いよいよタケルがランエボに乗っては初めて赤城を走ります。
藤原とうふ店
「……」
タケルが赤城に向かおうとしていたその頃、バイトを終えて自宅である藤原とうふ店に戻ってきた拓海は一人ベッドで仰向けになっては天井を眺め、先日に玄関の靴箱に書いてあった手紙の内容について思い出す。
「(あの手紙…茂木のことめちゃくちゃ書いてあった…。ベンツに乗った中年の男と付き合ってるって。くそっ、なんだってんだ…!!)」
その手紙にはなつきが自分に隠れてベンツに乗った男と仲良くしてるということが繊細に書かれていては、なつきが他の男と付き合ってることに頭がモヤモヤとする拓海であったが。その情報が確かなのか分からない為どうしようにもならないまま拓海は考える。すると、
ピリリリリ
「ん?」
下の階の固定電話から着信音が鳴り響き、拓海は電話に出ようと下に降りては固定電話の受話器を手に取るや電話に出る。
「はい…」
電話に出る拓海だが、その相手は電話越しに残酷な事実を拓海に告げるのだった。
赤城山
この日もまたエンペラーのランエボが赤城のコースに慣れるようフリー走行をしては走り込みをし。高橋兄弟率いるレッドサンズがランエボの走りを観ていっては翌日のバトルがどうなるかと期待していると。涼介の携帯から着信が鳴り響き、それを手に取った涼介は電話に出る。
「もしもし…なんだ風間か…。一体何の用で…何だと?…わかった。このことは他のメンバーにも伝えておこう」
涼介が電話越しにしてる相手は同じ赤城の走り屋である瀬那からで。瀬那は涼介に要件を伝えてはすぐさま電話を切り、通話を終えた涼介は携帯を閉まっては啓介達に電話の内容を伝える。
「兄貴、風間の野郎は何を抜かしていたんだ?」
「ああ、どうやら風間が斎藤を連れては赤城に来るとのことだ」
「何だとッ、ってことはあいつが俺達の地元を走るとでもいうのか?」
「そうだ…しかも聞いて驚くな。風間の話によると、斎藤はスイスポとは別の車に乗ってくるみたいだ。それも…俺達がバトルするであろうエンペラーと同じランエボに乗ってな」
「はぁっ!?秋名の弾丸がランエボに乗ってくるだぁ…!!あの野郎、俺が嫌いな車に乗って赤城を走るなんざ一体どういう了見をしてんだよ…!!」
「いいんじゃねえか。斎藤がスイスポ以外の車に乗ったらどんな走りをするのかを知ることもできるんだ。そう怒らなくてもいいと俺は思うぜ」
自分の大嫌いなランエボにタケルが乗っては赤城を走るという話に啓介は物凄い嫌悪感を露わにするが、涼介はそれを何とも思わず寧ろ新しいデータを得られるのではないかと嬉しそうにするのである。
ギャアアア
「涼介。下の方から風間のスープラに続けては赤のランエボがこっちに近づいて来るぞ。おそらくあれが風間の言っていたヤツじゃないのか?」
史浩が自分達がいるであろう上り地点から瀬名のスープラの後ろに赤のエボⅨがついては赤城の上りを走っていき。
エボⅨは涼介達の目の前を四輪ドリフトして通り過ぎていっては赤城の道路を駆け抜けていくのだった。
「ほぅ…乗っているドライバーはまだ四駆のステアリング操作に慣れてないのかアンダーが出ているな」
「けっ、たりめえだ。4WDは物凄くアンダーが出やすくコントロールが難しいんだ。そんなモンそう簡単に乗りこなせたりするわけがないからな」
「そうとも言い切れないぞ啓介。俺が見るからにあのエボⅨはまだここを走り慣れてないのもあってか走らせ方は甘かったが、お前が言うほど苦戦してるようには見えなかったぞ」
「なんだとっ!?ってことは…あいつがここをエンペラーの奴らと同じ様に走り込んで、もし走り慣れでもしたりしたらどうなるってんだよ」
「そうだな。俺の見立てが正しいとするならば、おそらく斎藤は…。即座にランエボの走りに適応してはものにするとみていいかもしれないぞ。そうなれば俺や啓介でも勝てるかどうか怪しくなってくると見ていいかもしれないな」
「……!!」
涼介はもしタケルがランエボを完全にコントロールすることができたとしたら、地元である赤城とはいえ苦戦を強いられるのではないかと断言し。それを聞いた啓介は増々苦い顔をしてはタケルが向かっていったであろう上り方面を見ていくのだった。
赤城の頂上付近に着いてすぐさまにタケルは車から降りてはその場で姿勢を崩し地面に倒れ込む。
「はぁ…はぁ…まさかこんなにも四駆を運転するのが難しいとは…」
「タケル君、大丈夫?」
「全然平気…ってわけにはいかないか…。何せこいつは思ってたよりもとてつもないじゃじゃ馬だからね」
「そう…。はい、これ…。タケル君へのご褒美」
「お、ありがとね結衣さん。…ぷはぁ〜ひとっ走りした後の水はやっぱ美味いね…」
「どうだったタケル。初めて乗ったランエボの感想は?」
「ええ、まさか4WDに乗るのがこんなにも難しいとは思いませんでしたよ…。ルドルフさんが言ってたように車に振り回されてちゃ話にならないですしね」
地面に伏しているタケルは瀬名のスープラに相乗りしてた結衣からミネラルウォーターを渡されそれを一飲みし水分を採っていくと。バックミラー越しにタケルの走りを見た瀬名がランエボを試乗した事について聞くと。初めて乗る4WDが思いの外難しい現実に直面したとタケルは話す。
「だろうな。いくらランエボがFFベースの四駆とはいえスイスポよりも重量が増しては高度なアクセルコントロールが要されるからな。それに慣れるにはもう少し走り込みをしては荷重移動のかけ方を身に着けないといけないかもしれないな」
「やっぱそうなりますよね。こうして乗ってみるとこいつを完璧に乗りこなすのにかなり手こずりますし、エンペラーの須藤京一や浩二さんがどれだけ腕が立つか改めてわかる気がしますよ」
自分が思ってたよりも京一や浩二が凄腕だと実感するも、瀬名はそれを知ってたのか京一達が何故あそこまで走り熟せるか理由を話す。
「タケル、お前がそう思うのも当然だな。何せあの二人は
「東堂塾?なんすかそれは…」
「そっか。タケルは知らなかったけか。東堂塾っていうのは…」
「おーいタケル!!お前も赤城に来てたのかー!!」
瀬名が話をする途中で大声で呼びかけてきた人物がいたので振り向くや、そこには先日秋名でバトルした相手である浩二が近づいてくるのだった。
「あ、浩二さん。先週秋名でバトルして以来ですね。ひょっとしてここを走り込みしてたのですか」
「まあな。向こうが走り慣れるようにコースを明け渡してくれたおかげでこっちとしては走りやすいのなんのってところだ」
「へぇ〜そうだったのですか。涼介さんも太っ腹な計らいをしてくれますね」
「まあそのおかげで俺達赤城の走り屋はエンペラーとの交流戦が終わるまでの間だけ我慢してくれと頼まれたからな。それに見合ったバトルを見せてくれるのなら構わねえけど」
「ははっ、相変わらずデカい口を叩いてくれるな瀬名は…。それに京一は明日のバトルが終わり次第お前にも借りを返すと言ってたからな」
「あの…浩二さんは瀬名さんとはどういう関係なのですか?」
浩二は瀬名とも知り合いだったからか、瀬名と親しげに話していき。それを見たタケルは二人がどういうなのか質問をする。
「ああ、俺と瀬名は一年前にいろは坂で会ったんだが。その時の瀬名はFR仕様のランエボに乗って京一とバトルしては見事に負かしちまってな。そのおかげで京一は大変ご立腹になってはこいつと高橋涼介へのリベンジを果たす為に散々特訓に付き合わされたことがあったんだよ」
「へぇ〜そうだったのですか…。確かにD1にもFRに改造したランエボが出てきたことがありましたけど、まさかそれを峠に持ってくるとは…」
「ははっ…あの頃の俺は色々と尖ってたからな」
「で、ここに赤のエボⅨが置いてあるってことはそれに乗って赤城へ来たのか?」
「いや、俺はその横に置いてあるスープラに乗ってきて。このランエボはタケルに貸している車で前に俺が乗っていたヤツとは違って4WDだから大した変化はないよ」
「ほぉ〜そうだったか…。ってことはタケルがこいつに乗って俺らとバトルするとみていいんだな?」
「いえ、僕はただこの車に乗っては赤城へ走りに来ただけですよ。それに僕は四駆に乗ったのはこれが初めてですからまだあなたみたいに乗りこなせてはいませんしね」
「そうか、それは残念だったな…。まあ、タケルが観に来たのもあれだし一つ教えてやるよ。俺は明日のバトルで上りを任されることになってな。もし明日も来るというのなら是非観に来てくれよな」
「おおっ!!ってことは浩二さんが赤城で啓介さんとバトルをするのですね」
明日行われるバトルで京一が涼介とダウンヒルでバトルするが、もう一つのヒルクライムに関してはエンペラーからは浩二が出ては啓介とバトルするという話にタケルは興奮する。
「まあ元々上りに関しては清次に任せるつもりだったんだが、先週ハチロク相手に無様に負けたおかげで京一はめちゃくちゃ怒っちまってな。それで同じ失態を犯さないよう俺を直々に指名したってわけさ」
「ま、当然の結果だな。ランエボに乗っていながらハチロクに負けるというヘマをやらかした奴に大事な一戦を任せる程京一は甘くないからな」
「ですよね。『ハチロクなんざアウトオブ眼中』って言っておきながらいいように負けてますし、イツキなんか余っ程嬉しかったかざまーみろっ言ってましたからね」
「てめぇら…。俺がいる側でいいように言ってくれるじゃねえか…!!」
タケルも二人に加わっては話に参加していると。後ろから怒りを見せつけてはこっちに来る人物がいた為振り向くと、そこには話の話題になったであろう清次が突っ立ってはタケル達を睨みつけるのだった。
「なんだ清次。お前もここにいたのか?」
「さっきからずっといたよ!!それよりも浩二、てめえは明日赤城でバトルをするってのに何そいつらと楽しげに話をしてるんだ!!」
「いいだろ別に。今日だってそれなりに走り込みはしたんだ。残された時間をどう使おうが俺の勝手だしな」
「そもそもこれはお前らエンペラーのリーダーである京一が涼介との因縁に
「くっ…!!」
清次は秋名にて負けたことを根に持っては浩二に八つ当たりをするも、浩二は愚か瀬名からも軽くあしらわれてはますます怒りを見せつける。
「ねえ…あの人なんか感じ悪いんだけど、拓海君とはどういう関係なの?」
「ああそれはね…」
タケルが清次が拓海との間に何があったか軽く説明し、それを聞いた結衣はふうんと納得しては清次に蔑みの目線を送る。
「そうなんだ…。自分よりも古い車に乗ってるというだけでバカにするなんて人として最低だね…」
「ま、そういうことだから。何をしようが俺達の勝手ってわけだ。お前こそその自意識過剰な性格を直しといたらいいんじゃねえのか?」
「くっ…!!だったらそこに置いてあるランエボはなんだ!?そいつを持ってくるってことは結局はランエボが一番速い車だってこと言ってるんじゃねえのか、ああん!?」
浩二が清次を煽るように言っては完全に頭にきたのか、清次はスープラの横に停めてあるエボⅨを指差しては言い。その質問に浩二は呆れながらも理由を話す。
「勘違いするなよ清次。そいつは瀬名の知り合いがタケルに貸してるだけで、タケル本人も乗り換えたつもりは微塵もないとのことだ」
「けっ、なんだよ…。まあ所詮そいつがランエボなんざ乗りこなせるわけねえよな。この俺でさえ走り続けては乗りこなしてんだ。そんなガキがランエボに乗ったところで所詮豚に真珠だからな」
カチン
清次がタケルにはランエボは乗りこなせる訳がないという発言に頭が来たのか、タケルは清次の前に突っ立っては言う。
「へぇ〜こちとらランエボに乗り始めたばっかだというのにそこまでいうとは思いもしませんでしたよ。そういうあなただってランエボに乗っていながら秋名でハチロクに負けた癖にデカい口が叩けますね」
「ああん!?てめぇ…俺に喧嘩を売ってるのか!!」
「先にけしかけてきたのはそっちじゃないですか」
タケルはハチロクに負けた清次に侮辱のこめた一言を発しガンを飛ばしてはブチギレた清次と火花を散らしていくが、それを見た瀬名は何か思いついたか二人の前に来てはある案を持ち掛ける。
「待て二人共。そこまで言い争うならいっそのこと、ここでバトルしたらどうなんだ?」
「それって、僕がランエボに乗ってこいつとバトルすればいいのですか?」
「そうだ。幸いにもバトル本番は明日で、こいつは選抜から外されているから大して支障をきたさないからな。お互いランエボに乗ってはここで決着を付ければいいんじゃねえのか」
瀬名は走り屋ならバトルしてどちらが速いのかを決めたらどうかと提案をし、清次は考える間もなくその案に乗る。
「けっ、いいだろう…。これでも俺はチーム内では京一に継いで速いからな。てめえは徹底的に潰してやるから覚悟しておくことだな!!」
「そっちこそ。偉そうな口を叩いていながら無様に負けないよう油断しないことですね」
「くっ!!この野郎が…!!」
「清次。もうこれ以上罵倒しあったところで何にもならないんだ。走り屋なら走り屋らしく正々堂々バトルしては実力を示しなよ」
タケルも強気な態度で負かしてやると豪語し。清次はタケルに舐められるのが癪にきたか突っかかろうとするが浩二に抑えられるのだった。
「あの…勝手に話を進めてますけどこの事は高橋先生には一言言っておかないといけないのでは…?」
「心配ない。涼介もランエボ同士のバトルには興味を示すだろうし、赤城はレッドサンズだけが独占してるわけじゃないから誰がバトルしようが構わないとあいつは言うだろうしな」
「それに関しては同感だ。京一の方にも俺から伝えておくからこのバトル、そいつらの好きにさせてやることだな」
瀬名は涼介の性格からしておそらく許可を出してくれるだろうと言い切り、浩二も京一には話をつけておくと言ってはバトルができるよう手立てをしてくれることに。
「それじゃ、バトルの内容に関してだが、下り一本勝負で行くってのはどうだ」
「いいぜ、どっちで走ろうが俺がこいつに負けるわけねえからな」
「僕もそれでいいですよ。下りならパワーの差が縮められては互いに
バトルは下り一本勝負で着くことになり、タケルは初めて乗るランエボで清次相手にどこまで張り合えるのだろうか。
「(何してんだ俺…。バカみたいだぜこんなホテルの前で)」
赤城から少し離れた前橋市にあるラブホテルにて、拓海は電話に出た相手からなつきが中年男性と一緒にラブホテルにいると聞いては、それを確かめようとハチロクに乗っては言われた場所に行き。ホテルの近くに車を停めてはなつきが出てくるのを待つのだった。
「(来るんじゃなかったかな…。こんなところで待ってたって時間を無駄に使うだけだった…。どうかしてたぜ…、こんなところに茂木が来るわけないや)」
拓海はここに来るんじゃなかったと後悔しつつ、電話越しの相手が言ってきたことが気になったか留まることを決め。近くの自販機で缶コーヒーを買ってはなつきが出てくるのを待つのである。
「なんかいたたまれなくなってきた…。これ飲んだら帰ろう…」
缶コーヒーを片手に待っているとラブホテルの駐車場入り口からベンツが出てきては、それを拓海が真剣に見ていくとベンツの助手席にはなつきが乗ってはホテルから出てきたのだ。
「!!」
なつきはそのまま中年男性が乗ってきたであろうベンツに横乗りしては拓海の目の前を通り過ぎ、ラブホテルを後にする。
「……」
カァキイイイ
電話の相手が言っていたことが事実であり。自分に内緒で中年男性と一緒にいたのを目の当たりにした拓海は飲んでいた缶コーヒーの缶を近くの建物の壁にブチ投げ。
怒りが収まらぬままハチロクに乗り、どこかへと車を飛ばしては走り行くのであった…。
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