頭文字D 峠の弾丸   作:ペンギン太郎

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 三週間ぶりに更新できました。
 書いていく際色々と描写を考えてきましたがそれなりに手応えを感じましたので、どうぞご覧ください。

 リアルではスイスポがシビックに敵わないのはわかってますがそこは何卒お願いしますね。


ACT.20 FF最速バトル

 

 秋名山 第一コーナー

 

 

「(いい気になりやがって。B-16Aは世界最高のエンジンメーカーホンダが作り上げた最高傑作だ。本気を出せばスズキのM16Aにスタートダッシュで遅れをとるわけがない!!わざとアクセルを抜いて後ろについたのはテメェをじっくり見物してはじわじわと潰していくためさ。あれだけデケェ口を叩いたんだいくつ(・・・)コーナーをクリアできるか見せてみろよ…)」

 

 

 スタート地点からの初速は馬力で勝るEG6が有利であったが慎吾はわざとアクセルを落としてはスイスポに先頭を譲る。無論手を抜いたのには理由があり、スタート前に侮辱されたのを根に持った慎吾は忌々し気な表情を見せては前を走るタケルのスイスポがミスをしては事故るのを見物する為だ。

 

 

 「(あいつ、スピードを落としては僕の走りを観察してるみたいだね。とりあえずいつも通りに攻めるとするか)」

 

 

 相手側の意図を掴んだタケルは右手が縛られていながらもブレーキを踏み、ステアリングを回しては曲がろうとする。が、

 

 

 「しまった!!どアンダーだ!!」

 

 「(行ったか。くくっ…終わりだぜ)」

 

 「くっ!!」

 

 

 その瞬間、タケルは凍り付く。普段よりもスピードを抑えつつブレーキングしてはステアリングを回すが、ステアリングを回す範囲が限られてる為上手く曲がりきれずアウト側のガードレールに激突しそうになるも、ぶつかる寸前で瞬時にサイドを引いてはアンダーを消し、即座にラインを立て直しては状態を戻す。

 

 

 「あっぶねぇ…サイドを引いたから良かったものの、後数秒操作が遅れていればこいつに傷がつくとこだったよ。やっぱしFFといえぶっつけ本番で攻めるのはまずかったか…」

 

 

 タケルはガムテープデスマッチを受けたことに後悔するも、慎吾の前で大見得切った以上逃げるわけにはいかない為立て直してはバトルに望む。

 

 

 「(ちっ、立て直してきたか。運の良いガキだぜ)」

 

 

 慎吾はスイスポがスピンを免れたのに舌打ちしては悔しがるも後から追っていってはスイスポを揺さぶろうと仕掛ける。

 

 

 「オラオラ。さっきの元気はどこへ行った!!そんなんで俺に勝とうって言うのか!?」

 

 

 調子に乗った慎吾は後ろから煽っては揺さぶりを掛けるも、タケルは後ろのEG6の煽りに動じず、冷静さを保ちながら攻めていくのだがタケルは走っていく内にあることに気付く。

 

 

 「待てよ。確かこのバトルはFFが有利になるようになっているんだからステアリングを切って曲がるよりもオーバー気味に突っ込んではタックインで行ったほうがいいのか…?」

 

 

 走って行く途中でガムテープデスマッチのコツを掴んだか。タケルは右手で縛られているステアリングを極力曲げずにオーバーステア気味に突っ込んでは走り出す。

 その結果、攻略する糸口を掴みガムテープデスマッチをものにしたのか、ステアリングを極力曲げすにタックインでコーナーに突っ込んでは抜け切ったのだ。

 

 

 「(くそっ!!あまりステアリングを切らずにコーナーに突っ込んではクリアしていきやがる!!あの野郎、俺が乗りこなすのに掛かったガムテープデスマッチのコツをほんの少し走っただけで掴んだとでも言うのか!?)」

 

 

 タケルが先程とは打って変わり最小限でステアリングを切りテールスライドを起こしてはコーナーを曲がって行く姿に驚きを見せる慎吾は焦りを見せる。

 

 

 「(どんなにテクニックがある奴でもいきなりでこなせるほどガムテープデスマッチは甘くないんだ。このルールは安全に行こうと思えば思うほど罠の多い蟻地獄のようなルールだからな。俺だって実際にガムテープを巻いて曲がれるようになるまでには…。右手を持ち替えずに走る練習を山のようにやってるんだぜ。面白くねえなァ、ムカつくぜ!!)」

 

 

 慎吾もタケルに続けては突っ込んでいき、アンダーを出してはサイドを引き、上手く消してはスイスポの後ろに付く。

 

 

 「(ただ勝つだけじゃ俺は満足しねーんだよ。何が何でもスイスポを潰さなきゃなァ。事故らせるように後ろからガンガンプレッシャーを掛けてやるぜ!!長い直線(ストレート)ではエンジンのパワーがものを言うぜ。NAの1600DOHCなら世界中探してもホンダのB16に勝てるエンジンはない!!)」

 

 

 シビック(EG6)に搭載されているエンジンB16Aはホンダ独自のVTEC(バリアブル(V)バルブタイミング(T)アンド リフト・エレクトロニック(E)コントロール(C)システム)が施され、高回転に回しては170馬力も出る優れモノでテンロクの車においては随一を誇ると言っても過言でないのが特徴である。

 

 

 「レッドゾーンまで一気に吹けるこの音…この陶酔感!!死ぬほど良いぜ堪んねえっ!!」

 

 

 EG6は直線(ストレート)でスイスポに並び立つやタメを張るも、そのままアクセルを緩め再び後ろに着き、スイスポに前を譲り。揺さぶりをかけようとヘッドライトを点滅させてはスイスポを煽っていく。

 

 

 「もっと焦った方がいいぜオラオラ!!ガンガン攻めてみろォ!!」

 

 「野郎、その気になれば余裕で抜けるとアピールしてきやがったなぁ…。自分が有利だからって裏からチカチカとライトを点滅させてはプレッシャーを掛けやがる。走り屋の風上にも置けないことを…!!」

 

 

 後ろから煽ってくるEG6にタケルは苛立ちを見せるが冷静さを欠いたら相手の思うツボになる為一呼吸しては運転に集中していく。

 

 

 

 

 

 タケルと慎吾が峠を攻めていってるその頃、池谷は助手席に健二を乗せタケル達の後を追っては事故を起こしてないか心配しながら走っていた。

 

 

 「コーナー抜ける度に心臓がドキドキするな。いきなり目の前に壊れたタケルのスイスポが現れるような気がして…。このまま何もないままいってくれればいいけど」

 

 「ここまで相当の数のコーナーを回ってきたけど…。タケルの奴、事故らないで走り続けてるんだよな…よく走れるよなあいつは…」

 

 「全く驚かされるぜタケルの奴には…。普通車ってのはハンドル切って曲がれるものだと思ってるからなー」

 

 「もしかすると無事に行けるんじゃねえのか…池谷」

 

 「そう願いたいんだけど…嫌な予感がして堪んねーよ。あのナイトキッズのEG6。あれだけタケルにコケにされたんだ、黙ってる筈がねえからな」

 

 

 池谷は慎吾がバトルの途中でタケルに何か仕掛けてこないか不安になるも、一刻も早くタケルと合流しようと車を飛ばして行く。

 

 

 

 

 

 その一方タケルはというと。車を走らせていく内に手応えを感じたか、右手がガムテープで縛られているにも関わらず車を乗りこなしていた。

 

 

 「(ようやくこいつの走らせ方が分かったよ。こいつはステアリングを大きく曲げて走るよりもあまり切らずに突っ込んでは荷重移動で流せばいいだけだったんだ…。)」

 

 

 「(何故だ!?プレッシャーを掛けても乱れねえ。走り始めた当初はヨタヨタしていた筈が…。短時間の内に別人のように走りに鋭さが増していく!!)」

 

 

 予想外にもスイスポの挙動がマトモになってはキレのある走りをしている姿に驚く慎吾であった。ガムテープデスマッチは慣れるのにかなりの時間と手間を要するがタケルは持ち前のセンスを発揮しては最小舵角で曲がる術を物にし、ガムテープデスマッチのコツを掴んだタケルはスイスポを完全に乗りこなしては突き進むのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「来るぞ、もうじきだ。二台とも潰れてないようだな」

 

 「ふっ、もしここまで来れないようなら俺の見込み違いか…。あのスイスポは俺のターゲットにならない」

 

 

 ガムテープデスマッチを観に来ていた高橋兄弟はスイスポとEG6が来るのを待ち構えており、スキール音が近づいては二台が迫ってくるのを見る。

 

 

 「ヤバい、上がってくる奴がいるぞ!!」

 

 

 スイスポはコーナーに入る直前で対向車とすれ違うも、センターラインをはみ出さないようリアを振ってはコーナーを躱し、立ち上がっては突き進んでいく。

 

 

 「(マズイ、対向車だ!!)」

 

 

 対向車が来るのに気付いたかタケルはサイドを引いてはリアタイヤをロックさせ、荷重移動で車体を動かしては対向車を躱しすぐさまライン線に立て直す。

 

 

 「なっ…半分の車線だけでセンターラインをはみ出さないようFドリで曲がっていきやがった…!?。FFでドリフトするなんざあの野郎…一体どこであんな技を覚えやがったんだ…」

 

 「そうだな。Fドリという難易度の高いテクニックを平然とやってのけるとは中々だ。しかも、対向車とのすれ違いにも全く乱れない」

 

 「本当にガムテープで縛ってるのか?とっくの昔に剝がちまったんじゃないのか…」

 

 「おそらくあいつはかなり早い段階でこのデスマッチのコツを掴んだ。ステアリングに頼らなくても荷重移動でコーナーを攻めることができる。あいつは短時間でそれを覚えた…」

 

 「ったくなんて野郎だ。ハチロクといい秋名には常識では計り知れねえ化け物がゴロゴロいやがるぜ…」

 

 「そうだな。奴は間違いなく進化している…」

 

 

 高橋兄弟は目の前を通り過ぎ去って行ったスイスポを見てはタケルが前回よりパワーアップしてると感じ取ったのであった。

 

 

 

 

 

 「(ったく飛んでもねえ食わせ者だぜ。あそこまでやられちゃもうまぐれじゃねぇ…けど俺は毅ほど甘くねぇぜ!!勝ちゃあいいんだよ!!どんな手を使ってでもなァ!!)」

 

 

 慎吾は卑怯な手を使ってでもスイスポに勝とうと躍起になり、次のコーナーへ入るやスイスポの後ろに付く。

 

 

 「そっちじゃねーよお前が行く方向は…。反対だろ」

 

 

 ゴツン

 

 

 「なっ!?」

 

 

 EG6は後ろからコーナリングする直前のスイスポの後ろにつき、バンパーをプッシュしてはスピンさせそのままの勢いで抜かしていく。スイスポはスピン状態から360度ターンしては何事もなかったかのように走り始める。

 

 

 「(つくづく運の良いガキだぜ。高速コーナーなら間違いなくお陀仏になってただろうに…。まぁいい、この勝負俺の勝ちで決まりだな。くくっ、あのハチロクの悔しがる顔が目に浮かんでくるぜ)」

 

 

 まだ勝負が決まってないにも関わらず勝ち誇ったような顔を見せる慎吾。だが、タケルは先程の卑劣な行為にとうとう切れたか。ぶつけてきたEG6を見るやさっきまで虚ろな表情とは打って変わり、怒りを露わにしては言う。

 

 

 「ふざけるなよ…。バトルとはいえ、コーナリング中にプッシュを仕掛けるなんて卑怯な真似をしてくれたなぁ…」

 

 

 

 

 

 「お前のようなクズは…絶対に許さないからなぁ!!」

 

 

 完全に頭にきてしまったか、タケルはアクセルを極限まで踏み込んではM16Aを限界寸前まで回し。走っていく際縁石に乗り上げてはコーナーを抜け、途中フロントがガードレールに当たるもそれを無視してはEG6の後を追う。

 

 

 「(近づいてる…スイスポがグングン差を詰めてくる。こんなバカな!!俺のEG6はナイトキッズ下り最速だったろ。これ以上は攻め込めないギリギリで走っているのに…。一体何が起こってるんだ。恐ろしいぜ…ダウンヒルアタックがこれほど怖いと感じたことは今までもなかった!!)」

 

 

 後ろから迫ってくるスイスポの走りに恐怖を感じた慎吾は焦りを見せるがスイスポとの距離が縮まっては後ろに張り付かれる。

 

 

 「貼り付かれた!!こんなバカな…俺らが普通に考える速いとか遅いとかのレベルとは根本的に何かが違う。あのスイスポ…何か変だ!!」

 

 

 そう言ってる間もなくスイスポはEG6の後ろに付いては距離を縮めていく。

 

 

 「(完全に追いつかれた…!!信じられないぜこのクラスではシビックは最強だ!!それがスイスポに追い詰められるなんて…!!)」

 

 

 慎吾は性能が上回ってる筈のEG6がローパワーであるスイスポに追いつかれては冷や汗をかく。

 

 

 「どんなに上手い走り屋でも攻め込めばコーナー入り口で一度や二度はアンダーを出すぜ。サイドも引かずに最小限の舵角で思いどおりに車を曲げることができるなんて…荷重移動の技術って奴は極めればここまで来るものなのか!?」

 

 

 先程まで自分がスイスポを追い詰めたつもりが、今では逆に自身が追い詰められたことに慎吾は苛立ちを見せる。

 

 

 「(くそったれが!!あいつの右手のガムテープ解けたんじゃねえのか!?)」

 

 

 

 

 

 慎吾がやけになっては走りに乱れが生じる中、タケル達が走っている道路の前にナイトキッズのリーダーの中里が二人のバトルを観ていた。

 

 

 「(並のドライバーならキレたら最後、ミスを繰り返しては速く走れない。だがあの斎藤とかいうガキはキレる寸前の領域に達していながらも持ち前のドライビングセンスで車を完璧にコントロールしていやがる。つまりあのガキはキレればキレるほど内に秘められた能力を発揮する進化型のドライバーだってことだったんだな。どうやらこの勝負は決まったみたいだな…慎吾)」

 

 

 慎吾ではタケルを相手にするには荷が重いと思ったか、中里は慎吾が負けると判断しては勝負の行方を見届けるのだった。

 

 

 

 

 

 勝負は後半セクションへと入って行き。連続ヘアピンへと入る。

 

 

 「(食いつかれたって抜かせなきゃいいんだ!!この連続ヘアピンをクリアすればもうゴールは近いぜ、バトルは俺の勝ちだ!!)」

 

 

 しかし、一個目のヘアピンに入ってはスイスポが後ろから攻め入ってはEG6の横に再び並び立つ。

 

 

 「(まさか…!?さっきの仕返しにぶつけてくる気かァ!?やばいぜあのガキ切れてる…!?)」

 

 

 慎吾は今度は拓海が自分に仕掛けてくるのではないかとびびっては車を外側に寄せる。

 だがタケルはEG6に当てるような真似はせず、イン側の溝にタイヤを落とし込んではヘアピンを抜けきり、EG6を抜き去ってみせる。

 

 

 「(くっそおおおーっ!!てっきりぶつけられると思ってびびっちまったぜ!!それにしても今のコーナリングは何だ!?どう見てもオーバースピードなのにインベタでスコーン(・・・・)と行きやがったァ!?)」

 

 

 慎吾の予測は的中していた。タケルが慎吾の前でやってみせたのは拓海の十八番である『溝落とし』で、仕組みは涼介から聞いては密かに練習をしていたのだがタイミングがズレてしまえば最後足回りがイカれてしまう為本番で使ったのが今日初めてであったのだ。

 

 

 「(ぶっつけ本番でやった溝落とし…。ここで上手く決まるとは思わなかったよ…。でもこれで奴を引き離すことができたんだ。後はコーナーからの立ち上がりで勝負を決めに行くとするか)」

 

 

 タケルはEG6とのバトルをする上で徹底的に調べ上げてはスイスポがEG6に勝る唯一の箇所であるトルクの太さで決着をつけようする。

 スイスポは馬力ではシビックには敵わないが低速域からの加速力においてはシビックを上回る為、コーナーからの立ち上がりてスイスポはEG6との距離を広げては差をつけていく。

 

 

 「(あのスイスポ、コーナーの出口から出る際スイスイと抜けていきやがる!!FFでは最速を誇る俺のEG6がコーナーからの立ち上がりでスイスポに負けてると言うのか!?)」

 

 

 EG6はコーナーからの立ち上がりで引き離されては差を広げられ。この勝負はもう決まるのも時間の問題であった。

 

 

 

 

 

 「(こっちから仕掛けたガムテープデスマッチじゃねえか!このまま負けたら俺はあのガキに笑われるだけに飽き足らず、チーム中でも居場所が無くなる。例え引き分けに持ち込んでも俺のメンツは保ってみせるぜ)」

 

 

 バトルに勝てないと判断した慎吾は高速コーナーに入ってはスイスポと並び立とうとする。

 

 

 「(ん?あのEG6、さっきよりかは動きがおかしくなってきたぞ。何をする気なんだ?)」

 

 

 EG6が不審な走りをしているのに気付いたか不安視するもその予感は当たっており。慎吾は引き分けに持ち込ませようとスイスポとの共倒れを狙っていたのだ。

 

 

 「(このバトルの結末は…)」

 

 

 

 

 

 「ダブルクラッシュと行こうじゃねえか!!」

 

 

 慎吾は車体をスイスポにぶつけようとしたその時、

 

 

 ギャアーーン

 

 

 危険を察したかスイスポはアクセルを全開にして抜けきっては空振りになり。その結果、EG6が車体をガードレールにぶつけては半回転し、再びガードレールに当たっては左側のフロントとリアバンパーをやっては自滅してしまうのだった。

 

 

 「なんてバカなことを…。勝ち目がないのなら素直に負けを認めれば良かったのに。最早あいつは救いようがないね」

 

 

 バックミラー越しにEG6が自滅しては車をクラッシュさせてしまった姿を見るも車を停めることもなくそのまま突き進んで行ってはゴール地点である麓へと下って行き。勝負の結果は慎吾が自滅しては走れなくなった為タケルの勝利で幕を閉じた。

 

 

 

 

 

 「俺の…EG6…」

 

 

 自分の車を自らの手で傷付けてしまったことにショックを受けたか、慎吾は衝突からのキックバックで痛めてしまった右手を左で抑えつけながら傷ついたEG6を悲しげに見つめ。後から追ってきた池谷達が合流しては慎吾に状態を尋ねる。

 

 

 「ウワーッやっちまったのか!!お前、大丈夫かケガは!?」

 

 「…ぶつけた時キックバックで右手を…やっちまったみたいだな…」

 

 「そうか。乗れよ…助手席。病院まで行ってやるから救急車呼ぶよりずっと早いぜ」

 

 「そこまでしてもらうわけにはいかねえな…。俺は動けねーから電話だけしてくれればそれでいい…」

 

 

 慎吾のあまりにもの酷い有り様に池谷は心配そうな顔をしては腕を痛めた慎吾を病院に連れて行こうと車に乗せようとするも、慎吾は今までやってきたことに罪悪感を感じては池谷からの気遣いを断る。

 

 

 「無理すんなよ痛いんだろ。ここは俺らに任せていいから…」

 

 「遠慮すんなって事故った時はお互い様だろ。俺ら地元だから救急病院知ってんだ」

 

 「すまん…恩にきるぜ」

 

 

 慎吾は池谷の優しさに感謝の言葉を口にしては車に乗せてもらい、近くの病院へと連れ行かれ、後日タケル達の立ち会いの元でイツキに車をぶつけたのを謝罪したのであった。

 

 

 

 

 

 鈴木自動車工場

 

 

 ガムテープデスマッチにて勝利を手にしたタケルは秋名山を後にするや車を見てもらおうと政志の工場へと向かっていき、工場の前については車を停める。

 

 

 「おじさん、いる〜?」

 

 「おう戻ってきたか。その様子じゃ無事だったみてえだが勝負の結果はどうだったんだ?」

 

 「当然勝ったに決まってるでしょ。開始した当初は苦戦したけどガムテープデスマッチのコツを掴んでは相手のEG6をぶち抜いたんだからね。あ、そうそう。戻ってすぐで悪いけど走り終えたこいつ(スイスポ)を見てもらってもいい?」

 

 「全然構わねえぞ。っと言いたいところだがなタケル、後ろを見てみな」

 

 「へ?」

 

 

 

 

 

 「タ〜ケ〜ル〜!!」

 

 

 政志の指差す方に振り向くと、そこには不動明王が立ちはだかるかのように姉の遥香が仁王立ちしていたのだ。

 

 

 「ね、姉ちゃん。どうしてそんなに怒ってるのさ?僕が一体何をしたと…」

 

 「どうしたもこうしたもないでしょ。さっき池谷君から聞いた話じゃあんた、ガムテープデスマッチに挑んだんだってね…」

 

 「あ〜そのことか。心配ないよ、バトルには勝ったしこの通りケガはしてないんだから全然問題ないでしょ?」

 

 「そう、勝ったんだ。良かったわね。

 

 

 

 

 

 じゃないでしょ!!お姉ちゃんがどれだけあんたのことを心配したかわかってるの!?少しは反省してよね!!」

 

 

 「ご、ごめんなさい…」

 

 

 遥香は怒鳴り声を出しては弟のタケルに怒号を上げ、完全にぶち切れた姉を前にしては逆らえないからかタケルはその場で正座しては姉の説教を受ける。

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 「それに何よこの傷は!!折角政志さんがくれた車に傷つけるなんて何バカなことをしてくれてるのよ!!」

 

 「え?…ああ!!いつの間に傷がついたんだ!?」

 

 

 遥香に言われるや先程まで乗っていたスイスポを見てみると、右側のフロントには僅かだが小さめの打痕がついており、それを見ては驚愕する。

 

 

 「まさかこれ、あの時EG6にぶつけられた時についたんじゃ…」

 

 「いや、こいつは見るからにお前自身が車をぶつけてはつけたヤツだな、大方コーナリングした際ガードレールに擦れてはついちまったところだろ」

 

 「え?そうなの、おじさん?」

 

 「まぁこれくらいの傷なら板金に出せば元通りになるから心配する必要はねえがそれなりの額は覚悟しておかねえとな」

 

 「えぇ~またバイトして稼がないといけないのぉ…、この間ようやくチューニング費用を払い終えたばっかなのに…。でもまぁそれくらいどうとでもなる…」

 

 

 「それくらいじゃないでしょ!!もう二度とこんな危ないことはしないでよね!!次やったらこの車は没収するんだから!!」

 

 

 「そんなぁ…僕からスイスポを取ったら一体何が残るっていうんだよぉ…」

 

 

 何はともあれガムテープデスマッチを制しては無事に帰ってきたタケルであったが。遥香から厳しい説教を受けては車が戻ってくるまでの間、修理費用を稼ぐため翌日以降はバイトに明け暮れる日々を過ごすことになるのであった。




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