狂って歪んで 作:むきむき
こちらが 濃厚クリームパフェ無双さんの
ストロベリー生チョコマシュマロパフェです
うっひょ~~~~~~!
提供時 あまりの大きさのパフェを見て
大きな声を出したら 店主さんからの誠意で
小分けの器をサービスしてもらいました
わたしの評価次第で今後もこの店の売り上げに貢献する事だってできるんだぞって事で
いただきま~~~~す! まずはアイスクリームから
コラ~!
これでもかって位ドロドロの濃厚アイスクリームの中には
砕いたクッキーが入っており 美味しさのあまり
先にアイスクリームを全部食べてしまいました~!
すっかり陽菜乃も立場を弁え 誠意のアイスクリームをわけて貰った所で
お次に 圧倒的存在感のイチゴを
齧る~! 殺すぞ~!
シャクシャクとした食感のイチゴの中には、大量の果汁が入っており
さすがのKOTONOも 美味しさのあまり 夢の世界に入って行ってしまいました~!
ちなみに、陽菜乃がじゃん負けして全額支払っている様子は ぜひサブチャンネルをご覧ください
<<4時間後>>
「映画面白かったね! 悟子ちゃんと勝くんの禁断の恋が実ってちょっと泣きそうになっちゃった」
「うん」
あれはハンカチなしでは見ることの出来ない作品だったぜ。兄妹の禁断の恋に対する数々の障害を乗り越えて、幸せなキスをして……わわーって感じだ。内容的にあまり他人事とは思えなかった。わたしとお姉ちゃんもいつかあんな感じになるのかな〜。えへ、えへ、えへへへへ。
「今日はもうお開きにする? 一通り周っちゃったけど」
「う〜ん」
えー、もっといっしょに遊びたいなぁ。でも、やることないしなー。
いや、なんかあるだろ。絶対なんかある。ないわけがない。娯楽飽和時代を舐めるな!
しわっしわの脳みそをフル回転させて遊ぶ口実を探す。なんだ……? あとなにがある……?
それになーんか忘れてるような気がするんだよね、さっきから。
「…………はっ!」
お姉ちゃんいないとこでもお姉ちゃんLOVE作戦だ……!
急いであたりを見回す。
不審者は……いない!? パ、パフェのところまでは一人は居たはずなのに!
「どうしたの?」
「ふ、不審者が……」
「えっ不審者!? どこ!」
「……いない」
「…………いないんだ」
「うん」
おかしいな。よほどのことがない限りついてくると思ってたのに。
……もしかして気を遣ってくれたのかな、視界に不審者がいたら楽しめないと思って。
そんなことないのになぁと思いつつも、お姉ちゃんの優しさに胸がきゅんきゅんする。
そういえば、友達をつくろうと思ったのも、お姉ちゃんのおかげだった。今こうやって友達と美味しいものを食べたり、お揃いのキーホルダーをしたり、映画を観ることができたのも、全部お姉ちゃんがいなければなしえなかったことだ。
本人がいないのに、その姿を思い描くだけでなんだかふわふわした気分になる。
わたしはそんなかっこいい人と両想いなんだと幸せを噛み締めながら、帰ったら今日のことをいっぱい話してありがとうって言おうと企む。
も、もし、いい感じになったらそのまま……
「琴乃ちゃん?」
「んぅ? どうしたの?」
「っ! い、いや、急に黙ってどうしたのかなぁって」
……性別は隠すけど、陽菜乃になら言ってもいいかな。アドバイスとかしてくれるかもしれないし。
息を整えて気持ちを整える。他の人にこの恋心を明かすのは初めてだから、少し緊張する。
「……好きな人のこと考えてたの」
「お〜そうなんだ……素敵な人なの?」
「うん! とっても!」
わたしには、もったいないくらいに
「……そっか。じゃあ今日はその人になんか贈り物でも買って終わりにしよっか」
それもいいかもしれない。やっぱり、なんでも相談できる友達がいるというのはいいものだ。自分だけでは思いつかなかったことも二人なら簡単に思いつく。……そういえば彼女の口から友達だと言ってくれてはいなかった。
急に不安になる。友達だと思っていたのはわたしだけではないのかと。迷惑をかけていたのではないかと。
「……ねえ、わたしのこと、どう思ってる?」
こんな聞き方は少し卑怯かもしれないけど、どうしても彼女の口から友達だと言ってほしかった。
「……かわいい友達だよ!」
「ありがと。……わたしも」
うれしいな、と柄にもなくそう思う。
「え〜照れるな〜。じゃあ大切な友達の恋が実るように頑張っていいの選ばないとだね」
「任せた。わたしは陽菜乃のセンスを信じてる」
えー、責任重いよーと愚痴る彼女を笑うと彼女も笑いだす。
こんな関係がずっと続いていくのだろうと、根拠もなくそう思った。
♢♢♢♢♢♢
私は小心者だ。
昔から人の表情を窺って生きてきた。吐いた言葉や浮かべた表情が本当か信じられなかったから。
よく言えば誰も傷つけない、悪く言えば面白みのない言動を心がけてきた。人に嫌われるのがなによりも怖かったから。
だからだろうか、人に嫌われることも、特別好かれることもなかった。
ただなんとなく仲のいい、けれどいなくてもいい人。それが私だ。
嫌われていないならそれでいいと思いつつ、少しみんなが羨ましかった。そんな思いを自覚しているのに、今日も好かれるためではなく、嫌われないために行動する。
琴乃ちゃんに会ったのはそんな色のない日常だった。
「あの子、やばいくらい可愛いんだけど!」
「わー、たしかに」
入学初日。大して気も合わないけど大きそうな女子グループに混じっていると、まるで絵本の中から飛び出してきたのかというくらい綺麗な子がきた。
きっとあの子もこのグループにくるだろう。どんな人も上位のグループに入りたがるものだし、彼女には入ろうと思うだけで入ることのできるだけの容姿があるのだから。
そんな私の予想は裏切られた。
「……え?」
彼女はそのまま誰とも話すことなく席について寝だしたのだ。
彼女にいろんな人が話しかけた。
ある日は可愛い女子が、
ある日はかっこいい男子が、
ある日はパッとしない子が彼女に話しかけた。
彼女は全員に素っ気なく接していた。
まるで誰にどう思われようと気にしないかのようなその態度は私とは正反対で、みんなから好かれる態度ではなく、理解できないものであったが、同時にどうしようもなく憧れた。
だから、勇気を出して彼女と仲良くなろうと声をかけた。
まさか休日いっしょに遊びに行けるようになるとは思わなかったが。
話してみると彼女……琴乃ちゃんは孤高のカリスマという感じではなかった。
「……ちょっと食べてみる?」
パフェが来なくてあまりに悲しそうな顔をするものだから、おかしくって笑ってしまいそうになるのを堪える。
「……いいの?」
「まぁ、そんな悲しそうな顔されるよりかはね」
「そんな顔してない」
そうむくれながら言う姿は幼い子供そのもので、私にしては珍しくからかってみたいと思った。
「じゃあこのパフェ要らないの?」
「……要らない」
ひどく葛藤したすえに、残念そうにパフェを諦める彼女についに笑いを堪えきれず、にやけながらパフェを乗せたスプーンを差し出す。
「もう〜冗談だってば。ハイ、一口どうぞ!」
「んむっ」
目を輝かせてスプーンを頬張る彼女。
「どう? 美味しい?」
「……うん」
きっとこの子は思ったことが全て顔に出るタイプなのだろう。今もにまにまと美味しそうに嬉しそうに口を緩めている。
「ありがと!」
幼い子供のように純粋で、思ったことが全て顔に出る。そんな彼女だから、小心者の私もその言葉も笑顔も信じることができた。
夢のようだった。話す言葉を考えずに、言いたいことを言って、笑い合う。
気が楽だ。もっといっしょにいたい。話をしたい。
何をしても、どこへ行っても、無邪気に笑ってくれるものだから、気づけば長い間いろんなところに彼女を連れ回していた。
「今日はもうお開きにする? 一通り周っちゃったけど」
今は暗くないがもう少ししたら陽が落ち始める。名残惜しいがあまり遅くまで遊ぶのもよくない。
「う〜ん」
琴乃ちゃんも名残惜しいと思ってくれているのだろうか。
恥ずかしくて聞けないけれど、私のことを友達だと思ってくれていると思うのであながち間違ってはいないと思うが。
「…………はっ!」
琴乃ちゃんの口から友達だと言ってくれればどんなに嬉しいかと考えていると急に辺りを見回しだした。どうしたのだろう。私も見回してみたが、特に変わったことはないと思うのだけれど……
「どうしたの?」
「ふ、不審者が……」
「えっ不審者!? どこ!」
「……いない」
「…………いないんだ」
「うん」
なに言ってるんだろう。いやなにを言っているのかはわかるんだけど。斬新なボケなのだろうか。ツッコんだほうがいいのかと思いつつも、なにをツッコめばいいのかわからない。ふと、視界の端に琴乃ちゃんが黙って俯いているのが見えた。
自分でもなに言ってるのかわかんなくて恥ずかしがっているのかな?
そう思い始めるとからかいたくて仕方がなくなる。
「琴乃ちゃん?」
きっと真っ赤になっているに違いない。琴乃ちゃんには悪いが少し楽しみだ。いったいどんな顔をして──
「んぅ? どうしたの?」
どくん
「っ! い、いや、急に黙ってどうしたのかなぁって」
なんだろう。今の顔。無邪気な琴乃ちゃんからは想像つかないような妖艶な……それになんだか胸が痛い。う〜、顔も熱くなってきた。
琴乃ちゃんを直視できない。こんなの初めてだ。
さっきは咄嗟に誤魔化しでどうしたのか聞いたがほんとにどうしたのだろう。あんな顔をするなんて。……考えたらまた胸が痛くなって──
「……好きな人のこと考えてたの」
え?
「お〜そうなんだ……素敵な人なの?」
胸が痛いのは変わらない。しかし、先ほどまでとは違う痛みがした。
「うん! とっても!」
急にどうしちゃったんだろう。琴乃ちゃんに好きな人がいるって知っただけなのに、胸にぽっかりと穴が空いたような、そんな気がする。
「……そっか。じゃあ今日はその人になんか贈り物でも買って終わりにしよっか」
何故か、否定してほしいと願っている自分がいる。
「……ねえ、わたしのこと、どう思ってる?」
……友達だ。大切な友達。私から琴乃ちゃんに向ける感情は友情以外ないのだから。
「……かわいい友達だよ!」
違和感を感じながら、そう自分に言い聞かせる。
「ありがと。……わたしも」
うれしい……けど、なんだか喜べない。さっきまで琴乃ちゃんの口から友達だと言ってほしいと思っていたのは記憶に新しいのに。
モヤモヤして、むしゃくしゃしてそれで……
──言いようのない悲しみを感じる。
「え〜照れるな〜。じゃあ大切な友達の恋が実るように頑張っていいの選ばないとだね」
自分の言葉が薄っぺらい。本当はそんなこと思ってない。
「任せた。わたしは陽菜乃のセンスを信じてる」
「えー、責任重いよー」
そう言って何度もやったように笑い合っているのにまるで現実感がない。
私は上手く笑えているのだろうか。
「じゃあ、頑張ってね。今日はありがとう」
「わたしも、楽しかった。またね」
いっしょに選んだ贈り物を大事そうに抱えながら、無邪気に笑う彼女にあの時の妖艶な笑みが重なり、顔が熱くなる。
────認めざるをえない。
私は咲かない恋をした。
きっとこの想いは誰にも知られることなく消えていくだろう。
まるで売れ残った商品が処分されるかのように、無惨に。
そうわかっていても、想いを伝えることはできない。
だって私は小心者だから。
もう笑わないほうがいいと思う。
現在の状況
琴乃ー大満足で帰宅
詩織ーメンタルブレイクして途中帰宅
陽菜乃ー初恋と失恋を同時経験してメンタルブレイク
鈴鹿ー薄い気配を本気で気配を消して最後まで尾行継続