頭文字D 峠の弾丸   作:ペンギン太郎

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ACT.81 ハチロクVSハチロク 魂のバトル

 関越自動車道

 

 

 「(斎藤が俺達に教えてくれた情報に間違いはない筈だ。藤原拓海が埼玉の正丸峠でハチロク同士のバトルをやる!!)」

 

 「(この前、秋名で見た時は藤原はハチロクを充分に乗りこなせていなかった…。だが、バトルとなれば違う。NEWエンジンのハチロクが、秘密のベールを脱ぐ!!)」

 

 

タケルが拓海と共に渉と待ち合わせ場所に向かっていたその頃、群馬から埼玉に繋がる関越自動車道の高速を駆け抜ける高橋兄弟が乗る新旧RX-7と真希が乗るRX-8は、タケルから拓海が渉とバトルをする話を聞いては、各々が自分達の車を運転しては高速を駆けめぐり。拓海がバトルをするという正丸峠へと向かっていくのだった。

 

 

 

 

 

 西秩父駅

 

 

 拓海達との合流地点である西秩父駅前の駐車場にて、渉は和美を助手席に乗せては待ち構え。

 ハチロクがスイスポと共に来ては渉達のレビンの前に車を停め。ハチロクから拓海とイツキが降りたすぐ側で、スイスポからタケルが出ては渉達と合流する。

 

 

 「和美さん…。こっちに戻っていたんだ…」

 

 「うぇっ!?和美ちゃん、どうしてここへ…?」

 

 「この間のことが色々とあってね…」

 

 

 どうやら和美は渉に連れ戻されては埼玉に戻ってきたようで、突然の再会にタケルとイツキは驚くが。渉はタケル達を無視しては拓海の元に向かっては口を開く。

 

 

 「こっちでのバトルを選んだのはお前だからな…」

 

 「……」

 

 「斎藤。急な頼みですまないが、和美達をお前に任せてもいいか?仮に俺達の車が戻ってこない事態になったとしても、お前が二人の足替わりになるかもしれないからな」

 

 「いいですよ。あなた達にもしものことがあれば僕達が二人を送っていきますので、思う存分バトルをしてきてください」

 

 

 渉がバトルするのに、和美とイツキをタケルと七菜に任せるや。二人は和美とイツキの送迎を引き受ける。

 

 

 「えっ、バトルって…。まさか兄貴…。正丸峠へ行く気なんじゃあ?あそこだけは止めたほうがいいよ!!どっか違う場所にしなよォ!!」

 

 「黙ってろ和美!!お前は口をはさむな!!」

 

 「兄貴…」

 

 

 和美が正丸峠でバトルするのに反対するが、渉はひと言で和美を沈めては拓海に向かっては説明をする。

 

 

 「今のうちに断っておくけどな。これから向かうところは狭い上に嫌になるほどトリッキーだ。1本目は俺が先行で引っ張る。初めて走るには万が一のことがあるといけないからな。その後ポジションを入れ替え、先行がちぎるか後追いが抜くか、決着のつくまでやろう…。時間無制限のデスマッチだ…。テクニックが互角なら、他の何かなら勝負を抜くだろう」

 

 「ほ、他の何かって…」

 

 「要するに、どちらかが力尽きるまで走り込み。二人の内どちらかが最後まで持つか勝負をしていくと言いたいのですね…。極限まで行った状況の中で、両方のハチロクがどんなバトルを見せてくれるか期待してますよ」

 

 「ま、そういったところだ。じゃあ行こうか…。目的地に着いたらハザードを点滅させ、全開に突入するぞ」

 

 

 タケルがわかりやすく言っては勝負の内容について話していき。渉がそれを肯定してはバトルする場所へと案内を開始する。

 

 

 

 

 

 「なあタケル、渉さん達がバトルする正丸峠についてどんなところなのかお前は知ってるのか?」

 

 

 渉の案内の元、正丸峠へと向かっていく三台だが、タケルはイツキと和美を自分の車に乗せては先を行く渉のレビンと拓海のトレノの後に続き。助手席に乗るイツキがバトルする場所である正丸峠について聞くと、タケルはイツキからの質問に答える。

 

 

 「知ってるよ。正丸峠は二輪に乗って走る人達の間じゃあ人気スポットして有名だからね。僕もバイクに乗ってた頃に一度だけ走ったことがあるんだけど、あそこを完全に走り切るのにはかなり苦労したんだ…。正丸峠はうんと長くはないけど、どっちから攻めても始めは上りで途中から下りになるようになってるからね」

 

 「上りが半分入ってるのか」

 

 「それだけじゃないの。あそこは古い旧道で狭い上に見通しが悪いから昔は事故が多発してたらしいの…。ガードレールは錆びてボロボロだし、舗装は波打ってスリップするらしいし…。兄貴もそこで2回事故してげんが悪いの…。あんな走りづらいとこはないって言ってたのに…」 

 

 「そんなァ…。拓海は初めて走るんだぜ!!危なすぎるよ!!」

 

 「イツキ、お前が心配する気持ちはわかるけど。そこでバトルするのを決めたのは拓海なんだ。僕達はそれを見ているだけしかできないんだし。バトルがどうなっていくのか見届ける他ないからね」

 

 

 タケルがスイスポを運転しながら、拓海達のバトルを見ていくしかないとイツキを宥め。ギャラリーができる場所を探しては二人の行く末を見届けるのだった。

 

 

 

 

 

 正丸峠 入り口

 

 

 国道299号線を通っては正丸峠の前にあるT字路で左折しては進入し。入ってすぐに渉がハザードを点灯させ、バトルの開始を告げる合図を送る。

 

 

 「(ハザード…。ここからか…)」

 

 「(行くぜぇ。一本目から大事な車を潰すんじゃねーぞォ!!)」

 

 

 アクセルを全開(フルスロットル)にしてはバトルを開始する二台のハチロク。先行を行くハチロクのレビンはタービンを回してターボを響かせながら飛ばしていき。後に続くハチロクのトレノもレビンの後を追ってはアクセルを踏み込んではエンジンを回していく。

 

 

 「(!! これは!?)」

 

 

 回転計(タコメーター)を付け替えては初めてエンジンを一万回転まで回していった拓海は、車を走らせていく中でハチロクから出るビッグパワーに衝撃を受け。上りでレビンの後に続いていく。

 

 

 

 「俺の言った通りだろーが。いいエンジンだぜ、上りで俺についてこれるんだからな…!!こっちも遠慮なく行かせてもらうぜ!!」

 

 

 バッグミラー越しに見た渉は拓海のハチロクが真価を発揮したことに大して驚いてなかったか、感嘆しつつ、歯応えのある相手とバトルするのに喜びを見せ。全開でパワーを振り絞っては正丸峠の上りを駆け出していく。

 

 

 「凄いわ…。兄貴と同じハチロクで、上りでついていくなんて…」

 

 「お、おい見たかよタケル…。拓海のハチロクが、上りであんなに走るところをよォ…」

 

 「そうだね。今までは下りでしか拓海の走りを見たことがなかったけど。入ってすぐさま上りで相手の走りに食いついて行けるなんて凄過ぎるよ…。向こうのハチロクはターボが付いては立ち上がりでグイグイ行ってるにも関わらず、NAであそこまで走れるのは、載せているエンジンが半端じゃないことが見てわかるよ…」

 

 

 後ろからレース用のエンジンに載せ替えた拓海のハチロクが全開で走っていく姿を見たタケルとイツキは、開始直後の上りで渉のハチロクに全開で走っては後ろからついていく走りに圧倒されるが。二台に引き離されないよう全力で追い続ける。

 

 

 「おいタケル、何モタモタしてんだよ!!このままだとハチロクに置いてかれちまうだろうがよ!!もっとスピードを出せないのかァ!?」

 

 「無理言わないでよ。ただでさえFFには上りがキツイのに、三人も乗ってはパワーウェイトレシオで加速が出ないんだからさ」

 

 

 イツキが先を行くハチロク二台に置いてかれまいと、もっとスピードを上げるよう声を荒げるが。タケルが言うように前輪駆動であるスイスポには上りはきつく。三人も乗っていては前を行く二台との差が開くのも当然だ。

 

 

 「(俺がハチロクに拘ってるのは…。古い車というハンデを逆手にとって相手を追い詰めることが快感だからだ。だが、今度だけはそれが通用しない。同じハチロク同士絶対に負けられない!!今まで出会ったどんな相手より、息苦しいプレッシャーを感じるぜ!!お前のトレノから迸るオーラに俺は見える!!)」

 

 

 渉は後ろから後追いしてくる拓海のトレノから出るプレッシャーに飲まれつつあるが、全開でパワーを絞り出しては食いつかれないよう全力で走り続けていき。両者は激闘を繰り広げるのだった。

 

 

 

 

 

 正丸峠 頂上 茶屋

 

 

 「いいのか啓介。こんなとこで見るなんざちょっと寂しいんじゃねえのか…?」

 

 「他にギャラリー決め込む場所もねーだろ。こう狭くっちゃな」

 

 

 正丸峠の頂上にある茶屋付近にて先に来ていた啓介達はギャラリーをしようと、待ち構えており。涼介が道路手前で立ちながら待っている後ろで、啓介と真希が階段に腰を下ろしては拓海達がここを通り過ぎるのを待つ。

 

 

 ギャアアア

 

 

 「来たみたいだぞ啓介。三台揃ってここを突っ切るぞ」

 

 

 二台のエンジン音が近づいて来るのに気付いてはコース上を観ていく三人。

 渉のハチロクレビンがターボを吹かしては先頭を突っ走り、それに引き離されないよう拓海のハチロクトレノが後ろから食いつき。二台に続けてはタケルのスイスポが後を追っていく。

 

 

 「っしゃあーっ!!来た来たあっ!!」

 

 

 渉はアクセルを全開で踏み込み。エンジンから湧き出るパワーに酔いしれては感情を爆発させ。ギャラリーしているであろう啓介達の前を通り過ぎていく。

 

 

 「時代遅れのドッカンターボか…」

 

 「言えてるな。今時旧車のハチロクであそこまで走らせるなんざ、ありえねえって言うのによ」

 

 「そうかもしれないが。あの二台のハチロクからはとてつもねえ闘争心が湧き出ていやがった…。このバトルは中々見応えのあるヤツになるとみていいかもしれないぜ」

 

 「ところでよ啓介、藤原がバトルしてるあの秋山って奴が乗ってるレビンは藤原のトレノとはフロントマスクとテールが異なるだけで中身は同じなのに、あそこまで走りが違うかお前にはわかるのか?」

 

 「ん~それはつまり…。俺は頭ではわかっちゃいても言葉にするのは苦手だからな…。こういう事を説明するのは…」

 

 「私が説明するわ。トレノとレビンは双子みたいな車だけど、チューニングやアプローチが違うから性格が異なる車に生まれ変わっているの」

 

 

 真希と啓介が話をする横で割って入るのは渉と同じハチロクのレビンに乗る七菜だ。

 七菜はタケルから拓海達が正丸峠でバトルすると聞いては啓介達より先に来ており。レッドサンズがここに来た時にギャラリーするにはここだと薦めては一緒に待ち構えていたのだ。

 

 

 「おいおい、そういったことは兄貴が説明するんじゃねえのかよ。兄貴の方がよっぽど詳しいんじゃあねえのか?」

 

 「俺は別に構わないぞ。松橋ならあいつらと同じハチロク乗りで俺よりも長くハチロクに触れている機会が多いからな。俺に構わず説明を続けてくれ」

 

 

 涼介が自分に変わってはハチロクについての詳細を語るよう七菜にお願いし。七菜は嬉しそうな顔をしては啓介達に二台のハチロクについて語り始める。

 

 

 「じゃあ改めて説明をしていくね。タービンなどの過給機を使わないチューニングをメカチューンと言って、拓海君のトレノがそれにあたるんだけど、アクセルを踏む足の動きにダイレクトにエンジンの回転がついてくる応答性の良さが一番のメリットなの。限界に近いスピードでコーナーに進入した後でも、その微調整が可能で更に追い込んでいけるのがメカチューンの最大の特徴で、ターボチューンを施してる渉のレビンに比べ、思いきって進入することが可能になってるのよ。まああなた達にわかりやすく言うなら、拓海君のトレノは突っ込みに強いってとこかしらね」

 

 「なるほどな…。じゃああの秋山って奴のレビンはどう説明するんだ?」

 

 「渉のレビンはターボチューンをしていてコーナーリングの切れ味では拓海君のトレノに一歩譲ってしまっているけど、直線の加速の鋭さでそれを凌駕してる。ターボチューンの特徴は立ち上がりに強い。だから、二台の後を後ろから追っているタケル君のスイスポみたいにコーナー出口からの加速で渡り会えるの」

 

 「へえー流石は七菜だな。あたしと同じ女の走り屋として走りだけにとどまらず、そこまでメカに詳しいとはお手上げだよ。ん?ちょっと待って、あの秋山っ奴のレビンはどうしてあんなにもケツがふらついているんだ?」

 

 

 真希は自分よりも車に対する知識を持つ七菜に関心を示すが、渉のレビンを観ていく途中あることに気付いては質問をすると、七菜に変わっては涼介が説明をしていく。

 

 

 「ターボラグの大きいドッカンターボって奴は、一度ブースト圧を落ち込ませると立ち上がるまでがかったるい。その為、あいつはコーナーの出口でマシンが振られてもアクセルを戻さずカウンターだけで抑え込んでいるんだ。おそらくあのレビンの車体を揺らす走りは、クセのあるマシンを乗りこなす為に自己流で身につけた技術(テクニック)だろう…」

 

 「わかったか真希。峠の走りは奥が深いってことだ…」

 

 「よく言うよ。口では説明できない癖に知ったような口振りをしてさ…」

 

 「ゔっ…」

 

 「そう言わないでよ真希。啓介君は自分なりにわかってるつもりだから許してあげて」

 

 

 真希からダメ出しをされては押し黙る啓介だが、七菜が啓介をフォローしつつ、四人は今繰り広げられてるであろうバトルを注視していくのであった。

 その後も啓介達の前を通り過ぎた三台は渉のハチロクを先頭に正丸峠のトリッキーなコースをガンガン攻めていき、途中土砂崩れで道筋が狭くなっているのを拓海のハチロクが横切り、土砂に乗り上げてしまうが。拓海は何事もなかったかのように突っ走っては渉の走りに食いつき。

 後から追うタケル達が乗るスイスポも上手く躱していっては二台の後に続く。

 

 

 

 

 

 正丸峠 頂上

 

 

 頂上についた二台のハチロクはその場でサイドターンしてはポジションを入れ替え、そこから拓海のトレノが先行しては渉のレビンが後ろに付き。バトルを再会する。

 

 

 「す、すげえ…。あれが渉さんのドッカンターボって奴なんだ…」

 

 「うん、アクセル全開だと滅茶苦茶で路面のギャップを拾ってあさっての方向に向いてしまう。でもツボにハマると途轍もない程に速く、峠のセオリーを無視してしまうその走りは拓海には初めてのタイプだと見ていいかもしれないね」

 

 「兄貴…」

 

 

 タケル達は頂上で待機しては二人のバトルが決着がつくまで見届けるしかなく。二台のハチロクが過ぎ去っていくのを見ているだけしかできないのだった。

 

 

 「(さあて第二ラウンド突入。後ろからじっくりと見させてもらうぜ…。群馬エリア負けなしと言われた実力をなァ!!)」

 

 「(くっ…走りにくい。なんなんだここは!!)」

 

 

 ポジションを入れ替え、後追いについた渉は先行を行く拓海のトレノを見ながら先ほどまで走った峠道を下っていき。

 拓海は渉の通った走行ラインを参考に先行を突っ走るが、一度見ただけでは覚えきれなかったか苦戦を強いられ。渉のレビンに食いつかれながらも正丸峠の下りを駆け下りていき。

 場所は再び涼介達がいる茶屋の前に戻り、涼介はこのバトルについて独自の解釈をこの場にいる全員に話す。

 

 

 「今の時点では、藤原に不利な材料ばかりが揃っている…。今まで体験したことのないトリッキーなコースに、リズムを崩されるレビンの変速ドライブ。だが、それ以上に…藤原が感じているのは、ニューマシンを完全に自分の物にできない焦り…。こいつは目に見えない強敵だ!!」

 

 

 涼介の言っていた通り、拓海はエンジンを載せ替えたハチロクを走らせては、後ろから迫りくる渉のレビンに張り詰められながらも、初めて走る正丸峠を突き進んでいく。だが、劣勢の中で走る拓海の心理にある変化が生じる。

 

 

 「(路面の状態が悪過ぎる…。車が暴れる!!路肩から50センチぐらいは全く使えない…。うっかりタイヤを乗せたらめちゃ滑る…!!立ち上がりで外のガードレールに寄せたら、ドカンといくだろうな…。狭い…。この道路は見た目以上に狭い幅しか使えない!!)」

 

 

 

 

 

 拓海が渉と正丸峠でバトルをしていた同時刻、文太は店の前に立ち、タバコを蒸かしては心の中で呟く。

 

 

 「(拓海。足回りのセッティングって奴は…。馬力(パワー)とのバランスで変わっていく…。エンジンを載せ替えてからお前が思い通りにコーナリングできないと言い続けてきたのは当然なんだ。そいつはそういう風にセッティングされていたのさ…。回転を上げることによってワンランク速いレベルで曲がりのコントロールができるんだ!!気づけよ拓海…。そいつの本当の封印を解放してやれ)」

 

 

 遠くの地で車を走らせてるであろう拓海に向かい、文太はハチロクの載せたエンジンの本当の性能を発揮するようなことを呟くのだが、それが見事に届いていたのか。正丸峠でハチロクを走らせてる拓海はあることに気付く。

 

 

 

 

 

 「(なんだこれ…?気のせいか…)」

 

 

 拓海はハチロクに乗り続けていっては、その変化の違いに気づいたのか。ハチロクの本当の真価を発揮する段階に近づいてき。少しずつではあるが拓海の走りが以前より鋭くなっていく。

 

 

 

 

 

 「!! 二本目が来たぜ!!」

 

 

 啓介達が待ち構えている茶屋の手前で、ハチロクのエンジン音が近づいてきては再びコース上に目を向けていくと。先行ポジションをとっている拓海のトレノがコーナー出口から現れ、後ろから食いつく渉のレビンに張り詰かれてはいるものの、その走りが変わっているのを涼介は気付く。

 

 

 「どうやら…分かってきたようだな…」

 

 「「え?」」

 

 「いよいよ…。ハチロクが目覚める時だ…!!」

 

 「拓海君はここを走り続けていく中で、あのエンジンの本当の意味に気付いたってことね。」

 

 

 涼介の傍にいた七菜は同じことを感じていたのか、渉とのバトルで載せ替えたエンジンの使い方を知ったのではと予想し。

 勝負は二本目の終了間際へと入っていくのである。

 

 

 

 

 

 「気のせいじゃない…。走りやすい…?」

 

 

 拓海の意識は後ろから張り詰く渉の存在を忘れかのようにハチロクとの対話に切り替わり、ポジションを入れ替えては目前に渉がいないことが幸いしたのか。全ての神経をとがらせ、マシンの挙動に集中させては迫りくるコーナーに挑む。

 

 

 ギャアアア

 

 

 「(昨日まではあんなにてこずっていたのに…。回転を上げてパワーを上げていったからか、コントロールできる…。俺の走りができる!!よしっ、行けるかも!!)」

 

 

 この時、拓海はエンジンを載せ替えたハチロクの走らせ方を把握したか、先程まで苦戦していた正丸峠のタイトなコーナーをドリフトでくぐり抜けていき。

 走りを難なく熟していっては手足のようにハチロクをコントロールしては先を突き進んでいく。

 

 

 「(二本目は高みの見物を決め込むつもりだったが…。とんでもねえぜ!!この走りにくい道路(コース)に驚くべき早さで対応していく…!!初めてここを走る奴のスピードじゃない!!痺れまくるぜ、世の中には凄え奴がいる!!負けねーぜ。地元のメンツにかけてもタフなバトルになるぜこいつは!!)」

 

 

 渉は前を行くトレノから迸るオーラから拓海の走りが変わっては益々鋭くなっているに気付き、ボルテージを高めては拓海の走りに食いつき。

 拓海が文太から教わった通り一万一千までメーターが回ってはシフトを上げては加速させ、渉もアクセル全開でタービンを回してターボを蒸かしては互いに峠を駆け下りていく。

 

 

 「(峠で一番速い奴がカッコイイんだ。イケてるぜお前!!見るものを強引に納得させるそのキレっぷり…。これレビンでとことん本気になれる!!こんな新鮮な刺激が欲しかったんだ。俺は最高にラッキーだぜ!!)」

 

 

 自分を満足させる相手に喜びを見出したか、渉は目の前を駆け下りるハチロクに負けられないと興奮を高めていき、勝負は三本目へと突入していくのだった。




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