ここの所雪の影響で中々外に遊びに行けず、やる気が祖切れていましたが。続きを書くことができましたので、是非ご覧ください。
「僕とバトルがしたいって…。それ、本当に言ってるの?」
「勿論。君が群馬じゃ秋名のハチロクに次いでは最速の走り屋であることは結衣さんから聞いていてね。その実力が本物なのかこの目で確かめてみたいんだ。どうだい、タケル君。ボクの挑戦を引き受けてくれる?」
玲からバトルの挑戦を挑まれてはその場で押し黙るタケルだが、考える間もなく結論を言う。
「…いいよ。相手が誰だろうとバトルを挑まれたからには全力を尽くすよ。勿論手加減は一切しないからね」
「そう言ってくれるとはありがたいよ。ボクとしても同じ車に乗る走り屋として負けないから」
タケルが挑戦を受けると聞いた玲は満面の笑みを浮かべ、二人の対決が決まっては話を進めていく。
「それじゃあバトルをするのは決まったとして、日にちに関してだけど。来週の土曜日にするってのはどうかな。場所は…」
「いい加減にしなさい渉!!拓海君が困ってることがどうしてわからないのよ!!」
「「!?」」
バトルについて二人が話し合っていると、どこからか怒鳴り声が聞こえてきたので、声のした方向に目を傾けると。そこにはタケルと同じ秋名の走り屋である拓海とイツキの他に、少し年上の青年と若い女性と和美がいては口論していた。
「なんか、向こうで拓海達が揉めてるみたいだけど何があったんだ…」
「それは向こうにいる人達に直接聞かないと何とも言えないけど。緊迫した状況になってるのは確かだね。何なら向こうに行ってみる?」
「…そうだね。ひとまず、行っては聞いてくるか」
タケルは玲と共に拓海達の元に向かっていき。そこでは何が起きていたのか確かめに行くのだった。
話は数分前に遡り、タケルが玲と秋名湖の駐車場で話をしていた同時刻、秋山渉はある人物と再会しては会話をしていた。
「松橋…。呼んだ覚えだはずのないお前が、何故ここにいるか聞かせてもらうぞ…」
「何故って、私は和美ちゃんに呼ばれては来ただけよ。あなたと同じ秋名のハチロクこと藤原拓海君に会う為にね」
秋名湖の駐車場付近ではイツキのハチゴーと和美を乗せては一緒に来た渉のハチロクのレビンが車を駐車し。側には渉と同じハチロクのレビンに乗る走り屋の松橋七菜がおり。渉が何故来たのか理由を聞くと、七菜は和美に呼ばれてきたと返す。
「ちっ、そういうことかよ。余計な奴を呼びやがって…」
「いいじゃない。七菜さんもイツキ君の友達が乗ってる車に興味を持ってるって言ってるんだし、それくらいいいでしょ…」
「和美ちゃんの言う通りよ。聞いた話じゃ、拓海君のハチロクは新たにエンジンを載せ替えたって話みたいだし。それがどんなエンジンか。同じハチロク乗りとしては一目見ておきたいしね」
七菜が渉に対し、同じ車種に乗る走り屋として気にならないわけにはいかないと説き伏せると。下の方から豪快なエンジン音を響かせては白黒のパンダトレノがこっちに向かってくるのだった。
「あら、噂をすれば来たみたいよ」
「あれが群馬エリア最速のハチロクか、どんな奴が乗ってるかワクワクするよ」
拓海が到着したのを待ちわびたか、七菜と渉は拓海を出迎え、早速話を聞こうと開始するのだった。
拓海と初対面を果たした渉は、ハチロク乗りとして名高い拓海が想像以上に若い奴であったことに内心驚くが。七菜は拓海の前に近づいては話を振る。
「久しぶりね拓海君。私のこと覚えてるかしら?」
「はい…。松橋さん、でしたっけ…。秋名で俺のハチロクがもう寿命が近づいてると言ってくれた人でしたよね…」
「ええ、そうよ。覚え方には文句を付けたいところだけど概ね合っているわ。それで早速来て申し訳ないんだけど、拓海君…。あなたの車に載せているエンジンについて、話を聞かせてくれる?」
「エンジンですか…。う~ん…何て言ったらいいかその…。前に乗ってたヤツと比べても扱い憎くて、スピードも出しにくく、スピードが落ちては走り辛いんですよ…」
「そう…。それなら、新しく載せ替えたっていうエンジンを私に見せてくれる?」
「いいですよ。俺、メカに関しては全くですので、松橋さんに見ていただけるのなら、尚更ありがたいですから」
「じゃあお言葉に甘えて見させて貰うわね。渉、あなたも気になるというなら。一緒に見たらどう?」
「いいぜ。このハチロクに載ってるヤツがどんなものかじっくりと見させてもらうぜ」
七菜は拓海から承諾を得るや、拓海のトレノのボンネットを開け。渉と一緒にその中身を確認していき。
トレノのエンジンルームを見た二人はエンジンの正体がわかったか、ボンネットを閉めては拓海を見つめ、深刻な顔をしては聞く。
「拓海君…。あなた…自分の車に載っているこれがどれ程の価値があるのか、本当に分かっていないというの…」
「え?」
「松橋の言う通りだ。こいつを載せておきながら遅いなんて話、俺達をからかってるとしか考えられねえからな…」
「な、何なんですか一体…?俺が噓を付いてるって話、俺にはさっぱり…」
「惚けんなよ…。ストリートのチューニングでここまでやるなんて見たことも聞いたこともない。このエンジンは本格的なレース用のエンジンなんだ!!」
「え…?」
渉の口から、拓海のハチロクに載せているエンジンはレース用に使われるヤツだと知り。拓海とイツキは押し黙ってしまうも、渉は勝手に話を続ける。
「どんなに望んでも、俺なんかには手の届かない高嶺の花って奴だ。こんなエンジン、ハチロクの心臓部にぶつけて走るなんてよだれが出そうだぜ」
「……」
「だからって別に…」
「どんなエンジンを載せようとそれはそれでいいが。だけど、噓をつくことはない。速いなら速いと素直に言えばいいじゃないか。二人して口裏を合わせるのが、人をバカにしてるぜ」
「そんな…俺達は別に…」
「ふざけんなよあんた…。俺は噓なんかついてねえよ…!!噓ついたって俺に何の得があるって言うんだよ。こっちが説明してもらいたいくらいだぜ!!」
渉が人をバカにするのも程々にしろとでも言うような態度で、拓海を問い詰めていくも。拓海でさえ渉の口からエンジンの詳細について聞かされては知ったばかりである為、答えようがなく押し黙るしかなかったが。渉の態度に腹が据え兼ねたか、拓海は渉に面と向かっては反論する。
「帰ろうぜイツキ。こんな奴と話すことなんかねえよ」
「お、おい拓海…」
「逃げるのか。こっちの話はまだ終わってない」
「……」
「(まずいよ拓海が切れる…。最悪の展開だ)」
ドアノブに手をかけては車に乗り込もうとする拓海を、まるで逃さないように言っては話を聞こうとする渉だが。拓海は手をぷるぷると震わせ。イツキは拓海がキレてしまうのでは心配したその時、
「いい加減にしなさい渉!!拓海君が困ってることがどうしてわからないのよ!!」
「な…!?」
「拓海君が本当に知らないと言ってるのに問い詰めようとするなんて、いくら渉といえどその態度はいただけないわ」
拓海達の傍にいた七菜が渉の態度に限界が来たか、怒鳴り声を出しては渉を一喝し。それを聞いた渉は七菜の圧に押されてはようやく鎮まる。
「ちっ、そうはいうけどな松橋。こいつの言う事が俺には信じられないんだ…。こいつ程若い奴がこの車に凄いエンジンを載せてるなんて話、お前は信用できるのか?」
「それに関しては私もにわかに信じ難いけど…。彼の顔を見るからに噓をついてるようには見えないわ。そもそもこの車は、拓海君の車じゃないから。載せたのはおそらく、拓海君のお父さんに違いないわよ。そうよね、拓海君?」
「は、はい…親父がどっかから引っ張ってきたヤツみたいですけど、どこから入手しては載せ替えたか俺にはさっぱり…」
「一応聞いておくけど、拓海君のお父さんは昔プロの世界にいたの?例えば元レーシングドライバーだったとか」
「いえ…うちの親父はただの豆腐屋の親父ですけど…」
「あれ?」
七菜は拓海から文太が豆腐屋だと聞いてはズッコケるが、コホンと息遣いをしては改めて質問する。
「話を変えるけどね拓海君、エンジンを載せ替えたというのなら、内装もどう変わったか教えてくれる。例えばステアリングが重くなったとか…」
「どうって…シートもガッチリ身体が収まるヤツに変わってますし、ハンドルやクラッチも前よりかは固くなっては扱い難いのもそうですけど。なんていうかこう…回しても全然パワーが出ないんすよ」
「回してもパワーが出ない?…はっ!?」
拓海からパワーが出ないと聞いた七菜はもしかしたらと、拓海のハチロクのドライブシートに近づいては中を見ていくと、ある場所に注目しては拓海の言ってることに理解する。
「そういうことだったのね。通りで拓海君が言ってることも頷けるわけだわ…」
「え…?」
「おい松橋。一体どういうことか俺にわかりやすく説明しろよ。俺にはさっぱり…」
七菜は拓海のドライブシートを見てはようやく気付いたか、拓海が言っていることが事実だと判明するが。渉に至っては未だに分かっていなかったか七菜に聞くと、七菜は渉に向かっては話す。
「渉…。試しにあなたが拓海君のハチロクに相乗りしてみて。そうすればきっと理解できる筈よ…」
「は?お前、一体何を…」
「いいから。私の考えが当たってるとしたら、おそらく拓海君のハチロクが本当の性能を発揮しない理由が判明するに違いないの。だからお願い、私の言うことを信じて」
「はぁ…わかったよ。俺がこいつのハチロクに乗って軽く走らせるとこを見てくればいいんだろ。いいぜ、それくらい乗ってやるよ」
「兄貴…」
七菜からの頼みとはいえ、渉は拓海のハチロクに相乗りすることになり。
渋々拓海のハチロクに乗り込むや、ナビシートに座ってはシートベルトを装着し。拓海もまた、ドライブシートにあるバケットシートに身体をホールドしては運転を開始する。
ブォォォン
二人が乗ったハチロクはその場から走り出し。秋名の下りを攻め始めては全開で突っ走っては秋名を攻めていくのだった。
「イツキ。和美ちゃんと一緒に何してるんだ?」
七菜が拓海のハチロクに載せているエンジンについて二人に話してる中、タケルが割って入ってきてはイツキに声をかける。
「タケル君…」
「タケル。お前もここに来てたのか?」
「まあね。丁度勇さんとこで仕上がったスイスポの試し乗りもあるけど、玲さんに呼ばれてはこっちに来てたんだ」
タケルが秋名湖に来た理由をイツキと和美に話していき、そこに七菜が加わってはタケルに話を振る。
「あなた…群馬エリアではスイスポ乗りで有名な斎藤丈瑠君ね。あなたに敢えて光栄よ」
「へへっ、そう言われるとなんか照れくさいなぁ…。ところで、あなたは?」
「私は松橋七菜って言って、あなたのスイスポのメカニックをしてる政志さんと同じ整備士をしていてね。今では拓海君と同じハチロクに乗ってるの」
七菜はタケルの恩人である政志と同じ整備士でハチロク乗りの走り屋だと軽く自己紹介をし。それを聞いたタケルは納得するのである。
「そうですか。ところで、拓海のハチロクがさっき走っていきましたけど、どうしてだか分かります?」
「簡単よ。拓海君のエンジンに載っているあのエンジンを最大限に引き出すのに必要なことは何なのか、それを彼に気づかせるのに和美ちゃんの兄である渉を乗せては走らせたってわけ。渉なら拓海君よりもハチロクに詳しいからきっと気付くかもしれないと思ってね」
「そうでしたか…。僕がおじさんから聞いた話だと、ハチロクにはあるものを取り付けていないから本領を発揮しないと言ってましたけどね」
「へ?あるものって…」
「やっぱり…。通りで拓海君があれだけ走らせてもパワーが出ないわけだわ。まあその答えがわかるのに時間は掛からないと思うけど…」
タケルから話を聞いた七菜がは納得したか、拓海のハチロクがレース用のエンジンを載せていながら速く走れないかを把握するのだった。
タケル達が秋名湖で待っていたその頃、渉をナビシートに乗せた拓海はハチロクを全開で走らせては秋名の下りを駆けていき。拓海のドライブテクニックをナビシートに座っている渉が、見ていく。
「(妙なフィーリングだ…。シフトすると加速がもたつく…。レブリミット付近ではかなりパワーが出てるのに…。シフトアップの直前でパワーバンドを外すのか…!?これじゃ欠陥エンジンだぜ。ドカンとくるターボのフィーリングに比べるまでもなく…。
渉が拓海のハチロクに搭載されるエンジンが欠陥品ではないかと疑っていくと、ハチロクは秋名の第一コーナーに突入し、拓海は慣れた手さばきでフルブレーキングからのステアリング操作でリアを滑らせてはドリフトで通り抜け。コーナーを抜けてはシフトを2速から3速に上げては次の加速に移る。
「(まただ…。何故…?)」
何故ハチロクがパワーを出せないのか、渉が拓海のシフト操作やメーターを見ていき。加速してレブリミット寸前で拓海がシフト操作してはギアを上げていくのを見続けていく。
「(そうか…!!わかった…!!そういうことだったのか…!!)」
この時、渉は拓海のハチロクがパワーを発揮しない理由を確信し。七菜が何故自分をナビシートに乗せたことに気付くのだった。
秋名湖
「タケル君、そっちは話が終わったのかい?」
タケル達が拓海の帰りを待っていると、後からやってきた玲がタケルに話しかけては方が着いたか聞く。
「勿論終わったよ。どうやら拓海のハチロクに載せているエンジンが何なのか、それについて揉めてたみたいなんだ。まあ、あれだけ凄いヤツを載せてたとなれば皆が驚くのも無理はないしね」
「へぇー。まさかハチロクにそんなヤツを載せていたとはね…。君の友達も結構やるじゃないか」
「ははっ、エンジンを載せたのは拓海じゃなくて、親父さんとおじさんなんだけどね…」
「あなた…確か、藤咲玲ちゃんよね…」
「そうですよ。ボクのことをご存知で?」
「ええ、知ってるわよ。何てったって、あなたの父親は『R・Tカタギリ』の監督で、その人から直々に教えを受けてはかなり結果を残しているもの、サーキットで走る人達の間では知らない人がいないくらいよ…」
「へへっ、そうかなぁ…。そう言われると何だか照れるなァ…」
先ほどのタケルと同じように、玲は顔を赤らめては満更でもなさそうにしていると。下の方から拓海のハチロクがこっちに戻ってきては渉のハチロクの横に車を停める。
「あ、拓海達が戻って来ましたよ…」
「思ってた以上に速く帰ってきたわね。まあ大体理由はハッキリとしてるけど…」
秋名湖で待機してたタケル達の元に戻ってくるや、渉は車から降り。七菜に近づいては言う。
「わかったぞ松橋。お前が何故俺をこいつの横に乗せたのかをな…」
「その様子だと、もう答えには気付いたみたいね…」
そう二人が話していく側で、拓海がハチロクから降りては、七菜と渉に質問をする。
「あの…試しに走らせては来たんですけど…。どういうことなのか、教えてくれます?」
「そうだったわね。じゃあ渉、あなたの口から話してあげなさい」
「わかった…。教えてやるよ、お前のハチロクがパワーが出ない理由をな…」
渉は拓海がいるドライブシートに近づき。ある一定の箇所を指差しては語る。
「お前のハチロクがパワーを発揮しない理由はこれだ。この
「
「その
渉がハチロクのエンジンが真価を発揮しないのは
「このエンジンは回転数を上げてパワーを絞り出す高回転型のエンジンで。自然吸気のレース用エンジンってのはそういうものなの。その証拠に引っ張って行くとシフト操作して上げていく時にパワーは出なかった?」
「え、ええ…まあ…」
「でも、このエンジンが本当の性能を発揮するにはもっと回していかないといけなくてね。一番いいところが使えないでいるのよ…」
「大方松橋の言う通りだ。俺の見込み違いでなければこのエンジンは一万回転はブン回るはずだ!!」
「……!!」
「七千回転ちょっとのスケールしかないノーマルメーターじゃ話にならない…。それこそ宝の持ち腐れだ!!」
二人の口から自分のハチロクに載せてるエンジンがどれ程の物なのか、拓海は気付くも。二人はそのままハチロクのボンネットを開けてはエンジンについて語りだしていく。
「いい拓海君。このエンジンは元々ハチロクに載せているものじゃないの…。呼び名はハチロクと同じ4A-Gなんだけど、ベースとなっているのは2世代後の101から採用されている5バルブヘッドの新型で。通常ならVVTという低回転と高回転のバルブタイミングを切り替える装置が付いてる筈なんだけど…。綺麗に取り払ってるところからして、このエンジンは超高回転型ユニットに切り替えているのよ」
「さっき助手席に乗ってみて不思議に思ったことがあった…。レース用エンジンを載せてる割にはインパネの周りが如何にも寂しすぎる。最低でも水温計と油圧計の追加は必要だ。おそらくこの車を仕上げた人間はよぉく車を熟知した人間だろう。足回りもブレーキもバランスよく強化され、ボディもしっかりしている。なのに何故、メーター類だけ取り付けてられないのか…。考えられる理由は一つだ!!」
「おそらくあなたの父親は、ハチロクについてより深く知ってもらおうと敢えて取り付けなかったに違いないわ。そうでなきゃ、意図的にパワーを封印するなんて真似はしないよ」
「パワーを…封印…?」
「見事に単純で確実な方法だ。上手い走り屋ほどオーバーレブしないからな。
拓海がかなりの腕を持ってると確信した渉は、後ろを振り向いては拓海に語る。
「今まで俺は松橋みたいなハチロク乗りに仲間意識を持つことはあっても敵意を持ったことはなかった…。こんなことは初めてのことだ…。俺は今、絶対に負けたくないと思っている!!」
「(あ、これはもしかしかすると…)」
「あ、兄貴…。まさか…イツキ君の友達に…」
「ああ、そうだ。いくら車を運転する技術は凄くても、こいつは走り屋にとって大事なものがぽっかりと欠けている!!こいつだけには絶対に負けられない!!近いうちに必ず決着を付ける!!」
「大事なものが…ぽっかりと…欠けている…」
渉は拓海にいつかバトルを仕掛けに来ると宣戦布告し、拓海は渉の言う走り屋にとって大事なものが欠けているという言葉を重く受け止めていたのだった。
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