頭文字D 峠の弾丸   作:ペンギン太郎

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 更新しました。
 今回はタケルが新たに登場した新キャラと対面しますが、ここからどうなっていくでしょうか。

 12月14日、終わりの途中で文章を足しました。


ACT.69 赤城バトル 白と黒の閃光!

 「あ、あのさー拓海…。悪かったなー今朝のこと…。俺何にも知らなくてさー」

 

 

 赤城ではレッドサンズとエンペラーの交流戦で盛り上がっていた同時刻、拓海はイツキにドライブを誘われて二人で秋名の峠を走っていき。イツキは拓海のハチロクが壊れてしまったことを知らなかったとはいえ持ってくるよう言ってしまったのを車の中で謝っていく。

 

 

 「ん?そんなの気にしてねえけど…。昨日のこと誰かから聞いたのか?」

 

 「今朝、拓海が教室に行った後でタケルが教えてくれてな。それに…スタンドに寄ったら池谷先輩達も知ってたみたいなんだ」

 

 「先輩達も知ってるんだ…」

 

 「うん。巷ではもう物凄い噂になってるみたいだぞ。やっぱり皆が注目してるんだよ…」

 

 

 自分のハチロクが負けたことが群馬エリアに知れ渡っていると聞いた拓海は、情報が広まっていく伝達の速さに関心するが、自分が負けたことにあまり興味を示さないでいた。

 

 

 

 

 

 赤城山 頂上

 

 

 「なんか空気が重たいなぁ…」

 

 「お前知ってるか?昨日のこと…」

 

 「ああ、秋名のハチロクが負けたんだろ…。エンペラーの須藤京一ってすげえテク持ってるらしいぞ…」

 

 

 決戦の舞台となる赤城山では、レッドサンズとエンペラーによる交流戦を観ようと、群馬各地からギャラリーが集まり、エンペラーの軍勢が到着するのを待ち構えるが、昨夜、拓海のハチロクが須藤京一に負けたことが大きくのしかかっていたのか、ギャラリーには重たい雰囲気がのしかかっていた。

 

 

 「こうなるとハチロクと同じ秋名最速の走り屋と呼ばれてる秋名の弾丸と高橋涼介が群馬エリア最後の砦だ…。絶対に負けて欲しくないよな…」

 

 

 拓海が負けてしまった今、群馬エリアに残されているのは拓海と同じ秋名の走り屋のタケルと、レッドサンズの高橋涼介しかいない為、ギャラリーは皆、今夜のバトルで涼介が勝つことを切実に祈っていくのであった。

 そして、赤城山の頂上にはどこからか現れた白黒のハチロクが独特なエキゾーストを吹かしては赤城道路を掛け上がる。

 

 

 「あ、ハチロク!!」

 

 「秋名のハチロクか!?」

 

 「ばーか。あれはどう見たってレビンだし、んで持って埼玉ナンバーじゃねえか」

 

 

 突如、赤城に現れたハチロクのレビンは群馬県外からの車で、熊谷ナンバーを付けているハチロクは近くのスペースに車を停めると中から二人組の男女が降りてきては前に来る。

 

 

 「和美。この辺がいい」

 

 「そうね」

 

 

 「あら、渉と和美ちゃんじゃない。久しぶりね」

 

 

 ハチロクに乗っていたのは啓介と同年代であろう、長身の男と少し背が低めの女の子の二人組で、適当な観戦スポットを見つけ、今日のバトルが行われるのを待っていると、どこからか黒髪の女性が二人に近づいてきたのだ。

 

 

 「ん?なんだ松橋か。お前ここに来てたのか?」

 

 「七菜さんお久しぶりです。お元気にしてましたか」

 

 「ええ、見ての通り私は元気にしてるわ」

 

 

 長身の男性に声を掛けたのは群馬で整備士をしては同じハチロクのレビンに乗る走り屋の松橋七菜だ。七菜は久々に会った渉こと秋山渉に挨拶を交わし、渉と再会して嬉しそうな顔を見せる。渉の隣にいる妹の和美もまた、久々に会った七菜との再会を嬉しそうにする。

 

 

 「そういえば、和美ちゃんは今年の春に高校を卒業して、今じゃ立派な社会人になったわよね?」

 

 「はい…。今年の春頃にすぐに辞めてしまって、今は仕事についてはいませんけど…」

 

 「そう…。でも和美ちゃんはまだ若いから、きっといい仕事先を見つけられると思うわ。私みたいに上司にセクハラをされて、それに歯向かっては蹴りを噛まして辞めてしまわないようにすることよ」

 

 「はは…そうですね、気を付けていきます…」

 

 

 和美は今年の春に高校を卒業しては社会人になったが、事情が重なって、すぐに辞めてしまいフリーターになっては求職中であるも。七菜は和美を気遣っては自分みたいにならないように元気づける。しかし和美は七菜が上司に強烈な一撃を嚙ましたのを聞いては顔を引きつらせるのだった。

 

 

 「それはそうと渉、あなたとは前に正丸峠でバトルして以来になるわね」

 

 「ああ、お前には僅かな差で負けてしまったが、あのバトル以降、俺は寄りに腕を上げてきたんだ。その借りはキッチリと返させてやるぞ」

 

 「いいわ、その挑戦は受けてあげる。同じハチロクのレビンに乗る走り屋として負けるわけにはいかないわよ」

 

 

 七菜は過去に渉の地元である正丸峠でバトルしては、渉を負かしており。渉はその時負けた屈辱をバネに走り込みを続け、今日に至るまで腕を上げてきたと抜かしてはリベンジを果たすと宣言する。

 それを聞いた七菜は渉からの挑戦を受けると返すのだった。

 

 

 

 

 

 

 秋名湖 湖畔

 

 

 辺り一帯が真っ暗に静まっている秋名湖にて、拓海とイツキは湖を眺め沈黙していると、イツキがある事を思い出しては拓海に話す。

 

 

 「そうだ。池谷先輩から伝言頼まれたんだ…。昨日のバトル、拓海が負けたとは思っていないって…高橋啓介が態々スタンドまで来て言ったんだって…」

 

 「どういう意味か分かんねーけど。手も足も出なかったんだから完全な負けだよ」

 

 「そんなに凄かったのか…エンペラーの須藤京一って…」

 

 「凄いよ。もし秋名でやっても勝てなかったよ…」

 

 「そうか…。で拓海、ハチロク…どうなんだ?直せるんだろ…」

 

 「エンジン載せ替えるしかないって…親父は言ってる」

 

 「え!?」

 

 「行かなきゃよかった赤城なんて…。つくづく後悔してるよ…!!」

 

 

 拓海は我を忘れながら赤城に出向き、やけくそになりがちでハチロクを走らせてはエンジンを壊してしまい。やってしまったからには、どうにもならないと、イツキに愚痴を溢していくのだった。

 

 

 

 

 

 「来たぞ!!ランエボ軍団!!」

 

 「頑張ってくれよーレッドサンズ!!」

 

 

 ギャラリーが観戦する場所を決めていっては待っていると、麓から京一が乗るエボⅢを筆頭に多くのランエボが集団で固まりながら、涼介達が待ち構える頂上へと上っていく。 

 ギャラリーはレッドサンズを応援するが、啓介達はそんな歓声を物ともせず静止を貫き通し。

 麓から上がってきたエンペラーの軍勢は、レッドサンズがいる場所より少し離れた場所で車を停め。リーダーである京一がメンバーを引き連れ、涼介達レッドサンズと対峙するや火花を散らしていき。

 まず始めに、啓介と浩二による前哨戦が行われるのだった。

 

 

 「池谷さーん。待たせてしまいましてすみませんでした」

 

 「やっと来たか。お前が来るのを待ちわびてたんだぞ」

 

 「すみません。車を取りに行くのに時間を食ってしまいまして…。これでも駆けつけるのに、急いだ方ですよ」

 

 

 啓介達のバトルが開始する直前で、ギリギリ間に合ったタケルは、先に来ていた池谷達と合流するのだった。

 

 

 「とりあえず、高橋啓介と篠塚浩二によるヒルクライムが今から始まるみたいだし、そっちを楽しむとするか」

 

 「ええ、啓介さんと浩二さんによる上りもそうですけど、涼介さんと須藤京一がどんなバトルをしてくれるか楽しみですからね…。最も、こんな手紙が来なければもっと楽しめたけど…」

 

 

 タケルは、ポケットに詰めていた手紙を手に取ると、今朝と同じ様に怒りを見せ。池谷達がそれを見てはタケルに聞く。

 

 

 「なんだそれは…?お前宛の手紙みたいだが何が書いてあるんだ?」

 

 「これですか。僕を赤城に呼びつけるようなことが書いてありますけど…」

 

 「んっと、どれどれ…。なんだこれは!?明らかにお前に対しての挑発文じゃねえか!!」

 

 「誰だよ、こんなもん送ってきたのは!!内容からしてタケルを下に見てるじゃんかよ!!」

 

 「やっぱ池谷さん達もそう思いますよね。誰が送ってきたか分からないですけど、交流戦が終わった後で涼介さん達から、話を聞いておかないと」

 

 

 タケルに送られた手紙を見た池谷達も書かれている内容に激怒するも、タケルが赤城に来てしまったからには送り主の目的は果たされたもの同然で。どういう意図で自分を呼びつけてきたかをタケルは確かめようとする。

 

 

 「でも…こんな手の込んだことをする奴って一体誰なんだろうなぁ…」

 

 

 「そこのお前、少し聞きたいことがあるんだが、いいかな」

 

 「ん?何でしょうか?」

 

 

 タケル達が手紙の送り主が誰なのかを気にしているところに、どこからか現れた青年が、タケルに声を掛けてはある質問をする。

 

 

 「お前は今行われているレッドサンズのFDとエンペラーのエボⅥによる上りでのバトル、お前はどっちが勝つと思ってるんだ?」

 

 「どっちが勝つかでありますか…。う〜ん…、車の差でいえば浩二さんのエボⅥが有利かもしれないですけど、地元でのアドバンテージでいったら啓介さんの方が走り慣れていますし、ここをどう攻めるかによって決まりますかね」

 

 

 自分なりの解釈を青年に言うと、その解答を聞いた青年はフッと謎めいた笑みを浮かべ、タケルにこう言い返す。

 

 

 「そうか。解答としてはまあまあだが、俺の口から言えるとするならば…どっちとも大して変わりはしないってところかな」

 

 「!!」

 

 「な、なんだよその言い方は!?お前、今バトルしてる二人がどれだけ凄いのかわかんねーのか!!」

 

 「そうだぞ!!高橋啓介は群馬エリアじゃトップクラスに匹敵する走り屋で、今バトルしている篠塚って奴もエンペラー内では1、2を争うほどのドライバーなんだぞ!!」

 

 

 青年がまるで啓介と浩二の腕は然程開いておらず、それ以前に、どっちともレベルが低いと断言するや、池谷達はその発言に反発する。

 近くにいたギャラリーも青年に冷ややかな目を向けては敵意を剝き出しにするが、青年はフンと鼻を鳴らしては語る。

 

 

 「そうか?今やっている上りでのバトル…。いくらランエボだ、RX-7だの高性能な車に乗っていようが、それを扱うドライバーの腕が低いんじゃあ話にならないからな…」

 

 「……!!」

 

 

 最早、舐め腐ってるどころか。啓介達を完全に舐めきってることにタケルが苛立ちを隠せずにいると、麓から啓介のFDが先頭を突っ走り、それに続けては浩二のエボⅥが付いていっては通り抜ける。

 

 

 ギャァァァ

 

 

 「うおっ!!FDが頭を取っていやがるぞ!!」

 

 「ああ、伊達にレッドサンズじゃ高橋涼介に次ぐほどの腕はあるし、今日のバトルは絶対に負けないと言うくらいだからな…。このままの勢いだと高橋啓介が勝つかもしれんからな!!」

 

 

 二台が駆け抜けていくシーンを見た池谷達は歓声を上げながら興奮していくが。その走りを間近で観た青年は、まるでわかりきってるかのようにため息をつく。

 

 

 「ふっ、所詮あの程度(・・・・)か…。FDはフラストレーション全開でここを突っ走ってるみたいだが、地元で速いという割には、タイヤを均等に使いわける走りが全然できていないな…。あれ程度の走りじゃ、他所では全く通用しないよ」

 

 「(なっ!?なんなんだこいつは…さっきの走行シーンを見ただけでそこまでわかるものなのか…!?)」

 

 「ま、このバトルに至っては…。地元での走り込みの差でエボⅥに勝つかもしれないが。もしあれが本気だと言うのなら、もう少しアクセルワークを身に付けないといけないな」

 

 

 先程のFDとエボⅥが通り抜けていくのを見た青年は、結果を予想するどころか。啓介の走りに欠陥がある事を見抜いては、まるでなっていないと豪語し。

 タケルは青年の分析力の高さに衝撃を受ける。

 

 

 「何なんですかあなたは…?さっきのあれを見ただけでそこまで読み取れるなんて一体…」

 

 「俺か?俺は中嶋陸って言って神奈川の箱根から来た走り屋で、今日はそこに置いてあるFD2に乗って来たんだが。俺がFRに乗れば、さっきのFDよりもマシな走りができることだけは言っておくよ」

 

 「中嶋陸、ですか…」

 

 

 陸が軽く自己紹介をしては後ろに止めてある湘南ナンバーのFD2をタケル達に見せつけ、それを見ては深く興味を示していくタケル。陸が箱根から来たと聞いた健二は池谷に耳打ちをしては聞く。

 

 

 「(池谷。あのFD2ってさっき俺達を通り越していった奴だよな。こいつが来たっていう箱根って…走り屋の聖地じゃなかったか?)」

 

 「(ああ、過激さや規模からいっても日本一の聖地としては名高いくらいだ。富士スピードウェイがあるのもそうだが、プロ並の実力を持つ走り屋がウヨウヨいては激戦区としてかなり有名だからな。そんなハイレベルなとこで走ってる奴が、なんで群馬に来たのかは俺にもわからねえが…)」

 

 「それはそうとお前の名は何だ?人に物を尋ねるなら自分から言わないとダメだろ?」

 

 「僕ですか。僕は斎藤丈瑠といいまして。あそこにあるスイスポに乗っている走り屋ですよ」

 

 「スイスポ…?そうか、お前がそうだったか…」

 

 「え?」

 

 「お前のことは聞いてるよ。群馬という小さなステージで、スイスポという初心者向けの車を走らせては、自分が物凄く速いと勘違いしている奴だってな」

 

 「なんですって…!!」

 

 

 「(池谷。もしかすると、タケルに挑戦状を送りつけてきたのって…)」

 

 「(十中八九こいつに違いないな。手紙の内容とあの余裕綽々な口振りからして、まず間違いはないだろう…)」

 

 

 陸から完全にバカにされて頭にきたか。タケルは陸を睨みつけては怒りを見せつけるが、陸はそんなタケルを舐め腐ったように見ていきながら、レッドサンズとエンペラーに引けを取らない程の火花を散らしていくのだった。

 

 

 

 

 

 赤城山 頂上

 

 

 「本当にすまねえ京一!!大事な一戦を落としてしまって申し訳ない!!」

 

 「構わん。今回に至っては向こうがお前よりも走り込みの差で勝っていただけだからお前が気に病む必要はない。俺が涼介にリベンジを果たすことさえできれば後はどうでもいいからな」

 

 

 前哨戦の結果は陸の予想通り、啓介が上りで勝ち星を上げ。浩二は申し訳なさそうにしては京一に頭を下げる。しかし京一は、浩二が自分の為に全力を尽くしたことを非難せず、労いの言葉を掛けては本題に移る。

 

 

 「何か言いたいことはあるか涼介?」

 

 「別に…。今日の交流戦は俺とお前の対戦がすべてだ!!」

 

 「ふっ、望むところだ。始めようぜ涼介。本物のバトルって奴をな!!」

 

 

 京一は涼介との因縁に決着を付けようと、エボⅢに乗り込んでいき。涼介もまた、FCに乗っては走り慣れてる赤城にて、京一とのバトルに望む。

 

 

 「風間。すまないが、お前にカウントを任せてもいいか?」

 

 「いいぜ。お前ら二人の対決を、俺がしっかりと見届けてやるよ」

 

 

 涼介からのリクエストに応えた瀬名は、二人の対決のゴングを鳴らそうとするのであった。

 

 

 

 

 

 秋名湖 湖畔

 

 

 「お前、俺とタケルに言ったろ?秋名ではもうバトルしないって…。それを聞いた時お前のこと凄いなって思ったぞ…。地元じゃないところで積極的に出ていく気持ちがさ…。タケルは地元愛が半端じゃないから拓海の言うことにめちゃめちゃ怒ってたけど…」

 

 「違うんだよ。昨日はそういう気持ちじゃないんだ…。物凄く嫌なことがあって、めちゃめちゃ頭にきてたんだ。自分でもわかんないくらいプツンときてて、それで車壊したようなものだ…。多分バチが当たったんだ。前に松橋さんって人にももう車は持たないって言われたんだけど、車っていうのはあんな気持ちで走らせちゃいけないものなんだろうな。今になってあの人が俺に忠告をしてきたその意味がよくわかった…」

 

 「……」

 

 「負けたことは実力だから仕方ないけど…。親父の大事な車壊したことは…凄げー悔やんでる…」

 

 「拓海…」

 

 

 イツキは普段とは違う神妙な面持ちで、拓海の話に耳を傾け。過程はどうであれ、ハチロクを動かなくしてしまったことに、自分がしでかしたことを深く反省する拓海は湖を眺めていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 赤城山 頂上

 

 

 赤城では涼介と京一が互いの車のエンジンを回してマフラーを吹かし、いつでも出れるよう体勢を整える。

 

 

 「京一、今日の作戦は?」

 

 

 清次がドライブシートに腰を下ろす京一に、どんな作戦で攻めるか聞くと、京一は自信ありげな顔付きで清次に語る。

 

 

 「シミュレーションXだ」

 

 「シミュレーションX?そんなのあったか?」

 

 「高橋涼介だけは特別だ。この日の為に練り上げた作戦だ。シミュレーションXで必ず勝つ!!」

 

 

 京一は対涼介用に用意したシミュレーションⅩでバトルに勝つと断言し。涼介もまた、いつでも出れるよう発進する準備を済ます。

 

 

 「よしっ、カウント始めるぞ!!カウント5秒前!!」

 

 

 瀬名がスタートラインの真ん中に立ち、カウントを数え始める。

 

 

 「5…4…3…2…1…GO!!」

 

 

 ギャアアア

 

 

 

 カウントが切られると、二台はスタートダッシュを開始し、涼介達のバトルが始まるのだった。

 

 

 「ふっ、兄貴がいつもの調子さえ出せばランエボ野郎なんかに負ける筈がない」

 

 「そうとも言い切れないぞ。昨日の拓海とのバトルで見た京一のエボⅢは、前に俺が見た時と比べても大きく性能がアップしてるからな。京一がどんな作戦でバトルに挑むかは未知数だが、油断は禁物だ」

 

 

 涼介なら絶対に勝つと豪語する啓介の横で、瀬名は京一が前より腕を上げてきてはバトルに臨んできたと察しながら言い、涼介は苦戦を強いられてしまうのではないかと警戒する。

 涼介のFCと京一エボⅢ、このバトルは一体どちらが勝ち星を上げていくのだろうか…。

 

 

 

 

 

 「おおっ、高橋涼介。凄えキレた突っ込みだ!!」

 

 「でもどうしたんだ!?いつもの高橋涼介なら相手を先に行かせるのに…」

 

 

 赤城で行われ始めた高橋涼介と須藤京一の下りのバトル。

 始まってすぐに、涼介のFCがエボⅢよりも前に出て先行をとるとイン側のポジションにつき、京一のエボⅢがアクセルを緩めFCの後ろに着いてはケツに付く。

 そこから二台は猛スピードで赤城の道路を駆け抜け、その走りを見たギャラリーを盛り上げていくのだった。

 

 

 「凄い!!二台共凄い迫力!!」

 

 「ええ。群馬エリアのトップに君臨する高橋涼介と日光いろは坂の帝王、須藤京一が本気の走りをするんだから、興奮するのは当然よ。でも、いつもの涼介さんなら自分から後ろに着いては相手の走りを観察するんだけど、先行を取るのは意外だったね…」

 

 

 二台の走行シーンを見た和美は独りでに興奮していくが、七菜は二台の走りを冷静に見ていきながら、涼介が先行ポジションを取ったことを意外そうに呟く。

 

 

 「ワクワクするようなバトルだ…。和美、わかるか?二台の微妙な駆け引きが…」

 

 「え?」

 

 「スタートダッシュでエボⅢが飛び出したけど抜けきらなかった。二台もつれて最初のコーナーへ突っ込んだ時、俺にはエボⅢのドライバーが少し引いた様に見えた…」

 

 「さっきの走りを見てそこに気付くなんて流石ね…。おそらくエボⅢのドライバーの須藤京一は何らかの意図が合って、敢えて後追いを選んだに違いないわ」

 

 「そうだな。こんなバトルが見られるなんて態々赤城まで来た甲斐があったよ」

 

 

 渉と和美、七菜の三人が二台の走りを見ていっては感想を口にし。このバトルは一見の価値があると渉が言うと、どちらが勝つか見守っていくのだった。

 




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