いよいよ拓海とタケルがランエボとバトルを始めます。
「この調子だとサイドパネルはすぐにスペースがなくなるな」
「ゲームだと思えばそこそこ楽しめるんだけどな。そろそろ手応えのある奴と戦いたいもんだぜ」
群馬のある駐車場の一角にてエンペラーの軍勢がランエボで押し固めては集まっており、清次と京一はエボⅣのリアフェンダーに貼り付けられている真っ二つに引き裂いたステッカーを見ていっては自分達が制圧した群馬エリアの数に自惚れる。
「次の標的はどこだ京一?」
「明日の夜一番に秋名に乗り込むぞ。瀬名がいうハチロクとスイスポがどれほどのものか確かめたいからな」
「ああん?秋名のハチロクにスイスポかつまんねーの。そいつだってただ自分達が速えって自惚れては適当にふかしてただけじゃねえのか」
「嫌なら無理に来なくてもいいぞ清次。その二台の内どっちかは俺がやっていいしな」
「え!?」
京一が秋名のハチロクもしくはスイスポとバトルをすると言っては清次を含むエンペラーのメンバー達が驚いていると、エンペラーが集まっている駐車場に青いエボⅥが入ってきては京一のエボⅢの隣に車を停め。
そのドライバーであろう男は車から降りては京一に手を合わせては言う。
「悪い、こっちに来る途中渋滞に巻き込まれては遅れちまった」
「別に構わない。お前には秋名の偵察を任せたからそれくらいどうってことはない。秋名についてはどうだったか聞かせてもらうぞ浩二」
遅れてきたのを謝りながら京一に話しかけてきた男、名は
浩二は京一達エンペラーの本隊が妙義でバトルしている間、秋名に出向いては偵察に行っており。秋名のコースがどういう特徴だったかを京一に説明する。
「そうだな。秋名は勾配が強く、直線という直線が短いからハイパワーで攻め込むにはおすすめできんな。ブレーキングもかなり踏む必要性があるから、この中でいや京一、車体の軽いエボⅢに乗ってるお前が出たほうがいいかもしれないぞ」
「そうか。なら次は偵察に行ったお前も参加することだ。秋名でやる相手はハチロクとスイスポだが行けるか?」
「当然。相手がどんな車で来ようがやるからには本気でやらな相手に失礼だからな」
「最終的な目的は赤城レッドサンズ…高橋涼介だ。だがその前に、涼介を仕留めたっていう秋名のハチロクとスイスポを潰す」
「冗談だろ。俺にやらせてくれよ京一…。どんなコースだろうと俺が負けるわけねえだろ。第一、俺じゃなく浩二にやらせるってのが気に食わねえ!!」
京一直々の指名で浩二が次の秋名遠征で二台のどちらかとバトルすると言っては了承する。が、清次はハチロクとスイスポ相手にするのが自分ではなくリーダーである京一と後から来た浩二が出るのが気に食わなかったか反対するのだった。
「清次、今度の相手は旧型とはいえあの涼介と瀬名が認める程の奴らだ。その二人を相手にするからには俺とコースを下見してきた浩二が出たほうが効率がいいからな」
「そういうこと。お前のエボⅣも速いとはいえ、今のセッティングじゃ秋名を走り切るのには向いていないから今度ばかりはお前の出番はお預けだな」
「この野郎…!!お前が京一とは
「(はぁ…また始まったか、その自信過剰な態度が走る上での短所だってのにさ…。いくらランエボに乗ってるとはいえ、高橋涼介を破ってる走り屋を相手にするからには半端な奴じゃ敵わないのは京一自身分かってるというのに。どうやらここらで一度清次には痛い目に遭った方がいいかもしれないな)」
清次は明日の秋名に行くからには自分が出ると言っては豪語する。しかし浩二は天狗になっては自惚れてるであろう清次にはそろそろ負けを経験した方が良いのではと密かに呟くのだった。
学校 放課後
キーンコーンカーンコーン
翌日、制服を衣替えをしては学ランに身を包んだタケルは文太に言われたことを引き摺りながらも重い足取りで下校しては入口前に来る。
「パワーを上げる本当の意味かぁ…。拓海には黙ってろって言われたけど、父親が負けるのを望んでるなんてことを拓海が知ったら絶対ブチ切れるに違いないだろうしなぁ…ん?」
気乗りしないまま下校しようとするタケルだが。学校入り口の靴箱にて拓海が一枚の紙切れを見ては深刻な顔をしては突っ立っており、それを見たタケルは拓海に話しかけるのだった。
「どうしたんだ拓海。真剣な顔をして?」
「ああいや、ちょっと…その…」
「ん?なんか知ってはいけない事実を知ってしまったみたいな顔をしてるけど、何か気になることでも書いてあったのか?」
「え!?…ああいや、なんでもないよ。ほら、もう時間だしそろそろ帰らねえとな」
拓海は歯軋りの悪い返事をしては紙切れをポケットに入れては靴を履き替えていき、それを見たタケルは拓海が何か抱えているに違いないなと予想しては拓海を見ていく。
「(拓海の奴、様子がおかしかったみたいだけど。あれには何が書いてあったんだ…)」
「うーっす拓海、タケル。帰ろうぜ」
タケルが拓海が何を気にしてるのか考えている最中、イツキが合流しては三人で下校することとなり。拓海が何かを抱えている様子でしどろもどろになりながらも三人で帰り道を歩く。
「なぁ拓海。俺がちょっと前に買った車の雑誌にランエボの特集が載ってあるんだけどさ。読んでおいた方がいいぞ。お前とタケルは近い内にランエボとバトルすることになるんだからよ」
「いいよ俺…」
「何でー?絶対参考になると思ったんだけどなー」
「イツキの言うとおりかもしれないよ拓海。ランエボを相手にするからにはそれなりの情報は知っておいた方が後で役に立つかもしれないよ」
下校しながら拓海に話しかけてきたイツキがランエボについて知っておいた方がいいかもしれないとアドバイスするも、拓海はそういうのはいらないと断っては理由を話す。
「そういうの読んでも知識をどう役立てたらいいのか俺わかんねぇよ…。どうすればハチロクを速く走らせられるか、俺が考えるのはそれだけ…。どんな車が相手でも同じだよ」
「ふうん。お前さ、もうちょっとエンジンにパワーがあればいいなとか考えたことないのか?」
「(ぎくっ!?イツキの奴、ここにきてマズイことを言ってくれるな…!!)」
「ふぅん…ないな〜」
タケルは昨日の夜、文太がハチロクに新たに載せるエンジンのことを聞いていた為、イツキが余計なことを言っては拓海が車のパワーを気にしてしまうのを危惧するも、拓海は更に突っぱねるのだった。
「マジかよォー。俺なんかパワーが欲しくてしょうがないんだからよォ!!」
「(ここのところ勝ち続けているからか拓海は達観してるね。親父さんが負けを経験した方がいいって言った理由が今になってわかる気がするよ…。けど、次にやるかもしれないランエボ相手に負けてしまうのはもっと嫌だからどうすればいいか僕には全然分からないよ…)」
拓海が達観してる様子を見たタケルは文太が負けを望んでいる理由に納得しかけるも、相手が相手である以上負けてしまうと増々嫌になるので複雑な気分になるしかないのだった。
「ただいまー」
「おかえりなさい。タケル、今夜も送迎お願いしてもいい?」
「いいよ。走る感覚を鈍らせるわけにはいかないと思ってたとこだから全然かまわないしね」
帰宅してすぐさま遥香から仕事先に送ってくれるよう頼まれると、それを承諾しては今夜もまた車を走らせようと慣らしにかかり、エンジンを始動しては軽くマフラーを吹かす。
「う〜ん〜車を走らせるならパワーもいいけど、やっぱりこう気持ち良く回していくのが一番かなぁ〜」
そう気楽に言っては呑気にしてるタケルではあったが、どこからか車の走行音が鳴り響いては自宅の前にて停止し、そこから健二が慌てた様子で出てきてはタケルに言う。
「おいタケル、聞いて驚くな。今夜エンペラーが秋名に来るみたいだ!!」
「えっ!?もうこっちに来るっていうのですか!?」
「どうやらエンペラーが妙義へ行った時に風間がその場にいてはランエボじゃハチロクやスイスポには敵わないって煽ったらしくてな。それでリーダーの須藤京一って奴が頭にきたのか、今夜また急に攻め込んでくることになったらしいんだよ」
「えぇー!?なんてことを言ってくれたのですか瀬名さんは…。一応このことは拓海には知らせてますか?」
「今拓海ん家には池谷が伝えに行ってるみたいだから問題ねえが…。とにかくタケル、急遽決まったとはいえ、今夜もまたお前と拓海には秋名を走ってもらうことになるかもしれねえけどいいよな?」
「勿論ですとも。姉ちゃんを職場に送り次第そっちに向かいますので、健二さんは先に拓海達と合流しては待っててください」
「わかった…。池谷には俺から伝えておくから今夜は任せたぞタケル!!」
「了解です。じゃあ今から走れるよう準備しておきますのでまた今晩秋名でお会いましょう」
健二からエンペラーが秋名に押しかけてくると聞いては驚くタケルだが、来てしまうと知っては引くに引けない状況になってしまった為、スイスポをいつでも走れるよう準備を整えては姉を職場に送った後、秋名の頂上へと向かうことになるのだった。
秋名山 夜
『おおっ出たぞ、ランエボ軍団だ!!』
『今夜はすっげぇバトルが見られるぞ!!』
日が沈んでは暗闇に覆われた秋名の峠をランエボで押し固められた集団が通っていき。その走りを見たギャラリーはエンペラーのランエボの姿に圧倒される。
秋名山 頂上 旧料金所跡
今夜、エンペラーが攻め込んでくると聞いては秋名の走り屋であるスピードスターズが集まっては臨戦態勢を整え、拓海とタケルはそれぞれハチロクとスイスポで来てはいつでも走れるよう準備をする。
「来たぞ来たぞ来たぞ!!ランエボ軍団だ!!」
「あの先頭の白のエボⅣが妙義山で中里とやった奴だそうだ。噂によると滅茶苦茶速いらしいぜ」
イツキが下から押し寄せて来たランエボ軍団に興奮し、池谷と健二はエンペラーのランエボに緊張を高めつつ相手の出方を疑う。
そしてエンペラーの軍勢はスピードスターズが停めてる反対側の駐車スペースに車を停め、先頭を走っていたエボⅣからは清次が車から降りるや如何にも余裕ありげな顔付きでスピードスターズのいる方向を見ていくのだった。
「あっ!!やっぱりこの間秋名湖で会った奴だ!!」
「へぇ〜前にイツキが言ってたエボⅣ乗りってあいつだったんだ…。確かに見ただけで嫌な奴だってことがわかる気がするよ」
イツキが清次の顔を見ては憎たらしげに言い、タケルもそれに納得したのか清次を蔑むように見ていくと。黒のエボⅢからリーダーである京一が降りてくるやスピードスターズのいる方向を見ていっては話しかける。
「スピードスターズだな。俺がエンペラーチーム、リーダーの須藤だ」
「(この人がそうだったか。隣にいるエボⅣ乗りの奴とは違って気迫に満ちあふれているもそうだけど、如何にも腕が立つって感じのオーラが出ているから一番速いって話は間違いなさそうだね)」
京一を見ていってはその気迫に圧倒されつつも。ここまで来たからにはもう後に引けない為、スピードスターズは京一達を見ていっては相手がどうくるか待つことにする。
「事前に連絡が言ってると思うが…こっちの要求は一つ。秋名のハチロクとスイスポの二台と下りでやりたい。それだけだ」
わかりきっていたとはいえ、京一は秋名の下りでハチロクとスイスポとのバトルを要求し、池谷は何も言わず頷いてはバトルすることを了承する。
「そっちの要求はどんなことでも飲む。どんな条件のバトルでも全部受ける」
「(あそこまで言うからには勝つのに相当の自信あるってことか。まあ実際、勝ち続けてきてるからそう思うのも当然か…)」
「その代わり、そっちが一つでも勝てなかった場合は…チームのステッカーを貰う…それだけだ」
「ステッカー?」
「ステッカーなんかどうするんでしょう?」
京一は自分らが勝った暁にはスピードスターズのステッカーを貰うよう条件を付け足すが、それを聞いては池谷達が不審に思う中でタケルただ一人だけが相手するであろうエボⅣを見ていってはその理由に気付く。
「もしかしたら、ああやって真っ二つに引き裂いては後ろに貼り付けて見せびらかそうとしてるのではないですか?」
タケルがエボⅣのリアウイングに真っ二つに引き裂かれては逆向きに貼られているステッカーを指差しては池谷達に教え。それを見た池谷達は負けたらどうなるか分かったか、京一達を睨んでいく。
「あいつら…。チームの誇りとも呼べるステッカーをあんな風に貼り付けるなんざ許せねえことを…!!」
「多分あれはエボⅣを零戦に見立てて負かしたチームのステッカーを貼り付け撃墜マークとしてやってるつもりですね。悪趣味にも程がありますし、見るだけでも反吐が出ますよ」
タケルも清次のエボⅣを見ては増々嫌悪感を露わにするが、京一はそれも気にせずバトルに関する話をしては言う。
「そうと決まればすぐにバトルに入らせてもらうぜ。俺達には時間がないからな。一本目からメインの下りからだ。ハチロクもしくはスイスポを出してくれ」
「そっちは誰が出すんだ?」
「俺だ。車はエボⅣ!!」
清次が名乗り出ては自分が相手をすると言い、それを聞いたスピードスターズのリーダーである池谷はハチロクとスイスポのどちらを出すのかを決める。
「あれだけ自信満々に言うからにはかなりの腕があると見て間違いはないみたいですね…」
「どうする池谷、あのエボⅣは前に中里をやった奴だけど…どっちで行くか決めてるのか?」
「それに関してだが、トップバッターはハチロクで行こうと思ってる。相手がどれだけやれるか知らねーが、もしここで拓海が負けるとしたら次はタケルか俺が出るつもりでいるからな」
池谷は拓海に任せようと健二に言っては推し進め。もし拓海が負けたとしたらその次はタケルか自分が出ると断言する。
「拓海が負けるような相手なら俺が勝てるわけがないけど…。何もしないまま引き下がるわけにはいかねーからな」
「池谷さん。もし拓海が負けたとしたら次は僕が出ますよ。拓海に次いで最速を誇る走り屋としてあんな奴らには尚更負けるわけにはいかないですからね」
「ならその後俺もやるよ。いつも拓海とタケルには負担ばかり掛けすぎてるからな。俺達だってやる時にはやるってことを見せつけてやろーぜ!!」
池谷の意図を汲んでは自分が出るとタケルが言ってはその後に健二が続けて言うが。相手が格上であるランエボであるからには生半可な相手じゃ敵わないのは明白であった。
「頼んだよ拓海、相手はランエボだけどお前なら行けると僕は信じてるから絶対に負けるんじゃないよ」
「……(こくり)」
ドライブシートに座ってはいつでも出れるよう準備を整えていた拓海に負けないようタケルは鼓舞すると、拓海はタケルの意思に応えては軽く相槌を打ち。ハチロクをスタートラインに出す。
『うぉー出たぞ。藤原とうふ店!!』
『ハチロク対エボⅣだー!!』
ハチロクがスタートラインに行こうとするや、ギャラリーはハチロクとエボⅣのバトルが始まるのを期待しながら見ていくが。ハチロクが出てくるのを見た京一はハチロクの走りに何かを感じたのか隣にいる清次に作戦を伝える。
「気を抜くな…清次…。シミュレーション③で行け…」
「なにィ!?本気か京一。ハチロク相手にシミュレーション③!?」
「お前がそう判断するからにはそれなりの相手だと言うことだな京一?」
「そうだ…(俺には分かる電気みたいなもんが走った…。このハチロクは
京一は清次にシミュレーション③で攻めるよう忠告してはハチロクを見ては何かを持ってると呟いては密かに見ていき。スタートラインに健二が出てきてはカウントを開始しようとする。
「カウントは俺がやる!!」
「いや、カウントはいらない」
「えっ!?」
「これはタイムトライアルじゃなくてバトルだからな。エンジンのパワーが低い方が好きなタイミングでスタートを切る。もう一台はそれに合わせてダッシュする。それが馬力のハンデってことになる…。俺達はこれをハンディキャップ方式と呼んでいるがそれでどうだ?」
「(ふぅん…。ランエボのパワーでゴリ押しするだけのチームかと思ってたけど、対等な条件に近づけては挑もうとするところからして、ちゃんとした所はあるみたいだね)」
「拓海がいいなら、それでいいぜ…」
京一がハンディキャップ方式という独自のルールで開始してはどうかと提案を持ち掛け。それを聞いた池谷はドライブシートに座っている拓海に判断を任せることにする。
「(こいつとは確か秋名湖の側で一度会ってる…。こんな若いガキが秋名のハチロクのドライバーとは考えてもみなかったぜ…。敵地でのバトルに京一が勝つ為に考えた作戦パターンは3つある…。相手が最も手強い時にだけ使うパターンがシミュレーション③だ。何故ハチロク相手にシミュレーション③なんだ!?俺には分かんねーぜ…)」
清次はハチロクに負ける筈がないと思っていたからか、京一が何故最もレベルの高い相手に使うシミュレーション③でいくのか納得しておらずその理由を考えるも、そんなことを気にする間もなくハチロクは先に前に出てはスタートダッシュを始めていき、エボⅣはそれに続けてはスタートダッシュを開始する。
「(見せてやるぜエボⅣの凄さじゃなく!!俺のテクニックの凄さをなぁ!!)」
清次は自信満々に言ってはハチロクの後を追い掛け始めるや、自分のドラテクがかなりの物だというのをギャラリーに見せつけようとする。
群馬勢の誇りを拓海は守り切ることができるだろうか…。
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