頭文字D 峠の弾丸   作:ペンギン太郎

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ACT.76 白い弾丸

 バイト先の旅館で和美の教育係を務めることになったタケルは、旅館で働くのに必要なことを手取り足取り教えていき。この日は宴会の予約が入っている為、タケルは和美と共に宴会客が座る座布団を敷いている真っ最中である。

 

 

 「タケル君、こっちの座布団を敷いたわよ」

 

 「どれどれ…。うん…。これはちょっとやり直した方がいいかもね」

 

 「え?どうして…あたし、ちゃんと敷いたのに一体どこが気に入らないっていうの?」

 

 

 タケルが和美が敷いた座布団をチェックするや問題のある箇所を見つけるや、すぐに指摘してはやり直しするように言い。和美は不満げな顔をしては聞くとタケルは指で差しては言う。

 

 

 「見てご覧。ここの折り目がわずかに逸れてるでしょ?ほんの少ししか反れていないけど、もしお客さんがそこを見つけてはクレームでもつけられたりしたら、旅館の評判に大きく関わるんだ」

 

 「あ、ホントだ…。タケル君、こういう細かいところを見分けられるなんて流石ね…」

 

 「まあね、これでも見分けられるようになるのに大分苦労したからね。女将さんや先輩から散々ダメ出しされては身に着いただけだから、和美さんも数を熟せばその内見分けられるようになるよ」

 

 「そう…じゃあ次からはタケル君に言われないよう頑張らないと…。タケル君、いろいろと迷惑かけてしまうかもしれないけど、その時はよろしくね」

 

 「いいよ…。女将さんから頼まれたからにはしっかり見てあげるし。和美さんが一人前になれるよう手伝ってあげるよ」

 

 

 「二人とも、ちょっとこっち手伝ってくれるかしらー」

 

 

 「「はーい」」

 

 

 女将さんから呼び出しを受けては次の作業へと移っていき、タケルは和美を指導しながら仕事を熟し。宴会の準備は勿論、お部屋の片付けや風呂場の掃除と数々の仕事をしていっては、時刻は夜の9時過ぎまで続くのだった。

 

 

 「ふぃ〜今日も一日終わったことだし…。僕はここで上がらせてもらうけど、和美さんはこの後予定あったりする?」

 

 「あたしはここに住み込みで働いているから、使わせてもらってる部屋に戻るけど、タケル君はどうなの?」

 

 

 作務衣から私服に着替えたタケルは、旅館を後にしようと和美に挨拶をし。和美がこの後どうするか聞くと和美は借りてる部屋に戻るとのことだ。

 

 

 「僕はこのまま車に乗っては自宅に戻るよ。ここのバイトは稼ぎが良いから、車を走らせるのにお金が必要な僕にはピッタリだからね」

 

 「そうなんだ…。もしかしてタケル君、走り屋をやってたりするの?」

 

 「そうだよ。群馬エリアじゃあ僕のことはそれなりに知れ渡っているけど、まだ他にも凄腕の走り屋が大勢いるからその人達と比べたら僕はまだまだだよ」

 

 「じゃあ…叔母さんの旅館で働いてるのも車を走らせる為にやってるの?」

 

 「う〜ん…。ここで働き始めたのは溜まりに溜まったチューニング代を稼ぐ為に来たのがきっかけなんだけど、これが結構長続きしては今に至るんだ」

 

 「へぇ〜タケル君のそういったところは、うちの兄貴と一緒だね」

 

 「ん?…和美さんのお兄さんも走り屋をしてるの?」

 

 「そうよ…。あたしの兄貴、名前は渉っていうんだけど。ハチロクっていう古い車に乗っていて、あたしの地元の埼玉じゃそれなりに有名な走り屋なんだ」

 

 「ハチロクかぁ…。未だにハチロクに乗ってる人がいたとは珍しいね」

 

 「何よ…兄貴の車はおかしいっていうの?」

 

 

 和美は兄である渉のハチロクをバカにするような発言をしたタケルに苛立ちを見せるが、タケルは即座に首を横に振っては返す。

 

 

 「違うよ。僕が言いたいのはハチロクという旧世代の車に乗ってはバリバリで活躍してるお兄さんが凄いって言っただけで、決してバカにしてるつもりはないよ。実際、僕の友達にも和美さんのお兄さんと同じ、ハチロク乗りの走り屋がいるんだ」

 

 「えぇっ!?兄貴以外にもハチロクに乗ってる人がいたなんて、あたし初めて聞いたわ…」

 

 「まぁ、和美さんがそう驚くのも無理はないか…。いずれ近いうちに合わせてあげるからその時を楽しみにしてて…。じゃあ、僕はここで失礼するからまた明日ね、和美さん」

 

 「うん…。またねタケル君、明日もよろしくお願いするから」

 

 

 タケルは和美に手を振っては旅館を出るや、従業員用の駐車場に停めてあるヴィッツに乗ってはエンジンを始動し。自宅へ車を走らせる。

 

 

 「(…まさか、拓海の他にもハチロクに乗ってた人がいたとはね。和美さんがいう渉さんとは一度会ってみたいなぁ…)」

 

 

 和美からハチロク乗りの走り屋である渉について聞いたタケルは是非とも渉と会ってはバトルをしたいと呟くが。渉との出会いが後に大きく関わることになろうとは思いもしていなかったのであった。

 

 

 

 

 結衣 自宅

 

 

 「え?玲さんも明日スタンドに来るって?」

 

 『ボクも結衣さんのいうタケル君がどんな人か少し気になってね。同じスイスポ乗りの走り屋として会ってみたいんだ。もし結衣さんがいいっていうならボクも一緒にタケル君に会ってもいいかな?』

 

 「私は別に構わないよ。きっとタケル君、同じ車に乗ってる人がいたら喜ぶに違いないし。玲さんが来てくれるというなら是非ともお願いしたいわ」

 

 『そっか。じゃあ明日の午前中に結衣さんを拾っては、タケル君がいるっていうスタンドに行こうか。丁度ボクのスイスポもそれなりに仕上がってはちょっくら試し乗りしたいしね』

 

 

 タケルの彼女である結衣は、つい最近知り合った玲から同行していいかと電話で尋ねられ。同じスイスポ乗りである玲が来るからにはタケルも喜ぶに違いないと判断しては一緒に行くこととなり。タケルに一目会おうと翌日玲と共にタケルが行くであろうガソリンスタンドに寄ろうとするのだった。

 

 

 

 

 

 タケルが和美の教育係となった翌日、この日は朝から働き始めていたタケルは昼休みに入っては休憩しようとすると玄関先で和美が旅館から出ていくのを見かけては声をかける。

 

 

 「あれ?和美さん。どっか出かけるの?」

 

 「あ、タケル君。…実はこの前、たい焼きを買うのに釣り銭が足らなくて、その時足りない分を渡してくれた子に借りていた分を返しに行くとこだったの」

 

 「へぇ〜和美さん意外と律儀なんだね、その人がどこにいるか知ってるの?」

 

 「勿論知ってるわよ…。名前はイツキ君っていうんだけど…すぐそこのガソリンスタンドで働いてるって言ってたわ」

 

 「イツキ…?もしかして和美さん、今からイツキに会いにいくの?」

 

 「そうよ。もしかしてタケル君、イツキ君とはお友達?」

 

 「え、まぁ…友達っていうより悪友っていった方がいいかな。何せ僕と同じ車好きで、何かと話が合うんだ」

 

 「そうだったの。じゃあタケル君…イツキ君が働いてるスタンドまで案内してくれる?」

 

 「いいよ。丁度車持ってきてるからそれで送ってあげるよ」

 

 

 まさかの和美がイツキに会いに行くと聞いては、同行することになり。タケルは和美と二人でイツキが働いているガソリンスタンドへ足を運ぶことに。

 

 

 

 

 

 ガソリンスタンド

 

 

 スタンドにはいつものように、イツキと拓海がスタンドの制服を着てはバイトしており、タケルが運転するヴィッツがスタンドに入ると、二人は車に近づいては声をかける。

 

 

 「「いらっしゃいませ」」

 

 

 「ちーっす。イツキはいるか?」

 

 「なんだタケルじゃねえか。ガソリンでも入れにきたのか?」

 

 

 和美を乗せてはイツキが働いてるスタンドに寄り。タケルは近くに車を止めては、バイトしてるイツキに声をかけ。イツキがタケルの元に来ては話を聞くのである。

 

 

 「違うよ。今日はイツキに用があるって人がいたから連れてきただけさ」

 

 「へ?俺に用がある人って…?」

 

 「あたしよ、イツキ君。ほら、あの時釣り銭渡してくれたでしょ。今日はそれを返しに来たわよ」

 

 「か、和美ちゃん…」

 

 

 イツキが自分に用があってスタンドに来た人について聞くと、助手席から和美が降りてくるやイツキに小銭を返すと。和美を見たイツキは顔を驚きの表情をしては顔を赤らめる。

 

 

 「はい…。ちゃんと返したからね…」

 

 「お、おう…」

 

 

 イツキは和美を目の前にしては緊張し、その様子を近くにいた池谷が車から降りたタケルに近寄っては聞く。

 

 

 「なんだ?イツキの新しい彼女か…?」

 

 「どうでしょう…彼女は秋山和美さんっていいまして。イツキとはつい最近知り合った仲みたいですよ」

 

 「そうか。どうして彼女がお前が乗ってる車に相乗りして来たんだ?」

 

 「ああ、それは和美さんが僕と同じ旅館で働いてまして。今日イツキに用があるって言ってたのを僕がここまで送ってあげたのですよ」

 

 「そういうことか…。あの野郎、『走り屋に女はいらねえ』だ、ロンリードライバーイツキだって言ってたくせに、彼女作ってやがったのかよ…」

 

 「まあ…それくらい大目に見てあげてくださいよ。今のところ、あの二人が上手くいってるのは間違いないですからね…」

 

 

 タケルが事情を説明しては状況を理解する池谷だが、内心納得してはいないようだ。

 イツキは数ヶ月前に、彼女にフラれては走り屋一筋として生きていくと宣言しておきながら、女を作っていることに池谷は憤ってるようだ。

 

 

 「そういうお前はどうなんだ。ここ最近彼女とは会ってすらいないんだろ」

 

 「え、まぁ…そうですけど。別にフラれたわけじゃありませんよ。向こうも何かと忙しいみたいですし、都合がよければこっちから出向けばいいだけの話ですからね」

 

 

 ブォオオオン

 

 

 「おっと、お客が来たからその話は後だ。イツキ、お客さんが来たから応じろ」

 

 「は、はい!!」

 

 

 池谷が号令をかけてはすぐに仕事モードに切り替わるイツキ。すぐさま来店した車に近寄っては接客をするのである。

 

 

 「凄いわねイツキ君って、仕事に慣れては淡々と熟してるなんて…」

 

 「そうか?僕にとっては普段目にしてるから当たり前のことを熟してるようにしか見えないけど、和美さんからしたら余っ程のことなのかな」

 

 

 イツキと話を終えた和美がタケルのところに来ては、イツキの働きっぷりを関心しながら見ていくが。和美はイツキの慣れた手付きで仕事をする姿に見惚れるのであった。

 

 

 「おーいタケル、ちょっと来てくれるかー」

 

 「ん?なんだろう…急に呼び出したりして…」

 

 

 どういうわけか、イツキに呼ばれたタケルが駆け寄ると。イツキはスタンドに来た車をタケルに見せては説明する。

 

 

 「タケル、お前にお客さんだぞ」

 

 「僕に?」

 

 

 イツキに言われてはスタンドに来た車に顔を覗かせると、車から一人の女の子が窓を開けては話しかける。

 

 

 「久しぶりタケル君。元気にしてた」

 

 「ゆ、結衣さん…?」

 

 

 なんと、スタンドに来たのはタケルの彼女である結衣で。結衣は乗ってきた車の助手席から顔を見せてはタケルに再会の挨拶をし、ここに来た理由を話す。

 

 

 「急に来てごめんね。私、タケル君がどうしてるか気になっては遊びに来ちゃった…」

 

 「そうだったんだ。態々来てくれてありがとね。僕はこの通りへっちゃらさ」

 

 「そう…。タケル君が元気そうで良かった…。それでね、話と言ってはなんだけど…。タケル君に紹介したい人がいるけど、いいかな?」

 

 「へ?僕に紹介したい人って…」

 

 

 結衣がそう説明しながら車から降りていくと、車の運転席からは帽子を被り男らしい雰囲気をした人物が出てきては、タケルに挨拶をする。

 

 

 「はじめましてタケル君。同じスイスポに乗る走り屋として君と会うことができて光栄だよ」

 

 「……」

 

 

 その人物はにこやかな顔をしてタケルに手を差し伸べるが。タケルはその人を男と勘違いしたか、指で差しながら結衣に聞く。

 

 

 「ま、まさか結衣さん…。その人と付き合うことになったから別れ話をしに来たんじゃ…」

 

 「違うわよ。私がそんなことするわけないじゃない。彼女は藤咲玲さんっていって、タケル君と同じ車に乗る走り屋だっていうから、タケル君に紹介しようと思って一緒に来てもらっただけよ」

 

 「へ…?彼女って、この人…女の子なの?」

 

 

 結衣が訂正しては否定すると、一緒に来た玲はタケルに近寄っては口を開く。

 

 

 「はは…やっぱ君もそう思うよね。ボクは藤咲玲。見かけは男に見えるかもしれないけど、れっきとした女さ。まぁ、ここであったのも何かの縁だし今後ともよろしく頼むよ」

 

 「よ、よろしく…ところで、僕と同じ車に乗ってるって言ってたよね。もしかして君も、スイスポに乗ってたりするの?」

 

 「そうさ。今乗ってるこのスイスポがボクの車さ」

 

 

 玲と共に乗ってきたであろう車を見てみると、車体は同じだが色が黄色ベースとしては見た目も弄ったタケルのスイスポとは違い、玲のスイスポは白を基調としてはシンプルな見た目なままで。それを見たタケルは玲に聞く。

 

 

 「ふぅ〜ん…見かけはノーマルだけど、ステアリングにバケットシートをしてるところからして、走り屋仕様にしてるんだ」

 

 「そうさ…。と言ってもボクは父親からスイスポに乗るよう言われては仕方なしに乗ってるだけなんだけどね。ところで、君が乗ってるっていうスイスポをボクに見せてくれる?」

 

 「悪いけど、僕のスイスポは今チューニングをしているからここには置いてないんだ。でも、仕上がったらすぐに見せてあげるから待っててくれるかな」

 

 「いいよそれくらい待ってあげるよ。でも意外だなぁ〜。君みたいな人がスイスポに乗ってるなんてね」

 

 「えっ、どうして?玲さんはスイスポに乗る人にどんなイメージを抱いていたの?」

 

 「どういうイメージかって。車界隈ではスイスポに乗る人はスバリスト同様、オタクもしくは陰キャが乗る車だって言われてるから、てっきりタケル君は秋葉で見かける眼鏡をかけては如何にもオタクな感じがする人かと思ってたんだ」

 

 

 「だああ!!」

 

 

 玲からタケルはオタクではないかと言われてはその場でズッコケ。タケルはすぐに立ち上がっては反論する。

 

 

 「誰がオタクだ!!勝手なイメージを膨らませないでよね!!」

 

 「ごめんごめん…ボクがそう思い込んでただけだから誤解しないで」

 

 

 玲は即座に詫びを入れ、話を切り替えてはタケルに聞く。

 

 

 「そうそう君に言いたいことがあるんだった。タケル君、赤城であの中嶋陸に負けたんだって」

 

 「!!…なんで玲さんがそれを知ってるの?」

 

 

 玲の口から陸の名前が出てきては驚きの表情を見せるタケル。

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 「(池谷先輩…。あの女の子がいってる中嶋陸って誰のことなんすか?)」

 

 「(中嶋っていうのはついこの間赤城に現れた走り屋でな。FD2に乗ってはタケルを負かし、赤城のコースレコードを更新させた凄腕なんだよ)」

 

 「(!! ま、マジすか先輩…。タケルが、赤城で負けたなんて話…)」

 

 「(ああ。俺もその中嶋って奴が走るとこを見たんだが、あれは最早別次元そのものだったからな)」

 

 

 イツキが池谷とヒソヒソ話しながら陸について聞くと、前に赤城でタケルを敗北に陥らせては赤城のコースレコードを破ったとイツキに話すと、イツキは目ん玉をひん剥かせては驚くしかなく。拓海も無口でいながらもタケルが負けたことに信じられないような表情をする。

 

 

 「へへっ。何せ君のスイスポと陸のFD2が赤城でバトルしてるのをボクも観ていたんだ。まあ、陸とまともにやりあえる奴なんて日本にはいないんだし、君が負けてしまうのも無理はないからね」

 

 「く…!!その口振りから察して…あいつとは知り合いなの?」

 

 「そうだよ。昔、陸とはカートでバチバチにやり合った仲でね。陸には全く敵わなかったけど、君よりかはあいつのことは知ってるつもりさ」

 

 「そうなんだ…。それだけを言いに態々ここに来たのか?」

 

 

 タケルが気にしてることをズケズケと言う玲に睨みを利かせると、玲は気にしてないような素振りをしては言う。

 

 

 「違うよ。ボクはただ…君がどういった人なのか気になっては結衣さんについてきただけだよ。まぁ、用が済んだ以上ここに長居するつもりはないから、ここで上がらせてもらうけどね」

 

 

 玲は言いたいことを全て話し終えては車に乗り込もうとすると、結衣がタケルに近づいては言う。

 

 

 「ごめんねタケル君…。玲さんが余計なことを言ってしまって…」

 

 「いいよ…。彼女が言ってることは何も間違ってないし。彼女はどれくらいやれるか結衣さんは知ってる?」

 

 「うん…。さっき、車の中で話してたんだけど…。玲さん、あのスイスポで前にタケルが赤城でバトルしたランエボっていう車に勝ってるみたいなの」

 

 「なんだって!?スイスポであのエボⅣに勝ってるだと…」

 

 

 玲がスイスポに乗ってはランエボに勝つ程の腕を持つと聞いては驚くを隠せずにいるタケルだが、そこに玲がニッと笑みを浮かべては話す。

 

 

 「結衣さんが言ってることは本当だよ。ついこの間、エンペラーの地元であるいろは坂に行っては自称No.2のエボⅣとバトルしてね。あいつ、態度がデカい割には大した腕じゃなくてね、軽くぶっちぎっては一捻りしてやったんだ」

 

 「!?」

 

 「い、池谷先輩…。あの子が言うエボⅣってもしかすると…」

 

 「岩城清次って奴のことに違いないだろうな。どうやらそのことについて後で健二から聞いておかねえとな…」

 

 

 玲がエンペラーの地元であるいろは坂でランエボに勝ったと聞いてはタケルは勿論、イツキと池谷もとても驚いたようで。その詳細について健二から聞き出そうとする。

 

 

 「じゃあ結衣さん、そろそろ行こうか。またねタケル君、次会う時があったとしたら、君にバトルの申し込みをするよ」

 

 「タケル君…もし良かったらまた今度、誘ってくれる」

 

 「あ、ああ…もし空いてる時間を見つけたら呼びかけるから待ってて」

 

 「うん。またね、タケル君」

 

 

 結衣が玲のスイスポに乗ると、玲はスイスポを急発進させてはスタンドを過ぎ去っていき。それを見送ったタケルは握り拳を固めては立ち尽くすしかなかった。

 

 

 「タケル…。大丈夫か?」

 

 「ええ…平気ですよ…。まさか、僕以外にもスイスポに乗ってる人がいたとは驚きを隠せないですよ」

 

 「そうだな…それにしても、スイスポでランエボに勝つなんざ…あの子、只者じゃあないみたいだな」

 

 

 池谷がタケルを落ち着かせては気を利かせるも、タケルはとてつもない強敵と遭遇したことを実感するのだった。

 

 

 「あの〜お取り込み中悪いんだけど…。もうそろそろお昼休みも終わる頃だから早く戻らない?」

 

 「え?…あ、もうそんな時間になってたのか。すいません池谷さん、僕はもうバイトに戻りますので、またガソリンいれる時が来ましたら寄らせていただきますね」

 

 「おう、いつでも来な。その時はハイオク満タンで入れてやるよ」

 

 

 タケルは和美を車に乗せてはスタンドを後にし。再びバイトをしていっては一日を終えるのだった。




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