今回から新たに生まれ変わったスイスポが登場します。
赤城から少し離れた場所にて、啓介達とのバトルをした玲は近くの自販機でミネラルウォーターを購入し。その場で一飲みする。
「ぷはぁ〜。あ〜楽しかったぁ…。群馬にあれだけの走りをする奴がいたとはね。態々こっちに帰ってきた甲斐があったよ。赤城レッドサンズの高橋啓介も中々だったし、それと互角に渡り合ったあのハチロク乗りの渉って奴も凄かったなぁ…。いずれ近い内にあの二人は大物になるに違いないよ」
ミネラルウォーターを一飲み終えるや、玲は先程まで赤城でバトルした啓介と渉の走りに満足したかのように呟きつつ、二人の今後に期待するのだった。
ピリリリリ
「ん?誰だよ、こんなにもいい気分でいる時に電話してくるのは…」
いい気分が台無しになったことに、玲が愚痴を零しながら携帯を取り出しては、早速電話に出る。
ピッ
「もしもし?どちら様でしょうか?」
『俺だ…。久し振りだな玲、元気にしてたか』
「!?…陸か。久し振りだね。電話とはいえこうして会うのは何年ぶりかな…」
電話の相手はまさかの陸からで。玲は電話越しに陸と再会したことに嬉しそうな顔で電話を続ける。
「それはそうと、どうして陸がボクの番号を知ってるか聞かせてくれる?」
『お前の親父さんが教えてくれたんだよ。いずれ近い内に娘がそっちに行くから、よろしくってな』
「なんだ、パパが教えたのか。その言い方だと、まるでボクが陸に厄介をかけるみたいなことを言ってるみたいじゃないか」
『それはそうだろ。お前の親父さんはレースの監督業が忙しくてはお前を見てやることができねえからな。お前と同じ親父さんの元で教わった先輩である俺に面倒を見るように頼むのも当然のことだろ』
陸は玲がカートを習い始めた頃から見ていた為、玲の父親から直々に見てやるよう頼まれるのは当たり前のように言うと。玲は父親と陸から子供扱いされてるのに不満を露わにする。
『ところで玲。お前確か、群馬にいるって言ってたよな。そこで何をしてるか俺に聞かせてくれてもいいんじゃねえか』
「何って、ボクは群馬で学校生活を送りながら走り屋みたいなことをやってるけど。それと陸がどう関係があるというの?」
『別になんだっていいだろ。お前がどうなってるかただ確認しただけだからな。それに、群馬で走り屋をするのはお前の勝手だが、くれぐれもサツに捕まるなんてバカな真似はするなよ。ただでさえ群馬を始めとする北関東の連中は総じてヘタクソばっかだからな』
「うわっ、相変わらず辛辣なことを言うね陸は…。そんなんじゃ、友達はできないよ」
『ふん。それは俺に気遣ってるのか知らねえが、生憎俺は仲良しこよしで走ったりなんざしねえからな。向こうにいた時も、東洋人ってだけで軽んじられてはどれだけの奴をぶっちぎってやったと思ってるんだ』
「あ〜はいはい。そうでしたね。陸は誰とも慣れ合わない一匹狼な奴だったよね。…クリスが苦労するのも頷けるよ」
陸が群馬エリアを含む北関東の走り屋は大したことがないように言うと、玲は今の性格だと危ないよう陸に言葉を返すが。陸はフンッと鼻息を鳴らしては気にしてなさそうに言う始末であった。
「でもさ陸。群馬の走り屋は陸が言うほど走りのレベルが低いとは限らないよ。ついさっきボクも赤城でスイスポを走らせてきたんだけど、陸が言うよりかは骨のある奴はいたよ」
『どうだか…。群馬エリアの間では赤城の走り屋はレベルが高いと誇張してるみたいだが、実際観に行った俺からすれば然程大した奴はいなかったぞ』
「ぶぅ…またそれを言うの…。パパも峠出身のレーサーだからか、峠には噂に留まってるだけとはいえ自分でさえ敵わない奴が大勢いたって言ってたのに…」
『それはあの人の口癖みたいなもんだろ。大体海外で本物のモータースポーツを経験してる俺からすれば峠の走り屋は所詮三流以下の他ないからな。これ以上無駄話をするというのなら切るぞ』
「あ、ちょっと待ってよ。折角電話してきたのなら、せめて次会う時どこで待ち合わせするとか決めておかないと。折角日本にいるというなら、観光の一つくらいしてもいいんじゃないの?」
玲はまた今度陸と会えないかと陸に尋ね、陸はため息をつきながら言う。
『いいぜ。丁度今クリスが群馬にいっては観光を楽しんでると連絡があったし、レースに出るのに必要なスポンサー探しも兼ねてはそっちに向かうよ。どうせ群馬には他に行くとこなんてないからな』
「えぇ!?クリスがこっちに来てるの!?」
『ああそうだ。あの野郎…群馬には美肌効果に良い温泉がたくさんあると抜かしてたけど、温泉なんざ箱根だけで充分だっていうのに、何を考えてんだか…』
「そっか。じゃあクリスが来てると分かったんだし。また近い内に連絡するよ。じゃあね〜♪」
『お、おいちょっと待て!!今あいつがどこにいるのか分かって…』
ピッ
大事なことを言いかけてたであろう陸からの電話を切った玲は、飲み干したペットボトルをゴミ箱に入れ。浮き足立ってはスイスポに乗り込む。
「(ふふん。クリスが来てるというなら陸について色々聞いておこうっと。一体どんな情報を持ってるのか気になるしね)」
旧友であるクリスが群馬に来てると知っては、ハイテンションになるや。玲はスイスポを飛ばしては走り去るのだった。
旅館 夜
「来週の日曜日に和美さんのお兄さんが来てくれるって?」
「そうなの。兄貴が態々会いに来てくれるっていうんだけど、あたしがちゃんと仕事ができてるか心配だっていうのよ。少しくらいあたしを信用してもいいのに…」
バイト先の旅館で部屋の掃除をしているタケルは、和美から兄の渉が自分の様子を確認しに、こっちに来ると伝え。自分がまだ子供扱いされていることに和美は不満を露わにする。
「まぁ、お兄さんからすれば、大事な妹がちゃんと旅館の仕事が務まってるかどうか気になるのも無理はないよ。僕からしても、お兄さんの気持ちが分かる気がするしね」
「ちょっとタケル君、それ…あたしに対して嫌味で言ってるつもり?」
「い、いや…。僕はただ、お兄さんの立場から話しただけで、別に和美さんをバカにしてるつもりはないよ。僕にも少しだけ年が離れた姉がいてね。いっつも僕を気にかけてくれてるから、自分と和美さんと重ね合わせただけさ」
「…そう。タケル君もあたしと同じようなもんだったのね…」
タケルが自分にも姉である遥香がおり。度々遥香に苦労をかけていることを話しては、和美の兄である渉がどれだけ妹を心配してるのか。それを話していっては和美に気を使うのである。
「でも、そこまで心配してくれるってことは、お兄さんは和美さんのことを余程大事にしてるに違いないよ。そうじゃなきゃ態々様子を見にに来たりなんてしないからね」
「うん…。タケル君の言う通りかもしれないね…。今度、兄貴に会った時には感謝しないと…」
「タケル君〜。ちょっとこっち来てくれる?」
「はーい。じゃあそういうことだから和美さん。お兄さんにはよろしく伝えといてね」
タケルは女将さんに呼ばれるや仕事モードへと切り替わり。和美は兄が自分のところへ来るのを待つのであった。
1週間後。
「よく抜けられるなー日曜なのに…。お前、あんまり役に立ってないんじゃないの?」
「失礼ね。午前中は死ぬほど忙しかったんだから、二週間働きっぱなしだったんだから叔母さんが休みくれたのよ」
「そうか…ならいいんだけど」
久し振りに会いに来た渉の車に乗る和美はここ最近のことについて、渉から話を振られ。仕事先で迷惑をかけてるのではないかと言われるや、不服そうにしながらも仕事はできていると渉に言い返すのである。
「それに、旅館にはタケル君っていってあたしより一つ年下だけど、面倒をみてくれる子がいてね。タケル君、結構頼りになるから助かっているの」
「ほぅ…。まさか和美に、イツキ君以外の友達ができてたとはな…」
「うん…。それでね、タケル君は兄貴と同じ走り屋をしているみたいで、兄貴がこの車に乗ってることを伝えたらとても凄い人なんだねって褒めてくれたの。イツキ君以外にも兄貴の車を褒めてくれる人がいた時、あたし嬉しかったわ」
「ほぅ…それは嬉しい話だな。こいつを褒めるってことはそいつもハチロクに乗ってるのか?」
「ううん。タケル君はスイスポっていって、ハチロクよりも見た目が可愛らしい車に乗ってるみたいなの」
「ちっ、スイスポかよ…。そのタケル君って奴が、あいつみたいにずば抜けた走りをするかは分からねえけど、いつか会っては話をしてみたいことだな」
和美からタケルのことを聞き、タケルがハチロクを褒めていると知っては嬉しそうにする渉。しかし、赤城でスイスポ乗りである玲とバトルしたことがまだ尾を引いていたか、タケルの実力を疑問視するのであった。
「おっ。そろそろガスが切れそうだ。どっかで入れてかなきゃ」
「あ、ねえねえ兄貴…あたし、友達がしてるガソリンスタンド知ってるんだ」
渉がガソリンを入れるのにスタンドを探そうとするのに、イツキが働いているスタンドを勧めてはそこへ向うようお願いする。
ガソリンスタンド
「いらっしゃいませ」
イツキがスタンドに来店したハチロクのレビンが来るのを見ては応対し、中に和美が乗っていると知っては嬉しそうにする。
「ハイオク、20リッターで」
「はい」
渉からハイオクを入れるよう頼まれたイツキは慣れた手付きでハチロクの給油キャップを開け、そのまま黄色いノズルを差し込んではガソリンを入れていくと。渉が車から降りてはイツキに話しかける。
「妹が世話になってるらしいけど、気が強いから可愛くないだろ」
「いや…そんなこと…ないですよ」
「ちょっと兄貴。イツキ君に余計なこと言わないでよね」
和美は顔を赤らめてはイツキに自分のことを話さないよう苦言するも、当のイツキは和美を意識してるからか戸惑いつつも和美のことを褒める。
「まぁ、あれでも根は良い奴だからよろしくな」
「あ、はい…」
渉はレシートを受け取っては車に戻ろうとするが、あることを思いついてはイツキに話す。
「それとは関係ない話だが…。群馬エリアに凄いハチロク乗りがいるって聞いたんだけど…」
「え?」
「下りで負けたことがない車らしいんだ…。群馬エリアって一口でいっても広いけどさ。君だったら噂を聞いてるんじゃないかと思って…」
「勿知ってますよ。俺の友達です!!」
「えっ?マジかよそれ?」
「はい!!」
イツキが群馬エリアで下りでは最速を誇るハチロク乗りの拓海と知り合いだと聞いては本当かと耳を疑うも、イツキが自信ありげな顔で返事をしてきた為その話を信じることに。
「イツキ君だったよな…。初対面でこんなことを頼むのもなんだけど、俺にそのハチロク乗りを引き合わせてくれないか」
「えっ?」
「会って話をしてみたくてさ。どんなチューニングか凄い興味があるんだよ」
「お安い御用ですよ!!ちょっと天然ボケッてるけど良い奴ですよ!!なんなら今日もできますよ」
「本当かァ?」
「全然オッケーですよ!!俺どっちみちバイト終わったら、そいつん家遊びに行くとこだったからー」
「そうか。頼んだぞ」
「……」
渉とイツキがハチロク乗りである拓海を会わせる話に盛り上がる一方で、車内にいた和美は不満気な顔をしては一人だけ蚊帳の外にいるのであった。
古関モータース
「勇さん、スイスポを取りに来ましたよ〜」
「来たか。折角来たのもあれだし、中に入りなよ」
「それじゃ、お邪魔しますね」
預けていたスイスポを取りに古関モータースへ来たタケル、勇に会ってすぐにヴィッツのキーを返却し。ガレージに置かれているスイスポの前に来ては本題に入る。
「それで勇さん。コンプリートエンジンを載せてはスイスポがどう変わったか説明してくれます?」
「いいぜ、耳をかっぽじってはよーく聞けよ」
タケルから質問された勇はスイスポのボンネットを開け、中に搭載されているコンプリートエンジンについて説明を開始する。
「こいつに搭載されているコンプリートエンジンは、ベースとなる1.6LのM16A型を改良しては排気量が1.9LにボアアップしたSC19型エンジンというヤツでな。排気量が上がったことにより、パワーが通常の125馬力から170馬力近くへ上がったんだが。それだけじゃあ、ハイパワー車とやり合うに力不足だから、新たにルーツ式のスーチャーをROTREXの遠点式の奴に付け替えてはパワーを向上させ、結果としてこのスイスポの馬力は230馬力へと上げたってわけだ」
「おおっ!!凄いじゃないですか…。ただでさえFF車はハイパワーを出すのに苦労するのに、そこまで上がれば充分ですよ!!かぁ〜これならハイパワーの車とバトルする時にやっていけそうな気がしますよ…」
「そうか、お前が気に入ったのならそれでいいが、くれぐれもヘマをやらかしてはまたエンジンをダメにすんじゃねえぞ」
「わかってますって。これ程凄いエンジンを載せてくれたからには大切に扱わせていただきますよ」
タケルは勇に感謝の言葉を送った後、スイスポのキーを受け取っては早速パワーアップしたスイスポに乗り込もうとしたその時、
ピリリリリ
「ん?僕の携帯が鳴ってるけど、誰からだろう…」
タケルが勇と話している途中、携帯が鳴り響き。すぐさまタケルは出る。
「もしもし?」
『やぁタケル君、久し振りだね。ついこの間ガソリンスタンドで君と出会った藤咲玲だよ』
「ああ、玲さんか。僕に何の用があって電話したの?」
電話の相手は先週の日曜に結衣の紹介で出会った玲であり、玲は電話越しにタケルにある話を持ちかける。
『実は、君と直接会って話したい事があるんだけど。今からタケル君がいる秋名に行ってもいいかな?』
「え?今から会いに行くって…。う〜ん…どうしようかなぁ…」
タケルは時計の時刻を確認し、時刻は今、夜の6時過ぎとなっては夕方になっており。姉も今日は仕事が休みであるからか、空いてるのを確認しては玲に返す。
「わかった。丁度今、スイスポが仕上がっては乗るところだったし。秋名湖で待ち合わせするってのはどう?」
『いいよ。スイスポが出来上がったというなら是非とも見せてもらいたいよ。じゃあボクは今からそっちに行くから待っててね』
玲はタケルから承諾を得てはすぐに電話を切り。タケルは携帯をポケットに閉まっては勇に礼を言う。
「それじゃあ勇さん、今からこいつを試し乗りしてきますので、また何かあったらよろしくお願いしますね」
「おう、またいつでも来な。次に会った時お前が更に走りが良くなってるのを待っててやるからな」
勇から激励をされてはパワーアップしたスイスポのエンジンを始動し、M16A改めるSC19を回してはマフラーを蒸し。
タケルは新たに生まれ変わったスイスポを発進させては玲との待ち合わせ場所である秋名湖へと車を走らせていくのだった。
秋名湖
スイスポのエンジンを軽快に回しては秋名山の上りを駆け上がり、待ち合わせ場所である秋名湖の畔には玲と愛車のスイスポが駐車場に停まっては待ち構えていた。
「おまたせ、玲さん」
「やあタケル君。それが君が乗ってるスイスポなんだね」
「まあね。さっき、知り合いの整備工場から取ってきてすぐにここに来たんだ」
「そうだったね。それで、君のスイスポがどう変わったかボクに聞かせてくれるよね」
「いいけど、その前に何の用があってここに呼びつけたか聞かせてくれる?」
「おっとそうだった…。じゃあ改めてタケル君に言っておきたい事があるから言わせてもらうね…」
玲はタケルと視線を合わせ、そこからゆっくりと腕を伸ばし、タケルに指を突き差しては断言する。
「タケル君、ボクと同じスイスポ乗りである君に挑戦を挑ませてもらうよ。群馬エリア最速を誇る君がどれほどのものかじっくりと見させてもらうからね」
「え?」
なんと玲は同じスイスポに乗るタケルにバトルを挑みたいと言っては宣戦布告し。挑戦状を叩きつけられたタケルは突如言われたことに戸惑うのだった。
今回登場したスイスポは新たにモンスタースポーツのコンプリートエンジンを載せてはROTREXの遠点式スーチャーを取り付けた最強マシンであります。
タケルのスイスポをパワーアップさせるチューニングについて調べた時、ベストカーの取材でモンスタースポーツが開発した最強スイスポの情報が載っていたのを誠に勝手ながら使わせてもらいましたが、それに見合った活躍をさせていきますのでどうぞよろしくお願いします。
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