TS聖女は理想の『聖女』を演じたかった   作:ほうき星

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コロナになってました(:3_ヽ)_
そして書き方忘れた


14. 誰かのヒロインにはなりたくない!

 

 エルフ族というのはよくファンタジー代表みたいに分類されているのを見る。

 その都度作品によりけり、外観は様々だ。

 金髪でとても美形が多いとか魔法に精通していて排他的だったりとか。

 

 勇者パーティの一人、『狩人』レスタリカ。

 赤褐色に新緑の髪色。

 耳はご丁寧にも尖っていてきっともう少し成長すればイケメンになるはずだと予感させる。

 各々のエルフ像があるだろうけど……レスタリカはどちらかと言えば生意気ショタエルフと言えるだろう。

 何、金髪で美人なお姉さんがよかったって? 

 エルフの里には居るから安心して欲しい。

 というのもこちらのエルフは森と共に生きる狩猟民族的な文化が強い。

 他種族を受け入れず、その寿命は軽く1000年を超えるのだそうだ。

 魔王討伐したあと、彼はエルフの里に帰ったと思っていたけれど違ったのか。

 

 もちろん魔法も独自の物が発展していて中々に面白い。

 そんなショタエルフは抗議の声を上げながら俺の谷間に揉まれていた。

 いつものやりとりにシンシアも笑っているぐらいだし。

 

「その後体調はどないや?」

 

「ん。特に変わりなく」

 

 嘘だ。あれから軽い魔法程度なら普通に使ってるし。

 まあ、見た目にあまり症状として現れてないからな! 

 

「ほれ、お土産持ってきたでー」

 

「くそ……、数カ月ぶりに辱められたぞ!」

 

「まあまあ、レスタリカもそうぷりぷりしないでください」

 

 聖女のぱふぱふは希少性が高いぞ! 

 何せTS娘聖女だからそこらの聖女とはレベルが違う。

 自分の魅力を理解ってる系TS娘っていいよね。

 

 これぞ聖女おっぱいパワ……ゴホン。

 冗談はさておき。

 しかしながらこれは予想していなかった。

 まさかシンシアがくるとは。

 それだけじゃなくレスタリカも連れ立っての訪問だ。

 

「ふむ……実はこれから予定があるんですよ」

 

「あ……、うちら来るタイミングミスったっぽい?」

 

「いえ、寧ろ都合がいいタイミングです。どうですか? ここまで来るのも大変でしたでしょう?」

 

 見た感じ二人はここを徒歩で訪問してきたようだった。

 シンシアはケロッとしているがあまり身体を鍛えていないレスタリカは疲れているだろう。

 それに、二人が揃うのも暫く振りだ。

 

「ならお邪魔しようかな! レスタリカもそれでええよな?」

 

「元からそのつもりで来たんだろう」

 

 ということで突然だが二人も我が庭へとご招待だ。

 

 綺麗に手入れがされている花壇が出迎えて、噴水のある広いエリアへと両名を通した。

 するとミストが散布されここらへんの暑さも幾分マシになっていた。

 うん、寧ろ涼しいね! 

 

「おい。こいつは……?」

 

 庭で準備を終えていたルシアンを発見したレスタリカは訪ねてきた。

 

「こちらはルシアン。私の付き人です。ルシアン、この子はレスタリカ。勇者パーティの『狩人』で通してるんです」

 

 ルシアンは既にシンシアとは知り合っている。

 だが、レスタリカとは初対面だ。

 

「付き人のルシアンでございます。以後お見知りおきを」

 

「ふん……」

 

 丁寧にぺこりと頭を下げるルシアン。

 それをレスタリカは圧をかけるような表情で睨んでいるではないか。

 ああ、そうだった。レスタリカ昔から人見知りだったっけ。

 人見知りというか人間にあまり心を開いていない。

 そう睨んであげないで。ルシアンが怖がってしまう。

 

「アルジェ様、またまたお客様です!」

 

 ケイトリーが先程と同じように声をあげた。

 ああ、多分子供たちがやってきたのだろう。

 数分の差でシンシア達が先にやってきた。

 門の方へと行けばきゃっきゃと戯れる声が聞こえてくる。

 リランとメーシュを筆頭に、数人の少女の姿を確認する。

 俺を見つけると、元気よく手を振ってアピールしていた。

 

「リラン、本当に聖女様と知り合いだったの!?」

 

「だから言ってたじゃん!」

 

「聖女様の私服、かわいい……!」

 

 当然リランの友達を含めてだから結構な人数になってる。

 濡れても良い服装でと言う事だったので皆が思い思いの夏服できているみたいだ。

 いやぁ、若さっていいね! 

 うん、下心なしに可愛らしいよ! 

 

「あら、ありがとうございます♪ あなた達のほうがよっぽどかわいいですよ?」

 

「どうしよう……私、聖女様と話しちゃってる……!」

 

 そこまでビクビクされると逆に気遣いしてしまう……! 

 

 ともあれ、彼女たちとも軽く自己紹介。

 まあ俺はよく知られてるし名乗るほどでもないが。

 皆、リランと同年代ぐらいだろう。

 異世界人、結構見た目のレベルは高いのだ。

 だからこの子達も全員漏れなく美少女である。

 

「どや!」

 

「なんでリランがドヤってるのよ」

 

 

 

 

 

 

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 水着回というものに憧れ、そして挫折した聖女アルジェこと俺。

 しかしながらこれはこれで、良いものだ。

 ミストにより周囲は涼しげで、そしてふくらはぎほどに貯めた水を気持ちよさそうに堪能する少女たち。

 ロリコンではないが、公園ではしゃぐ子どもたちを見て微笑ましく思う大人というのはこういった気持ちなのだろうか。

 そして、それに囲まれ揉みくちゃにされているレスタリカくん。

 彼は……うん。そりゃエルフなんて珍しい種族でしかも自分たちと同じ背丈なのだから興味も湧くだろう。因みに実年齢は普通に100歳は余裕で超えているのだが黙っておこう。

 俺は優雅に茶を啜り、レスタリカが憤慨しつつ子供たちの相手をしているその光景を眺めて心が洗われるかのような気分に浸っていた。

 傍から見れば羨ましいとヤジが飛んできそうなシチュエーションじゃないか。

 

「それで、なんの話やった?」

 

「はあ……。シンシア食べることに集中しすぎです」

 

 テーブルを同じくするシンシア。

 持ってきた菓子も殆ど摘んでいるのはシンシアだ。

 俺はここ数ヶ月の出来事を談笑ついでに話題にした。

 

 流石にホイホイと誘拐された事にシンシアに一言お叱りを受けたが……。

 

「──私達は、半年前に魔王を倒しましたよね?」

 

「そのつもりやけど……、魔物っちゅーのは力こそが全てや。魔王の次に力のあるやつが台頭してきてもおかしくはないとは思うで?」

 

 シンシアは椅子の背もたれに身体を預けて背筋を反らした。

 少し気になっていた部分でもある。

 魔王と同じ闇の魔法を扱える正体不明の何者かが動いている気がしているのだ。

 

 これはゲームなんかじゃない。

 巨悪を討滅し物語が区切られる……、しかし世界はそれでも回っていく。

 せっかく平和にした世の中だ。また……大きな戦争になると辛い日々に戻ってしまうし。

 出来れば子供たちにもう少し平和というものを堪能してほしい。

 

「この間のゴブリンのやつも含めてなんでアルジェを狙ってるのかが気になるけどなぁ。もぐ、もぐ」

 

「そこで、世界を旅しているシンシアについででいいので調べてもらえたらなと思いまして」

 

 シンシアは依然として世界を飛び回っている。

 それなら多少なりとも情報が入ってこないだろうかと思い、依頼した。

 何もなければヨシ。

 もし、シンシアの言っていたように後継者がいるのであれば……。

 

 その芽が成長しきる前に摘む選択肢もある。

 まあ、裏でこそこそやるだけならいいけどね! 

 

 

「──んぐっ! 承った!」

 

「よろしくお願いしますね」

 

 食べるのを終えるとシンシアは快諾する。

 俺は暫く外出禁止だし……また攫われたりはしないだろう。

 

「それはそうとアルジェ」

 

 話題を転換するようにシンシアが言った。

 

「勇者の話はどないするんや?」

 

 え? 勇者? なんのことだろう……? 

 

「ほら、魔王と戦う前に勇者から告られとったやろ?」

「ぶふぉあ──ッ!?」

 

 

 

 

 その爆弾発言に変な声をあげた。

 因みに出しているのは俺じゃない。後ろにいたルシアンだ。

 あっ、なんか後ろでルシアンの脳破壊が起こってる。

 てか、まてまて。何故その事をシンシアが知っている!? 

 

「あ、あの時は誰も居なかったはず……何故シンシアがそれを!」

 

「いや、流石にそこまで鈍感ちゃうわ」

 

 魔王へ挑む直前、俺は勇者に呼び出され……そして告白を受けた。

 違う、そうじゃない。俺は誰のメインヒロインにもなるつもりはない。

 だから俺は先延ばしにした。

 旅が終わった後もきっと忙しいだろうと理由付けて逃げたんだ。

 

「今は国王やってるみたいやん。玉の輿やで! 王妃やで!」

 

「あ、あはは……」

 

 確かに勇者は魔王討伐後に王位を継承したと聞いた。

 彼はどこぞの王子だったみたいだから。

 オムファロスからは少し距離があるし国務で忙しくてパーティを解散した日以来会ってない。

 別に嫌いではないのだ。正義感が強く、そして誰にでも対等に接する邪気のない性格。

 おまけにとても美形である。それこそ女性からは常に黄色い声を受けていたほどに。

 

 だけど、そこじゃない。

 TS娘である俺と……なんというか相性が悪い。

 だから俺は保留にしておいたのだ。

 

「え!? 聖女さま勇者さまに告白されたんですかー!?」

 

 わっと声を上げたのはリランだった。

 どこから聞いていたのか、遊んでいた手を止めるとこちらへと詰め寄ってきたではないか。

 それが同調するように周囲の年頃の少女へと波及する。

 ちょ、うわわ! 知ってるぞこれ! 耳年増ってやつだ! 

 

「わ、わあ……。聖女様凄いです……」

「勇者様と聖女様、きっとお似合いだと思います……!」

 

 年頃の女子が食いつきそうな話題のひとつ。

 それは──恋バナ。

 いや、諸説あるけど。

 だが、この反応を見るに当てはまりそうだ。

 

 その勢いに気圧されつつも苦笑い。

 

「おい、それは初耳なんだが?!」

 

 レスタリカが子供の相手をしていたのもあり少しやつれて見えた。

 てことは知ってるのはシンシアだけ? 

 別に言いふらすような話題でもないし……。

 

「ま、全くこれだから──ヒトメスは」

 

 色恋沙汰に無縁そうなレスタリカが腕を組んでチラチラとこちらを見る。

 何その、恋話に興味あるけど気取ってて参加できない思春期男子みたいな反応……。

 

「ルシアンさーん!?」

 

 おまけに後ろで変な悲鳴をあげていたルシアンにケイトリーが声をかけている。

 どうやら天を仰いで太陽の光を直視する奇行に走ったらしい。

 あーもー。どうするんだよこのカオス。

 シンシアはうち何かやってもうた? みたいにキョトンとしてるし。

 

 

 

 

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 あれから刺激を求める少女たちをやり過ごしながら時が過ぎていき、日が沈み始めたあたりで今日は解散となった。

 

「今日は誘ってくださりありがとうございます!」

 

「いえいえ、多少の息抜きになれたのなら幸いです」

 

 見送りのために門へと向かい、一同は改めてお礼を述べた。

 本当は水着回がみたいっていう下心があったんだけどね! 

 

「次回、目指せ海水浴!」

「次回もあるの!? あまり聖女様に迷惑かけちゃ……」

 

 やはり海は行ってみたいよねぇ! 

 美少女の水着姿ってやっぱりTS娘になってもいいものだよ! 

 

「じゃあ……来年?」

 

 苦笑いしながらメーシュはそう言った。

 冗談のように呟いたのだが皆は期待している。

 来年。俺は彼女たちに海を見せれるだろうか。

 一抹の不安が頭によぎりながら。

 

「ええ、来年は海へ行きましょうか」

 

「わぁい!」

 

 ──()()()()()()()()()()約束をしてしまった。

 俺の余命は2年。それから少し経っているから1年と少し程度は残っている。その頃にはどうなっているかわからないけど……出来れば守ってあげたい。

 

「ほな、うちらも行くわー」

 

「ふん、また来るぞ」

 

「あら、レスタリカは私が恋しいんですか? それとも子供たちが?」

 

「はぁ? 誰が好んでヒトメスなんぞを」

 

 口元に手を当てて控えめに揶揄ってやる。

 するとチラリと子供たちを見たあとそっぽを向き否定。

 

「ただ、ボクは──」

 

 じっとこちらの顔を凝視するレスタリカ。

 え? まさかまじで俺目的? 

 そんな気配、旅の間は皆無だったのに!? 

 

「──ふん、ただの気まぐれだ」

 

 そう言っていつもの様子に戻った。

 ……? 何だったんだ? 

 最後は俺じゃなくルシアンの方を見ていたけど。

 ともあれ、あまり引き留めるのも申し訳ない。

 シンシア、レスタリカ。両名の訪問は予想外だったが、久しぶりの再開は素直に嬉しかった。

 

 やがて見えなくなるまで二人の姿を見送り、解散した。

 

「あの、アルジェ様。勇者様に告白されたというのは?」

 

「ルシアンも気になるんですか?」

 

 ふふふ、意識してますねぇルシアン! 

 やはり色恋沙汰で煽るのも手か……? 

 俺はどうでしょうね? と匂わせつつも屋敷へと戻っていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 道中、教会へと繋がる坂道を二人は進んでいく。

 双方、中間辺りまで会話を挟まずに。

 やがてアルジェや人目が少なくなった頃、沈黙を破ったのはシンシアだった。

 

「それで、どうやった?」

 

「──ああ、ちゃんと()()()()()()

 

 期待した答えにシンシアが表情を見せる。

 

「……筋力低下から始まり視力低下、内臓機能の劣化などなど。悪い要素はてんこもりだ。貴様から話があると聞いてみれば、アルジェの悪影響(デバフ)を視ろと言われた日には何事かと思ったが」

 

「アルジェは無理するやろ? それに直接聞いても隠しとるし。あんたの『解析眼(アナライズ)』だとこっそり覗き見れると思ってなぁ」

 

 今回、レスタリカが同席したのは偶然でもないものだった。

 彼もまた、何かしらの特異な素質(ユニークスキル)を身に着けていた。

 それが解析眼(アナライズ)──対象の情報を覗き見るものだ。

 その範囲は多岐に渡り、対象の身体的情報は初歩的なものから深く集中すれば心の中も覗き見る事ができる。

 

「確かに、ボクの解析眼(アナライズ)は隠された情報すら視れる。だが知っての通りアルジェには殆ど通用しない。今言った情報も()()()なものだけだ」

 

「はぁぁぁっ! レスタリカでもアカンかぁ」

 

「──まあ、ボクから言ってしまえば加齢による肉体の劣化ではないか? ヒトというものはせいぜい70年から80年とエルフなどの種族よりは短命だ」

 

 思えば10年という旅路はエルフにしては少しの旅行程度の時間感覚に当たる。

 人間の一生ではかなりの寿命を浪費することになる。

 

 アルジェも既に肉体的なピークは上がりきり、あとは落ちていくのみとなる。

 それに世界が平和になったぶん気の持ちようで大きく変化する。それが短い寿命を激動の中で生活する人間の性なのだとレスタリカは理解してきたところだ。

 

「そんなに気になるのであれば適任がいるだろう」

 

「適任? 誰や?」

 

「──アルジェの師匠だ。やつならアルジェについても詳しいだろう?」

 

 




ちなみに約束は果たされません(無慈悲

曇らせの程度って

  • ほんのりカジュアル
  • 聖女が盛大に曇るやつ
  • 周囲だけ曇っていくやつ
  • もう全方位曇らせで
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