リアルでは色々と忙しくては書く暇が見つからず怠ってしまいましたがようやっと完成しましたので是非ご覧になって下さい。
鈴木自動車工場
「どうだったタケル。若大将直々に教わってはいい体験ができただろ?」
「まあね、普段は一人で走っては考えながらやってきたのを今日はプロの走り屋に見てもらえたからか色々と学ぶことがあったしね」
「そうかい。その調子じゃ今度のバトルはお前さんが勝つのを期待してもいいんじゃねえか」
「ん〜どうかなぁ。いくら指導を受けたとはいえ、相手は群馬で一番速い走り屋だから何とも言えないけど…」
「ほぅ〜鍛えられた割にはあまり自信無さ気な返事だな」
朝早くから群サイに行き、そこで行われる走行会を利用しての特訓を終えたタケルは政志の自動車工場に戻ってきては感想を聞かれそれなりに実感があったと伝える。
「なあ若大将、こいつにはどれほど仕込んだか俺に教えてくれねえか」
「そうですね。俺が教えたのはあくまでもFF車に乗る上での基礎的なこととその応用テクニックだけで後はタケルの腕次第ってところですね」
「なるほどな。ま、タケルがどうなるかは来週の土曜までのお楽しみってところか」
勇はタケルに教えたのは基礎中の基礎を教えただけだといい、どうなるかは自分にも分からないとはぐらかすように言い。それを聞いた政志は納得しつつもタケルがどうなるか期待しているような顔をする。
「勇さん今日は色々とご指導してくださりありがとうございました」
「いいってことよ。お前にはそれなりに期待をしてるからな。俺がFFの走りを教えたんだから次の土曜は絶対に負けるんじゃねえぞ」
「はい!ここまで指導してくれたからにはご期待に添えるよう全力を尽くします。ですのでバトル当日は勇さんも観に来てくださいね」
「いいぜ、その日の夜仕事を済ましてはギャラリーをしに行ってやるからな」
群サイでの特訓を終え、帰路についたタケルはドラテクの指導をしてくれた勇にお礼の言葉を述べては感想の意を表し。
来週の土曜に行われる高橋涼介とのバトルには駆けつけると勇は約束をし、その言葉を聞いたタケルは今度のバトルには絶対負けるわけにはいかないと心に誓うのであった。
秋名山 夜
「見てろよ。ここ最近秋名を走り込んでは鍛え上げた俺の超スーパードラテク技術を見せてやるぜー!!」
タケルが群サイから渋川市にある政志の工場に戻ってきたその頃、秋名で出くわしたレオにバトルを挑んだイツキは地元で名を上げ続ける二人に負けじとそれなりに秋名を走ってはドラテクを上げたと豪語する。
「Senren sa re tenai…(洗練されていない…)」
スタートダッシュにおいてはハチゴーが頭を取り勝負を握ったと思い込むイツキ。だが実際はレオがイツキの走りを観察するのに態と先行を譲っただけで、後ろから追うレオはイツキが運転するハチゴーの走りを見てはレベルの低さに呆れるかのように呟く。
「バトルする前は自信があるみたいに言っていたけど、自分で言う割には然程腕はないね。後ろのマフラーからは聞くだけでも耳障りするような音が出しているし、コーナーを抜けて行くにもブレーキングが甘すぎるのかアンダー気味になっているのは落第ものだ…」
「うっひょー!!後ろから追ってるあの車、マジマジとこっちを見てるぜ…!!」
レオはイツキが相手では勝負にすらならないと思ったか落胆してはイツキのドラテクの低さを酷評する。しかしイツキは自意識過剰になるあまりレオに手を抜かれてることに全く気付いていなかった。
「(彼の実力がどの程度のものかよくわかったし。ここは一気に決めさせてもらうよ)」
イツキでは自分と張り合うにはレベルが低すぎると感じたか、長居は無用と判断しては勝負を決めにいこうとアクセルを目一杯踏み、距離を開けていたハチゴーとの差を縮めようとする。
「ぐしし…きっとあのドライバーは俺のあまりにもの腕の上手さに驚いてるんじゃないかなァ…ん?」
ブォォォォ
「げっ、ここで抜きに行こうってか!?勝負はまだ始まったばかりだというのに!?」
後ろから迫ってくる205はまるで獲物を目掛けて追ってくる獅子のような迫力を見せつけ。それを見て怖じ気ついたか、先程まで余裕綽々な走りを見せていたハチゴーは急激に乱れが生じてはコーナーを曲がる寸前でリアを滑らせドアンダーを出してはその隙をついた205がイン側を抑えつけハチゴーをいとも簡単に抜き去るのだった。
「je suis déçu(がっかりだよ)。ジャポネの走り屋がこの程度だったとはね…」
「ヒィ〜〜ッ!!」
「意外と呆気なく抜かれちまったぜ…!!」
2台の後を後追いしていた池谷はイツキのハチゴーがいとも簡単に抜かれてしまったのを目撃し、分かりきってたとはいえ、ハチゴーを流麗に抜いたプジョーが獅子奮迅のような走りをするのを見てはレオが乗っている車が普通のプジョーではないことに気付く。
「やっぱりそうか、あれは80年代にプジョーがWRCに出るために作ったホモロゲーションモデルである205ターボ16だ。見かけは小さいとはいえ…中身はカリカリの超絶モンスターマシンじゃあイツキが全く敵わないのも当然か。にしてもあの車、イツキのハチゴーを鮮やかに抜き去るのもそうだがまるでジャングルを駆け抜けるライオンのような走りをしやがる。あいつは一体何者なんだ…」
池谷はレオが駆るプジョーが世界ラリーで名を馳せた名機プジョー205T16だと分かっては、その走りを後ろから見ていくがレオの走りと自分達との間にかなりの差があると知り自分達では追いつけやしないと観念してはアクセルを緩め過ぎ去っていくプジョーを見送るしかなかったのだった。
秋名 スケートリンク 前
「ふぁ〜あ…日中群サイで走り込んだ後に姉ちゃんを迎えに行くのは思いの外疲れるなぁ。ん?あれってプジョー・205だよね。あんな珍しいクラシックカーが秋名を走るところを見るのは初めてだよ…」
イツキとレオのバトルに決着がついた同時刻、群サイから帰ってきてはすぐさま遥香を迎えに行くタケルはスイスポに乗っては秋名を走らせるが。走っていく途中上からイツキとバトルしていたプジョー205が降りてくるのを見かけてはあまりにもの珍しさに関心を示し、205が自分の横を通り過ぎようとしたその時、
「!!」
「(な、なんだ今のは…。あのプジョーとすれ違っただけだってのにこんなにも震えるなんて…)」
自分の横を通り過ぎていったプジョーを目の当たりにしたタケルはすれ違ったその瞬間にプジョーから出てくる覇気を察知したか思わずステアリングを握っていた手が身震いする。
「(さっきのはZC31S型のスイスポだったね。あそこまで車体を改造しているスイスポがこんな時間に走ってるってことは、もしかして今通り過ぎたのがここらで有名な『秋名の弾丸』か…)」
レオもすれ違い様に出会ったのがタケルのスイスポだと気付いたか、通り過ぎて行くスイスポをミラー越しに見てはまるで獲物を狙う猛獣のような鋭い眼差しで見ては狙いを定めるのだった。
ガソリンスタンド
「で、調子に乗ってはバトルを挑んでおきながら呆気なく抜かれちまったというわけか…」
「そうなんですよ店長。イツキの奴あっさりと抜かれたのがよっぽどショックだったか、今でさえああなってますからね」
「……」
秋名山でのバトルから一夜明け、スピードスターズの溜まり場になっているスタンドにはいつものメンバーが集まり、昨日の出来事を池谷から話を聞いた祐一は自分から勝負を申し出ては負けてしまったイツキに呆れ。当のイツキはプジョーに圧倒的な実力差で負けたのがかなり効いたか、呆然と突っ立っているのであった…。
「まあイツキが負けるのも仕方ねえよな。何せプジョーっていやラリーじゃ有名な車なんだしよ…」
「あの…池谷先輩、俺外車については全くなんですけど、プジョーって一体どんな車なんですか?」
「そうだなぁ。プジョーは世界でも最も古い自動車メーカーの一つで、フランスじゃシトロエンやルノーと並んではフランス自動車三大メーカーの一つに数えられてな。クルマづくりに至ってはフランス人特有の合理的主義が反映してるからか馬力は然程ないけど猫足と表現されるほど足回りがしっかりしては乗り心地がいい車を作ってるので有名なんだ」
「ふ〜ん、そうですか…」
プジョーについて説明を受ける拓海はあまり理解しきれていないのかボーっとしたような顔をしては頷くだけであった。
「それで、イツキが呆気なくやられちまったそのプジョーってのにはどんな奴が乗ってたんだ池谷?お前そいつの顔を見てるんだろ」
「ああ、確かそいつはフランスと日本のハーフだと言っていて、乗っている車は父親から譲り受けたヤツだと言っていたな。プジョーであれだけの
「ほぉっ…プジョー・205T16か。確かにそんな凄い車ならイツキのハチゴーじゃ敵わねえのも当然だな」
「205のターボ16?なんなんすかそれ…」
「プジョー・205T16っていうのはプジョーがWRCでグループBっていうカテゴリーを規定していた時に200台限定で出したモデルで、ミッドシップ+4WDという当時として考えられない組み合わせで出しては参戦したんだが、これが思いのほか高性能を発揮してはかなりの好成績を収めてな。WRCからグループBが消滅した後はパリ・ダカに戦場を変えてはそこでも無類の強さを発揮しては『砂漠のライオン』って異名が付けられたぐらい有名な車なんだ」
「へぇ〜ようするにその205のなんちゃらってのはめちゃくちゃ速いってことなんですね」
「まあ、そういったところだ。今時そんな珍しいのに乗る奴がいたなんざ信じられないくらいだよ」
ブロロロロ
「おいお前ら、話してるとこ水を差すようで悪いがお客さんが来たぞ」
「「はい」」
拓海達が話している途中スタンドには車が入ってきたため意気消沈しているイツキを除いた二人が前に出ては応対する。
「「いらっしゃいませ」」
「Excusez-moi(すみません)、ハイオク満タンでお願いできます?」
「ハイオクを満タンですね。わかりました。ハイオク満タン入ります!!(へぇ〜プジョー・306のカブリオレか。昨日見かけた白のプジョーもそうだけど今時こんな珍しいのに乗る人がいたとはな)」
店に入ってきたのはプジョー306カブリオレと呼ばれるオープンモデルでその車はサンルーフを開いたままスタンドに入ってきた。
それを運転していたであろう左側のドライブシートに座っている女性は頭にスカーフを巻いてはサングラスを掛けており、サングラス越しに応対した池谷にハイオクを満タンで入れるようお願いすると注文を受け付けた池谷は慣れた手つきで女性の車にガソリンを入れていき、給油している間に拓海がタオルで車を拭いていく。
「ねえ、そこの君。人違いだったら申しわけないけど藤原文太の息子の拓海君であってるよね?」
「え?は、はいそうですけど…」
「やっぱり。顔は本当お母さんにそっくりだけど雰囲気は文太に似てるわよあなた」
女性は自分の車を拭いている拓海を見ては何かを思い出したか、拓海を見ては文太の子ではないかと質問をし。
拓海は女性からの質問に肯定しては頷くや女性は納得したような顔をしては拓海を見ていくのである。
「あ、あの…あなたは一体…」
「ん?なんだ陽子じゃないか。いつのまに日本に帰ってきてたんだ」
「あら祐一久しぶり、数十年振りってところかしら。それよりも祐一、あなた随分と老け込んだわね」
「悪かったな。俺からすりゃ今でも若々しくいられるお前さんの方が異常なんだよ」
拓海がどう返事を返そうか迷っていると横から祐一が割って入っては女性に声を掛け。女性は祐一の顔を見るやすぐさま祐一の存在に気付いては祐一と親しげに話し始める。
「あの、店長…。この人うちの親父とおふくろを知ってるみたいですけど、お知り合いで?」
「そうか、拓海は知らなかったけか。こいつは陽子っていって俺と文太の高校の同級生でな。今じゃ大学時代に付き合ってたフランス人と結婚してはフランスに住んでるんだよ」
「ええ、主人の母国で菓子職人をしていてね。久々の日本に帰国がてら故郷である群馬の大学に留学してる息子に会いに帰郷してきたのよ」
「そうでしたか…(うちのクソ親父、あまり自分の過去については話してくれないからな)」
「ところで陽子。お前さっき留学してる息子に会いに日本に来たって言ってたよな。息子は今日本に住んでいるのか?」
「そうなのよ。名前はレオって言うんだけど、今は前橋にある群大に留学していてね。あの子は父親に似たのか主人から譲り受けた車を今でも乗り継いでは走り込んでるって言ってたわ」
「ちょっと待って下さいお客さん!!あなたは今息子のことをレオって言いましたよね!?」
レオという名前に反応したか、池谷は陽子に近寄るやレオについて尋ねる。
「ええ、言ったわよ。もしかしてあなた、レオのお友達?」
「いえ、俺とあそこでボーっとしている私の後輩が昨日秋名で彼とお会いしまして、その時にちょっと…」
そこから池谷が陽子に昨夜の出来事を簡潔に話し、それを聞いた陽子は呆れたかのようなため息をしては言う。
「そう。それであの子はうちのレオに負かされてはショックを受けてるの。いくら走り慣れた地元とはいえ運転免許を取って間もないんじゃレオの相手にすらならないのは当然よ。あの子、運転免許を取得しては元ラリードライバーの主人から指導を受けていてね。フランスの国内ラリーにも参戦してはうちの主人の血を受け継いでるだけあってか、数々の大会を総ナメしているのよ」
「そうでしたか…」
「(ま、流石に現役のラリードライバーが相手じゃイツキが敵わんのも当然だな)」
陽子からレオのバックボーンを聞いた池谷と祐一は納得したのかイツキの身の程知らずっぷりに呆れるしかなかった。
「ところでよ陽子、お前の旦那は今何やってるかわかるか?」
「そうね。あの人は現役を引退した今母国でタクシードライバーをやっていてね。昨日なんか費用が掛かる国際電話を利用しては『陽子、聞いてくれ。俺はついこの間タクシーでベンツをぶち抜いたぞ』って自慢気に話していたわ」
「そうかい…。あいつも文太と同様まだまだ現役だな…」
祐一は陽子から旦那の自慢話を聞かされては呆れつつも、親しげに話しては懐かしむのだった。
秋名山
その日の夕方、タケルはいつものように遥香を秋名湖の郊外にあるホテルまで送っている真っ最中であった。
「ねえタケル、いつも送り迎えしてもらってる私が言うのもなんだけどこの車、弄りすぎたんじゃない」
「そうか?フロントをカーボンに変えては後ろにリアウィングを取り付けたのがそんなに気になる?」
「当たり前でしょ。こんな如何にも弄った車で毎日来られたらホテル側に不審に思われるに決まってるじゃない」
「そりゃクルマ好きじゃない人からしたらそう見えるかもしれないけどさぁ。今度の土曜に勝つからにはこれくらいしなきゃいけないんだから大目に見てよ」
今の格好のスイスポで来られては迷惑になると遥香から苦言を言われるも、土曜に控えているバトルに備えてのチューニングだからと姉である遥香に無理言っては納得してもらうしかないのであった。
秋名湖 駐車場
「さてと、姉ちゃんを送ったことだし。ちょっくら
ブロロロロ
「ちえっ、誰だよ。人が折角昼寝をしようとしてるのに横に車を停めやがったのは……!?」
遥香を勤務先のホテルまで送り届けては長時間の運転で体力を消耗した為秋名湖に寄っては駐車場に車を止め休憩をしようとするが、自分が車を止めているスペースの右側に車が入ってきたのかエンジン音が聞こえてきたのでどんな車が来たかドライブシートの窓から見てみるとそこには昨日の夜すれ違ったあの白いプジョー・205が止まっていたのだった。
評価・感想をお願いします。