「うわちゃあ〜…同じハチロクに乗る渉さんに因縁つけられるとは…。拓海も厄介な人を敵に回してしまったなぁ…」
「でも、これはこれで面白くなってきたんじゃないかな。ハチロク同士のバトルでどんな走りをするのかボクとしては楽しみだしね」
「そうね。私も同じハチロク乗りとして渉の言うことがわかる気がするし、今の拓海君にはいい相手になるかもしれないと思うわ」
渉に因縁をつけられた拓海がどうなっていくか心配する中、タケルと玲と七菜は拓海と渉のハチロクによるバトルがどうなるのか楽しみにするが、渉はイツキと和美の近くにいたタケルを見つけては聞く。
「お前か…和美が言っていたスイスポ乗りの走り屋というのは…」
「そうですよ。僕は斎藤丈瑠といいまして、和美さんと同じ旅館で働いてる仲なんです」
「そうか…。イツキ君と同じように妹が世話になってるみたいだが、お前ともいずれバトルする日が来るに違いないから、それだけは覚えておくことだな」
「ちょっと兄貴!!まさかタケル君にもバトルを挑もうって言うの!?もう…どうして走り屋同士仲良くできないのよ!!」
「和美ちゃん、落ち着いて…。渉は別にタケル君を敵視してるわけじゃないのよ。ただ…目の前に自分が越えないといけない人が現れては興奮してるだけだから」
七菜が和美を宥めては落ち着かせ、渉に目線を送るや。渉は頭を掻いては言う。
「バトルについてはまた後日、話してやるよ。和美、俺はこのまま埼玉に帰らせてもらうから、帰りはイツキ君の車に乗せてもらっては旅館まで送ってもらうことだな」
渉は後のことをイツキに任せるように言うと、自分のハチロクに乗り。ターボ音を響かせては走り去っていき。
この場に残っていた玲も、タケルに向かっては言う。
「じゃあタケル君、ボクもバトルについて決まったら後日、連絡するよ。それまでの間、今乗ってるスイスポをバトル当日まで乗りこなしておいてよね」
「言われなくてそのつもりだよ。君とのバトル、楽しみにしておくから」
「そう。それじゃあまた…どこかで会おうか、じゃあね…タケル君♪」
玲もまた、タケルとのバトルを期待するように言うとその場を後にし。乗ってきたスイスポがある駐車場に向かっては歩き出すのだった。
「ふふっ。いいわね…若いのって。こんなにも期待できる逸材が揃ってるなんて…。群馬も捨てたもんじゃないわ…」
拓海が渉とバトルする気配を見せつけ、タケルもまた、玲とのバトルに白熱を見せていく様に、七菜はタケル達の今後を期待するのだった。
翌日
タケルが玲からバトルの挑戦を受けた翌日。
この日もバイトに来ていたタケルは宿泊しているお客様用の食事を運んだり、チェックアウトした人が泊まっていた部屋の掃除をするなど、激務に負わされては苦労するのだった。
「ふぁ〜。あんな事があったばかりだというのに、この日もお客さんがたくさん来ては慌ただしいったらありゃしないよ…。ま、その分バイト代は弾んでくれるって女将さんが言ってくれてたんだし。今日も一日、頑張るとしますか…」
昨日の疲れが残ってるのかタケルは大きな欠伸をしていながらも、バイト代が掛かってるからには頑張らないといけないと自分を活気付け、バイトに励もうと、手早く部屋の掃除を済ませては次の仕事に移ろうとしたその時、
「ちょっと何なのよこれは!!味付けがなってないじゃないのよ!!」
「な、なんだ…!?向こうが騒がしいみたいだけど、何かあったのか…」
掃除を済ましては次の作業に入ろうとした矢先に、怒鳴り声が響いたので声のした方向に向かうと、そこでは和美が中年の女性客に詰め寄られては困り果てていたのだった。
「す、すみません…あたしにもどうしたらいいかわからなくて…」
「だったら他の人を呼びなさいよ!!なんであんたみたいな人が相手をしてるわけなの!!」
タケルが目にしたのは和美にクレームをつけては文句を言い放つ客で。和美がどう返したらいいか戸惑っていたのを見たタケルは、すぐに和美の前に来てはクレームをつけてきた客に向かっては頭を下げる。
「申し訳ありませんでした。当旅館の不手際でこのような事態になってしまい。何と申し上げたらよいか分かりませぬが、この度は本当にすみませんでした」
「何なのよあなた!!一体どう責任を取ってくれると言うのよ!!」
「いえ、私共と致しましては、何がお気に召さなかったか。理由を教えいただければすぐに対処致しますので、どうかご機嫌を直されてはいかがでしょうか…」
タケルはすぐに頭を下げてはクレームをつけてきた客に詫びを入れる。ここで下手に問題を起こせば、旅館の名に傷がついては女将さんに迷惑が掛かるのを知っていたタケルは、ことを穏便に済ませようとただひたすらに謝っては許してもらおうとする。
「はぁっ!?あんた何様のつもりなの、こっちは不味い飯を出されては文句を言い付けに来たのよ!!あんたが一体どう責任取るって言うわけ!?」
「そ、そう言われまして私と致しましては…(うわぁ…出した食事が美味しくなかったから、クレームをつけるって…めちゃくちゃだな…)」
タケルが平謝りする一方で。クレームをつけてきた客は一向に怒りが収まらず。タケルはこの場面をどう対処すればいいか考えるしかなかったが。
クレーマーがタケルと和美に喚いている場面を目撃したある人物がムスッとした顔をしてはタケル達に近づく。
「ちょっと〜。何なのよこの騒ぎは…。折角の食事が台無しになるじゃないのよ…」
どこからか現れたらその男?は、妖艶な雰囲気を晒しながらもタケル達を見ていっては文句を言い付けるも。贔屓にわめいては騒ぎ立てるクレーム客に向かい、落ち着いた様子で話しかける。
「何なのよあなたは!?こっちは出されたものがマズかったから文句を言ってるとこなのよ!!引っ込んでなさい!!」
「あら、アタシも同じ物を食べたけど。そこまで喚くほどじゃなかったわ。ご飯もちゃんと炊けていてはお米の味が引き立っているし、お汁物も出汁がしっかりしては程よい塩味が効いては素材の味が損なわずにしてあるから文句の付け所なんて微塵もないじゃないのよ」
「だ、だからなんだと言うの!?あんたには関係ないでしょ!!引っ込んでなさいよ!!」
「あらあら、あなた…言い返せないからといってそう喚くようじゃ味覚だけじゃなく、頭も衰えてるんじゃないのかしら?」
「な、なんですって…!!」
「だってそうでしょう…。こんなにも美味しい物を頂いておきながら、文句を付けるなんて普通に考えられないし、いくらお客様とはいえ、その厚かまし過ぎる態度は人としていただけないわよ…」
「く…!!」
「(す、すげぇ…。あんなにも喚いていたクレーマーに一歩も引かずに、あそこまでズバズバと言うなんて…。この人、只者じゃない…)」
タケルは自分達の間に入ってきた人がクレーマーとやり合っては逆に圧倒していく様に注視していくしかなく。
クレーマーはその男?から痛いところを突かれては言い返せなくなったか、押し黙る。
「ま、これでも気が済まないというのなら。そこにいる仲居さんじゃなく。食事を作った人達に文句を言うことよ。彼らは厨房の人達が作った料理をここに運んてきただけだから、あなたから言われる筋合いは微塵もないしね」
「く…!!わかったわよ…!!他の人に文句を言えばいいんでしょう!!ああ、もう…ここに来てはこんな気分になるなんて最悪よ!!」
「あ、お客様…。一体どちらへ…」
「帰るのよ!!もうこんな旅館、二度と来てやらないからね!!」
クレーマーはまた贔屓に喚いてはタケル達の元を離れていき。タケルと和美はその場にいたクレーマーをやっつけてくれた男?に頭を下げては礼を言う。
「あ、ありがとうございました!!このご恩は一生忘れません」
「本当にすみませんでした。このお礼は何と申し上げたらよいか…」
「いいわよ別に。アタシはただ…困り果てていたあなた達を見過ごすことができなくて、つい口を挟んでしまっただけだから気にしなくていいわよ」
タケル達がひたすらに謝るのを見たその人物はタケル達に頭を上げるよう優しく言い。タケル達が顔を向いたその後、こう語る。
「それにしてもあなた達、苦労してるわね。日頃からああ言った客を相手に商売してるんだもの。こんなこと…陸ちゃんなら事態をややこしくてするだけだっていうのにね…」
「いえ、私達はもう慣れてますから大丈夫ですけど、今回につきましては相手がなかなか引いてくれませんでしたから、どうしようかと思っていたところでしたので」
「そう…あなた達が気にしてないのなら別にいいけど、次からはどんな相手だろうと立ちすくみをせずに、しっかりとするのをおすすめするわ…。あなた、お名前は?」
「私ですか、私は斎藤丈瑠と申しまして、当旅館ではアルバイトで働いてるものです。こちらは秋山和美といいまして、まだ半人前ではありますが、何卒頑張っていますので。また来られる機会がありましたら、是非ご利用ください」
「そう…。今日に限っては折角のいい気分が台無しになったけど、次来る時があればお邪魔させてもらうわ。またねタケル君、今度あった時はよろしくね。あ、そうそう。アタシは来栖真琴っていうんだけど、次会ったらクリスって呼んでね♪」
タケル達を助けた人物はタケル達に手を振っては店の向こうへと行き。誰もいなくなったのを確認した後、デカいため息をついては姿勢を崩す。
「はぁ〜助かったぁ…。よりによってあんなクレームがくるなんて予想打にしてなかったよ…。和美さん、大丈夫?」
「え、ええ…あたし、タケル君だけじゃなく、他のお客様にも迷惑掛けてしまったなんて、叔母さんにはなんて伝えたら…」
「泣かないで和美さん。今回ばっかしはあの人に助けられたから良かったけど、次から頑張ればいいんだしさ」
「うん…。ありがとね…タケル君」
「それよりもさっきのクリスさんは一体何者だったんだろう…。あれほど喚いていたクレームを物ともせずにああやって立ち向かうなんて…。陸って言ってたのも引っ掛るけど、もしかして…あいつのことを言ってるのかな…」
涙目になっている和美を宥めては落ち着かせるタケルは自分達を助けてくれたクリスについて考えるも。まだ仕事が残っていた為、二人は再び仕事を始めては激務に負わされるのである。
旅館 駐車場
「さてと、ランチも済ませたことだし、折角来た群馬を思いっきり観光するとしましょうかね…」
タケル達が仕事を再会した後、クレーマーをやっつけたクリスは、昼食の会計を済ましては駐車場に行き。愛車であるS2000に乗り込むや颯爽とセルを回し。F20Cエンジンを蒸してVTECサウンドを響かせ、旅館を後にするのだった。
ガソリンスタンド
「ありがとうございました!!」
「……」
その日の昼、スタンドではイツキがバイトしている最中で。
池谷が来店した車に礼を言っては頭を下げるのに対し、イツキはボーッと突っ立っていた。
「おい、イツキ。イツキってば…!!」
「え!?あ、健二先輩!?」
スタンドに来てはブザーで呼びかけてきた健二の声に気づいたイツキはようやく意識を戻していくが。健二は不機嫌な顔をしていてはイツキに注意する。
「イツキ…何ボケっとしてんだ」
「は、はぁ…」
「さっきからずっとそうなんだよ…。なんだか、拓海のボケが移っちまったみたいだぜ」
「い、いや…その…うぉっ!?」
イツキが健二と池谷から様子がおかしいのを指摘されてはモジモジしていると、スタンドの端には私服を着た和美がソワソワしながら歩いてるのを見たイツキは和美の元に駆け寄る。
「和美ちゃん、どうしたの?バイトは休み?」
「……」
「和美ちゃん?」
「ごめんね。仕事中なのに…」
「え?いや…」
和美は俯いていた顔を上げ、イツキが仕事の真っ最中であるにも関わらず来てしまったことを謝ると、イツキは気にしないよう優しく言う。
「今日、バイト何時に終わるの…?」
「え?」
「あたし、今日はもう暇だからイツキ君のバイト終わったら、会いたいなって思って…。それまでどこかで時間潰して待ってるから…」
「……」
和美が頬を赤らめてはイツキのバイトが終わるのを待つというや、イツキはある決意をしては和美に言う。
「ちょっ、ちょっと待ってて…2分。いや1分でいいからそこにいてよ!!」
イツキは和美に待つよう強く言っては駆け足してスタンドの中に入るや。事務所で会計をしている祐一に通言う。
「店長!!一身上の都合により早退します!!」
「な、なんだーあ!?」
祐一は突如イツキが早退するということに困惑するも、イツキは更衣室に入り、手早くスタンドの制服から学生服に着替えては、自分の車へと駆け出しては拓海の横を通りすぎる。
「どこ行くんだよーイツキ!?」
「悪いな拓海、後頼むー!!」
拓海に残った仕事を押し付けるように言ってはハチゴーに乗り込み。すぐに和美の元に車を近づける。
「乗りなよ和美ちゃん!!」
「え、でも…いいの?」
「いいから早く」
「……」
和美はイツキの言うことに従っては車の助手席に乗り。イツキはハチゴーを飛ばしてはスタンドを走り去っていくのだった。
「しょうがねーな。ま、大目に見てやるか」
「誰だよ今の子…イツキの新しい彼女か?」
「ま、そういうことになるかな」
「そんな…。あいつ、この間振られたばっかりじゃねえか…。もう新しい女の子かよ…。ロンリードライバーはどうしたんだよ?」
祐一が大目にみてやると言った側で、健二はイツキに新しい彼女ができたことに不満げな顔をし。池谷は先輩としてイツキと和美が走り去っていくのを温かく見守っていくのだった。
「和美さんが旅館からいなくなったですって…!?」
「そうなのよ…。部屋を探してもおらなくて、あの子、一体どこへ行ったというのかしら…」
「和美さん、昼間クレーマーに詰め寄られたことをかなり気にしてましたし…。ショックを受けてはどっかへ飛び出してしまったのではないですかね」
イツキが和美と二人でスタンドを後にしたその頃、旅館では和美が急にいなくなったことに戸惑いを見せるタケルは女将さんと共に和美を探していくも。
和美は旅館を出ていってはイツキの元に向かっていた為、徒労に終わる。
「とりあえず…和美さんに任されていた仕事は僕がやっておきますのでご安心を。もし和美さんが戻ってきたのでしたら、あまり責めないでくれますか。今回ばっかしは彼女一人だけの責任ではありませんので」
「わかったわ。タケル君がそういうならそうしてあげるけど、本当に大丈夫なの?」
「平気ですよ。こう見えても僕は体力には自信がありますから、これくらいどうってことはありません」
「そう、そう心強いことを言うなんて頼りになるわ。それじゃあ私は和美を探してくるから後は任せたわよ」
「はい!!おまかせください!!」
女将が和美に変わっては仕事を任せるように言っては部屋を後にし。タケルは女将が出ていってすぐにはぁ〜と深いため息をつく。
「それにしても、和美さん…どこに行ったんだろうか…。彼女のことだから多分大丈夫だと思うけど、戻ってきたら、ちゃんと言ってやらないとね」
和美のことを心配しながらも、タケルは残された仕事に取り掛かるのだった。
秋名湖
タケルが心配しているのを他所に、和美はイツキと二人で秋名湖に来ては近くの店で焼きトウモロコシを買ってはそれを頬張り。
畔の近くにあるベンチに二人仲良く座っては湖を眺める。
「あたしね…。小さい頃から兄貴にベッタリだったんだ…」
「へぇ~今でも仲良さそうだよ…」
「兄貴が車に凝りだしてからも、走りに行く時はいつもついていたし。働いて稼いだお金を殆ど兄貴の車につぎ込んだこともあったのよ」
「へぇ~」
「自分でやりたいことはなにもなかったし。車に夢中な兄貴のテンションに乗っかってれば楽だったから…。でもそれなんじゃダメなんだよね。兄貴は兄貴、あたしはあたし。やっぱり自分のやりたいことを見つけなきゃ…」
和美は今のままの自分では良くないと言い聞かせ、イツキは和美の言うことに頷くと。和美はベンチから立ち上がるや湖の手前に出る。
「悔しいけど、今のあたし…やりたいことがない。でも、タケル君みたいに自分の夢を探さなきゃ…」
「タケルの夢?」
「タケル君がね、あたしに言ってたんだ。今はまだ、一介の走り屋にしか過ぎないけど。いつかはプロの世界に挑戦して行きたいって…」
「へぇ~見かけによらず大層なことを言ってたんだなタケルは…。まあ、タケルなら本当にプロのドライバーになってもおかしくないしな」
「そうだね。だから…イツキ君やタケル君に会えて良かったと思ってるよ」
「!!…俺もだよ。俺も和美ちゃんに会えて良かったと思ってるよ…」
和美が夕焼けを背景にイツキやタケルと会えたことを感謝すると、イツキも和美と会うことができては良かったと返していくのだった。
「はぁ…やっと終わった…。もう時間帯も遅いし、早く帰って寝ようっと…ん?」
和美が抜けた穴を埋めるのに、必死に働いたタケルは肩を回しては旅館を後にしては駐車場に向かうと。駐車場にはハチロクのレビンが止まってはある人物が傍に立っていたのだった。
「よぉ…また会ったな」
「渉さん。どうしてここに?」
タケルの目の前にいたのは和美の兄である渉で。渉は昨日と同じ真剣な表情でタケルを見てはここに来た理由を言う。
「何っ、ちょっとこっちに用があってな。和美が仕事場を抜け出したと聞いては埼玉に連れて帰ろうとしたんだが、まだ旅館には戻ってきていないと叔母さんから聞いてな。全く何やってんだか…。そんないい加減な態度で仕事する奴は妹でも腹が立つんだ」
「あの…渉さん。確かに和美さんは仕事を放っては抜け出してしまいましたけど、和美さんだって悪質なクレーマーにやられては心を痛めた末に起こしてしまいましたから、あまり責めないでやってください」
「ああ、それについても聞いてるよ。でもな、少し言われたくらいですぐに辞めてしまうようではあいつの為にもならないし、他の奴にとっても迷惑にしかならないからな。だからこそ、連れて帰らないといけないんだ」
「…そうですか」
タケルは自分なりに和美をかばっては渉に許しを請うが。理由はどうであれ、渉は仕事を放棄した和美を許さないでいたのである。
「ま、和美に関しては置いておくとして、こっちに来た理由は他にもある。和美の先輩にあたるお前を通してはハチロク乗りであるあいつに伝言を頼もうと思ってはここに来たんだ」
「あいつ…?ひょっとして、僕の方から拓海に伝えるよう頼みに来たということですね…」
渉がタケルを通じては拓海に伝言を伝えるようお願いしに来たというや、早速用件を伝える。
「そうだ…。俺は今、無性にあいつとバトルがしたいからな。明日、時間を空けてくれるようお前から伝えといてくれないか」
「いいですけど、拓海が引き受けてくれるかは直接聞かないと…」
「その必要はねえよ。昨日会った時に見たあいつの目を通してはわかってるんだ。あいつはおそらく、俺からの挑戦を受けるだろうからな」
渉は拓海なら自分からの挑戦を受けるに違いないと断言するや、タケルにこう続けては言う。
「お前も昨日一緒にいたあのスイスポ乗りの女とバトルをするんだろ。あいつとバトルするのなら、生半可な覚悟では敵わない相手だということは胸にとどめておくことだな。実際にあいつとやりあった俺でさえ、あの女が只者でないことはわかっているからな」
「……」
「俺が言いたいのはそれだけだ。明日、俺は和美を連れ戻しにまたここに来るから、それまでにあいつにはエンジンの性能を全開に出せるようお前から言っといてくれ。でないとここに来た意味がないからな…」
渉は拓海とバトルするのに、ハチロクが全開で走れるようにしろと伝えるようタケルに頼むや、自分のハチロクに乗っては旅館を後にし。タケルは渉からの伝言を伝えようとスイスポに乗っては拓海の元へ車を走らせていくのだった。
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