半人半竜のヒーローアカデミア   作:十希

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はじめに


皆様、いつも本作品をお読み頂き、誠にありがとうございます!
たくさんのお気に入り登録嬉しいです!


何とか書き上げることができました…
1週間以内にあげられる自分よく頑張った!次も頑張っていこうね!←自分にプレッシャーかけていくスタイル


それでは本編をお楽しみ下さい!





秘密の共有編
『秘密の共有とこれからの話』


 

 

 

 

サーナイトアイの死去から一夜明けて

 

 

 

 

 

 

『犯人護送中の襲撃という前代未聞の失態。重要証拠品の紛失も確認されており、警察への批判が高まっています。』

 

『朝からずっとこのニュースだねぇ…』

 

やれやれと肩を落とすリカバリーガール。そのニュースの端に、あるプロヒーローがこの騒ぎの中で死亡した…というのが申し訳程度に記載されていた。

 

『まさか護送中に襲ってくるなんて…。敵連合との協力関係が切れていた可能性を感じた時点で俺が言っていれば…』

 

押収品を取られても最悪、死亡者は出なかったはずなのに…そう言いかけた破竜を相澤先生が制す。

 

『断じて、お前のせいじゃない。気に病むな。それに目撃者の話では敵連合の中に竜人のような人物も目撃されている。恐らくお前を目の敵にしているロードだ。担任としては…お前が奴に鉢合わせなくて本当に良かったと思っている。』

 

『…すみません。気ぃ使ってもらっちゃって。』

 

『お前の担任だからな。まずはとりあえず生徒を学校に返す。通形はもうしばらく入院するそうだが、他は治癒してもらって完治している。もうそろそろ着く頃だ。』

 

『あたしゃ、もう少しここの患者さん治癒して回ってくるかね。』

 

これからの行動はわかったけど…

 

『あ、あの…緑谷は?ここにいないんですけど…』

 

『アイツなら通形に話があると言ってお前がくる前にもう既に向かった。だが、やけに時間がかかってるな…。』

 

その時、俺の脳裏に昨日の緑谷の顔が思い浮かぶ。

何か嫌な予感が過り…

 

『すんません!緑谷迎えに行ってきます!』

『お、おい破竜!!』

 

荷物お願いします!と話して駆け足で病室へ向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ふぅ…ここだな。』

 

駆け足で通形の病室の前についた破竜は息を整えて、

ドアに手をかけると中から涙交じりの緑谷の声が聞こえた。

 

『先輩は個性を奪われても壊理ちゃんを守り抜いたんですよね…それに比べて僕は守らなきゃいけない壊理ちゃんに助けられて…先生にも助けられて…破竜くんだって、自分が消滅するのも厭わずに助けてくれて…』

 

『…………』

 

扉越しに聞こえる緑谷の懺悔。

 

それはまるで…弱い自分を責め立てるような…

緑谷らしくない後ろ向きな発言ばかりだ。

 

『もし…先輩が後継者だったら…ナイトアイだって!』

 

唐突に出てきた聞きなれない言葉。後継者?

 

『もし、僕が…』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『"個性"を先輩に渡せるって言ったら…!』

 

『んなっ…!!!』

 

ガタッと扉に足がぶつかる。

 

幸い2人は会話に夢中で俺の事には気づいていないようだが…。個性を渡せるってそんな事が可能なのか…?いや、実際にラグドールはオール・フォー・ワンに個性を奪われてる。やっぱり、緑谷のやつはオールマイトから個性を…

 

その後も隠れて話を聞いていた破竜だったが、結果として通形は個性を受け取らず、緑谷の頑張りを褒め称えて、病室から送り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、それでも緑谷の顔は前を向けていなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

すると、俺の背後から…

 

『破竜少年…』

 

『っ…オールマイト。』

 

この件について最も聞きたかった人物が現れた。

 

『………』

 

『……』

 

静寂がその場を支配する中、俺はポツリと呟いた。

 

『……前はあなたが言ってくれるまで待つつもりでした。でも、あんなこと聞いて黙ってられるほど…俺は大人じゃない…ッ!教えてください、オールマイト…あの個性の正体を。なんであなたの個性を緑谷が持っているのか…そのワケも何もかも…全て!』

 

『……』

 

潮時かもしれないな…。

 

 破竜少年は聡い。私が説明せずとも今までの話や私と緑谷少年との関係性から、ある程度は自分で仮説を組み立てているんだろう。

 

『……わかった。相澤くんには私から伝えておくから…一緒に屋上に来てくれるかい?』

 

『はい。』

 

 

2人で階段を上がると携帯がブブッと音を奏でる。

 

 

破竜の携帯には耳郎から『リューキュウさん達が待ってる。早く来なよ。』と。オールマイトの携帯には相澤先生から『破竜は早めにリューキュウ事務所まで送るように。荷物はフロントに預ける。』と簡易的な連絡が来ていた。

 

屋上に着くと空は雲一つのない快晴。晴れやかな天気の下で話す2人の男の顔はその天気と非常に噛み合っていない。

 

『さて…破竜少年はどこまで気づいている?』

 

『あくまで俺の考えです。まず、緑谷の個性…あれはオールマイトから譲渡されたものだと思ってます。時期は分かりませんが…緑谷の個性練度からして恐らくここ1年以内でしょうか?』

 

『(個性練度…そうか、破竜少年は竜変身の個性と誰よりも向き合ってきた。半年も付き合えば、どの時期に譲渡されたかを推測できるか。)おおよそ正解だよ。』

 

『では続きを。緑谷の個性…あれはAFOと何か関係があるんじゃないんですか?いや、()()()()()()()()()

 

確信を持った言い方にオールマイトの背筋が伸びる。

 

『個性を奪うオールフォーワンの個性に個性を与えることが出来るオールマイトの個性。そして、神野の時のやり取りから貴方達は面識がある。6年前…俺と別れた、あの時に戦っていたのが恐らくオールフォーワン…そして、お互いに痛み分けのような形で現在に至った…違いますか?』

 

『っ…!!』

 

 その質問に遂にオールマイトは黙ってしまった。ここでそれを伝えてしまえば、破竜もあの巨悪との戦いに巻き込んでしまう。ただでさえ、破竜はロードというもう一つの巨悪に目をつけられている。これ以上は彼自身の命に関わると判断するが…破竜はその目を逸らさない。

 

『破竜少年のいう通り、私の個性…ワン・フォー・オールは『力を育て、受け継いでいく個性』だ。』

 

『力を育て…受け継いでいく…個性?』

 

『そうだ。絶対悪オール・フォー・ワンを討つという宿命により、この個性を受け継いだ者は過酷な運命と向き合う事となる。私も…過去の継承者達から受け継いで今に至っている。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

話をまとめるとこうだ。

 

 

 

・緑谷が受け継いだワンフォーオールと呼ばれている個性は元々、オールフォーワンに打ち勝つ為の個性。生まれについては俺にとって別にたいしたことじゃないから割愛する。

 

・今まで初代からオールマイトまで8代の存在がいたが、まともな形で生き残っているのはオールマイトのみ。他は戦死、衰弱死など悲惨な死に方だったそうだ。

 

・鍛え上げられた肉体が無ければ、個性の力に耐えきれず四肢が取れて身体が爆散する事。たとえ鍛え上げられた肉体を持っていても、使いこなせなければ個性によって自壊ダメージを受ける。

 

なるほど…オールマイトの鍛え上げられた肉体に対して中学生時代の緑谷はオールマイト曰く、当時の俺の半分以下くらいの筋肉量だったらしい。1年間、多古場海浜公園をはじめ、筋トレで鍛えた所でNo.1の身体能力を100%使いきれるわけがないってことか…。

 

 

なるほど、個性の詳細はわかったが、まだ解決してないことがある。

 

 

それは何故、当時無個性の中学生に

そんな貴重な個性を譲渡したのか…だ。

 

 

 

 

 

 

オールマイトが背負っている平和の象徴…

その看板の意味は俺が考えているものよりも

とても…とても、大きいものだろう。

 

 

 

味方からすれば…絶対的な希望。

相手からすれば…絶対的な絶望。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それを何故…、緑谷に渡したんだろうと…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『…一つ聞かせてください。何故、緑谷にそんな貴重な個性を譲渡したんですか?』

 

俺じゃダメだったんですか…という()()を言外に含ませたズルイ言い方をして。

 

『破竜少年には言ってなかったが…実は雄英の教師になる前から私はあの2人の事を知っていた。一年と少し前、1人の中学生の少年が敵に乗っ取られたっていうニュース…覚えてないかい?』

 

『それって有名なヘドロ事件のやつですよね?確か…粗野な言動が目立った俺と同じ中学生が敵の乗っ取りに抵抗して…最終的にはオールマイトがそいつを吹っ飛ばしたっていうニュースだったはず。』

 

『そう、よく覚えているね。』

 

『そりゃ…同い年でそんな強い奴がいるんだなって当時はそれなりに気にかけていたんで…』

 

 しかも、その抵抗していた少年は個性の強さ、センス、根性から将来、有望なプロヒーローになるってインタビューされてた記憶がある…。だが、オールマイトが飛び出す前、彼の同級生であろう人間が1人、無謀にも飛び出していた事も破竜は同時に思い出した。

 

『ん?』

 

オールマイトから伝えられた点のような情報。それが俺の中で一つずつ繋がっていく。

 

 粗野な言動だが、プロからも認められる個性とセンス。プロヒーローの静止も聞かずに無謀にも飛び出した同級生。そんな性格を持つ友人達を俺は知っている…。

 

『まさか、それが…』

 

『そう、緑谷少年と爆豪少年…というわけさ。その時、無個性だったはずの緑谷少年は危険を顧みずに爆豪少年を助けに行った。その時に彼は言ったよ。『君が助けを求めている顔をしていた』から勝手に体が動いたと。』

 

『……あのバカ、下手したら死んでたぞ。』

 

『勿論、その事は私含め、他のヒーロー達にしっかりと説教されていたさ。ただ、そんなヒーローとしての強い資質と意思を持っていながら、生まれつき無個性だった緑谷少年に私は「ワン・フォー・オール」を託した。ヒーローになれない無個性という状況でも、危険な場所で人を救けようとするその姿に私が…惹かれてしまったからだろうね。』

 

 確かに…ある意味、オールマイトと緑谷はよく似ている。自分の事よりも他人優先。自分がどうなろうと、それが誰かの助けになるのであれば身を切る事を厭わない極限の優しさ。

 

 

 

いや、この場合は極限の狂気と言った方が正しいか…

 

 

 

『……この件を知ってる人間にこの事は?』

 

『塚内くんやグラントリノ、サーナイトアイ、根津校長はこの事を知っている。だが、サーナイトアイだけは緑谷少年ではなく、通形少年に個性を譲渡すべきだと最後まで譲らなかった。グラントリノの話では…緑谷少年のインターン承認にはそういった裏の事情も絡んでいたそうだ。』

 

『そうだったのか…』

 

納得…したくないけど、、納得した。オールマイトが緑谷にワン・フォー・オールを託した理由にも…、あのバカがあんな事言った理由にも合点がいったよ。

 

 

だけど…

 

 

『分かりました。ただ、ハッキリ言って俺は緑谷のことを無性にぶん殴りたくてしょうがないです。』

 

『ど、どういう意味だい…?』

 

物騒な発言をした破竜を驚愕の瞳で見つめるオールマイト。

 

『アイツはさっき、通形先輩に個性を譲渡できると…言った。アイツは…オールマイトから…最期にはあのサーナイトアイから…託されたはずなんだ。それをアイツは…あっさり捨てようとした!

 

破竜の拳に自然と力が入る。

 

わかってる…わかってるんだ…アイツは自分よりも通形先輩の方がワン・フォー・オールを上手く使えると。未熟な自分よりも通形先輩なら…みんなを助け出せるヒーローになれるとそう思ってしまったんだ…。

 

アイツは…この個性に込められた責任を何にもわかってない。例え、心が弱っていたとしても…()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()を俺は絶対に許したくない!!!

 

『オールマイト…一つ頼みがあります。』

 

『な、なんだい…?』

 

怒りの形相で頼み事の内容を告げ、その場を立ち去った破竜の背中を驚愕の目で見つめるオールマイト。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『絶対に…マズイ事になる……』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

冷や汗ダラダラでその場に立ち尽くしたオールマイトの嘆きは一陣の風に攫われて誰の耳にも届く事はなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

リューキュウ事務所

 

 

 

 オールマイトと別れた俺は陽が落ちかけた時間帯にようやくリューキュウ事務所についた。

 

さすがにもう誰もいないだろうなぁ…と思い、エントランスのドアをくぐると中で事務作業をしていたレイ兄さんがくるりとこちらに首を向けた。

 

『すみません。お待たせしました。』

 

『おー、遅かったなリュウ。』

 

見渡してみると、リューキュウさんをはじめ、波動先輩、耳郎、麗日、梅雨ちゃんがいない。待ってるって話だったが…

 

『…インターン組なら、さっきここにいた時によ、警察の事情聴取に連れてかれたぜ。遅くなるかもって話だったからリューキュウさんが付き添って送りに行くってよ。リュウ、お前もこのインターン書類書いたら送ってやるから早くこっちに来い。』

 

『うっす』

 

そう言ってレイ兄さんの隣に座ってインターンの書類を記入していくが…いかんせん書くことが多いうえに、突っ込んだ質問があり、流石の破竜もうーんと頭を悩ませるながら、書類と睨めっこを続ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

30分後…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『お待たせしました…最後にここのプロヒーロー欄にレイ兄さんの印鑑もらってもいいですか?』

 

『…思ったよりも早かったな。イヤホンジャックにウラビティ、フロッピーは一時間近くかかったのによ。ちょっと待ってな、今押してやるから…』

 

そう言って印鑑を出してバンと印を押すと虎牙という名が書類に押印される。よし…これで終わりだなとカバンを持ちかけた破竜をレイが引き止める。

 

『リュウ、お前少しだけ時間あるか?』

 

『へ?まぁ…一応。』

 

『うっし、じゃあ事務所の屋上に行こうぜ。』

 

レイに連れられるまま、事務所の屋上に来た破竜は空を見上げると、うわぁ…と感嘆の声を上げた。

 

 

 

 

 

 

『すっげぇ…超綺麗。』

 

 

 

 

 

 

そこには無数の星が空を埋め尽くしており、一つ一つ光り輝く星が暗闇を明るく照らし出す幻想的な雰囲気が広がっていた。

 

『だろ?この時期、ここの事務所の屋上から綺麗な夜空が見えんのは割と有名なんだけどよ…お前らがいる間はなかなか見れなかったろ?最終日になんとか見せることできて安心したぜ。』

 

レイなりに気を遣ってもらった事を理解した破竜はお礼を伝え、2人で空で輝く星空を見つめる。

 

『…なんか、こうやって空見てると、自分の抱えてる悩みなんてちっぽけに感じます。』

 

『あぁ…空ってのは自分の悩みも怒りも何でも受け止めてくれる。俺も昔、色んな悩みを抱えてた時、よくこうやって1人で星見てた。んで、大体リューキュウさんが隣に来て相談に乗ってくれてた。』

 

『へぇ、どんな悩み抱えてたんですか?』

 

『ん?そうだな…例えば、俺を人身売買に出した元両親の事とか、人を殺した事、ワータイガーの個性の事とか…』

 

『ちょっと待ってください!なんか、色々と重い話が出てきた気がするんすけど!?』

 

『あれ?言ってなかったっけ?』

 

『初耳です!!!!』

 

『お、じゃあ、良い機会だから色々と教えてやりますかね。』

 

 

 

 

そう言ってレイ兄さんは色々と教えてくれた。

 

 

 

元々、レイ兄さんも新凪ちゃんと同じで元奴隷だった事。唯一違うのは、元家族に捨てられ、逃げ出したその過程で当時、自分を飼っていた主人をナイフで刺し殺した事。

 

それからしばらくの間、スラムのような場所で明日のご飯の心配をするくらい劣悪な環境で生き抜いてきた事。そんな生活から自分を引き取ってくれたババデルさんやその後に引き取られたディーポさんとの事。

 

個性のワータイガーも元両親からの遺伝関係無しの突然変異の力でそれが原因で捨てられた事や感情の波がブレると変身した後のコントロールが効かない事。

 

『じゃあ、レイ兄さんの口調が軽いのは…』

 

『おー、元々の性格もあるんだが、一番は感情の呼応でコントロールがブレて暴れちまわないようにするためだな。リューキュウさんにも常々注意されてたんだが、ふとした瞬間に出ちまうみたいなんでね。』

 

そうか…。職場体験の時にバーニンさんに八つ当たりされた時に感じたあの異常な威圧感、そしてリューキュウさんが「やめなさい」と強い口調で制したのもそのせいだったのか。

 

そして、レイ兄さんはリューキュウさんに対する感じている多大な恩についても教えてくれた。

 

『リューキュウさんはよ、親が殺されて暴れ馬みたいに荒れていた当時の俺の事をサイドキックとして雇ってくれた。正直に言えば、ババデルのおっさんが殺された事、ディーポが殺された事にリューキュウさんが関わっていた事を後から知った時はその贖罪の為だと…自己満足のためだと勘ぐって…凄ぇ恨んだよ。なんで…俺の家族を助けてくれなかったんだよって…』

 

『…………』

 

でも…とレイは続ける。

 

『俺はたまたま見ちまったんだ。俺の家族が亡くなった命日、仕事終わり…誰もいないデスクの上で泣き崩れていたあの人を。』

 

『リューキュウさんが……』

 

普段は強くて明るい優しいお姉さんの印象が強いリューキュウが誰にも見せなかった姿。それを見て、レイの心境も変わった。

 

『ずっとうなされてた。私のせいでごめんなさい…ごめんなさい…って誰かに謝り続けるあの人を見て、あの事件で傷を負ったのは俺だけじゃなかったって気づいた。だから…どうにかしたかった。俺が抱えていた闇も…リューキュウさんが負った傷も全部無くす為にはアイツらを殺すしかなかったって…』

 

結局、それは間違いだったってお前に気付かされちまったけどな。とレイは笑う。

 

『なぁ、リュウ。』

 

『はい?』

 

『…お前と一緒に過ごしてきた中で気づいた事がある。お前の個性、竜変身の力はその気になれば全てを跪かせることが出来る程に強大な力だ。』

 

『…………はい。』

 

『俺がもし…あの時、その力を持ってたら…バリオとサントを屠ったその力があれば……ディーポもババデルのおっさんも死ななかったのかなぁ…』

 

破竜の持つ強大な力への執着を独白するレイ。

 

『…そんな、いいもんじゃないですよ。』

 

 だが、破竜はそんなレイの希望を一刀両断する。わかってるさとサラリと返し、レイは綺麗な夜空を見上げ、自分の今までの事を思い出す。

 

憧れだったヒーローにはなれたが、父親の望んでいたようなヒーローに…弟にカッコいいと思われるヒーローにはなれたのか…

 

そんな生き方をしてきたのかと言われれば…

答えはきっと…

 

『俺は…アイツらが誇れる生き方してたのかなぁ…』

 

『それは…わかんないです。』

 

「ははっ、だよな」と自嘲気味に笑ったレイだが、

破竜の言葉にはまだ続きがあった。

 

『けど、その生き方に…レイ兄さんに救われた人は確実にいます。』

 

『へぇ…誰が?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『目の前に…います。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺の事を弟と呼んで気にかけてくれた時から、俺にとってはレイ兄さんも…リューキュウさんも…オールマイトや耳郎、A組のみんなと同じようにとても大切な存在になっている。

 

もし、手を出されようものなら…情けないくらいに取り乱してしまうほど。

 

 ポカンと間抜けな表情をしていたレイだったが、目の前にいる青と黒が混じった特徴的な髪色をした少年を改めて見つめる。コイツは本気でそう言っていると思うと、何か無性に恥ずかしくなってきてしまった。

 

『…俺、お前に一生頭上がんないかも。』

 

『俺だってそうです、レイ兄さん。』

 

『…はぁ、なーんか恥ずいな。うし、今日くらいは内緒にしてやるから一緒に酒飲もうぜ?』

 

事務所に戻って酒を取りに行こうとするレイを破竜はガシッと引き止めた。

 

『ヒーローのセリフじゃないですよ。20歳になったら飲みましょう。』

 

『固いねぇ…ま、お前らしいけどよ。それとさ…もうタメ口でいいんじゃねぇか?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

兄弟…なんだからよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『は…はい…じ、じゃなくて…うん、レイ兄さん。』

 

『(なぁ、ディーポ、ババデルのおっさん、俺はまだまだひよっこのダメダメヒーローみてぇだけどよ…こんな俺を兄と呼んで慕ってくれるもう1人の弟ができちまった。)』

 

無言で目の前にいる破竜の頭を撫でるレイ。破竜は少し恥ずかしそうにしながらもその手を退けず、気持ちよさそうに目を細めていた。

 

『(今更、アンタらが望んだヒーローになれるかどうかはわかんねぇ。それでもよ…アンタが信じてくれたようなヒーローに…弟にカッコいいって思って貰えるヒーローになれるように…頑張るからよ。そっち(あの世)に行くまで待っててくれよ。)』

 

そう内心で呟いたレイの後ろから

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『あぁ、待ってるぞ』『うん、待ってるよ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

という声が聞こえる。えっ…と思い、すぐさま後ろを振り向いたレイだったが、そこには誰もいない。

 

 

誰もいない…いないが、確かに聞こえた気がした。

 

 

そんな風に都合よく捉えてしまう自分がおかしくて…ゆかいで…レイは天を仰いでククッと笑った。

 

『どうしたの?レイ兄さん。』

 

『いや…ゆかいだねぇ。って思っただけだ。さ、行こうぜ、リュウ。寮まで送ってやるからよ。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

破竜とレイ。仮から始まった2人の歪な関係は

 

 

敵との戦い、想いの衝突、本音の吐露を経て……

 

 

ようやく本当の兄弟のようになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 








あとがきです。




破竜くんは緑谷君の発言からようやくオールマイトを問い詰め、ワン・フォー・オールの秘密を共有しました。

本編では爆豪くんのみ、秘密を共有していましたが、本作では破竜くんがそこに絡み出します。

これから2人の間に挟まれる破竜くんのメンタルが少し可哀想な気がしてきた。





そして、リューキュウ事務所で2人っきりで話したレイと破竜くん。

このインターン編と八斎會編を経て、ようやく2人は本当の兄弟みたいになれました。

例え、血は繋がっていなくても想いがあれば特別な関係になれる。それをレイは実践してます。

家族を失ったレイと家族との関係性を断ち切った破竜くん。2人はこれからどんな兄弟になってどんな風な絡みを見せてくれるのか…楽しみにしてて下さい!!






次話以降は少しオリジナルの話が混ざってきますので、楽しみにお待ちください!







この作品が面白かったらお気に入り登録や感想、
評価も宜しくお願いします!




ではでは、次話もお楽しみに!









次回予告






『…色んな事が見えた気がする。』


『おい…お前、今…なんて言った?』


『破竜くん…それで話ってなに?』






























『なんでワン・フォー・オールを手放そうとした?』


























次回!
半人半竜のヒーローアカデミア



















『受け継いだものの大きさ!』

































『見せてみろよ…』






















更に向こうへ!Plus ultra!!!
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