アンノウンアーカイブ   作:ジト民逆脚屋

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とりあえず、〝守り神〟が見えてるor知覚出来てるメンバー

完全認識
先生(先生以外には本当の姿は見えない)
ホシノ(ちょっと霞みかかって見えてる)
アリス
アツコ
イブキ(ホシノと同等程度)
(シロコ)

姿はどうにか
ヒナ(その気になれば声も)
ツルギ(冷静になれば声も)
ネル(勘で認識)

声は聞こえるような?
ハスミ
サオリ
サクラコ
マリー
アズサ(勘)
ヒフミ
コハル
ハナコ


無理
リオ(合理的ではない存在を否定してるので無理)
エンジニア部(現在オカルト見える君開発中)
ミレニアム生徒(基本科学系の生徒は無理、ネルがおかしい)

大体こんな感じで、気になる生徒が居たら問うてください


かごめかごめ

「おい、さっさと起きんか」

「ん、あと5分」

「頭の悪い事抜かしよるな。もう朝じゃ」

「今日は休みなんだー」

 

一人しか居ない部屋で、微睡みに沈む声が誰かに返事を返す。

そう、この部屋は先生の私室であり、他には誰も居ない。

 

「おおの、めんどいちや。……おい、青娘。おんしゃ、はいてくめかとやらじゃろ。なんぞ電気でも流いてこの小娘叩き起こすかせえ」

『私はアロナです! 大体、先生にそんな事出来ませんし、〝守り神〟さんがどうにかしてください』

「姦しいのう。……そこな狐、隠れいで出てき。聞こえちゅうじゃろ」

「……無作法を」

「構わん。こいたが認めちゅうがじゃき、おんしは居りたいばあ居ったらえい」

 

姿は無いが声だけは聞こえる。

そんな不可思議な風景に、狐坂ワカモは無抵抗に潜んでいた天井裏から降りてくる。

 

「朝餉がまだじゃったら食うてけ。この小娘叩き起こいたら行くき」

「はあ、ではご厚意に甘えましょう」

「おう、そうし。あと、今日一日は暇みたいじゃき、一緒に居り。ワシはちと用がある」

「〝守り神〟様が、ですか?」

「ちと来客じゃ。あと、朝餉の片付けはそやつにやらせよ。あまり甘やかすな」

 

その言葉の後、部屋から気配が消えた。

辺りを見回しても、あるのは先生のコレクションのプラモやフィギュアの入ったクリアケースや、多種多様なゲームや漫画が詰まった本棚。

書類が積まれたテーブルに、まだ先生が収まったベッド。そして、簡素ながらに厳かさを感じさせる神棚。

居るのは、ワカモと先生の二人だけだ。なのに、圧倒的強者の気配が消えた。

 

「まったく、私でも姿が見えないとは、〝守り神〟様はどれ程の存在なのでしょうね」

「んー、わりとテキトーな奴だよ。木に吊り下がって泣いてる私をゲラゲラ笑いながら供え物の酒呑むくらいにはさ」

 

むくり、と起き上がり伸びをしながら、欠伸混じりに先生が言う。

 

「それ、〝守り神〟として如何ですの?」

「いいんじゃない? 〝守り神〟って言われても、何から何まで守ってくれる訳じゃないしさ。それに、アイツは私の〝守り神〟だから、本当にヤバかったらソッコで来るよ」

 

寝癖を手櫛で撫で付け、先生がベッドから降りる。

それを見たワカモは手持ちの櫛を取り出し、いまだに寝惚けた顔の先生の髪を鋤いていく。

 

「自分で出来るって」

「いいえ。貴女様はそう言って、いつも雑に髪を纏めますから。この前も髪紐が無いからと輪ゴムで留めていたではありませんか」

「ばれてーら」

 

ヘラヘラとした笑み、柔らかい茶の髪は出会った頃より伸び、まるで長毛の猫の様だ。

 

「んー、しかしアイツに来客ねー」

「〝守り神〟様はお知り合いがキヴォトスに?」

「どうだろ? アイツ結構古い存在みたいで、天孫降臨も見物してたとか言ってたし」

「てんそんこうりん? 貴女様の世界での出来事ですか?」

「んー、天上の神様が地上に降りてきて、私の故郷を治める事になったって神話。大体180万年前のやつ」

「180……?!」

「まー、テキトーに聞き流したけど。しかし、なーんか嫌な気配がするなー」

 

具体的にはスーツ着た黒豆の気配。

ワカモに髪を梳かされながら、先生は天井をやれやれとした様子で眺めていた。

 

 

 

 

 

 

 

〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃

 

 

 

 

 

 

無機質なシャーレの屋上、そこに似つかわしいとは言い切れない古い社があった。

手入れの行き届いたその前には米、酒、塩、海産物、野菜、果物、 玉串が供えられていた。

 

「はっ、これはまたきっちり揃えたもんじゃのうし」

「……ククク、先生の〝守り神〟様のお時間の頂戴する訳ですから、礼はしっかりとするべきかと」

「あの小娘よりしっかりとしよって……」

「……先生は手抜きを?」

「こないだは餅と酒だけ、しかも餅はあいたの食い差しじゃ」

「……あの畏み申し上げるのですが、もう少し厳しくされては?」

「ありゃ治らん。その癖、力は歴代一ときた。まさか神秘を失った世に神代の子が生まれるとはの」

 

晴天の下、座して附したまま黒服は言葉を聞く。

距離は近く超越者としての威圧感は無い。だが、黒服は知っている。

アビドス、小鳥遊ホシノに関する一件で理解した。ゲマトリアの総力をもってしても、否、現キヴォトス戦力でこの〝守り神〟を正面から突破出来る戦力は存在しない。

故に黒服はこの旧き神を刺激しない方針に変えた。

だというのに、その守護の対象である先生が神代の神秘を有しているという。

 

「あの……」

「あやつの神秘はお主らには理解出来んぞ。まあ、元より神秘を分けて考えゆうお主らにはな」

「神秘を分けて……? それは一体」

「神秘、崇高、恐怖じゃったか。如何にも勉強は出来る阿呆の考え方じゃの。根っこっから間違えとるわ」

 

黒服は理解出来なかった。自分達が今まで積み上げてきた研究や理論、それが根本から間違えている。

しかし、否定の言葉は出ない。何故なら、相手は自分達が追い求める神秘そのもの。

つまり、答えだからだ。

 

「神秘とは一面ではない。多様な面があって神秘。言ってしまえば見る角度によって変わる騙し絵よ。それをお主らは神秘だの恐怖だの崇高だのと、切り分けて見ゆうきあびどすの小娘取っ捕まえる様な真似をする」

「つまり、神秘とは……」

「お主ら人が理解出来んもんの総称じゃ。……やき、お主らはこの世界に惹かれたんじゃろ」

「では、生徒が持つ神秘を調べても……」

「切り分けてバラバラした絵、顔の足りん福笑いで満足出来るなら、の」

「……蒙が啓けました。やはり、貴方に聞いて良かった」

「そりゃ重畳じゃ。ほれ、重畳ついでに器を持て、ワシが酌をしちゃる」

 

顔を上げると供えた一升瓶が、こちらに口を向けて浮いていた。

 

「おんしは好いてはおらんが、嫌うてもおらん。あの小娘の言葉借りたら信用は出来んが信頼は出来る。つまり、融通が効いて使える奴じゃ」

「ククク、過大なる評価畏れ入ります」

「ほれ、呑め。おんしの事じゃ、一等に上等な酒じゃろ。あいたはあまり呑まんき、ワシに付き合え」

「では、畏れながらお供させていただきます」

 

盃に並々と注がれた酒を嘗める。

このキヴォトスで最上級の品を持ってきて良かった。

 

「鯛は狐娘に捌かせるとして、黒いの」

「なんでしょう」

「とりにてぃとあびどすで、おんしの仲間が要らんことしよるのう」

「それは……」

「まあ、それはどうだちかまんが、ワシはあの小娘の〝守り神〟じゃ。あいたが危険に晒されるなら、ワシも動かにゃならん。言いゆう意味は解るな」

「……釘を刺しておきましょう」

「そうしちょけ。ワシも酒が呑める相手を祟るがは、ちと気が引ける。あと、気ぃつけぇよ。……なんぞこっちを見よる奴がおるわ」

 

その言葉に黒服は、示された訳でもないのに空を見上げた。

分からない。黒服の目にはキヴォトスの空しか見えない。

だが、目の前の姿無き神は空を見上げている。そう確信出来た。

 

「余程こちらが羨ましいがじゃろぉにゃあ。気っ色悪い」

「貴方には一体何が見えているのですか?」

「人が神の視点を持つでない。だが、良いもんではない。これだけは言うちょいちゃる」

「……備えをしておきます」

「そうしちょき。いたら、ワシは戻る。供物は貰うていくぞ」

「ええ、元より貴方に供えたものです。では、私も」

 

言うなり、黒服の姿が消えた。

このキヴォトスという土地に神は居ない。信仰も名も力も、姿すらも失いながら、それでも神秘という形で世界と人々にこびりついている。

 

「この世界、高天原の連中が見れば何と言うじゃろうの。須佐之男命は嗤うか、天照皇大神は岩戸に隠れていじけるか。いや、考えたち詮なき事か」

 

誰も居ない屋上で、そんな寂しげな声だけが落ちた。




この世界線の黒服は、アビドスでの一件でちょっと大人しくなってます。
先生の〝守り神〟はものすごく大雑把に言うと、〝子供の守り神〟の一面もある為、ホシノおじさんの件でちょいと一発カイザー周りを纏めて呪殺しかけました。
先生が止めるのが一秒遅かったら、黒服、カイザーコーポレーションがリタイアでした。
まあ、カイザーコーポレーションはこれから業績が右肩下がりの株価は直角急降下なんですが。
なので、この世界の黒服はギャグ時空の先生大好きクラブ会長みたいな感じにできたらいいなぁ
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