ガソリンスタンド
「どうしたんだタケル?急に呼び出したりして…」
渉から拓海に伝言を伝えるよう頼まれたタケルは、すぐさま拓海をスタンドに呼びつけるや。合流してすぐに伝言を話す。
「拓海…。昨日あった渉さんって人は覚えてるよね?その人が明日、お前にバトルを挑みにこっちに来ると言ってたんだ」
「!!…本当か、その話は…?」
「ああ、だからハチロクのエンジンを全開に引き出せるよう高回転用の
タケルが真剣な顔付きで渉が挑戦をしにくるのを拓海に説明し、拓海はタケルの言うことが本当のことであると知っては真面目に聞き。タケルが
「いや…何も、そもそも
「そうか…」
「おいお前ら、こんな時間帯に何の用があってスタンドに来たんだ。もう片付けを済ましたところだからガスを入れてやることはできねえぞ」
2人がスタンドで話していると、店の入口から片付けを済ませては上がろうとしていたか、私服に着替えたばかりの池谷がタケル達がいることに気付いては話しかけるのである。
「あ、池谷さん。なんでも明日の夜に和美さんのお兄さんが拓海にバトルを挑みに来ると言ってたもので。僕と拓海はハチロクに載せ替えたエンジンをどうしようか話し合ってたとこなんですよ」
「なんだと?その話、詳しく聞かせてくれるか?」
タケルは事の詳細を簡潔に伝え。拓海のハチロクのボンネットを開けては搭載されているエンジンを池谷に見せ。
渉とバトルするのにハチロクのエンジンのパワーを最大限に引き出すのに高回転型の
「俺にはっきりしたことはわかんねえけど、ちょっと見ただけでも只もんじゃねえよ。このエンジンは…」
「はぁ…」
「キャブレターも良いの付いてるし。タコ足もエグいよな、このうねり方は…。5バルブのヤツをベースに、かなり本格的にチューニングしてると思う。確かに…これで前よりパワーが出ないなんて、納得できねえよな」
「タケル、あの渉って人はもっと回せばパワーが出るって断言してたよな?」
「ああ、確かに言ってたよ。NAはターボとは違って高回転まで回さないといけないから。ノーマルの
「俺、あの人の言うことを信じてみたいんだけど、それをするのに、その
「いや、レース用の
「ふぅ〜ん…。封印された高回転のゾーン…。本当だとしたらゾクゾクするな。メーターを付ける作業ってそう難しくはないからな。でも一つだけ引っ掛かることがある」
「え?」
「いいのか拓海。親父さんに相談もなく、勝手に車を弄ることになるけど」
「……」
父親の許可もなく、無断で車を弄ることに対し、拓海は車のボンネットをゆっくり閉め、池谷とタケルにハチロクをどうするか思いを告げる。
「親父、どっか出かけてて留守だし…。どうせ正攻法で頼んでも素直になる人じゃないから。腹くくって勝手にやることに決めたんです。明日までにどうしてもエンジンのパワーを使えるようにしたいんです」
「わかった。そういうことなら全面的に協力するよ。けどな拓海、レース用の
「え…」
「それについては安心して。僕に心当たりがあるからそっちに頼んでは
「本当か!?」
「うん。だから明日、学校が終わったらすぐに車を持ってはスタンドに来てね。僕も
「わかった…。タケル、池谷先輩…。色々とありがとうございました」
「いいってことよ。お前達二人には色々と助けられてるからな。どうってことないよ、これくらい…」
「そうですね。僕も拓海には全力で挑んで貰いたいですし、中途半端な形で拓海が負ける姿を見たくもありませんからね」
拓海が二人に頭を下げては礼を言うと、池谷とタケルは仲間だから大したことではないとでも言うように力強く返し。
ハチロクに
鈴木自動車工場
「おじさーん、いる?」
拓海にまた明日、合流するよう約束したタケルはスタンドを後にしては車を政志の整備工場の駐車場に停め。中に入っては事務所へと突き進み。そこで仕事をしていた政志に声を掛ける。
「ん?どうしたタケル、こんな時間帯に来るなんざ、また車をやっちまったのか?」
「ううん。今日は別の用があってね。おじさんに一つ聞きたいことがあるんだけど、聞いてもいいかな?」
「なんだ。言ってみな」
「拓海のハチロクに搭載されているレース用のエンジンを走らせるのに必要な
「お、どうやらお前さんは気付いちまったみてえだな。お前の言う通り、文太に頼まれては発注したんだが、それがどうかしたのか?」
「悪いけど、それらを全て僕に渡してくれないかな。拓海が明日、バトルすることになっては、ハチロクのパワーを引き出すのにそれが必要になったから」
タケルがハチロクのエンジンを走らせるのに
「そういう理由なら別に渡してやってもいいが、一つだけお前に言っておかねばならないことがあるぞ」
「なんですか?」
「レース用のエンジンとはいえ、メーターにはレブリミットって奴があることはお前も知ってるだろ。それを回す上限って奴を把握しないとエンジンはすぐにダメになってしまうから、それをするのに必要な回転数をお前はどう説明するつもりだ?」
「そ、それは…」
「まあ、それに関しては文太の方から倅に話すだろうからお前さんが知る必要はねえが。メーターを付ける時に必要な回転数を知ることだけは、ちゃんと伝えておくことだな」
「わかった…。じゃあ明日の夕方、学校が終わったら取りに来るからその時ちゃんと渡してよね」
政志から
翌日
この日の授業を終えた拓海はタケルと共に駆け足気味で学校を後にし。拓海はハチロクを取りに、タケルはハチロクに取り付ける
「拓海…。僕はおじさんから
「ああ、わかった…」
「おーいお前ら、何急いでんだよー!?」
急いでいる理由を聞こうとしているイツキを他所に、二人が話しながらそれぞれ自宅へと駆け出していくが、拓海は目前にある人物が立っているのを見掛けては立ち止まる。
「茂木…」
「……」
「拓海…。茂木さんは悲しそうな顔をしてるけど、何かあったのか?」
二人の目の前にいたのは拓海の彼女であるなつきで。なつきは今にも泣き出してしまいそうな顔で拓海を見つめるが、拓海は慎重な顔付きをしては見ているしかなかった。
「ごめん。俺、急いでるから…」
「あ、拓海くん…」
拓海はなつきが目前にいながらも、先に済ませないといけない用事があった為なつきの横を駆け足気味で通り過ぎては自宅へと駆け出していく。
「茂木さん…大丈夫?」
「タケル君。あたし…」
「ごめんね。僕も少し用があって戻らないといけないけど、二人が仲直りできるよう何とかしてみるよ。じゃあまたね…」
タケルもなつきに軽く話しをしてはその場を離れていき。なつきは通り過ぎていく二人を見ては、何とも言えない気持ちになるしかなかったのであった。
ガソリンスタンド
「よしっ、後はボルトで固定するだけだ…」
スタンドにハチロクを持ってきた拓海は、池谷と健二に教わりながらタケルが持ってきた
機械オンチ故に拓海は四苦八苦しながらも、上手くメーター類と補助に使う水温計や油圧計をハチロクに付け。
拓海の目前にある計器類には高回転型の
「よしっ、これでオッケー。意外にも簡単なモンだろ」
「先輩達とタケルのおかげですよ。俺一人じゃ何がなんだかさっぱりわからなくて…」
「拓海、タコメーターを取り付けたのはいいけど、まだ一つだけ足りないものがあるんだ」
「足りないもの?」
「僕も昨日、おじさんから聞いたんだけど。レース用のエンジンとはいえ、使える上限の回転数ってものがあってね。それを把握しないと全開でのバトルは無理なんだ。多分、拓海の親父さんならそれを知ってる筈だから…聞き出しておかないと折角のエンジンを壊すことにもなりかねないよ」
「親父か…」
タケルが上限の回転数を文太から聞き出してくるよう拓海に言い、拓海は頭をかいては面倒くさそうにすると。スタンドには白黒のハチロクのレビンが止まっては渉が降り。拓海も渉の前に立ちはだかっては対峙する。
「準備はできたようだな…」
「……」
「なら予定通り。バトルは今夜にしよう…。バトルはお前が好きな場所を選べ…。どこがいい?」
渉はバトルをする場所を拓海にリクエストしては伺い。拓海は何の躊躇いもなく渉に伝えるや渉は了承する。
「わかった。それでいい…。現地で待ち合わせしよう。じゃあな」
渉はバトルする場所で合流するよう拓海に言っては車に戻ると、自分のハチロクを走らせてはスタンドを後にするのだった。
「拓海…。どこでバトルするか教えてくれる?」
「正丸峠…。渉って人の地元だよ」
「正丸峠!?それって、道幅が狭くタイトなコーナーが続くので有名なあそこでやるっていうのか!?」
拓海と渉がバトルする場所を知っていたか、タケルは拓海がそこで走ることに驚きの表情を見せるが、拓海はこくりと頷いては言う。
「お前が心配してくれるのはありがたいけど、そこでバトルすることはもう決まったんだ。お前はこれからどうするんだ?」
「どうって…そんなもん、ついていくに決まってるよ。二人のバトルがどうなるのか見届けないわけにはいかないしね」
「そうか。俺、今からイツキについて来てくれるよう頼んだ後で親父に必要な回転数を聞いてくるから、お前も後で来てくれよな」
「ああ、姉ちゃんを送ってからそっちに向かうから先行っては待っててね」
拓海はイツキの自宅に向かおうとハチロクに乗り込んではスタンドを後にし。タケルもそれに合わせてはスタンドを後にしては自宅へと戻っていくのだった。
秋名山
「さてと、姉ちゃんも職場に送り届けたことだし。さっさと高速に乗っては埼玉に向かわないと…」
遥香を職場まで送っては、現地に向かおうと秋名の下りを猛スピードで飛ばしては駆け下りていくと、麓の駐車場付近には1台の車がハザードを焚いてはタケルを待ち構えており。それを見たタケルは車を駐車場付近に停め。車から降りては待ち構えていた人物と対峙する。
「やあタケル君。先日の秋名湖以来だね…」
「玲さん…。どうしてここに?」
タケルの前にいたのはタケルとバトルする予定である藤咲玲で。玲は帽子のツバを掴んではタケルに話しかける。
「ここへ来る途中、秋名のハチロクとすれ違ったんだけど、今夜はこことは違う別の所へ走りに行く予定がある?」
「そうだよ。急遽決まったことなんだけど、拓海は今夜遅くに埼玉へ行っては渉さんとバトルすることになってね。僕もそれを観に行かないといけないから、君に構ってる余裕はないんだ」
「ふぅ〜ん…そうなんだ…。まあ、ここに来たのは君に用があってはバトルについてあることを伝えに来たんだ」
「あること?」
「君とのバトルに関する話についてなんだけどね、ボクなりに走る場所を考えた。今週末の土曜に君と赤城でバトルをしたいんだけど、それで構わないかな?」
玲はタケルとバトルするのに、赤城で走らないかと話を持ちかけ。それをタケルは二つ返事で返す。
「いいよ。僕はバトルするならどこを走ろうが構わないけど、走る場所を赤城に決めた理由を聞かせてくれる?」
「それはだね。前に君が陸と赤城でバトルしては、高橋涼介が出した最速のコースレコードを陸が更新したのは君も知ってるでしょ?だから、ボク自身の手で陸の打ち立てた記録を打ち破ってやろうと思い、そこに決めたんだよ。それで納得はしてくれる?」
「勿論。僕自身、あいつにはいつかまた、リベンジを果たしたいと思ってたところだし。中嶋のコースレコードに挑戦するというのなら、そのバトル…受けて立つよ!!」
「へへっ、そう言われたらボクとしてもますます負けるわけにはいかないね。じゃあ当日、ボクはそこで待っているから絶対に来てよね」
玲はバトルには来るようタケルに言っては自分が乗ってきたスイスポに乗ってはターボ音を響かせながら走り去り。
タケルは握りこぶしを固め、玲から挑まれたバトルを逃げ出すわけにはいかないと想いを胸に秘めつつ、拓海と渉のバトルを観に車を走らせていくのだった。
藤原とうふ店
「……」
拓海の実家である藤原とうふ店の入口にて、文太がタバコを蒸し腕を組んでは立っており。
その前にハチロクが停止しては拓海が車から降りては、目の前にいる父親に緊張しながらも口を開く。
「なんだよ…」
「俺さ…。今夜この車でバトルするんだ…」
「……」
エンジンを載せ替えたばかりのハチロクでバトルすると聞いた文太は眉を動かすもタバコを蒸しては話を聞き続ける。
「タコメーター付け替えたんだ。どこまで回転を上げたらいいか教えてくれ…頼む」
「……」
文太は店に入ろうと後ろを向き、拓海は必要な回転数を聞けないことを不安に駆られるも、文太は振り向きざまに拓海に向かっては言う。
「一万一千までキッチリ回せ!!」
「!!」
「勝ってこい」
「サンキュー。親父…」
文太はそう言っては店の中へと入っていき。必要な回転数を聞けた拓海は中に入っていた父親に感謝の言葉を告げては車に乗り込み、渉とバトルする場所に向かい始めるのだった。
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