つ…掴み所、無……誰がとは言わんが………(難産でした
さて、騎士団の通常業務に戻るというアンバーと別れ、私たちは二つ目の神殿…ここに来たときと同じものと思われる、遠くの空に立ち上る青い光を目指して歩き出したわけだけど…
途中はヒルチャールがぞろぞろ現れて大変だった。弓使いや爆弾投げてくるやつはまだいいとして*1、元素力を使う支援職*2にはなかなか苦戦させられてしまった。風魔龍の漆黒のやつに比べればまだマシだったけどなんなんだあの竜巻…。
そうして……そこそこ距離もあったので道中休憩も挟みつつ、ようやくたどり着いた二つ目の神殿の前には、ガイアさんの姿があった。
「来たか。近くに来てくれ…何か匂うか?」
…急に何を言うんだこの人は?と思ったけど、たぶんさっきアンバーが「この辺りの風が変わってる」と言っていたあっち方面の話だろう。…よそ者だからか、やっぱりよくわからない。少なくとも、ガイアさんに香水を使ってる感じがないのはわかるけど…蛍も首をかしげた。
「いえ、特には…」
「そうか。この神殿で少し予想外のことがあってな…スライム、ヒルチャール、それから風魔龍が残した魔力の繋がり。中はきっと賑やかなことになってるだろうな」
「…危険ですか?」
「あぁ…賑やかだが、危なくはない。しかし、
…一応聞いてみたけど、危なくはないらしい。まああくまでもこの人基準ではってことかもしれないから気は抜けないけど。ボレアスというのは『四風守護』の一柱だろう。あとで詳しい人…リサさんに聞けばいいか。
「さ、行こうか…『四風守護』は祀られなくなったが、
…もしかしてこの世界、入れ子神殿が流行ってます?
またしても私の武器云々の話はあった*3けどどうでもいいからさておき…二つ目の神殿に踏み込んだ感想としてはまあ、そんな感じだった。
長い通路*4の先に
「俺の推測が正しければ、神殿の突き当たりはあそこだな」
「どうしてわかるんだ?」
「経験だ…長年、後片付けをしてきた経験だよ」
遠くに目をやる3人を尻目に、音がする方…下を覗き込めば、そこには水浸しの広場があって、ヒルチャールがうろついている。
「ここもか…」
「水溜まりができているな。まあ任せろ」
あ、ガイアさんが*5一足先に下へ降りていった。すぐに戦闘態勢になったヒルチャールが向かっていく…と思うと、
「凍れ」
剣を振るった先で、パキッ…と。一瞬で、周囲の水ごとヒルチャールが凍りついた。
「おぉ…」
「これ、氷元素…?」
「そうだ。水があればこうなる…あくまで身動きを封じる程度だが」
…あっ言ってる間に目の前で解けた。すかさず蛍が「風刃!」を決めて吹っ飛ばしたけど、なるほど…氷漬けのまんまにはなってくれないんだな。ヒルチャールは3体…私も、手にした槍()長柄を握り直した。
…決着がつくのには数分とかからず。あっという間に私たち以外の生命は感じられない肌寒い空間が現れた。いやもうほんと、凍結反応というらしい水×氷が強力で。相手が動かないのがありがたすぎて、術式なしの呪力強化だけでいってしまった。…じゃあ、この部屋はもうあとにして…
「…旅人、お前は『神の目』を持っていない。そうだろ?」
「!?」
「どうやって元素の力を使ってる?」
こ、このタイミングでそれ突いてくる…?
けれど、蛍は無言のまま…「不思議な現象だよな~」というパイモンの発言で流れていった。ガイアさんもまた、無言で先へ進んでいく。…なんだこの空気。マジでなんでこのタイミングで突いたんだ…。
…まあ、いいや。今は騎士団の任務が優先だし……何か違う音が聞こえる、と思いきや火炎放射器が道を塞いでいてガイアさんが黙らせたり、青いスライムもガイアさんが凍らせて蛍が粉砕したりしつつ、神殿の奥へと進んでいく。…私あんまり働いてる感ないなぁ。仲間が強くて頼もしいのはありがたいことだけど……。
「やっと着いた~」
「ここが突き当たり…?」
「上があるな…前に道がない。風域を利用して昇ろう」
風域……うん、目の前ではっきり形は見えないけど音を立ててるそれだろう。なぜこんな何もないところに突然上昇気流が…と半目になりつつ風の翼を展開。10秒ほど気流に身を委ねていれば、上にたどり着いた。
立派な扉は操作盤で開いて……大きめの炎スライムがいたけど、"水の琥珀"という岩を砕けば雨が降って*6弱体化したので、たいした相手にはならなかった。
「そういえば、知ってるか?風魔龍はかつて『四風守護』のひとつでな…興味があるなら、代理団長にでも聞いてみるといいぜ」
「あ、さっきアンバーから聞いたけど…アンバーはリサさんに聞いたらいいって言ってたような」
「そこはまあ、代理といえど歴史ある組織の長だから、ってことじゃない?」
アンバーからこれでもかというほど慕われていたジンさんは、確かにさもありなんと思える人格者だった。もはや一目見ただけでもわかる…生真面目で責任感も人一倍に強く、貰った肩書きを真摯に受け止める。そういう稀に見るレベルのしっかりとした人だ。腐った蜜柑の皆様方は是非とも見習ってどうぞ。
…わざわざ嫌なことを思い出してしまった。話を現在に戻そう。進めないところ*7を避けて、階段を登って曲がった先に……また、あの祠のような岩。風が渦を巻いてるのも全く同じ…。
「ここにもある…」
「風魔龍は、これで力を吸い寄せてるのか?」
「可能性はある。早いとこ片付けようか…」
「…?あの、ガイアさん?なぜ私を見て…?」
「お前も、元素力を使えるんだろ?どうしてセーブしてるかは知らないが」
「っ!?」
覚えず言葉に詰まった私を見て、ガイアさんはにやりと笑う…こ、この人…!いやまあ、意図的にセーブしてはいたけど…バレてたの?いつの間に…
「…つまりあれですか、私に
はぁ…こういうときゴネても時間が浪費されるだけというのは経験則だ。この岩を破砕すればここの任務は終わり……術式を回せば、長柄が紫電を纏って光る。このまま――
「――せやぁっ!!」
下段から薙ぎ払うように長柄を叩きつければ、思いのほかあっけなく岩は砕け散った。
「雷元素か…なかなかいい動きするじゃないか。まさか、二人とも有能な戦士だったとはな。いい勉強になったぜ」
「えぇまあ…むしろ、勉強になったのはこちらの方で」
「そこまで言われると恥ずかしいかな…」
またこのゆったりとした拍手…私これ苦手だな。強者のそれ。五条先生はおちゃらけてることが多くてほとんどやってなかったけども。むしろ勉強になったというのは本心だ。元素反応…こういうのはやっぱり、実際に見ないとわからないから。
「ははは、騎士の謙虚さも兼ね備えているとはな!…お前たちがモンドを救う勇姿、きっと自由の都の新たな伝説になる」
「そ…そんな大袈裟な…」
…え、お世辞だよね?お世辞じゃないの?違うとしたらそれは、ちょっと…。
ひとまず神殿をあとにし…ようとしたけど、どうやらガイアさんは"後片付け"があるらしい。他に用があるなら先に戻っていいとのことで、もうひとつの神殿を目指す私たちはこの場をあとにした。
確かに、この神殿に踏み入って少しした頃に言ってたな、"後片付けをしてきた経験"って。……私たち以外の誰かの気配を感じていたけど、あれを片付けるということなんだろうか…。
・日依
しれっと武器名に修正をかけていく主人公。苦手なタイプ&厄介なフラグの気配…という感じでガイアの前では控えめ。術式をセーブしてた理由は他にもあるけど次回
今更念の為ながら呪力単体は雷元素を帯びません。鹿紫雲じゃないんで…。しかしちょっと変わった呪力特性はある模様
・蛍
日依視点じゃ影薄くなっちゃってるけどちゃんといるよ…危なげなく魔物を撃破していく旅人。凍結反応助かりすぎる…!硬いけど!
・パイモン
イ…イルヨー……
・ガイア
@北風の狼の神殿
武器破壊エピソードにウケた騎馬隊長
蛍と同様に元素力を扱えることは薄々感づいてた。それを踏まえての俺に貴様を魅せてみろ(そうだけどそうじゃない)
なおこの後
アンバーついてこさせるか否かで悩んだりした。実況主使いまくるから……