軽井沢駅舎前 夕方
「ありがとう、今日は楽しかったです」
軽井沢にてデートを満喫した池谷は駅の入り口前まで歩いては真子とのお別れの時を迎えるのであった。
「あ…あのさ真子ちゃん」
「はい」
「真子ちゃんってその…今付き合ってる人とかってその…いるの…かな?」
「私…彼氏いないんです」
「!!」
ちぐはぐしながらも池谷は勇気を振り絞っては真子に付き合っている男がいるか尋ねると、なんと真子から返ってきたのはまさかのフリー宣言で。池谷はまだ脈があると思ったのか目をパッと見開いては真子を見つめていく。
「だから…また、電話してくださいね池谷さん」
真子はその場で一礼しては駅舎の中へと入っていき、池谷は過ぎ去っていく真子を見送るや感激のあまり大泣きしては意識が飛ぶのだった。
30分後
「おい池谷、聞こえるか?」
「池谷先輩、気を確かに」
「あ~ダメだこりゃ。完全に意識が飛んでは気絶してますね」
池谷が意識を飛ばしては独りでに佇んでいたところをタケル達が呼びかけては池谷の状態を確認するが、未だに意識が戻っておらず池谷はボーっとしては佇むのだった。
「タケル、すまないが池谷を起こしてやってくれ」
「了解。池谷さん、いい加減目覚ましてください…よ!」
「いだだだだだァ!!なんで俺は関節技を掛けられてるんだ!?」
先程まで意識が飛んでいた池谷はタケルにコブラツイストを掛けられてはようやく意識を取り戻す。
「ってぇ~こんなに強烈な技を掛けられるなんざ久々だぜ…。ってかまだいたのかお前ら!?」
「いやァ、先輩が心配で帰るに帰れなかったんですよ~」
タケル達は池谷を放って帰ることができなかった為、真子とのデートが終わるまでの間軽井沢に残っていたのだ。
「で、どうだった上手くいったか?」
「あっはっはっは、いやぁ~今日はいい日だァ!!じゃ、飯でも食ってくか久し振りに俺の奢りで。次いでに碓氷の連中の走りがどんなものか見ておくのも悪くはないぜ!!」
「その様子からして無事に終わったみたいですね」
「奇跡って…あるんだなァ…」
あまりにもの機嫌が良かったのか池谷は嬉しそうな顔をしては大笑いし。それを見たタケル達は上手くいったと察するのであった。
「ところでタケル、お前確か結衣ちゃんと一緒にデートしてたんだよな。彼女はどうした?」
「それが…、今晩一緒に碓氷峠の走り屋を観に行こうと結衣さんが家に電話を掛けたんですよ。そしたら…」
1時間前
「えぇっ!?結衣さんの母親がギックリ腰になったぁ!?」
「うん、お父さんが今晩仕事で出ているからお家にはお母さんしかいなくてね。だから折角碓氷峠へ行こうとしたところ申し訳ないんだけど高崎に帰らないといけなくなったの」
「そうかぁ、まぁ家に誰もいないんじゃ結衣さんが戻って見てあげないといけないしね…」
結衣が突如高崎に戻らないといけないことになったと聞いてはショックを受けるも。落ち込んだところでどうしようもない為、タケルは気を取り直す。
「本当にごめんなさい。私、どうしても早くお母さんのところへ帰らないと」
「いいよ気にしなくて。今から駅まで送ってあげるから早くお家に帰ってはお母さんを見てあげなよ」
「ありがとうタケル君、このお詫びはいつか返してあげるからまた今度誘ってね」
急遽自宅に戻らないといけないことになってしまった結衣はタケルの車で駅まで送ってもらいそこで別れてしまうことになったのだった。
「というわけで、結衣さんは先程電車に乗っては高崎へと帰っていきました…」
「あちゃ~それは気の毒なこったな。まぁ親御さんが体を悪くしたんじゃ帰らないといけないのも頷けるしな。性がない、今晩は俺達だけで碓氷峠へ行っては楽しもうとするか」
池谷はタケルを慰めては落ち着かせ、四人に晩飯をご馳走しては今晩碓氷峠へと行っては碓氷峠最速のシルエイティを観に行くことにした。
碓氷峠 夜
ギャアアア
夜遅くの碓氷峠では地元の走り屋達が車を走らせてはドリフトをしていき、それを見に来た秋名の走り屋であるタケル達は碓氷峠を走り込む車のレベルの高さに驚くのであった。
「おお……!!」
「上手いもんだなぁ。どの車も碓氷ではレベルが高いもんだぜ…」
「そりゃあ碓氷峠はあのドリキンが走ってたのもそうですけど、昔はキャロッセがこの場所を取り仕切っていたのもありますからね」
「キャロッセ?それって碓氷峠にいる走り屋のチームなのか?」
「違うよ。キャロッセっていうのは高崎にある老舗のチューニングメーカーのことで、主にクスコブランドという駆動系や足回りに特化したチューニングパーツがモータースポーツでは幅広く取り扱われているんだ」
「そうなんだ。でもキャロッセというメーカーが碓氷峠とどう関係があるっていうんだ?」
拓海とイツキはキャロッセがなんなのか知っていないのでタケルが説明をしていく。
「これはドリキンの自伝に書いてあったんだけど、昔はキャロッセが碓氷峠を縄張りにしていては余程腕に覚えがある人しか走らせてくれなかったらしいんだ。だからドリキンも認められるまでは他所の峠で練習を重ねていっては当時チャンピオンだったラリードライバーをやっつけてはようやく走らせてもらえたって」
「なるほどなァ、碓氷峠はコースとしての難易度がめちゃくちゃ高いし、下手に事故を起こせば二度と走れなくなるどころか命を落とす危険性もあるから走る奴の人選やマナーを徹底するのも頷けるよ」
「だったらよォ、その風習がまだ色濃く残っているのだとしたら俺達みてえな半端者は絶対ここを走らせてもらえないんじゃねえか?」
「それは言えてますね。何しろこんな狭い峠道を走り込みもせず全開で突っ走ったら最後、一気に谷底へ真っ逆さまですから」
池谷達は碓氷峠がどれだけ恐ろしいコースなのか危険を感じつつある中タケルだけはウキウキしては碓氷峠を走りたいと思っていた。
「なァ拓海、お前さ秋名以外の峠って初めてなんだろどうだった?」
「どうって言われても…自分でハンドルを握ってたわけじゃねーからよくわかんねーよ」
「そうか?それにしちゃあやけに
「そう?」
「今の目とは全然違うよ同じ人物とは思えねーよ。どうなんだ走れそうか?」
「そんなの走ってみなきゃわかんねーよ…」
イツキが顔を近づけては拓海を問い詰めるが拓海はまだ走った経験がない為自分でもどうだか分からないと返す。
「来た!!」
「シルエイティだ!!」
池谷達が叫ぶや上り方面からは青い車体の車がスキール音を響かせ猛スピードで降り。タケル達の目の前を逆ドリフトで横切っては更にケツを振らせ、再び逆ドリフトでコーナーを抜けきっては走り去っていくのだった。
「連続逆ドリフト!!」
「なんだありゃ!?」
「どうやらあのシルエイティが
「(凄い…上手い!!)」
タケルは目の前でドリフトをしたシルエイティの走りを見てはその走りを分析し、拓海もあまりにも高度な走りに感化されたか真剣な目つきで見ていく。
「見たかよ今の…」
「道路が狭いだけにド迫力!!女の子が転がしてるなんて信じらんねーよ」
「それだけ世界は広いってことですよ。関東にはあれぐらいの走りができる人はたくさんいますしね。ん?池谷さん、どうかしましたか?何か戸惑っているみたいですけど…」
「い、いや大丈夫だ。なんでもない…」
「はぁ…」
「(真子ちゃんに調子こいてドリフトが得意だなんて言っちまったけど、本当はまだケツが流れるとパニクっちまうんだよなァ。このままじゃヤバい!!
シルエイティの走りの凄さに驚愕する池谷はデートの際真子に大見得を切ってしまった故焦りを募らせていくが、いいとこを見せないと思ったのか急にやる気を出し始める。
「このまま下って帰ろう…」
「ああそうだな…」
「どこの峠にも凄い奴はいるもんだなー」
「……」
急遽帰ることにした池谷は車に乗り込むや、健二とイツキも池谷に合わせては乗ってきた車に乗ろうとするが拓海一人だけはシルエイティが走り去っていった方角を強い眼差しで見つめていた。
「どうした拓海?さっきのシルエイティがまだ気になるのか?」
「いや、あの青い車…なんとなくだけどかなり腕の立つ人がハンドルを握ってるんだなって」
「ほほぉ~拓海がそこまで言うってことは、あのシルエイティに乗ってた走り屋はめちゃくちゃ凄いってことになるね」
タケルは拓海の言う事に頷きつつも、池谷達が帰ろうとした為拓海をスイスポに乗せては碓氷峠を去ることにした。
「池谷さん、先程の走りに影響されたのかやけにスピードを出しては飛ばしてるなぁ…」
碓氷峠を下りていく途中、池谷のS13が先頭を走ってはタケルのスイスポと健二の180が後を追うもその走りにはフラつきがあった。
「離れていったほうがいいよタケル。なんかリズムが悪いっていうか、変だよ池谷先輩の車…」
「え?確かに池谷さんの走りは今までと違って妙に落ち着きがないっていうか…うわっつ!!」
拓海に言われては車のスピードを緩め距離を開けると、拓海の予想が的中し。池谷は運転操作を見誤ったか車をスピンさせては道路を塞いでしまうのだった。
「あちゃ~リアを出すのにビビッては急にアクセルを抜いてしまったかぁ…。そのせいで車をスピンさせてしまうなんて情けないにも程があるよ…」
「タケル、前から対向車が来るぞ」
「げっ!?さっきのシルエイティじゃないか!!」
タケルが池谷の不甲斐なさにため息をついたその時、前からは対向車がヘッドライトを灯しては近づいてくるもシルエイティはぶつかる寸前でブレーキを掛け車を急停車させては衝突を免れた。
「ちょっとォS13のおにーさん、早くどいてくれないと他の車がドンドン来てあぶないよー」
「すいません。今どきますからー」
シルエイティのナビシートに座っていた女性がドアミラーを開け顔を出してはすぐさま道を開けるよう注意してきたので、池谷は言われるがまま車を動かして姿勢を立て直しては横切ろうとする。
「どうも本当にすいませ…えっ」
「……」
池谷がシルエイティに乗っているドライバーに謝ろうとするや、なんとシルエイティのステアリングを握っていたのは昼間にデートしていた真子であり。知られてはいけない事実をバレてしまったか真子も池谷と遭遇しては動揺する他なかったのであった。
「タケル。あの人って確か…」
「噓だろ。碓氷峠最速の走り屋が真子さんだったなんて…。こんな形ですれ違うなんざ最悪としか言いようがないよ…」
翌日 タケル 自宅
『えぇ!?真子さんが碓氷峠で一番速い走り屋だったの!?』
「そうなんだよ。池谷さんは物凄いショックを受けたのか帰り際にドライブインした時も心あらずな状態になっていたんだ」
碓氷峠でシルエイティと遭遇した翌日、タケルは昨日の出来事を電話越しで結衣に伝え。池谷は昨日の夜、真子と悪い形で再会したのがショックだったのか意識が完全に飛んでは放心状態になってしまっていたと伝えるのだった。
『池谷さんからしたら運がなかったとしか言いようがないわね。それで、二人はどうなったの?』
「それに関してはまだ不明だけど、一応真子さんの電話番号は分かっているから後でこっちから話を聞いてみるよ。そうだ、結衣さんの方はどうだったんだ?」
『私の方は家に帰ってすぐにお母さんを高橋先生のお父さんが経営している病院に連れていっては診てもらったんだけど、しばらくの間安静にしていれば問題ないって言ってたわ』
「そっか、お母さんが無事なら尚更良かったね」
『でもあの後、お母さんを見てあげるよう先生から言われてしばらくの間だけ外出が制限されちゃったの。だから次に会うのはいつになるか私にもわからないわ』
「それは残念だなぁ、まあ然程時間が掛かるわけじゃないんだし結衣さんが都合がいい時にまた連絡してくれたらいいよ。じゃあ僕はこの後真子さんと話をするからまた今度電話してね」
『うん、タケル君の方から二人によろしく伝えといてね』
そう言って電話を切るや、タケルは早速真子から受け取ったメモに書いてある番号を入力しては真子に電話をする。
プルルルル ガチャ
『もしもし、どちら様でしょうか?』
「あ、真子さんですか。昨日お会いしたタケルですけど」
『タケル君…。丁度良かった、あたし渋川市に来ているんだけど今から会えないかしら?』
なんと真子はどういうわけか渋川市に来ており、タケルに会えないか確認を取ってきた。
「今からですか?ちょっと待ってください…。うん、大丈夫です。丁度今空いてますので問題ありません」
『そう良かったァ。じゃあ私は秋名湖に向かうからそこで落ち合いましょう』
「了解しました。僕も今からそっちに向かいますので先に行って待っといてくださいね」
そう言い残して電話を切るやタケルは早速秋名へと向かう準備をすることに。
「(もしかして昨日のことを謝る為にわざわざ来てくれたのか?とりあえず会って話をしてみないと)」
真子と急遽会うことになった為、タケルは自宅を出てはガレージに停めてあるスイスポを動かし真子が向かったであろう秋名湖へと飛ばして行くのだった。
秋名湖
真子が待ち合わせ場所に指定した秋名湖へと着くや真子が乗ってきたであろうブルーのシルエイティを見つけては近くに停め。タケルは辺りを見渡しては真子がどこにいるか探していく。
「あ、いたいた。真子さん、待たせてしまってすみませ…」
真子を見つけ出しては声をかけようとするも、真子の目の前にはどういうわけか池谷が立っていては真子と対峙していた。
「話があるって何?俺のことをからかってるというのならもうやめてくれ…」
「違います。からかってるなんてそんな…」
「(…なんだろう、なんか声かけにくそうな雰囲気だしひとまず話だけでも聞かせてもらおうかなぁ)」
タケルは二人にバレないよう咄嗟にボート乗り場の小屋に隠れては二人の会話を盗み聞きすることにした。
「あんな凄い車に乗っているなんて…。俺見てたよあのシルエイティが凄いドリフトで目の前かっとんでくとこ…碓氷最速って言われてるんでしょ?それならそうと一言ぐらい言ってくれれば…」
「(やっぱり昨日のことが余程効いては惨めな気持ちになっていたんだ。そうでなきゃ帰り際にあんだけ車を飛ばしたりはしないしね)」
「ごめんなさい…」
真子は池谷に詫びを入れては黙っていた理由を話し始める。
「騙すつもりはなかったんです…。昨日のことはあたしにもショックで、やっぱり本当のことを言わなきゃって思って…」
「本当のこと?」
二人は場所を変えベンチに座っては話の続きをしていくことに。
ちなみにタケルはこっそりと二人の後をつけ、そこら辺の草木に身を潜めては話を聞く。
「あたし、本当は地味な性格なんです」
「地味?信じられないなーあんな派手なドリフトする人が…」
「あれはハンドル握ると人格変わる人っているでしょ。あたしもその口なんです」
「(なるほど、真子さんは拓海と同じタイプの走り屋だったってことか)」
密かに隠れては盗み聞きしているタケルは真子が拓海と似た系統の走り屋だと聞いては意外そうにする。
「いくら速く走れても男の人は恋愛の対象として見れくれないし、そろそろ終わりにしなくちゃいけないと思って…もう決めたんです。今年の夏に走り屋をやめます」
「え?」
「(噓でしょっ!?そこまで言うからには本当にやめるつもりなのか!?)」
真子は池谷に走り屋をやめると宣言するやその場で立ち上がっては池谷にある頼みをする。
「最後の夏の思い出にタケル君と秋名の
「……」
「それがあたしの望みなんです。もしそれがかなえてもらえるなら真子は、池谷さんにバージンあげます!!」
「(ま、真子さん…いくら僕と拓海を相手に勝負をしたいとはいえ、池谷さんに処女をあげるなんて恐ろしいことを…!!)」
最後の相手としてタケルと拓海にバトルをさせてくれるよう真子はお願いし。自分の望みを聞き入れてくれるなら女性としての初めてを池谷に渡すと言いその目は本気であった。が、池谷は唐突な発言に驚きながらも冷静を保ちながら話をする。
「ちょっと待った。よしてくれそんな話…。ハチロクはまだわかるとしてどうしてタケルとバトルをしたいと…?まさか真子ちゃんはタケルのことを…!?」
「はい、タケル君がハチロクと同じ秋名で最速を誇る『秋名の弾丸』だということは昨日彼がスイスポに乗ってきたのを見て薄々気付いていました…。秋名でスイスポに乗っている走り屋はタケル君しかいませんので。ダメなんですかあたしじゃ?」
「そうじゃない。あいつらは俺の友達だから、そんな取引みたいなことできねーよ…」
「(よーくわかった…。真子ちゃんの目的は俺なんかじゃなくあの二人だったんだ…。そりゃそうだ…そうでもなきゃこんな可愛い子が俺なんかに興味を持ってくれるわけないもんな…)」
仲間を売るような真似はしたくないと池谷は真子からの頼みを断ろうとするが、戸惑いを見せながら考えては真子の願いを聞き入れることを決意した。
「わかった。できる限りのことをやってみる」
「ホントですかァ!?」
「ただし勘違いしないでくれ。俺は見返りが欲しくて真子ちゃんに協力するわけじゃないんだ…」
「池谷さん…」
「俺は…真子ちゃんが望むようにしてやりたいだけだから」
「(池谷さん。いくら真子さんの為とはいえそこまでやるなんて…流石ですね池谷さんは)」
池谷が拓海達と話をつけると言って走り去っては真子一人だけが秋名湖に残り。真子は悔やむ気持ちを押し殺してはその場で立ちすくむしかなかった。
その様子を草むらに隠れながら聞いていたタケルはどうやって真子に向かおうか考えくねていたその時、
ピリリリリ
「誰!?」
「わわっ、携帯をオフにするの忘れてた!!」
「タケル君!?いつからそこにいたの…」
「す、すみません。ついさっき来たばかりでして二人の間に割って入るわけにはいかないと思いつい隠れてしまいました」
「そう…さっきの話を聞いていたのね…」
「はい…」
ズボンに締まっていた携帯が鳴り響いては隠れてたのがバレてしまった為タケルは観念したかのような顔を見せては真子の前に出ては互いに行き詰まったか静寂が流れ、真子は沈黙を破ってはタケルに話す。
「あたしね、走り屋になろうとしたのはある人の走りを見たのが始まりなの」
「ある人?」
「タケル君は『赤城の白い彗星』って走り屋を知ってるよね?今は赤城を拠点に活動するFCに乗ってる人なんだけど…」
「FCに乗っている赤城の走り屋…?あぁっ!!ひょっとして真子さんが憧れていた走り屋ってレッドサンズの高橋涼介のことですか!?」
「ええ。あたしは元々車に興味のない普通の女の子だったんだけど、先輩に連れられて峠に行った際涼介さんの走りに魅了されてね。それを気に運転免許を取っては必死にドラテクを磨き続けてきたんだ」
真子が密かに憧れていた走り屋が赤城レッドサンズのリーダー高橋涼介だと知っては驚くも、涼介とは過去に秋名で対戦した経験があったからか真子が涼介に憧れを抱くのも無理はないと悟るのだった。
「そうでしたか…。確かに高橋涼介の走りは凄いですし真子さんが憧れるのも無理はありませんよ。実際、勝負を挑んだ僕でさえ全く敵いませんでしたからね」
「タケル君、涼介さんとバトルをしたっていうの…!?」
「そうなんですよ。今年の夏にスイスポを手に入れた時、調子に乗っては秋名で涼介さんのFCにバトルを仕掛けたんですよ。当然勝負の結果は負けてしまいましたけどね」
夏休みに入る直前でスイスポを手に入れ、初めて秋名山を走ってはこっぴどくヤラれてしまったことを思い出しては苦々しそうな顔をする。
「そうだったの…。まさかタケル君が涼介さんとバトルをしてたなんて…」
「でもまぁ今となってはいい経験になったと思ってますよ。あの敗北があったからこそ車の走らせ方を意識し始めたからね」
「……」
「それで真子さん、さっき池谷さんに最後の相手として僕と秋名のハチロクとバトルをさせてくれるようお願いしましたけど…。どうして僕達を選んだか聞かせてもらえますか?」
「あたし、本当は涼介さんとバトルをしたかったんだけど涼介さんがあたしの願いを聞いてくれないのは最初からわかってたことなの。だから、涼介さんの弟の啓介さんや妙義の走り屋の中里さんを負かしたあなた達なら最後の相手として戦うには相応しんじゃないかなって…」
「そうでしたか。僕と拓海は地元とはいえ啓介さん達に勝ってはそれなりに名が広まってますから真子さんが注目するのも当然ですね」
「タケル君、あたしの我が儘を聞いてもらうようで申し訳ないんだけど碓氷峠であたしとバトルしてくれるかしら?」
真子は真剣な眼差しでタケルを見つめ、それを見てはタケルは返す。
「いいですよ。ここのところ地元ばっかしでしたし。たまには他所の峠へ行ってみるのも悪くないかなぁって思ってたところですのでその勝負、受けて立ちますよ」
「タケル君…」
「ですが、バトルをするからにはこちらも全力で挑ませてもらいますね。走り屋としてバトルするからには手を抜くなんて真似はしたくありませんから」
「ありがとう、こちらこそ本気で挑むから覚悟はしておいてね」
そんなわけで真子の願いを聞いては碓氷峠にてバトルをすることが決まり、タケルは真子との対決に心血を注ごうと誓うのであった。
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