アドリビトゥム英雄譚〜嫌々ながらお人好し勇者のパーティのヘルプしてたら世界を救っていた件〜   作:ポメラニアンドロイド初号機くん

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第二十九話 機動海中都市アトランティス

時間の感覚すらなくなる程の長い間、リタの造り出した暴風のカプセルにより海中を進んでいると、やがて水中に巨大な建造物を見つける。

その建造物は光のドームで守られており、俺達が旅の中で見てきたどの国の文化にも属さない極めて異質な外観をしていた。

どこまでも無機質で、巨大で、文明的。

水底の国は明らかに、既存のアドリビトゥムの文明を数百年………下手したら数千年レベルで先取りしている。

 

「驚いた?これが水底の国………魔科学により発展した、神話時代から現在まで存続している超古代文明だよ〜……」

 

リタは平然とそう言ってのけたが、水中にこれだけの高度な文明を誇る国があるなんて…………全く、俺達の旅は本当に退屈とは無縁だなァ………

リタは服のポケットから、手のひらサイズのなんだかよくわからない道具を取り出した。なんとなく、水底の国の文明に由来する物であると予想できるがアレはいったい何だ?

 

「あ〜、あ〜………こちらは常夜の国の使者、リタ·アズリア。水底の国及び王都アトランティスへの入国と、アトランティス王への謁見を求めます」

 

リタが手のひらサイズの道具に向けて喋っている。おそらく通信用の道具か何かだろうか?

 

「こちら国防軍総司令、キリシマ·ナギ。端末固有コードと声紋認証、照合完了。入国を許可する」

 

あの道具はやはり通信用だったらしく、向こうから反応が返ってくる。

海底の岩壁に造られた門が開き、水底の国への道が開いた。

なんかここまでの出来事が既に情報量多すぎて、今までの俺達の旅のエピソード全ての内容を軽く超えてきた。

水底の国についてはっきりと言えるただ一つの事は、俺達の理解が到底及ばないレベルの文明を持つ国だという事実だけだ。

 

▷▷▷

 

 

入国後、複雑な構造の水路を抜けるとどういう訳か普通に空気があって、ここが海底に造られた都市である事を忘れてしまいそうになる。

いったいどういう仕組みなのかもわからないが、都市の中にはほぼ地上と変わらない環境があった。

 

「クロツキ陛下とリタ·アズリア以外の客人は神話時代以来だ………ようこそ水底の国ヘ。私は国防軍総司令、キリシマ·ナギ」

 

長身で流れるような白銀の髪の女性、キリシマ·ナギはそう言って俺達を歓迎してくれた。

 

「俺はクロード。一応、勇者だ」

 

「僕はアイン」

 

「リゼルと申します」

 

「ボクはミユ」

 

ドーモ、キリシマ·ナギ=サン。俺達はとりあえず自己紹介する。

 

「さて、せっかく来てもらったところ悪いが、アトランティス王への謁見の予定時刻にはまだ早い。食事でもしながら、君達の話を聞かせてくれないか?」

 

ナギはそう言って、俺達を食事に招待する。

そして……………、

 

 

「水底の国にも地上と同じように、肉とか野菜とかがちゃんとあるんだな…………」

 

ほぼ地上で食べるのと変わらない、良質な食材を使用した料理を存分に楽しんだ。

 

「合成でない獣肉も有機栽培の野菜も水底の国では高級食材だが、喜んでもらえたようで何よりだ」

 

俺達は、ナギがサラッととんでもない事を言ったのを聞き逃さなかった。

 

「待て………今、高級食材と言ったか?それに、合成でない獣肉って………肉に合成とかあるのか……?」

 

「ああ、合成でない獣肉は私でさえそう頻繁に食べられる物ではない。水底の国では、地上のように畜産を行う事が難しい。だから肉といえば基本的に合成肉だ」

 

ナギは当然のように、俺達の理解を遥かに超えた話をしている。

………やはり水底の国は俺達の常識が通用しない場所だった。

 

「安心してくれ、ここの食事代は全て私の奢りだ」

 

ナギはそう言ってくれたが、なんか急にナギに対して申し訳なくなってきた…………

 

▷▷▷

 

食事を終えた後に、都市部を通り抜けてアトランティス王との謁見に向かう。

水底の国の都市には、角柱のような形の塔がいくつも立ち並んでおり、空間を合理的に活用してはいるが、同時にとても無機質で乾いた印象を受けた。(あえて現代地球風に言うならば、摩天楼のビル群)

俺達はナギの案内により王都アトランティスの中枢、アルカイオス行政区へと足を踏み入れた。

 

 

 

「アトランティス王、常夜の国からの使者をお連れしました」

 

「うむ、大義である………」

 

アトランティス王は俺達を一瞥すると、さっそく話を切り出す。

 

「要件は理解している。だが、その前に少しクロツキと話をさせてくれ」

 

アトランティス王はリタが持っていた通信用の端末と似たような物を取り出して、クロツキ女王と話し始めた。

 

 

アトランティス王side

 

 

「久しぶりだな…………クロツキ。そなたに贈ったオウムガイはどうしている?」

 

「相変わらず水槽の中を不器用な泳ぎ方で漂っているぞ。ところで、わざわざ連絡してくるからにはそんな他愛もない話がしたい訳でもあるまい?」

 

「ああ。確認だが、邪神が復活したというのは、本当か?」

 

もしこの話が本当ならば、もはや後戻りはできない。

神話時代より続く、常夜の国との盟約を果たす時が来たという事だ。

 

「事実だ………邪神は完全に復活した。水底の国が現在でも他国との関係を絶っている事を承知の上で頼む、力を貸してくれ」

 

かつて水底の国は海神ポセイドンの庇護のもとに発展を遂げたが、他の神が治める国々から理不尽な侵略戦争を仕掛けられた。

現在でも常夜の国以外の国家は信用していないし、他国に協力してやる義理もない。だが…………、

 

「そなたは何を言っている………?当然、()()()()()()()()()()()()()()!!!」

 

 

 

アトランティス王side 終

 

▷▷▷

 

「アトランティス王の名においてここに宣言する。今こそ、神話時代より続く常夜の国との盟約を果たす時だ。水底の国の全市民に告ぐ………これより王都アトランティスは、()()()()!!!」

 

アトランティス王は手にしている通信端末を再び操作して、国中にそう宣言した。

 

 

 

 

 

 

 

 

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