龍が如く外伝 『龍の跡を継ぐ者』   作:シュウ名刀醜血桜

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中の人が女優+登場作品が外伝作品なので出そうかな?どうしようかな?って悩んだですが今後の展開の為にも登場していただきました!!(注意!!今回の話では龍が如く8のエンディングの内容に触れています!!)


蒼天掘一の情報屋

 

千葉県某所にて。

 

「お客さん!起きて下さい!!」

 

「う~ん」

 

大道寺の仕事を碌に休まずに続けてこなした為に疲れて寝ていた望をタクシー運転手が声をかけ起こす。

 

「着きましたよ」

 

「ああ 起こしてもらっちゃってすみません」

 

「気にしないで下さい。ではお代はこちらになります」

 

「これでお願いします」

 

望は運転席と助手席の間に設置してあるメーターを見て料金を確認し現金を支払いタクシーから降車した。

 

「確かに受け取りました!またのご利用をお待ちしています!!」

 

 

料金を受け取り支払額を確認した運転手はタクシーを走らせその場から去って行った。

 

(やっと帰ってこれた⋯)

 

「此方が想定してたよりも随分とお早いお帰りですね」

 

横浜での任務やさっき程の神室町で溜まった疲労感を感じつつも望が目的地である大道寺のアジトの扉を開けるともう一人の望の父親でもあり良き理解者でもある花輪喜平が出迎える。

 

 

「花輪さん。お久しぶりです」

 

「貴方と会うのは私が浄龍や他のエージェント達と共にハワイへ出向する前日にお会いした時以来ですね」

 

花輪と望は一年前の事件以降望は事件を収束させる為の手伝いで花輪も花輪で色々あり互いに会いたいと思っていたが任務や昨年起こったパレカナの事件の事後処理等で忙しく一年間会うことが出来てはいなかった。

 

「野暮なことを聞くかもしれませんが花輪さん⋯胸の傷はもう何ともないんですか?」

 

「傷とはこの事ですね」

 

望に傷の事を聞かれた花輪が軽くシャツをたくし上げると弾痕と思われる傷が左腹部に残っていた。

 

「あの時花輪さんが死んだって現地のエージェントから聞かされた時は本当に驚きましたよ⋯」

 

「その節は本当にご心配をおかけしてすみませんでしたね」

 

花輪の傷の原因となったのは1年前のハワイで大道寺一派が当時追っていた岸田茜とラニという女性と少女を追う中で、エージェント浄龍として花輪と複数人のエージェント達と共に現地に派遣されていた桐生一馬がひょんな出来事から協力関係となっていた春日一番達と共に2人の行方を共に追い何とか二人を大道寺のセーフルームへ保護することには成功する。だがその直後春日の仲間であった筈の三田村英二が協力していた春日達や大道寺を裏切ってセーフルームにけしかけたバラクーダという現地のマフィアの放った銃弾が花輪の左腹部に命中してしまう。弾丸をくらった花輪は心停止してしまったが、搬送先の病院の医師達による懸命な救命処置により心肺蘇生が間一髪で間に合い花輪も無事生き残ることが出来た。

 

「今改めて考えても春日さん達と大道寺一派を協力させる為に自分が生きてる事を隠させてたなんて信じられませんよ⋯」

 

「それについては本当に返す言葉が出ませんね⋯」

 

意識を取り戻した花輪は大道寺の任務を達成させる為に春日達の事件への協力は不可欠だと考え春日達と大道寺一派を協力させるべく『ある組織』に頼み用意した自身と体格の似た死体を自身の死体へと偽装させ自身の生存を隠し、パレカナやバラクーダといったハワイの組織や春日達の目を欺き事件が終わるまで日本の『とある場所』へと潜伏して事件が終結すると、望の父親桐生一馬の『名前』を取り戻させるべく陰ながら尽力していた。(余談だが事件が終結し花輪が大道寺へと帰った際に共にハワイへ行ったエージェント達と望に生存を知らせるべくかけた電話でそれぞれに数時間こってりと搾られた。)

 

「そろそろ父さんに生きてることを教えてあげても良いんじゃないですか?去年に父さんを監視していたエージェントから聞いた感じだと、父さんはあの時花輪さんが死んだって横浜で知った時は何か思う所があったっぽいから生きてるって知ったらきっと喜ぶと思うけど?」

 

「それは⋯⋯⋯すみません。出来ません」

 

事件が終わり大道寺へと戻った花輪はハワイの事件から約1年経った現在も桐生にだけは、自身の複雑な想いから自身が生存していることを報告していなかった。

 

(この件は二人の問題っぽいし、もう話題には出さないでおこう⋯)「そういえば上層部直々の任務って何ですか?」

 

望はこの事について碌に事情を知らず部外者の自分が追及すべきでなく二人の問題だと思い自分を此処へ呼んだ理由の大道寺上層部直々下されたという任務について尋ねる。

 

 

「去年のパレカナや星龍会の海老名が引き起こした一件を含めた彼が大道寺に尽くした様々な功績を顧慮した末に今後の桐生一馬に対する方針が決まりましたのでこれからすぐに沖縄のアサガオへと向かい直接彼に貴方の口から伝えるというのが貴方の()()()()()()()

 

去年にハワイの宗教団体のパレカナやパレカナと協力関係であった星龍会の海老名達との戦いの中で2016年に死んだ事となっていた桐生は、一年前の2023年に多々良チャンネルの多々良ひそかというチャンネル登録者数500万人超えの告発系バーチャルYouTuberに生存をチャンネル内で暴露されたのを皮切りに、テレビのメディアで大々的に生存が報道がされ桐生の生存が取り上げられてしまった所為で、大道寺一派でも完全に隠蔽が出来ない規模で桐生の生存がバレてしまい大道寺に於ける彼の扱いを巡り上層部が言い争う事となっていた。1年経っても具体的に決まってはいなかったがつい先日彼への処置が決まったことと今後の彼の扱いが、花輪から望へと望への任務という形で()()()()()()()()()

 

 

「何かあったんですか⋯?」

 

「実はつい先程蒼天掘で貴方の父親桐生一馬と『郷田龍司』が目撃されたと赤目さんから連絡がありました」

 

「郷田龍司って確か⋯昔父さんと死闘を繰り広げたっていうあの郷田龍司さんですか?」

 

2006年12月、当時東城会五代目会長だった寺田行雄が当時、勃発するのは時間の問題であった東城会と近江連合の戦争を止めるべく、風間新太郎の命日に墓参りをしていた桐生を訪ねた直後襲撃される事件が勃発しその事件の中で『伝説の龍』を求め桐生と死闘を繰り広げ敗れ去った男こそ郷田龍司であった。

 

「ええ。その郷田龍司です。数年前に貴方の父親の桐生さんがエージェント浄龍として赤目さんの所に厄介になっていた際にも同様の情報が入り調査したんですが⋯」

 

「それは郷龍会の残党の模倣だったんですよね」

 

桐生と死闘を繰り広げた郷田龍司が消息を絶ち数年がたった2019年、桐生がエージェント浄龍として蒼天掘の何でも屋を営む女性赤目に厄介になっていた際に郷田龍司が蒼天掘に現れ美人局やカツアゲといった犯罪の被害が多発しそれらに郷田龍司が関与しているとの情報が入り、浄龍が調査していく中で現れた郷田龍司は郷田龍司の父親近江連合5代目会長郷田仁が立ち上げた郷龍会の3代目を勝手に名乗る男が、近江連合に返り咲く為に『郷田龍司』という存在を担ぎ上げる為だけに作られた偽物だった。(騒動の張本人である自称郷龍会3代目と郷田龍司の偽者達は、あまりにも好き放題に振舞った為に本物を知る桐生の逆鱗に触れ、組員共々全員ブチのめされた。)

 

「まず赤目さんの情報にあった桐生さんはまず本物では無いとして問題は郷田龍司の方です。

本物か偽物か⋯どちらにせよ近江連合無き今何故蒼天掘に現れたのか。そしてその目的を調べるのが貴方に下された今回の任務です」

 

「分かりました⋯それで父さんを騙る人物や郷田龍司さんを蒼天掘で発見した場合はどうすれば良いですか?」

 

「もしも本人だとして今の彼の性格的に蒼天掘をどうこうする訳では無いとは思いますが⋯もしも何か害をなす様ならばどうにか止めて下さい。桐生さんの方の対応は其方へお任せします」

 

「だいぶ無茶なことを言うんですね⋯」

 

「自分も今回の上の判断は少しばかり無茶を言ってるようにも思えます⋯ですがそれは裏を返せばそれだけ大道寺に貴方が信頼されてるということです」

 

(そういうことなのかね⋯)「じゃあ行ってきます!!」

 

「少し待って下さい」

 

望は渋々納得し大阪へ向おうとするが花輪に止められる。

 

「どうかしたんですか?」

 

「数日前にメンテナンスしていた『雀』のメンテナンスが終わり貴方の部屋に戻しておいたとの報告がありましたよ。今回の任務に大いに役に立つのでは?」

 

「そうですね」

 

望は花輪からインカムを受け取り左耳に付ける。

 

「蒼天掘へはこちらが手配した車に乗って向ってもらう予定です。車の準備が出来るまではまだ時間があるので今の内にシャワーを浴びてスーツから普段着に着替えて準備してはどうですか?」

 

「そうします」

 

数日間の任務でシャワーを浴びる暇さえも無かった望は花輪の気遣いに甘えシャワーで汗を流すことにした。

 

 

 

 

「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯」

 

望が汗を流すべくシャワーを浴びてる隙にシャワーを浴びる為脱衣所に置いた蜘蛛の内蔵された時計へ青鬼の面を付けたエージェント青鬼(セイキ)が近づき手に取った――

 

 

 

 

望が汗を流しに行ってから10分後。

 

「お待たせしました!!」

 

「準備は出来たようですね」

 

「⋯⋯⋯⋯⋯」

 

スーツから私服のグレーのパーカーに黒ズボンへと着替えた望は手配された車が止めてある駐車場に着くと先に着いていた花輪と鬼面が待っていた。

 

「今回の任務には不参加ですが鬼面が現地まで送迎します。くれぐれも余計なことは考えないようにお願いしますよ⋯」

 

「分かっとりますわ」

 

「?」

 

花輪が言葉の途中から望には聴かせないよう鬼面の耳へ顔を近付け、小声で鬼面へ耳打ちする。

 

「お二人ともどうかしたんですか?」

 

「いえ⋯何でもないです。まずは赤目さんのアジトへと向かって話を聞いてください。どうかお気を付けて!!」

 

「はい!!」

 

 

鬼面は運転席に望は助手席へそれぞれ乗り込むと蒼天掘へと向うべく車を走らせた。

 

 

 

 

「⋯⋯⋯⋯⋯⋯」

 

(く、空気が重い)「あ、あの」

 

「お前。苗字は桐生って言うんか?」

 

 

無言で車を走らせる鬼面につられ望も一言も発さずに窓から景色を見ていたが流石に耐えきれなくなり言葉をかけようとするとずっと無言だった鬼面が口を開いた。

 

 

「ええ。そうですけど」

 

「そうか。桐生か」

 

望の名字を聞いた鬼面の顔こそ面で隠れていてどんな表情をしているか分からないが先程よりも声色が少し優しくまるで誰かとの思い出を思い出してるかのようだった。

 

「お前の付けとるその時計ちょっと貸してくれんか?」

 

「別に良いですけど」

 

「ありがとな」

 

望から蜘蛛が内蔵された時計を受け取った鬼面は運転しながら片腕で時計を触り裏ぶたに付いていた何かを人差し指と中指で摘み取ると一旦膝の上へ置き窓を開けると外に捨て時計を望へ返した。

 

「埃が付いてたから捨てといたで」

 

「僕の時計に何かあったんですか?」

 

「ん?いや。昔、自分が欲しかった時計と同じメーカーの時計やったからな。そこそこ古いメーカーだったからまだ潰れずに出してるんやなって感心しとったんや」

 

「まぁ⋯花輪さんから誕生日にもらった時計ですからね。花輪さんもそこそこ古いって貰った時も言ってましたしね」

 

「確かにあの人は年代物を使ってるイメージがあんねんな」

 

「ははは」

 

「ほれ。蒼天掘に着いたで」

 

やっと鬼面との会話が続き望は鬼面との会話を続けようと話題を出さそうとするが、本来の目的である蒼天掘へ到着する。

 

(もっと会話したかったな⋯)

 

「そんなしょぼくれんなや。お互い生きとる限り会話くらいまたできるやろ」

 

「そうですよね!!鬼面さんありがとうございました!!鬼面さん!!またお喋りしましょうね!!」

 

「ああ。約束や」

 

見るからに元気が無くなってしまった望だったが鬼面とした口約束で元気を取り戻すと、鬼面へ礼を言い車から出た。

 

 

 

 

 

望が降りた後の車内にて。

 

 

「あれが大道寺に居るっちゅう噂の桐生一馬の息子か」

 

鬼面は去り行く望の背を見ながらポケットから煙草を取り出しライターで火を付けると、開いてる窓に向かって煙を吐く。

 

 

「性格だけやなく不用心な所もアンタに似とるな⋯⋯なぁ『桐生さん』」

 

 

鬼面は軽く呟き、先程望の時計の裏ぶたから取った()()()()()を片手で握り潰した。

 

 

 

 

 

「さて。まずは赤目さんを探さないとな。ホームレスたちが居そうな場所は⋯⋯」

 

 

車から降りた望は普段赤目が情報源に使ってるというホームレス達に接触するべく、ホームレス達の溜まり場を探していた。

 

 

(ホームレスと言えば公園かな⋯⋯)「取り敢えず行ってみるかな」

 

「そこのお兄さん。ちょっと時間ええかな?」

 

少しホームレス達が居そうな場所を考え、まずは最初に頭に浮かんだ場所の公園へ向おうとすると、背後からボロボロの服を着た男に声をかけられる。

 

 

「どうしたんですか?」

 

「お兄さん⋯⋯もしかして桐生望って名前やないか?」

 

「何で僕の名前を知って!?」

 

名乗ってもいない望の名前を知っている男が動揺する望の反応を見て手を上げると、男と同じように服がボロボロの男が3人、木刀やらゴルフクラブを持ったまま現れ望の周りを取り囲む。

 

 

「これは蒼天掘流の歓迎ですか?」

 

「坊やには悪いんやけど坊やの首には100万円の賞金が懸けられとるんや。」

 

「100万か⋯⋯随分と安く見られたもんですね」

 

「まぁ坊やにはそうかもしれんけどわしらには大金や。堪忍や!!」

 

「くっ!!」

 

最初に望に声をかけてきた男は手に持ったボコボコになったバットを高く上げ望目掛け振り下ろすが、望は右腕で受け止めて防いだ。

 

(この人達はおそらく赤目さんが情報源に使ってるっていうホームレス達。出来るだけ彼らに傷は付けたくは無い⋯⋯!!なら⋯⋯!!)「来い!!」

 

 

金属バットを右腕で受け止めたままどう傷付けずに男達を無力化するか。望は少し思考し左手でインカムに手を当て『雀』へ指示を出すと望の頭上へ指示を受け取った自立型AI搭載ドローン『雀』が10機飛来し、その内の1機が望が受け止めている金属バットへと突進し、男の手から弾き飛ばす。

 

「な、なんや!?」

 

「このオンボロ機械が!!壊したる!!」

 

金属バットを弾き飛ばした雀に動揺する男達だったが男たちの中でも大柄の体形の男が雀を掴み壊そうと腕を伸ばすが、雀に男の手が触れるか触れないかの所で手の届かない高度へと逃げられてしまう。

 

「よく来てくれたな。」

 

望は自身の周りに漂ってる雀達を両手で撫でると、雀達は嬉しそうに上下に揺れ自身の感情を動きで表現する。

 

「テメェ⋯!!舐めとんのか!!オラ!!」

 

「雀!!頼む!!」

 

「っ!?」

 

望と雀のやり取りを見て苛立った男が手に持った木刀で正面から望の頭に向かって殴りかかるが、望の頭上へ望の指示を受け取った雀達が10機旋回しつつ集まり、防御陣形を展開すると木刀による一撃を真正面から受け止め防ぐ。

 

「おりゃあ!!!」

 

木刀を防いだ雀達が防御陣形を解除するのと同時に刀身に望の後ろ回し蹴りが直撃し、木刀は折れて使い物にならなくってしまう。

 

「まっ⋯!」

 

「せいやっ!!」

 

投降を示そうと男が声を上げるが望は男の胸倉を掴み、背負い投げで地面へ叩き付けた。地面へ叩き付けられた男はそのまま気を失ってしまった。

 

「よくも二人を⋯!!脳天ぶちまけろや!!このボケ!!」

 

そこに、ゴルフドライバーを持った男が左右にゴルフドライバーを振り回しながら望に襲いかかる。

 

「ボディががら空きだよ!!」

 

「がはっ!!」

 

望は左右に振られたゴルフドライバーを軽く躱し、先程雀が弾き飛ばした金属バットへ照準を向け蜘蛛を射出するとそのまま男の腹部に金属バットをぶつけた。金属バットを持っていた男は腹部の痛みに悶えながら地面に蹲る。

 

「く、クソが!!こ、こうなったら!!」

 

最後に残された男は手に持っていた釘バットを投げ捨てると、懐から折り畳み式ナイフを取り出し震える手で刃先を向ける。

 

「駄目ですよ。金属バットとかは兎も角そんな物騒なモノ見せちゃ」

 

「うるせぇ!!死ねぇぇぇ!!」

 

男はナイフを望の腹部目掛けて一直線に突いてくる。

 

「あらよっと!!」

 

「ぎゃァあっ!!」

 

望はナイフを持った男の刺突を左手で男の手首を掴み左側面へと受け流す。受け流すと同時に握った手首を掴んだまま男の脇腹に右肘をねじ込む。苦悶の表情を浮かべる男の手首関節を両腕で極めつつ地面へと倒す。

 

 

「これで終わりだ!!」

 

望は関節を極められ痛がる男に握られたナイフ目掛け下段回し蹴りを繰り出す。繰り出された下段回し蹴りは男の手元に当たると、ナイフは痛がってる男の手元を離れ地面へ転がった。

 

 

「ねぇ。貴方達は誰に頼まれて僕の命を狙ったんですか?」

 

襲い掛かってきた4人全員の武装を解除した望は念の為に自身の周りに雀を待機させながら自身を襲った理由を聞いた。

 

「そ、それは⋯⋯その」

 

望の問い掛けに男達は望から目を逸らそうとすると――

 

 

「おっちゃん達。もうええ!!その子の強さはよう分かったわ」

 

 

派手なシャツと赤いジャンパーを着た赤髪の女性が望と男達の間に割って入ってくる。

 

「貴方が赤目さんですか?」

 

「おう!!ウチこそ、この蒼天掘の裏も表も知り尽くす蒼天掘一の何でも屋赤目さんや!!」

 

望が女性に赤目本人かどうか聞くと、声をかけてきた女性が名乗り彼女こそが自分の探していた情報屋の赤目だと理解した。

 

「アンタがジョーリューの息子の望やな!!刃物相手にも怯まんのは流石やんな」

 

赤目は刃物や鈍器を持った男達に怯まず返り討ちにした望のことを肝が据わってる青年であると認める。

 

「所でこの人達を何で僕に嗾けたんですか?」

 

「ん?ああ。それはな⋯⋯蒼天掘一の情報屋になったのは良かったんやけどジョーリューが帰った後位からウチに情報屋の依頼が殺到してな。それだけならウチも良かったんやが力づくで依頼をしようとする輩まで現れおってな。それで考えたのがホームレスのおっちゃん達赤目ネットワークの皆に協力してもらって"ウチらなりのテスト"をすることにしたんや」

 

浄龍が赤目の元に滞在してる間の期間、浄龍は赤目に上手く丸め込まれて赤目ネットワークの仕事を手伝っておりそのお陰で蒼天掘一の情報屋になったのだが、浄龍が蒼天掘を去ってから一年経つ辺りには次から次に情報屋の赤目宛に誰かれ構わず依頼をし、赤目ネットワークの全員が調査員として連日調査しても依頼が無い日が無いくらいに殺到した。赤目や赤目ネットワークに所属している年齢の若い人達は兎も角、赤目ネットワークには年寄りや身体が弱い人も所属してる為、赤目は1年程前から蒼天掘で普段見慣れない客や見るからに危険な客に限り、依頼を受ける前に腕自慢の人達に軽い"テスト"をさせる事にしていた。

 

「いくら腕っぷしを確認する"テスト"とはいえ釘バットとかゴルフクラブとか刃物はやりすぎじゃ⋯⋯」

 

「そうや⋯⋯!その事でおっちゃん達に話があったんやったわ」

 

「あ、赤目ちゃん⋯⋯?」

 

「このアホ!!」

 

望の真っ当な疑問に赤目はホームレス達の方へ身体を向けると4人の頭に軽い拳骨を落とした。

 

「望の言う通りおっちゃん達やり過ぎや!!相手が望やったからええけど普通の未成年相手に鈍器やらナイフまで出したらアカンわ!!次からはやったらアカンで」

 

「「⋯⋯⋯⋯⋯」」

 

「返事は!?」

 

「「赤目ちゃん⋯⋯ホンマ、すまんかった」」

 

「謝るんはウチやなく望にや!!」

 

「「ホンマに、すまんかった!!」」

 

拳骨を落とされ腫れた頭部を下げ望にホームレスの男4人が謝罪する。

 

「それで?"テスト"の結果僕はどっちなんですか?」

 

「文句なしの合格や!!此処で話すのもなんやしついてき!!」

 

"テスト"に合格した望は赤目に連れられ"赤目の事務所"へと向かう。

 

 

 

「着いたで。此処がウチの事務所や。

普段は人入れへんのやけど、他ならぬ花輪さんの紹介やから特別や♪」

 

望は赤目に連れられて招福町の裏路地に入ると、赤目はつきあたりにある扉の前で足を止める。

 

「事務所ってわりには」

 

「ボロいっちゅうんやろ?ジョーリューも初めて来たとき同じこと言うとったわ」

 

赤目は望の言葉に軽く笑みを浮かべながら扉の脇の小さい電子盤に顔を近づけると小型カメラが赤目の虹彩を測定すると扉が開いた。

 

「後で望も登録しとこな」

 

「え、ええ」

 

望は見た目にそぐわない高度なセキュリティに驚きつつも中へ入っていき少し歩くと見えた扉を開くと巨大なモニターがある部屋へ行きついた。

 

「ここが赤目さんの事務所やでぇ!」

 

「外とは随分印象が違うですね」

 

「一回他の場所に事務所移そうかとも考えたんやけど色々考えてな。止めたんや」

 

「そうなんですね」

 

「望は郷田龍司達の件で来たんやったな。

実はその事なんやけど何日か待ってくれん?」

 

「え?」

 

郷田龍司達の調査をしようと外に出ようとする望を赤目は止める。

 

「何でですか?」

 

「今ん所ウチが持ってる郷田龍司達らしい人物の情報が余りにも少なくてな。

せやから情報を集めるまでの何日かはウチの仕事を手伝ってもらうわ。勿論情報が入ってきたら一番に教えたる」

 

(それならしかたないか⋯⋯)「分かりました。此方へ厄介になってる間だけでしたら、お仕事をお手伝いさせてもらいますよ」

 

 

「ほんまありがとな!

望の目の登録するからこっちきいや」

 

望は郷田龍司が現れるまでの数日の間は赤目の仕事を手伝うことにし、まずは此処へ出入りする為に必要な虹彩を登録することにした。

 

「なぁ⋯⋯ジョーリューは今元気にしとる?」

 

「え?」

 

赤目は望の虹彩をパソコンで登録しながら望へ父の浄龍について尋ねる。

 

「最後にジョーリューに会ったのももう5年前やし⋯⋯数年前に花輪さんにジョーリューが末期のガンになったって聞いて以来、ジョーリューがどうなったのか怖くて聞いてなくてな。元気にしとるんならええんやけど⋯⋯」

 

「父さんは元気にしてますよ。

末期のガンも懸命の治療の結果、奇跡的に完治して、今は義姉さん(澤村遥)その旦那さん(宇佐美勇太)二人の息子さん(澤村遥勇)それと養護施設の子供達と一緒に沖縄で暮らしてますよ。最近は横浜にある行きつけの店に頻繁に訪れては、一年前に出来た、仲間達(一番達)と一緒に食事したり店にあるカラオケで楽しそうに歌ってるみたいですよ」

 

 

「そっか⋯⋯!治ってほんまに良かったわ⋯⋯!」

 

望から浄龍の近況を知った赤目は何度も頷き浄龍の生存を喜ぶ。

 

 

「よっしゃ。これで完了や。お疲れさん」

 

「結構時間かかるんですね」

 

「虹彩だけやからこれだけの時間済んでんで!指紋やらなにやらまで取ると場合によるけど夜が明けるくらいまでかかるな。ああ後この事務所をアジト代わりに使ってもええよ」

 

「此方としてはありがたいんですけど⋯⋯良いんですか?」

 

「ええよ!遠慮すんなや!寝る時はそこのソファー使ってな。」

 

赤目はパソコンを弄りながらソファーへと指差す。

 

(最近全然寝れてなかったからゆっくり寝たいな)「じゃあ、お言葉に甘えて休ませてもらいます」

 

「おう。お休みな!」

 

 

望はソファーに横になり瞼を閉じ数日ぶりにまともな休息を取ることとした。

 





次回は龍司の話でなくサイドストーリー(サブストーリー)的な話を挟んでから龍司の話に入る予定です!!
次回もお楽しみに!!
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