頭文字D 峠の弾丸   作:ペンギン太郎

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 更新しました。
 タケルと涼介のバトルの前哨ではありますが、次の展開に行く為の布石をいくつか出しましたので。どうぞご覧ください。


ACT.50 決戦前夜

 

 「ついにこの日が来たな!!先週は拓海が勝ったんだ、タケルも今夜のバトルに勝っては秋名の走り屋が群馬で一番速えってことをギャラリーに知らしめてやらねえとなァ!!」

 

 「そんな大袈裟に言わなくても、僕はただ涼介さんにリベンジを果たしたいだけなんだしさ…」

 

 

 デートの帰りに拓海達がバイトしてるスタンドに寄ったタケルは乗ってきたバイクにガソリンを給油してもらい。満タンになるまでの間、タケルはバイトの真っ最中であるイツキと今晩のバトルについて話をする。

 

 

 「そうはいうけどよ。お前と拓海が勝ち続けてる今、俺もいつかは二人に続けては秋名山最速の名を手にしては『秋名にはイツキあり』って言わしめるほどの男になってやるんだからなァ。くぅ〜!!」

 

 「いや、僕達を誇りに思うのは嬉しいけどさイツキ。イツキがそこに並び立つには道程が激しい気がするんだけど…」

 

 

 タケルがツッコんでいるのを他所にイツキは独自のポーズをしては独りでに興奮してはボルテージが高まるのだった。

 

 

 「ところで今日は久々にバイクでスタンドに来たみたいだけどよタケル、こいつに乗ってどっか遊びに行ってたのか?」

 

 「そうだよ。さっき結衣さんと一緒に伊香保温泉でデートしててね、その帰りにここへ寄ったんだ」

 

 「なっ!?デートってお前、今日は大事な一戦だと云うのに呑気に結衣ちゃんと遊んでたのかァ!?」

 

 

 結衣とのデートにうつつを抜かしていたと聞いたイツキは大袈裟なリアクションをしては驚きながらも今晩バトルが控えているタケルに怒りを見せつける。

 

 

 「そうだよ。といっても観光地を軽く回っただけでその時に結衣さんとちょっとした約束事をしただけなんだけどね」

 

 「や、約束ってお前…。まさか結衣ちゃんにバトルに勝ったら結婚しようだなんてことを言ってないよな?」

 

 「そんなこと言ってないよ。僕は決してそんな死亡フラグ的な事を言うわけないじゃないか」

 

 「なんだよ…。じゃあ結衣ちゃんとはどんな約束をしたんだ?」

 

 「どうって、もし今日のバトルに僕が勝ったのなら二人で一緒に温泉に行こうって約束をしただけなんだけど…」

 

 

 「なぁにぃ〜っ!?」

 

 

 バトルに勝ったら結衣と温泉に行くと聞いたイツキはオーバーリアクションをしては声を荒げるも、タケルは咄嗟に耳を塞いではガードする。

 

 

 「なんでだァ!!俺なんか女の子とは秋名山を行ったぐらいしかないってのに、拓海といいなんでお前ら二人にはそんな羨ましい展開が立て続けに起きるんだァ!!」

 

 「イツキ。さっきからずっと騒いでるけど、女の子と遊びに行くのがそんなに楽しいもんなのか?」

 

 

 イツキがあまりにも騒ぐので近くにいた拓海はイツキに注意するも、イツキは妬ましそうに拓海を睨みつけては言う。

 

 

 「なっ、拓海てめぇ…茂木と上手くいってるからって調子こいたことをぬけぬけと…!!まさかお前、また女ボケしてはうつつをぬかしてんじゃないよなァ!!」

 

 「いや、俺は別にイツキが言うほどボケてはいないんだけど…」

 

 

 拓海から横槍が入ってはますます嫉妬心を見せるイツキは憎たらし気に拓海を睨みつけては妬む。

 

 

 「でもまぁ拓海が女ボケするのも無理はないか。僕もついさっき拓海と似たような経験をしたんだしさ」

 

 「え?似たような経験って…お前、まさか…」

 

 「まあ僕の場合唇じゃなくて頬っぺだったけど、あれは本当凄い衝撃だったなぁ…。今でも脳裏に焼き付いてはニヤけてしまいそうなくらい嬉しかったしね…」

 

 「ぐはぁっ!!」

 

 

 追い打ちをかけるようにタケルがトドメの一言を放つや。拓海と同じように女の子からキスを受けたと聞いたイツキは嫉妬心が爆発してはぶち切れる。

 

 

 「タ〜ケ〜ル〜!!俺を差し置いて自分だけ羨ましい思いをしやがってェ…!!」

 

 「ちょっ、い、イツキ…苦しいってば…!!」

 

 「お前ら、さっきからずっと何やってんだ…」

 

 

 暴走したイツキはタケルの首を絞め上げタケルはそれに抵抗しては反抗するも、拓海はボーッとしつつ喧嘩する二人を呆れながら見るのであった。

 

 

 

 

 

 鈴木自動車工場

 

 

 「こんばんわ政志さん」

 

 「おう遥香か、お前さんがスイスポに乗ってうちにくるなんざ珍しいじゃねえか」

 

 「はい、先程タケルから政志さんのところへ車を持っていっては見てもらうよう頼まれまして、私が代わりに運転しては持って来たのですよ」

 

 

 時刻は夕方となり、遥香はタケルからの頼みでスイスポを整備工場に持って来るやバトル前の調整するようお願いをするのである。

 

 

 「ほぉ〜自分の車を姉に持っていかせるとはあまり関心できんな。まあ今に限ったことじゃねえが少しくらいは自分でやるよう強く言ってやらねえとな」

 

 「そうですね。あの子はもう子供じゃありませんので、そういったことは自分でできるようにならないと…あら、政志さん、あそこにあるのは一体なんですか?」

 

 

 遥香は整備工場の端のラックの上に置いてある大きめの段ボール箱を見かけるやそれについて政志に尋ねる。

 

 

 「ああ、あれはスイスポに搭載する新しいエンジンで。いつ載せるかは決まってねぇが、ゆくゆくはエンジンスワップをしようと考えてな」

 

 「エンジンを変えるって…それじゃあこの車はもうそろそろ危ないってことですか?」

 

 「いや、スイスポはまだ走れるから問題はねえが今載せているヤツじゃあパワーに限界があるからな。だから新しく用意したコンプリートエンジンに載せ替えてはパワーアップを図ろうと思ってたとこなんだよ」

 

 「コンプリートエンジン?それって普通のエンジンとどう違うのですか?」

 

 「コンプリートエンジンっていうのはメーカーが独自のチューニングを施しては精密に組み立てたエンジンのことを言ってな。走り屋がよくやるエンジンを弄くるのとは違って精巧に作られてるから載せ替えるだけですぐにパワーアップが図れるってメリットがあるんだ」

 

 「へぇ〜じゃあスイスポにそのエンジンを載せたらいつもより速く走れるようになるということなんですね」

 

 「そうなんだがこのエンジンを載せるにはまだタケルが乗り越えないといけない壁があってな。それを熟さない限りこいつを扱うにはまだ早えって文太が言ってはそれが終わるまでの間、こいつは手つかずになっているってわけだ」

 

 「タケルが乗り越えないといけないもの?それは一体何なのですか?」

 

 「ああ、文太が言うにあいつにはまだ…」

 

 

 『おじさーん!スイスポの調整は終わったのー?』

 

 

 「おっと、その話はまた今度だ。おいタケル、自分の車くらい自力で持ってこいよな。お前の姉ちゃんが忙しいことぐらいお前だって分かってるだろうが」

 

 「えぇ〜別にいいじゃないか。姉ちゃんには偶に車の運転くらいさせた方がいいんだしさ」

 

 「お前なぁ…」

 

 「ちょっとタケル、人にものを頼んでおきながらそんな態度は頂けないわ。少しくらいはお姉ちゃんに感謝してよね」

 

 

 政志が話している途中でタケルが工場へと入ってきてはスイスポの調整が済んだかと訪ねてきた為。タケルに残された課題に関する話を打ち切った政志は出会い頭にタケルを叱っては遥香と共に注意するが。タケルは叱られているにも関わらず平気そうに言ってはますます怒られるのだった。

 

 

 

 

 

 秋名山 夜

 

 

 「これまた凄えギャラリーが集まったな。拓海の時もそうだったが今日はその倍も来てるんじゃねえか?」

 

 「先週拓海が高橋涼介の不敗神話を破ったとはいえ、そのカリスマ性は未だに健在だからな。まあ大方は高橋涼介目当てだろうけど」

 

 

 今夜もまた、秋名にて最速を決めるバトルが行われると聞いては多くのギャラリーが観に集まっており。その様子を健二の180に乗っては応援に駆け付けた池谷達はあまりにもの数に圧倒されるのである。

 

 

 「なあ池谷、肝心のタケルはどうしてるんだ?今日の主役はあいつなんだろ?」

 

 「タケルなら今知り合いの整備工場でスイスポの調整をしてるとさっき連絡があったぞ。おそらく今晩のバトルに向けての最終調整に違いねえが」

 

 「そっか。なら俺らは先週と同じように頂上で今日の主役が来るのを待ってやるとするか」

 

 

 タケルが来るのをスタート地点で待つことにした健二は車を飛ばしては池谷と共に頂上へと向かっていくのであった。

 

 

 

 

 

 秋名山 中継地点

 

 

 「いやぁ来てみたはいいがすげえギャラリーだなぁ。おったまげるよォ」

 

 「そりゃあタケルが戦う相手は先週負けたとはいえ群馬最速と呼ばれた男ですから、それがバトルするとなればこれだけ集まるのも無理もないですからね」

 

 

 バトルを一目観ようと祐一が秋名に来ては大勢のギャラリーに仰天し、隣にいる勇は涼介のカリスマ性の高さならこれくらいは当然だと祐一に教える。

 

 

 「ところで勇、お前さんはこのバトル、タケルが勝つと思ってるのか?」

 

 「どうですかね。地元を走り続けたアドバンテージの差でいったらタケルが有利かもしれないですが、相手はあの高橋涼介。ちょっと走っただけでコースのレイアウトを頭にインプットしては攻略の糸口を瞬時に掴む男ですから、おそらくタケルは今のままでは負けてしまうのではないかと俺は思いますね」

 

 「そうか。お前でもわからないっていうのなら、いっそのこと文太にでも電話して聞いてみるってのはどうだ?」

 

 「それは無理な話ですよ。いくら伝説の走り屋と呼ばれた人といえど、今回ばかりは誰にも予測がつかないバトルになるのではと思いますよ(だからこそ、あいつが高橋涼介とのバトルでどんな奇跡を起してくれるのか期待してるんだけどな)」

 

 

 バトルの勝敗がどっちに着くのか不明だと返す勇ではあるが、勝負の行方がどうなるのか密かに期待するであった。

 

 

 

 

 

 秋名山 旧料金所跡

 

 

 スタート地点には大勢のギャラリーがタケルが来るのを待ちわびてはバトルが開始されるの待ち構え。

 先に来ていたであろう高橋涼介も啓介を始めとするレッドサンズのメンバーを引き連れては対戦相手であるタケルが来るのを待つ。

 

 

 「ちっ…あの野郎、秋名のハチロクと同じように遅れて来るってのかよ。少しは待たされるこっちの身にもなれってんだよ」

 

 「そう怒るなよ啓介。うちらの大将である涼介と本気のバトルするからにはそれなりの準備をしなきゃいけないことはお前もわかってるだろ。なら、あいつが颯爽と駆け付けてはここへ来るのを待とうじゃんかよ」

 

 

 未だに来ていないタケルに苛立ちを募らせる啓介だが、隣にいる真希が宥めては落ち着くよう促されては大人しくする。

 

 

 「それはそうと真希、あの風間って奴はどうしたんだ?今日はあいつと一緒に来てたんじゃなかったのか?」

 

 「風間ならここへ来る途中、ある車を見かけてはそこへ行っては離れてしまってな。なんでも涼介との間にちょっとした因縁がある知り合いらしくて、そいつとちょっくら話してくるって言っては別れたんだよ」

 

 「はぁ?一体どんな奴なんかは知らねえが兄貴の知り合いだというのなら少なくとも腕は確かだろうな」

 

 「どうかな。あたしが見る限りじゃそいつが乗ってきたのは確か黒のエボ…」

 

 

 『来たぞォ!!秋名の弾丸だァ!!』

 

 

 真希の話を遮るかのようにギャラリーの一人が大声で叫ぶや、暗がりの中を黄色いボディが特徴の車、スイスポ(ZC31S)が駆け抜けては頂上へ近付いてくるのだった。

 

 

 「ちっ、肝心なところであいつが来やがったか。悪い真希、その話はバトルが終わった後にしてくれ、今は弾丸と兄貴のバトルが先だからな」

 

 「いいよ。どうせあいつのことだからそいつとは大した話をするわけじゃないだろうしな」

 

 「(そういや、風間が知り合いだという奴が乗ってたのは黒のエボⅢだったかな。ラリーで抜群の性能を誇る車に乗ってるからには、かなりの腕を持っているに違いないだろうけど。今は涼介とタケルのバトルを優先しないとな)」

 

 

 真希は瀬名が会うとしていた相手が乗っている車がエボⅢだったのを思い出すも、タケルと涼介がバトルをする今では関係ない為頭を振っては気を取り直し、タケルが来るのを待つのだった。

 

 

 

 

 

 「いよいよだな。タケルが遂に高橋涼介とバトルする時が来たか…」

 

 「それはそうだけどよ。何ていうかこう…あの二人の間には物凄えプレッシャーが出ているような気がするんだが」

 

 

 スタート地点に到着してはようやく今回の主役である二人が立ち並ぶと、二人の間にはとてつもないオーラが発され緊張感に包まれてはこの場にいる誰もが言葉を発せずタケルと涼介を見ていくである。

 

 

 「この時を待ちわびたよ。二ヶ月程前までは素人だったお前がここまで腕を上げてきたとは感心するよ」

 

 「いやぁ〜僕はただ普通に車を走らせてきただけなんですけどね〜」 

 

 「そう謙遜しなくてもいいぞ、初めてバトルした時に啓介を負かしてからもスイスポを走らせ続けては磨き上げてきたその走り、この目でしかと見させて貰うからな」

 

 「ええ、いいですよ。僕としてもあの時負けた借りは今夜こそキッチリと返させてもらいますからね」

 

 「ふっ、お前も言うようになったな。いいだろう。やれるものならやってみることだな…」

 

 

 タケルと涼介はお互いに向き合っては対峙しては早速バトルの準備へ取り掛かる。

 

 

 「それじゃあ今回も俺達レッドサンズが取り仕切るが、スピードスターズからも何人か応援を頼めるかな?」

 

 「ああ、こっちからも数人出しておくから任せたぞ」

 

 

 史浩が池谷に応援を頼んではそれを了承し、両チーム総掛かりでバトルができるよう用意をし始めるのだった。

 

 

 

 

 

 『こちらスタート地点、今のところ対向車は来ていません』

 

 

 麓で待機してたメンバーから対向車はいないと連絡を受け、それを聞いた史浩がスタートラインの真ん中に立ってはカウントを開始しようとする。

 

 

 「じゃあ早速カウントを始めるぞ」

 

 「ちょっと待ってくれ。このバトルだけはある男にカウントを任せたいんだが、いいかな?」

 

 「え?涼介がそう言うのなら別に構わねえけど」

 

 

 史浩がカウントを数えようとする直前で、涼介が車の窓から顔を出してはある人物に任せたいと言い。その人物がいるであろうある方向へ目を向けてはそこにいた意外な人を見つめては口を開く。

 

 

 「藤原。すまないがこっちへ来てくれるか」

 

 「え?」

 

 「おい拓海。あの高橋涼介からの呼び出しなんだ、行ってやれよ」

 

 

 涼介がスターターとして指名したのはまさかの拓海で、拓海は突如指名されてはキョトンとするも。イツキに後押しされるがままスタート地点の真ん中に行ってはタケルと涼介の前に来る。

 

 

 「涼介、まさかこのバトルのカウントを秋名のハチロクにやらせるというのか?」

 

 「そうだ。今群馬で最速の走り屋はこいつだからな。だからこそ、その後に続く走り屋が誰なのか審判を下すにはピッタリだろ?」

 

 「まぁ、お前の言う事にも一理あるが…」

 

 「斎藤。ちょっとした余興に過ぎないかもしれないが藤原にカウントを任しても構わないよな?」

 

 「勿論OKですよ。僕達のバトルの開始の合図を拓海が出すというのなら文句ありませんし、これほど相応しい人はいないですからね。拓海。急な頼みで悪いけど、カウントはお前に任せるよ」

 

 「…わかった。俺が真ん中に立ってはカウントを数えるからスタートをしくじるんじゃねえぞ」

 

 

 急遽決まったこととはいえ涼介の提案に乗るや、スターターを拓海に託しては秋名のハチロクに続く群馬最速の走り屋を決める最後のバトルが開始されることとなるのであった。




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