頭文字D 峠の弾丸   作:ペンギン太郎

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 更新しました。
 本話ではsecond stageに先駆けあるキャラが登場します。


ACT.51 秋名の弾丸VS赤城の白い彗星

 

 秋名山 中継地点

 

 

 「瀬名。今夜涼介がバトルすると聞いては遥々来たんだが、何故涼介とバトルする相手がスイスポなのか詳しく聞かせてもらうぞ」

 

 「別に大した理由などないよ。今から相手をするスイスポは群馬じゃ秋名のハチロクに次ぐかもしれない走り屋だから、その腕がどれほどのものかお前に見てもらおうと思って、ここに呼んだんだよ…。京一」

 

 

 秋名の高峰展望台にいる瀬名は、頭にタオルを巻いては職人気質のオーラを醸し出す男と親しげに話しながらバトルを待ち望む。

 彼の名は須藤京一といい、いろは坂をホームコースにしている走り屋で。三菱のランサーエボリューション(通称ランエボ)だけのワンメイクチーム『エンペラー』のリーダーでもあるのだ。

 そんな彼が何故秋名にいるかというと、瀬名から涼介が秋名でバトルすると聞かされ、偵察がてら、その様子を観に来たからである。

 

 

 「ハチロクが最速の走り屋だと?何の冗談で言ってるんだお前は。あの涼介がハチロク如き旧車に負ける筈がないだろ…」

 

 「お前が信じられないと思うのも無理はないけどな京一。涼介は先週、そのハチロクにここで敗れたんだよ」

 

 「なんだと!?その話は嘘じゃねえだろうな…」

 

 「本当さ。今夜はハチロクは走らないけど、その次に速いってうわさのスイスポを見てから感想を聞かせてもらうよ」

 

 

 自分がライバルとして認めた男である涼介が、ハチロクに負けたことに京一は不信を抱くも。ハチロクが涼介のFCにバトルで勝つ瞬間を間近で観た瀬名が言い切る為、その言葉を信じるしかない京一は、今から行われるのであろうバトルを待つことにするのであった。

 

 

 

 

 

 秋名山 スタート地点

 

 

 「…それじゃあ、カウント行きますよォ」

 

 

 急遽スターターを務めることとなった拓海は大勢のギャラリーに注目されては緊張し、スタートラインの真ん中に立つや、カウントを数える。

 

 

 「なんていったらわかりませんけど、拓海がカウントを数えるなんて新鮮な気がしますね、池谷先輩」

 

 「ああ、いつも走ってばっかりだった拓海が、まさかスターターを務めることになるなんざ、微塵にも思ってなかっただろうしな」

 

 「でもよ、今日はタケルが高橋涼介とバトルするからか、本人も満更では無さそうだったし。これはこれで面白くなるんじゃね?」

 

 「そりゃそうだ。群馬最速の走り屋の称号を手にした拓海のカウントで始まる秋名のハチロクに続く走り屋を決める秋名のダウンヒルバトル。これは中々の観物になるのは確実だからな」

 

 

 拓海がカウントを数える姿にスピードスターズの三人が三者三様に言い、拓海とタケルを見守っていくが。果たしてバトルの行方はどうなるだろうか。

 

 

 「カウント10秒前!!」

 

 

 あらかじめ池谷からレクチャーを受けた拓海は軽く練習したものの、本番で初めてやるのに緊張するも淡々とカウントを数えては指を動かす。

 タケルがスイスポのヘッドライトを点灯させ、M16Aを回してはマフラーを蒸し。

 涼介もリトラクタブルのヘッドライトを点灯するや13Bを回しては体勢を整える。

 

 

 「5…4…3…2…1…GO!!」

 

 

 カウントがゼロを切っては拓海が腕を振り下ろすと。

 両者は同じタイミングでスタートダッシュを開始しては加速をし出しては拓海の横を通り過ぎては突き進む。

 スイスポが徐々にスピードを上げては加速する一方、FCは少し車速を落としてスイスポの後ろにつき、その後に続くのだった。

 

 

 「っしゃあ!!スイスポが頭取りました!!このまま一気に突き放していけばタケルが勝つかもしれないっすよ!!」

 

 

 スイスポが先行を取っては大はしゃぎするイツキだが、それが先日のバトルで拓海の時にやった涼介の策だと気付かず。バトルは始まるのだった。

 

 

 

 

 

 「(やっぱりその手で来たか…。後ろから追いかけていけば先行の走りを観察できては、ラインを真似することもできる。でも、僕だって伊達に秋名を走り続けてきたわけじゃないから、どれだけ成長したかじっくりと見せてやるよ!!)」

 

 

 先行ポジションを取ったタケルは後ろを走るFCを気にしながらも、コーナーに突入してすぐ、フルブレーキングからのヒールアンドトゥでギアを3速から2速に落とし、荷重移動でテールスライドを起こしながらコーナーを横切る。

 

 

 「(ほぉ…初めてバトルした時は過剰にブレーキングしてはタイヤを酷使していたが、先程のブレーキングからの立ち上がりに至っては完璧に近いな。ブレーキのリリースポイントをきっちり掴んでは上手くアクセルを踏み込んでいる。俺にリベンジをかますというだけのことはあるな)」

 

 

 タケルの技術が以前よりも上がったと評価するが、バトルはまだ序盤に入ったばかりでそれだけで涼介に敵うかというわけではなく。

 涼介はタケルの走りに合わせてはブレーキングからのステアリング操作をしてはコーナーを鮮やかに抜ける。

 

 

 「(野郎…。拓海とやった時はコーナーを抜けるのにドリフトをしていたのを、今度は手際良くコーナリングをして抜けてきたか。このままのペースで行ったら後ろからのプレッシャーに押しつぶされてしまう気がするから、集中力を切らさないようにしないと)」

 

 

 涼介の思惑通りに行くわけにいかないと思ったか、タケルは相手のペースに飲まれないよう集中して運転するが、果たしてその平常心がいつまで持つのであろうか。

 

 

 

 

 

 ギャアアア

 

 

 「もうそろそろ来る頃だな。タイヤをスキール音からして二台は近くまで来てるかもしれないな」

 

 

 高峰展望台付近にて瀬名と京一の二人がバトルを見ていく中、上り方面から二台が降りてくるや猛スピードで走り抜け。スイスポがフルブレーキングからのスローイン・ファーストアウトでコーナーを抜けていき、その後を涼介がスイスポと同じ攻め方で進んでは後に続く。

 

 

 「どうだい京一。今通ったスイスポがどれだけやれるかわかっただろ?」

 

 「そうだな。あのスイスポが速いのは理解したが、だからといってあの程度の走りじゃ涼介に敵う筈がないな。ブレーキングが上手いのは確かだが、俺からすればまだまだだ…」

 

 「そう判断するのは早いんじゃないかな。先行はスイスポが取っていたけど、あの涼介が認めるくらいだから後半になれば涼介が認める理由が判明するかもしれないぞ」

 

 「お前がそこまで言うからには、あのスイスポにはそれなりの実力があると見ていいんだな」

 

 「勿論、そうでなきゃ態々お前をここまで呼び出したりするわけないじゃないか。いずれにせよ、お前とはいずれやり合うのは明白だし、勝負の行方は結果が分かるまで待つとしましょうか」

 

 「けっ、お前には涼介同様、いろは坂で負かされたイヤな記憶があるからな。今回はお前に免じてその話を信じてやるよ」

 

 「ほほぉ〜もしかして京一、地元のいろは坂でお前をリスペクトしては俺が乗ったランエボに負かされたのをまだ引きずってんのか?」

 

 

 京一が瀬名の言う事を信じてやると言ってすぐさま、瀬名はからかいながら過去の出来事を話し始めると、京一は憎たらし気な顔をしては瀬名にその思いをぶち負ける。

 

 

 「当たり前だ!!そもそも貴様があの時使ったランエボはどう考えたってFRのような動きをしていただろうが!!あんなものに負かされたと思うとな、未だに腸が煮えくり返るんだよ!!」

 

 「ははっ、バレていたか。まああれはワイスピ3で出ていた赤のエボⅨをオマージュしては俺も同じ仕様のランエボを用意しただけなんだけどな。まあ京一からすればFRに改造したランエボに負けるなんざ屈辱の他ないのも当然だしな」

 

 

 京一は瀬名に負けたのを根に持っていたのか、瀬名とバトルしたことを思い出すも。当時瀬名は、FRに改造したランエボで京一を打ち負かしており。4WDに強い拘りを持つ京一はそのことを引き摺っては根に持っていたのだった。

 

 

 

 

 

 秋名山 スタート地点

 

 

 『こちら第1中継地点。凄えぞこれは…秋名の弾丸が先行を取っては後に涼介のFCが続いてるが、FCはスイスポにピッタリとくっついては接戦を繰り広げているぞ!!』

 

 「了解した。引き続き監視を続けといてくれ。バトルが終わるまでの間、いつ一般車が通るか分からない今警戒を怠るなよ」

 

 『了解。じゃあ連絡を切るぞ』

 

 

 中継地点で待機してたメンバーからの連絡で、スイスポが先行を取ってはFCが後に続いてるとの報告を受け。史浩は待機してたメンバーに監視を続行するよう警告する。

 

 

 「どうやらタケルが前を取っては走ってるみたいですね」

 

 「おおっ!!いい調子じゃねえか。このまま行けばタケルが勝っちまうんじゃないかなァ!!」

 

 「いや、そうとも限らないぞ。スタートダッシュにおいて駆動方式の差で駆け出しはFRが有利の筈が、どういうわけか、FFのスイスポが先行を取ってはその後ろにFCが付いたのがおかしいと思わなかったか」

 

 

 スタートダッシュ時における初速の差で、後輪駆動(FR)であるFCよりも前輪駆動(FF)のスイスポが前を取ったことに疑問を抱く池谷は、その理由がタケルにワザと先行を譲ったのではないかと推測し、油断しないようイツキに警告するのだった。

 

 

 「何いってんすか先輩。高橋涼介がどういった理由でタケルの後ろに付いたのか知りませんけど、スイスポが頭を取った今そのまま突き進んでは逃げ切ればいいだけですよォ!!」

 

 「あのなぁイツキ。先週タケルが先行を走るより後ろを取った方が有利だって言ったのを、もう忘れたのか?」

 

 「へ?…あ、確かに言ってましたねそんな事。あの〜それがバトルにどう影響するというんですか…?」

 

 「はぁ、全然分かってねえなお前は…。いいか、先行して逃げるよりも後ろから追っかけた方が技術もそうだが心理的にも有利になることは走りにおいて常識なんだ。今はバトルが始まったばかりだから、まだ何とも言えないけど、もしあのまま後ろに張り付かれたら、タケルからしても精神的にキツいに決まってるだろ」

 

 「あ〜なるほど、そういうことでしたか…ゲェっ!!ってことは…」

 

 「おそらく、高橋涼介に追い詰められながら焦ってるに違いないだろうな。拓海でさえ後ろに付かれては物凄い走り辛かったって言うぐらいだからな」

 

 

 ようやく理解したかイツキはタケルが追い込まれてることに気付くも、バトルが始まった今イツキ達にはバトルの結果が終わるのを待つ他ないのであった。

 

 

 

 

 

 秋名 中継地点

 

 

 「来たか…」

 

 

 バトルは中盤へと入っていき。秋名のある中継地点にて勇と一緒にバトルを観に来ていた祐一はエンジン音が近付いてくる方向に目を向け、二台が来るのを待ち構える。

 上り方面から二台が迫ってくると、タケルは左足ブレーキで姿勢を制御しながら突き進み。涼介はヒールアンドトゥからのシフトダウンでスピードを調整しながら車をコントロールしてコーナーを滑らせては鮮やかに横切り。

 目前にいた祐一達の前を瞬時に通り抜けるのだった。

 

 

 「すげぇ…ぶったまげたァ…」

 

 「どうやらタケルは、まだ状態をキープしてるみたいですけど、それがいつまで続くかですね」

 

 「ああ、あんなに密着された状態で走られちゃあドライバーからすればかなりの負担になるからな。タケルが途中乱さなきゃいいが…」

 

 

 通り過ぎていったタケルを心配する祐一と勇であったが。バトルが続いている今、どうなるのかは誰にも予想がつかないのであった。

 そして、スイスポが未だに先行を取っては秋名を攻め込むも、そのドライバーであるタケルは後ろから迫りくるFCのプレッシャーに呑まれつつ走り続けるが、その走りには僅かながら乱れが生じては不安定になる。

 

 

 「(くっ…!!ここまで来てこうも後ろに張り付かれちゃあ、そろそろ保たないかもしれない…!!)」

 

 

 後ろを走るFCのプレッシャーに飲まれつつも、タケルはペースを乱さないようステアリング操作をして車を走らせるが、直前に迫る右コーナーを抜け切ろうとしたその瞬間。減速するのにブレーキングするタイミングが遅れたか、スイスポはリアを大幅に膨らませてはドアンダーを出してしまう。

 

 

 「(しまった!!こんなところでドアンダーを出してしまった…!!)」

 

 「(ブレーキを踏むタイミングを見誤ったな。そのまま行けばもう立て直しは難しいぞ)」

 

 「(く…。曲がってくれスイスポ!!ここで終わってしまったらもうあの人に勝つチャンスがなくなる。曲がってくれェ!!)」

 

 

 スイスポがドアンダーを出しては道幅が空いた隙をつきFCが瞬時に通り抜け。そこからポジションを入れ替えてはFCが前に出ると。スイスポはドアンダーの状態からすぐさまカウンターを当てては姿勢を立て直しFCの後ろに付く。

 

 

 「(普通のドライバーならアンダーを出しては外側にぶつけてしまうのを強引にカウンターを当て、姿勢を車体を立て直すとは中々の腕だ。これが並みのドライバーなら終いになるが、どうやらこのバトル、まだまだ張り合えるとみていいかもな)」

 

 「(危ねえ…。後少しステアリング操作が遅れてたらぶつけては終わるとこだったよ。FCには先行を取られちゃったけど、こっからが勝負である以上どこかで抜き返さないと勝てないかもしれないしね!!)」

 

 

 今度はスイスポが後ろについてはFCの後を追うも、バトルは後半へと入っては終盤戦へと行くのだった。

 

 

 

 

 

  5連続ヘアピン

 

 

 「先週のバトルで不敗神話が途切れたとはいえ、これだけのギャラリーが集まるとは中々だな。藍璃もそう思わないか?」

 

 「…別に。私は得に何とも思ってないわ」

 

 「相変わらず不器用だな…。ところで、このバトルはどっちが勝つと藍璃は思ってるんだ?」

 

 

 タケルと涼介がバトルを繰り広げている中、5連続ヘアピン前で観戦に来ていたのは涼介の大学の先輩にあたる長町龍我だ。龍我は藍璃という名の女性を連れてはスイスポとFCが来るのを待ち。藍璃は落ち着いた雰囲気を醸し出しては口を出す。

 

 

 「…私は、どっちがどうだろうと関係ない。ただ…今日走る車が先週走ったあのハチロクと同じ()があるかどうか気になるだけ」

 

 「羽ってリアウィングのことか?俺が知る限りじゃハチロクにリアウィングは付いてなかったと思うけど」

 

 「…ううん、そうじゃない。私が観たいのはあのハチロクが観せたような白い羽を期待してるの」

 

 「白い羽?藍璃が言う羽っていうのはどういうもんか先生に教えてくれるかな?」

 

 

 まるで全てを見通してるかのように、藍璃は秋名の公道を眺めつつ自身が言う羽について話し出す。

 

 

 「…多分、先生には言っても分からないかもしれないけど。先週ここを走ったハチロクはコーナーを抜けていく時に薄かったけど鳥のような白い羽を出していた。だから、このバトルであの時と同じ羽を出す車が出てくるか私は期待してるの…」

 

 「へぇ〜鳥みたいな羽ねぇ…。まあ藍璃にしか見えないそれを、涼介か秋名の弾丸のどちらから出るかだな」

 

 

 龍我は藍璃が言う羽を理解できていなかったが、今日のバトルで涼介とタケルがどんな走りを見せてくれるか期待するのであった。

 




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