アドリビトゥム英雄譚〜嫌々ながらお人好し勇者のパーティのヘルプしてたら世界を救っていた件〜   作:ポメラニアンドロイド初号機くん

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個人的な都合により、「リオン」というキャラクターの名前を「リタ」へと変更しました。


2024.6/11追記


常夜の国編
第十九話 ミユの帰郷


あれから次の目的地は常夜の国に決定して、勇者協会の施設に馬車を預け、代わりに駱駝(らくだ)を借りる事となった。

常夜の国に向かう為には広大な砂漠地帯を渡る必要がある為、今までよりもさらに長旅になる。

常夜の国は周囲を広大な砂漠に囲まれていて、一年中極夜に閉ざされた闇夜の国だ。そして砂漠の西側には魔王領が存在する。

確か師匠はそう言ってた。

 

「常夜の国…………か」

 

ミユがぽつりと呟く。ああ、そういえばミユの出身国だったな………おそらくミユとしてもあまり良い思い出はないだろう。

 

「やっぱり常夜の国はやめとくか?」

 

「別に大丈夫だよ。正直二度と帰る事はないと思ってたけど、まぁ仕方ないよね………」

 

ミユは苦笑混じりにそう言った。

 

 

▷▷▷

 

???side

 

 

「クロツキ〜。言われた通り、魔王軍の偵察してきたよ~……?」

 

「それで、どうだった?リタ」

 

クロツキと呼ばれた九尾の妖狐がリタという名の少女にそう尋ねた。

 

「今の魔王は間違いなく邪神の傀儡だよあれは…………しかも、人間達は『魔王こそが諸悪の根源だ〜』みたいに考えてて、邪神にとってはこれ以上ないくらい都合がいい状況だね。もしかしたら、邪神はすでに魔王を利用して封印を解いてしまってるかも」

 

「そうか………ならば、もはや猶予はない。一刻も早く()()()()()を見つけなければ………」

 

「そういえば〜……勇者パーティがすでに何箇所かで瘴気を浄化したって話だけどさ〜、アレ、ひょっとしなくても邪神の呪い関連かもね〜……?カムイは工房に閉じこもりがちで頼りにならないし〜……勇者パーティ、少し調べてみる?」

 

「そうだな、その勇者パーティに、ニュクスが求め続けた()()()()()がいる可能性は高い。邪神を倒すだけならば私一人でも充分だが、奴を滅する事ができるのは完全なる呪詛喰らいのみ。なんとしても勇者パーティを探さねばなるまい………」

 

彼女達こそ、闇夜の神ニュクスの眷属『常夜の3使徒』

神話時代から生き続け、アドリビトゥムの統治権争いの際には数多の神を殺し、現在でもニュクスの代行者として常夜の国を守り続けている存在。

 

???side 終

 

▷▷▷

 

 

「………………酔った……………吐きそう…………」←アイン

 

「…………いっそ砂の上に穴でも掘るか?一回吐けばマシになるだろたぶん…………」←俺

 

「酔い止めの魔法とか発明したら今からでも特許取れるでしょうか…………?」←リゼル

 

そして、流石というべきか今無事なのは常夜の国出身であるミユだけだ。

 

「3人とも、駱駝の上で吐くのだけはやめてね。いくらなんでも駱駝がかわいそうだから」

 

駱駝酔いである。駱駝は側対歩という、同じ側の前足と後ろ足(つまり、右前足を出す時に同時に右後ろ足、左前足を出す時に左後ろ足)を同時に出す歩き方をする。その為かなり揺れが激しく、慣れてない人間だとこのように酔ってしまう。

駱駝酔いに苦しみながらも砂漠を進み続けると、野営地が見えてきた。

 

「あれは……………篝火旅団の旗だね。迂回しよう…………」

 

ミユは駱駝を一度止まらせて、方向転換しながらそう言った。

 

「篝火旅団?そいつらヤバいのか?」

 

「篝火旅団は常夜の国の傭兵集団だよ。別にヤバいという訳ではないけど…………歓迎してくれるとは限らないし、〜〜〜〜……………仮に争いになったとして、駱駝酔いしてる今の状態でまともに戦えるとは思わない………」

 

確かに間違った事は言ってないけど今のミユ、なんかめちゃくちゃ不自然な態度だな………なんか目が泳ぎまくってるし狐耳と尻尾の動きも落ち着きがない。

 

「ミユさん、何か隠してませんか………?」

 

リゼルがそう問い詰めた。そうこうしているうちに篝火旅団の奴らに見つかった。

 

「ミユ殿、ミユ殿ではないか…………!!!某の事は覚えておられるか?ゴドウィン、鉄鎖のゴドウィンでござる」

 

ゴドウィン?ああ、勇者認定試験の時のハ……、………スキンヘッドか。

 

「知ってる。酔って転んだ拍子に頭から水瓶にダイブして、そのまま頭が抜けなくなって仕方なく水瓶叩き割ったら弁償する羽目になったけどお金なくてザイードさんから借金した金欠のゴドウィンだよね…………?」

 

ミユはゴドウィンに冷たい視線を送りながら、淡々とゴドウィンの黒歴史を暴露した。

 

「ウグッ…………!?まさかそんな事まで覚えているとは………急にいなくなったゆえにザイード殿も心配しておられたぞ?」

 

「心配?呪詛喰らいのボクを…………?こんな疫病神を……………?そんなの嘘だ……………あり得ない、絶対に嘘……………!!!嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ!!!!」

 

ミユが明らかに錯乱している。これはまずい状態かもしれない。

 

「ゴドウィン、悪いけどこれ以上ミユを刺激しないでくれ…………」

 

「う、うむ。よくわからんが承知した………」

 

ゴドウィンがその場を去っていく。俺はミユを抱きしめて落ち着くまで待った。

 

「落ち着いたか?」

 

「うん……………ありがとうクロード」

 

「ボクは、篝火旅団から逃げてきたんだ…………呪詛喰らいだって、バレたから…………ボクはただ、ザイードさんを助けたかっただけなのに…………」

 

ミユの話を要約すると、神話時代の遺跡を探索している時にザイードさんが、遺跡の罠により現代の魔法体系では解呪不可能な呪いを受けてしまったらしい。

ザイードさんを助ける為にミユはやむなく呪詛喰らいの力を使う事となったが、昔から仲の悪かった篝火旅団のメンバーのカルロスに、呪いを取り込む瞬間を目撃されて呪詛喰らいである事がバレてしまい『疫病神』と罵られた。

そして居場所を失う恐怖に耐えきれずに、そのまま逃げ出してきたという話だった。

なんというか、怒りが湧いてきた。

ミユはザイードさんを助けたかっただけなのに、何故疫病神扱いされなければならないのか……………

 

「でも、少なくともゴドウィンさんは嘘なんてついてないと思いますよ?」

 

リゼルが優しくそう言った。

 

「一度、ザイードさんに会ってみれば全てわかります。このまま怯え続けるよりも、一度だけ勇気を出してみませんか?」

 

「…………………うん」

 

よし、そうと決まればミユの育ての親、ザイードさんの真意を確かめに行くか……………

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