?』
『もうこんなもの、我らに効くものか!!』
バギャッ!!
2人の馬人間のスピードが合わさった高速移動であっという間に耳郎との距離を0にしたスタリオンは右手を大きく振り上げた!
『まずは貴様だ!死ねぇ!!!!』
『ッ!(やばっ…!)』
『させるかぁぁぁ!!!!』
間に割り込んだ破竜が巨大な拳を受け止めるが…あまりの威力に完全に受け止めきれず、徐々に踏ん張りが効かなくなってしまう。
『邪魔を…するなぁぁ!!!!』
『がっ…!!』
DOGOOOOM!!
破竜は死穢八斎會の中にある倉庫まで吹き飛ばされてしまった!
『は、破竜!?』
『どこを見ている!!!!』
横っ飛びする事で追撃の叩きつけを何とか躱した耳郎だが、叩きつけた拳の場所を見て驚愕した。
『コ、コンクリートをこ、粉々に…!?…これじゃあ、戦いの余波が酷かったら街にも被害が……!』
『ぬぅぅぅん!!』
戦隊ヒーローのように ビシッ! とポーズを決めたスタリオンを見て、耳郎は一瞬イラッとしたがその強さを肌で感じ取る。
やば…あんなのウチが喰らったら、
確実に死まで真っしぐらだ。
それでも……
『これが…我らスタリオンの力だ!』
『……関係ないよ。ウチは…ううん、ウチらは…負けないから!』
『生意気言いおって!』
『それはテメェらだ!!』
すぐさま復帰した破竜は耳郎に襲い掛かろうとしていたスタリオン目掛けて走り出し、右の飛び膝蹴りで顎を蹴り上げる!
ドガァッ!!
『ぬぅお!』
『もひとつオマケだ!!!』
飛び膝蹴りを喰らわせた右足を空中で反時計回りに一回転させ、反動をつけた回し蹴りを顔面に叩き込む!
ドゴォン!!!!
そのままの勢いで飛ばされたスタリオンはコンクリートの上を滑るようにして倒れ込んでしまう。
『破竜!アンタ大丈夫!?』
『ハァ…ハァ…、ぺっ、うん、大丈夫。』
殴られた口元から血が流れ続けるが、それを竜の腕で拭う。マジで痛い。
『あのスタリオンとかいうのさ、もしかして…アンタのウォリアよりも強い…よね?』
心配そうな顔で俺を見つめる耳郎。心配する理由もわかる…ウォリアは俺の竜変身の中では対人戦に最も優れた形態だ。つまり、現状これ以上はない。さっきの攻防だけで見れば、俺とスタリオンは互角に見える。けど実際、相手の攻撃は真正面から俺を打ち破っているのに対して、俺の攻撃はほぼ不意打ちの単発しか決まってない。
『耳郎、心配しないで。確かにパワーもスピードも…俺のウォリア以上だ。だけど、それだけで勝敗が決まるほど戦いは単純じゃない。2人で協力すれば絶対に負けねぇ!力貸してくれ!』
『…今更すぎるって。2人で倒そう!』
すると、倒れ込んでいたスタリオンが顎をさすりながらこちらに歩いてくる。チッ…大したダメージにはなってねぇか。
『それが貴様らの本気か!?だったら期待はずれもいい所だ!さっさと貴様らを始末してミクバの兄貴のもとに行かせてもらう!』
『させないっての。アンタらの相手を任された以上、レイさんの邪魔はさせないから!』
『その通りだ。それに…俺のウォリアの力はまだまだこんなもんじゃねぇぞ!』
破竜以上のパワーとスピードを誇る
巨大な馬人間『スタリオン』
VS
破竜&耳郎のヒーローコンビ
第二ラウンドが開始されたのと同時刻…
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レイside
『ハァッ!』
超スピードでミクバの周りを走り回るレイ。スピードはレイの方に分があり、隙を見て何度も何度もナイフで斬りかかるが、その一撃は硬い体を貫通できずに鈍い金属音のみが響き渡る!
『チッ!この…ッ!すばしっこい虎が!』
ミクバは斧槍を横に薙ぎ払うが、それを大飛距離のバク宙で避けられ、また先ほどのように自身の周りを円を描くように高速でレイは走り回る!
『前やった時…テメェのパワーと耐久力、バリオとサントのスタリオンのスピードと必殺技に俺はやられた。それから俺は…6年の間、何度も何度もシミュレーションしてきた。だが、結局はリュウのいう通り1人だったら…また負けてたかもしれねぇ。だがな…アンタ1人なら確実に殺せる!!』
『………全く、舐められたもんだな。』
ミクバはレイを捉えられない事にフラストレーションが溜まりまくっていたが、斧槍を肩に担ぐと一息吐いた。
『さっきまでの攻防…前に比べて個性や戦闘技術を鍛えているのがわかった。俺達を殺す為とは言え、よくここまで鍛えた。ヒーローが憎しみに囚われた結果、強くなったなんて皮肉としか言えんがな。』
『……うるせぇ。テメェらを殺した後の事なんて俺にとっちゃ全部どうでもいいんだよ。』
『そうか…残念だな。』
『あ"ぁ?』
そう言うとミクバは斧槍を少しずつ振り回していくと、ミクバの目の前に風が巻き起こる。
『な、なにを…』
『なーに、そろそろ俺の必殺技でも見せてやろうと思ってな。お前がいくら速くても俺の目がお前を捉えている限り、逃れる事はできん!』
そう言うとレイに視線を向けたミクバは溜めていた風に向かって斧槍を振り下ろす!
『
ビュオオオオオオ!!!!
風を切り裂くと、レイの身長ほどの5つの小型の竜巻が発生する!
『(何が必殺技だ…こんなスピード…俺が避けられないわけねぇだろ。)』
レイの言う通り、渦を巻く竜巻はスピードはそれほどでもなく、しっかりと目で見れば問題なく躱せる範囲だ。
一つ、二つ、三つと躱していく中でレイはある事に気づいた。
竜巻が消えない。
それどころか、まるで自分を追いかけるように追尾してくる!
『ちょっと待て…なんで消えねぇ!』
流石のレイも消えずに追尾してくる竜巻というのは経験がない上に数は5つ。自分の視線から外れた一つがレイに着弾すると
ギュオオオオオオオオオ!!!
『ぐぁぁぁぁぁぁ!!!!』
その竜巻は周りを浮遊していた竜巻を巻き込んで最終的に5メートル近くまで舞い上がり、中心地にいた
レイの肉体を何度も何度も切り裂いていく!
『げはっ…が…、はっ、ハァ…ハァ…』
体の至る所から血が滴り落ちるレイを見てミクバははっはっはっ!と笑う。
『避けられるとでも思ったんだろう?さっきも俺は言ったぞ、俺がターゲットした相手を
『あぁ…ありがとよ。攻略法を教えてくれて!』
レイはミクバの視線から流れるようにすぐさま高速移動を開始する!
アイツがターゲットを視認している内…ってことはだ。一度でも視線から外れてしまえばアイツは俺を捉えることはできない。それにあの竜巻の軌道はさっきしっかりと確認した。3つはあくまで俺の逃げ道を塞ぐように追ってきて、残りの2つでフィニッシュ。それさえ、わかっちまえば…!
高速で動くレイを黙って見つめるミクバ
『もう貴様に勝ち目はないんだよ。』
『……そうかよ!!!』
背後をとったレイはナイフを後頭部に突き刺そうと飛び上がる!
『(殺った!!)』
『…全く舐めるのもいい加減にしろ。』
その瞬間ミクバはレイを視認し、ナイフの一撃を軽々と受け止める!
『な…なんで……!!』
『気づかなかったのか?俺はお前のスピードを最初から見切っていた。だからこそ、不意打ち気味の攻撃も防いできたんだぞ?』
ナイフの一撃を塞がれてしまい、離れようとしたレイにミクバは先ほどの竜巻を再度生み出した!
『く…くそ!(焦るな!まだ…)』
先程と同様に動くレイ。
冷静に…確実に…竜巻の軌道を読んでいた。
『(…これで完全に避けきっ…)
『れてないぞ?』
はずだったが…その先には既に拳を振り翳していたミクバがいた。
『そう…あの位置から竜巻を避ける為にはここに出るしかないんだよ。』
『なッ!』
そのままレイの腹に強烈な一撃をお見舞いする!
ドゴォン!
『う…うぇ…』
血を吐き出すほどの一撃にレイはその場にうずくまってしまう。
『お前、勘違いしているな?必殺技はそれ単体だけで威力を発揮するんじゃないんだよ。さっきの竜巻を避けられなければそれでよし。避けられたとしてもお前の移動先さえ限定できればどんなに速く動いても、必ず来るであろうそこの瞬間を待っていればいいだけさ。』
余裕…かましやがって!!
『6年…前だったな。お前の事はどうやっても思い出せんが、あのババデルとか言う男の事は少し思い出したわ。』
『!? テメェがおっさんの名前を呼ぶんじゃねぇ!』
そんなレイの怒号を無視してミクバは話し出した。
『俺相手に良い一撃を喰らわせてくれた。それに比べて貴様はなんだ?パワーもスピードも技も何もかもが弱い。さて…スタリオンはそろそろあのクソガキ共を殺したかな?』
そう言ってスタリオンと相対する2人に視線を向けるミクバだが、そちらはそちらで意外な展開を迎えていた。
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破竜&耳郎side
『第2ラウンドだ、いくぜスタリオン!』
そう言うと破竜は現時点でウォリアが出せる全力の
スピードとパワーでスタリオンに急接近する!
『ハァッ!』
『ぬぅん!』
拳を受け止められるが、破竜は気にせずに拳と蹴りの連打を繰り出していく!
『だだだだだだだ!!!!』
『ぬぅっ…!!』
レイやリューキュウからも無傷で避けるのが難しいと評されるほどの高速連撃。それは単純なパワーやスピードではなく破竜が積み重ねてきた格闘技術だ。
『確かにお前のパワーとスピードは俺よりも速い上に重い!だけど、数手合わせて確信した!例え合体しても、テメェらはパワーやスピードに頼った戦い方しかしてねぇ!そんな奴らに俺が…負けるか!!!』
『舐めるなぁ!』
攻撃の中に生まれた一瞬の隙。スタリオンはその巨大な脚を使った踵落としで破竜を潰そうとする!
ドォォォォォォン!
『ッ…がァァァァァァァ!!!』
腕と脚だけでなく、全身に力を込めることで破竜はその重い一撃を何とか耐え抜く!!
『ば、バカな…コイツ…!!』
『今だ、耳郎!!!』
『待ってたよ!』
踵落としを抑え込む破竜の背中を使ってトンッと跳躍し、更にスタリオンの脚を踏み台に耳郎は顔面まで急接近する!
同時にイヤホンジャックを
『良いものあげる!『
キィィィィィン!!!!
『ぐおっ…またこの音!』
耳を抑えることこそしなかったが、スタリオンはその超音波に一瞬だけ怯んでしまう。スタリオンが怯んだのを確認した耳郎は相手の肩を使って後方にアクロバットな着地をしつつ、破竜に向かって叫んだ!
『破竜、今だ!!』
『ッ…!?』
そこには
『オーラスマッシュゥゥゥ!!』
破竜は無防備になっていたスタリオンの腹目掛けて高速で飛び込み、溜め込んだ必殺技を叩き込む!
『ごっぼ……!!!』
強烈な一撃を喰らい、流石のスタリオンも血を吐き、地面に膝をついて蹲ってしまう。
その完璧な連携攻撃を見た周りも驚愕していた。
『す、凄いわ……!』
『破竜くんと響香ちゃんの連携…全然無駄がない。まるで…心が通じ合ってるみたい…。』
『すごーい!!』
『まさか…ここまで。』
梅雨ちゃん、麗日、波動先輩、リューキュウさんに視線を向けると最初に襲いかかっていた鉄砲玉八斎會の1人「活瓶力也」を拘束し終えていた。
褒めてくれるのは嬉しいが、俺も耳郎もまだ気を抜いていない。
『んっ…ぬぅ…やるな。ここまで綺麗に喰らったのは久しぶりだ。やはり貴様らを生かしておくわけにはいかん。』
『それはこっちのセリフだ。お前らみたいな非道な敵をいつまでも野放しにするわけにはいかねぇんだよ。』
『……そうか。なら、こちらも本気で行くぞ。』
すると、スタリオンは脚で地面を引っ掻きながら、目の前で対峙する2人に向かって笑みを浮かべる。
『貴様らは本当に…運がいい。このワシに必殺技まで出させたのは…
あの虎男に続いて2人目だ!!』
その瞬間、スタリオンの姿が目の前から消えた。
『なっ…!?』
『き、きえたっ…!!』
その瞬間、ダンッ!ダンッ!!と
馬の足が地面を蹴り飛ばす音が周辺に木霊する。
耳郎はキョロキョロと辺りを見渡すが密集している住宅に阻まれ、視認することができない。かくいう破竜自身もスタリオンの動きを最初はなんとか捉えていたが、住宅街に重なって走り回るスタリオンの姿を完全に見失ってしまった。
『(落ち着け…例え、姿が見えなくてもこれだけの音が聞こえるなら耳郎が位置を逆算できるはずだ!)』
視線を横に移すと耳郎はイヤホンジャックを地面に突き刺して索敵を始めていたが、その表情は優れない。
『耳郎?どうした…』
『ごめん…破竜、いきなり足音が全く聞こえなくなって…位置を……特定できない……』
なっ…耳郎の索敵能力はA組でもトップクラスだぞ!?
『リューキュウさん!波動先輩!麗日!梅雨ちゃん!全員警戒してください!アイツ…何するかわかんねぇ!』
その場にいるヒーロー達で周囲を警戒していると…
ゾクッ…!!!
破竜の背中に悪寒が走る。
キィィィィィィィン!!!!!
『え、 何この音…?』
『危ねぇ、耳郎!!!』
咄嗟に耳郎を突き飛ばした破竜の背中にどこからか放たれた虹色の光線が直撃する!
『んぐぁぁぁぁぁ!!!!!』
『破竜!?』
『リュウ!』
ガクっと地面に膝をつき、破竜はそのまま倒れ込んでしまう。破竜を守るように耳郎が虹色の光線が放たれた方向を見つめる。そこには両手を十字にクロスさせたスタリオンが自分達に渾身の必殺技を放っていた!
『これが我らの必殺技…ウペシウム光線!!』
『あ…ぐっ………が』
『破竜?破竜!!!!』
耳郎を庇った破竜はウペシウム光線がモロに直撃した事で背中の皮膚が焼け爛れる程の強烈な痛みで気絶していた。
『(ど、どうしよ…ウチ一人でスタリオンを相手取ることなんて到底不可能だ…。かと言って破竜は背中に強い火傷負ってるし…)』
自身の実力と相手の実力を正しく把握している耳郎だからこそ、1人で目の前の強敵を相手するには難しいと判断する。それはリューキュウも同じだったようですぐさま指示を飛ばす!
『イヤホンジャック!あなたはまずリュウを避難させ…』
そう言いかけたリューキュウはガクッ…と地面に膝をつく!リューキュウだけではなく麗日、梅雨の2人も地面に膝をついた。
『うっ…こ、これは…ウラビティ!フロッピー!』
『なにこれ…力が…』『ケロォ……』
『やっと…俺の個性が効いてきたなぁ…。』
『まさか…これはあなたの仕業!?活瓶力也!!』
『そういう事だ…。ようやく入中から貰った個性ブースト薬が効いてきた…呼吸してるだけで吸ってるぞぉぉ!!!』
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活瓶力也 個性:活力吸収
対象者に触れ吸息することで、活力を吸い取り自身の体を巨大化させる!本来なら、対象に触れなければ個性を使用できないが、個性ブースト薬を使用する事で呼吸するだけで周囲の人間から活力を吸えるようになっている!超シビィーな個性だぜ!!
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まずい…っ!ただでさえ、戦闘型のリュウが負傷してる中でレイもミクバ相手に劣勢。イヤホンジャック1人じゃスタリオンは到底相手にできない。応援に行きたくてもこいつを放っておいたら、全員弱体化されて終わってしまう…どうすれば……!!
『リューキュウ危ない!』
『ッ…!?』
ドゴォォォォン!!!!
考え込んでいたリューキュウは活瓶力也の一撃で吹っ飛ばされてしまい、地面に大きく叩きつけられてしまう!個性ブースト薬によって増幅された悪意はヒーローだけでなくその場にいた警察にも矛先が向かうが、ネジレちゃんが個性を使って何とか意識を自分に向けさせる!
『だめー!!』
『いいねェ…。いい一撃だ。おまけに可愛い。触らせろよ、可愛い子ちゃん!』
『ムゥー、嫌っ!』
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その頃、緑谷達は先行したルミリオンを追いかけて地下迷宮を進んでいたると、天井が揺れるほどの衝撃が地下を襲う!
『イレイザーヘッド!今の音は…!?』
『……恐らくだが、リューキュウやレイ、破竜達が上で戦っている音だ。これだけの振動と音がここまで来るって事は…そういうことだろう。』
それほどの敵なんだ。破竜君や麗日さん達が戦っている相手は…。みんな大丈夫だよね…。やられたりなんか…
突入組は治崎を先行して追いかけたルミリオンをはじめ、足止めの為に別行動を取ったサンイーター、イレイザーヘッドを庇って地下に落ちていったファットガムと烈怒頼雄斗が離脱し、徐々に人数が少なくなっていった。
『緑谷、お前に一つだけ伝えておく。』
『は、はい!』
集中が途切れかけていた緑谷を咎めるような声で呼び止めたイレイザーヘッドの声に不思議と体に力が入る。
『あまり深く考えすぎるな。サンイーターやファットガム達、上で戦っているリューキュウ事務所や破竜達は俺達に後を託してくれた。心配する気持ちはわかるが、今はアイツらのためにも一刻も早くえりちゃんを救い出すことだけ考えろ。それに……アイツらの強さはお前が1番よく知ってるはずだ。お前が信じてやらなくてどうする。』
『イレイザーヘッド…』
そうだ…僕がほんの少し立ち止まっていた間も破竜くんや耳郎さん、麗日さんに蛙吹さんはこの日の為にずっとずっと訓練して少しでも強くなろうとしていたのを知ってる。
なら…僕に出来ることは…!!
『行きましょう、イレイザーヘッド!えりちゃんも少しでも早く助ける為に!』
そう言って緑谷は先頭を走るサーナイトアイ、ロックロックを追いかけて走っていく。
『(緑谷にはああ言ったがあんな音を聞いた以上、正直俺も心配ではある。だが、ここで立ち止まっていても何もならない上に誰も助けられない。俺達に出来ることはえりちゃんをすぐにでも助け出し、上で戦っている連中をフォローする事だけ…その為に俺達がいる。そうだろ…白雲!)』
相澤もすぐさま緑谷を追いかけて走り出す。
それと同時刻…
オーバーホールは玄野と共に壊理を連れ、脱出の為に動いていた。
『騒がしいな・・・ちゃんと役に立ってるのかあいつらは…・・』
『言いたかないですが…八斎會は終わりですね』
『組長と俺さえいれば八斎會は死なない。ほとんどの子分が組長派で俺の考えについて来やしない俺こそが誰よりも組長の意志を尊重しているのにな。この"完成品”と"血清"さえあれば極道を再び返り咲かせることができる。今回の件も好事家にとっちゃいい話のネタになる。』
そう語る治崎の手には完成された極小数の個性破壊弾。
『ヒーローが恐れる薬奴らの好む響きだ。喜んで出資してくるさ』
『そうですか…。』
『というわけで……お前らも協力しろ出向組。』
『はーーい。それじゃあ私達も動き出します?』
『任せとけ、オーバーホール。行くぜトガちゃん!』
そこにいたのはトガヒミコ、トゥワイス、そして…
『………………』
2メートルを優に超える体格を持った黒い影だった。
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ズシン…ズシンと自分達に近づいてくるスタリオンから破竜を守るように耳郎は立ち塞がる。
『大丈夫だよ破竜。アンタはウチが守ってあげる。』
『まさかこの状況をどうにかできるとでも?残念だが、貴様に応援はない。その竜の男が回復するまで我らは待ってやらんぞ。まずはそいつを殺し、次は貴様をぶち殺す!!』
『させないって。いつもは破竜がウチを守ってくれてた。だから…今度はウチが破竜を守ってみせる!』
そう言って耳郎は単身、スタリオンに向かっていく!だが、身体能力をはじめ総合力で上回るスタリオン相手に無傷でいられるわけがなく、何度も何度も耳郎は吹き飛ばされる。
その度に諦めるもんかと負けん気を発揮して何とか喰らい付いていく!
『絶対に…諦めない…ッ!アンタらみたいな奴に…
負けるもんかぁぁぁぁ!!!!!』
『しつこい女め!!!貴様も我らが必殺技の餌食にしてやるわ!!』
そう言ってスタリオンはまた住宅街を走り回って耳郎の視界から消えていく!
『(また消えたっ…!! あの破竜を一撃で戦闘不能したウペシウム光線なんかウチが耐えられるわけがない! どうにかして避けないと…ッ!)』
耳郎はイヤホンジャックで走り回るスタリオンの動きを何とか捉えようとするが、住宅街に反響する脚音のせいで確実な位置を捉えきれずにいた。
そんな耳郎の姿を遠くから捉えたスタリオンは腕をクロスさせ、必殺技を放つ体制に入る。
『(見えるぞ…我らを探すその姿を。我らに刃向かった事を後悔しながらあの世に行け!!) ウペシウム光線!!』
キィィィィィィィン!!!!!という甲高い音を纏った虹色の光線が放たれるが、スタリオンはこの時、ある失敗をしてしまう。
『っ、この音は!!』
それは相手が音のスペシャリストであるのを失念していた事だ。
そもそも、破竜が認める索敵レベルの持ち主でもある耳郎がスタリオンの移動先を見切れなかったのは理由が二つある。
一つ目はスタリオンがずっと走り回り続けるせいで住宅街に響き渡るその反響音が耳郎を混乱させてしまっていたから。二つ目はしっかりと気配を消した上で攻撃を仕掛けてくるから。
だが、その必殺の光線こそが最大の失敗。
ウペシウム光線はその強烈な威力と独特な構えから放つ技の性質上、必ず立ち止まらなければ使う事はできない。立ち止まって周囲が静かになるその瞬間に放った光線の独特な音は微細な音を捉えられるイヤホンジャックにとっては恰好の攻撃合図でしかなかった。
『……捉えた!!!!!』
咄嗟に振り向き、自身に迫る虹色の光線を間一髪で避ける耳郎!!
『ば、ばかなっ!!我らの必殺コンボがなぜ…!?』
『かんっぜんに失敗したね!!確かにその必殺技は強力だけど、一つだけ弱点がある!姿を捉えられなくてもアンタのその独特な攻撃音さえ捉えられれば避けるのなんて造作もないね!』
『そ、そんなわけあるか!そもそも、ウペシウム光線はかなりのスピードがある!身体能力で劣る貴様が避けられる道理は…!!』
『だから失敗したんだよアンタは!ウチの視線から逃れる為に遠くから必殺技を放ったのが仇になったね!』
ハッ!とした表情で驚くスタリオン。
完全に見えない位置から必殺技を放つ…。と言う事は逆に言えば相手との距離を空けすぎていると言う事だ。近距離での高速攻撃ならまだしも遠距離での高速攻撃が届くまでの間にどこからくるかさえ捉えることが出来れば、耳郎にその攻撃が当たるわけがない。
『(ただ…それはウチにも言えることだ。距離が空きすぎている以上、超スピードで距離を詰めることができないウチじゃ決定的な一撃を喰らわせる事が出来ない。でもさ…)』
『だが、それは貴様も一緒だ!こうなったら近接戦で貴様をぶち殺すまで…』
『無理だっての。だって…』
『…俺がいるからな。』
耳郎の後ろで立ち上がった破竜を見て敵の目は驚愕してしまう。
『キ、キサマ…!さっきまで倒れていたはず…』
『へっ…、一瞬だけ気絶しちまったけど、タフさに結構自信があんだぜ?粘りに粘って耳郎がようやく掴んだチャンス。もうテメェらはおしまいだ。ここで確実にぶっ倒してやる。』
勝利宣言とも呼べる破竜の大胆な発言にスタリオンは地団駄を踏みながら睨みつける!
『ふ、ふんっ!ウペシウム光線を喰らって立ち上がったのは想定外だが、スピードの劣る貴様らが我らを倒すなんぞ不可能だ!』
『わかってねぇなぁ…お前らはもう詰んでんだよ。耳郎にその必殺コンボを見切られた時点で。』
『なんだと…?』
破竜は指を一本上げる。その時、破竜達とは別で戦っていたレイも同じように指を上げてミクバに宣告していた。
レイside
地面に伏していたレイは身体中に力を込めて何とか立ち上がる。
『まだ殺る気か?さっさと貴様を始末してスタリオンの応援に向かわせて貰う。あのガキども…何かする気だからな。』
『何かする気じゃねぇよ。リュウとイヤホンジャックの2人は必ずスタリオンを倒す。なら、俺もテメェを殺さねェとカッコつかねぇ。』
『乱風斧槍は見切ず、俺に動きも見切られた貴様がどれだけ立ち上がろうと時間の無駄だ。さっさとくたばれ。』
そう言ったミクバをレイはくくく、ゆかいだねぇと笑って天を仰ぐ。
『……テメェらは3つ失敗した。』
『なんだと?』
そう言うとレイと破竜は指を一本上げて話し出す。
『『 一つ、俺(達)をすぐに殺さなかった事。 』』
『『 二つ、
怪訝な顔で睨みつける2人の敵。
『『 三つ、切り札は最後までとっておくもんだぜ!! 』』
破竜は腰を落として集中力を全開に!!!
レイはその場で独特なステップを踏む!!!
『『 こっから先…………
『俺の全ての能力は急上昇する。』
『俺の動きをテメェは見切れねぇ。』
スタリオンとミクバの凶悪
竜と虎が切り札を発動する!!!
あとがきです。
スタリオンとミクバの強さが想像しづらいかと思いますが、個人的には八斎會鉄砲玉衆以上、本気になったオーバーホール以下ってイメージで書いてます。※2人がかりならもしかして何とか出来るかも?
そして、新たに2つのオリジナル必殺技が出たので下記に詳しく記載しておきます!
技
1.ウペシウム光線
(使用者:スタリオン)
腕をクロスした所から虹色の光線を発射するスタリオン最大の必殺技。その威力は荼毘の蒼炎すら耐え切ったウォリア状態の破竜を気絶させるほど。必殺技を放つ際に光線が甲高い音を纏うのが特徴的。ただし、必ず立ち止まった状態からでないと必殺技を放てない事やスタリオン自身、安全策を取る為に相手との距離を空けて放つ性質上、微細な音を捉える個性持ち相手には効果が半減する。
※元ネタはウルトラマンのスペシウム光線。
2.乱風斧槍
(使用者:ミクバ)
ハルバートを人間離れした腕力で振り回す事で竜巻を発生させ、さらにそれを切り裂く事で相手を追尾する竜巻を発生させる技。自動追尾は相手を視界で捉えている事が条件。最大で5つ作り出す事ができ、一つでも着弾すると周りの竜巻を巻き込んで体を切り裂く5メートルを超える大竜巻に変わる。また、追尾させる事で相手の退路を塞ぎ、移動先を限定させるといった使い方も可能。
この作品が面白かったらお気に入り登録や感想、
評価も宜しくお願いします!
ではでは、次話もお楽しみに!
※頑張って早めに投稿します。
次回予告
『テメェを倒す方法がわかったぜ。やっとな。』
『30秒でケリつけてやるよ。』
『こっちも終わらせないとね!!』
『あははは…アンタ凄いよやっぱり。』
次回!
半人半竜のヒーローアカデミア
『因縁への決着!復讐の先にある道』
『…待ってくれレイ兄さん…ッ!!』
更に向こうへ!Plus ultra!!!