狂って歪んで 作:むきむき
隣の席の変な奴
突然だが、うちの高校にはとんでもない美人が二人いる。
The清楚系お姉さんの西園寺 詩織ちゃん
無口でクールな西園寺 琴乃ちゃん
そして後者はわたしのクラスメイトだ。
ガラガラガラと戸を引く音。
騒がしい教室が一瞬、静寂に包まれる。
短めのスカートから覗くスラリと伸びた長い純白の足
ボタンの開いたブレザーからは細い胴と控えめながらも存在感のある胸が窺える
そして肩口で綺麗に切り揃えられた髪を靡かせた、シミひとつないすべすべお肌のお顔が眩しい。
かわいい。かわいすぎる。
やばくないか???
これには神様の不平等さを感じざるを得ない。
というか神そのもの。女神だ。
「さ、西園寺さんおはよう」
今日も彼女にお近づきになろうと挨拶をするものが現れた。
「……おはよう」
「えっと、その、こ、今度の日曜日、空いてる?」
おいおい、そりゃ欲張りってもんだぜぇ
わたしなら挨拶返してもらった時点で満足してその日一日はハッピーなのに。
「…………」
「いっしょにお買い物でもどうかなーなんて、あはは」
「………………」
「……その、だめ……かな」
「……いいよ」
!?
まさしく青天の霹靂。
教室の空気が静かにざわつく。誰も彼もこの無謀なバカが休日のお買い物デートの約束を取り付けることができると微塵も思っていなかった。
「ホントに! ありがとう! じゃあ連絡先交換しよ!」
「うん」
ずるい! ずるいぞ! なんだアイツ! わたしの琴乃ちゃんなのに!
連絡先を交換してえっちな写真とか送るんじゃないだろうな!
そんでもって琴乃ちゃんの番とか言ってえっちな写真を要求するんだ! そうに決まってる! だって陽キャ女子だもん!
陽キャ女子への偏見を加速させながら勝手に琴乃ちゃんのえっちな写真を想像してあわあわしていると琴乃ちゃんが向かってきた。
よーし、わたしも挨拶するぞー。
大丈夫、席は隣なんだから一番仲がいいのはわたしのはずなんだ!
決めろぉー! 陰山 鈴鹿!
「ぁ、ぉ……ょ」
《おはよう! 鈴鹿ちゃん!》
やってやったぜ^_^
へへ、やりゃぁできる子なんですよ。わたしは。
これで今日も一日ハッピーだと満足していると琴乃ちゃんの足がわたしの席の前で止まる。そんでもってこっち見てる。
……もももしかして、怒ってる!?
やばいやばいやばいどうしよう、生いってさーせんした。もうしません。神に誓います。あっ神は貴女さまでございやしたね。へっへっへ。靴でもなんでも舐めますぜ。レロレロレロレロレロレロ
「…………おはよう」
(°▽°)
スタスタと前を通り過ぎて何事もないように席に座る琴乃ちゃんを悟られないように視線だけで凝視する。
相変わらずすげーいい匂いだったし、わたくしめにあ、あああ挨拶をしてくださった。
これが極楽浄土ってやつか……。
一人で大はしゃぎ(笑)をしていると琴乃ちゃんが船を漕ぎ始めた。
おねむな君も可愛いよ。マ〜イプリンセ〜ス₊⁎
いえーーい!!
トゥントゥクトゥントゥクトゥントゥクトゥーン♪
♢♢♢♢♢♢
お姉ちゃんに引っ付きながら帰路につく。
勉強は学校行かなくてもわかってるから登下校にお姉ちゃんと引っ付くためだけに学校に通っていると言っても過言ではない。
「琴乃、お友達できた?」
「うん、できたよ」
別に要らないけど、お姉ちゃんが作ってほしいなら仕方ない。まぁ友達というよりファンだが。特に隣の席の奴。目線だけ動かして見てるのバレてますよって言おうかな、おもしろそうだし。
「頭撫でて」
「もう高校生なんだからダメ」
そんなことよりお姉ちゃんが最近冷たい。
たぶんわたしの姉離れをしようとしてくれているのだろう。独占欲強いのに優しい。でも、わたしはお姉ちゃんと結婚するつもりだから関係ない。
「おねがい」
きゅっとお姉ちゃんのブレザーの裾をつまんで、上目遣いで目を合わせる。
「うっ……もう、最後の一回だからね!」
そうすれば優しくてあったかい手でわたしの頭を撫でてくれるのはずっと前から知っている。
「えへへ、ありがと。お姉ちゃん大好き」
「っ!」
はにかみながら抱きついて胸に頭をうずめる。
鼻を通って頭の中がお姉ちゃんの匂いでいっぱいになって幸せが溢れ出す。おかしくなってしまいそうだ。
ドクンドクンとお姉ちゃんの胸から聞こえる心音が速くなるのを確かめて、
お姉ちゃんもわたしで興奮してくれてるという事実に安堵と歓喜が湧き出てくる。少し顔が熱い。
このままだと歩けないので暫く堪能したら離れてまた歩く。
「そういえば、今度の日曜日に友達と遊びに行くの」
「そ、そ、そう。へぇー……どこに行くの?」
「決まってないけど、お買い物しに行く」
「ふーん、へー、ほー」
こう言えば、心配性で独占欲の強いお姉ちゃんなら尾行してくる。
そこでお姉ちゃんの居ないところでもお姉ちゃんLOVEなのを見せつけてやろう。