頭文字D 峠の弾丸   作:ペンギン太郎

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 遂に拓海と涼介のバトルにたどり着けました。
 ここでのバトルは1st stageの終盤になりますが、これが終わってからはタケルの特訓回を挟んでいくと思いますので何卒お付き合いしてくださいね。


ACT.42 決戦!秋名のハチロクVS赤城の白い彗星

 

 「(遂にこの時が来たか。群馬最速と名高い涼介さんを相手に拓海がどこまでやれるか、最後まで見届けてやらないと)」

 

 

 秋名のてっぺんを駆けては近づいてくハチロクの登場に大勢のギャラリーはいよいよバトルが始まるのではとわくわくしてはボルテージを高め。それを待ち構えているタケルは拓海の登場に胸が高鳴る。

 頂上に着いたハチロクはFCの前に車を停め、リトラクタブルのヘッドライトを消しては中から拓海が降りてくると同時にスピードスターズのメンバーが拓海の元に駆け寄る。

 

 

 「拓海!!」

 

 「頑張れよ拓海!!」

 

 「俺さ、お前が勝つって絶対信じてるからさ。高橋涼介なんかぶっちぎって群馬最速のスターになってくれよォ!!拓海ィ~!!」

 

 「おいイツキ。拓海が困ってるから離れろって!!」

 

 

 池谷を始めとするスピードスターズのメンバーが拓海に応援してるぞと言葉を駆けていき、イツキに至っては思いっきし拓海を抱きしめては困らせるのだった。

 

 

 「お前ホント、大事な時に限っては毎回来るのが遅いね」

 

 「タケル…」

 

 

 拓海に抱きついてるイツキを池谷が引き剝がしては、その次にタケルが拓海にエールを送ろうとする。

 

 

 「ここに来たってことはもう覚悟はできてるんだろ?なら、後悔のないよう全力で挑んでは勝ってきなよ。拓海ならきっとバトルに勝つと僕は信じてるからね」

 

 「……」

 

 

 タケルは拓海の前で拳を構えては拓海がそれに合わせてくるのを待ち。拓海は自分も拳を作ってはタケルとグータッチを交わす。

 

 

 「遅いぞ。10時ギリギリか…。相変わらずとぼけた奴だぜ」

 

 

 拓海達の輪を割って入ってきたのは啓介で、その後ろには涼介が腕を組んでは拓海を狙いすましたかのような目つきで睨みつけては拓海の前に近づくと。周囲にはとてつもない緊張感が漂う。

 

 

 「待っていたぜ。その若さであれほどの技術(テクニック)をよく身につけたもんだな。つくづく関心させられるよ」

 

 「俺は只…秋名の峠を人よりも多く走ってる分慣れてるだけです。特別なテクニックなんて何もありません。多分俺のことを買い被って勘違いしてるだけだと思いますよ」

 

 「ふっ、面白いことを言う奴だ。お前は自分で自分のことをよく分かっていないみたいだな」

 

 「えっ?」

 

 「お前は…面白い。いずれゆっくり話してみたいぜ」

 

 

 涼介はレッドサンズのいる方向に戻っていっては上に着ていたジャケットを啓介に預けてはFCに乗り込み。

 

 

 「兄貴…」

 

 「そろそろ始めようか…。楽しい夜になりそうだ」

 

 

 涼介がそう言ってはレッドサンズが中心にバトルを仕切ることになり。スピードスターズからも応援を寄越してはバトルの準備に取り掛かり始める。

 

 

 「イツキ。僕はゴール地点で待っているからスタート開始したら携帯に電話入れといてね」

 

 「ああ、始まったらすぐに鳴らしてやるから下で待っていてくれよな」

 

 

 タケルは二人の勝負の行方を下で観ようとスイスポに乗っては麓のゴール地点まで下りていくのだった。

 

 

 

 

 

 「んじゃ早速、拓海のゴールをここで待っているとしましょっかねえ…ん?」

 

 

 ゴール地点にたどり着いたタケルはギャラリーに混ざってはある人物が来ているのに気付き、その人のところに近づいては声を掛ける。

 

 

 「やあ茂木さん。君もバトルを観に来てたんだね」

 

 「タケル君?」

 

 

 ゴール地点にはどういうわけかなつきも来ていてはタケルと遭遇したことに驚くと同時に安堵を浮かべる。

 

 

 「良かったァ、ここには大勢の人がいて不安だったけど知ってる人がいてくれて助かったわ。なつき、拓海君の車がバトルするって聞いては自転車でここまで来るの結構大変だったんだよォ…」

 

 「あはは…。そりゃあ車で行くのに10分も掛かるところをチャリで行こうとなるとその倍掛かるのは当たり前だよ」

 

 「そうだタケル君、バトルはもう始まってるの?」

 

 「いや、今はギャラリーが大勢来てるからその人達に一旦道を開けてもらっては対向車が来ても勝負に差し障りがないようにマーシャルを立たせてる真っ最中なんだ。もし勝負がスタートしたのなら上で待機してるイツキに携帯に連絡するようお願いしてあるからもうしばらくは掛かるんじゃないかなぁ」

 

 「じゃあバトルが始まったらここで拓海君が下りてくるのを待っていたらいいんだね?なつき…拓海君が事故を起こしてしまわないか心配なんだけど」

 

 「大丈夫だって。拓海ならいつものようにボーっとしたような顔をしては無事に下りてくるよ。何せあいつはここを毎日走ってはコースの隅から隅まで把握してるんだし起こす方が逆に珍しいしね」

 

 

 なつきが拓海が無事に戻ってくるのか心配するのに対し、拓海のことだから心配する必要はないぞとタケルはなつきを安心させようと元気づけるのであった。

 

 

 

 

 

 秋名山 頂上 旧料金所跡

 

 

 「こちらスタート地点。どうだゴールの様子は?」

 

 『はい、準備ができました。いつでもOKです!!』

 

 「よぉーし、そろそろ始めよう!!」

 

 「待ってくれ!!カウントは俺が取る」

 

 

 下で待機してるメンバーから確認を取ってはスタート地点の真ん中に立つ史浩に合図を送り、史浩がカウントを開始しようとする寸前で啓介が史浩の前に来ては自分にスターターをやらせてくれないかと言う。

 

 

 「このバトルだけは俺がやりたいんだ。いいだろ?」

 

 「あ、ああ。わかった」

 

 「(兄貴とハチロクのバトルを…他の奴に任せられるか!!)」

 

 

 啓介の頼みを聞いた史浩は啓介の気持ちに応えるかのように頷くと、役目を啓介に譲ってはスタートラインから離れていき。啓介がスタートラインのど真ん中に立ってはスターターを務める。

 

 

 「カウント行くぞォ!!」

 

 

 啓介が腕を上げてはカウントを開始するとハチロクとFCはリトラクタブルのヘッドライトを開けては光を灯し、エンジンを回してはマフラーを蒸していく。

 バトルを目前に控える中、拓海は緊張感がひしひしと伝わっては額に汗が流れるのに対し、涼介は落ち着いた表情をしてはバトルに臨む。

 

 

 「5…4…3…2…1…GO!!」

 

 

 カウントがゼロに切られ啓介が腕を振り下ろすと同時に二台はスタートダッシュを開始しては公道をかけ始める。スタート直後の立ち上がりでは互角ではあったが途中FCがハチロクの後ろについてはハチロクに先行を譲る。

 

 

 「よっしゃあ拓海が頭を取ったァ!!」

 

 「い、池谷先輩…。今…下で待機してるタケルに連絡しないといけませんから…腕を解いてください…!!」

 

 

 「(あれは…いつもの兄貴のやり方だ…。ここ一番のバトルではわざと先行させて勝負どころでブチ抜く…。今までそうやって全て勝ってきた兄貴の最速理論に間違いはない!!)」

 

 

 拓海が先行を取っては池谷が興奮のあまりイツキを締め上げては喜びを見せる。だが、涼介がどういう意図で拓海に先行を譲ったかを気付いていた啓介は走り去っていく二台を見届け、バトルの行方がどうなっていくのかをここで待機しては結果を待つのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 スタート直後の第一コーナー。

 拓海がブレーキングからのヒール&トウでシフトを落とし、そこからカウンターを当ててはガードレール擦れ擦れのドリフトでコーナーを横切ると、涼介も拓海と同じスピードでドリフトをしてはコーナーを曲がり。ハチロクに続くかのように抜けきっては、その走りを観戦していたギャラリーを沸かす。

 

 

 『どっちもすげえ!!超接近ツインドリフトだ!!』

 

 『高橋涼介は本来あそこまでドリフト多様するじゃない筈なのに!?』

 

 

 ハチロクに合わせるかのようにFCが序盤からドリフトでコーナーを抜けていく姿にギャラリーは驚愕するが、二台はコーナーを抜けきっては立ち上がりで加速しては次の区間へと一直線に突き進んでいくのだった。

 

 

 「(ふっ、驚いたな。ハチロクの動きが前に中里とバトルした時とは全然違う)」

 

 

 以前タケルのスイスポに取り付けたビデオカメラで観た時と比較して、ハチロクがコーナーをドリフトで抜けていくのにカウンター舵角が小さくなっているのを見た涼介は拓海の腕が以前よりか走りに磨きが掛かっていると確信する。

 

 

 「(ドリフト後半の安定期で殆どカウンターを当てないのは前と同じだが…。ターンイン直後のカウンターをあてる癖がなくなっている。理解できないぜ欠点が消えてしまうとは…。まだ最初のバトルから日が浅いというのに、奴は…一戦ごとに進化している。シミュレーションを少し変更する必要がある…。だが、それだけのことだ。結果は変わらない、俺の最速理論に揺るぎはない!!)」

 

 

 後ろから見ていっては拓海のレベルが上がっていることに予想外な反応をする涼介ではあるが、予め想定していた範囲内に収まると見ていってはハチロクを追っていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「言っとくけどなァ毅…。俺は別にお前の車を見てここに停めたわけじゃねえからな。そこんとこ勘違いするなよ」

 

 

 秋名のあるポイントにてナイトキッズの慎吾がリーダーの中里の隣に立っては観戦に来ていた。しかし、中里との折り合いが悪いのか二人は互いに目も向けずに話をするのである。

 

 

 「来る前からここ(・・)しかねえって決めてたんだよ。お前どっか行けよ」

 

 「やだね。俺だってギャラリーするならここしかねえって決めていたんだ。お前こそどっか行けよ」

 

 「くっ…!!」

 

 「あのさぁ、今更変えようにもバトルが始まってるんだし、返って二人の勝負に水を差してしまうなら、ここで一緒に観戦しといたらいいんじゃないのか?」

 

 「風間の言う通りだな。来たからには一度決めた場所で最後まで見届けてやらなあの二人には失礼だぞ」

 

 「けっ、そう言ってるお前らも、ここしか考えられないと踏んでは観に来たんじゃねえのか…。風間さんに早乙女さんよォ」

 

 

 中里達の会話に混ざってきたのはレッドサンズと同じ赤城の走り屋である風間と真希で、ギャラリーがゴール地点か上の5連続ヘアピンで観戦しているにもかかわらず。中里達と同じ場所に観に来ていたのであった。

 

 

 「まあな。そういうお前こそ、ここを観戦スポットにするってのは先見の明があると見ていいかもな。走りに詳しくない初心者は上の方へギャラリーに行ってしまったが、あの二人が勝負を決めにいくとするならばここしか考えられないからな」

 

 「ああ。ここなら一発逆転をかますことができるし、どう攻めるかで勝敗を決する以上他に見る箇所なんざありゃしないよ」

 

 「お前らもそう読んだか。流石と…言っておくか…」

 

 

 中里は瀬那と真希には自分達と同様見る目があると評価していくが、隣にいる慎吾を見てはすぐに目を逸らす。

 

 

 「にしても、ギャラリーが少ねえな」

 

 「知らねえ奴が見たらまるで俺達が仲ええみてえに思われちまう」

 

 「(普通仲が悪いのなら、こんなすぐ近くに寄ったりはしないと俺は思うんだがなぁ…)」

 

 

 そう言いながらも適度な距離を取りつつ話をしていく中里と慎吾。それを見ていっては本当は仲がいいのではと風間は思う。

 

 

 「「けっ、迷惑だぜ」」

 

 

 「お前ら。くっついていながら喧嘩するなら、もういい加減仲良くしとけばいいんじゃないのか?」

 

 「無駄だよ風間。この二人が仲良くなるなんざ日産とホンダが手を組むくらいあり得えない話だから放っておいてやりな」

 

 

 くっついておきながら喧嘩する中里と慎吾を見ていっては仲良くなれないのかと瀬那は苦言を施すも、二人の仲が悪いのを知っていた真希は言うだけ無駄だと言っては呆れるしかないのだった。

 

 

 

 

 

 

 「ほう…来たみてえだな」

 

 

 上から下りてくるスキール音から察したのか、新潟の走り屋である健吾は前のコースを見る。

 

 

 「(群馬最速と言われたその走り、じっくりと見させてもらおうぜ秋名のハチロクに赤城の白い彗星さんよぉ)」

 

 

 健吾が二台の走りを集中しては見ていくと、二台はフルブレーキングからシフトを4→3→2と落とし。車を減速させ、四輪ドリフトでコーナーを曲がりきっては、立ち上がりで加速しては次へと進んでいく。

 

 

 『どわぁ!!二台共ガードレール擦れ擦れだ!!』

 

 

 ガードレールにあたる寸前でタイヤを滑らせながらもカスりもせず抜けきった走行シーンに度肝を抜かれたギャラリーは、二台が走り去った後、公道に出てきてはハチロクとFCが走り去っていった方向を見るのであった。

 

 

 「なるほどな。あれだけのドリフトを見せられちゃあ群馬の走り屋も捨てたもんじゃねえみてえだな」

 

 

 走りを見る前は群馬の走り屋はレベルが低いと過小評価していた健吾であったが、目の前を通り過ぎていった二台の走りを見ては考えを改め、標的にしようと狙いを定めようとするのだった。

 

 

 

 

 

 ピリリリリ

 

 

 「お、携帯が鳴ったってことはもうバトルが開始されたか」

 

 

 なつきと一緒にゴール地点で待機していたタケルは携帯に着信が鳴るのに気付くと、携帯を手にとっては早速電話に出る。

 

 

 「イツキ。スタートダッシュの感じからして二台の差はどうだった?」

 

 『それがよぉ、ハチロクがFCよりも先に頭を取っては後ろにFCがくっついたんだよ!!しかも二台共いきなりドリフトで勝負をしてきたんだ、このまま行けばきっと拓海が勝つかもしれないぜ!!』

 

 「そうか、拓海が先行を取ったのか…。だったら拓海は不利な状況に陥ったと見たほうがいいかもね」

 

 『え?先行を取ったのが不利ってどういうことだ?普通前にいったらバトルが有利になるんじゃないのか?』

 

 「イツキ。ゼロヨンなどの短距離走勝負なら先に前を取った方が勝負はつくけど、ここは峠で上から下までかなりの距離があるんだ。そんな長いコースを走っていくのに後ろに張り付かれたら前を走るドライバーはどんな気持ちになってしまうか想像はつくだろ」

 

 『どんな気持ちって…。自分が乗る車が頭を取ってるなら尚更嬉しいし、そっから先に逃げ切ればいいんじゃ?』

 

 『待てイツキ、一旦俺と変わってくれ』

 

 

 イツキはタケルの言ってる意味がまだわかっておらず疑問を抱くが、それを傍で聞いていた池谷はタケルが言いたいことが理解できたかイツキに変わってはタケルに聞く。

 

 

 『タケル、もしかしてお前は高橋涼介はわざと先行を譲ったと言いたいんだな?』

 

 「ええ、その通りですよ池谷さん。だってそうじゃありませんか。先行して逃げるより後ろに付かれては追いかける方が有利だってことは走り屋の世界じゃ常識ですからね」

 

 『!! そうだった…。じゃあ拓海は、後ろから迫られては精神的に追い詰められてるってことになるんだな?』

 

 「そうですね。これは碓氷峠で真子さんとバトルした時に僕も経験してますからそれがどれほどキツいのかよぉくわかりますよ。後ろから追いかけていれば前を走る車のラインとリズムを見れますし、涼介さんほどのテクがある人なら拓海の走りを模倣(コピー)するなんて芸当は簡単ですからね。おそらく拓海は、後ろから攻められてはかなりのプレッシャーを受けてるんじゃないかと思いますよ」

 

 『……!!』

 

 

 電話越しに拓海が追い詰められてると聞き、先行は取ったのが裏目に出たと知った池谷は先程まで余裕綽々だった顔が青ざめていくのであった。

 

 

 

 

 

 「そうか、わかった…。報告ありがとな」

 

 

 ピッ

 

 

 「真希。今あの二台はどうなっているかわかるか?」

 

 「今中継地点で待機してたメンバーからの話によれば、ハチロクが頭を取ってはその後にFCがくっついているとの情報が上がったぜ」

 

 

 下で待っていた真希は中継地点からの連絡を受け、二台の状況を聞いては瀬那に教える。

 

 

 「やっぱりな。涼介が後ろにつくなんざ、赤城でバトルした時によく使ってた手法だからな」

 

 「ほぉ…その話から察するに、過去に高橋涼介とバトルしては存分に味わったみてえな口振りだな。そいつがどれだけしんどいのか聞かせてくれるよな?」

 

 「そりゃあキツイも何も、ドライバーの心理的状況から察して自分と同じスピードで近づかれたら平常心を保つのが難しくなるのは勿論、全力で振り切れなきゃ相手が自分よりも上に思えてしまうからな。こういったことに関してはバトルをそれなりにこなせば動揺せずに済むが拓海はバトルの駆け引きに関しては全くの素人だ。おそらくあいつは、涼介に追い詰められては相当焦ってるに違いないだろうな」

 

 

 中里から後ろから迫られるのがどれほどキツイのか聞かれた瀬那はその理由について話をし、今頃拓海はかなり追い詰められているのではと予測するほかないのであった。

 

 

 

 

 

 秋名山 頂上 旧料金所跡

 

 

 『こちら、24番コーナー!!たった今ハチロクと涼介さんのFCが通過しました。それで区間タイムを取ったんですけど…。途方もないタイムですよ!!このペースでゴールしたらこの間の交流戦でハチロクが出したコースレコードを7~8秒縮めてしまいますよ!!』

 

 

 「「「!?」」」

 

 

 『とりあえず報告終わります…』

 

 

 「(俺と走った時に比べ、7~8秒も速いだとォ!?勘弁してくれ…。兄貴が全開ドライブするとこういうことになるのか…。恐ろしくなってきたぜ。今夜のバトルは伝説になる!!)」

 

 

 中継地点からの報告で拓海のハチロクが前回のタイムアタックで出した記録を更新するかもしれないと聞いた啓介を始めとするレッドサンズは信じられないような顔をしては驚く。

 

 

 「まだ拓海が頭を取ってるみたいだな」

 

 「よっしゃあいけますよ先輩!!下にいるタケルにも早く教えてやらないと」

 

 「ああ。でも、どこまで持つか…」

 

 「「えっ?」」

 

 「何しろ相手は高橋涼介だ…。俺は、拓海が無事に下まで走りきってくれればそれでいいよ」

 

 

 拓海が先行を取っていると聞いては楽観視するイツキと健二と違い、池谷は不安そうな顔を見せては拓海が無事に戻って来れるよう祈るしかなかったのである。

 

 

 

 

 

 「(いくら全開で逃げてもピッタリ食いついてくる!!どんなにすっ飛ばしても突き放せない!!)」

 

 

 タケルと瀬那の予想通り、拓海は精神的に参っていながらも五年間走り込みで培ったコントロールでハチロクを手足のように扱っていくが。FCとの差は一方に広がらずじわじわと集中力をすり減らしていくしかなかった。

 

 

 「(ダメだ…このバトル、負けるかもしれない。高橋涼介…俺なんかが到底勝てる相手じゃなかったんだ。負けたくねーけど…俺は負ける!!)」

 

 

 このまま行けば自分は負けてしまうのではないかと拓海は不安になるが、それでも抜かれるわけにはいかないとハチロクを全開で飛ばしては秋名の下りを攻め続けていくのだった。

 

 

 

 

 

 「OK。ありがとイツキ、下で拓海が下りてくるのを待っているからそこで結果を楽しみにしといてね」

 

 

 ピッ

 

 

 「タケル君、拓海君は今どうなっているかわかる?」

 

 「今拓海は問題なく秋名を攻め込んでいては大丈夫みたいだよ。この調子で行けば多分、無事に戻ってくるとみていいかもしれないね」

 

 「そう。良かったぁ…」

 

 「(イツキからコースレコードを更新するかもしれないと聞いた時はにわかに信じられない気持ちになったのもあるけど。勇さんが僕には涼介さんに勝てないと言った理由がわかった気がするよ。あの二人は僕なんかじゃ簡単にたどり着けないレベルに達していると、今になって知ってしまったんだからね)」

 

 

 拓海が無事だと知り嬉しそうにするなつきであったが、タケルは拓海と涼介が秋名のコースレコードを大幅に塗り替えるかもしれないと聞いては、自分の想像を上回る程のレベルに達していると知るや、今の自分なんかが高橋涼介に敵うのか不安な気持ちに包まれるしかなかった。




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