サブタイトルを前回と同じ破滅へのカウントダウンとなってはいますが、そこに関してはあまり触れないようご了承下さい。
拓海が来たことにより突如として始まったハチロクとエボⅢによる赤城での下りのバトル。
ハチロクが先行を取ってはその後ろに京一のエボⅢが付いては追走していき。拓海は怒りに我を忘れながらもハチロクを手足のようにコントロールしては赤城道路を駆け抜け、エボⅢもパンパンと破裂音を炸裂しながらハチロクの後を追う。
「なんてこった…!?本当におっ始めやがった!!」
「……」
「拓海君…。初めて来た場所で格上を相手にバトルするなんて、大丈夫かしら…」
「どうだろうな…。いくら拓海といえど走り慣れてない場所で京一とやり合うのは無理があるからな。おそらく拓海は、勝ち負けに拘りもせずに闇雲に突っ走ってるとしか言いようがないぜ」
突如として始まったハチロクとエボⅢのバトルを三者三様に観ていき、啓介は自分達のホームコースである赤城でハチロクが走っているのに戸惑いつつあるが、涼介は落ち着いた様子で無言を貫き。瀬那と結衣も拓海がどうなっていくかバトルの行方を案ずるしかなかった。
「(見てろよ涼介。四駆が二駆に負けることはあり得ない。このバトルは俺からお前に投げつける挑戦状でもあるんだぜ!!)」
涼介への当てつけか、京一はエボⅢを涼介達のいるコース外ギリギリまで寄せ付けては自分の走りを見せつける。
「あ、あぶねえ!!ギリギリに膨らんでいくぞ!!」
「結衣ちゃん。ここは危ないから下がって!!」
「は、はい…」
「……」
啓介達が引き下がる中で涼介は一歩も引かずに京一と視線を合わせ。そのまま二台が通り過ぎて行くのを見ていってはその先がどうなるか見届ける。
「涼介。京一はお前にとんでもない対抗心を燃やしてるみたいだがどうなんだ?」
「さあな。先程のアウト側に寄せ付けるコーナリングは俺に対しての当てつけかもしれないが、あれだけの走りを見せられては益々明日のバトルは負けるわけにはいかないってことだけは確かだ」
京一からの強いメッセージを感じたか、涼介は落ち着きながらもバトルに負けないよう身を引き締めようとするのであった。
「凄いぞあのハチロク!!伸びた茂みの中に埋まってるガードレールギリギリを通した!!」
「ブチ切れてやがるぜ。地元でもあそこまで攻め切れるもんじゃねえぞ!!」
エボⅢに後ろに付かれているにも関わらず、拓海は特にこれといった問題もなく車を走らせ。途中外側にはみ出している茂みに埋まったガードレールの端を横切り、フロントガラスに葉っぱが付いていながらもそれを物ともせず通り抜けていくハチロクの走りにギャラリーが関心を示しては注視し。エボⅢもマフラーから強烈な破裂音を出してはハチロクに続いていくのであった。
「兄貴。エボⅢのあのやかましいバックファイヤは普通じゃねえぜ」
「俺もそう思った…。あれはWRCのラリーカーと同じシステムだ」
「ミスファイアリングシステム…。京一の奴とんでもないものをエボⅢに載せやがったな」
「いいところに目を付けたな。峠を攻める為のターボチューニングとしては現在考えられる最強のシステムだろう」
「あの~お三方は深く興味を示してるみたいですけど、破裂音を出してるあの黒い車のどこがいいのですか?」
「そうか、結衣ちゃんは車について知らないから京一のエボⅢに疑問に抱くのも無理はないか。ミスファイアリングシステムっていうは別名アンチラグシステムとも呼ばれていてターボエンジンの欠点であるターボラグを解消する為に作られたシステムのことを言うんだ」
「そうなんですね。でも、それを載せると車がどう変わるというのですか?」
エボⅢにミスファイヤリングシステムを搭載しているのに高橋兄弟と瀬那が関心を示す一方、結衣はミスファイヤリングシステムが何なのか分かっていなかった為三人にそれが何なのか尋ねると。瀬那がミスファイヤリングシステムについて説明をする。
「基本的にターボっていうのは載せるだけで飛躍的にパワーが向上するんだが、一度アクセルをオフにしてしまうと再び加速させるのにかなりの時間を要してしまうんだ。でも京一はミスファイヤリングシステムを載せることでターボエンジン特有のターボラグ、要はアクセルを踏み込んでから次に加速するまでのタイムラグを打ち消すのに成功してるってわけなんだよ」
「そっか。それによって車が極端にスピードを落とさないまま次の加速に繋げていけるようになったというわけなんですね」
「そういうこと。まあミスファイヤリングシステムはモータースポーツ向けの技術で公道を走るのに使っちゃいけないんだが、今回に限っては暗黙の了解ってことで済ましてくれ。しかし、京一の奴は赤城の低速セクションをどうくぐり抜けていくかだが…」
「それについては心配ない。京一のテクニックはジムカーナ仕込みだから低速コーナーの処理は抜群に上手いのはお前も知ってることだろ。俺が知ってる一年前のあいつと比べてそのテクニックも確実にアップしている。手強いぜ今の京一は…」
「あれだけの走りをするからにはリベンジを果たそうと必死に腕を上げてきたってことか。どうやら厄介な奴を敵に回してしまったみだいだな」
一年前にバトルした時よりも京一は更にドラテクを上げてきたと涼介は言い。京一が手強い強敵になったことに瀬那は厄介な奴を敵に回してしまったなと実感するのであった。
「(四駆が曲がらないと言われたのはもう昔話だぜ。俺のエボⅢは曲がる!!)」
「(追い詰められてる。ハンターに狙われた獲物みたいだ)」
京一は完璧に仕上げてきたエボⅢを駆ってはハチロクに食いつき。それを後ろから見た拓海は京一の走りに追い詰められては焦りを見せ。涼介や瀬那と同じように途轍もない男を相手にしてしまったと痛感するのであった。
「見て翔。今からハチロクとエボⅢが来るみたいよ」
「そうだな。俺と同じランエボに乗る須藤京一がどれだけやれるかこの目に焼き付けておかないと」
「ふふっ、普段は腑抜けているにも関わらず同じ車に乗る人がどういった走りをするのかやっぱり気にしてるんだね翔って」
「そりゃあ気になるのは当然だよ葵。車の性能でいや俺のエボⅤが勝ってはいるけど、須藤京一はそれを覆しちまう程レベルが高いのはジムカーナやサーキットを経験してる俺からすれば一目瞭然だからな」
赤城のある中継地点にて秋名のハチロクと京一のエボⅢを一目見ようとギャラリーに混ざっては観戦する二人組の男女がおり。その内の一人である青年は同じエボ乗りとして京一のエボⅢに深く興味を示す。
ギャアアア
二人の目の前をハチロクとエボⅢが物凄いスピードで通り過ぎてはあまりにもの速さにギャラリー全体が圧倒されては言葉を失うが、それを見た二人はその走りに何かを感じたか口に出しては言う。
「翔。今のって車とドライバーのどっちが凄いのか分かる?」
「どっち共凄いとしか言いようがないよ…。群馬エリアじゃ最速と謳われる秋名のハチロクにあれだけ食いついて来れるのは須藤京一のドラテク技術が高いのは勿論、エボⅢを徹底的に仕上げてはコーナーワークを完璧に熟しているからこそハチロクの走りに食いついていけてるんだ…。あれだけハイレベルな走りを見せられては俺のエボⅤでも追い付けるかどうか怪しいかもしれないな…」
「そうね。須藤京一って人はコーナーが凄いってことが今の走りを見ただけでも分かる気がするよ…。あれだけ凄い人を相手に私と同じRX-7に乗る高橋涼介がどんな走りを見せてくれるか楽しみだね」
「同感だ。秋名のハチロクとスイスポに負けては連勝記録がストップしたとはいえ群馬エリアの頂点に立つ高橋涼介のFCといろは坂の帝王、須藤京一のエボⅢがどうなるか明日に期待しておかないと」
二台の走りを見た二人組の男女こと相田翔と霧島葵は明日のバトルで涼介と京一がどんな走りをするか楽しみを膨らませては期待するのであった。
「兄貴は須藤京一がどんな走りをするのか知ってんだろ。どんなタイプだった?」
「京一はミスをしないドライビングだ…。自由気ままにドリフトをしては車を走らせる風間とは異なり基本に忠実で派手なアクションを嫌う…。バトルとなればねちっこく相手の弱点をついてくる…。勝つ為にはえげつないくらい合理的な作戦を選ぶ奴だ」
「自分からは崩れねえタイプか。さっきまで斎藤とやり合った清次って奴とは違うな」
京一のドライビングスタイルについて聞いた啓介は京一の走りが清次と異なることに疑問を持つも。その理由を理由が更に説明する。
「合理性だけが京一の美学だからな。4WDのクルマ以外に興味を示さないのもその為だ…。テクニックが互角なら確実に有利なチューニングのマシンを準備してバトルに望む…。そういう奴だ…」
「だからこそ俺みたいに走りを楽しむのとは違って勝つことだけを追究するあいつの走りには面白味が感じられないんだよな」
「なんて言ったらいいかわかりませんけど…。車を走らせるのが好きなタケル君とは馬が合わない感じがしますね、その京一さんって人は…」
「言えてるな。斎藤に関してもそうだが…兄貴にしては偉い辛辣だな」
「俺はあいつが嫌いなんだ…。何が何でも負けたくない相手だ!!」
涼介は京一には絶対に負けてはならないと啓介を含むこの場にいる全員に言うや、再びコーナー上に視線を移しては拓海と京一のバトルを観ていくのである。
「(うるせえな。後ろからパンパンパンと…。うるさくってしょうがねえ!!)」
拓海は運転に集中してはハチロクを飛ばしていくが、後ろから迫りくるエボⅢの破裂音にかき乱されては煩わしいと感じるも。エボⅢに乗る京一は後ろから迫りくるや拓海を追い詰め。拓海とのバトルに決着を付けようとしたか、京一は本気を出しては拓海に引導を渡そうと画策する。
「(恐るべき適応力と言っておこう。お前はこのコースを殆ど知らないで走っている…!!それでいながらこれだけのペースが作れるとは…。清次をここで負かしたあの小僧と同じ信じられない程の峠センスだ!!だが遊びはここで終わりにする。この辺で仕留めさせてもらうぜ…!!)」
ガソリンスタンド
「ありがとうございましたー。ん?茂木」
「えへっ、来ちゃった。はい、差し入れ」
「うわほァーサンキュー!!」
「もしかして拓海の彼女か?」
「ふぇ!?」
イツキ達がいるガソリンスタンドには茂木なつきが来てはイツキに差し入れであるケーキが入った小包を渡してはイツキが大喜びをしてはハイテンションになり。なつきを一目見た健二はもしかしたら拓海の彼女ではないのかと疑問に思い、池谷もなつきが来たことに驚くのである。
「ねえイツキ君、拓海君は?」
「拓海なら今日は5時までで上がりだぜー。茂木は今日一緒じゃなかったのかよ?」
「ううん。なつきは今日拓海君と一緒じゃなかったよ」
「へーえ…てっきり一緒だと思ってたんだけどなァ…。うわぁーあるある俺の好きなチーズケーキが!!いっただっきまーす!!」
なつきと一緒じゃなかったかことにイツキは意外そうにするも、なつきが差し入れにくれた小包には大好物であるチーズケーキが入っていたと知るや、それに手を出してはバイト中であるにもかかわらず頬張り始めるのだった。
「だけどよぉ…デートじゃないとなると、拓海はどこへ行ったんだ?」
拓海がどこに向かったか健二が疑問に思うと池谷は心当たりがあったかこの場にいる全員に言う。
「あいつまさか…エンペラーの挑発に乗っては赤城に…。イツキ、すまないがタケルに電話して聞いてみてくれないか。前にあいつから聞いた話じゃ、タケルは風間に誘われては赤城に行ってる筈だからな」
「ふぇっ?わかりました…」
池谷にタケルと連絡と取るように言われたイツキはすぐさま携帯を取り出し、赤城にいるタケルに電話をかけ始める。
ピリリリリ
「ん?誰からだろ…あ、イツキからだ」
タケルが拓海と京一のバトルがどうなるかスタート地点で待機してると、携帯が鳴り響いては見ていくとイツキから連絡が来てはそれに出る。
「もしもし…どうしたんだイツキ、急に電話してきて…」
『悪い。タケルなら拓海について何か知ってるんじゃないかと思っては電話したんだ。拓海はハチロクに乗ってどっか行ってるみたいだが、何か心当たりはあるか?』
「いや、心当たりも何も…。拓海は須藤京一と赤城でバトルしてる真っ最中なんだけど…」
『な、何だってェー!!じゃあ拓海は今赤城に来てるというのか!?』
拓海が京一と赤城でバトルをしてると電話越しに聞いたイツキは大声を出しては驚き、その話を近くで聞いた池谷はイツキから携帯を分捕っては代わりにタケルと話し始める。
『タケル、お前赤城に来てるんだったよな。拓海が今どういう状況になっているか教えてくれるか?』
「状況でありますか。そうですね…拓海のハチロクが先行してますけど、どうやら須藤京一のエボⅢに追い込まれてはかなりの接戦になっているところですかね」
『そうか。急な頼みですまないが俺達はそっちにいけないから結果が分かり次第また連絡をしてくれ』
「いいですよ。勝負が決まりましたらまたそちらに電話を掛けておきますね」
池谷からバトルの勝敗が決まったらまた連絡するよう頼まれたタケルは電話を切り、再びコース上に視線を戻すやバトルがどうなるのか観ていくのだった。
「(ここからのコースは勾配の緩い中速セクションに突入していく。傾斜がなければハチロクはドンガメだぜ!!)」
今現在赤城ではハチロクが先を行ってはエボⅢが食いついては均衡状態を保ちながら走り続けており。ハチロクはエボⅢを振り切ろうとするも一向に食いつかれては引き離せずにいた。
「(次のS字あたりで行くか…。俺のカウンターアタックからは逃げられんぜ…)」
京一は指定したポイントで決めに行こうと作戦を練るや。アウトサイドに寄ってはハチロクを抜きに行こうと差し掛かる。
「来た!!」
ハチロクとエボⅢが今現在通り掛かっている区間にはケンタが待ち構えていては二台の走りを見ようとコース線上を注視すると、ハチロクが前を行くのに対しエボⅢはアウト寄りの走行ラインを走っては立ち並ぼうとする。
「(まさか…!?僅か1秒かそこらの全開区間なのに…なんて加速だ!!)」
直線距離が少ない場所で京一はエボⅢを左側に寄せ、大外から一気に突っ込んではハチロクと並んでいくや次のコーナーで決めに行こうとする。
「(大外から被せて突っ込んでくる!!秋名のハチロク相手にコーナー勝負だとォ!?)」
コーナーを走るのが得意であるハチロクにコーナーリング勝負を挑もうとするエボⅢにケンタは目を疑っていくが、エボⅢはハチロクを並んだ状態で走り抜けては次のコーナーに突入していく。
「(次のコーナーではインとアウトが逆転する!!それに加えてあの立ち上がり加速!!ハチロクがやられる!!)」
エボⅢはイン側からアウトに変わるや立ち上がりで一気に加速を仕出してはハチロクを追い抜き。そのまま勢いを付けていっては次のセクションへと突入していった。
「なにっ、エボⅢが抜いただと…!?コーナーでか!?」
「……!!」
「京一らしいやり方だ。序盤の急坂セクションでは仕掛けずにやり過ごし…。勾配が緩くなってハチロクが失速するのを待っていた。あいつのテクニックとエボⅢの戦闘力ならそれ以前にもチャンスはあった…。だが敢えてそれをせず確実に抜けるところまで待っていたところが…良くも悪くも京一だ」
「やってくれたな…。コーナーで抜かれるなんざ拓海からすればかなりの屈辱を味わったに違いないしな…」
ケンタからの報告でエボⅢがハチロクを抜いたと聞いた啓介は言葉を失い瀬那も京一のしたことに憤りを見せるが、涼介は表情を崩さないまま京一の合理的かつ抜け目のないやり方を称賛しては褒めるのだった。
「もう一度…ハチロクに抜き返すチャンスはないのかよ…」
「そんなことを俺に聞くな。答えはお前にだってわからない筈はないだろう?」
「涼介の言う通りだな。走り慣れてない場所で抜かれてしまっては走り込みの差で京一の方に武がある以上。拓海はこのバトルに勝てる可能性は無くなったと言っていいかもしれん…」
「そんな…」
今日に至るまで不敗神話を築き上げてきた拓海がここで負けてしまうのではないかという事に誰もが言葉を失うも、啓介は近くにあるガードパイプの上に腰を下ろしては悪態をつく。
「バカったれが…。俺達に任せときゃーいいものを…。ノコノコ出てくるから…負けなくてもいい負けが…。こんなとこで着いちまうんだ」
自らの手で借りを返そうとした啓介は強いショックを受けるが、もう誰にも止められないこの状況をただ一刻と過ぎていくのを待つしかないのであった。
yuahazu様からのリクエストキャラである相田翔と霧島葵を登場させました。
ギャラリーに来ていたという形での登場でありますが、どう持込んでいくか決まりましたらまた出していこうと思います。
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