頭文字D 峠の弾丸   作:ペンギン太郎

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 二週間振りの投稿です。


ACT.13 拓海の全開ドライブ

 

 「へ?僕が啓介さんをスイスポに乗せてはあの二台を後追いしろってことですか涼介さん?」

 

 「そうだ。啓介が何故ハチロクに負けたのか、その理由を直接啓介自身で確かめたほうがいいと判断しての頼みだからな」 

 

 「おい待て兄貴、今の話はどういう事だ!?俺がこいつの車に乗っては秋名のハチロクと中里のR32を観察しろと言うのか!?ふざけんなよォ。誰がこいつの車に乗ったりするもんか!!例えこいつを走らせたところで、あの二台との差が出てきては引き離されるに決まってるだろうが!!」

 

 「(この野郎…僕に負けたくせにようそんなことが言えるね…!!)」

 

 

  啓介をスイスポに乗せてはハチロクとR32を後追いしてくれないかと涼介は頼むも、啓介は負かした相手の車に乗るのが嫌なのか反発する。

 

 

 「啓介。それなら何故お前は先週のバトルで馬力(パワー)の劣るハチロクとスイスポに負けたかわかるか?峠を走るのに必要なのは馬力の他にあったことをお前はまだ気付かないのか」

 

 「くっ…!!」

 

 

 涼介から痛いとこを突かれたのか啓介は反論も出来ず黙るしかなかった。

 

 

 「そういうわけだから斎藤、この話引き受けてくれるか?」

 

 「いいですよ。僕も拓海達がどんな走りをするのか気になりますから相乗りくらい構いませんしね」

 

 「そうか、感謝するよ」

 

 

 涼介の提案に乗ったタケルはすぐさま後追いができるようスイスポに乗ってはいつでも出れるよう準備を進めるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「それじゃあカウント始めるぞ」

 

 

 池谷がスタート地点に立ってはカウントを開始するや、二台はエンジンを蒸してはいつでも走れる状態で待機し。

 タケルは涼介から預かったビデオカメラをフロントガラスの前に取り付けては二台が出るのを待ち構えることに。

 

 

 「啓介、わかってるな」

 

 「あぁ。俺が何故ハチロクとスイスポに負けたかしっかりとこの目に焼き付けてくるよ」

 

 「あ、そうそう。あの二台を全開で追いかけるのですシートベルトはちゃんとしてくださいよ」

 

 「ちっ…」

 

 

 タケルに言われた啓介は嫌そうな顔をしてはシートベルトを閉めるである。

 

 

 「3…2…1…GO!!」

 

 

 カウントが切られると同時に二台の車がスタートダッシュをしては走り出していき、それに続くかのようにスイスポが後追いを開始するのだった。

 

 

 『スイスポだっ、秋名の弾丸が飛び出していく!!二台の後ろを追走する気だ!!』

 

 『なんてこったあ…三つ巴のスーパーバトルになっちまうのかァ!?いきなり秋名最速決定戦になっちまうのかよーっ』

 

 

 

 「タケル、お前今高橋啓介を乗せて走っていたよな…。一体なぜ…」

 

 

 ギャラリーも三台が走り出すのを見ては盛り上がりを見せてはバトルの結果を待ち。

 スターターを務めた池谷もタケルが急遽走り出しては秋名の峠に消えてゆくのを見るのであった。

 

 

 

 

 「(GT-Rのドライバー…ちゃんと踏んでない…なァ…。俺を待ってんのか…!?)」

 

 

 先頭は中里のR32が走っており拓海はそれを追っていくが中里がアクセルを全力で踏み込んでないことに気付いては自分を待たせてると察した。

 

 

 「(ストレートでちぎったら勿体ねぇだろうが…。俺はバトルしたいんだよ!!本当のスタートはコーナーに入ってからだぜ!)」

 

 

 「中里の奴…アクセル緩めてハチロクを待ってやがるぜ…」

 

 「その余裕が命取りにならないといいですけどね」

 

 「それよりもお前、なんだこのスピードの遅さは…。後追いするなら俺のFDで行ったほうが良かったんじゃねえのか?」

 

 「仕方ないでしよ。僕のスイスポはあなたのFDと違って150馬力が精一杯なんですから無理言わないでください」

 

 「けっ、なんで俺がこいつに負けたのか納得いかねえぜ」

 

 

 啓介はスイスポの走りの遅さに愚痴をこぼしてはタケルが反論し。スイスポに乗っている二人が口論しながらも二台の後追いをしていくのである。

 

 

 『三台繋がって突っ込んでくるぞォ!!』

 

 『第一コーナー!!』

 

 

 第一コーナーに入るやR32は颯爽と抜けていき、ハチロクはいきなりドアンダーを出してはコーナーを曲がっていくやR32に続いて行った。

 

 

 「おおっ!!何だありゃあ…ふざけやがってあんなオーバーアクションなカニ走りでこの俺について来れるわけがねぇぜ!!」

 

 

 中里はハチロクがドアンダーを出しては追ってくる様を見ては驚くも特に気にすることもなく前を突き進んて行き。

 拓海はハチロクのセッティングが変わっていることに違和感を感じるもいつものように走らせ、ヒール&トゥを使っては回転数を同調させ秋名の難しいコーナーをゼロカウンタードリフトで抜ける。

 

 

 「流石に走り慣れてるだけあって華麗なドリフトをしますね拓海は」

 

 「あそこまでの限界領域を走るにはかなりのコントロールを要するが、ハチロクをまるで自分の手足のようにコントロールしていやがるぜ」

 

 「僕もそれなりに走り込んではいますけどスイスポをあそこまでコントロールするのは難しいですね」

 

 「(よく言うぜ。口ではコントロールできない言いながらも、ブレーキングするポイントをきっちりと掴んではアンダーを出さず走り続けてるお前も大概なんだがな)」

 

 

 後ろから拓海の四輪ドリフトを見ていたタケルと啓介は超絶的なテクニックに度肝を抜かれるも、この勝負に拓海が勝つことができるのか心配しながら見守っていく。

 

 

 

 

 

 『先頭(アタマ)は予想通り中里の32!!物凄いドリフトでハチロクが追っていく!!』

 

 『その後ろに秋名の弾丸がついてるぞォ!!どうなってんだ三つ巴じゃねーか!?』

 

 『でもスイスポはバトルに参加してるって感じじゃないよな…。余裕を持って一歩引いた位置から前の二台のバトルを見てる感じだぜ!!』

 

 

 「(これだぜ…この感じ!!全身の血が沸騰したようなこのハイテンション!!これこそバトルだ!!)」

 

 「トコトン突っ走るぜ!!どこまでついて来れる!?」

 

 

 中里はハチロクとのバトルに興奮しては熱くなっており、今日まで忘れかけていた走り屋としての本能を思い出しながらも駆け抜けていき。拓海は中里のR32に離されまいと後を追う。

 

 

 「ジリジリと離されていくぜ」

 

 「前にスタンドに寄った際デカい口を叩いてましたけど、言うだけの腕はありますね。上手く荷重を掛けてアンダーを殺しながら走ってますし、R32の持つパワーを生かしては峠を思いっきり攻め込んでますからね。その分面白味が欠けては無駄がなくつけいる隙が見つからないですけど」

 

 「呑気な事言ってる場合じゃねーだろ。ハチロクが負けちゃ元も子もないぜー」

 

 「まあ落ち着いてください。前半は比較的ストレートも長めで勾配も緩やかでハチロクには不利な条件が多いですけどこの辺りから勾配もキツくなりますからね。拓海がダウンヒルスペシャリストの本領を発揮するのはこれからですよ!!」

 

 

 勝負は中盤へと入り、R32は秋名のキツい低速ヘアピンをブレーキで車速を落としては曲っていく。

 

 

 「(こういった低速のヘアピンカーブはR32の得意分野だぜ。強力なブレーキでキッチリと車速を落としてやれば)」

 

 「下りで前輪(フロント)には嫌でも荷重が残るからな。最大の泣き所のプッシングアンダーは出にくいぜ!!低いギアからの加速は他のどんな車よりも得意なんだよ。この瞬間がたまんねーぜ!!剛性たっぷりのボディはビクともしねぇ!!サーキットで最強のマシンは公道でも最強だぜ!!リアサイドに付いているRのバッジは不敗神話のRだ!!俺のRについてこれるか!?」

 

 

 「(明らかに余裕綽々って走りをしてるねあの人は…。でも拓海ならきっとその油断に付け入る隙を見つけては必ずブチ抜くと僕は思うんだけどね)」

 

 

 

 

 

 「(違う……。なんか違う……車の感じ。踏んでも車が乱れない……。今までよりもワンテンポ早く踏める…?)」

 

 

 拓海はハチロクのセッティングが変わっているのにようやく気付いたのである。

 

 

 「(今朝の配達の時はこんな感じじゃなかった…。俺が昼間バイト行ってる間に親父が車弄ったのかな…。そっか…店閉めて出掛けてたのはこの為だったのか…)」

 

 「よくわかんねーけどこれはこれでイイ感じだぜ!!流れすぎないから思い切って踏んで行ける!!」

 

 

 仕様が変わったハチロクの癖を瞬時に把握したのか。乗りこなしては連続のコーナーを流しっぱなしのドリフトで抜けてはR32を追いかけ、それを真近で見ていたギャラリーはあまりにも凄さに驚愕するしかなかった。

 

 

 「(すげぇ…目がついて行かねぇ。ハチロクがフッフッと消えて見える。いよいよ本気出してキレ始めやがったなーあの野郎。イン側の溝にタイヤを引っ掛け始めた…)」

 

 

 拓海の走りを後から見ていた啓介はハチロクがタイヤに溝を嵌めてコーナーを曲がっていく際まるで瞬間移動をしてるかのように感じたのである。

 

 

 「(これかァ俺はこの技に負けたんだ…。改めてこうして拝めるとは思わなかったぜ!!)」

 

  「……!!」

 

 

 啓介の横で運転するタケルに目をやるも、ハチロクの走りに追いつくのに精一杯なのか話す余裕が無くなっていた。

 

 

 「(こいつが喋らなくなった。喋ってる余裕がなくなったって事か…。さっきよりもペースが上がってる」

 

 

 「(僕自身こんなに忙しく修正舵を切るドライブをするのは初めてだ。何度もスイスポを走らせてきてはここまで本気の走りをしたこと今までなかった…。それだけ拓海の走りに目を奪われては影響を受けてるってことになるね)」

 

 

 啓介はタケルの本気の走りを目にするや、ハチロクは前を行くR32に追いついては迫っていく。

 途中キンコンと警告音が鳴っていたがそれを全く気にも止めずだ。

 

 

 「(ハチロクが追いついてきたァ!?なんてこったァ…!?)」

 

 

 バックミラーからハチロクが自分に追いついて来てると知った中里は焦りを見せる。

 

 

 「(上等だぜそこまでやられちゃ…。ハチロクが10年以上も前の車だという意識はこれで完全にフッ飛んだぜ!!一級品の戦闘力を持ったいいマシンじゃねーかよ。遠慮はしねーぞゾクゾクするぐらい嬉しいぜ!!こんなおいしいバトルはこの車に乗り換えてから初めてだぜ!!)」

 

 

 中里はギアを上げては勢いを増し、踏んでる手応えを感じては更にスピードを上げていき。

 拓海もそれに負けじとギアを4速に上げてはR32に負けじと追うのだった。

 

 

 「(ヘアピンみたいな低速コーナーの立ち上がりは32について行けてない…。ハチロクが突っ込みで食い付いても立ち上がりでまた差が開く…。中里もすげー根性してるぜあのヘビーな32で臆することもなく猛然とダウンヒルを攻め込んでるからな…)」

 

 

 そして高速コーナーに入るや、R32が豪快に走るのに対しハチロクはガードレール擦れ擦れの4輪ドリフトをしてはR32との差を詰めていく。

 

 

 「(なんてこった…!?高速コーナーでハチロクが差を詰めてる…!?140キロ超えるスピードで4輪ドリフトしながらガードレールを掠めるなんて…こればっかりは車の性能がどうのこうのって問題じゃねぇ)」

 

 

 「啓介さん。何故ハチロクがこんなに速いのかわかったって顔してますね…」

 

 「なっ!?お前、運転に集中していたんじゃなかったのか…!?」

 

 「走りながらあなたの顔を見るなんざ造作もないですよ。それよりも何故涼介さんがハチロクの走りを見るよう言ったか、その答えを説明できますよね?」

 

 

 啓介に説明するようタケルは問い詰めるや啓介は舌打ちしながらも説明をしていくことに。

 

 

 「そうだな。ハチロクがあそこまで走れるのはただ単に車の性能がどうのっていう問題じゃねぇ…。ハチロクは一度スピードを落としたら回復するのに時間が掛かる。だから無駄な減速を一切せず高いアベレージを保つ為にドリフトをしてるってことなんだろ…」

 

 「その通りです啓介さん。拓海があなたとバトルした際食い付いていけたのはノーブレーキで攻め続けたらこそできたのですよ。僕にはブレーキを踏まずに攻め続けるなんて真似は危険過ぎますので到底できませんが…」

 

 「当然だろ。FFは駆動軸が前輪にあるからスピードを出し過ぎたら曲がれねえし、姿勢が崩れてはドアンダーになるからな。だからこそ、コーナーを曲がる際ブレーキングをしては曲がっていかないといけないんだろ」

 

 「それに関してはFFの宿命である以上仕方ありませんからね。この限界バトル、どちらが勝つのやら…」

 

 

 

 「(振り切れねえ!!それどころか食いつかれたまんまの時間がどんどん長くなる!!)」

 

 

 中里は後ろから追ってくるハチロクに焦りを見せるも興奮しながらバトルを楽しんでいた。

 

 

 「(『インをデッドに攻める』と走り屋はよく口にするけどこんなのは初めてだ。中里さんでさえガードレールとの間隔が20センチから30センチで走ってる。どんな走り屋でも普通そんなもんだからね)」

 

 「(なのにあのハチロク、バンパーを擦り付けるようにしては最短距離を抜けて行ってる…!!これはもう上手いのどうのって話じゃ済まない!!ケタ違いだぜ、なんであんな正確なドリフトのコントロールができんだよォ!?何者なんだあいつぅ!?)」

 

 

 二人は拓海のドリフトしながらも車をコントロールするテクニックの高さに驚くや、R32の走りを見たタケルはあることに気付く。

 

 「(…R32の挙動が少しながら乱れてる。どうやら向こうはタイヤが限界に近付いてきたみたいだね)」

 

 

 その予想は見事に的中していたのか、中里はタケルと同じ様にR32のタイヤが怪しくなったと感づく。

 

 

 「(ABSを利かせながらこじるようなステアリング操作を続けてきたからな…。フロントタイヤに掛かる負担が考えていたより遥かにデカい…!!厳しくなってきやがったぜ…。だけど絶対に負けるわけにはいかねえっ!!)」

 

 

 フロントタイヤが限界に近づいてきたのを感じるもバトルに負けるわけにはいかないと中里は攻め続けるしかなかったのであった。

 

 

 

 

 

 秋名山5連ヘアピン

 

 勝負は後半戦へと入り。両者共に集中力は限界に近づいてはいるものの物怖じせず突き進んでは走り続けていき5連族ヘアピンへと突入する。

 

 『来たぞー物凄いスキール音だ』

 

 『すぐそこまで来ている!!』

 

 『来たー!!』

 

 

 5連ヘアピン前で待機していたギャラリーが目にしたのはR32に食いついているハチロクの姿であり、ハチロクがブレーキングドリフトをしては追っていく姿に驚く。

 

 

 「(この5連族ヘアピンで高橋啓介が抜かれるのを俺は見ていたからな!!あのハチロクは路肩の側溝を使って怪しげなコーナリングをするんだ…。内側に飛び込ませなきゃいいんだろーが。インは開けないぜ!!)」

 

 

 中里は拓海がイン側から攻めてくるだろうと予測し、入り込ませないようにイン側を走っては閉めていく。しかし、

 

 

 「なにいいっ!?外からだとォー!?」

 

 

 外側から攻めるハチロクはリアを白線の外側に入れながらも攻め込んでは強引に入り込もうとする。

 

 

 『危ねーっ』

 

 『やべー逃げろ。突っ込んでくるーっ』

 

 

 近くで見ていたギャラリーも間一髪避けてはハチロクとの衝突を免れた。

 

 

 「なめてんじゃねーぞっ!!外から行かすかよォ!!」

 

 

 R32は立ち上がりからイン側を攻めてはハチロクに入り込ませないにする、しかしハチロクは外側から攻めていっては次のヘアピンへと突き進むのだった。

 

 

 「ムカつくぜ!!外側にウロチョロ出られちゃ目障りで堪んねーや!!」

 

 

 中里はラインを維持してはイン側を閉めるもR32の挙動に乱れが生じたのか後ろから見ていたタケルはナビシートに座っている啓介に言う。

 

 

 「!! 啓介さん。今から拓海がR32を抜きに行きますよ!!」

 

 「抜きに行くったって…あんだけインを閉められてちゃ…どうやって!?」

 

 

 啓介はここからハチロクがどう抜きに行くのか注視しながら見ていく。

 

 

 「(屈辱だぜ。大勢ギャラリーが出てる前でいいように外から突かれちゃあな。無理にインに付こうとするから不自然なラインになって突っ込みが甘くなるんだ…。車一台がギリギリ入れない程度に寄せるだけでいい筈だぜ!!それならもっと進入スピードを上げられるぜ!!)」

 

 

 中里はすでに集中的が切れかかっている状態になっており。ハチロクにイン側に入り込ませまいとイン側をキープしようとするもハチロクが仕掛ける。

 

 

 「(ハチロクが外側にラインをふったァ!!インには来ねぇな!!)」

 

 

 ハチロクがイン側に来ないと思ったか、中里はR32を外側に寄せたその時。

 

 

 ヒュン

 

 

 「(さっきまでいたところにハチロクがいない。どこへ行った!?まさか!?)」

 

 

 なんとハチロクはイン側を開けさせようと車を外側に寄せては中里を油断させ、R32がインを開けてすぐさま車をスライドさせてはインベタを押さえつけたのだ。

 

 

 「(しまったァア肝心なところでアンダーを出しちまったぜ!!)」

 

 

 中里はハチロクが仕掛けたトラップに引っ掛かるも体制を立て直してはハチロクの横に並び立つ。

 

 

 「(外へ行くと見せかけておいてブレーキングしながらラインを変えやがったァ!?ハチロクとはあんなことができる車なのかァ!?鮮やかなもんだぜ。だけどこれで勝ったと思うなよ!!このまま並んで立ち上がれば2速全開の加速で俺は前に出れるんだ!!)」

 

 

 中里はストレートでハチロクを抜かそうとするもその瞬間…

 

 

 ズルッ

 

 

 「!!」

 

 

 タイヤが限界に達したのか、R32は急にスライドしてはガードレールに右のリアをぶつけてはその場でスピンする。

 

 

 「ぶつかる!!」

 

 「……(クイッ)」

 

 

 タケルはR32の手前でステアリング操作してはサイドターンしては上手く避けきり、ハチロクの後を追っていった。

 スイスポとの衝突を回避できたか中里はふぅ~とデカい溜め息をしてはその場で落ち着いては勝負を振り返る。

 

 

 「(負けた…。俺とR32がバトルで負けた…?…いや、違う…。負けたのは()だ。R32(こいつ)がハチロクに負けたわけじゃねぇ…)」

 

 

 中里はハチロクに負けたのは車の性ではなく自分自身が未熟だったことに気付くのであった。

 

 

 「(あんな凄い走り屋がいやがるとはな…。ショックはショックだけど不思議とさわやかな気分だぜ。全力を出し切って負けたんだからな…。腕を磨いてもう一度チャレンジするさ)」

 

 

 車から降りた中里はタバコを蒸しては一息ついては気分を落ち着かせ、そのままR32のリアについた凹みを見ては呟く。

 

 

 「痛ってーな。また板金7万円かな…」

 

 

 中里はR32に傷がついたことに落ち込むも、力の限りを尽くしては負けたことに爽やかな気分を感じていたのであった。

 

 

 

 

 

 秋名山 頂上

 

 「オイオイ嘘だろー」

 

 「ホントだって抜かれてスピンするR32を目の前で見てたんだから!!」

 

 「拓海が勝ったァ──ッ」

 

 「「「……」」」

 

 「へ…。へへっ…」

 

 

 「「「へへへ…」」」

 

 

 スタート地点で待機していたスピードスターズの面々は拓海が中里に勝ったという報告を聞いては呆然とし。勝ったのが余程嬉しかったか池谷達は笑いながらその場で不気味に笑いながら喜んでいたのであった。

 

 

 

 

 

 秋名山 麓

 

 スイスポの隣には新旧RX-7が並んでは停まっており。タケルから先程のバトルを録画したビデオカメラを受け取った涼介はその場で録画した映像を見終えてはハチロクの走りを真近で見たタケルと啓介に感想を聞く。

 

 

 「中々良いものが見れたみたいだな。お前達から見てハチロクの走りをどう思ったか聞かせてくれないか?」

 

 

 「凄かったですよ…ハチロクの移動攻撃は。アウトと見せかけてフルブレーキングしながらラインをクロスするなんざ流石としかいいようがなかったですしね」

 

 「確かにな。ハチロクのブレーキはいいよな…。下りのブレーキングでぐいぐいGT-Rを追い詰めるもんな…。物凄く性能のいいABSだよ」

 

 「何言ってんだボケてんなよ啓介。ハチロクにABSが付いてるわけねーだろ」

 

 「え?だって…」

 

 「あれは人間(・・)ABSだ」

 

 「人間ABS?なんすかそれは?」

 

 「……?」

 

 涼介の言うことが理解できないのか二人は頭に?マークを浮かべるも、涼介は人間ABSについて説明をする。

 

 

 「初めからABSが付いてる今の車しか知らない走り屋には…ロック寸前のシビアなペダルコントロールは絶対身につかないだろうな。機械制御のABSは所詮…。研ぎ澄まされた感性を身に付けたドライバーの右足には勝てないさ」

 

 「それじゃあ拓海は、機械制御に頼らずに自分の感覚だけであれほどのブレーキングをしてきたと云うの…。かぁ〜ますますレベルの違いを思い知らされたよ…」

 

 「俺も久々にワクワクしたよ。つくづくあのハチロクは仕留めがいのあるおいしい標的だぜ」

 

 

 タケルが拓海の走りのレベルの凄さを知ったのに対し、涼介はハチロクの凄さを改めて分かったのか、ハチロクに狙いを定めてはこの手で仕留めると決意を露わにするのであった。




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