頭文字D 峠の弾丸   作:ペンギン太郎

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 更新しました。
 長らく待たせてしまいましたがようやくスイスポの走りを書くことができました。
 ここに至るまで色々と本を読んだりFFの走らせ方の動画を見ては私なりにバトルの描写を考えては来ましたのでどうぞご覧ください。


ACT.7 秋名の弾丸

 秋名山 頂上

 

 

 秋名にてパフォーマンスを終えた高橋兄弟が頂上に戻ってくるや、ワンボックスカーからタイヤを出してはFDのタイヤ交換をする。

 

 

 「状況によってタイヤを使いわけてんのかァ…。本格的にやりやがって」

 

 「ははは…。もう遊びを通り越して完全にガチンコでやろうとしてますね」

 

 

 池谷達は今夜の交流戦にレッドサンズがチーム総出で本気で挑んでくることに焦りを募らせては不安になるばかりであった。

 

 

 「来てねーよ兄貴…。例のハチロク」

 

 

 タイヤ交換が終えるのを待つ啓介は対戦相手となるであろうスイスポがいるにも関わらず秋名のハチロクが来てないことに苛立ちを募らせるのだった。

 

 

 「どうやら向こうはあのスイスポが代表として出てくるみたいだが、いいぜタイムアタックで大差をつけてあいつとの実力差を見せつけてやる!!」

 

 

 啓介は反対側に停めてあるスイスポとそのドライバーであるタケルを睨みつけては本格に潰してやろうと躍起になっていた。

 

 

 「タケル、すまないがそろそろ準備してもらってもいいか」

 

 「了解です」

 

 

 スイスポを動かそうと車を停めてある駐車場に向かうタケル。池谷達が緊迫したムードに包まれては静まっているにも拘らず、タケルただ一人だけがバトルを楽しそうにする。

 

 

 「池谷先輩、交流戦の最初は下りで勝負すると聞いてますけど上りと比べたらどう違うんですか?」

 

 「お前それすら知らずに交流戦を観に来たのかよ。いいかイツキ。下りはスタート地点からスピードのコントロールを出すのが難しく、上りではミスしても誤魔化しが効くけど下りはミスしたら即座に命取りになるんだ。重力が働いては車を止めようにも中々止まらず扱うのにかなり苦戦するからな」

 

 「ふむふむ。それで…」

 

 「その分下りは車の性能差があまりなくなるから場合によってはパワーのない車でも勝てる可能性がありえるから走り屋の間じゃ上りよりも下りを速く走る奴が格好良く見えてしまうんだ。つまり下りでの勝負なら馬力の劣るタケルのスイスポでも僅かながら勝算はあるってことになるんだ」

 

 「そういうことでしたか。じゃあこの勝負負けるわけにはいかないっすね!!」

 

 「おいイツキ。あまりプレッシャーを与えるようなことを言うのはよせ、タケルがビビっちまうだろうが!!」

 

 「大丈夫ですよ池谷さん。僕はいうほど緊張していませんからね」

 

 

 池谷の心配をよそにタケルは車に乗り込んではスタート地点へと移動させ、FDの横に並べては戦う相手である啓介と対峙する。

 

 

 「ほぉ…俺を相手に免許取って間もない奴を出して来るとは随分と舐められたもんだな」

 

 「別に舐めてるわけじゃありませんよ。本来なら出る筈だった池谷さんが直前に事故を起こしては出れなかっただけですので」

 

 

 啓介が闘争心剝き出しでこちらを睨みつけていながらもタケルは臆することもなく寧ろ今から行われるバトルを待ち遠しそうな表情を見せており、余裕ありげな顔をするタケルを見た啓介はふんと鼻息を鳴らす。

 

 

 「まぁいい…。今晩は楽しい夜を過ごそうじゃねえか。俺は高橋啓介、お前は?」

 

 「斎藤丈瑠です。以後よろしく」

 

 「そうか。その名は覚えておくよ」

 

 

 互いに自己紹介を終えては車に乗り込み、エンジンを掛けてはいつでも出れるよう準備を始める。

 

 

 「それじゃあカウントを始めるぞ。カウント10秒前!!」

 

 

 レッドサンズの史浩が二台の真ん中に立ってはカウントを開始する。

 啓介が13Bを蒸しては勢いを出す一方タケルはM16Aを回してはいつでも出れるよう体勢を整える。

 

 

 「5、4、3、2、1…GO!!」

 

 

 カウントが切られると同時に史浩が腕を振り降ろすや、二台の車はスタートダッシュをしては秋名の道路を駆け抜け、タケルと啓介による秋名のダウンヒルが始まった。

 スタートダッシュにおいてはリアに荷重がかかる後輪駆動(FR)のFDが先頭を取っては前を駆け抜ける。

 

 

 「(悪いがこれはタイムアタックだ。コースレコードがかかってる以上手を抜くわけにはいかないからな!!)」

 

 「(やっぱり出だしはFRが有利なのは当然か。でもまぁ…やる前からわかってたことだしね)」

 

 

 タケルのスイスポは駆動方式が前輪駆動(FF)であるが故にFDに後れをとったが、徐々にスピードを上げてはFDに離されないようマージンを保ちながら車を走らせていく。

 

 

 『来たぞ、先行を走っているのは高橋啓介のFDだ!!』

 

 『後続のスイスポも走れてはいるがかなり差がある。これはもう勝負が決まったのか』

 

 

 1つ目のコーナーをFDがコーナー手前にて減速させてはスムーズに曲がっていく。

 

 

 「(ここを何度も走ってきたのかブレーキングからのコーナリングはきっちりとしてるね。でも、僕だってそれなりにここを走り込んできたんだ。練習の成果見せてやるよ)」

 

 

 タケルはコーナーの手前でブレーキを踏んでは車を減速させ、アンダーを出さないようステアリングを手早く回しコーナーを曲がっては通り抜ける。

 

 

 「(ほぉ…やるじゃねえか。スピードスターズは断じて下手くそばっかしだったが、あいつに関していやしっかりとアクセルを踏めては走りに無駄がないな)」

 

 

 ミラー越しに後ろを走るスイスポを見てはタケルの走りを評価する啓介。しかし勝負となれば話は別、両者は互いに燃えては秋名の峠を駆け抜ける。

 車の性能面においては1.6LのNAのスイスポと排気量が1.3Lと少量ながらもマツダ独自のロータリーエンジンを搭載しターボを載せているFDでは直線(ストレート)においてその差が開いていく。

 

 

 「(どうやらあの人はFDの持つハイパワーをフルに使っては直線(ストレート)で差を広げようとしてるみたいだね。けどその走らせ方が後に響かないといいけど)」

 

 

 

 

 

 秋名山 頂上

 

 

 「(スタートダッシュを見る限り精々よくて150馬力…。前回と比べるとあのスイスポはスーチャーを載せては少しだけ馬力を上げ、足回りを固めにしてはブレーキングを強化してきたみたいだな…。確かにそれならタイトなヘアピンが続く秋名のコースには適したセッティングだから理に適っているが…それでうちの啓介に勝とうとするならば、FF特有のコーナーからの立ち上がりで勝負を決めにいくつもりだろうな)」

 

 

 スタート地点にて待機している涼介はスタートダッシュの排気音(エキゾースト)を聞いてはタケルのスイスポの仕組みを分析し、弟の啓介にどうやって勝とうとするのか勝算を導き出す。

 

 

 「(だが、FFは下りにおいてはフロントタイヤを酷使する為後半に入る時にはタイヤが垂れてくるだろうからな。それでうちの啓介に勝とうというのならタイヤの使い方を間違えないようにすることだな)」

 

 

 それと同時にFFならではの弱点も涼介は見抜いていたのだった。

 

 

 

 

 

 FDが秋名の峠をドリフトでコーナーを曲がるや、スイスポも後に続いてはタックインで車を曲げてはコーナーを抜けきり、両者は接戦を繰り広げていくのである。

 

 

 「(この先は右からの勾配がキツい左だ。ドリフトはできない以上あれを使っては攻め込むか)」

 

 

 先週啓介が秋名のハチロクと初めて遭遇しては抜かれたポイントで、啓介がコーナー手前で減速するのに対しタケルは減速せず突き進んで行くや右のコーナーを曲っては左へと入る。

 

 

 「(あいつ、ハチロクと同じドリフトでこの先を抜けるつもりか!?あれは秋名の峠を知り尽くしたハチロクだからこそできたテクニックをあいつはFFのスイスポでどう抜けていこうとしていくんだ…!?)」

 

 

 啓介はスイスポがハチロクと同じように勾配のキツイヘアピンを抜けて行く気なのかと目を疑い、スイスポは右を切り抜けては勾配のキツイ左へと差し掛かる。

 

 

 「(よしっ、右を抜けた。後はこの先の左のヘアピンをどう切り抜けるかだが…。仕方ない…ぶっつけ本番で試すとするか)」

 

 

 右から左へ曲がっていく際荷重を掛けては曲がっていくも姿勢が乱れてはそのまま左のコーナーへと向かっていく。

 

 

 「(バカ野郎が…いくら地元とはいえ慣れないことをして…なっ!?)」

 

 

 啓介はここでスイスポが車体をガードレールにぶつけてしまうのではないかと目を見張るも、スイスポはテールランプをフッフッと点灯させては姿勢を立て直し荷重移動で車を曲げては次の直線へと突入した。

 

 

 「(どうだ見たかおじさん直伝の左足ブレーキを!!教習所で試しにやったらこっぴどく怒られたけど覚えておいて損はなかったみたいだね)」

 

 

 左足ブレーキ

 

 本来はFRではあまり使わないドラテクだがFFはアクセルを開けばFF特有アンダーを出すため左足でブレーキを踏んでは姿勢を制御する為に用いられる技の一つである。

 

 

 「あの野郎…左足でブレーキを踏んではリアの荷重を落としては立ち直りやがった。あれのどこが免許取って間もない奴の走りだよ!?ここを走り込んではあらゆるコーナーを知り尽くしていなきゃあんな技できたりしねぇぞ!!」

 

 

 初心者とは思えないテクニックに啓介は驚愕するも、勝負はまだ前半でスイスポを抜く余裕があるため気を取り直してはアクセルを全開に踏み込む。

 

 

 「(ハチロクとやり合えなかったのは残念だが、あいつとなら本気でバトルすることができる気がしてきたぜ!!もうタイムアタックなんざどうでもいい…今は全力であのスイスポをぶっ潰してやる!!)」

 

 「(どうやらあの人を本気にさせてしまったみたいだなぁ。とりあえず勝負に集中しないと…)」

 

 

 啓介はスイスポと走りに感化されたか、闘争心を燃やし始めてはスイスポを追いかけていき、タケルも後ろから吹き出る気迫を感じたのか一呼吸しては集中し出しては自分の走りに専念するのだった。

 

 

 

 

 「(なんだ…これ。異様なムード…。そこら中のカーブに人がびっしりと並んでる…。こいつらここで何してんだ?一体何が始まってんだァ!?なんか俺…変なとこに来ちまったなー。場違いな感じ…)」

 

 

 秋名の下りにてタケル達が激しいバトルを繰り広げているその頃、車を走らせてたのは秋名のハチロクこと藤原拓海で、父親から交流戦に出るよう言われては秋名山に来たものの、今秋名の峠は啓介とタケルによるダウンヒルで盛り上がっており。ここに来たのが間違いではないかと拓海は思いつつあったが言われたからには進まないといけない為、頂上を目指していくしかなかった。

 そして今、自分が向かっているであろう上り方向から二台の車が攻めてるのを拓海は知らなかった。

 

 

 

 

 

 秋名の峠を駆け抜ける二台がブラインドコーナーに差し掛かるやその場で待機していたオフィシャルが誘導棒を振り回しては合図を送る。

 

 

 「ちっ…折角熱くなってる最中に邪魔が入ったか…」

 

 「やれやれ。いくらバトルとはいえ公道でやってる以上こうなるか。そもそもこんなことをやり合ってる僕達がイケないんだけどね」

 

 

 対向車が来ると知った二人は車を左車線に移しては車が通り過ぎるのを待ち、ブラインドコーナーからヘッドライトの明かりを灯しては近づいてくる車を確認する。

 

 

 「(え?あれってこの前抜いていったRX-7と後ろの黄色い車はタケルであってるよな?何してんだこんなとこで…)」

 

 「(秋名のハチロク!?まさかこの状況ですれ違うとはな…。丁度いい、これが終われば次はお前が相手だ!!)」

 

 「(なんだあの人?俺のことを見ていたような気がしたんだが…。何か水を差すようなことしてしまったのかな?)」

 

 「(やはりハチロクのドライバーはお前だったか拓海…)」

 

 

 なんと反対車線から来たのは拓海が乗るハチロクで、二人はすれ違うハチロクを見てはそれぞれが異なる反応を見せ。ハチロクが通り過ぎたのを確認してはバトルを再開させ、先頭はFDが陣取ってはその後ろをスイスポが距離を保ちながらも走り続けるのだった。

 

 

 

 

 

 秋名 第1中継地点 スケートリンク前

 

 

 『なあ聞いたか。どうやらスピードスターズはスイスポをチームの代表として出してきたみたいだぞ』

 

 『正気(マジ)か?スイスポったらテンロクのNAだろ。そんな車でターボを搭載したFDにどう勝つっていうんだよ』

 

 『ま、この勝負はレッドサンズの勝ちで決まりだな。そもそもやる前から決まってたようなもんだしよ』

 

 

 スケートリンク前に観戦に来ていたギャラリーは二台が熾烈なバトルをしているのに気付かず好き勝手に騒いでいるものの、頂上からスキール音が響き渡るや視線を車が来る方向に向ける。

 

 

 『戦況は一体どうなっている?』

 

 『トップは高橋啓介のFDだ!!』

 

 『やっぱ秋名の走り屋じゃレッドサンズに敵わないのも当然か』

 

 

 序盤はギャラリーの予想通りFDが前を取っており。先程までは勾配のキツいコーナーでスイスポに抜かれはしたが直線に入っては即座に抜き返した為再び順番を入れ替わる形になったのである。

 

 

 『お、おい待て。FDの後ろにスピードスターズのスイスポがついて行ってるぞ!!』

 

 

 ギャラリーの一人が叫んだので見てみるや、前を走るFDの後ろをタケルが乗るスイスポが猛スピードで駆け抜けてはギャラリーの前を横切りFDの後を追っていく。

 

 

 『は、速えぇっ…。あのスイスポ、まるで弾丸のような走りをしていたぞ』

 

 『けど信じられねぇ…300馬力以上もあるFDを相手に半分以下の馬力しか出ない車がやりあうなんざ普通じゃねえよ』

 

 『何なんだあのスイスポは!?高橋啓介の走りについていくなんざどう見たって只者じゃないぞ!?』

 

 

 ギャラリーはスイスポがFDとほぼ互角にやりあっている姿に驚きを隠せず、その走りに只々圧倒される。

 

 

 「(くそったれが!!ここまで走っていながら俺の走りについて来られるとは一体どういうことだ!?走り出したのがつい最近だというのに何故あんなにも走り熟せているんだ…!?)」

 

 「(これはやっぱあれかなぁ…。拓海の親父さんが教えてくれたあの特訓(・・)の成果が出たみたいだね)」

 

 

 タケルが何故ここまで走れるようになったのかというと話は昨日の夜に遡る。

 

 

 

 

 

 「くそっ!!どうやったら紙コップの水が溢れずに走れるようになるっていうんだ!!拓海の親父さんから聞いた話だとドラテクを身に付けたいならこの方法が一番手っ取り早いって言っていたけどこれが一体何の役に立つっていうんだよ…」

 

 

 交流戦を翌日に控えた夜。タケルは怪我をしては出れなくなった池谷に変わっては交流戦に出ることになっては秋名山にて走り込みの練習をしており。運転席の横にある缶ホルダーに水の入った紙コップを置いては秋名の峠を走り続けていた。

 

 

 「(ギアを落としてゆっくり走ってもダメ、ステアリングをあまり切らずにコーナーを曲がっても即座に溢れるし。思いの外難し過ぎるぞこれは…)

 

 

 試しに教わった特訓方法を実践してはみたものの、この練習方法は一見大したことには見えないがこれが思いの外かなり難しい上やり始めては車内を水浸しにしてしまい、タケルはヤケクソになっては愚痴をこぼす。

 

 

 「(どれを取っても水が縁からはみ出しては溢れてしまう。一体どうやって走れば…待てよ。確か親父さんは『紙コップの中で水を回せ』って言ってたけどそれって一体どういう事なんだ…?)」

 

 

 特訓方法を教わった際文太がタケルに水をコップの中で回すように言ったのを思い出しては予め買ったペットボトルの水を紙コップに入れ缶ホルダーに置いては再び練習をする。

 

 

 「コップの中で水を回す…。聞いた時はどういう意味か分からなかったけど今思えば水をかき混ぜるように回しながら走ってみろってことだよね」

 

 

 文太から教わったヒントを頼りに再び車を走らせては水を回すようにイメージしながらやり続けるタケル。その際水はコップの縁から出てしまうも先程よりも溢す量が減っていた。

 

 

 「そうか…これは走りの技術を上げる為の練習じゃない。荷重移動を身につける為の練習方法だったんだ!!」

 

 

 この時タケルは文太が何故自分にこの特訓を教えてくれたのか漸く理解した。

 紙コップの水を溢さないように車を走らせるというのはかなりのコントロールを要するものであり、タケルは今まで自分がしてきたことは単に車を滑らせてただけで。本当の意味で車を走らせるというものとは程遠かったことに気付いたのであった。

 

 

 「そうと分かれば練習を続けないと。交流戦までもう時間がないんだ、これをやっては荷重移動をコントロールしないと」

 

 

 タケルは荷重移動のコントロールが身に付くまで峠を走り続けていき。その結果、溢さないように走りきるには至ってはいないがその経験の積み重ねによってタケルは荷重移動のコントロールを得ていたのであった。

 

 

 「(秋名の下りはカーブが入り組んではストレートが短いのが特徴だ。僕が高橋啓介に勝つ方法があるとするならばコーナーからの立ち上がりで勝負を決めるしかない!!)」

 

 

 一夜漬けとはいえ特訓の成果によって得た荷重移動を駆使しては啓介の後を追い勝負は後半戦へと入っていく。

 

 

 

 

 『もしもし…こちら第1中継地点スケートリンクのストレート。聞こえるか?』

 

 「こちらスタート地点…。どうした?」

 

 『えらいことだぜ!!今二台が通過したけど啓介がスイスポにケツを突っつかれてるぞォ!!何がなんだかわかんねーけど異常だぜ!!秋名代表のスイスポはめちゃくちゃ速い!!』

 

 「!! なんだと、啓介がスイスポに追いつかれてるだと…」

 

 「そうみたいだな。ここまでやるとは正直予想外だったな」

 

 「(僅か一週間で啓介に追いつくまでのレベルに達するとは俺の予想をはるかに上回る飲み込みの高さだ。この勝負、啓介では奴を相手にするのは荷が重かったか…)」

 

 

 タケルの常識を超えた走り屋としてのセンスの良さを評価した涼介はこのバトルにおいて、啓介が負けてしまうのではないかと予測する。

 

 

 

 

 秋名 5連続ヘアピン前

 

 「(コーナーワークにおいてはほぼ互角。ってことはコーナーからの立ち上がりで俺があいつに負けてるってことになる!!そんな事実、絶対に認めたくねえ!!)」

 

 

 啓介は自分が何故馬力の劣るスイスポに追いつかれているのか勘付いてはいたが、プライドが高すぎるからか目の前で繰り広げられる展開に苛立ちを隠せずにいた。

 

 

 「(どうやら弟の啓介は兄みたいなドラテクはないみたいだね。コーナーを曲がっていく際無駄があるしFDが持つハイパワーを持て余してるよ)」

 

 

 後ろからFDを追い続けるタケルはFDの走りがパワーをフルに使った荒々しい運転をしているのに気付くや勝負を仕掛けようとする。

 

 

 「(今のところまだタイヤは保ってくれているみたいだ。勝負を決めるのはこの先の5連続ヘアピン。そこでタイヤの使い方を誤れば馬力による直線(ストレート)の差でこっちが負けてしまう)」

 

 

 バトルの決着を秋名の5連続ヘアピンで決着を付けようとタケルはギアを上げてはヘアピン手前のコーナーを抜け、そこから立ち上がりにて前に出るやFDと車を並ばせる。

 

 

 「(ここで決めにいくつもりか!?この先は極力減速しないと曲がりきれない魔の5連続ヘアピン。あの野郎…ブレーキングからの立ち上がりで俺に勝とうとでも言うのか!!面白れぇ…、そっちがその気ならそれに乗っかってやろうじゃんかよ!!)」

 

 

 啓介はタケルの狙いを掴んでは負けられまいとブレーキを踏み込んでは5連続ヘアピンでの勝負を挑む。

 

 

 「(こいつの最大の武器は低速トルクからの高出力の伸びだ。車の性能は馬力だけじゃないってことをここで証明してやる!!)」

 

 

 二台は一つ目のヘアピンに入るやブレーキを踏んではスピードを落とし荷重を掛けては5連続ヘアピンを抜けきるや。ブレーキング→コーナワーク→立ち上がりで勝負を仕掛けようとタケルはスイスポのエンジンを回してはパワーを絞り出し、立ち上がりからの加速で勝負を決めに行く。

 

 

 「舐めるな!!パワーにおいてはこっちが有利だ。そんなもんすぐさま抜き去ってやる!!」

 

 

 啓介もコーナーを抜けてはアクセル全開でパワーを出そうとする。しかし、

 

 

 ズルッ

 

 

 「なっ!?」

 

 

 FDはスピードを上げるどころかスイスポとの距離が開いていき。スイスポは徐々にスピードを出してはFDとの差を広げつつあった。

 

 

 「まさか…自分でも気付かない内にタイヤはもう限界が来ていたのっていうのか…!?」

 

 

 タケルの予測は見事に的中。啓介は走りに置いてはFDを荒々しく走らせてはタイヤを痛めつけてきた為後半で限界が来ては垂れてしまい突き放されていく。

 

 

 「思った通りだ。ただでさえFDの持て余すハイパワーをまともにコントロールできていないにも関わらず攻めて行ってはタイヤを酷使し続けたのがあんたの敗因だよ」

 

 

 スイスポはFDを引き離していってはゴール地点へと突き進み、勝負はスピードスターズに軍配が上がるのであった。




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