頭文字D 峠の弾丸   作:ペンギン太郎

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 更新しました。
 つい先日、私の地元にて全日本ラリーが行なわれ観戦して来ましたがラリーカーのベース車両をスイスポ(ZC33S)とGRヤリスが占めていました。
 観戦したのは最終日でその日はSS区間が短縮され、スタートするところと最後のゴールする瞬間しか見れませんでしたが真近でラリードライバーを見れましたのでいい思い出になりましたね。
 


ACT.8 ダウンヒルスペシャリスト

 秋名山 頂上 スタート地点

 

 

 『啓介が負けた。先にゴールインしたのはスピードスターズのスイスポだ!!しかも啓介との差が5秒もあったぞ!!』

 

 

「「「やったぁぁぁ!!」」」

 

 

 下で待機していたレッドサンズのメンバーから携帯越しに来た連絡は啓介の敗北とタケルとのゴール差が5秒という報告であり。それを聞いたスピードスターズはその場で歓喜してはタケルの勝利を喜びだすのである。

 

 

 「やったな池谷!!正直あいつが高橋啓介に勝てるかどうか不安だったけどタケルに任せて良かったと今心から思うぜ」

 

 「俺もだ。まさか本当に勝っちまうとはあの野郎…いつの間に走りが上手くなりやがったんだ。後でたっぷりと聞いておかねえとな!!」

 

 「ですよねえあいつの車に今度スピードスターズのステッカーを貼ってやりましょうよ池谷先輩!!」

 

 

 池谷と健二は勝ったのが余程嬉しかったのか目に涙を浮かべては喜び、イツキも調子に乗ってはしゃいでいた。

 

 

 「まさか啓介がスイスポにヤラれるとは予想外だったな。秋名にこれほどの走り屋がいたとは後々群馬の走り屋の間で噂になるぞ、レッドサンズが秋名のスイスポにヤラれたと」

 

 「それに関しては俺も思ってもいなかったよ。あの時出会った若者がここまで腕を上げてくることにな」

 

 

 スピードスターズの面々が勝利に浸っている一方でレッドサンズは啓介がスイスポに負けたことが余程信じられなかったか悔しそうな顔をするも次第に負けを受け入れつつあった。

 

 

 「なぁ、今下から連絡が入ったんだがこっちに一台車が近づいてるみたいだがどうする?」

 

 「どうするってタイムアタックはもう終わったんだ。その車を止める必要はないんだから通してはさっさとずらかろう」

 

 「そうだな。聞いた話じゃ今こっちに向かってるのはどうもハチロクみたいだからな」

 

 「ハチロク?……お、おいちょっと待て!そのハチロクは何色だったかわかるか!?」

 

 

 未だに鳴り止まない勝負に浸っていた池谷はレッドサンズの口からハチロクという言葉が聞こえるや状態を切り替えては頂上に上ってくるハチロクについて質問する。

 

 

 「? ちょっと待ってろ…そのハチロクは何色だったかわかるか?」

 

 

 レッドサンズの一人が携帯を通じでは下で待機しているメンバーに確認をとる。

 

 

 『色?えっと確かぁ…白黒のパンダトレノだったぞ』

 

 「!! 間違いない、それはおそらく藤原さんのハチロクに違いない。悪いけどそのハチロクが来たらこっちに誘導してくれないか?そのハチロクのドライバーと少し話がしたいんだ!」

 

 「わ、わかった…。頂上に来たら誘導してやるよ」

 

 

 下から上がってくる車がハチロクだと知るや池谷はハチロクが来たら呼び止めるようレッドサンズのメンバーにお願いをしてはハチロクが頂上まで上がってくるのを待ち。

 数分後に麓から上ってきたハチロクが近づいてくるやスピードスターズ側の駐車場に誘導し中からドライバーが出てきた。

 

 

 「藤原さんやりましたよ。俺達地元の意地ってヤツを赤城の走り屋に見せつけて…え?拓海ィ!?」

 

 「な、なんで拓海がハチロクから出てきたんだ…!?」

 

 

 ハチロクから出てきたのが文太ではなく拓海が出てきては池谷は驚きを隠せずその場で慌てる。

 

 

 「どういうことだ!?どうしてお前がここに?親父さんはどうした!?」

 

 「俺…。親父が行けって言うから来たんですけど…池谷先輩…」

 

 「どーすんだ池谷?もう勝負は終わったんだし拓海が来た意味がないんじゃないか?」

 

 「(あのクソ親父ちょームカつくぜ。行けって言うから言う通りにしてんのに来てみたら俺なんかまるで場違いじゃねーかよ)」

 

 

 拓海は父親から代わりに行けと言われては秋名に来たものの、話を聞いた池谷は父親ではなく拓海が来たことに困惑するしかなく、拓海の方も秋名に来るんじゃなかったとその場で後悔しだす。

 

 

 「拓海…。親父さん…他に何か言ってなかったのか?」

 

 「俺はただ…、秋名の下りでRX-7に勝ってこいって言われただけだから…。他には何も言われてないですよ…」

 

 「なんだってぇ!?」

 

 「…まぁ…やってみないとわかんないけど…前一度やって勝ってるから…」

 

 「え?……えぇぇぇ!?拓海が高橋啓介に勝ってるだとぉ!?」

 

 「嘘だろ拓海!?お前フカしてるんじゃないよな!?」

 

 

 拓海の口から過去に一度、高橋啓介が乗るFDに勝ったという話を聞くや池谷達は勿論すぐそばにいたレッドサンズも驚愕する。

 

 

 「涼介、ハチロクから出てきたあの若者が言ってることは本当か?俺にはにわかに信じ難いんだが…」

 

 「見たところ嘘をついてるようには見えないな。とにかく啓介達をここに呼び戻そう。話はそれからだ」

 

 

 

 

 

 『来た!!あのスイスポがFDに勝ったなんて未だに信じられねぇよ』

 

 『まさか秋名の走り屋に高橋啓介に勝つほどの凄い奴がいたとは知らなかったぜ』

 

 

 拓海が秋名の頂上に着いてから数分後に先程バトルをしたスイスポとFDが戻ってくるや、ギャラリーはタケルとスイスポを見つめていた。

 

 

 『俺さっきスイスポの走りを見たけどよぉ、まるで弾丸が通り抜けていったような走りをしていたぞ』

 

 『今日はレッドサンズ目当てで来たつもりがまさかのスピードスターズが勝つとはまさにどんでん返しさながらだったぜ』

 

 『あぁ、ホント観に来て正解だったみたいだな。凄いもんが見れたぞ。あのスイスポのドライバー何者なんだ!?』

 

 

 「はははっ、ここまで注目されるとなるとなんだか照れくさいなぁ…」

 

 

 二人が頂上のスタート地点に戻ってきてはギャラリーの見る目が先程とは打って変わり、秋名の下りを制したタケルを見てはどう勝ったのかと目を疑わせており。

 タケルは頬を搔いては照れくさそうにするも、ギャラリーからの歓声に心地良さを感じているのである。

 

 

 「タケルありがとな、おかげで地元として面目が保たれたぜ!!」

 

 「ホント、流石としか言いようがないぜ。まさかお前がこんなにも凄え奴だったとは思わなかったからな…」

 

 「タケルてめぇ、自分一人だけ美味しいとこ持っていきやがってこん畜生が!!」

 

 「い、イツキ。苦しいってば…」

 

 「……」

 

 頂上で待機していた池谷達から感謝の言葉がでてはイツキにヘッドロックされては手荒い歓迎を受け。それを憎たらし気に見ていた啓介はタケル達の横でボーっと突っ立っている拓海に視線を移しては涼介に尋ねる。

 

 

 「兄貴、あいつが秋名のハチロクのドライバーなのか?」

 

 「そうみたいだな。にわかに信じ難いが今のところ俺の口からは何とも言えんな」

 

 「これは遂さっき斎藤から聞いた話だが。あいつが言うにハチロクのドライバーは免許を取る前から秋名の峠を走っていたとのことだ。それにしてもあんな大人しそうな奴が無免許運転なんざするとは意外にも程があるぜ」

 

 「ほぅ…奴は無免時代からここを走っては腕を磨いたというわけか。確かにそれなら走りの腕が立つ理由にも説明がつくが、その実力はどうなのかは今のところ不明だな」

 

 「そこのお二方、ちょっといいですか?」

 

 「なんだ?」

 

 「そんなに僕の言うことが信じられないというのでしたら今ここで拓海とバトルをしてみるってのはどうですか?」

 

 「なるほど。ハチロクのドライバーがどれだけのものかこの目で確かめてみろって言いたいのだな。いいだろう…その話受けようじゃないか」

 

 

 タケルが拓海と勝負してみてはどうかと話を持ち掛け、それを聞いた涼介は少し考えるやタケルの案に乗ることに。

 

 

 「な、何言ってんだよタケル!?こんなド素人を走らせたりしたら逆に事故って死んじまうだろうが!!」

 

 「大丈夫だイツキ。拓海は事故ったりしないって。さっきバトルで拓海とすれ違った時走りを見たけどコーナーワークに関しては僕よりも上手かったんだからさ」

 

 

 イツキは拓海を走らせるのを必死に止めるも拓海の走りを間近で見たタケルは拓海なら走らせても問題ないと断言する。

 

 

 「ウソだろタケル、その話本当か!?そもそも拓海がそんな上手いわけ…」

 

 「いや、タケルの言ってることはあながち間違いじゃないかもしれねえぞイツキ」

 

 「い、池谷先輩?何言って…」

 

 「もし仮に親父さんが代理として拓海を送ってきたというのなら話の筋が通るし、実際拓海の走ってるとこを見たタケルが太鼓判を押してるんだからその話信じてみるしかないだろ」

 

 

 イツキがタケルの言う事を疑ってるのに対し池谷はタケルの提案に乗っては拓海を走らせることに賛成の意を示す。

 

 

 「どうする啓介?お前の目的であるハチロクを相手に挑んでみるか?」

 

 「当然受けて立つさ。スピードスターズはともかくそこにいるハチロクが俺の標的だったからな。おい、スペアのタイヤはまだ余ってたよな?今すぐ走れるよう準備しといてくれ」

 

 「了解しました。すぐに終わらせますので待っといてください」

 

 

 啓介の専属メカニックが他のメンバーと共に作業を始めてはFDのタイヤ交換とハイオクの継ぎ足しを開始する。

 

 

 「拓海。来てもらってすまないが下りのアタックを任せてもいいか?」

 

 「……(こくり)」

 

 

 拓海も池谷からダウンヒルを任されることになっては秋名の下りを走り出すこととなった。

 

 

 「それはそうと拓海、どういった理由で秋名に来ることになったんだ?あれだけ車に興味を示さなかったお前が急に走るなんて言いだすなんざあまりにも珍しいぞ」

 

 「いや、明日海に行くのにどうしても車が必要になってな。親父に頼んだら車貸す代わりにあのRX-7を秋名の下りで負かしてこいって言われてはここに来たんだ」

 

 「あぁそういうことね…(この野郎、茂木さんと海水浴に行く為にここに来たんだなぁ!!)」

 

 「タケル。まだ負けてもいないのになんでそんな俺を睨み付けるんだ?」

 

 

 拓海が秋名に来た理由を聞いては納得するも、拓海が交流戦の翌日になつきと二人っきりで海水浴に行くのが目的だと察しては妬ましそうに拓海を見つめるのだった。

 

 

 

 

 

 秋名 5連続ヘアピン

 

 

 「おい聞いたか?今から交流戦の第二戦をおっ始めるみたいだぞ」

 

 「第二戦だぁ?さっきFDがスイスポにヤラれたってのにレッドサンズはまだやる気かよ。ひょっとして負けっぱなしでいるのが嫌だからスピードスターズに再戦を申し込んだりしたのか?」

 

 「それなんだけどな。どうも次に走るのは高橋啓介のFDとスピードスターズの方はハチロクを出してくると言っていたぞ」

 

 「おい、その話本当か?」

 

 「あ、中里さん。聞いた話だと秋名の走り屋はハチロクを出してくると言ってましたよ」

 

 「そうか。次はあのハチロクが秋名の下りを走るというのだな」

 

 

 ギャラリーに質問をしてきたのは妙義山をホームコースとする走り屋のチーム『妙義ナイトキッズ』のリーダーの中里毅だ。

 彼が今乗っているのは日産のR32スカイラインGT-Rでサーキットでは無敵の速さと性能を誇る正にモータスポーツのサラブレッドとも言われる程の車である。

 

 

 「さっきのハチロクはいい腕だった!!コーナーを立ち上がるあの後ろ姿はえもいわれぬ余韻があった。わかんねーか?」

 

 「そうかな…俺らにはちょっと…。どこの峠にもいる普通の…。ハチロク小僧にしか見えなかったけど」

 

 「(無理もねぇか…。わかる奴にしかわかんねーことだからな。自分の車を手足のように操る域に達した走り屋の車にはオーラが漂う…。同じレベルに達した熟練の走り屋にはそのオーラが見えるんだ。高橋涼介の走りにはオーラがある。啓介にはまだ微かに見える程度のオーラしかない)」

 

 

 中里は次に始まるであろうハチロクとFDの対決を待ち遠しくしてはバトルが開始されるのを見守ることに。

 

 

 「(そういや先程高橋啓介とバトルしたスイスポからも淡いオーラが出ていたな。まだ高橋涼介の足元には及ばないがあの走りはまるで見るものを注目させてしまうようなキレのいい走りをしていたぜ)」

 

 

 

 

 

 秋名山 頂上

 

 

 「対向車は来ていないと下から連絡があったことだしそろそろ始めるぞ」

 

 

 準備を終えたハチロクとタイヤを履き替えガソリンを給油したFDがスタート地点に並べられては交流戦の第二戦が開始される。

 

 

 「本当に大丈夫なのかタケル?あのボケた拓海が高橋啓介に勝ってたなんて話俺にはどうも信じられないよ」

 

 「心配ないって拓海の腕は僕が保証するよ。なんたってあの親父さんが差し向けるくらいだからね」

 

 

 イツキが心配するのを他所に拓海なら問題ないと自信をもって言うタケル。その予想は一体どうなるやら。

 

 

 「随分若いな…名前は?」

 

 「藤原拓海」

 

 「覚えとくぜ…俺は高橋啓介」

 

 

 両者は互いに自己紹介をするや車に乗り込んではエンジンを掛け走る準備を整える。

 

 

 「それじゃあカウントを始めるぞ。カウント10秒前!!」

 

 

 スターターは先程と同じレッドサンズの史浩が務め、道路の真ん中に立ってはカウントを開始する。

 

 

 「5、4、3、2、1…GO!!」

 

 

 カウントが切られるや二台は一斉にスタートし全開走行しては秋名の下りを駆け抜けていき、出だしはFDが先行を取っては突き進み、その後ろにハチロクがついては後を追って行くのだった。

 

 

 

 

 

 「えぇ〜〜っ!?その話本当なのかァータケル!?拓海ん家の親父が昔そんな凄い走り屋だったなんて…俺何度か見たことあるけど…。ただのぶっきらぼうな豆腐屋の親父って感じだったよー」

 

 「人は見かけだけじゃわからないってことだイツキ。実際僕も親父さんから教わったおかげで高橋啓介に勝てたんだしね」

 

 「俺も前から噂だけはうちのスタンドの店長に聞いたんだけど…。今でも下りだけなら秋名最速だって自信たっぷりなんだよなー」

 

 

 拓海の父親の文太がかつては秋名の下り最速の走り屋だと聞いたイツキはその場で驚いては話を疑うがタケルは言っていることは本当だと言うや池谷もその実力が確かなことをイツキに伝える。

 

 

 「とにかくこの勝負の結果を待ちましょう。あの人が代理として拓海を送り出してきたんですからきっと凄いことになるかもしれませんしね」

 

 

 拓海ならきっと勝つかもしれないとタケルは自信をもって言う一方、涼介はハチロクの走り出しとエキゾースト音を聞いてはその性能を分析する。

 

 

 「(スタートダッシュを見る限り精々よくて150馬力…。啓介が言うようなモンスターとは程遠いぜあのハチロクは…。ハチロクのシフトのポイントが高いのはラリー用のクロスミッションを組んでいるからだ…。あれなら秋名のタイトなヘアピンに2速ギアがピッタリ合うだろうな…)」

 

 「(だからといって啓介のFDが負ける理由は見つからない…。そんなことがあるとすればあのハチロクのドライバーは俺の領域を遥かに超えたところにいるということか…。モンスターなのは車じゃなく…ドライバー…)」

 

 

 涼介が先程タケルのスイスポを分析したように、ハチロクのスタートダッシュから馬力とその仕様を解析していくと、早速下から連絡が入ってくる。

 

 

 『もしもし…こちら第1中継地点スケートリンクのストレート。聞こえるか?』

 

 「こちらスタート地点…。どうした?」

 

 『えらいことだぜ!!今2台が通過したけど啓介がハチロクに煽られてるぞォ!!何がなんだかわかんねーけど異常だぜ!!秋名代表のハチロクめちゃっぱや』

 

 

 FDがハチロクに煽られてると中継地点からの報告を聞いてはここにいる誰もがその情報に耳を疑う。

 

 

 「(やっぱり拓海は凄いよ。僕でさえ高橋啓介の走りに追いつくのがやっとなのにそれを煽るなんて常識外れもいいとこだ)」

 

 

 『インパクトあるぜ凄えショック!!啓介のFDがコーナーであそこまで追いまわされることなんて今まで一度もなかったからサァ…』

 

 『この長いストレートでまた突き放したけど…。この先タイトなヘアピン続くからちょっとヤバいかも…』

 

 

 「聞いたか?涼介…」

 

 「誤算だったな…。秋名にこれほどの凄腕がいるとは…!!」

 

 

 中継地点からの報告に史浩は心配そうに顔を傾け、涼介もハチロクが自分の想像を上回る走りをしていることに驚愕するしかなかった。そして、無線を手に取っては中継地点で待機してるメンバーに連絡をする。

 

 

 「こちら頂上。第2中継地点聞こえるか?もうすぐ2台がそこを通る。実況中継してくれるか、なるたけ状況を克明にな…」

 

 

 『OKすぐそこまで来てるぞ。もうスキール音が聞こえてるんだ。もうすぐ5連ヘアピンに突っ込んでくるぜ!!』

 

 

 涼介は中継地点で待機してるメンバーに実況するよう指示を出し。メンバーの一人がそれに応えては状況をこく淡々と伝えていき。啓介のFDが|直線では差を広げていくもコーナーリングで差を縮められては均衡状態を保っているという。そして、

 

 

 『こちら第2中継地点来たぞ!!なんだぁ思ったほど差がついてねーぞ!!』

 

 『おわ〜っ!!』

 

 「どうしたんだ?黙るなよ」

 

 『悪い…ちょっとびっくりしたんだ…』

 

 

 中継地点からの実況で2台が接戦をしているのが伝わるや何か突拍子もないことが起きたのか、悲鳴を上げたメンバーは一旦落ち着いては再び実況を行う。

 

 

 『凄いぜあのハチロク何者だァ!?下りのブレーキングドリフト完璧だよ啓介が突っ込みで負けてる!!立ち上がりもうめーっ!!うわっ、ガードレールギリギリすげーな!!』

 

 

 

 

 

 場所は第二中継地点に移り変わり。メンバーが携帯越しにバトルの様子を伝える。

 

 

 「2個目のヘアピンに入るぞ!!もう差が全然ねぇ!!おおっ!!何でかなー立ち上がりは互角(タメ)だぜ!!」

 

 

 「全力で2台が立ち上がってくる!!次のヘアピンに備えてFDが寄ってく…。ハチロクは…」

 

 

 5連続ヘアピンを前にしながらもハチロクは減速せず前に出ていってはFDを抜かし、そのまま3個目のヘアピンへと突入して行く。

 

 

 「(ヘアピンなのに減速(ブレーキング)しねぇ…!?何考えてやがる!?)」

 

 

 「ハチロクがとんでもねぇオーバースピードで突っ込んでく!!ブレーキいかれたかぁっ!?」

 

 

 オーバースピードと思えるほどの速さでコーナーに侵入するハチロク。誰もが自殺行為にしか見えないと映らないその瞬間…。

 

 

 ガリッ

 

 

 一瞬、鈍い音がしてはハチロクはヘアピンを曲がってはFDを抜き去っていく。

 

 

 「(なんだーあ!?今のは!!)」

 

 

 啓介はハチロクが目の前で何をしたのか理解できず混乱するも、ハチロクはそのままコーナリングしてはFDとの距離を広げていった。

 

 

 

 

 

 秋名山 頂上

 

 

 『ああ〜っ』

 

 「叫んでないで状況を言えっ」

 

 『ぬ…抜かれた…』

 

 「なに…?」

 

 『抜かれちまったぁ…。啓介がぁ…。呆気なくインからスパーンと…』

 

 「「「……」」」

 

 「(嘘でしょ!?拓海は5連続ヘアピンで一体何をしたっていうの!?)」

 

 

 中継地点から啓介が拓海に抜かれたと報告が上がるやその場にいた全員が静まっては驚く他なかった。

 

 

 「そんなバカな…。いくら何でも…抜くのは無理だろこんな狭い峠道で…。ちゃんと説明しろよ…」

 

 『無理だよ…。わかんねーんだ…。見てる俺達にも…何がどうなってんのか…』

 

 

 

 

 

 「(俺にはわかった…。あのハチロクが何をしたのか…。バカバカしい事だがあんな事は誰にも絶対真似できねぇ…。しかもこの秋名でしかあり得ないことだ…)」

 

 

 5連続ヘアピンの前でハチロクがFDを抜き去る瞬間を見ていたナイトキッズの中里はハチロクが5連続ヘアピンをどう抜けていったのか見破る。

 

 

 「(とんでもねぇバカが世の中にはいる…。楽しみがまた一つ増えたぜ。秋名の下りのスペシャリスト。あいつを仕留めるのは俺だ)」

 

 「帰っちゃうんですか毅さん。まだ上りのアタック終わってないけど」

 

 「興味ねぇな…上りは。あんな凄いもん見せられた後じゃあな。車のパワーで勝てる上りだけ速くてもそんなもん俺は認めねぇ。(やま)の走り屋は下りが速くなきゃ本物じゃねーよ。今日の交流戦はレッドサンズの負けだ」

 

 

 

 

 

 『もしもし。こちらゴール地点聞こえるか涼介えらいことだァ!!』

 

 

 ゴール地点にて待機してたメンバーはその場で結果を報告する。

 

 

 『啓介が負けたぞォッ。先にゴールインしたのはスピードスターズのハチロクだ!!しかも7秒も差をつけられてたぞ…7秒だぞ!!』

 

 「(7秒…!?文句なしにぶっちぎりだな…)」

 

 

 下からの報告を聞いた涼介はハチロクの実力が本物であることを認めるや、弟の啓介を完膚なきまでに叩きのめしたことに驚くしかなかった。

 

 

 「ハチロクのドライバーはどうした?そこにいるのか?」

 

 『いや…。ゴールしたそのままの勢いで止まりもしねーで帰っちゃったよ…。カーンとかいい音させて…』

 

 「!!」

 

 「勝っちゃいましたよォ〜!!池谷先輩〜!!あのボケた拓海がぁーっ!!」

 

 「凄すぎるぜー血の気が引いたァ…鳥肌立ったぁ…。頭が変になりそーだァ」

 

 「やったなぁー池谷泣いてんじゃねーよォバーカ」

 

 「なんか知んねーけど嬉しくて嬉しくて…」

 

 「……」

 

 

 スピードスターズとイツキは拓海が勝ったことを聞いては喜んでいるのに対しタケルはバトルの結果を聞いてはその場で押し黙る。

 

 

 「どうしたんだよタケル。お前の予想通り拓海が勝ったんだからもっと喜べよな!!」

 

 「ん?あ〜そうだね。やっぱり拓海は凄かったね、ははっ…」

 

 

 「(まさか拓海がここまでの実力を持っていたとはね…。駆動方式の違いを除いてはほぼ互角の性能を持つ車でここまで走れるなんて凄すぎるよ。今の僕じゃ拓海には全然敵わないなぁ)」

 

 

 この時タケルは自分と拓海では走りのテクニックに大きな差があることを思い知り、自身の走りのレベルの低さを痛感するしかなかったのだった。

 

 

 「負けは負けだ…。潔く認めよう。秋名を舐めていたな…あれほどの腕の持ち主がこんなマイナーな(やま)に二人もいたとはな…」

 

 「自分達を売り出す為に集めたギャラリーが裏目に出たな…。まぁいいこの落とし前は近いうちにつける…。俺のFCでな!!」

 

 

 レッドサンズはスイスポに続きハチロクに負けたことが効いたか、自分達の名を県内に知らしめるつもりが逆にスピードスターズを引き立てる為の噛ませ役となってしまったことに屈辱を味わい。

 涼介も負けを認めつつも自らの手でハチロクにリベンジを果たそうと決意をするのであった。

 




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