狂って歪んで 作:むきむき
陽キャ女子尾行中なう。
なんでかって?
わたしの琴乃ちゃんが陽キャ女子にあんなことやこんなことされないか見張るダメだよ!
「ぐへへ、相変わらずいい身体だぜ」とか言って琴乃ちゃんを手籠にしようとしたところを颯爽と駆けつけてこういう言うのだ。
「わたしの連れに手を出すなってね!」
かっこいいぜ!
そして頬を染めながらわたしの顔をチラチラ見る琴乃ちゃんに「わたしの顔に何かついているかい?」と囁くのだ……
琴乃ちゃんの連れって陽キャ女子じゃね? という意見は受け付けません。
うへへとよだれを垂らしながら笑う不審者が完成したところで、今日のコーデチェックの時間だ。
正体がバレてはいけないのでデカいグラサンと黒のパンツとパーカーを着用している。
あとはここにマスクをして変装完了!
違う意味でチラチラみられるんじゃね? という意見は受け付けません。
町に溶け込めてるから! きっと同じコーデの人いるから!
通行人からの訝しむ目線を耐えながら尾行を続ける。お願いだから通報だけは勘弁してください。
ちなみに陽キャ女子を尾行しているのはわたしの家とコイツの家が近いからだ。コイツについて行けば必然的に琴乃ちゃんとの待ち合わせスポットに辿り着けるということなのだよ。
琴乃ちゃんの私服楽しみだなーと考えながら歩くこと5分ほど。陽キャ女子がベンチに座った。たぶん着いたらしい。
めっちゃそわそわしててワロタ。にしてもなんか服気合い入ってんなー。何着てんのかぜんぜんわからんけど。
わたしも素知らぬ顔でちょっと離れたベンチに座る。足が痛くてたまらない。ヒキニート予備軍にはなかなか辛い旅路だった。
燦々と輝く太陽に焼かれ、アンデットのように悶えること数分。
「おまたせ」
わー!
かわいいー!
生私服だわー!
デニムの名前わかんないけど短パン最終形態みたいなやつ(ホットパンツ)に無地の白Tだけとかいう自分に自信のあるものにのみ許された格好をしていらっしゃる。
太ももが眩しい。
太陽と太ももに浄化されそうになりながら意識を失わないように必死に耐える。
今日のミッションはここからなんだ! …………ん?
なんか琴乃ちゃんの後ろに不審者コーデの奴いる。
え? もしかしてこのコーデ流行ってるの? まじで?
本当に同じコーデの人がいるとは思わなかったぜ。
♢♢♢♢♢♢
わかりやすいお姉ちゃんに気づかないフリをして集合場所に行ったらお姉ちゃんが増えてた件について。
やばい、どっちが本物だ……?
というか本当に本物がいるのか不安になってきた。
最低でも二分の一の確率でガチ不審者が紛れ込んでいる。
どうしよう……そうだ! 一旦お姉ちゃんに電話してみるか!
わたしは天才だぁ!
「ちょっと電話していい?」
「ぜんぜんだいじょうぶ!」
ふむ、ぜんぜん知らんかったけどこいつなかなかいいやつだな。集合時間前にきてわたしを待たせることもなかったし。
今度学校で会ったらこっちから挨拶してびっくりさせてやろうかなと考えながらスマホを取り出して電話をかける。
慌ててスマホを取り出したらお姉ちゃんだ。
プルルルル
『もしもし! どうしたの!』
ワンコールで電話が繋がると同時に急に走ってどっか行った不審者一号。
これがお姉ちゃんだろう。たぶんだけど。
「なんか変な人がいたから不安になっちゃって」
『たしかに! めっちゃ変な人いたよね!』
「なんでお姉ちゃん知ってるの?」
『…………』
あ、切れた。
まぁこれ以上の追求はやめてあげよう。
抜けてるお姉ちゃんもかわいいなぁとにまにましながら集合場所に戻ると不審者二号が居なくなっていた。
…………そういえばまだ不審者一号と二号の違いを見つけてなかったな。
別にいっか、二分の一でお姉ちゃんだし。
♢♢♢♢♢♢
通報されるところだった……!
急に不審者コーデ仲間が走り去って行くから何かと思えば琴乃ちゃんが電話してたときはさすがに肝が冷えたね!
もっと慎重に尾行しないとな……
わたしの中のユリスキーとクモラセスキーが戦った結果ユリスキーが勝ったのでしばらくは普通の百合書く