狂って歪んで 作:むきむき
プロローグ
無垢なものほど穢してしまった時の罪悪感や背徳感は凄まじい。
例えば新雪を踏み荒らしたとき
例えば可愛い着ぐるみの中身を晒したとき
そして……小さな子どもの人生を歪ませたとき
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転生した。前世のことはあまり覚えていない。しかしそんなことはどうでもいい。好きなことは覚えている。やりたいこともできた。ならそれに向かって突き進むだけである。純粋に夢を追いかける様はまるで少年マンガの主人公みたいだ。とりあえず自己紹介を
さいおんじ ことの0さい! ゆめはみんなのじんせいをゆがませること!
ぜんぜん少年マンガの主人公ぽくないって?
……別にいいだろ文句あんのかー
ひとまずこれからの計画を立てよう。綿密な計画こそが成功の秘訣なのだ。仕事は事前準備が八割だとどこかの偉い人も言っていた。計画性もなくノリだけで生きているやつは将来的に破滅することは歴史が証明している。わたしは賢いのでそんなバカなことはしない。まずは大まかな流れを決めよう。純粋無垢な少年少女を歪ませたいが今はわたしも見た目だけは純粋無垢の塊である赤ん坊なのである。これを使わない手はないだろう。そうだな……純粋無垢な存在を自分勝手に穢してしまったという罪悪感と背徳感で歪んでいく……みたいな感じで行こう。我ながら名案すぎて思わず「にへぇ」と笑みが溢れる。考えるのはこのくらいでいいかな。なんか考えるの疲れたし。まぁいい、あとはノリだよ。人生勢いが大切なのだ。うじうじ考えてるやつより行動的なやつの方がいいに決まっている。
♢♢♢♢♢♢
「ぎゃあああぁぁいあああいあぁぁぁあああ!!」
赤ちゃんを初めて見たときすこしきもちわるいと思った。
お母さんには悪いけどなかよくできる気がしなかった。
だけど「にへぇ」としあわせそうに笑う顔を見てそんな思いはどこかにいって
「ほら詩織、お姉ちゃんなんだからご挨拶は?」
「う、うん……よ、よろしくね」
この子を守ろうと、幼いながらにそう誓った。
♢♢♢♢♢♢
琴乃が生まれてからわたしはずっと琴乃といっしょにいた。初めてできた妹がかわいくて仕方がなかった。そのせいで琴乃の第一声がお母さんでもお父さんでもなく「ねぇね」だったときはお母さんもお父さんもすこしざんねんそうだったけどとてもうれしかった。そうして琴乃が生まれてから五年ほど経ちわたしも7歳になった。
「おねーちゃんおかえりー!!」
「ただいま!」
リビングから飛び出して玄関で抱きついてくる琴乃を抱きしめてその温もりを全身で感じる。
「んぅっ」
「どうしたの?」
何が起きたのか自分でも理解してなさそうな琴乃に素知らぬ顔で問いかける。
「なんかね、えっと……おまたのところがむずむずしたの!」
その何の穢れも知らない無垢なセリフに罪悪感と背徳感を覚える。内に秘めた無垢とは程遠いほど醜悪な劣情をひた隠しなんでもないかのように振る舞う。
「じゃあお姉ちゃんが治してあげる!」
「できるの! おねーちゃんすご〜い!」
あの日立てた無垢な誓いは脆く崩れ去っていた。
???「これは自論だけどね 愛ほど歪んだ呪いはないよ」