頭文字D 峠の弾丸   作:ペンギン太郎

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ACT.77 炸裂!!ハチロク・スイスポのWターボ

 赤城山 夜

 

 

 「(タケル君がどんな人か知ることができたんだし.…いつの日か、バトルするのが楽しみだなぁ…)」

 

 

 渋川市のガソリンスタンドでタケルと出会った玲は結衣と別れた後、暇つぶしがてら赤城へ来てはスイスポを走らせている真っ最中であった。

 軽快なターボ音を響かせては赤城の峠を駆け上がっていくと、頂上には複数の車が立ち止まっているのを見かけてはその場で停止し、話し合いをしているの走り屋を見ていってはあることに気付く。

 

 

 「(ん?あれって高橋啓介のFDとその取り巻きのS14だよね。こんなところで何してるんだろう…)」

 

 

 玲が車から降りては啓介達の元に近づいていくと、啓介がケンタと共にある走り屋と対峙しては何やら良からぬ雰囲気を晒していたのだった。

 

 

 

 

 

 「お断りだ」

 

 「何故だ…。俺がハチロク乗りだからか?」

 

 「違うね…。地元じゃ燃えねえんだよ…」

 

 

 啓介達が話をしていたのはハチロクのレビンに乗っている走り屋の秋山渉で。渉は赤城に出向いては啓介にバトルの申し込みをするも、啓介は地元でバトルするのを断っては理由を言う。

 

 

 「群馬エリアの奴なら、レッドサンズは地元でバトルしないことは誰でも知ってるからな。悪く思わないでくれ」

 

 「……」

 

 「ついでに教えといてやる。俺達はハチロク乗りを甘く見ちゃいない…。このエリアには下り専門の凄いハチロクがいるんだ。そいつはバトルで負けたことがねえ。どんな車にもだ」

 

 「どんな車にもだと…!?」

 

 「そうだ」

 

 

 「(ふぅ~ん…。まさか群馬エリアにそんな凄いハチロク乗りがいたとはね。もうちょっと聞いてみよっと)」

 

 

 啓介から無敗のハチロク、即ち秋名のハチロクについて聞いては驚く渉だが、再び立ち直っては啓介に返す。

 

 

 「なら、試してみようぜ。そのハチロクと俺と、どっちが速いか…」

 

 「何っ!?」

 

 「構うなケンタ。とにかく、地元じゃやらねえ…」

 

 「ふっ。どこの誰だか知らねえが…。啓介さんにタメ口叩くのは十年速えぜ!!」

 

 

 

 

 

 「逃げるのか?そう言ってバトルを避けてるんじゃ、群馬エリア最速を誇るレッドサンズとしての名が泣くよ」

 

 

 ケンタが歯向かおうとするのを啓介が抑えては話を打ち切らせ、二人は車に乗っては立ち去ろうとするのを玲が呼びとめ。事態はより一層緊迫したムードに包まれるのだった。

 

 

 

 

 ファミレス

 

 

 「藤咲玲?ああ、勿論知ってるぜ。その子はここ最近群馬エリアに現れては、それなりに名を馳せている女の子の走り屋だよ」

 

 「本当か?健二。お前が知ってるあの藤咲について詳しく聞かせてくれるか」

 

 「別にいいけどよ。お前に話すにはもう一つ伝えなきゃいけねえことがあってな。そのことについてはもう二人来てからしようぜ」

 

 「もう二人…?誰のことを言ってんだ?」

 

 

 カランカラン

 

 

 渋川市の某ファミレスにて、池谷は待ち合わせしていた健二と合流し、自分が働いてるスタンドに来た玲について聞くと、健二は玲について知っていると話し。健二の話からしてつい最近名乗りを上げては注目を集めてる走り屋のようで。二人がテーブル越しに話している横で意外な人物が二人揃っては池谷達の前に来るのだった。

 

 

 「お久し振りです。浩一郎さん」

 

 「やっほー。元気してた?」

 

 「真子ちゃん!?それに沙雪ちゃんも…。なんでここに?」

 

 「なんでって、そこにいる健二君に呼ばれたからに決まってるでしょ。あんたが聞きたがってるっていうスイスポ乗りの女の走り屋について、あたしらが知ってることを教える為にね…」

 

 

 ファミレスに来たのは碓氷峠の走り屋で池谷の彼女である佐藤真子とそのパートナーである沙雪で。二人は久し振りに会った池谷と健二を見ては嬉しそうに話し、池谷が聞こうとしている玲のことについて話す為に軽井沢から来てくれたようだ。

 

 

 

 

 

 赤城山 頂上

 

 

 「だ、誰だてめえは!?俺達レッドサンズに向かってそんな口を叩くとは、てめえ何者だ!!」

 

 「ボクがどこの誰だろうが別にいいでしょ。そもそも走り屋なら言葉じゃなく実力で示すのが筋ってもんだと思うけど」

 

 「ふっ、そこにいる奴の言う通りだぜ。お前ら、そんなに負ける気がしねえっていうならバトルの一つくらいは受けてもいいんじゃねえのか」

 

 

 先程まで啓介の話を聞いた玲は地元じゃバトルをしないという啓介達の間に割って入ると、デカい口を叩く啓介に余裕があるのかと豪語するや、渉も便乗してはバトルをするよう発破をかける。だが啓介は舌打ちをしては頑なに言う。

 

 

 「お前…見たところまだ若えみてえだが。知らないなら教えてやる。俺達レッドサンズは地元でやったら本気を出さなくても勝てるから言ってるんだ」

 

 「そういうことだ。わかったらさっさと帰ることだな。俺達はてめえみてえなガキに構うほど暇じゃないからな」

 

 「へぇーそうだったのか…。それだけ腕が立つというのなら、どうして赤城のコースレコードを叩きだしたのがレッドサンズじゃなくて、神奈川の走り屋である陸のFD2なのか説明してくれるよね?」

 

 「なっ…!?」

 

 

 玲は赤城のコースレコードを更新したのがレッドサンズの走り屋ではなく、他所者である陸が出した記録なのか尋ねると、痛いところを突かれたケンタは何も言えずに押し黙るしかなかった。

 

 

 「中嶋のことを名前で呼ぶとはお前、あいつとはそういった仲なのか」

 

 「まあね。それよりもそこにいる人がこうしてお願いしてるんだし、バトルの一つくらいは引き受けてあげたらどうなんだ?」

 

 「くっ…!!てめえがどう言ってこようがここでは俺達が最速なんだ!!例えどう言ってこようが絶対にバトルはしてやらねえからな!!」

 

 「ふぅ〜ん…。ひょっとして、他所者にコースレコードを破られただけに飽き足らず、バトルで負けてしまったらレッドサンズは大した走り屋じゃないってことが群馬エリアに知れ渡るのが嫌だから断ってるの?」

 

 「こ、この野郎…。レッドサンズをコケにするってのか…。調子に乗るのもいい加減に…!!」

 

 「落ち着けケンタ。もうこの際言い争っても仕方ない…。いっその事こいつらとのバトルを受けるしかないだろ」

 

 

 玲から舐めた口振りをされてはケンタが爆発気味になりかけるが。啓介は玲から散々言われては観念したか、はぁっと大きくため息を吐いては口を開く。

 

 

 「あらかじめ聞いておくが、お前ら二人は俺達相手に勝つつもりで言ってるんだよな?」

 

 「ふっ。当然だろ。そうじゃなきゃ、こっちまで来た意味がないからな」

 

 「勿論♪このバトルにはボクも混ぜてもらうよ。自称最速を抜かすレッドサンズがどれ程のものかこの目で見てみたいしね」

 

 「…そうか。そこまで言ってくるとはいい度胸してるな…。いいだろう、その挑戦受けてやる。俺の手でてめえら二人を徹底的にぶち負かしてやるから覚悟することだな!!」

 

 

 「交渉成立だね。さてと、これで満足したかなハチロクのお兄さん」

 

 「ああ、お前には借りができたな。丁度いい、お前も含めてこいつら全員、軽くぶっちぎってやるぜ!!」

 

 

 群馬エリア最速を名乗るレッドサンズの一員として二人に舐められるわけにはいかないと思ったか、啓介は玲と渉から申し込まれた挑戦を引き受けるのだった。

 

 

 

 

 

 ファミレス

 

 

 久しぶりに再会した真子達とテーブルを囲い、池谷は本題である玲のことについて話を聞こうとする。

 

 

 

 「二人も知ってるってことは…。真子ちゃん達もその女の子とバトルしたのか?」

 

 「いいえ…。私達は玲ちゃんとは直接バトルをしていませんけど、彼女が碓氷峠でランエボとバトルしたのは本当なんです…」

 

 「何ィ!?ランエボって…まさか、エンペラーが碓氷峠にも来てたとでも…!?」

 

 「おい池谷。ここは店の中だから少し落ち着けって…」

 

 「ああ悪い…。で、そっから先はどうなったんだ?」

 

 

 ついこの間まで群馬エリアに押し寄せてきたエンペラーが、まさかの碓氷峠にも来ていたという情報に池谷は驚愕しては声を出すが、健二に注意されては落ち着き。その時のことについて沙雪の口から語られる。

 

 

 「まぁ、あの時来てたのはただの偵察係だったんだけど。そいつがバトルをしかけてきたのを玲ちゃんが相手したの。エンペラーは玲ちゃんのことを完全に舐めてたのか、女如きに負けるわけないと豪語してたんだけど。思いの外、エンペラーのランエボは玲ちゃんのスイスポについて行けず、呆気なくヤラれてしまったみたいよ」

 

 「……!!」

 

 

 碓氷峠で起きた出来事を沙雪から聞いた池谷はその場で絶句。話を聞いた健二は気にかかることがあったか真子と沙雪の二人に尋ねる。

 

 

 「ところでよ…。君ら二人は何してたんだ?バトルしたのが地元の走り屋である二人じゃなく他所者である玲ちゃんにバトルを任せるなんざ、気にかかるんだが…」

 

 「ああ、それはね。その時の真子ったら、呑気に風呂に入ってたのをあたしが引っ張り出すのに時間を食っちゃって。あたしらが駆け付けた時にはもう決着が付いて立ってわけ」

 

 「なるほどな。そればっかしは流石に真子ちゃんが悪いかもな」

 

 「だ、だって…沙雪ったら、お風呂に浸かっていた私を風呂場から無理矢理引っ張ってきたのよ。おかげで準備するのに手間取ってしまったんだから」

 

 「ま、真子ちゃんの…入浴姿…」

 

 「おい池谷。何勝手に真子ちゃんの入浴シーンを想像しては鼻血出してんだ。今のお前、人前に見せられねえ程気色悪い顔してるぞ」

 

 

 真子と沙雪が玲が走る場面に来れなかったのを聞いては納得するが、そこから二人が卑猥な話をする側で池谷が妄想しては鼻血を出すのを健二が突っ込みを入れ。その後の玲の行動について話す。

 

 

 「で、そっからがお前が知りたがったことについてなんだが。その玲って子は自分からエンペラーのホームコースの日光に出向いてはバトルを申し込んでな。その場に居合わせた岩城清次が玲ちゃんを完全に突っぱねたんだが。玲ちゃんが拓海のハチロクに負けたことを引き合いに出したらしく。思いの外岩城の奴はブチギレてはバトルに発展して、岩城の奴は走り慣れてるであろう地元で敗北しては恥をかいたって話だそうだ」

 

 「……!!」

 

 

 年下の女とはいえ、自分達でさえまともに敵わない相手に、しかも相手の地元で負かしてしまう程の実力を秘めてると聞いた池谷は、玲のあまりにもの凄さに開いた口が開くしかなかった。

 

 

 「あ〜らら、池谷ったら玲ちゃんの凄さにあんぐりと口開いてるわね」

 

 「ま、お前がそうなるのも無理はねえか。なんてったってその子の父親は元プロのレーシングドライバーで、ガキの頃から父親にカートを教わったっていうんじゃ、物凄え走りをするのにあり得なくもねえからな…」

 

 「ぷ、プロのレーシングドライバーの娘だと?」

 

 「ええ…。今でこそ玲ちゃんの父親はレーシングチームの監督をしまして、時折講師を勤めては将来有望の若手ドライバーの育成をしてるみたいなんです。前にタケル君を負かした中嶋陸って人もその教え子の一人だったとか」

 

 「…マジかよ。よりによって玲ちゃんが中嶋とは兄妹弟子の関係だったとは…通りでスイスポに乗っていながらランエボにも勝てるわけだ」

 

 

 玲の輝かしい経歴を耳にしてはもう察しがついたか。玲がとんでもない実力を秘めてると思い知り。自分達の出る幕ではないと決めつけては今の状況を刻一刻と見ていくしかなかったのであった。

 

 

 

 

 

 赤城山 夜

 

 

 「(くっ!!立ち上がりで俺の走りについてきやがる!!なんだあの二台は…!?並みのパワーじゃねえぜ!!本当にハチロクとスイスポなのかよ!?)」

 

 

 赤城ではレッドサンズの啓介と渉、そして玲による三つ巴のバトルが行われており。先行を突っ走る啓介のFDは全開走行をしては赤城の下りを駆けていく。

 走り慣れてる地元なだけあってか、啓介はハチロクとスイスポを相手に、余裕で勝てると思っていたようだが。予想外にもハチロクとスイスポはターボ車特有の吸気音を響かせ、啓介の想像以上に加速してFDに食いついては激闘を繰り広げる。

 

 

 「(あのハチロク、結構やるじゃないか。車体の古いハチロクにターボを載せてあそこまで走らせたら、足回りが壊れてしまうのを…、平然と乗り込なしては見事に操ってる。レッドサンズ相手にバトルを挑もうとするだけのことはあるね)」

 

 「(ほぉ…パワーの劣るスイスポに乗るところからして、大した奴じゃねえかと思っていたが、俺と同じドッカンターボを付けていながら荷重移動できちんとスイスポをコントロールし。立ち上がりで上手く加速しては俺とFDに食いついてきやがる!!思ってた以上にこいつ、やりやがる!!)」

 

 

 

 

 

 「(ダメだ…!!啓介さんだけじゃなくハチロクとスイスポについていけないなんて。レッドサンズの走り屋として恥ずかし過ぎる!!畜生…!!)」

 

 

 玲と渉の二人は互いの乗っている車とその実力を評価していっては車を走らせ、先頭を突っ走る啓介のFDについていこうと車を飛ばし。

 ケンタは三人の後に続いていくも、コーナーを抜ける度に離されていっては置いてかれ。追いつけない自分の無力さを苦々しく思う。

 

 

 「(俺は兄貴じゃねえから詳しいことはわからねえけど…この二人、特にスイスポは俺の走りにここまでついてこれるなんざ予想以上にやりやがる…!!いつまでも引っ張るとマズいな)」

 

 「(舐めんな。手抜いてっとぶち抜くぜ!!)」

 

 

 啓介は渉のハチロク相手に追い込まれるが、渉もいつすっ飛んでしまうかわからないハチロクを飛ばしてはFDに食らいつき。

 玲もコーナー侵入時にリアが膨らまないよう左足ブレーキでアンダーを消し。コーナーを抜けてすぐにアクセル全開にし、ターボで加速しては二台の後ろに着く。

 

 

 「(流石に走り慣れてるだけあってか、アクセルコントロールがきちんとしているのは勿論、コーナーに入る手前のブレーキングもできている。地元では絶対に負けないと言うだけのことはあるね。ハチロクもドッカンターボを搭載しては扱いにくいにも関わらず、器用に操っては高橋啓介のFDに食いついているし、どうやらこのバトル…あの二台の拮抗状態が続くとみていいかもしれないね…ん?)」

 

 

 玲のスイスポは一歩引いた形で後方から二台の走りを観ては走りを分析。そこから二台をどう抜かしていこうが考えているとある異変が生じる。

 

 

 「げっ!?ここに来て車ぶつけては立ち止まっていた人がいたの!?ヤバい…ぶつかってしまう!!」

 

 

 なんと啓介達が突き進んでいったコース上に、三角板を設置しようと立ち止まっていた人がいてはぶつかりかけるも、二台はそれを避け切る。だが、すぐ先にはガードレールにぶつけては停車していた車が道を塞いでおり。二台はそれを上手く避けきっては車体をスピンさせては停止。玲も急ブレーキを駆け、停車してた車との間が僅か数センチのところで停止しては衝突を免れるのだった。

 

 

 「かぁ…折角イイとこだったのに、こんな形で終わるなんてあんまりだよ…」

 

 

 通常なら衝突事故を回避しただけで御の字であるにもかかわらず。玲は車をぶつけてしまうよりも予想外な形で啓介達とのバトルが打ち切られてしまったことにガッカリするのだった。

 

 

 

 

 

 「びっくりさせやがるぜ…」

 

 「イイとこだったのに…。水差しやがって…」

 

 

 啓介達も玲と同じことを考えていたようで、衝突寸前で回避してはバトルが中断してしまったことに残念がるも、ハチロクは180度回転させてはFDと向かい合わせになり、啓介に合図を送る。

 

 

 「(改めて仕切り直しをしよう…預けておくぜ)」

 

 「(ふっ…かっこつけんな。世の中には色んな奴がいるもんだな。楽しみが一つ増えたってもんだ)」

 

 

 渉はこの借りはいつかまた返すと合図を送っては啓介の前を走り去っていき。啓介もまた、渉との再戦を待ち遠しくしては微笑むのだった。

 

 

 「(とりあえず…俺に生意気な口を叩いてきやがったあいつのとこに向かうか…)」

 

 

 

 

 

 「それじゃあレッカーは呼んでおいたから、後は自分達で何とかしてね」

 

 「あ、ああ…。済まないな、ここまでしてくれてありがとな」

 

 「いいよ、これくらい。元はといえば赤城で勝手にバトルしたボクらの方が悪いんだしさ」

 

 

 玲は前に停車していた車に乗っていた走り屋の手助けをしており。レッカーを呼びつけた後、走り屋達に後始末は任せるよう言っては車に乗り込もうとすると、啓介のFDが自分の元に来る。

 

 

 「そこのお前…。少し聞きたいことがあるんだが…」

 

 「ん?何だい…?」

 

 「何故俺達の後ろに張り付いては観察していやがった。俺が見る限りじゃ、その気になれば俺達を抜くなんざできた筈だぞ」

 

 

 啓介は気付いてたか玲に手を抜いていた理由を尋ねると、玲は笑みを浮かべては言う。

 

 

 「だって…二人がどれほどの走りをするのか、この目で観てみたかったんだ。途中邪魔が入ってはあっさりと片付いたけど。それに見合ったものを観ることができたしね」

 

 「ちっ、とりあえずハチロクとのバトルで決着は付かなかったが、この借りはいずれ返してやるよ。お前、名前は何という?」

 

 「ボクかい?ボクは藤咲玲。君と同じ群馬の走り屋さ」

 

 「藤咲?聞いたことねえ名だな…」

 

 「そりゃあ君が知らないのも当然さ。ボクが群馬に戻ってきたのはつい最近で、陸と同じ帰国子女だからね。でも意外だな、君みたいな凄腕がボクみたいな女の子を褒めてくれるなんて…」

 

 「なっ!?お前、女だったのか…!?」

 

 「そうだよ。まあ、こんな風貌をしていたら男だと思い込むのも無理はないよ」

 

 

 啓介は先程まで自分達と渡り合っていた玲がまさかの女だったことに驚愕するも、玲はそれを気にしないまま啓介に言い放つ。

 

 

 「じゃあボクはここで引き上げるけど、次からは地元でのバトルもちゃんとしてよ。いくら地元では誰にも負けないとは言っても、ボクが見る限りじゃあ、今の君は陸の足元にも及ばないことは、はっきりとしてるからね」

 

 

 玲は今の啓介では陸には敵わないとでも言い残しては啓介の元を走り去っていき。それを見送った啓介は握り拳を固めては顔を引き締める。

 

 

 「くっ…。今の俺じゃあ、あのクソ野郎には敵わないだと…。上等だ…、俺の手であいつに雪辱を果たす前に、てめえをぶっちぎってやるからな!!」

 

 

 啓介は玲に完璧に舐められてることにブチギレたか。自らの手で、玲と陸に引導を渡してやると豪語するのだった。




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