龍が如く外伝 『龍の跡を継ぐ者』   作:シュウ名刀醜血桜

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今回の話は少し(というかかなり)龍が如く7外伝の闘技場の内容に触れている話になってます

12/1亜門龍我の設定を後書きへ追記


断片の章(サブストーリー)
機械の亡霊


 

 

望が蒼天掘に訪れる数日前-蒼天掘蒼天掘巌橋にて

 

「ねぇ⋯やっぱり帰ろうよ」

 

「なんだよサトシお前ビビってるんか?」

 

「ビビっとるんならお前だけでも帰れよな!」

 

「ビ、ビビってなんかないよ⋯ってヤっちゃん!!前に人が!!」

 

「え?」

 

3人の少年達が蒼天掘で最近人の顔が付いたロボットが出ると噂になってる廃墟へと肝試しへと向かおうとしてるとグレーのスーツを着た厳つい男の背中にヤっちゃんと呼ばれた少年がぶつかってしまう。

 

「オイ!クソガキども!!何処に眼つけて歩いとるんやゴラ!!」

 

「す、すみません」

 

「すまんですんだら警察はいらんやろが!!」

 

必死に謝罪するヤっちゃんを前にして男の怒りは更にヒートアップし、少年の胸倉を片手で掴み上げる。

 

 

「クソガキ、お前の携帯よこせや」

 

「な、なんでですか?」

 

「お前の親に連絡してスーツを弁償してもらう為や」

 

「そ、そんな別にスーツが汚れてるとか傷ついても無いのに⋯!」

 

「うるさいわ!ボケ!!早く携帯よこさんかい!!」

 

「ううう⋯く、苦しい」

 

「ま、待って下さい!!」

 

「サ、サトシ止せ!!」

 

綺麗なスーツを指差し親に弁償させる為に携帯を力尽くで奪おうとする男に、少年は涙を流し男に携帯を渡そうとするが、もう一人の少年の止める声に聞く耳を待たず、サトシが男に声を荒げて引き止めに入る。

 

「何や?坊主まさか身代わりになるから許して下さいとかぬかさんよな」

 

「そ、その通りです!!ぼ、僕が代わりになるからゆ、許してください!!お願いします!!」

 

「面白い坊主やな!!気に入ったわ!!お前に免じてこのガキから巻き上げんのは勘弁したるわ」

 

男は笑いながら葎を掴んでいたヤっちゃんを優しく地面へ降ろす。

 

「だ、大丈夫?」

 

「大丈夫⋯それよりもお前が!」

 

「僕のことよりヤっちゃんが無事で本当に良かった」

 

「俺のオカンが働いてる場所が近くだから助けを呼んでくるわ。それまでどうにか時間稼いでくれ」

 

「うん」

 

「行くで!!」

 

「お、おう分かったわ」

 

ヤっちゃんともう一人の少年は母親へ助けを求める為、母親の働く職場へと走り出す。

 

 

「坊主⋯お前お友達に見捨てられてもうたな」

 

(良かったんだ⋯これで)

 

サトシは自分の行動を後悔することなく男に携帯を渡そうとすると――

 

 

「キ、キリュウ⋯!!」

 

突如男の後方から低い機械声が男とサトシに聴こえてくる。

 

「な、なんや!?お前は!?」

 

声がした後方を振り返った男は声をかけた人物?を見て思わず腰を抜かしてしまう。

 

「ロ、ロボット⋯?」

 

男の後方に居た人物?それは見る顔の液晶にモヒカン風の頭に色の薄いサングラスを掛けた男が映し出されている黒色の人型ロボットが立っていた。

 

 

「キリュウ⋯!」

 

「な、なんや?このロボットは!?」

 

(え?)「あのロボット⋯」

 

腰を抜かしている男に向かってロボットは身体から火花を散らしながらゆっくりと近づいていく。

 

「おじさん!危ない!!」

 

「!?」

 

サトシの声に反応して後方へ男が僅かに後ずさると先程まで男が居た場所の地面へロボットの拳がめり込んでいた。

 

「おじさん!!大丈夫!?」

 

「あ、あぁ⋯なんとかな」

 

サトシは男に駆け寄り男の無事を確認すると安堵する。

 

「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯」

 

そんな2人をロボットは静かに数秒見て去って行ってしまった。

 

「なんだったんや⋯?今のロボットは?」

 

(見間違いかもしれないけどさっきあのロボット……ボロボロだったような⋯?)

 

「オカン!!こっちや!!」

 

「サトシ!!大丈夫か?」

 

(多分僕の気の所為だよね⋯)「うん!大丈夫だよ」

 

腰を抜かしてしまった所為で立てない男の横で、サトシは先程男に向かってゆっくり歩くロボットの身体から出た火花のお陰で見えたロボットの身体が、ボロボロだったことが気になり考えているとヤっちゃんともう一人の少年が母親を連れて現れ、2人に涙ながら抱き着かれたサトシはそれ以上ロボットについて深くは考えることなく自身の家に帰宅するのであった。

 

 

 

そして数日後赤目のアジトにて

 

 

「なぁ⋯望は亡霊って実在すると思う?」

 

パソコンと向き合い何時もの様に仕事をしていた赤目が自身が頼んだ買い出しから帰ったばかりの望に声を掛ける。

 

「赤目さん。突然何の話ですか?」

 

買い物から帰ったばかりの望は赤目の質問の意味が分からず首を傾げる。

 

 

「いやな⋯ここ最近になって蒼天掘で奇妙な噂が立っててな」

 

「噂⋯ですか?」

 

「なんでも最近グレーの衣服を着ている身長が高い男が夜道を歩いてるとボロボロの人型の黒いロボットが襲ってくるちゅうなんとも不思議な噂なんや」

 

「聞く限りじゃなんとも不思議な噂ですね」

 

「その噂なんやけどな⋯」

 

「どうかしたんですか?」

 

バツの悪そう表情を浮かべ言葉を詰まらせる赤目に再び意味が分からずに望は首を傾げた。

 

「ホンマ恥ずかしいんやけどその噂が何処から立ったのか?が何度調べても噂の発生源が分からないんや」

 

「え!?」

 

たかだか1つの噂赤目ネットワークで掴めてるだろうと思っていた望だったが未だ赤目ネットワークでも掴めていないという事に驚きの声を上げてしまう。

 

「勿論ネットワークは総動員してんで。でもな何故か噂の発生源だけはどうしても掴めてないんや」

 

 

「噂はってことは他の情報は掴めてるんですよね?」

 

「勿論や」

 

赤目はテーブルの上の書類をどかして5枚の書類をテーブルに並べた。

 

「この書類は?」

 

「噂について調査して得た情報を纏めた物や。取り敢えず目を通してみ」

 

「ええ」

 

赤目の言う通りテーブルに並べられた書類を1枚ずつ手に取り目を通し始める。

 

(今までロボットに襲われたと主張する男達に見れる共通点は身長が170cm以上且つグレーの服を着ていた事くらいか⋯)「ん?これは!?」

 

集中して書類に目を通していた望だったが2枚目の書類に書いてあった情報に眼を見開き驚く。

 

「ロボットはキリュウという名を呟いていた!?赤目さんこれって本当のことなんですか!?」

 

「ホンマのことや。ロボットはどういう訳かキリュウと呟いとったそうなんや」

 

「そうですか⋯」

 

「私が思うにロボットの正体は過去にジョーリュ―と喧嘩した男が亡くなってその亡霊が壊れかけのロボットに宿って動いとると思ってるんやけど望はどう思う?」

 

「流石にそれは無いと思いますよ」

 

赤目のあまりにも突拍子もない推理に望は苦笑いする。

 

(本当に亡霊かとかよりもこれ以上被害者が出る前に止めないと!今度こそ本当に死人が出るかもしれない!!)「赤目さんこの調査僕に行かせてください!お願いします!!」

 

「そういうと思ったわ⋯ええで!この件は望に任せるわ!!」

 

 

「赤目さん⋯!ありがとうございます!!」

 

「取り敢えず最後にロボットが現れた巌橋へ夜に行ってみたらどうや?なんか情報が得られるかもしれんで」

 

「はい!そうしてみます!!」

 

望は赤目の言う通り夜に最後にロボットが現れたという巌橋へ向かうことにした。

 

 

数時間後巌橋にて。

 

(最後にロボットによる被害が出た場所は此処か⋯)「まずは周囲の情報収集だな」

 

 

巌橋に着いた望はロボットの何かしらの情報を獲る為に調査を開始する。

 

「取り敢えず見るからに怪しい穴から調べるかな」

 

望は数日前男を襲撃した際に地面へ開けられた穴を見付けると片手を穴の中へと突っ込ませる。

 

(まずはアナの中に何かあるか確認するか)「ん?」

 

穴の中に突っ込んだ片腕を動かすと手の甲に何かが当たる感触がし手首を捻り手の甲に当たったものを引き上げると焦げた跡のあるケーブルが穴の中から出てきた。

 

(焦げた跡のあるケーブル⋯?この焦げ方からして至近距離で焼かれたモノっぽいな)「至近距離でのガスバーナーで焼かれたのかな?嫌⋯でもこの焼かれ方はちょっと違う気がするな」

 

手に持ったケーブルの焦げ跡から何で焼かれたか推測していると-

 

 

「キリュウ⋯!」

 

(殺気!?)「がっ!」

 

望の後方から殺気がするのと同時に気配を感じ望は振り向くと伸びて来た配線がむき出しになっている機械の腕に首を絞められ持ち上げられてしまった。

 

(コイツが噂のロボットか⋯⋯!)「は、離せ⋯⋯!!」

 

「キリュウ⋯!!」

 

自身の首を絞めているロボットこそが噂のロボットだと確信した望は首を絞められた状態から逃れるべく腕や脚をバタつかせ抵抗するが何の効果も無く逆に自身の首を絞める力が強まっていく。

 

(何とか逃れなきゃこのままだと死ぬ⋯⋯!)「離せ⋯!離せ!!」

 

望は首を絞められてる状況から両脚で交互にハイキックをロボットの首筋目掛けて何度も繰り出す。

 

「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯」

 

(緩んだ⋯!)「今だっ!!」

 

何度も首筋に不利な体勢からとはいえ蹴りを何発もくらって幾らロボットとはいえ無事な訳もなく、ロボットの体制が僅かに崩れ力が緩んだ瞬間を望は逃さずなんとか拘束から脱出することに成功した。

 

「キリュウ⋯!!キリュウウウウウウウウ!!」

 

「なんなんだ!?こいつは!?」

 

首を絞められた状況から解放され息を吸い酸素を身体に取り込む望を見てロボットは雄たけびを上げボクシングのファイティングポーズによく似た構えを取る。

 

(さっきまでとは雰囲気が違う⋯⋯!)

 

「フン!!」

 

「え!?」

 

ボクシングのような構えを取ったロボットを見て望は拳での攻撃が来ると思い警戒しつつ後方へと脚を引き間合いを取ろうとすると、望の目の前で風が吹くのと同時に前髪がまるで刃物に切られたかのように切れて落ちる。

 

(蹴り脚が見えなかった!?)

 

「イクゾ!!キリュウ!!」

 

「来るっ!!」

 

ロボットの振り上げた脚から蹴り脚が髪を切ったということは理解したのだが、肝心の蹴り脚が見えず動揺した望に、ロボットは踏み込み拳の届く距離まで一気に間合いを詰め踏み込んだ勢いを利用したワン・ツーを繰り出すが、望は後方にステップで下がりワン・ツーを回避すると、ロボットの顎を狙いアッパーを放つが、後方へとなんなく避けられてしまう。

 

(このロボットの強さは僕よりもはるかに格上だ。僕じゃ真っ向勝負してたら逆立ちしたって勝てないな⋯⋯)

 

 

ロボットの僅かな動きと少しの攻防で、今の自身との絶対的な強さの差を感じてしまった望はどうやってロボットに勝つか頭の中で作戦を立て始める。

 

「キリュウ!!」

 

無言の望を隙と見てロボットはジャブ、右ストレート、左アッパーのコンビネーションを繰り出したが、望はジャブを首を捻り躱し、続く右ストレートを右肘で受け止め、最後の左アッパーに右ストレートをカウンターで顔面へ繰り出したが今度はロボットが首を捻り望の右ストレートを躱す。

 

(今のは完全に入ったと思ったんだけどな⋯⋯)「じゃあ今度はっ⋯!」

 

望は確実に当たるタイミングで振った右ストレートを首を捻り躱されたことを悔しがるのではなく単純に打撃を仕掛けても避けられ体力が削られていくのを理解し右手は上、左手は下に構え、相手の出方を見る。

 

「ウォォォォ!!」

 

(ッ!!来るっ!!)

 

望の取った構えの隙間の胴体目掛け前蹴りを放つが、構えの隙間を狙ってくるだろうことをある程度予測していた望は僅かに後方へと上体を引いて前蹴りを躱すと、上体を戻した勢いでロボットの胴へと目掛けて飛び込みロボットの腰を両手で掴んで地面へと押し倒す。

 

「グッ⋯」

 

(よし!!狙い通りにいった!!次は⋯⋯!!)

 

タックルで地面へ倒れたロボットが声を僅かに漏らしたのが聴こえた望は右脚を取り膝十字固めを仕掛ける。

 

「キ、キリュウ⋯!」

 

(このまま力を込めて右脚を完全に破壊して機動力を奪う⋯⋯!)「オラァ!!」

 

「⋯!!」

 

望がロボットの右脚を抱えたまま両腕に力を込め体ごと後方へ反り返るとロボットの右脚から何かが千切れるような音が鳴る。

 

(よし⋯!!右脚の関節部は破壊できた筈だ!!次は逆の⋯⋯っ!?)

 

「ハナセ!!」

 

望は左脚の関節部も破壊するべく左脚を取ろうと両腕を伸ばしたがロボットの左前蹴りが望の右の頬を掠め血が出る。

 

「っ⋯⋯!!危な!!」

 

望は関節技で残る左脚の関節を破壊することは無理だと判断すると、飛び退いてロボットから距離を取る。

 

「シネ⋯!!キリュウ!!!」

 

「⋯⋯!?」

 

距離を取った望に向けてロボットは近くに置いてあった自転車を両腕で持ち上げると自身の身体ごと一回転し、望へと自転車を放り投げる。

 

(今のは危なかった⋯⋯!!)

 

咄嗟に体勢を低くし何とか投擲された自転車を避けた望が顔上げると-

 

「ウォォォォ!!」

 

「嘘っ⋯⋯!?」

 

離れていた筈のロボットが何時の間にか接近しており、望目掛けて両腕で持ち上げているバイクを振り下ろそうとしていた。

 

「クタバレ!!キリュウ!!」

 

(自転車は兎も角としてバイクは受け止められない⋯⋯!!)「それなら⋯⋯!!」

 

自身の頭部に目掛け振り下ろされるバイクを前に望は、右腕を近くの鉄柱に向けると蜘蛛を射出、そのまま電柱に向けて移動して振り下ろし攻撃を回避する。

 

「キリュウ⋯!キリュウウウウウウ!!」

 

(あの感じだと多分だけど完全には関節部は破壊できなかったか⋯攻撃に出る前にまずは手に持ったバイクをどうにかしないと⋯ん?)

 

空に向かって雄たけびを上げるロボットを見て望は先程の膝十字固めが完全には極まってはおらず右関節部を破壊できなかったことを推測し、攻撃に出る為にロボットの持つバイクを手放させる方法を考えていた望の視界に先程ロボットが投げ付けた自転車が映る。

 

(あの自転車を上手くバイクにぶつけられれば⋯⋯!)「やってみるか!!」

 

望は自転車に蜘蛛を射出しタイミングを窺う。

 

「シネェェ!!キリュウ!!」

 

ロボットはバイクを持ったまま望に近づき、再び両腕でバイクを振り上げて望を押し潰そうとする。

 

「今だ!!」

 

「!?」

 

ロボットがバイクを振り上げたタイミングで望は蜘蛛で自転車を引っ張り振り上げられたバイクへぶつけ、ロボットの腕からバイクを弾き落とした。

 

(よしバイクは弾き落とせた!!)「行くぞ!!」

 

バイクを弾き落とした望はそのまま攻撃しようと動くが-

 

「キリュウウウ!!」

 

「っっ!!」

 

動こうとした望に今度はロボットが飛び込み望の両腰を掴み自分ごと倒れ込むと、そのままマウントポジションの体勢へと移行する。

 

「堂島の龍はコノ俺ダ⋯⋯!!」

 

(堂島の龍!?やっぱりこのロボットは父さんと⋯⋯!!)

 

馬乗りになったまま叫ぶロボットの言葉で望はロボットが父親の桐生と何らかの関わりが合ったのだと確信する。

 

「クラエ⋯!!キリュウ!!」

 

(この体制は不味い⋯⋯!!)

 

馬乗りの状態から望の顔面目掛けて繰り出されたロボットの右の拳を望は躱し、ロボットの背中と肩を掴み体制を入れ替ると、今度は望がロボットの上に跨る形となる。

 

(ここで終わらせる!!)「うぉら!!」

 

望はロボットの顔面に肘打ちや拳を間髪入れず次々と繰り出していく。

 

「キ⋯キ、キリュウゥゥ⋯⋯!」

 

「これで終わりだァァ!!」

 

望の拳を何発も喰らった影響かノイズが走り始めたロボットの顔面に右の拳が突き刺さると顔面に映し出されていた男の顔が消えロボットは完全に機能を停止し動かなくなった。

 

 

「動かなくなった⋯⋯倒せたのか⋯?それとも」

 

望は動かなくなったロボットを見て再び動き出す可能性を考え構えを解かず警戒してると-

 

「博士!!Ⅿ-SBWを発見しました!!」

 

「ふむ、此処に居たのか⋯!私の最高傑作は!!」

 

白衣を着てサングラスを付けた白髪の老人が助手と思われる男と共にロボットへと駆け寄る。

 

「随分損傷してますが⋯どうです?博士⋯?直せそうですか?」

 

「ふ~む。ラボへ持ち帰ってみんとなんとも言えんな」

 

「あの~」

 

傍に居る筈の望其方退けで喋る老人と助手の男に望は恐る恐る話しかける。

 

 

「うん?何だね?君は?私の最高傑作に興味があるのかな?」

 

ロボットに夢中になっていた老人だったが望に話しかけられると、傍に居た望の存在に気が付く。

 

 

「君はもしかしてこの破損したロボットについて何か知ってるのかい?」

 

「いや⋯あの⋯その最高傑作?のロボットについてなんですけど⋯」

 

「ん?」

 

望はロボットが人を襲っていたことや、そしてこれ以上被害が出ないようにロボットを止む無く破壊したことを老人と助手の男に説明した。

 

「君が此処までやったのか!?」

 

「本当にすみません!!どうにかして弁償するので許してもらえますか!!」

 

望が素手でロボットを破壊したという事実を信じきれず助手の男が驚愕の声を上げるが望は男達が怒っていると勘違いをし必死に頭を下げる。

 

「い、いや別に弁償してほしいから怒ってるとかではなくね⋯⋯「君が本当にやったのか?」博士!?」

 

謝る望に声を掛ける男の声を遮り老人が望に本当に望がロボットを破壊したのか尋ねる。

 

「は、はい!!本当にすみませんでした!!」

 

「私も博士も別に怒ってないさ⋯寧ろアレを素手で破壊したという事に驚いてるんだ」

 

「え?」

 

助手の言葉に思わず望は顔を上げる。

 

 

「ふむ、まずはⅯ-SBWの事を説明しないといけないな」

 

「その前に博士⋯自己紹介をすべきかと」

 

「そう言われればそうだな⋯!!私の名は南田という。ゲーム業界では少しは名の知れたゲームクリエーターだよ」

 

老人は傍に倒れるロボットの紹介を意気揚々としようとしたが助手の男に耳打ちされ老人ことドクター南田は望へと自己紹介する。

 

「ドクター南田って確かアーケードゲームのYF6の制作者のドクター南田さんですか?」

 

「クックっクックまさか君の様な若者がYF6を知ってるとはな。驚きだよ」

 

自身の代表作であるアーケードゲームのYF6の名を望から聴くと、ドクター南田は驚きつつも機嫌を良くし高笑いする。

 

「一応確認なんだけど君は⋯⋯十代だよね⋯⋯?20年近く前のゲームの⋯⋯しかももう稼働が終了してるYF6を何処でプレイしたんだい?」

 

「年齢は言う通り十代です⋯⋯YF6をプレイした経緯としては、何年か前に用事で訪れた名古屋のレトロゲームセンターでたまたま稼働してたYF6を見付けて面白そうだなと思ってプレイしたことがあるって感じですね」

 

「成程⋯⋯」

 

「⋯⋯⋯?」

 

助手の男は望の外見から推測できる年齢的にYF6が全国のゲームセンターで稼働していた時期にはまだ一桁の子供が対象年齢15歳以上のYF6をプレイしたことがあるのかと聞くと、すんとした顔をして返答する望の言葉に納得はしたのだが、助手の男はレトロという望の言葉にショックを受けて首を落とし項垂れてしまった。

 

「というか何でゲームクリエーターの南田さんが何でこんな人型ロボットを作ってるんですか?」

 

「ああ⋯⋯その事か⋯⋯このロボットはいや⋯⋯ロボット『達』は元々ある男の『目的』の為に私が作らされたモノなんだ」

 

「目的⋯⋯ですか⋯⋯?」

 

「その目的の『内容』を話す前に⋯⋯君は数年前に『西谷誉』という近江連合のヤクザが支配人をしていたキャッスルという施設を知ってるかね?」

 

(キャッスル!?)「え、ええ。まぁ⋯⋯」

 

南田からキャッスルの名が出て望は内心動揺するも、平常心を出来るだけ保ちつつ頷いた。

 

「それなら話が早いな。そのキャッスルの催し物でもあった闘技場で使われたロボットの一体がこのⅯ-SBWという訳だ!!」

 

「そうだったんですか⋯⋯」

 

「しかも凄いのはこのⅯ-SBWを始めとした6体のロボットには学習機能があるのだよ!!」

 

「は、はぁ⋯⋯」

 

「これを見たまえ!!」

 

凄い剣幕で自身の作ったロボットの性能を紹介する南田に望は付いていく事が出来ずにいると南田は何処からかヘッドギアの様な物を取り出した。

 

「これは⋯⋯?」

 

「これは私が12年程前に開発したIF8というゲームに使っていた小型通信機だ!!君に分かりやすく置き換えるとこれがVRでゲーム機本体がIF8になるということだな。ただこれの凄い所はVRとは違いこの小型無線機は世界中何処に居ても本体とリアルタイムで送受信を行うことが出来るので世界中何処に居てもIF8をプレイ出来るという事だ。まぁIF8は現在筐体を回収してるのでプレイはもう出来なくなっているがね⋯⋯」

 

「へぇ⋯⋯!!」

 

南田から小型無線機を受けった望は興味津々で小型無線機を触り出す。

 

「でもこの小型無線機⋯⋯?があのロボットとどう関連するんですか?」

 

「よく聞いてくれたな!!」

 

望の疑問に南田はその言葉を待っていたと言わんばかりに声を荒げる。

 

「このヘッドギアを装着すると装着者の脳波から装着者自身や装着者の記憶に強く残る人物のデータを読み取りデータがIF8本体を改造して作った受信機へと送信され、接続されてるそれぞれのロボット達にいくという仕組みになっている。」

 

「話を聴く限りじゃ2012年の時点での⋯⋯というより現在のVRなんか目じゃないとんでもない発明だと思うんですけど何で本体を改造しちゃったんですか?」

 

「それは本体の維持費が高額だったことやプレイ人口の少なさという問題がな⋯⋯それで本体を腐らせるくらいならと思い、本体と小型無線機を改造し新しいゲームに改造したのだ」

 

「確かにこんなに精巧に作ったものを捨てるのは勿体ないと思いますね⋯⋯」

 

当時の苦悩を思い出しながら語る南田を見て望はゲームクリエーターの大変さを僅かに理解出来たような気がした。

 

「でも話を聴く度に闘技場向けのロボットじゃない気がするんですけど⋯⋯」

 

「そう⋯⋯元々は様々なプロ達からデータを取り何処でもプレイ出来る体感ゲームに使われるロボット達だった⋯⋯それを『亜門涯』という男に貸した事が事件の始まりだった」

 

(『亜門』⋯⋯?)「その男がロボットに様々な人物のデータを読み込ませたんですか?」

 

「いや⋯彼ではない⋯⋯彼が挑もうとしていた男ー闘技場の王者でもあり西谷誉の後にキャッスルの支配者になった浄龍という男のデータを取ると言っていた」

 

(父さんのデータを!?)「成程。だから父さんの名前を頻りに叫んで人を襲っていたのか⋯⋯」

 

「ん?何か言ったかね?」

 

「い、いえ。何でもないですよ!!」

 

「???」

 

亜門涯という男の話を聴いた望は何故ロボットが父の桐生の名を叫び人を襲っていたのか?その理由が分かり納得する。

 

 

「それで他のロボット達はどうしたんです?」

 

「他のロボット達なら闘技場で浄龍という男と戦い敗北した後、回収しそこに止まってるトラックの中で機能を停止した状態でいるよ」

 

「そもそもキャッスルは数年前に無くなった筈なのに何で今頃になって回収作業をやってるんです?」

 

望の言う通りキャッスルは数年前に存在した指折りのVIPのみが足を踏み入れることの出来た巨大コンテナ船の中にあったアミューズメントパークだったのだが、東城近江同時解散の前に一番の邪魔になる存在だった支配人の三代目西谷誉をどうにか始末する為に望の父親の浄龍が花輪の助言により立てた策によって、渡瀬組の獅子堂や鶴野と共にキャッスルを西谷から乗っ取ったのだが、本来の持ち主の西谷は表向きには死亡、キャッスルの支配人に新たになった浄龍も大道寺に帰ってしまった所為で、経営困難となり現在は船ごと警察にまるごと押収されてしまい無くなっていた。

 

「そう。そのキャッスルが無くなってしまった所為でロボットはキャッスルの常連の金持ち達に全て買われてしまい取り戻す為に莫大なお金が必要となってしまい全部を回収するのに数年掛かり今に至るという訳だ」

 

「ははは⋯⋯」(ロボット達の回収が遅れたのって父さん達の所為だったんだな⋯⋯南田さん本当にごめんなさい)

 

 

望の父の浄龍がキャッスルを乗っ取った際に西谷が隠していた船を大道寺の力を借りてテレビで大々的に報道されてしまった所為で、キャッスルが見つかった結果、警察に取り押さえられたのでロボットの回収が遅れた原因の一つが大道寺と父の浄龍の所為でもあったという事を知った望は苦笑いしながら怒りをあらわにする南田へと心の中で謝罪するのであった。

 

「ところで何故この⋯⋯Ⅿ-SBWは蒼天掘で暴れていたんですか?」

 

「うむ。それはだなこのⅯ-SBWを買った金持ちから買い戻しトラックに乗せ私のラボへと運んでいたんだがトラブルが起きてな⋯⋯」

 

「トラブルですか?」

 

「原因は分からんがロボット達を乗せたトラックが蒼天掘の近くの高速道路を通った時に急にⅯ-SBWが動き出してな」

 

「それで逃亡して蒼天掘に居たという訳ですか⋯⋯よくニュース等のメディアや警察に報道されなかったですね」

 

「それはな⋯⋯」

 

「それは⋯⋯?」

 

「ただ運が良かっただけじゃ!!」

 

「えぇ⋯⋯」

 

望はどんな回答が来るかと身構えていたが、ただの運が良かったと笑いながら言う南田に信じられないようなものを見たかのような顔をしてしまう。

 

 

「だがそう言われると何故Ⅿ-SBWが()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()気にはなるな」

 

(それと何故()()()()()()()()()()S()B()W()()()()()()()()()()()()()()それがかなり気になるな)

 

 

「まぁ深いことばかりを考えてても答えは出ないか!!取り敢えずⅯ-SBWは目的通り無事に回収できたので私達はお暇させて頂くよ。ほれ!いつまで項垂れてるんだ」

 

「博士⋯⋯!!」

 

南田はこれ以上は考えてもしょうがないと言い、項垂れている助手の男の男へ声を掛け自身の研究ラボへ帰ろうとする。

 

「じゃあ僕もそろそろ赤目さんのところへ帰るかな。あっ!!そうだこれ渡しておきます!!もしも何かあったら掛けて下さい!!」

 

望も赤目のところへ帰ろうとしたが、もしもの時の為に帰ろうとする南田を引き止めて自身の連絡先が書いてある紙を手渡す。

 

 

「そういえばまだ君の名前は聞いてはなかったね?良かったら教えてくれないか?」

 

「僕は桐生望です!!」

 

「桐生⋯⋯!?ふっ⋯!そうか⋯!!」

 

「南田さん!!助手の人もさようなら~!!」

 

手を振り別れの言葉を言いながら去っていく望に南田も笑いながら手を上げ見送った。

 

「それにしてもボロボロとはいえⅯ-SBWを武器も使わずに素手で倒すなんてあの少年⋯⋯一体何者なんでしょうね?」

 

「彼か?彼は⋯⋯そうだな⋯⋯『龍の血を持つ者』というべき存在だな」

 

「博士⋯?彼は人間じゃないんですか?」

 

「そうでもありそうでもないとも言えるな」

 

「どっちなんですか!!博士~!!」

 

(まさかこのような場所で君の息子に会えるとはね⋯本当に運命とは不思議なものだ⋯そうは思わんかね?桐生君?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

望達が去ってから数分後-

 

 

「南田の奴が作ったモノだというから期待していたが⋯とんだガラクタだったか⋯!」

 

サングラスを着用し黒いロングコートを着た男が望がⅯ-SBWを倒した場所へ現れる。

 

(やはり南田が作ったガラクタ如きでは奴の息子の力は測れんか⋯!)「やはり奴の子供なだけあるか!!」

 

男は望の強さを確かめられなかったことを惜しむわけでなく望が自身の『宿敵』と同じ強さへ至る可能性を感じ喜びに満ちた表情を浮かべる。

 

(最も奴と戦うのは我等ではなく⋯⋯)

 

男は自身と三人の弟子達を思い浮かべていると-

 

「あっ!!いたいた。おーい!!父さん!!」

 

男の元へと黒いコートを着た少年が駆け寄ってくる。

 

龍我(リュウガ)⋯!!我が一族には欠かせないサングラスは必ず付けろと口酸っぱくずっと言っているだろう!!」

 

「だって⋯!!サングラスはなんかダサく感じるんだよ⋯」

 

男は自身の一族の象徴とも言えるサングラスを付けてない龍我を叱るが龍我は不満げな表情を浮かべながら男へと反論した。

 

「お前には一族の誇りが無いのか!?」

 

「サングラス付けない位で一族の誇りが無いとはならないじゃん!!創お祖父ちゃんや乃亜叔母さんはサングラスは龍我が付けたくなかったら別に付けなくても良いって言ってたし⋯!別にサングラスなんか付けなくったって良いじゃん!!」

 

(父上⋯乃亜⋯)

 

駄々をこねる龍雅を余所に、男は龍我の事を自身の一族の中でも過保護と言っても良いほど可愛がっている自身の父でもあり先代の一族の長でもある亜門創と、妹の亜門乃亜へと本人の為ならないので龍我を可愛がるのも程々にするようにと、本人に会った時に必ず言うことを心の中で決意する。

 

「それよりも父さん。あのロボットは?訓練の時間になっても見付からないから探しに来たんだけど⋯なんか知らない?」

 

「あぁ⋯あれなら南田が回収したからもう使えんぞ」

 

「ええ~!!」

 

(そう⋯奴の息子や南田は知らないがあのロボットの傷は()()()()()()()()()()()()()()()()()()。龍我との度重なる組み手によって傷だらけになり実力が出せなくなったので放置していたが⋯)「まさか奴の息子に倒されるとはな⋯」

 

「ん⋯?父さんなんか言った⋯⋯?」

 

(兎に角当初の目的である龍我の実力を確かめることは出来た⋯!南田⋯⋯そのことだけは礼を言うぞ!)「龍我よ!そろそろ帰るぞ!!」

 

「うん!帰ろう!父さん!!」

 

(奴の息子と我が息子⋯⋯龍我。どちらが強いのか⋯⋯それはいずれ分かる日が必ず来る⋯!!その日を楽しみにしているんだな!!)

 

男-亜門丈はいずれ自身の息子-亜門龍我が自身にとっての最大の宿敵(桐生一馬)の息子である望と相対し、戦う日が近い内必ず来ることを予見し不敵な笑みを浮かべるのであった。





次回の話は本編へと戻り龍司との話になります!!(度々本編の合間にサブストーリーの話もちょくちょくやっていく予定ですのでそちらも楽しんでもらえると嬉しいです)


キャラ設定・亜門龍我 年齢19歳(望と同い年) 外見や容姿のイメージはドラマSPECシリーズに登場する一十一(ニノマエジュウイチ)

望の父桐生一馬の宿敵亜門丈の一人息子(それ以外の情報は一切不明)亜門一族の中でも突出した才能を持っており父の丈を始めとした一族全員が次の長は間違いなく龍我になるだろうと確信してるのだが、祖父の創や叔母の乃亜にかなり甘やかされ育てられたからなのか、亜門一族の中でもかなり性格が軽く、父の丈を色々と困らせている。肝心の実力というと実父の丈は疎か亜門一族の中でも他を寄せ付けない程の異次元じみた強さだという噂だが⋯⋯?
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