勇者になりたかったお調子者   作:ラドミ

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どうもこんにちは。ラドミと申します。思いつきで初投稿です。楽しんで読んでもらえたら嬉しいです。


第1話

 

 

昨日、朝から調子の悪かった俺はだるい授業が終わり次第、真っ直ぐ家に帰り風呂に入った後布団に入るなり泥のように寝た…はずだった。

 

 

それがどうなっている。

(痛い!痛い!痛い!)

文字通り頭が割れるほどの痛みに襲われた俺が目を開くとその目に映るのは

 

これまで経験した記憶がないほどの眩い光。

今まで包まれていた何かから外に出た感覚。

 

目が光に慣れるにつれて徐々に目に入ってくるのは、

自分のとは思えないほど変わり果てた腕。具体的にはボンレスハムみたい。

 

そして喜びを露わにしている男と疲れ果てている女と今俺を持っている年老いた婆。

 

(あ、俺転生したわ。)

これがいつ、なんで死んだのかもわからない俺に唐突に訪れた第2の人生の始まりだった。

 

 

そしてあっという間に産まれて2ヶ月ほど経った。俺の新しい人生は今の所は木でできたベビーベッドに囲まれていた。

 

この2ヶ月は寝て起きてを繰り返していて食事の最中も意識が朦朧としていた。

転生したことがない奴にはわからない感覚だろう。

孤独なのは辛いな。俺以外に転生したことあるやつなんていないだろうし。

まぁ、そんな転生未経験者の君たちにわかるように例えるならいっつも昼食後の5時間目の退屈な授業の時くらい眠い…といったところかな。

 

しかし、耐え難い眠気に幾度も屈しながらも意識をできるだけ覚醒させていた俺がこれまでに得たのは二つの情報。

 

とてつもなく美形である母、そしてナヨっとしてはいるがイケメンである父の喋る言葉がわからないこと、

そして俺を見て頻繁に発声される『』が、坊やを意味する言葉。もしくはワンチャン新しい俺の名前であることだ。

 

そう。つまりこの2ヶ月得るものはほとんど無かったということだ。

 

(まぁ、しゃーないよな…出来ることとかないし。だって、うん。ふつーに親何いってるかわからんし。)

 

ため息をつくと寝返りをうつ。悲しいことにこれが今の俺の全力である。

 

「『』、⭐︎◯△×」

歌を口ずさみながら、おそらく俺を指す言葉を口にする母。

もちろんその歌も聞いた覚えもない。

(前世の歌でも歌って作曲家にでもなろうかな…)

 

(なんか覚えてる歌あったっけな)

そう考えながらふとキッチンに目を向けると母が水を宙に浮かべて鍋に入れている。

(童謡とか…って………は!?!?!?)

 

見間違いなどではない。これは言葉がわからない俺でも一目瞭然。

 

(もしかしなくても!この世界は!魔法ファンタジー世界だ!)

 

全俺が興奮した。

まず魔法がこの世界には存在していて、俺は魔法が使える人の血を引いている。

つまり俺も魔法を使えるということだ(?)

 

そうとわかってからの俺の行動は早かった。

 

ちっちゃな手を翳して魔法を使おうとしてみたり、体の中の魔力を探してみたり。

俺が前世で得た全てのファンタジー知識を総動員した。

 

その結果。

(…ダメだ…)

魔力の魔の字も体からは見つからず、魔法の魔の字も使える気配はない。

あ、同じ魔か。

 

しばらく試してもうんともすんとも言わないため諦めムードになりつつ少し力を抜いて

(なんか起こらんかな)

とさっきのように手を翳した時、

 

俺の中にあった何かが抜け、少しひんやりとした空気を帯びた俺の手の前。

ちょうど窓から射す日が当たる場所にキラキラとほんの小さな光の粒が生まれた。

 

ホコリのようにも見えたが、明らかに俺の手の先にだけ生まれていた。

小さいが確かにそこにあった光。

 

(……光!?)

 

待ち望んだ魔法の光が俺の灰色の脳細胞を刺激し頭が冴え渡る。

 

もしかしなくてもこれは光魔法。だって光ってるし。

そんで魔法を使うと魔力が抜けていくのでひんやりするということではないか。

 

そう考えると点と線がつながっていく。

 

俺は転生者という特別な存在であり、普通とは違う点が必ずあるはずだと前々から思っていた。

 

そんな俺が初めて打った魔法は光。俺のファンタジー知識に基づく光魔法のイメージは回復したりビーム出したり出来る魔法だということ。

そして光の魔法の使い手といえば……そう。

 

(俺って勇者になる存在だったのか。)

 

この世界を救う(だろう)存在である俺が将来の目標…いや…使命に気づいた瞬間だ。

でも日付とかわからないし記念碑にはできないことが残念でならない。

あと赤ちゃんボディだとカッコつかない。

 

でも前世でなれなかった主人公になることができた。

それだけで俺の未来は明るい気がした。

光魔法だけに。




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