頭文字D 峠の弾丸 《Project D》   作:ペンギン太郎

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 いよいよプロジェクトDの最初のバトルに入ります。
 タケルは後追いして、拓海のバトルを観る形ではありますが。もしこうすれば良かったなど、意見がありましたら、どしどし言ってください。


ACT.130 カミカゼダウンヒル!!

 もみじライン スタート地点

 

 

 ブォオオオン

 

 

 拓海とタケルがトオルと挨拶を終えては、それぞれの車に乗り。

 三人は、各々がマフラーからエキゾーストを咆哮するように吹かす。

 今にも飛び出さんとする三台を、プロジェクトDの陣地にいる涼介が、静かに腕を組んで啓介達と見守り。セブンスターリーフ側では、淳郎がトオルのロードスターを見る。

 

 

 「……」

 

 

 先頭ポジションを走ろうとするトオルが、シフトを1速に入れてスタートダッシュを始めると。拓海とタケルがトオルの走り出しに合わせるかのように後追いを始め。

 拓海VSトオルにタケルが加わった形のダウンヒルバトルが開始される。

 

 

 ギャアアア

 

 

 「(トオルさん。俺はトオルさんの下りの突っ込みに痺れてこのチームに入ったんだ…!!トオルさんの命知らずのカミカゼダウンヒルに、ついて行ける奴なんて一人もいない…。トオルさんが、他所から来たハチロクやスイスポに負けるわけねーよォ!!)」

 

 

 三台が暗闇のもみじラインへ駆け下りてすぐに、セブンスターリーフ側にいた慎一が富士見展望台のデッキへ駆け出し。拓海達がトオルのダウンヒルについてこれないかのように言いながら、三台の行く末を見続けていくのだった。

 

 

 

 

 

 「(先行を選んだのは俺にとっては正解だ。自分のリズムを狂わされたらダウンヒルは命取りだからな)」

 

 

 トオルは後ろから続くハチロクやスイスポを意識すると、自分の走りが乱れるように言い。手前の左コーナーに差しかかると、慣性ドリフトで鋭く曲がり。

 ハチロクもそれに続けて慣性ドリフトで抜け切ると、ロードスターに食いつき。スイスポは荷重移動を使って上手く曲がり切っては、二台の後に続くのだった。

 

 

 「(冷静になれ…。勝ち負けよりも、自分の力を出し切ることが重要なんだ…!!)」

 

 

 コーナーを抜け切り。長い直線に入ったロードスターは、右側の反対車線へと車体を移し。

 ハチロクとスイスポがロードスターの走ったラインをなぞる様に、後から続く。

 

 

 「(流石だね…。ロードスターはハチロクやスイスポよりもコンパクトなボディが特徴の車で、小型軽量ゆえの軽快なフットワークが持ち味だって涼介さんから聞いてはいたけど…。あそこまで行かれたら文句の付け所がないよ…)」

 

 

 以前涼介から教わったロードスターの特性を語りながら、スイスポを走らせるタケルは、後ろからトオルの走りを見ながら、トオルの走らせ方を呟く。

 

 

 「(先行を走る末次トオルって人は、車の特性とこのコースの特徴を知り尽くしてるのか…。物怖じをせずに、ハイスピードに突っ込みに全てかけ、ありとあらゆるコーナーで慣性ドリフトを繰り返している。突っ込みのスピードをギリギリまで高めるあのドライビングスタイルは、ハチロクに鍛えられた拓海と瓜二つだ。でも、たった一つの箇所を除いたら、異なる走りをするけどね…)」

 

 

 ロードスターを操るトオルの走りが、ハチロクを駆る拓海と似通った存在だと言っていくタケルだが。ある一定の箇所だけ違いがあると口ずさんでは言う。

 

 

 「(…向こうのリクエストで、走らざるを得なかったけど…。あの走りは、色々と参考になる気がしてきたよ…。これまでにも、ロードスターに乗る走り屋と幾度となくバトルしてきたけど、あそこまで乗りこなす奴は他にいなかったんだし…。今日のバトルは、一瞬足りとも見逃せないよ…)」

 

 

 向こうからの要望で、もみじラインを走ることになったとはいえ。タケルはカミカゼのような走りをするトオルのロードスターを見ていきながら、自分の走りに繋げようと必死になるのだった。

 

 

 

 

 

 もみじライン スタート地点

 

 

 三台がもみじラインの下りを駆け下りていたその頃、涼介はプロジェクトDのメンバーにもみじラインを攻略する上で、重要な箇所を語る。

 

 

 「このコースのポイントは…。終盤になって現れる蓋のない側溝が続く区間だ…。あの区間の攻略の仕方で勝負は決まる」

 

 「それだよ…。あんな落とし穴みたいな側溝に、逃げる以外の積極的な攻略法が本当にあるのか?」

 

 「あるさ…。藤原にはもう教えてある」

 

 

 涼介は、拓海にどう攻略すればいいか教えたと史浩に言っていくと。その内容について話す。

 

 

 「荷重移動のテクニックを極めていないとできないトライだが…。藤原と啓介の2人ならばやれる…。俺が選んだDのダブルエースだからな…」

 

 「なるほどな…。それなら納得はいくけど、今の話を斎藤が聞いたら、どう思うだろうな」

 

 

 タケルはまだ拓海や啓介の領域には届いていないという涼介の言葉に、史浩はタケルがどんな反応をするか複雑になるのだった。

 

 

 

 

 

 バトルは中盤戦へと入っていき。

 トオルのロードスターが慣性ドリフトでコーナーを曲がり切っていくと。そのままギャラリーの観ている横を通り抜ける。

 

 

 「怖っわ〜!!相変わらずヤバすぎるぜ、トオルの突っ込みは…」

 

 

 先程のトオルのロードスターが通り過ぎるのを観たギャラリーが、トオルのテクニックの凄さに感嘆するも。そのすぐ後にハチロクがギャラリーの前を横切り、スイスポが後を追うように突き進んでいった。

 

 

 「うわっ…よく食いついて行ってるな、あのハチロクとスイスポ…」

 

 「どうせ長くは続かねえって…。どんな奴でもトオルの突っ込みにはビビるよ…。あいつのイカれたダウンヒルには…絶対最後までもたねぇってんだ…」

 

 

 

 

 

 「(流石というか…。ここまで俺にくっついてこれた奴は、今までにいなかったぜ…)」

 

 

 後追いしてくるハチロクをバックミラー越しに見たトオルは、ハチロクを駆る拓海の実力が本物であると評するのだった。

 

 

 「(あれが普通のハチロクじゃないことは間違いないが…。そんなことよりも乗りての問題だ…。凄い奴だぜ…。けど、追い詰められてる感じがしねえ…。多分、向こうの2台はついてくるだけで精一杯なんだ…。このバトル、勝てる…!!)」

 

 

 勝負に勝つと確信したかのように言ったトオルは、コーナーに差し掛かる手前で、ヒールアンドトゥからのシフトダウンで3速から2速に下げ。慣性ドリフトをして鮮やかに横切ると。

 ハチロクとスイスポは、トオルに続きながら後追いをしていく。

 

 

 「(なんて突っ込みだ…、ヤバいくらいだ…!!)」

 

 「(あれは最早、車そのものと人馬一体してると言っても過言じゃないね…。車を手足のようにコントロールしながら、コーナーを機敏に抜けきるテクニックは、完璧だし…。思いの外、手こずるかもしれないよ…)」

 

 

 後ろからロードスター追う拓海とタケルは、先行を突っ走るトオルの軽快なフットワークに圧倒されかけるも、それに引き離されないよう、テール・トゥ・ノーズさながらの食いつきをしながら後に続いていくのだった。

 

 

 

 

 

 もみじライン スタート地点

 

 

 「涼介さん…。まだ差はついてないようです…」

 

 「わかっている…」

 

 

 中継地点から報告を受けた松本が、携帯を切ってバトルの状況を涼介に伝えていくと。涼介はそれを分かりきっていたのか、淡々と返す。

 

 

 「(…これからだ。群馬エリア最速のダウンヒラーは…)」

 

 

 涼介は完全に見据えながらもみじラインを見通し。拓海がここで何を仕掛けていくか、見守っていく。

 

 

 

 

 Cの21番付近

 

 

 「(ここまで来たにも関わらず、まだ差がついてないとは…。これは観てるこっちからしても、緊張するよ…)」

 

 

 バトルが中盤戦に入ってからというものの、拓海とトオルのダウンヒルバトルは均衡状態を保ちながら、タイトなコーナーが続くもみじラインを駆け下り。

 それを追うタケルは、二台を観察しながら後を追う。

 

 

 

 

 

 もみじライン スタート地点

 

 

 「もしもし…お前、どこで見てるんだ?…なんだと!?」

 

 「ど、どうしたんです。淳郎さん?」

 

 

 富士見展望台の近くにて、携帯越しに中継地点からの報告を受ける淳郎は、慌ただしいくしながら近況報告を聞き。端にいる慎一が何があったかを聞くのであった。

 

 

 「今、トオル達の車はCの21番ヘアピンまで行ったと報告があった…」

 

 「え?もう、あんなとこまで…」

 

 「信じられねーな。テール・トゥ・ノーズだなんて…。もう半分近くまで行ってるのにトオルがハチロクに食いつかれてる」

 

 「俺、信じられないよ淳郎さん…。こんなに長くトオルさんについていけるなんているわけないよ」

 

 

 トオルがハチロクを相手に、追い詰められてるかのように言っていく淳郎は、ハチロクの実力が予想以上であったことに驚きを隠せず。

 慎一も、その話が信じられないかのように言う。

 

 

 「俺だって信じたくねーけど。あのハチロクがあんなに速いとは、嫌な予感がするな…。負けん気の強いトオルが意地になってテンション上げてくからな…」

 

 「……」

 

 「ヤバい気がするぞ。このダウンヒルは…」

 

 

 予想打にしていなかった展開に、今夜のバトルで何かが起こるかもしれないと、淳郎は慎一達に告げ。

 トオルがバトルに勝つと信じながら、待ち続けるのである。

 

 

 

 

 

 「(やっぱり…同じローパワーなFR車に乗って下りを攻めてるだけあってか。二人には共通点があるね…。どっちとも。天性とも呼べるスピード感覚でハイスピードなコーナリングを信条とするけど。唯一の違いをあげるとするなら、そのテクニックの洗練さ。っといったところかな…)」

 

 

 ハチロクとロードスターの走りを追うタケルは、拓海とトオルには似かよったところがあると言いながらも、そのテクニックの洗練さに僅かな違いがあると指摘し。

 その違いによって、走りがどう変わるのかを、スタート地点で待機してる涼介が啓介と史浩に教える。

 

 

 「おそらく…。両者の決定的な分岐点となるのは、そのテクニックの洗練度だ…」

 

 「ってことは、1本目は藤原が後追いになったことが…」

 

 「勝敗を決する…重要なポイントになる」

 

 「どういうことだ、涼介?」

 

 

 史浩が何故後追いを選んだことが、結果として正解であるのかを涼介に聞き。その理由について、涼介がそれについてこう答える。

 

 

 「後ろから相手の走りを見続けている藤原には、既に感覚で…それがわかり始めているはずだ…」

 

 

 後追いを選んだ拓海なら、トオルの走りを見ていく内に自分が言ったことに理解するかもしれないと自信を持って言う涼介。啓介と史浩は、涼介が言っていることを信じながらバトルが終わるのを待つ。

 

 

 

 

 

 「(何か…分かった気がする…。後ろから見てると…俺と相手の走りの違いが…)」

 

 

 もみじラインの下りを駆け下りる三台は、一定の距離感を取りながら下りを攻め続け。トオルのロードスターを後ろから追う拓海は、走っていく中で走りの違いに気付いたか。レブを10000回転まで回してパワーを絞り出し。全力疾走をしていく。

 

 

 「(…ハチロクの走りが変わった。ってことは、いよいよ拓海が動き出すということか…)」

 

 

 二台の走りを後ろから見ていたタケルは、ハチロクが食いついた状態から抜きにいこうとするのを察し。二台に出遅れないようアクセルをベタ踏みして、走りのペースを上げるのだった。

 

 

 

 

 

 「おっ…来たぞ来たぞ!!」

 

 

 三台が掛けていくコーナーの先で待ち構えていたギャラリーが、ロードスターとハチロクが接近してくるのを見ていくと。視線の先にあるコーナーの出口からロードスターが先に飛び出し。ハチロクがそれに続けながら出てくる。

 そこから二台は、ピッタリと張り付くよう幅を保ちながら、慣性ドリフトでコーナーを滑り抜け。先へと突き進んでいく。

 

 

 「今の観たか、おい…!!二人共凄えぇ…」

 

 「こんぐらいしかなかったよォ…!!」

 

 

 ギャラリーが二台の距離感が然程離れてなかったと手で表現しながら二台の凄さを語ったその時、今度はスイスポが左足ブレーキでアンダーステアを消して、リアを滑らせ。鋭く車体の向きを変え、先を行く二台のドリフトにも引けを取らないコーナリングでギャラリーのいる前を抜け切ると。立ち上がりで上手く加速させて、二台の後を追うのだった。

 

 

 「観たか、今のスイスポ…」

 

 「ああ…。ロードスターやハチロクと同じくらいのスピードで、ここを抜けやがったぞ…」

 

 

 ドリフトでコーナーを抜けきったロードスターやハチロクだけにとどまらず。今まで観たことがないスピードで横切るスイスポを目の当たりにしたギャラリーは、スイスポのあまりにもの速さに啞然とするしかないのであった。

 

 

 

 

 

 ギャラリー達が観ていたコーナーを抜けきった後、トオルは順調に車を走らせていく。

 しかし、後ろから照らし出されるヘッドライトの灯りをバックミラー越しに見ていくと。そこには、ハチロクが映し出され。リアに張り付かれてしまう。

 

 

 「(張りつかれた!!何故なんだ…!?)」

 

 

 ハチロクが自分の後ろに張りついていることに衝撃を受けるトオルだが。ハチロクはロードスターに離されまいと、後ろから食い続けていき。

 そこからスイスポがハチロクに追いついてくると、その後ろで適切に保ちながらついていく。トオルは先程まで順調に走っていた自分が何故、こうも簡単に追いつかれてしまったかを疑うしかなかった。

 

 

 「(俺は乗れてるんだ…。最高の走りができてる…。どうなってやがる!?)」

 

 

 今まで自分の走りについてきた奴など誰一人としていなかった為、トオルはハチロクとスイスポがついて来れていることを信じきれていなかったが。ハチロクとスイスポは、トオルのロードスターに張り付きながら追ってくるのである。

 

 

 「(ハチロクもそうだが、このスイスポといい…。一体何なんだ(・・・・)こいつらは…!?)」

 

 

 ここに来て、トオルは自分を追うハチロクとスイスポが、只者でないと知り。

 バトルは、終盤セクションへと差し掛かろうとしていくのだった。




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