頭文字D 峠の弾丸   作:ペンギン太郎

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 遂にプジョーと対面することになったタケルとレオ。二人はどうなるのかご覧ください。


ACT.46 プジョーの最後

 

 『レオ~。ちょっと飲み物買ってくるからここで待っていてね』

 

 『D'accord(わかった)。もしエスプレッソがあったらそれを買っといてくれないか。僕はそれを飲まないと落ち着かない性分だからね』

 

 『いいよ。レオの好みに合うものがないか探してくるわ』

 

 

 「(この車、昨日秋名で見かけたのと同じヤツだ。しかもこれ、後ろがミッドシップになってるところからして世界ラリーやパリ・ダカで活躍したあの205T16じゃないか!!なんでそんな凄い車が日本の片田舎である群馬に来たんだ!?)」

 

 

 遥香を勤務先である秋名湖のホテルに送迎したタケルは、近くの駐車場に来ては休憩しようとしたが、昨日秋名を走っている時に見かけたのと同じ白のプジョー・205T16が停まってはスイスポの横に車を停め、その中から金髪が特徴の女の子が車から降りては飲み物を買いにいき、タケルは自分の横にきたプジョーを見ていくのである。

 

 

 「(見かけは普通の205と然程変わらないけど中身は1.8リッター4気筒のXU8T型エンジンを搭載しては200馬力ものパワーを出すって本に載っていたし。かなり走り込んできたのか、至る所に擦った箇所があっては板金を掛けたのが僅かながら残っている。ってことはつまり、このプジョーはただ単に公道を走らせてるだけじゃなく、モータースポーツ特にラリーで使われた車両と見て間違いないかもね)」

 

 

 「そこの君、さっきからずっと僕の車を見ているけど何か付いてるのかい?」

 

 「あ、すいません。この車があまりにも珍しかったのでつい見惚れてしまったんですよ」

 

 「そうかい?まあ僕のプジョーは今じゃ旧車みたいなものだけど。君がそう思うのも無理はないさ」

 

 

 レオのプジョーをまじまじと見ていくタケルの視線が気になったのか、左側のドライブシートに座っていたレオが窓を開けてはタケルに話しかけるとタケルはすぐさま謝り。レオはタケルの非を咎めもせず寧ろ肯定するのであった。

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 「そうだ。ここで会ったのも何らかの縁があるし自己紹介をしておくか。僕はレオ、レオ・アルベールっていうんだ。君の名は?」

 

 「斎藤丈瑠。タケルで構いませんよ」

 

 「そう。じゃあよろしく頼むよタケル君」

 

 「レオ~ここにはレオの好きなエスプレッソはなかったから代わりにブラックコーヒーを買っておいたよ」

 

 タケルとレオが軽く自己紹介を済ますと、先ほど飲み物を買いに行っていたであろう女の子が両手に飲み物を携えては戻ってきた。

 

 

 「merci Anne(ありがとうアンナ)。エスプレッソが無かったのは残念だけど、今日はこれで我慢するよ」

 

 「それはいいけどさレオ、そこにいる人は誰?」

 

 「ああ、彼はタケル君っていってね、今さっき知り合っては友達になったんだ」

 

 「ふ~ん。タケルっていうんだ。日本人らしい名前だね。私はアンナ・アルベール。レオの妹なの、よろしくね」

 

 「よろしくアンナ」

 

 「そうそうタケル、出会ってすぐに質問するけどさ、タケルって俗にいうグンマー県民なの?」

 

 「そうだよ。ちょっとアクセントが気になるけど、れっきとした群馬県民さ」

 

 

 アンナと軽く握手を交わしては互いに自己紹介をし、アンナはタケルを物珍しそうに見ていっては群馬県民なのかと質問をしてきたので、タケルはそうだとアンナに返す。

 

 

 「へぇ~私のママもグンマー出身なんだけど、ママから聞いた話じゃグンマーの人は会話をする時グンマー弁って独特の言葉を使うって言ってたわ。タケルもそういう言葉を使って話したりするの?」

 

 「いや、僕は普通に標準語で話すからアンナが言うように群馬弁を使ったりはしないよ」

 

 「そうなんだ。じゃあタケルの友達はグンマー弁を使っていたりするの?」

 

 「う〜ん…拓海やイツキも普通の言葉で話しているからそんな群馬弁を使ったりはしないかなぁ(でも、もしあの二人が群馬弁を使って会話をしたらどうなるんだろう…)」

 

 

 

 アンナから群馬弁を使わないのかと聞かれるや、標準語で話しているので使うことはないとタケルは言い切るも。二人が群馬弁で会話する姿を想像する。

 

 

 

 

 

 『拓海ぃ~今日も秋名へ走りに行くっべ!!』

 

 『やだよぉイツキ。俺、そこまで車を走らせるの好きじゃないさー』

 

 『何えれえこと言ってるだ拓海、お前は今じゃ秋名のハチロクと呼ばれては、なから注目されてんぞ。そんなんじゃこの先やっていけないっべ』

 

 『そうなんかい?俺はイツキが言うほど大した奴とは思ってないさー』

 

 

 

 

 

 「うん、イツキはともかく拓海が方弁で話すとかえって変になるし、標準語の方がしっくりくるね」

 

 「どういうこと。しっくりくるって?」

 

 「ううん、なんでもない。こっちの話」

 

 「?」

 

 

 タケルが群馬弁で喋る拓海達を想像しては違和感を感じたか、想像を打ち切っては現実に戻り。

 タケルとアンナが話してる中レオはタケルのスイスポを見ていってはあるお願いをする。

 

 

 「ところでタケル君。出会って早々すまないんだが、君が乗ってきたそのスイスポ、もし良ければエンジンを掛けてはマフラーの音を聞かせてくれないかい」

 

 「いいですよ。でも、この車はかなり弄っていますのでかなり煩いと思いますけど」

 

 「いいよ。その車がどんなポテンシャルを秘めているかちょっと知りたいんだ」

 

 「…わかりました。じゃあ試しに回しますのでちょっと離れててくださいね」

 

 

 レオのリクエストに応えるタケルはスイスポのドライブシートに腰を下ろしてはキーを差し込み、エンジン音を始動させ軽くエンジンを回してはマフラーを吹かし始める。

 

 

 ギュルルル ブォオオオン

 

 

 「うわっ、なんて煩い音してるのよ!!耳がキーンとなりそう」

 

 「……」

 

 「よしっ、こんなもんか。じゃあエンジンを切りますね」

 

 

 マフラーから吹き出る強烈な排気音(エキゾースト)にアンナは耳を塞ぐが、レオはマフラーからでる音を聞いては何かを確信したかタケルを真剣な眼差しで見つめる。

 

 

 「Je le savais(やはりそうか)。君がスイスポ乗りで有名な『秋名の弾丸』だったんだね」

 

 「えっ?」

 

 「どういうことレオ?タケルが秋名の弾丸って…」

 

 「要するにだアンナ。タケル君はここ秋名では最速を誇る走り屋だってことなんだよ」

 

 「ええっ、タケルってそんなに凄い走り屋だったの!?うわぁ〜アンナ感激しちゃうかも〜」

 

 「あの〜つかぬことをお聞きますが、どうして僕がその秋名の弾丸だと?」

 

 「何っ、簡単なことさ。君が乗っているそのスイスポ。一見公道でよく見かけるようなカスタムをしているけど、中身はハイパワー車にも匹敵する程の性能(ポテンシャル)を秘めているのはマフラーから出る音を聞いただけでわかるからね」

 

 「(す、すげぇ〜エンジンの音を聞いただけでその車が持つ性能を把握するなんてまるで涼介さんみたいじゃないか…」

 

 「でも、この車は駆動方式が前輪駆動(FF)な故に足回りを重点的に弄っては舗装路(ターマック)に適した仕様になっているからか、走る場所がダートラやグラベルといった荒れた路面での勝負となれは僕のプジョーの足元には及ばないね」

 

 「むむっ…そりゃ僕のスイスポは所詮前輪駆動ですから砂漠を駆け抜けた王者には匹敵しないかもしれませんけど、峠となれば誰にも負けない自信はありますよ」

 

 「ほう〜中々面白いこと言ってくれるじゃないか。そこまで言うからには僕とバトルをしてみるかい?」

 

 「上等じゃないですか。そこまで言われたからには負かしてやらないと僕の気が済みませんからね」 

 

 「そう。やはり君はこの車のフィナーレを迎えるのに相応しい相手になるかもしれないね」

 

 「え…?フィナーレを迎えるってのは一体?」

 

 

 レオからの挑戦に引き受けるタケルは熱く成りがちになるも、レオは淡々とした表情のまま自分の車を撫でるように触れては理由を話す。

 

 

 「実をいうとね。この車は父から譲り受けたものなんだけど父がラリーで使い走り続けてきては大分ガタがきていてね。日本にいる知り合いのエンジニアにメンテナンスをしてもらったらこの車はもうそろそろ潮時かもしれないって言われたんだ…」

 

 「!!」

 

 「だから、父から乗り継いできたこの車に乗ってバトルをするからにはそれなりの相手に挑まないといけないと思ってね。君ならプジョーの最後の相手に相応しいと思っては勝負を持ちかけたんだ」

 

 「……」

 

 

 205T16はもう走れなくなるかもしれないと聞かされたタケルは驚愕するも、レオは然程悲しそうにしておらず寧ろ悟ってるような顔をしては話を続ける。

 

 

 「どうかねタケル君。このプジョーに有終の美を飾らせる相手として僕からの挑発を引き受けてくれるかい?」

 

 「いいですよ。その挑戦受けて立ちますよ。相手が誰であろうと勝負を引き受けるのが走り屋のモットーですからね」

 

 「そうかい。引き受けてくれるのか、ありがとうタケル君」

 

 「でも、今週の土曜にはFCとバトルをする予定が入ってますからあまりこいつに負担を掛けるようなことはできませんので先行後追い形式の一発勝負で構いませんか?」

 

 「ほぅ…先週秋名を走ったあの白のRX-7とここでバトルをするというわけか。そういうことなら別に構わないよ。僕にとってはどんな理由があるにせよ、バトルをするからには全身全霊を尽くしたい所存だからね」

 

 

 

 

 

 藤原とうふ店 夜

 

 

 「ふぁ〜。ぼちぼち仕事を始めるか…」

 

  

 『文太〜いるかしら?』

 

 

 「あぁ?誰だ、こんな時間帯に来るなんざ。もう今日の分は残ってすらいねえっていうのによ」

 

 

 居間でくつろいでいた文太は家業の豆腐作りの下準備に取り掛かろうとするが、店の外から自分を呼ぶ声が響いたため店の外に出てみると、文太の目の前には赤いプジョーが停まっており。ドライブシートから陽子が顔を出しては文太に呼びかけてきたのだった。

 

 

 「久しぶり文太。元気してた」

 

 「なんだ陽子じゃねえか。いつ日本に帰ってきたんだ?」

 

 「先週からよ。息子がこっちの大学に留学していてね、その様子を一目みようと帰国してきたの」

 

 「息子って、あの野郎との間にできたガキがこっちにいるっていうのか」

 

 「えぇそうよ。うちのレオは主人に似てはクルマ好きな性格でね。ゆくゆくは父親と同じラリーの世界にいこうと思ってるみたいよ」

 

 「そうかい。で、一体何のようがあってうちに来たんだ?こっちにはもうお前さんに売る豆腐は一切れも残ってすらいねえってのによ」

 

 「やぁね~。故郷である日本に帰ってきたからには旧友であるあなたと会わないわけにはいかないじゃない。それにここに来たのは勝のことを聞こうと思ってはここに来たってわけなのよ」

 

 「けっ。そんな理由で俺のとこに来たってのかよ。それは御大層なこった」

 

 

 陽子が店に訪れたのは文太に会うだけでなく、もう一人の友人である勝に会う為で、勝と会うにはどうすればいいのかわからないため文太に聞きに来たという。

 その話を聞いた文太ははぁ〜とデカいため息をつくやポリポリと頬を掻き、言いづらそうな顔をしながらも陽子に残酷な事実を話し始める。

 

 

 「お前は知らないだろうがな陽子。あいつは数年前に亡くなっちまってはもうこの世にはいねえんだよ」

 

 「え!?…嘘でしょ、勝はもう生きていないっていうの?まさか、車で事故を起こしたんじゃ…」

 

 「いや、あいつは心臓の病で逝っちまったよ。長年走り込みをしては身体に負荷がかかり過ぎたのが原因なんだと」

 

 「そう…じゃあ勝とはもう二度と会えないのね。それをもっと早くに知っていれば彼の墓前に線香を上げることができたかもしれなかったのに…」

 

 

 勝がもう生きてはいないと知った陽子はとても悲しそうな表情を見せるが。文太は胸のポケットからタバコを1本取り出しては一服。ふぅ〜と口から煙を出しては陽子に話しかける。

 

 

 「まぁそう悲しい顔するな陽子。奴は死んじまったが、その意思を受け継いでる奴がまだ生きてはいるからな」

 

 「え…。どういうこと文太、勝の意思を受け継いだって?」

 

 「奴にはタケルっていう息子がいてな、そいつが勝の意思を継いだのか知らねえが、今じゃうちの拓海と同じ秋名で走り屋をしてるって話だ」

 

 「そうだったの、まさか勝に息子がいたなんて初耳だわ。そのタケルって子に会うにはどこへ行けばいいか教えてくれる?」

 

 「んなもん俺に聞くなって。あのガキについては俺より政志の方が詳しいから、あいつに聞けば教えてくれるにちげえねえよ」

 

 「わかったわ。じゃあ私は今から政志の工場に行くからまた今度会う機会があればここに寄らせてもらうわね文太」

 

 「ああ、そん時がくればうちの豆腐を買っていきな」

 

 

 陽子はエンジンを吹かしては店の前を走り去っていき。それを見送った文太は吸っていたタバコを地面に落としては擦りつけるように足で踏んでは火を消し、豆腐作りを再開しようと店の中に戻るのであった。

 

 

 

 

 

 秋名山 旧料金所跡 夜

 

 

 「よしっ、対向車は来てないみてえだ。こっちの準備もOKだし、いつでも出れるぞ!!」

 

 

 いつもの溜まり場になっているスタート地点には池谷を始めとするスピードスターズのメンバーが集まってはバトルに支障がきたさないよう取り仕切っており。下で待機してるメンバーから携帯を通じては対向車が来てないと連絡を受ける。

 

 

 「しかしまた、昨日に引き続きプジョーが秋名を走ることになるとはな。それでもって相手をするのがあのタケルときたもんだし、一体何がなんなのか俺には全くだよ」

 

 「ああ、それに関しては俺も驚いたが、タケルがあのプジョーと秋名でバトルをするからには地元として手を貸さねえわけにはいかねえからな」

 

 「ですよね、池谷先輩。タケルはきっとあのプジョー相手に勝つに違いありませんって!!そうでなきゃ、あのレオって奴に負かされた俺の気が晴れませんっすよ!!」

 

 「イツキ、昨日あのプジョーに派手に負かされた癖によくそんなことが言えるな」

 

 

 池谷達がどうして秋名に来ているかというと、タケルがレオとバトルをするのにプジョーがいつ壊れても対向車は勿論、無関係な一般車に迷惑をかけないようにする為で、チームのリーダーである池谷に協力してもらうようお願いをしたからだ。

 

 

 「それじゃあレオさん、早速バトルを始めたいですけど、先行後追いのどちらにしますか?」

 

 「C'est exact(そうだね)、先行を取っては引き離すのもいいけど、君がどういった走りをするか後ろから見てみたいし後追いを選ばせてもらうよ」

 

 「わかりました。じゃあ僕は先行して行きますのでお願いしますね」

 

 「ああ、途中で僕に抜かれるなんてことはならないでくれよ」

 

 

 カチン

 

 

 「(言ったなぁ。ここまで言われたからには絶対追いつかれないようにしてやるんだからね!!)」

 

 

 レオからの挑発するような発言にタケルは頭に来るも、冷静さを保ってはバトルに望む。

 

 

 「じゃあ準備もできたことですしバトルを開始するといきますか。池谷さん、カウントお願いしますね」

 

 「いいぜ、この勝負俺達がしっかり見届けやるからお互い悔いのないよう全力を尽くせよな」

 

 

 バトルは先行後追い形式で行い。スイスポがスタート地点に付き先行を取ってはその後ろにプジョー・205T16が付き。スターターを任された池谷はスタート地点の反対車線に立ってはカウントを数える。

 

 

 「よし、カウントいくぞぉ。カウント10秒前」

 

 

 池谷がカウントを開始し、二台の車はシフトノブを1速に入れエンジンを回してはマフラーを吹かし体勢を整える。

 

 

 「5秒前、4…3…2…1…GO!!」

 

 

 ギャァァァ

 

 

 カウントが切られ池谷が腕を振り落とすと同時にスイスポがスタートダッシュを開始しては、その後にプジョー・205T16が続けてはスタート地点から駆け出していき。二台が走り去った後イツキと健二が池谷の近くに寄る。

 

 

 「おぉっ、二台ともいきなり全開(フルスロットル)で飛ばして行きやがったか…。タケルのスイスポもそうだがあのプジョーも中々いい音を出していたぜ」

 

 「そうだな。タケルのスイスポはFFのNAに対しプジョーは4WDにターボだからパワーの面でいやプジョーが上だが、ここはタケルの地元である秋名だからきっとあのプジョー相手にいい勝負をするに違いないかもな」

 

 「頼んだぞタケル!!俺の敵を絶対にとってくれよなァ!!」

 

 

 池谷達に見守られては秋名の峠を下り始めていったスイスポとプジョー。急遽決まったこととはいえ、このバトルはどちらが制するのだろうか。




 というわけでスイスポVSプジョーの対決は次に持ち越しとなりますが、納得のいくよう書いていきますので何卒お願いしますね。
 レオのプジョー・205T16が走る姿はこのバトルが最後となりますが、レオが次に乗る車は再びプジョーで行きたいと思いますので楽しみにしていてください。


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