頭文字D 峠の弾丸   作:ペンギン太郎

86 / 101
 今月最初の投稿です。
 まだ本格的なバトルには至っていませんが、できる限り早めに持ち込めるようにしていきたい所存です。


ACT.83 ハイパワーの代償

 

 正丸峠でのハチロク同士のバトルから一夜明けた翌日、イツキは和美と別れた余韻がかなり効いたか。目の前の道路を涙ながらに見つめていた。

 

 

 「お前ら、イツキの奴なんか変だぞ…。何かあったのか?」

 

 「え…」

 

 「いずれ知ることになると思いますし、話しますね…。実は…」

 

 

 拓海は池谷からイツキに何があったか聞かれては、その場で押し黙ってしまうが。その隣にいたタケルがイツキが和美と別れることになってしまったの伝える。

 

 

 「そうなのか…。そんなことになるとはな…。上手くいきそうに見えたんだけど…」

 

 「ロンリードライバーに逆戻りってわけか…」

 

 

 拓海から話を聞いた池谷と健二は納得したか、イツキの心情を察してはイツキを見ていくしかなかったが。

 イツキの元にある人物が近づいては声をかける。

 

 

 「イツキ君…」

 

 「ふぇ…。か、和美ちゃん…!!」

 

 

 イツキの前に来たのは昨日別れたばかりである和美で。和美はいつも束ねている髪を下ろしては普段とは違う雰囲気を晒していた。

 

 

 「どうしたの?埼玉に帰ったんじゃあ…」

 

 「あの時は急だったでしょう…。こっちに残してた荷物取りに来てたの…」

 

 「そっか…」

 

 「でも残してたのは荷物だけじゃない…。この前バタバタしてて、イツキ君やタケル君にちゃんとしたさよならは言えなくて…」

 

 「か、和美ちゃん…。今から時間ない…!?」

 

 「あたしは平気だけど…」

 

 「じゃあ…ちょっと待ってて…」

 

 

 イツキは踵を返してはスタンドの事務所へと入っていき、イツキが戻ってくるまでの間、タケルが和美の前に来ては話しかける。

 

 

 「和美さん…。昨日はご苦労だったね」

 

 「タケル君…。昨日のバトル、負けてしまったとはいえ、いいバトルができては良かったって兄貴が嬉しそうに言っていたわ…。」

 

 「そうなんだ…。同じハチロク乗りである拓海とあれだけの走りをした上での敗北だったんだし、渉さんはさぞかし満足したみたいだね…」

 

 「ええ…これもすべてタケル君やイツキ君のおかげよ…。あたし、タケル君とお仕事をしたのがほんの少しだったとはいえ、群馬に来て良かったと思ってるの…。あたし、タケル君から教わったことを次の仕事に生かせるように頑張ってみるわ…」

 

 「へへっ…そう言ってくれると嬉しいなぁ…。今度そっちに行く機会があったら、次は僕がお兄さんとバトルをするよ。渉さんのハチロクとは一度やり合ってみたいしね…」

 

 「うん…。兄貴にはそう伝えておくから、また会えるといいね…」

 

 

 「和美ちゃーん!!おまたせー!!」

 

 

 「お、どうやらイツキが話をつけてきたみたいだし、僕はここでおいとまさせてもらうよ。じゃあね和美さん。お兄さんにはよろしく伝えといてね」

 

 

 イツキがスタンドの征服から学ランに着替え終えては和美に近付き。そのまま二人はハチゴーに乗っては、スタンドを走り去っていくのであった。

 

 

 ブォォォン

 

 

 「一身上の都合により、早退させてくれだと…」

 

 「またですか…」

 

 「まあ、いいじゃありませんか…。イツキにとっては和美さんと会えるのがこれで最後になるかもしれないんですし…。大目に見てやりましょうよ…」

 

 「……」

 

 

 バイトを早退しては和美と二人で秋名に向かって行ったイツキをタケル達が温かい目で見送っていき。

 タケル達と一緒にイツキを見送った拓海は何ともいえない気持ちでイツキが走り去っていった方向を見ていくと、タケルが拓海に近づいてはあることについて聞く。

 

 

 「あ、そうだ…。拓海、茂木さんとはどうなったんだ…?」

 

 「え…」

 

 「ほら、タコメーターを付け替える前に、茂木さんが拓海を見ては悲しそうな顔をしてただろ。あの後ちゃんと茂木さんと会っては話をしたのか?」

 

 「……」

 

 

 なつきと仲直りができたか拓海に聞くと、拓海は無言になっては顔を逸らす。

 

 

 「そっか…。まだ仲直りはできてないんだね…。でもさ拓海、高校を卒業したら茂木さんとは会えなくなるんだし、会える内に話をしておいた方がいいと思うよ…」

 

 「……」

 

 

 「おーい拓海。お客さんが来たから手伝ってくれ…」

 

 

 「はい。悪い…。その話はまた今度な…」

 

 「お、おい、拓海…。はぁ〜二人がなんとか仲直りできるといいけどね…」

 

 

 なつきと仲直りできるよう話していくと、拓海は何もいえないまま無言を貫く拓海だが、スタンドに車が来たのに気付いた拓海は再び仕事に戻り。

 拓海がなつきと仲直りできるのをタケルは見守っていくしかなかったのであった。

 

 

 

 

 

 「「いらっしゃいませ」」

 

 

 拓海と池谷が来店したS2000に応対すると、車の窓から妖艶な雰囲気を出す人物が顔を出す。

 

 

 「ハイオク、満タンでお願いね」

 

 「かしこまりました。ハイオク満タン入ります!」

 

 

 池谷がそれに応じてはガソリンを入れていき。S2000に乗っていたドライバーは近くにいたタケルの存在に気付くやタケルに呼びかける。

 

 

 「あら、タケル君じゃない…。こんなところでまた会うなんて奇遇だわ…」

 

 「クリスさん…?」

 

 

 スタンドに来たのがクリスだと知ると、偶然の再会に驚くタケルだが。

 クリスは車から降りてはタケルに近づいては馴れ馴れしく話しかけてくる。

 

 

 「タケル君、あなたについては玲ちゃんから聞いてるわよ。群馬ではかなり有名な走り屋なんだってね」

 

 「え?クリスさんは玲さんとはお知り合いで?」

 

 「ええ。あの子とは同じ英国でカートをしてた仲だもの。あの子については誰よりも知ってるつもりよ。それにしても意外だったわ。あなたみたいな若い子が群馬エリアでは最速の走り屋だなんて…」

 

 「いやぁ〜別にクリスさんが言うほど僕は凄い奴じゃないですけどね…」

 

 

 クリスはタケルと同じスイスポ乗りである玲とは知り合いだと打ち明かし、タケルが群馬では最速の走り屋であると褒めちぎると、タケルは嬉しそうな顔をする。

 

 

 「そうそう。玲ちゃんから今度の週末にあなたと赤城でバトルするって話も聞いているわ。。その日のバトルはあたしも観に行かせてもらうからガッカリさせないでよね」

 

 「へ?」

 

 「あなたがどれほどの実力があるかは分からないけど、玲ちゃんと同じスイスポに乗ってはどんなバトルをするこか。この目でしかと見させてもらうからね」

 

 「あの…今給油を終えたとこなんですけど、お支払いは?」

 

 「あらいけない。もうガソリンを入れ終わってのに気付かなかったわ。じゃあタケル君、次会うのを楽しみにしておくわ」

 

 

 クリスは不敵な笑みを浮かべつつも、タケルと玲のスイスポ同士のバトルに期待するといい残しては、拓海にクレジットカードを渡してカード払いを済ませ。給油を終えたS2000に乗り込んではスタンドを颯爽と出ていくのだった。

 

 

 「にしても今の奴は、えらい濃い奴だったな…」

 

 「タケル、お前さっきの人とはどういう関係なんだ?藤咲って子についても何か知ってるみたいだったけど…」

 

 「そうですね…。僕が見る限りじゃあ…只者でないことだけは言えますかね…」

 

 

 池谷と健二がタケルと会話をしたクリスについて話していき、タケルはクリスのオーラを感じては相当の実力を秘めているのではないのかと感じるのだった。

 

 

 

 

 

 高崎市

 

 

 高崎にある女子高の教室で、結衣は親友である緒美と一緒に同じクラスである玲と話をしてはある話題について聞く。

 

 

 「え?玲さんがタケル君とバトルするって…?」

 

 「ああ、ボクと同じスイスポに乗ってる彼がどんな走りをするか気になっては先日秋名に行っては宣戦布告してね。赤城で決着を付けようって話になったんだ」

 

 

 タケルと玲の二人がバトルすると聞かされた結衣は、二人のバトルがどのような展開になるか気になるのである。

 

 

 「あ、そうだ。もし結衣さんがボクとタケル君のバトルに興味があるというのなら、今週の土曜に赤城に来なよ。あらかじめ赤城の走り屋達には話をつけてはコースを開けてもらうようにしてあるしね」

 

 「…うん。私も前にタケル君が赤城を走ったところを見たけど、あの時はスイスポとは別の車に乗ってたから。今度やるそのバトル、私も観に行ってみたいわ…。でも、私達が赤城に行くのに移動するにはどうしたら…」

 

 「結衣。足に関しては涼兄ィにお願いしてみるってのはどう?玲さんとタケル君が赤城でバトルするっていう話なら、涼兄ィも興味を示してくれるに違いないよ…」

 

 「いいの?そんな厚かましいお願いをして…」

 

 「大丈夫よ。涼兄ィと啓兄ィなら結衣の彼氏と玲さんとのバトルは観てくれるに違いないよ。待ってて、今から涼兄ィに電話しては確認するね」

 

 

 緒美は早速携帯を取り出すや。涼介の番号に連絡し、軽く話をしては電話を切る。

 

 

 「涼兄ィが当日自宅まで迎えに来ては赤城まで送ってあげるって言ってたわ。タケル君と同じ車に乗る玲さんがどんな走りをするか涼兄ィも期待してるって」

 

 「へぇ〜。地元じゃあカリスマ的存在の高橋涼介もボク達のバトルを観に来てくれるとなればますます手が抜けないよ」

 

 

 「(大丈夫かしら…。二人がバトルする以上私からは何とも言えないけど、無事に戻って来れるのか心配だわ…)」

 

 

 緒美と玲がバトル当日を待ち遠しくしては楽しみにしていくが。結衣は二人がバトルするのに不安になるしかないのだった。

 

 

 

 

 

 秋名山

 

 

 「くっ…!!タケルの奴、得意の下りとはいえ速過ぎるぞ…!!でも、こんなことで挫けていちゃダメだ…。俺も走り屋の端くれであるんだ…。いつまでも拓海やタケルの足を引っ張るわけにはいかない…!!」

 

 

 和美とひとときを過ごしては完全に吹っ切れたか。イツキは秋名でタケルと一緒に秋名の下りを攻め込み。

 タケルのスイスポが先頭を突っ走る一方、後ろから追いかけてはスイスポに食らいつことするが、車の性能は勿論、タケルとの技術(テクニック)の差が大きいあまり引き離されるばかりであった。

 

 

 「う〜ん…。新たにエンジンを載せたこいつは前よりかはトルクが増して、コーナー出口からの加速が良くなってはいるけど、トラクションに少し問題があるなぁ…。パワーが増してはブレーキングするのに、如何にコントロールできるかだな」

 

 

 スイスポを走らせながらタケルは自分の走りを分析し。週末に控える玲とのバトルを制するのに車を慣らしておこうとするが。強力なパワーを得た反面それをブレーキングで抑え込むのに苦労するのではと感じるのであった。

 

 

 

 

 

 秋名山 麓

 

 

 「はいこれ。練習に付き合ってくれたお礼」

 

 「お、サンキュー」

 

 

 走り終えては麓に降り立ったタケルとイツキは近くの自販機で飲み物を購入し。互いに横並びになって腰を下ろしては先ほどの走りについて振り返る。

 

 

 「タケル、お前のスイスポは前よりかは下りが速くなったんじゃねえか。勇さんのところで車弄ってもらってるとはいえ、俺なんかじゃ追いつけそうになかったし。ますます俺とお前の差が開いちまいそうだよ…」

 

 「そうでもないよ。自分では僕に追いつけないと言っているけど、以前よりかは走れるようになったと僕は思うよ。下手くそだったヒールアンドトウもそれなりにできてはいるみたいだし、このまま練習を続けていけば、いつかは拓海や僕とも走れるようになるに違いないしね」

 

 「本当か!?くぅ〜そうまで言われちゃあ俄然とやる気が出てきたよ。タケル、もう一度秋名を走ってみようぜ!!」

 

 「OK。僕ももう少しスイスポを走らせては乗り慣れていかないと…」

 

 

 タケルから労いの言葉をかけられたイツキは練習を再会し。イツキを調子づかせたタケルも再び車を走らせようとする。

 

 

 「ところでよ。お前が今乗ってるスイスポはパワーが増しては拓海のハチロクみたいに速くなったのか?」

 

 

 「そうだなあ…。下りを攻めるのに、前よりかは速くなってはいるけれど、トラクションに問題があっては完璧に走り切れないから、そこをどう改善するかが問題だね」

 

 「え?トラクションに問題があるってどういうことなんだ?お前でさえ扱うのが難しくなったっていうのか?」

 

 「ああ…。スイスポやシビックみたいな軽量のFF車は峠を攻めるのに最適なパワーは200馬力近くでやっとなのに、それを越しては230馬力は出てるんじゃ前輪(フロント)にパワーが過多しては扱うのに苦労するし。秋名の様なタイトなコーナーが続く道じゃあデカ過ぎるパワーが返って仇になってしまうこともあるんだ」

 

 「そうなのか…じゃあ、お前が前にバトルしたっていうシビックもそんなにパワーが出てなかったのか?」

 

 「いや、あの時バトルしたFD2は僕のスイスポよりもパワーが出ていたけど、中嶋はそれを苦にもせず乗りこなしていたんだ。あいつはドラテクが優れては滅茶苦茶速かったし、FF車の扱いに関しても僕より上手かったしね」

 

 

 タケルは陸に惨敗を喫したことを苦々しくしながら思い出していき。乗っている車は勿論、実力の違いを嫌という程思い知らされたとイツキに向かって吐き出す。

 

 

 「とりあえず、トラクションに関しては純正のLSDじゃ有り余るパワーを抑えきれないんだし、高性能なヤツに付け替えてはそれをどうコントロールするかが一番の難所だね」

 

 「そうなんだ…。それじゃあ、そのパワーを扱いきるのにどうすればいいんだ?」

 

 「う〜ん…正直なところ、馬力を180〜200まで落としてはアクセルワークでコントロールするのが理想的なんだけど、それじゃあ中嶋のFD2やランエボみたいなハイパワー相手に勝つなんて真似はできないから、そこをどう攻略するかが今の僕に課せられた課題だよ…」

 

 

 タケルは200馬力以上ものパワーを得たスイスポを扱うのに、どうするべきか頭を悩ましていき。そこからどう答えを導き出すか考えくねるしかないのであった。

 

 

 「兎に角、こいつをどう扱えばいいのか分からない以上、闇雲に走らせてもタイヤとガスを無駄に消耗するだけだし。それをどうするか、勇さんやおじさんに相談しては決めておかないと」

 

 

 そう結論づけては練習を始めるタケル。果たしてハイパワーを得たスイスポを扱い切ることができるだろうか。




 評価・感想をお願いします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。