頭文字D 峠の弾丸   作:ペンギン太郎

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 この作品を書いてる私事でありますが、実はこの度昨年フルモデルチェンジした新型スイフトを契約致しました。
 新型は4気筒から3気筒に変わったので馬力が下り、見た目の評判もボンネットが便座の蓋だどうだの酷い言われようでありますが契約したからには大切に乗っていきたいと思います。


ACT.2 レッドサンズ

 拓海達が秋名山に上っているその頃、スタンドの店長である祐一は店のシャッターを閉めてその場を後にしようとしたその直後にあるものを見かける。

 

 

 「見たことない連中だな。こんな時間から秋名山登るのか…どう見ても温泉客じゃねーよな。他所から来た遠征組か…。今夜は(やま)でひと悶着あるかな…」

 

 

 祐一は数台の車が秋名山の方へ向かっていくのを見て先に秋名山へ向かったであろう池谷達と関わるのではないかと心配して先程の車が向かったであろう秋名山を眺めるのだった。

 

 

 

 

 

 秋名山

 

 

 ドギャア

 

 

 「うわあああー!!」

 

 「やかましいぞ拓海!!池谷先輩の気が散るだろ!!」

 

 「そんなこと言ったってこえーんだもん」

 

 

 池谷の車に乗せてもらっていた拓海はリアシートに座って池谷の走りに悲鳴を上げていた。

 

 

 「無理もねーさ…走り屋の車に初めて乗ったら誰だってビビるもんだ!!次は2速のヘアピンだぞっ!!」

 

 

 池谷はシフトを落としてヘアピンを曲がっていく。

 

 

 「ぎゃあああーっ!!」

 

 「やっぱうるせー拓海ーっ!!」

 

 

 先程と同様拓海は悲鳴を上げつつも秋名山の頂上へと登っていくのであった。

 

 

 

 

 

 「タケル、ご飯まだだったよね。晩ご飯はコンビニのお弁当でいいかしら?」

 

 「別に構わないよ。姉ちゃんが仕事で苦労してるのは知ってるし」

 

 「ありがとう気使ってくれて。じゃあお弁当買って帰るからそこで待っててね」

 

 

 秋名湖のホテルへ向かっているタケルと遥香は行く途中コンビニに寄って店の前の駐車場に車を止め、遥香が車から降りて弁当を買いに店の中へと入っていく。

 

 

 「ごめんね姉ちゃん…。僕が不甲斐ないばかりに…」

 

 「ん?タケルじゃないか。どうしたんだ暗そうな顔をしては元気なさそうだな」

 

 「あ、店長。お久しぶりです」

 

 

 姉がお弁当を買ってくるまでの間タケルが車の外で待っていると突如声を掛けてきた人物がいたので振り向くと、そこに立っていたのは拓海とイツキがバイトしているGSの店長の祐一であった。

 タケルは祐一が経営しているGSの常連で拓海達に合わせて祐一のことを店長と呼んでいる。

 

 

 「しかし珍しいな。お前さんがこんな時間帯にコンビニに寄るなんざ、一体何を買いに来たんだ?」

 

 「僕は姉ちゃんがコンビニで今日の晩飯を買ってくるのを待ってるところなんですよ。そういう店長こそどうしてここに?」

 

 「俺か?俺はタバコとコーヒーを買いに寄っただけさ。それよりもどうしたそのスイスポは?お前の姉ちゃんの車にしちゃあ結構走れそうな車だな」

 

 「いえ店長。これは遂さっきおじさん…あ、いえ政志さんから運転免許取得祝いに貰ったヤツでして、今では僕の相棒みたいなモンなんですよ」

 

 「ほぉ…政志から貰った奴だったのか。あの野郎そんなに儲かっておらんのにタケルにいい車をあげやがるな…」

 

 

 祐一は政志と同じ走り屋仲間であるからか政志のことを呼び捨てで呼んでおり今でも親交がある。

 

 

 「それにしても、お前さんが父親と同じ走り屋になるとはやっぱ親子共々走り好きとしての血は争えんみたいだな…。そうだ、この際文太の奴に久々に電話でもするとしようか…」

 

 「文太?誰ですかその人は?」

 

 「そうかタケルは知らなかったか。文太っていうはお前の同級生の拓海の父親でな。昔は俺と同じ元走り屋をやってたんだが、それが今じゃ地元の商店街でとうふ屋をやってるんだ」

 

 「そう言えば前に拓海から実家がとうふ屋をしていると聞いたことがありましたね。拓海の親父さんってそんなに凄い走り屋だったんですか?」

 

 「あいつは仕事柄でかなり遅い時間帯に走っていてな。この前すれ違ったんだが、抜群のあるキレのいい走りをしてたんだこれが」

 

 「へぇ〜店長がそこまで言うからには拓海の親父さん、余程凄い走り屋だったんですね」

 

 「何言ってやがるお前さんの父親だって昔は凄い走り屋だったんだぞ」

 

 「父さんが?父さんのことは姉ちゃんか政志さんからしか聞いてるくらいですのであまり知りませんけど、僕の父さんはそんなに凄い走り屋だったのですか?」

 

 「そりゃあお前の父親は地元じゃあ文太と肩を並べる程の実力があってな。文太がFR使いで下り最速の走り屋とするならば勝はFF使いで下り最速の走り屋だったからな」

 

 「父さんが秋名最速のFF使いの走り屋…」

 

 「タケルーおまたせー、お弁当買ってきたわー。あら祐一さんお久しぶりです」

 

 

 タケルが祐一から父について話を聞いている途中コンビニから出てきた遥香が弁当が入った袋を持って戻ってくるや祐一を見かけてその場で挨拶をする。

 

 

 「よお遥香ちゃん。相変わらず弟の世話に苦労してるみたいだな」

 

 「むっ、悪かったね。苦労ばっか掛けて」

 

 「あのー祐一さん。つかぬことをお聞きしますが、私と高校の同級生だった池谷君は元気にしてますか?」

 

 「池谷なら相変わらず元気にしてるぞ。あいつは今秋名に走りに行っている真っ最中だ」

 

 「そうですか。池谷君はうちの弟と同じ走り好きですねえ」

 

 

 遥香は池谷とは中学・高校の同級生で今でも親交があり、弟のタケルも小さい頃には池谷に面倒をみてもらったことがあるのだ。そのためタケルは今でも池谷のことを実の兄の様に慕っているのである。

 

 

 「すみません店長。姉ちゃんが戻ってきましたので僕はここで失礼しますね」

 

 「おう、お前さんはまだ運転免許取って間もないんだ。運転には気をつけるんだぞ」

 

 「お気遣いありがとうございます。店長」

 

 

 タケルは弁当が入った袋を持ってきた遥香と合流するや車のエンジンを掛けてその場を後にするのだった。

 

 

 「さてと、タケルも行ったことだし久々に文太に電話でもするか」

 

 

 祐一はポケットに入れていた携帯を手にとって電話番号を入力し、拓海の父親である文太に電話をし始める。

 

 

 プルルルル ガチャ

 

 

 『はい藤原とうふ店…』

 

 「俺だ、文太」

 

 『なんだ祐一か。どういう風の吹き回しだ?』

 

 「なんだだ?久しぶりに電話したってのに冷てえじゃねえか。まー特にこれといって用事もねーんだが…たまたまお前のことを思い出すことがあったんで元気でやってるかと思ってな」

 

 『俺は変わらねーよ』

 

 「それはそうとハチロクの方も随分元気みてえじゃねーか。この間朝早くお前とすれ違ったぞ。お前俺だと気が付かなかったろ、合図したのに無視しやがって…」

 

 『アレは俺じゃねーよ』

 

 「違わねーよ。間違いなくお前のハチロクだった!!」

 

 『だからその…俺の車だけど運転してたのは俺じゃねぇ…。今豆腐を卸しに行ってんのは息子の拓海だ』

 

 「なんだとーお!?いつからだ!?」

 

 『5年前からだ』

 

 「5年前って中学の時からか!?」

 

 

 祐一は豆腐を卸しに行ってるのが文太ではなく息子の拓海で、しかも無免許運転をさせていると知っては驚くのだった。

 

 

 

 

 

 タケルがコンビニに寄っているその頃、拓海とイツキは池谷のS13に乗せてもらって秋名山の頂上にてスピードスターズのミーティングに参加したのだが。途中、麓から数台の車が上がってきてはスピードスターズの反対側のスペースへと入っていくのである。

 

 

 「見かけねぇヤツらだな」

 

 「どっか余所のチームだろ、なんかヤな感じだぜ」

 

 

 スピードスターズのメンバーは自分達のホームコースに余所者が来て不満気な顔をするも、車体に貼ってある赤文字のステッカーを見るや表情を変えていく。

 

 

「(あのステッカー……まさか!?)」

 

 

 池谷がステッカーに書いてあるチーム名に驚くや、黄色いRX-7(FD3S)から金髪の男が出てきてスピードスターズに呼びかけてきた。

 

 「俺達は赤城山から来た、赤城レッドサンズってチームのメンバーなんだが」

 

 「(やっぱり…赤城最速といわれるレッドサンズ…!!) 」

 

 

 秋名に来た走り屋が県内では名高い赤城レッドサンズと知った池谷は内心驚きを見せるも平然としては話を聞くことに。

 

「不躾な質問で悪いが、この秋名山で最速のチームか走り屋が居たら俺達に教えてくれないか?」

 

「俺達は秋名スピードスターズってチームやってるけど…この秋名山では最速だと思ってるよ…」

 

 

 池谷が返事を返すやレッドサンズからは赤いポロシャツを着た男性が出てきて話をする。

 

 

 「ちょっと俺達の話を聞いてもらいたいんだけど…。お互いさ、走るのが好きでこうしてチームとして活動してると思うんだけど、地元の人間だけで走ってると段々とマンネリになってくるんだよねー。やっぱたまには余所のチームと走って刺激を入れた方が、走りのレベルアップにつながると思うんだ。仲間が増えれば情報の交換も出来るしね。そこで提案なんだけど来週の土曜日にうちのチームと交流戦をやってくんないかな…この秋名山で」

 

 「始めはチーム関係なくつるんで走って、最後に各チームから上りと下りの代表を出してタイムアタックをする。別に勝ち負けにこだわるつもりは無くて、あくまでもチーム同士の親睦が目的なんだけど……どうかな?」

 

 「そう言われちゃあ断る理由も無いけど……」

 

 「じゃ、決まりだな。俺達、今日の所はじっくり練習させてもらうよ、もちろん走りのマナーもはきっちり守るよ」

 

 レッドサンズは車に乗り込むやスタートしては秋名の麓へ下りていっては峠を走り始めた。

 

 

 「どうも引っかかるな……表向きは体裁のいいこと言ってるけど、要するに挑戦じゃねぇか。自分らの速さを見せつけに来てやがる!!」

 

 「気後れすることねーぜ、俺らも出ようぜ!!」

 

 「赤城最速のチームの実力がどんなモンか見せてもらおうじゃん!!」

 

 「秋名の山なら走り込んでる俺達の方が上だろうが! ヤツらのケツをつついてやれ!!」

 

 

 スピードスターズのメンバー達も自分達の車に乗ってレッドサンズを追い始める。

 

 

 「池谷先輩、俺たちも連れてってください!!」

 

 「悪いな、本気で走るときは誰も乗せない事にしてるんだ。ここで待ってろ、後で拾いに来てやる!!」

 

 

 池谷もその場に拓海とイツキを残して自分もアクセル全開にしてレッドサンズを追い掛けるのだった。

 

 

 「なぁイツキ…走り屋ってのは楽しいのかな…そんなに?」

 

 「えぇ…?」

 

 「不思議だな…なんであんなことに皆あそこまで熱くなるのかな…」

 

 「不思議なのは俺の方だぜ…。お前何も感じねーのかホントに。次から次へとかっ飛んでいく全開のエンジン音を聞いててお前は血が騒がねぇのかぁ!?」

 

 「血が…騒ぐ…?」

 

 

 拓海はイツキから激しく語られるも、一方的に言われては困惑するしかなかった。

 

 

 

 

 

 秋名山 高嶺展望台前

 

 

 「やっぱ車を運転するってのは楽しいね姉ちゃん。こんなに充実したのは初めてだよ」

 

 「もう、タケルったらそういったところは相変わらず子供ね」

 

 

 初めての運転がてら秋名の峠を走ったタケルは展望台に来ては休憩し、初めてスイスポを運転したのが楽しかったのか満足気な顔をしており。遥香は嬉しそうな顔をしているタケルを見て微笑む。

 

 

 「それにしてもタケル、先月免許取ったばかりとはいえ運転が上手だったわね」

 

 「そりゃあ運転に関してはおじさんに教わったのもあるけど秋名(ここ)は僕にとって数少ない遊び場の一つで、四輪の免許取る前は父さんのカタナに乗っては何回も走り込んできたんだから慣れるのにそんな苦労はしなかったんだ」

 

 「そうだったわね。それでもって、あまりにも無茶な運転をしてはバイクを壊しちゃっては政志さんに直してもらったことか、はぁ〜思い出しただけでも頭が痛くなるわ」

 

 「でもおじさんはそんな僕を叱るどころか笑っては愛想良く振る舞ってくれてたんだ。あの人にはホント色々と迷惑掛けちゃったなぁ。あははっ…」

 

 「もう…笑いごとじゃないでしょ。折角政志さんからいい車貰ったんだから運転するの気を付けてよね」

 

 「は〜い」

 

 

 軽く言い流して再びスイスポに乗り込む二人。タケルがエンジンを掛けシフトを操作して再び秋名の峠を走ろうとしたその矢先、頂上から車が猛スピードで走ってきてタケル達に近づいてくる。

 

 

 ブォォォ!!

 

 

 「!! タケル、前から車が突っ込んで来てるわ!!」

 

 「え?ヤバっ!!こっちに来るぞ!!」

 

 

 走る寸前で反対車線から車が猛スピードで突き進んできており、スイスポは前から来る車を上手く横切って躱すのだった。

 

 

 「危ないわねぇ。こんな狭い峠であんな猛スピード出すなんて一体何考えてんのかしら…」

 

 「姉ちゃん。さっきの車は見た限り地元の走り屋じゃなかったみたいだよ」

 

 「え?今の走りを見ただけで違いが分かったの?」

 

 「だってさっきの車はコーナーを曲がっていくのにしっかりとスピードを出しては曲がっていったから走りに関しては申し分なかったよ。多分アレは秋名ではない別のところから来た走り屋だよきっと」

 

 「……」

 

 「ん?どうしたの姉ちゃん、僕何か変なこと言った?」

 

 「ううん。なんでもないわ…、凄いじゃないタケル。見ただけで走りを見分けられるなんて」

 

 「そうか?別に大したことじゃないよ」

 

 「(やっぱりタケルはお父さんに似たのか走りを見ただけでレベルの違いを判別できるのね。政志さんもタケルには走り屋としての才能があるって言ってたぐらいだし)」

 

 「ところで姉ちゃん。今下ってくるあのS13は池谷さんの車じゃなかった?」

 

 「え?あ、本当だ…あのシルビアは池谷君の車だわ」

 

 

 タケル達は上から下りてきた車が池谷のS13だとわかるやライトを点灯して合図を送る。

 するとS13はこちらに気付いたか、近づいて来てその場に止まって窓を開けスイスポに乗っているタケル達を見て驚く。

 

 

 「お、おいタケル。なんでお前がここにいるんだ?しかもスイスポなんかに乗って…」

 

 「池谷さん、僕は姉ちゃんが今晩夜勤しますのでその送迎をしてるだけですよ」

 

 「久しぶり池谷君。相変わらず走り屋をやっているのね」

 

 「そうか遥香の送迎でここを通っただけだったか、それは済まないことをしたな」

 

 「それはそうと池谷さんのチームは余所から来た走り屋と一緒に走ってるみたいですけど何かあったのですか?」

 

 「あぁ、今秋名には赤城レッドサンズっていうチームが来ていてな。向こうから交流戦を持ちかけられては今一緒に走ってるとこなんだ」

 

 「赤城レッドサンズ?それって県内最速の走り屋として知られている強豪で、リーダー格である新旧RX-7乗りの高橋兄弟を中心に注目を集めていると雑誌に載っていたあのレッドサンズですよね?」

 

 「そうだ。兄の高橋涼介がFCを、弟の啓介がFDに乗っていてな。今は走っていないみたいだがその二人だけはチームの中じゃ別格みたいなもんだ」

 

 「しかしなんでまたそんな人達が態々秋名に来たのですか?」

 

 「おそらくここのコースレコードを塗り替えては自分達の名を売り出しに来たんだろうな。だったら尚更地元としては負けてられねぇぜ!!」

 

 「ちょっと池谷君。熱くなるのはいいけどあまり無茶はしないでよね。事故でも起こしたりしたら大変なんだから」

 

 「んなことぁわかってるよ。未だに俺は向こうの走りについていけてねえがやれるだけのことはやってみるつもりだ!!」

 

 

 池谷はタケル達と別れるや再び全力走行をして秋名の峠を下っていき。それを見たタケルは池谷を見送るしかなかったのだった。

 

 

 「池谷君…大丈夫かしら…」

 

 「姉ちゃん。心配するのはいいけど今は仕事に行かないといけないでしょ?池谷さんは僕が後で見に行っとくから心配しないで」

 

 「そう?じゃあタケル、池谷君のことよろしくね」

 

 

 タケルは再びスイスポを動かして秋名の峠を走っていき、遥香を秋名湖にあるホテルまで送迎するのだった。

 

 

 

 

 

 「どう思う兄貴?」

 

 「カス揃いだ」

 

 

 高橋兄弟がスピードスターズとレッドサンズの走りを見比べてはスピードスターズを過小評価する。

 実際、スピードスターズのメンバーはレッドサンズの走りについてこれず苦戦しており。その実力差は歴然としていたのであった。

 

 

 「うちのチームの2軍でも楽に勝てる…来週はベストメンバーで来ることはねぇな。俺はパスだ」

 

 「兄貴来ねぇなら俺もパスすっか…」

 

 「いや…お前は走れ」

 

 「なんで?」

 

 「とりあえず地元の奴らが何年かかっても破れねぇくらいのコースレコードを作っとかねぇとな。赤城レッドサンズと高橋兄弟の名前が伝説にならないからな…。手始めに県内の走りのスポットのコースレコードを全部俺達2人で塗り変える。いずれは関東を総ナメにして…。関東全域にレコードを残す伝説の走り屋になってから引退する…それが赤城レッドサンズの関東最速プロジェクトだ!!」

 

 

 涼介はその場を後にしようとするが、一台の黄色い車が目の前を通り過ぎていくのを見て足を止めた。

 

 

 「兄貴、今気になるもんでもいたのか?」

 

 「いや、別に大した車じゃなかったな。何せ先程通ったのはスイスポだったからな」

 

 「スイスポだぁ?それってスイフトにテンロクのエンジンを取り付けただけのホットハッチだろ?そんなもんが俺達の獲物になるわけねえよ」

 

 

 

 

 

 秋名山 頂上

 

 

 「すげぇよアイツら…根本的になんか違う。テクニック盗もうとしてケツにつくんだけどついていけないんだ」

 

 「赤城は走りのレベルが高いって聞いてたけど、これ程までとは思わなかったな…」

 

 「走り慣れてるホームグラウンドの秋名山で、余所者にチギられるなんてすげぇショック…」

 

 

 スピードスターズは先程の交流でレッドサンズとの走りの違いを思い知らされどんよりとした空気が漂っていた。

 

 

 「あいつら足回りにも金かけてるしエンジンのパワーも出てる…。レッドサンズに張り合おうなんて無理だよ池谷」

 

 「けど地元が逃げるわけにはいかねぇだろ…。やると言ったからにはやるしかねぇよ…」

 

 

 チームのメンバーは諦めムードになっている中池谷はメンバーに頑張るよう声を掛けるしかなかったのだった。

 

 

 ブォォォ!!

 

 

 「あのさぁイツキ」

 

 「なんだよ拓海?こっちは今暗い雰囲気になってるのにのんきな奴だなお前は」

 

 「いやそうじゃなくて、秋名湖の方から猛スピードでこっちに近づいてくる車がいるんだけど…」

 

 「はぁ?んなもんレッドサンズの奴に決まってるだろ。今更何言って…あれ、ホントだ。こっちに来てるぞ」

 

 

 拓海が指した方向を見てみるやレッドサンズのFDと同じ黄色だがサイズが小さめの車が拓海達がいる方向に突っ込んでくるのだった。

 

 

 「なぁ池谷。あれって確かスイスポだったよな…」

 

 「ってことはタケルがこっちに来たってことか」

 

 「え?池谷先輩今さっきタケルが来たって…」

 

 「要するに、こっちに向かって来るあのスイスポに今タケルが乗ってるんだよ」

 

 「えぇ〜〜っ!?タケルの奴自分の車をもう持っていたのですか!?」

 

 

 イツキが一人で驚いているもスイスポは拓海達がいるスペースに入ってくるや車を停めて中からはタケルが出てきて拓海達の元に駆け寄る。

 

 

 「池谷さん、これって一体…」

 

 「見ての通りさ。レッドサンズと走ったものの誰一人とて全然敵わなかったよ」

 

 「そうでしたか。ご心中察します」

 

 

 スピードスターズがレッドサンズに実力差を思い知らされたと察したタケルは返す言葉が思い浮かばなかったのか同情するしかなかった。

 

 

 「それよりもタケル。お前いつの間にスイスポなんて手に入れたんだ?見たところ遥香の車じゃないのは分かるんだが…」

 

 「これですか?今日知り合いのおじさんから運転免許取得祝いに貰った車なんですよ」

 

 「くぅ~いいなぁタケルは。自分だけの車なんか持っていやがってよぉ羨ましいぜ!!」

 

 「イツキ、羨ましがるのはいいけどコイツはお前の嫌いなFFなんだ。FRみたいにドリフトなんか簡単にできはしないよ」

 

 

 イツキはタケルが自分だけの車を持ってるのに羨ましがるもタケルはイツキが嫌いなFFだと言っては笑かすしかなかった。

 

 

 「今日はもう遅いから明日またどっかに集まって打ち合わせしよう…。タケル、お前はどうするんだ?」

 

 「僕はもう少しここを走り込んでから帰りますよ。いくら地元で走り慣れてるとはいえ、四輪での走行はまだまだですしね」

 

 「そうか。じゃあ俺は拓海達を送り届けるからタケルも気を付けて帰るんだぞ」

 

 「了解しました。池谷さん達もお気を付けて」

 

 

 池谷は拓海達を乗せては麓まで下りていってはこの場に残ったはタケル一人だけとなる。タケルは再びスイスポに乗って再び車のエンジンを掛け、秋名の峠を走り込もうとするのだった。




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