半人半竜のヒーローアカデミア   作:十希

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はじめに


皆様、いつも本作品をお読み頂き、誠にありがとうございます!
たくさんのお気に入り登録嬉しいです!


何とか書き上げることができました…
話のストックはあと3話くらいあるので早めに投稿していきたいと思います。


それでは本編をお楽しみ下さい!





『元気とユーモアのない社会に明るい未来はやって来ない』

 

 

 

壊理ちゃん奪還組の尽力によって、

治崎が連行されている時

 

 

 

 

 

 

 

治崎side

 

 

『八斎會組員及び協力者13名を移送中。所持品は件の弾丸の他、報告にはないカプセルを確認…いずれも重傷。最寄りの敵病院へ向かいます。』

 

車を運転するサツの声が聞こえる…。俺は負けたのか…、

あんな大局も見えていないガキに…。

 

『目の前の小さな女の子1人救えないでヒーローになれるかよぉぉ!!!』

 

『人の道からそれたら侠客しまいよ、治崎。心のねえ外道に人はついてきやしねえ』

 

緑谷の言葉と組長の言葉が治崎の脳内に反芻する。容姿も度量も違う2人だったが、その言葉には不思議と共通点があった。

 

 

 

2人とも誰かを想いやれる心の人間であった事だ。

 

 

 

それは治崎がとうの昔に捨てたものだった。

 

『親父…俺は。』

 

『おいおいおい…

あれは敵連合…死柄木弔!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

治崎の目の前に因縁を持つ相手が現れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『おい、トカゲ。揺れてるぞ、もっとしっかり運転しろ。俺は酔いやすいんだ。』

『トカゲはダメだ!スピナーだ!』

『何キレてんだよ、ウゼェ。』

 

荼毘、スピナーの軽い口喧嘩がその場で飛び交う中、助手席に乗っていた男は倒していたシートを起き上がらせ、不機嫌な表情を隠さずに話しかける。

 

『チッ、死柄木に頼まれてついてきてみれば…本当にうるせぇなぁ。テメェは黙って運転に集中してろ、トカゲ野郎。』

 

『ふッざ…っていうか、なんで俺だけ!?』

 

荼毘だけではなく、助手席に乗っていたロードにさえトカゲ呼ばわりされたスピナーだが、反論したらどんな目に遭わされるかわからない為、喉元まで出かかっていた言葉を何とか飲み込む。

 

まさか、死柄木からオーバーホールにお札参りしにいくかと誘われるとはなぁ…。確かに俺もコイツらには多少ムカついてたし、どんなふうに絶望の淵に叩き落とすのか楽しみだ。

 

 

 

『さぁて…お手並み拝見と行こうか。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後は早かった。

 

 

 

 

 

 

 

荼毘の蒼炎、Mr.コンプレスの圧縮で護衛役のプロヒーローを殺害し、外に投げ出された治崎を死柄木は見下ろす。

 

『なぁにが「次の支配者」になるだ。』

 

『…殺しに来たのか?』

 

『いや、お前の最も嫌がることを考えた。…俺はお前が嫌いだ。偉そうだからな。』

 

『俺も。』

 

そう言ってMr.コンプレスは治崎の左腕を圧縮する事で綺麗さっぱり左手を無くしてしまう。

 

『これさ、二箱あるけどどっちが完成品?』

 

やめろ…それは俺の研究結果だ…。

長年の…組の…再建の為の…親父の為の…

 

『返せ…』

 

『あのなオーバーホール。個性無くそうとしている奴が個性に頼ってちゃダメだろ。』

 

今度は死柄木が崩壊の個性で右腕を崩し、壊死する前にナイフでグサリと切り落とした。

 

『これでお前は無力非力の無個性マン!

 

 

お前が費やしてきた努力はさァ!

俺のものになっちゃったよ!!!

 

 

これからは咥える指もなく、ただただ眺めて

生きていけ!頑張ろうな!!!』

 

 

ズキン……ズキン……と体中に痛みが走る。

 

 

『おい、追っ手がくるぞ!早く乗れ!!』

 

『安心しろよオーバーホール。次は…』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺たちだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

車で走り去った敵連合を見て、治崎は空を見上げる。雲一つない快晴とは裏腹に治崎の腹の中には飲み下せないほどの暗雲が漂っていく。

 

『俺は…俺はァァァァァ!!!!』

 

『ククッ、ザマァねぇな。若頭。』

 

絶望の咆哮をあげる治崎の目の前に降り立っていたのはオール・フォー・ワンに並ぶ最凶の敵…ロード。

だが、その姿は前に見た姿ではなく、まるで神話に出てくる竜人。そう、ついさっきまで彼と戦いを繰り広げていた破竜真人のウォリアに非常によく似ていた。

 

『俺を笑いにきたのか………』

 

『ククク…なァに、俺はアイツらと違ってお前を多少は評価してやっていたんだぜ?個性破壊薬を使った個性社会の支配。上手くいけば、お前の言う通り…いや、この世界の構造を変えられる素晴らしいもんになっていたはずだ。あのイカれ女から聞かなかったか?もっと俺を楽しませられる存在になってみせろと。』

 

ロードにしては珍しく殊勝な言い回しをするが、

次の一言でその顔は落胆したものに変わる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『だが…期待外れだったな。』

 

『何を言って…』

 

『所詮、お前は死柄木のなり損ない。お前が自分で悩んで選択した人生の何もかもが、オールフォーワンの盤上で転がされていたとしたらどうするよ?』

 

『は……?』

 

そしてロードは語った。死柄木と治崎の関係。

何故か似通っていた個性。

 

そして、

 

オールフォーワンの最終目的を

ある程度、ぼかしつつではあるが伝える。

 

『転がされていた…俺の全てが…?』

 

『そうさ。そして、お前は組の為に…いや、親父の為にとせっせと頑張ってきたにも関わらずお得意の個性も死柄木と不気味仮面に壊されちまったよなァ?悲しいなぁ…可哀想だなぁ…!自分の手で植物人間にしたのにヨォ!』

 

『そ、そんなことまで…』

 

『俺は長い間、あの欲しがり野郎のそばにいたんだぜ?お前が欲しがり野郎から個性をコピーされているのも全部見ていた!お前は支配されていたんだ!あの日…あの時、あの欲しがり野郎に目をつけられていたその瞬間から!!!』

 

その時、治崎の脳裏に浮かんでいたのは孤児院に住んでいた自分の幼少期。

組長に拾われ、ここまでのしあがった事も。全て…オールフォーワンの掌の上だった。

 

『お前の手元にはもう何もない。万能の個性も…社会を変革させる破壊弾も…慕っていた親父も一生あのままだ。』

 

 

 

俺は…俺は…

 

 

 

『ククク…()()()()()()()()()()()()()が最後まで

()()()()()()()()()()なんて哀れなもんだナァ。』

 

支配されていた…俺の努力は…死柄木の為の…

 

 

唐突な事実。そして、これから先、自身に襲いかかる不運を改めて突きつけられた事で心が砕かれかけた治崎の頭をロードは掴んで自分の顔まで引っ張り上げる。

 

『そう…その顔だ。いい顔してるぜ…絶望に打ちひしがれて自分の人生全てを否定された気分はどうだ?』

 

 

『ハァ…ハァ…ハァ…親父…親父ィィィィ!!』

 

 

ロードはそれだけしか叫ばなくなってしまった治崎を見て落胆の表情をさらに深める。

 

『チッ、壊れたかよ…まぁいい、そんなに悲観することもないさ。いつかこの世の中はお前以上の恐怖と絶望に染まる事になる。俺だけの個性…』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

竜変身でな

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 

壊理ちゃんを何とか救い出したヒーロー達。

だが、その戦いで傷ついたものは…

 

 

 

決して軽いものではなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

八斎會近くの大学病院

 

 

 

 

『……ふぅ。はい、終わったよ。』

 

戦いによる傷を診察してもらいに病院に来ていた破竜は服を着ながら、医者の言葉を待つ。

 

『ありがとうございます…。それで俺の体は?』

 

すると、医者は俺の体を見て

 

『本当に驚いた。現時点である程度ではあるが、傷が回復し始めている。ハッキリ言って君の体の回復力は常人の2倍…いや、3倍近く高い。こんな言い方を医者がしてもいいのかわからないが……、本当に人間なのか疑いたくなる。』

 

『そんなこと言われても…』

 

正直に言うが、全く身に覚えがない。考えてみれば、USJ、雄英体育祭、職場体験、I・アイランド、神野の時も周りよりも早い段階で退院してたり、回復してた。そういう体質なのかな?

 

『…話を聞く限り、今回の激しい戦いで負った怪我はその腕の傷に背中の火傷だが、もうある程度は回復している。君の回復力も考慮して、無理さえしなければ、2日で全開できるだろう。』

 

『そうですか…ありがとうございます。』

 

 

 

そうお礼を伝えて、診察室を出ると…

 

 

 

『破竜か。』

 

『破竜くん!?』

 

『相澤先生…緑谷…2人とも体調は?』

 

『10針縫った。』

 

『腕が少し……』

 

そう言うが、2人は問題なく動けてるみたいで安心した。特に緑谷は壊理ちゃんの件があったから心配していた。

 

『破竜、お前にも伝えなきゃならんことがある。緑谷と一緒についてこい。』

 

『はい。』

 

診察室を出た俺は相澤先生と緑谷に着いていく。2人の容態はわかったが、耳郎は…レイ兄さんは…リューキュウさんは…麗日に梅雨ちゃんは…切島は…BIG3の先輩方は…どうなったんだろうか。

 

そんな破竜の内情を読み取った相澤は呆れた表情をしながら

 

『緑谷は例外として、お前も相当な重傷者だろうが。全く…まず切島だが、全身打撲と裂傷が酷いが、命に別条はない。天喰は顔面にヒビが入っているが、後に残るようなものじゃない。ファットガムは骨折が何箇所かあったが、まぁ、元気そうだった。』

 

話を聞くと、緑谷達が先行した地下迷宮でも各々が死闘を繰り広げていたみたいだ。

 

 切島とファットガムは2人のガードを破るパワーを持った敵と攻撃を防ぐバリアを持った敵との戦闘だったらしい。切島必殺の安無嶺過武瑠(アンブレイカブル)を破るなんて…

一度だけ訓練中に見せてもらった事があるけど、正直に言ってあの硬度は簡単に破れるやつじゃない。全力の会心撃でも3発、殺意全開のオーラスマッシュ2発で行けるかどうかってところだ。

 天喰先輩はまさかの3対1だったみたいだが、見事に勝利を収めたらしい。さすがは雄英BIG3の一角…1回だけでいいから試合形式で戦ってみてぇなぁ。

 

『破竜くん達…地上組はどうだったんですか?』

 

『…地上組の中で無事なのは波動だけだ。麗日や蛙吹は活力を奪う個性持ちの敵にやられて、今日一日は安静だろう。リューキュウは活力を奪われながらも最後まで何とか戦い抜いてた。耳郎はあの馬兄弟との激闘で複数箇所の打撲、レイは全身の切り傷に肋骨を3本折ってたが…2人とも命に別条はない。最終的にはなんだかんだで動けてたしな。』

 

『ふぅ…良かった。』

 

『それで…お前はどうなんだ?医者に聞く前に出てきたから、お前から報告してもらうぞ。』

 

鋭い目が俺の事を射抜いた。嘘つくつもりはないけど、変なこと言ったら除籍されそうだ…

 

うん、素直に言おう。

 

『耳郎と一緒に戦った馬兄弟との戦闘で背中にかなりの火傷を負いました。それと少しの間ですが治崎と交戦した結果、手から腕までを削られました。』

 

そう言って右腕を見せつつ、左手でシャツを捲り上げると、想像以上の怪我の具合に緑谷と相澤は驚愕する。

 

『お前、それは…』

『い、痛くないの!?』

 

『それが…事情は知らないけど医者曰く、回復力が常人の2〜3倍近くあるらしくて、、2日くらいで全開するってさ。とりあえず今日と明日はゆっくり休ませてもらうよ。』

 

あっけらかんとした表情で報告した破竜だが、相澤の顔は優れない。それどころかいつも気怠げなその瞳は更に鋭くなっていた。

 

『え、あ、あの…相澤先生?』

 

『その想像以上の怪我もそうだが…俺はお前に聞きたいことがもう一つだけある。緑谷から聞いたが、お前、壊理ちゃんの個性で消滅しかけたコイツを救う為に自分が消滅するのも覚悟で巻き戻しに立ち向かったらしいな。』

 

 

ギクッ…!!

 

 

『どうなんだ?』

 

抹消を使っていないはずなのにめっちゃ怖い。

 

『………嘘ついても意味ないですよね。ほんとです。俺は緑谷を助ける為に自分が消滅するのも厭わずに立ち向かいました。』

 

『俺は前にも言ったはずだぞ。お前が死んで喜ぶ奴は誰もいない。お前の命あって助けられる命があると。』

 

『(ど、ど正論すぎて反論できない…。)』

 

鋭い目は俺だけではなく、隣にいた緑谷にも向く。

 

『お前…というよりお前も緑谷も他人を優先するその性格はヒーローとして美徳だろう。その心意気は買うが、そこにちゃんと自分も入れてやれ。次に無茶な行動したら……わかってるな?』

 

 

 

 

『『 は、はい!!! 』』

 

 

 

 

『わかればいい。じゃあ、2人ともついてこい。』

 

普段通りの雰囲気に変わった相澤先生の後ろを歩く。

 

あんまり想像したくないけど…俺、もしかして相澤先生にA組三大問題児(緑谷・爆豪・峰田)と同じくらいにヤバいやつだと思われてないか?

 

どう考えても、素行不良に暴言の爆豪、自己犠牲で無茶しがちの緑谷、女性陣へのセクハラと性欲の権化の峰田と比べたら圧倒的にマシだと思うんだが…。

 

 

え、マシだよね…?

 

 

『な、なぁ、緑谷。俺って結構ヤバいことした?』

 

『…僕も僕で無茶してるから何か言える立場じゃないけど…うん。破竜くんは相当無茶してるし、自分で言った通り、結構ヤバいことしてるよ。』

 

そ、そんな…!緑谷にまで言われるなんて…

 

ガーンと1人ショックを受けて黙りこくってしまった破竜を横目に相澤先生と緑谷の話は続く。同じく怪我を負ったロックロック…そして、

 

 

 

 

 

 

現在…隔離されている壊理ちゃんの事も。

 

 

 

 

 

 

 

『なるほど…壊理ちゃんは強すぎる個性をまだ自分で制御できていなかったんですね。それなら、あのとてつもない個性を使いたくなかった理由にも隔離されている理由にも納得しました。』

 

『いくら何でも面会すら不可なんて…』

 

おいおい…納得できないって顔してっけど、

こいつほんとにわかってんのか?

 

『緑谷…よく考えてみろ。俺のウォリア、お前の自壊する超パワーの二つでようやく追い縋れるレベルのエネルギーを抑えられる人間がそうそういるか?相澤先生がいなかったら、俺もお前も今頃、あの世行きだ。何かの弾みでまた暴走する可能性、そしてまた誰かを消滅させかねない経験なんてしたらあの子の心に一生消えない傷がつくぞ。』

 

『…そういう事だ。あの子の事を考えればこれが一番合理的。建物や地面には作用せず、生物のみに作用する事を鑑みれば、気軽に個性訓練なんてできやしない。つまり…()()()()()()()()()()()()って事だ』

 

そう言って、とある部屋の前に俺達、3人はついた。そこにいたのはリカバリーガール、センチリーダー、バブルガール、本来ならここにいるはずのないオールマイトがいた…。

 

 

 

全員、サーナイトアイに何かしらの縁がある人物…

つまりは…そういうことか。

 

 

 

『え、、なんで、オールマイトが!それに…相澤先生、どういう…意味』

 

『私が呼んだの…だって、サーはいつも…』

『泡田…』

『手の施しようがなく、正直生きているのが不思議なほど…』

『こうなってしまってはあたしの治癒でも役に立たないね…本当に悔しいよ。』

 

これまで数々の死傷者を見てきたリカバリーガールでも…そう言わざるを得ないほどの容態。それはサーナイトアイの命が残り少ないことの証明だった。

 

『そ、そんな…』

 

『残念ながら、明日を迎えることは叶わないでしょう。』

 

 

 

 

 

ピッ……ピッ…………と

心音が流れる部屋にいるナイトアイ。

 

 

 

 

 

 

『オールマイト…死で…ようやく会う気に...?』

 

『返す言葉が見つからないよ…私は君に…ひどい事を…』

『ナイトアイ…!ダメだ生きて…!頑張って!』

 

『ずいぶんと…かしこまってるじゃないか…私は…別に..あなたを恨んじゃいないよ。ただ…あなたに幸せになって欲しかった。抗ってくれるなら…それでいい。』

 

『君も抗ってくれ!私にこれまでの償いをさせてくれ…』

 

『償いなど…多くの人間に迷惑をかけた。これまで…あなたが殺される…

未来を変えたくて変える術を探ってきた…ずっと…どうにもならなかった

私1人では...どうにも…変えられなかった。だが…』

 

 

 

2人が今日見せてくれた…と

希望を見つけたような声がその場に響く。

 

 

 

『わたしはずっと拭い去ることができなかった…。"変えられない。”変わることはない"。その考えが常に頭の片隅に…私が思うに…エネルギーなんじゃないか…と思うんだ。己が強く望む未来…そう、破竜が私に叫んでくれた…

 

 

 

"未来は自分の手で掴み取るもの"

 

 

 

そのものだ。疑念が入る余地のない…強いヴィジョン。それはきっと、緑谷と破竜だけじゃない…皆が強く、一つの未来を信じ紡いだ。それが…緑谷と破竜に収束され、放たれた結果なんじゃないかと…未来は不確かで…あなたは考えを改めてくれた。私は…それで十分。』

 

 

 

その一言一言がその場にいた全員の心に染み渡っていく。

 

 

 

『ただ思い残すことは…』

 

『ちょっと!通形さん!まだ動いちゃダメです!』

『サー!ナイトアイ!!』

 

焦燥した顔で通形先輩が現れる。

 

いつも笑顔がモットーな先輩しか見たことがない破竜と緑谷にとって、その顔を見る事自体、今の通形の推し量れない気持ちを表していた。

 

『ダメだ!生きて下さい!死ぬなんてダメだ!!』

 

そうだ…あなたは生きなきゃいけない人だ。

通形先輩や…事務所の人達も…みんなそれを望んでる。

 

『ミリオ…辛い目に遭わせて…ばかり…私が…もっとしっかりしていれば…』

 

『あなたが教えてくれたから、こうして生きてるんだよ!!あなたが教えてくれたから強くなれたんだよ!俺にもっと教えてくれよ!!死んじゃダメだって!!!』

 

『(……チッ、くそったれが。こんな通形先輩の悲しそうな姿見てられねぇ…!!!)』

 

破竜の胸が酷く痛む。通形の涙交じりの絶叫もサーナイトアイの全てを受け止めたような笑みの何もかもが心の中をズキズキと痛める。

 

何でそんな顔をする?サーナイトアイだって、、まだやりたかったことはたくさんあるはずだ。

 

 

 

 

 

 

あるはずなのに…なんで…なんで…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな穏やかな顔…してんだよ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最初は…

ワンフォーオールの器として受け入れただけだった。

私を慕い、受け入れてくれるお前がいつしか私の

 

誇りとなっていた…

 

 

 

 

 

ミリオ………お前は……!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『…………大丈夫。お前は誰よりも立派なヒーローになってる。この未来だけは変えては…いけないな。だから…笑っていろ。』

 

そう言って泣きじゃくる通形先輩の頬に優しく手を伸ばす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

元気とユーモアのない社会に

明るい未来はやってこない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その言葉をミリオ、緑谷、破竜、全員が改めて胸に深く刻み込む。隣にいて大粒の涙を流す元No.1ヒーロー(オールマイト)も…。

 

『ううう………!!!!』

 

 

 

 

 

 

 

ピー………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、1人の偉大な男の生涯に幕が閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




あとがきです。



サ、サーナイトアイィィィィ!!!!


破竜くんや緑谷くん、どれだけ色んな人が頑張ってもナイトアイの未来は変えられませんでした。


この出来事は破竜くんの中で強く印象に残ってます。人の死を間近に見る経験なんて、普通はないので。


この悲しみを受けてその場で足踏みしてるだけか…それとも心に刻んで強く乗り越えていくのか。






以降はそんな話…







この作品が面白かったらお気に入り登録や感想、
評価も宜しくお願いします!




ではでは、次話もお楽しみに!









次回予告






『"個性"を先輩に渡せるって言ったら…!』


『破竜少年…』


『…一つ聞かせてください。』






























『俺は…アイツらが誇れる生き方してたのかなぁ…』


























次回!
半人半竜のヒーローアカデミア



















『秘密の共有とこれからの話』

































『ハッキリ言いますが、俺は…』






















更に向こうへ!Plus ultra!!!
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