バトルは序盤に入ったばかりですが、是非ご覧ください。
タケルが夢の中で父親とバトルした翌日。
スイスポをどうするのか完全に決まったタケルは、古関モータースに車を持ってきては、勇に相談する。
「それで、答えはもう決まったのか?」
「はい。スイスポのパワーをどうすべきか迷っていましたけど、昨日の夜に父さんが夢の中に出てきては教えてくれたんです。スイスポはパワーを増やすより、バランスを重視した方がいいと」
「ほぉ…お前の父親が夢の中に出てくるとは、意外だな。お前の親父さんはどんな風に教えてくれたんだ?」
「どうって…父さんは僕と同じスイスポに乗って、バトルを挑んできたんですけど。僕が乗ってる230馬力のスイスポよりもパワーの劣る車に乗っては僕を簡単に抜き去ったんですよ。直線ではリードしてましたけど、コーナーでのトラクションで差を詰められて…。あの走りはパワーじゃなくスイスポの特性を活かした走りだったんですよ」
「ははっ…。言葉じゃなく走りで語り合うなんて、拓海んとこの親父さんと同じじゃねえか…。ま、そうやってお前に教えてやったんなら、スイスポをどうするかは決まってるんだろ?」
「はい…。スイスポのパワーを落としては、180〜200馬力ぐらいに抑えてください。スイスポはパワーよりも車重の軽さとハンドリングの良さが持ち味ですから、それを活かせるようにするのがベストですからね」
「やれやれ…。人が折角コンプリートエンジンを用意しては大幅にパワーを上げてやったというのに、それを落とすとは…。ま、その方がお前に合ってると言うのなら、手を付け加えねえわけにもいかないか。すぐにECUを書き換えてはお前が乗りこなせるようにしてやるよ」
タケルからの要望でスイスポのパワーを落とすことにしては、バランスを重視したセッティングをすることになり。
玲とのバトルを翌日に迎えては、スイスポ同士による決戦が行われようとするのであった。
赤城山 麓
バトル当日の夜。
赤城の麓の駐車場には玲がスイスポのフロントドアに腰を下ろし腕を組んでは待ち構えており。どこからか低く響くスイスポのエンジン音が近づいてくるのを耳にしては、タケルがここに来るのを待つ。
「…来たね」
玲がそう呟くと、スイスポのヘッドライトが近づいては玲との待ち合わせ場所である駐車場へと入っていき。
玲が停めているスイスポの隣に車を停めてはタケルが車から降り。
互いに見つめ合っては火花を散らしては沈黙が流れ、そこから玲が口を開く。
「ようやく来たか…。同じスイスポに乗る君がどれだけの走りをしてくれるのか…待ち詫びたよ」
「…ああ。僕としても、同じスイスポに乗る君とのバトルは楽しみにしてたし。今日のバトルは、何がなんでも勝たせてもらうからね」
「へへっ…そこまで言うとは随分自信があるとみていいかもね。じゃあ早速バトルに移りたいんだけど、一つルールをつけ足してもいいかな?」
「? いいけど、どう付け加えると言うの?」
タケルがバトルの内容について聞くと、玲はニッと笑えを浮かべては話し出す。
「下りだけだと、麓に下りた瞬間終わっちゃうでしょ?だからさ、あえて上りからスタートして頂上まで上りきったらUターンして、そのまま下りで決着つけるってのはどうかな?上りと下りの両方を走って、先に麓についた方が勝ち。同じスイスポ同士どっちが上かそれではっきりするしね」
「へぇ…、上りと下りの複合ステージか…。いいよ、受けて立つよ。同じスイスポに乗る走り屋として
玲からの案で上りと下りの複合ステージでバトルするのを決めては、自信満々な顔をしてバトルに勝つとタケル宣言するが。それが後に、バトルに大きく響くことをこの時のタケルは知らないでいたのだった。
「よぉタケル。お前、あのバトルから無事に立ち直ったみたいだな…」
「瀬名さん…」
タケルに話しかけてきたのは赤城の走り屋の風間瀬名で、瀬名はタケルと玲によるスイスポ同士でのバトルを楽しみにしてるかのように意気揚々とする。
「タケル、お前が中嶋とのバトルで大敗を喫しては己の未熟さを嫌という程痛感しては、そこからどう立ち直ったか、今日のバトルでしっかりと見届けてやるよ。幸いにも今日は涼介達の他にお前のガールフレンドも観に来てるっていうしな」
「へ…?結衣さんもここに来てると言うのですか?」
結衣が涼介達と一緒に来てると知っては意外そうにすると。瀬名は赤城山のある方向を指差しては話す。
「ああ…結衣ちゃんは涼介達と一緒に上で待機してはお前が上がって来るのを待ってるからな。てっきり下りでのバトルだけかと思っていたが、上りも加えた複合コースでのバトルとなった以上、涼介達にも伝えておかないとな」
瀬名はため息をついては携帯を取り出し。上で待機してる涼介達に連絡をしていき。話を終えた後、携帯をズボンのポケットにしまっては二人に言う。
「よしっ。上にいる涼介達に伝えたことだし、早速バトル開始といくか。カウントは俺がやるから、お前達二人は車をスタートラインに並べてくれ」
「はいっ。お願いします」
「へへっ。いよいよ始まるとするか…」
瀬名がタケルと玲に指示をしてはバトルに移るよう段取りをしていき、二人は車を出してはバトルに取り掛かる。
赤城山 頂上
赤城の頂上の駐車場は夜の冷たい風と街灯の淡い光に包まれていた。
高橋兄弟の他に、従姉妹である緒美と、タケルのガールフレンドの結衣が先に来ており。結衣はタケルが自分達がいるところに来るのを待ち続けている。
「タケル君…」
「結衣。ひょっとしてタケル君のことが気になるの?」
「うん…。タケル君が玲さんとバトルするって聞いた時から、ずっと気になってて…。二人がどうなるのか、とても心配だわ…」
「その必要は必要ないかもしれないな。斎藤はここを数回走ってはコースを覚えてるに違いない。藤咲に至っては、前に啓介と走り合っては互角にやり合っていると聞いてるから、どちらも赤城でミスをするような走りをしない筈だ」
「そうですか…。高橋先生がそうおっしゃるなら…。二人が無事にここを走り切って、ちゃんと戻ってきてくれると信じてもいいんですね」
結衣が心配するのを他所に、タケルなら赤城を走るのにミスはしないだろうと涼介が結論付け。玲に関しては地元を走り慣れている啓介とやり合ったところから心配する必要はないと言い切る。それを聞いた結衣は安堵したか落ち着いた表情をしては二人が無事で戻ってくると信じていく。
「兄貴、たった今、風間からきた連絡によると、藤咲から今からやるスイスポ同士のバトルで上りと下りを合わせた複合バトルをしたいと申し出が来たそうだ」
啓介が無線機を通じては麓から来た情報を兄である涼介に伝え。涼介は腕を組みながら不敵な笑みを浮かべる。
「ふっ。中々面白い提案をしてくるじゃないか。上りと下りの複合コースでの勝負とは…。互いのスイスポをどう仕上げてきたか、より深く知ることができるからな」
「そうはいうけどよ兄貴、FFで上りを走るなんざかなり難しいんじゃなかったか?俺にはそこら辺の違いがわかんねえんだが…」
「お前の言う通り、あのニ人が乗るスイスポはこの前のハチロクと同じ違うアプローチの車とはいえ、FF車にとって上りを攻めるのは不利なステージだからな。荷重が前輪に掛かってはトラクションが良い下りとは違い、登り勾配で重力が後ろに働いては荷重が後輪に移る。その結果、前輪の接地荷重が減ってはトラクションが抜けやすい。後ろから押し上げていくFRや全ての駆動力が行き渡る4WDとは違い、前輪だけで車体を引っ張っていくFFで上りを走りきるにはそれなりの
「ふぅん…。FFで上りを攻めるのは、そんなにシビアなのかよ。じゃあこの勝負の序盤はスイスポにターボを載っけている藤咲の奴が有利とみていいんだな?」
「その可能性は高いとは思う…。だが、赤城は単なるパワーの勝負じゃ決まらないコースだから、もし藤咲が上りでミスをすれば、斎藤が後半からの下りで巻き返すチャンスはある。どちらが先にここまで辿り着き、下りに入ってはどう巻き返すか…勝負が楽しみだな」
FFで上りを走る切るのが如何に難易度が高いのかを、涼介が解説し。話を聞いていた啓介が腕を組んではコース上を見つめる。
赤城山 麓
二人のバトルが上りから開始される為、二台のスイスポが赤城麓のスタートラインに車を並べては、スターターを任された瀬名がスタートラインの中央に立ち。タケルのスイスポ(SC仕様)と玲のスイスポ(ターボ仕様)がフロントのヘッドライトを照らし、エンジンを吹かしてはいつでも出れるように体勢を整える。
「(君がどれだけやれるか…直に見させてもらうよ。同じスイスポ同士でのバトル…どっちが上なのかをここではっきりと付けさせて貰うからね…)」
「(僕としても、このバトルにだけは絶対に負けられない…。あいつに負けたことで、どれだけ自分が浅はかだったかを思い知らされたんだから…。今度は、僕がこのバトルに勝ってはスイスポに乗る走り屋として、如何に速いかを証明してみせる…!!)」
「よしっ。二台が揃ったことだし、カウント行くぞォ!!カウント5秒前!!」
タケルは深く深呼吸しては目を細め。
スタートラインの中央に立つ瀬名が右腕を上げ、指を立てては、カウントを開始する。
「5…4…3…2…1…GO!!」
瀬名がカウントを切っては腕を振り下ろし。
同じタイミングで二台のスイスポはそのままスタートダッシュを開始しては啓介の横を駆けては赤城を一直線に上り始める。
玲の白いスイスポが前に出ては、タケルの黄色いスイスポが後に付き。両者は同じ車に乗っているとはいえ、その走りには明確な違いが出てくる。
玲はカート上がり独得のリズムと走らせ方を駆使してはタケルの行く先を軽快に突っ込んでいき。それを見たタケルはある人物の走りと似てることにデジャヴを感じる。
「(速い…!!あの走り…前に
先行する玲のスイスポの動きに、タケルは以前バトルした陸の走りと重ね合わせ。
玲が1つ目のコーナーを曲がるのに、左足ブレーキを使っては、荷重を残しながらアンダーを抑え込み。イン側にノーズを食い込ませては曲がり切り。立ち上がりで、アクセルを全開に踏み込み、ターボのブースト圧を一気に吹かし。スイスポの軽いボディを加速させては赤城の上りを駆け上がっていく。
「(これくらいで驚くのはまだ早いよタケル君…。君のスイスポがどれだけ走れるのか…。この目でじっくりと確かめてあげるからね)」
「(…舐めるなよ。僕だって、それなりに走り込んでは腕を磨き上げてきたんだ…。新しく生まれ変わったこいつを、君に見せてあげるよ)」
先頭を突っ走る玲が、バックミラー越しにタケルのスイスポを観察しては、タケルがどう本気を出すのかをじっくりと見ていき。
タケルは玲に負けじとアクセルを早めに開け、スーチャーの低中速トルクを活かしてはコーナー出口からの加速で玲のスイスポに食いつく。
「へぇ〜そう来たか…。スーチャー仕様にしては立ち上がりから積極的に仕掛けに来るというんだね。確かにそれならスイスポの高回転フィーリングを活かしては性能を存分に発揮できる。でも、上りじゃターボ仕様であるボクのスイスポに、どこまで食らいついていけるかな…」
前から観察する玲はタケルのスイスポがスーチャー仕様であることに加え。立ち上がりで自分に追いつこうとするその走りを認めながらも次のコーナーへと突っ込み。
タケルもまた、先程と同様にテールスライドからの立ち上がりで玲のスイスポに食いついては均衡状態に持ち込もうとするのであった。
赤城山 頂上
二台がスタートしてから数分が経過し、上りのゴール地点である赤城の頂上では、高橋兄弟と緒美、結衣が二台のスイスポがここを上り切るのを待ち詫びていた。
結衣は山道を眺めながら、涼介にそっと尋ねる。
「あの…もしよければお聞きしたいことがあるんですけど…」
「なんだい、結衣ちゃん」
「タケル君と玲さんが乗っているスイスポについてなんですけど、あの二人が走るのにどう違いがでるのか、私に教えていただけますか?」
タケルと玲のスイスポがどう異なるのか涼介に聞くと、その質問に涼介は答える。
「あの二人が乗るスイスポは一見同じように見えるかもしれんが、チューニングが全く異なる仕上がりになってるんだ。斎藤のスイスポはコンプリートエンジンを載せながらも、200馬力近くへとパワーを抑え、スーパーチャージャーを活かしたセッティングにしている。中低速からのレスポンスが抜群で、NAさながらの鋭い立ち上がりも良くなっては、車重の軽さとハンドリングを最大限に引き出せる。つまり、斎藤が乗っているスイスポは…峠に適したバランス型のマシンに仕上がっていると言える…」
「そうなんですね。じゃあ、玲さんのスイスポはタケル君の乗っているスイスポはどう違うと…?」
「藤咲のスイスポはターボを付けては
「要は…同じスイスポでも、スーチャーVSターボによるバトルってわけだ。中盤から難易度が高くなる赤城をあの二人がどう走っていくかによって決まるってわけだ」
「そうですか…。私にはあまり違いがわかりませんが、二人は同じ車とはいえ、異なる走りをしてると見ていいのですね」
涼介の解説を聞き、タケルと玲のスイスポがそれぞれ異なると知った結衣は。二人が赤城でどれ程の激闘を繰り広げているのかを感じるのであった。
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